JP2640471B2 - 薄膜磁気ヘッド用基板材料 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド用基板材料

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JP2640471B2 JP62207384A JP20738487A JP2640471B2 JP 2640471 B2 JP2640471 B2 JP 2640471B2 JP 62207384 A JP62207384 A JP 62207384A JP 20738487 A JP20738487 A JP 20738487A JP 2640471 B2 JP2640471 B2 JP 2640471B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はコンピュータの周辺装置であるフロッピーデ
ィスク装置やハードディスク装置に組み込まれる磁気ヘ
ッドの基板材料に関し,特に薄膜磁気ヘッドの非磁性基
板材料に関する。
<従来の技術> 一般に,コンピュータ,VTR,又はオーディオ関係の磁
気ヘッドは,磁性材料であるフェライトと非磁性セラミ
クスとをガラスボンディングして構成されている。これ
に対し,薄膜磁気ヘッドの場合には,磁性あるいは非磁
性セラミクス基板上へセンダスト,パーマロイなどの磁
性薄膜をメッキ,蒸着あるいはスパッタリングにより成
膜し作成される.以上の工程をとるために,薄膜ヘッド
では狭トラック化が容易であり,故に従来のヘッドを使
用した場合と比較し記録密度を指数関数的に上昇させる
事が可能となる。
ここで,薄膜磁気ヘッドの基板材料としてはAl2O
3(アルミナ)−TiC(炭化チタン)セラミクスが用いら
れている。その理由としては、他材料に比較して高硬度
かつ高強度なため,高密度磁気記録用として使われる金
属系の記録媒体との接触起動停止に対して高い耐久性を
示す事があげられる。
<発明が解決しようとする問題点> 一方,欠点としては,焼結性が悪いために,基板材
料として必要な緻密なものを得るためには焼結温度を18
50〜1900℃の高温としなければならない事,機械加工
性が悪いために小型化の要求に対応できない事,および
比抵抗が低いために磁性層を基板上に直接形成する事
ができず,基板と磁性層の間にAl2O3等の絶縁層を形成
しなければならない事があげられる。
<問題点を解決するための手段> 本発明は上記の様な問題点,着眼点に基づいて研究し
た結果,焼結促進効果を示す添加物,粒成長整合効果を
示す添加物,比抵抗改善のための添加物とを同時に添加
する事により,良好な薄膜磁気ヘッド用基板材料を得る
事を可能としたものである。
具体的に言えば本発明は種々の実験を行った結果、Ti
C15〜60wt%、残部Al2O3よりなる主成分Aの100wt%に
対し、希土類の酸化物によるSc2O3、La2O3、CeO2、Pr6O
11、Sm2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3のうちからSc2O3、Pr6
O11、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3の少なくとも一種を含むよう
に選択されてなる添加物Bを1〜10wt%添加する事によ
りAl2O3とTiCとの間の濡れ性が向上するため焼結性が向
上し,かつCr2O3,TiO2,Y2O3,MgOの一種以上の粒成長整
合効果を示す添加物を1〜5wt%添加する事で小粒径組
織として加工性を改善し,さらに添加物DとしてSi3N4
を添加する事により,比抵抗の低い原因であるTiC中の
遊離炭素(freeCarbon)をSi3N4に含まれるSiと反応さ
せて高抵抗のSiCとする事で比抵抗を増加させ,もって
機械加工性に優れかつ比抵抗の値を従来のレベルより一
桁高い薄膜磁気ヘッド用Al2O3−TiCセラミクス基板材料
を製造する事ができた。
<実施例> 以下,本発明を実施例に従って詳細に説明する。
平均粒径0.1〜0.5μm,純度99%以上のAl2O3,TiC,Se2O
3,La2O3,CeO2,Pr6O11,Sm2O3,Tm2O3,Yb2O3,Lu2O3,Cr2O3,
TiO2,Y2O3,MgO,Si3N4の各粉末原料を第1表に示す組成
比となる様に秤量しNo.1〜23の各試料とした。なお,主
成分AはTiCとAl2O3の各wt%を示す。またSc2O3,La2O3,
CeO2,Pr6O11,Sm2O3,Tm2O3,Yb2O3,Lu2O3(添加物B),Cr
2O3,TiO2,Y2O3,MgO(添加物C),Si3N4(添加物D)の
秤量値はすべてAl2O3とTiCとを合せて100wt%とした主
成分に対する割合である。なお,試料No.11〜23は比較
のためのものである。
各試料をそれぞれ前述の様に秤量後,エタノールを溶
媒としてボールミルにて20〜40時間混合した。これを
過・乾燥後,有機系バインダを添加し,30×30×10mmの
ブロックに加圧成型した。次に,1750℃の温度で2時間
の焼結を行なった。なお,焼結時の雰囲気は添加したSi
3N4の熱分解を防ぐため9kg/cm2のN2雰囲気下とした。さ
らに焼結後,N2ガスを圧力媒体として用い,圧力1000kg/
cm2,温度1650℃,保持時間2時間の条件でHIP処理を行
なった。
以上の工程により得られた試料の材料特性の評価とし
て,相対密度,ビッカース硬化Hv,抗折強度F,比抵抗の
測定を行なった。また,各試料より5×5×20mmの角柱
を切り出した後,該角柱の隣接する5×20mmの2面を鏡
面加工し,陵部に生じた2×2μm以上のチッピング数
を1000倍の倍率を有する光学顕微鏡を用いてカウントし
て1cm当りの発生率に換算し,加工性の評価項目とし
た。なお,チッピングの大きさはその長さ別に2〜10μ
m,11〜50μm,51μm以上の3水準に分類した。
以上の結果を第2表に示した。
試料No.1〜10の本発明の適用例と,試料No.11〜23の
比較例からわかる様に,Sc2O3、La2O3、CeO2、Pr6O11、S
m2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3のうち、Sc2O3、Pr6O11、Tm
2O3、Yb2O3、Lu2O3の少なくとも一種を必須要素とする
添加物を1〜10wt%、Cr2O3,TiO2,Y2O3,MgOの少なくと
も一種を1〜5wt%,Si3N4を1〜10wt%,これらを同時
に添加する事により,無添加例(No.11)に比較し,ビ
ッカース硬度Hvは600〜800の著しい向上を示し,組織的
にも小粒径となっている。また,従来例より100℃以上
低い1750℃で焼結し,1650℃でHIP処理をしているにもか
かわらず,相対密度は99.96〜99.98%と高く,抗折強度
Fの値も2倍以上の上昇を示している。
以上,密度の上昇,機械強度の向上,粒組織の微細化
のために,チッピング発生率も低く,加工性が改善され
ている。また同時に,比抵抗の値も1桁増加し,10-1Ω
・cmのレベルに達している。
これに対し,Sc2O3,La2O3,CeO2,Pr6O11,Sm2O3,Tm2O3,Y
b2O3,Lu2O3の少なくとも一種の添加量が1wt%未満の場
合(No.12〜14)焼結性は改善されず,よって相対密度
も91%程度と低く,またチッピングも多発している。
一方,Cr2O3,TiO2,Y2O3,MgOの少なくとも一種の添加量
が1wt%未満の時(No.15,17)粒成長整合効果は見られ
ず,これが原因となり11〜50μmの中程度のチッピング
の発生率が増加している。また,添加量が5wt%を越え
ると(No.16)焼結性の低下をきたし,故にチッピング
も多発している。
また,試料No.19では,添加物B,Cともに本発明の範囲
を越えているが,この場合,焼結性は向上し相対密度は
高いものの粒界に添加物が析出し,強度の低下をきた
し,故にチッピングが多発している。特に、添加物Bに
ついては、添加量が10wt%を越えると、高価となるだけ
でなく、硬度及び強度の低下、チッピングの多発とな
る。
さらに,Si3N4の添加量が1.0wt%未満の場合(No.11〜
21),比抵抗の値は10-2Ω・cmの従来のレベルであり,
これに対し10wt%を越えると(No.22〜23),Si3N4の難
焼結性が現れるため反応性が低下し,相対密度も上らな
い。添加量が1wt%以上で比抵抗の値が上昇しているの
は,Al2O3−TiCセラミクスが導電性を示す原因であるTiC
中の遊離炭素がSi3N4中のSiと反応して高抵抗のSiCが生
成した事,および絶縁材であるSi3N4が均一に分散した
事の相乗効果によるものと推察される。添加量が1wt%
未満ではSi3N4が均一に分散されにくく,このため上記
の効果が得られない。また,添加量が1〜10wt%の時
(No.1〜10)Si3N4の高強度特性が現れ,1wt%未満(No.
20,21)に比較してビッカース硬度Hv,抗折強度Fともに
向上している。
従って,Sc2O3、La2O3、CeO2、Pr6O11、Sm2O3、Tm
2O3、Yb2O3、Lu2O3のうち、Sc2O3、Pr6O11、Tm2O3、Yb2
O3、Lu2O3の少なくとも一種を必須要素とする添加物を
1〜10wt%、Cr2O3,TiO2,Y2O3,MgOの少なくとも一種を
1〜5wt%,Si3N4を1〜10wt%これらを同時に添加する
事で機械加工性に優れ,かつ比抵抗の値が従来のものよ
り1桁高い高密度Al2O3−TiCセラミクス基板材料が得ら
れる事が分った。
これは添加物B,C,Dの添加量が上記範囲内の時に,添
加物Bの焼結促進効果,添加物Cの粒成長整合効果,添
加物D(Si3N4)の強度向上かつ比抵抗改善の相乗効果
が最大となるためである。
なお,主成分に関してはTiCとAl2O3の合計に対するTi
Cのwt%が15未満では,ビッカース硬度Hvが2000以下に
なり,また60を越えると焼結性が著しく低下し密度が向
上しないため,主成分のTiC量を15〜60wt%に限定して
いる。
<発明の効果> 以上の結果から明らかな様に本発明によれば,小粒径
組織かつ緻密で機械加工性に優れ,比抵抗の値が従来の
10-2Ω・cmのレベルから1桁高い10−Ω・cmのレベル
を示す薄膜磁気ヘッド用高密度Al2O3−TiCセラミクス基
板を容易に製造する事ができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】TiCを15〜60wt%含み残部Al2O3よりなる主
    成分Aの100重量部に対し、Sc2O3、La2O3、CeO2、Pr6O
    11、Sm2O3、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3のうちからSc2O3、Pr6
    O11、Tm2O3、Yb2O3、Lu2O3の少なくとも一種を含むよう
    に選択されてなる添加物Bを1〜10wt%、Cr2O3、Ti
    O2、Y2O3、MgOより選択されてなる添加物Cを1〜5wt
    %、かつ添加物DとしてSi3N4を1〜10wt%、を同時に
    添加してなることを特徴とする薄膜磁気ヘッド用基板材
    料。
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