JP2640966B2 - イオン導電性高分子粘着剤 - Google Patents

イオン導電性高分子粘着剤

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JP2640966B2
JP2640966B2 JP63094737A JP9473788A JP2640966B2 JP 2640966 B2 JP2640966 B2 JP 2640966B2 JP 63094737 A JP63094737 A JP 63094737A JP 9473788 A JP9473788 A JP 9473788A JP 2640966 B2 JP2640966 B2 JP 2640966B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は生体電極用のイオン導電性粘着剤に係わり、
殊に低周波治療器や生体治療用の高性能ECG(心電
図)、EEC(脳波図)、EOG(眼電位図)等をとる場合の
繰り返し使用される生体電極材に好適に使用される改良
されたイオン導電性粘着剤に関する。
〔従来の技術〕
従来、アクリル系粘着剤、ポリサッカライド系粘着剤
に導電性を付与したものが前記生体用電極材の粘着部位
として使用されている。しかし、これらは、粘着特性は
一応満足されているが、耐水性、保型性、剥離性の伸び
などに難点があった。特開昭60−281407号で開示されて
いるイオン導電性高分子粘着剤は上記粘着剤より特性が
総合的にすぐれたものである。すなわち、該発明はアル
キレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリオール又
は/及びポリオールとアレキレンオキサイド鎖を有する
ポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーの反応物
にイオン化合物が含有されている粘着剤を基本構成とし
たものであり、上記各々のアルキレンオキサイド鎖の種
類、分子量、架橋網目の密度、さらに可塑剤の添加等の
諸条件を調節することによって柔らかく伸びのある強い
粘着タック力を有する粘着剤が得られるものである。
しかしながら、繰り返し貼布・剥離して使われる生体
用電極を用途とする場合は、その特性にいくつかの不備
な点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記特願昭60−281407号の粘着剤は充分な粘着力、保
持力、タックを持ち、保型性も優れているが、該粘着剤
を人体等に貼った場合、粘着力が強いので剥がすのが困
難であった。即ち、剥離時に粘着剤自体が2〜3倍にも
伸長して剥がし難いという問題があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記問題点を解決するため、鋭意研究の結
果、アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタン又は
/及びポリオールと、アレキレンオキサイド鎖を有する
ポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーとを反応
させ、イオン化合物が含有されたものに短繊維のフィラ
メントを上記ポリマー重量に対して0.5〜10重量%添加
することによって、剥離等の伸長度を抑制し、引張強度
を向上させることによって繰り返し貼布、剥離が容易に
行えるように改良された導電性粘着剤を得ることを目的
とするものである。
上記構成について、本発明をさらに詳述する。
本発明に用いるポリウレタンポリオールプレポリマー
は例えば下記の構造式(I)、ポリオールを例えば下記
の構造式(II)〜(IV)で表され、これを単独または混
合して使用できる。
またポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーは
例えば下記の構造式(V)〜(VIII)を単独または混合
して使用する。
これら各々のプレポリマーは−OH基又は−NCO基の官
能基を有しており、この官能基が反応して粘着性を有す
る貫入型(Interpenetrated Network)のセグメントポ
リウレタンが形成される。
ここで構造式(I)〜(IV)のポリオールとしてのプ
レポリマーについて記述する。
構造式(I)はポリエーテルポリオールとジイソシア
ネートの反応物であるポリウレタンポリオールプレポリ
マーである。両末端成分がポリエーテルポリオールから
なり、両末端は−OH基である。ここで使用されるジイソ
シアネート化合物は後に記載のポリウレタンポリイソシ
アネートのプレポリマーの中のそれと同じものである。
例えばφ−フェニレンジイソシアネート、2,4トルイレ
ンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネート(MDI)、ナフタリン1,5−ジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、テ
トラメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソ
シアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水
添加TDI、水素化MDI、ジシクロヘキシルジメチルメタン
p,p′−ジイソシアネート、シエチルフマレートジイソ
シアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)など
が任意に使用できる。
構造式(II)はグリセロール(l=1)またはソルビ
トール(l=4)にポリエーテルポリオールを付加(ad
duct)したものである。(III)はトリメチロールプロ
パンにポリエーテルを付加したものである。同様に1,2,
6−ヘキサントリオール ペンタエリスリットC(CH2OH)やポリグリセリン n=2〜30の正の整数〕やその部分エステルなどの多価
アルコールとポリエーテルポリオールの付加物も使用で
きる。
この場合(AO)はホモポリマーであってもブロックコ
ポリマーあるいはランダムコポリマーであってもよい。
構造式(IV)はアルキレンオキサイド鎖を有するポリエ
ーテルポリオールであり、両端末が−OH基の場合と、片
末端がアルキル基、芳香族基などで封鎖されている場合
があり、市販品として容易に入手できる。
構造式(1) (但し、R1,R2はアルキル化合物、脂環式化合物、芳香
族化合物のいずれかであり、(AO)はアルキレンオキサ
イド鎖である。) 構造式(IV) RO−(AO)−H (但し、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、Rは
水素原子もしくは、アルキル化合物、脂環式化合物、芳
香族化合物のいずれか、lは1または4の整数であ
る。) 構造式(V)−1 構造式(V)−2 構造式(VIII) (但し、Rはアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化
合物のいずれかであり、(AO)はアルキレンオキサイド
鎖、lは1または4の整数である。) ポリイソシアネートプレポリマーは(V)〜(VIII)
の式で表される。(V)−1,(V)−2はトリメチロー
ルプロパン,グリセロールにジイソシアネートと反応し
て得られるトリイソシアネートの2分子を(AO)の一分
子で2量化したもので4官能であるテトライソシアネー
トである。トリメチロールプロパンの代わりにグリセロ
ールを用いたものが(V)−2である。この種のテトラ
イソシアネートは(AO)の2分子又は3分子でトリイソ
シアネートが2量化され易いので反応を微妙に調節する
必要がある。そのため未反応のトリイソシアネートが混
在するが、ポリオールと反応した場合にセグメントポリ
ウレタン分子が大きさのバラツキが生じ粘着性をコント
ロールするのに都合のよい方に作用することもある。
(VI)はポリオールである(II)にジイソシアネートを
反応したものである。(VII)は同様に(III)にジイソ
シアネートを反応したものであり、3官能である。(VI
II)はポリエーテルポリオールとジイソシアネートの反
応物で2官能である。
次に本発明に適する構造式中(AO)で表記されるアレ
キレンオキサイド鎖について記述する。
アルキレンオキサイド鎖はセグメントポリウレタンが
常温にて粘着物質であること、粘着力、保持力、タック
などの粘着特性に優れたものであること、およびイオン
化合物とセグメントとのハイブリッドが高いイオン伝導
率を有するゴム状態の無定形相を形成するという目的か
ら、そのほとんど乃至全てが常温で液体状態の化合物で
あるのが良い。
アルキレンオキサイド鎖を構成する化合物は、例えば
ポリメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコー
ル、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレ
ングリコール、ポリヘプタメチレングリコールなどが挙
げられる。しかしエーテル酸素のメチレン基の炭素数に
対する比率が比較的大きくて、イオン化合物と錯体を形
成する機会の大きいこと、および常温で液状物質として
入手する機会の多いことなどを考慮すればポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメ
チレングリコールが好ましい。
またこれらの共重合体例えば HOCH2CH2OCH2CH2CH2CH2OCH2CH2OnH (但し、l,m,nは1以上の整数) で表されるポリマーも使用できる。これらの共重合体は
ブロックコポリマー、ランダムコポリマーのいずれであ
ってもよい。この場合、一つのプレポリマー中のセグメ
ントが異なった種類のアルキレンオキサイド鎖で構成さ
れていてもよい。
アルキレンオキサイド鎖のそのほとんど乃至全てが常
温で液体状態の物質であることから、分子量の上限が規
制される。ポリエチレングリコールはMW:150〜1000、好
ましくは300〜800であり、ポリプロピレングリコールは
分子量が数万でも依然として液体であり、使用できる範
囲は広いが、末端基の比率が小さいと反応確率が低くな
り、またあまりに長鎖である場合は粘着剤が流動性に富
み、保型性が乏しくなるので望ましくはない。好ましく
は大略200〜数1000の範囲が使用できる。ポリテトラメ
チレングリコールは重合度が大きいと固体となるために
大略MW300〜3000の範囲が使用できる。また、これらの
共重合体はポリプロピレングリコールと同様に分子量が
数100〜数1000の範囲が使用できる。
さて、本発明のポリオール又はポリイソシアネートの
各々のプレポリマーはそれを構成するセグメントである
アルキレンオキサイド鎖が常温で固体であれば、それ自
身が固体であり、液体であればそれ自身が液体であると
大略言えるものである。この事実はセグメントの直鎖分
子が分子量の大半を占めるものについて、更に確かであ
る。ポリオームとポリイソシアネートの両方のプレポリ
マーが、ともに常温で粘稠な液状であれば反応によって
得られるセグメントポリウレタンは粘着性のある樹脂と
なる。しかし、その一方が固体であるか、両方がすこぶ
る粘稠な液体乃至半固体であれば反応により得られるセ
グメントポリウレタンは常温で粘着性の無い固体状の樹
脂となるので、本発明には適さない。但し、セグメント
が全て液体である場合には、これとは別に半固体乃至は
固体状のプレポリマーを粘着性の調整のために一部混合
してもよい。
一方これとは逆に、常温で液体のセグメントであって
も、低分子量のセグメントのみで構成されたプレポリマ
ーの反応物であるセグメントポリウレタンの場合は、粘
性の高い粘着剤とはならない。というのは、セグメント
長の短いものばかりで構成されたものは、液状セグメン
トの分子がウレタン結合の分子の交錯点、つまり結び目
の点により、拘束されて自由に運動することを束縛され
るためである。換言すれば、網目鎖濃度の高い状態では
セグメントが液状であっても弾性の優位な粘弾性体とな
り、比較的粘着力、保持力の乏しい粘着剤となる。その
ためセグメントの一部乃至その多くが適度の分子長を有
していることが充分な粘着性を発現するための不可欠で
あり、その長さが先述の値であると言える。そしてこの
充分に長い鎖長のアルキレンオキサイドのそのエーテル
酸素が種々のイオン化合物と錯体を形成する“場”とし
て有効であり、これによってイオン伝導性が発現され
る。
さて、ポりオールとポリイソシアネートの反応比につ
いて以下に記述する。経験的に言えば、粘着物質の分子
集合体は比較的嵩高い構造の分子が適当な分子量を有
し、且つ自由に運動可能であるセグメント長、または直
鎖(Iinear)の末端分子を多く有していることが必要で
ある。従って、ポリオールとポリイソシアネートは各々
が単一化合物であれば一方が2官能で、他の一方が3官
能以上の化合物の組み合わせである必要がある。どちら
かが一官能であれば連鎖しない。2官能同士では直鎖分
子となり、プレポリマーにはじめから分岐がなければ嵩
高い分子の集合とならず、適当でない。つまりどちらか
一方が2官能で他が3官能以上の多官能であるか、互い
に3官能以上の組み合わせが良い。但し、いずれもあま
りに官能数が大きすぎるものの反応物の場合は網目鎖濃
度が高すぎるので、余程長いセグメントが存在しない
と、弾性が粘性を上回って好ましい粘着性は得られ難
い。良好な粘着性が得やすい官能数は大略2〜4の夫々
の組み合わせであると言える。この場合であれば、粘着
性の微調整のために官能基が一つのものを嵩高さを増す
ために混合して使用できる。また、ポリオール、ポリイ
ソシアネートプレポリマーの(AO)鎖がかなり長いもの
ばかりの場合は、多官能の多価アルコール、又は多価イ
ソシアネート〔いずれも(AO)セグメントをもたない〕
を混用してもよい。
ポリオールとポリイソシアネートの各々のプレポリマ
ーの反応比は末端の官能基の比率すなわちOH/NCOの価に
よって規制できる。未反応の−NCOが残ると後反応が生
じるのでOH/NCOは1以上でなければならない。経験的に
は、1≦OH/NCO≦5で良好な粘着性が得られる。OH/NCO
が1以上5以下の状態では嵩高い分子の集まりにおいて
末端にOH基を有する直鎖セグメントが尾(tail)を出し
て自由に運動している状態であると想像できる。5に近
い程freeの尾が長くて多い状態である。そしてこのポリ
マー分子は粘着性を発現するに適した大きさとなって集
合している。本発明の粘着物質を構成するポリオールと
ポリイソシアネートの分子量の範囲は(AO)、イソシア
ネートの種類、分子形状および(AO)がホモポリマーで
あるか、コポリマーであるかによって広い範囲で変わる
が、ポリウレタンポリオールプレポリマーで大略1400〜
10000、ポリオールで大略150〜6000、ポリウレタンポリ
イソシアネートプレポリマーは大略500〜10000である
が、好ましくは各々大略1000〜6000、300〜3000、大略1
000〜6000の範囲で選択できる。
次に本発明のアルキレンオキサイド鎖を形成するポリ
エーテルポリオールのエーテル酸素と錯体を形成してイ
オン伝導性を発現する解離可能なイオン化合物について
記述する。アルキレンオキサイドのエーテル酸素はカル
ボン酸のH+とコンプレックスを形成することはよく知ら
れている。同様にLi+などの金属イオンとコンプレック
スを形成してイオン伝導体となることはよく知られてい
る。これらの金属塩を列挙すれば、次のようなものがあ
る。例えば、NaCl,KCl,LiCl,LiClO4,NH4Cl,KClO4,AlC
l3,CuCl2,CuCl,FeCl2,FeCl3,NH4SO4,KNO3,NaNO3,Na2C
O3,LiBF4,NaBF4,KBF4,NaSCN,KSCN,LiSCN,NH4SCN,RbSCN,
CsSCN,LiSO3CF3,NaI,KI,LiI,NaBr,KBr,LiBr,CH3,COOLi,
CF3COOLi,CF3CF2CF2COOLi、アルギン酸ソーダ、ポリア
クリル酸ソーダなどの多数のものがある。これらのうち
(AO)のエーテル酸素と錯体を形成しやすいアルカリ金
属塩が好適に使用される。またアルカリ金属塩のうちリ
チウム化合物は良いイオン伝導性を示す。例えば、LiC
l,LiClO4,LiBF4,LiSO3CF3などである。このうち、LiClO
4は(AO)や可塑剤に溶解しやすくまた入手が容易であ
るので、特に実用的である。但し、生体電極材などを人
体の皮膚表面に貼布する用途の場合は安全性を考慮して
選択される。また錯体を形成して分子分散されるために
プレポリマー(主としてアルキレンオキサイド)に溶解
することも選択の一つの条件である。かかる種々のイオ
ン化合物はポリオールプレポリマーにあらかじめ混合、
溶解しておき、それをポリイソシアネートと混合して反
応してもよい。また反応後に粘着剤をこれらイオン化合
物の水溶液または有機溶媒中に浸漬して、その後水溶液
または溶媒を乾燥、除去する方法をとってもよい。これ
らイオン化合物の配合量はセグメントのアルキレンオキ
サイドの種類と比率によって変わるが、経験的にはエー
テル酸素が大略5〜30に対して錯体を形成するイオン数
が一個の割合で配合すればよい。これより多い場合は錯
体形成によりセグメントの運動が抑制され硬くなるため
粘着性が低下する。一方少ない場合は導電性が低下す
る。
また、必要に応じてジメトキシポリエーテルグリコー
ル(例えばジメトキシテトラメチレングリコール)など
の可塑剤をタック付与を目的として添加してもよい。か
かる物質を配合すると、アルキレンオキサイド鎖の部分
の分子間力が阻害され、ゴム状態になりやすく、イオン
伝導性の向上につながる。
尚、ポリオールとポリイソシアネートの反応の触媒と
して、例えばジブチル錫ジラウレートやトリアルキルア
ミン、トリエチレンジアミンなどの第3級アミンを適量
(およそ0.01〜1.0%)加えることで反応速度を調節し
ても良い。
以上のような本発明の粘着性はアルキレンオキサイド
をセグメントに有する内部貫入型(Interpenetrated Ne
twork Polymer)のセグメントポリウレタンである。そ
のセグメントのほとんどは常温で液体であり、粘着性の
発現のために適度の長さを有している。また網目状(Ne
twork)分子の外側には末端基に−OHを有するアルキレ
ンオキサイド直鎖がかなり自由に分子運動している。こ
のNetwork Polymerは嵩高い構造であるが分子量として
は強度の高い固体状の樹脂となるほどまで大きくはな
い。このような分子の集合体が粘着性を発現している形
態であると考えられる。そしてアルキレンオキサイドの
エーテル酸素は上記のイオン化合物のカチオン分子と相
互作用(錯体形成)してイオンを分子分散(溶解)す
る。このような錯体を形成した粘着剤に電位を与えると
ポリマーと錯体を形成しているイオンが移動して電流が
流れる。つまり、イオンの伝導により粘着剤が導電性を
発現する。この場合の導伝率は大略10−3〜7Ω-1cm-1
(抵抗率が103〜7Ωcm)であり、他の導電性プラスチ
ックと言われるものに比しても、かなり良い導電性を示
す。本粘着剤の原料であるポリオール、ポリイソシアネ
ートは低分子のモノマーとは異なり、分子量の比較的高
いプレポリマーであり、粘性の高い液状物質である。取
り扱い時の粘度調整、イオン化合物の溶解のために溶剤
を作用してもよいが、無溶媒の状態で使用できる。従っ
て、アクリル系粘着剤のような残留モノマーや残留溶剤
による安全性のトラブルを回避できる。このことは人体
の体表に貼付する用途にとって殊に有効である。粘着剤
の構成分子であるアルキレンオキサイド、つまりポリエ
ーテルポリオールは一般的にいって人体への安全性が高
いことが確認されている。同様にこれをセグメントに有
するポリウレタンもまた安全性が高く、医療用高分子材
料として実用されている。またポリエーテルポリオール
の種類を選択することにより、セグメントの親水性、疎
水性のバランスを調節でき、ウレタン結合による分子の
フレキシビリティが加わり、透明度が高く皮膚に対して
密着性がよく、柔軟で馴染みが良く、低刺激性の粘着剤
となる。従って、人体に貼付する用途に適しており、生
体電極剤として好適である。この場合、粘着性、導電
性、安全性、材料としての安定性、経済性など全てを充
足した新規材料となり得るものである。
次に、ポリマー中に分散混合する短繊維フィラメント
について記述する。
使用されるフィラメントの種類はビスコースレーヨ
ン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、コットン、
カーボンファイバー等であり、分散性のあまり良くない
ものは必要に応じて繊維の表面処理を行うことが望まし
い。
繊維径は太すぎると柔軟性及び導電性を低下させるの
で、あまり太い繊維径のものは好ましくない。好適な繊
維径は0.1〜5デニールでしる。また、繊維の長さは0.3
〜3mm程度であるのが望ましい。あまり短かすぎると粘
着性の保型性の確保や引張強度等の効果を発揮しないも
のとなり、又、逆にあまり長くなると、分散性が悪くな
り、偏りを生じたりする。
更に、短繊維のフィラメントのポリマー重量に対する
添加量は、0.5〜10重量%が望ましく、ポリマー重量に
対して少なすぎると、補強効果が乏しくなり、逆に10重
量%より多すぎると気泡が混入しやすく、導電性能の低
下を来すとともに粘着タック力が低下するものである。
短繊維フィラメントを添加する場合は、予め樹脂中に分
散させて使用できるため生産が容易であり、注型により
異形の成形物も容易に得ることができる。これに対して
不織布ネットを入れる場合は、気泡が入りやすく、又異
形の成形品を得ようとするときは、その異形に合わせた
形状に不織布ネットを切断し揃える必要があるため、極
めて煩瑣な生産工程となり、好ましくない。
〔作用及び効果〕
本発明は、アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレ
タンポリオールプレポリマー又は/及びポリオールとア
ルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソシ
アネートプレポリマーとを反応させて成るものであるか
ら、各々のプレポリマーはOH基又はNCO基の官能基を有
しており、この官能基が反応して粘着性を有する貫入型
のセグメントポリウレタンが形成される。そして上記反
応物は充分に長い鎖長のアルキレンオキサイドを有して
おり、その中のエーテル酸素が種々のイオン化合物と錯
体を形成することによってイオン伝導性が発現される。
すなわち、本発明は上記反応にイオン化合物を含有させ
ており、これに電位を与えるとイオン伝導によって電流
が流れ、後述の実施例の測定結果に示すように体積抵抗
率が103〜6Ωcm程度の良好な導電性を示す。さらに、
本発明は短繊維のフィラメントが上記ポリマー重量に対
して0.5〜10重量%添加されているので、伸長度の抑制
及び引張強度が向上し、繰り返し貼布、剥離を行っても
形崩れがせず、剥離が容易に行える等の利点がある。
又、本発明の粘着剤は人の皮膚に貼着しても、上記の
如き構成によるものであるから、アクリル系の粘着剤の
ように残留モノマーが人体にかぶれ等の悪影響を起こす
ものと比較して、極めて優れた粘着剤であると言えるも
のである。
さらに、本発明はポリエーテルポリオールの種類を選
択することにより、セグメントの親水性、疎水性のバラ
ンスを調節でき、ウレタン結合による分子のフレキシビ
リティがあるので、ポリマー中に含まれる短繊維フィラ
メントへの馴染みが良く、種々の繊維に合わせてポリマ
ーの調節が可能であるので良好な粘着剤を得ることがで
きるというメリットがある。
〔実施例−1〕 下記構造式(1)(2)におけるポリオールのセグメ
ント(AO)が表−1に示す構成である。
構造式(1) 構造式(2) HO−(AO)−H (但し、(AO)はアルキレンオキサイド鎖であり、R1,R
2はアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化合物のい
ずれかである。) ポリウレタンポリオールプレポリマー及びポリオール
と、下記構造式(3)におけるポリウレタンポリイソシ
アネートプレポリマー(分子量:2100、セグメントAO;PP
G)とイオン化合物として過塩素酸リチウムと触媒(ジ
ブチル錫ラウレート)よりなる組成物で、 構造式(3) (但し、Rはアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化
合物のいずれかであり、(AO)はアルキレンオキサイド
鎖である。) ビスコースレーヨンフィラメント(1デニール、長さ
1mm)を含む系と含まない系で、各々2mm厚みの粘着層を
作成し、導電性、粘着性、保型性を比較した。
尚、実施例に用いたポリウレタンポリイソシアネート
プレポリマーにおけるセグメント(AO)は分子量1000を
使用しており、合成時の低分子量の多官能ポリイソシア
ネートが混在している。
この場合のイソシアネートはテトラメチレンジイソシ
アネートを用いている。
結果)表−2は本発明品と従来品の導電性、粘着性、保
型性(1cm巾の破断強度、及びその時の伸び率)を比較
したものである。
(実施例−2) 前記構造式(1)におけるセグメント(AO)が表−3
に示す構成であるポリウレタンポリオールプレポリマー
と、構造式(4)におけるポリウレタンポリイソシアネ
ートプレポリマー(分子量1100、セグメントAO;PPG)と
イオン化合物(実施例−1に同じ)と可塑剤(ジメトキ
シテトラエチレングリコール)と触媒(実施例−1と同
じ)より成る組成物にアクリルフィラメント(1.5デニ
ール、長さ0.5mm)を含む系と含まない径で各々2mm厚み
の粘着層を作成し、導電性、粘着性、保型性を比較し
た。
構造式(4) (但し、Rはアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化
合物のいずれかであり、(AO)はアルキレンオキサイド
鎖である。) 尚、本実施例に用いたポリウレタンポリイソシアネー
トプレポリマーにおけるセグメント(AO)は分子量300
を使用しており、合成時の低分子量の多官能ポリイソシ
アネートが混在している。この場合のイソシアネートは
キシレンジイソシアネートを用いた。
実施例1、実施例2から、0.5〜10重量%の短繊維フ
ィラメントの添加により、導電性、粘着性を損なわずに
本発明品は従来品より伸長度を適度に抑制し、引張強度
を向上させており、繰り返し使用される生体用電極材等
に好適に使用できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 7/02 C08L 75/04 NGE C08L 75/04 NGE A61B 5/04 300X (72)発明者 棒谷 英和 大阪府大阪市東区安土町2丁目30番地 タキロン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−139628(JP,A) 特開 昭62−86076(JP,A) 特開 昭62−207380(JP,A) 特開 平1−249880(JP,A) 特開 平1−249881(JP,A) 特開 平1−104658(JP,A) 特開 昭63−295667(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレ
    タンポリオールプレポリマー又は/及びポリオールと、
    アルキレンオキサイド鎖を有するポリウレタンポリイソ
    シアネートポリマーとを反応させて成り、且つイオン化
    合物が含有されたものに、短繊維のフィラメントが上記
    ポリマー重量に対して0.5〜10重量%添加されているこ
    と特徴とするイオン導電性高分子粘着剤。
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