JP2641484B2 - 半導体素子 - Google Patents

半導体素子

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は半導体材料に係り、特に可視光半導体レーザ
装置の性能向上に関する。
〔従来の技術〕
AlGaInP四元混晶半導体は可視光半導体レーザの材料
である。まず最初にGaInPを活性層に、AlGaInPをクラッ
ド層に用いた半導体レーザが実用化されようとしてい
る。しかし、その発振波長は680nm程度であり、理論的
に予測された650nmよりも波長が長い。(電子情通信学
会技術研究報告OQE87−45.10の頁) 〔発明が解決しようとする課題〕 AlGaInP系半導体レーザの発振波長が長くなる理由と
して、III族原子の格子点上で原子の配列に規則性が生
じ、結晶構造が無秩序混晶半導体構造から超格子半導体
構造に変化したものと考えられている。ここで云う無秩
序半導体構造及び超構格子半導体構造は、両者とも原子
は正規の結晶構造(ここでは閃亜鉛鉱型)の格子点上に
有るが、その配列が異っている。すなわち、無秩序混晶
半導体構造は複数種の同族原子の配列が全くランダムで
あり、超格子半導体構造は例えば原子が1列に交互に並
んでいる様に規則性がある。この結晶成長中に自然発生
する超格子(自然超格子)は転位や欠陥等とは異なり本
来のIII族原子の位置からのずれを生じさせる事がない
ので、結晶性を損う事はない。発振波長が長い事を除け
ば、特性的に劣った所は見られない。しかし、半導体レ
ーザはより波長の短かいものが求められており、その見
地から自然超格子の発生は望ましくない。
本発明の目的は自然超格子の発生を抑えAlGaInP系レ
ーザの短波長化を計る事である。
尚、自然超格子が半導体素子の特性に影響する例は現
在のところAlGaInP系半導体レーザのみにおいて問題に
されているが、自然超格子の発生は混晶半導体において
普遍的に起こる現象であるらしく、本発明はAlGaInP系
以外の混晶系においても適用できる。
〔課題を解決するための手段〕
エピタキシャル成長させる混晶半導体層を格子定数が
ほぼ等しく、かつ面方位が(n11)〔ただし、1≦n≦
5〕である結晶体をエピタキシャル成長の基板として用
いる事により、上記目的は達成される。
ただし、基板結晶の面方位は上記方位から5度以内の
ずれであっても良い。
〔作用〕
第1図を用いて作用を説明する。(111)の面方位を
有しV族原子が結晶表面に出ている(111)B面GaAs基
板と(100)面GaAs基板上に有機金属相成長法を用いて
エピタキシャル成長させたGa0.5In0.5Pのフォトルミネ
ッセンスのスペクトルを示す。(100)上の試料のピー
ク波長は670nmと長く、超格子が発生している事が判
る。これに対して(111)B上の試料のピーク波長は、6
50nmとIII族原子が不規則に配置している通常の混晶半
導体と同じ値をとり、超格子半導体が発生していない事
が判る。
(111)面と(100)面では結晶成長界面でのボンドの
出方が異なり、(111)面上では超格子構造の自然発生
が抑えられる。超格子発生の抑制は、(111)面と(10
0)面の間の面方位を持つ基板、つまり(n11)面の基板
においても成され、nの値は範囲は1≦n≦5である。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図を用いて説明する。
実施例1. 第2図に本発明の実施例1の半導体レーザの断面図を
示す。第2図において、1は(111)Bから(100)方向
に3度傾いた面方位を有するSiドープGaAs基板(n=1
×1018cm-3、d=150μm)、2はSeドープAl0.25Ga
0.25In0.5Pクラッド層(n=7×1017cm-3、d=1μ
m)、3はノンドープGa0.5In0.5P活性層(d=0.07μ
m)、4はZnドープAl0.25Ga0.25In0.5Pクラッド層
(p=3×1017cm-3、d=1μm)である。2〜4の層
は、有機金属気相成長法により1の上に順次エピタキシ
ャル成長する。そうして得られたダブルヘテロウェハに
SiO2電流阻止膜5,P電極6、n電極7を施した後、200×
300μmのチップに劈開する。このレーザは室温におい
て100mAの電流を流すと650nmで発振する。
尚、同じ構造で(100)GaAs基板を用いたものは680nm
で発振する。
実施例2. 第3図に本発明の実施例2の半導体レーザの断面図を
示す。第3図において、8は(211)Aの面方位を有す
るZnドープGaAs基板(P=7×1017cm-3、d=150μ
m)、9はMgドープAl0.5In0.5Pクラッド層(p=3×
1017cm-3、d=1μm)、10はノンドープAl0.15Ga0.35
In0.5P活性層(d=0.06μm)、11はSiドープAl0.5In
0.5Pクラッド層(n=7×1017cm-3、d=1μm)で
ある。9〜11は、分子線エピタキシャル法により8の上
に順次成長する。そうして得られたダブルヘテロウェハ
にSiO2電流阻止膜5、n電極7、p電極6を施した後、
200×300μmのチップに劈開する。このレーサは室温に
おいて150mAの電流を流すと580nm(黄色)で発振する。
尚、同じ構造で(100)GaAs基板を用いたものは600nm
(橙色)で発振する。
〔発明の効果〕
本発明によれば、混晶半導体の自然跡格子の発生を抑
える事が出来るので、特にAlGaInP系半導体レーザにお
いては短波長化の効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は(111)B及び(100)の面方域を有するGaAs基
上にエピタキシャル成長したGaInPのフォトルミネッセ
ンス・スペクトル、 第2図は本発明の実施例1における半導体レーザの断面
図、 第3図は本発明の実施例2における半導体レーザの断面
図である。 符号の説明 1……(111)Bから(100)方向に3度傾いた面方向を
有するGaAs基板、2……AlGaInPクラッド層、3……GaI
nP活性層、4……AlGaInPクラッド層、8……(211)A
の面方向を有するGaAs基板、9……AlInPクラッド層、1
0……Al0.15Ga0.35In0.5P活性層、11……AlInPクラッ
ド層。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(n11)の面方位(但し、1≦n≦5)又
    は上記面方位から5度以内のずれを有する面方位の結晶
    基板と、上記結晶基板上部に形成されたAlGaInP層を有
    する発光領域とを含めて構成されることを特徴とする半
    導体素子。
  2. 【請求項2】(n11)の面方位(但し、1<n≦5)又
    は上記面方位から5度以内のずれを有する面方位の結晶
    基板と、上記結晶基板上部に形成されたGaInP層を有す
    る発光領域とを含めて構成されることを特徴とする半導
    体素子。
  3. 【請求項3】結晶基板と、該結晶基板の結晶面上部に形
    成された混晶半導体層を含めて構成され、上記結晶面は
    上記混晶半導体層中の自然超格子の発生を抑制する(n1
    1)の面方位(但し、1≦n≦5)又は上記面方位から
    5度以内のずれを有する面方位を有することを特徴とす
    る半導体素子。
  4. 【請求項4】(n11)の面方位(但し、1≦n≦5)又
    は上記面方位から5度以内のずれを有する面方位を有す
    る結晶基板と、該結晶基板の上部に混晶半導体で形成さ
    れた光を発生する活性層を含めて構成され、上記活性層
    からの光の波長は上記結晶基板の面方位を(100)とし
    たときよりも短波長化していることを特徴とする半導体
    素子。
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