JP2639709B2 - 4’−デメチルエピポドフィロトキシン誘導体の新規製造法 - Google Patents

4’−デメチルエピポドフィロトキシン誘導体の新規製造法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、優れた制癌活性を有する4′−デメチルエ
ピポドフイロトキシン−β−D−4,6−0−エチリデン
グルコピラノシド(一般名:エトポシド)誘導体の新規
製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
一般式〔I〕で表わされる4′−デメチルエピポドフ
イロトキシン−β−D−2−ジアルキルアミノ−2−デ
オキシ−4,6−0−エチリデン−グルコピラノシドの製
造法としては、式〔II〕 で表わされる4′−デメチルエピポドフイロトキシン−
β−D−2−アミノ−2−デオキシ−4,6−エチリデン
−グルコピラノシドに不活性溶媒中で一般式〔III〕 R1CHO 〔III〕 〔式中R1は水素あるいはC1〜C3の低級アルキル基を示
す。〕で示されるアルデヒド及びシアン化水素化ホウ素
ナトリウムを反応させる方法(特開昭61−227590)が知
られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記方法では、 シアン化水素化ホウ素ナトリウムを短時間に加えない
と副生成物の生産量が増えてしまう。製造量が増える
と発熱及び発泡が激しくなるため、短時間に加えること
は困難であるシアン化水素化ホウ素ナトリウムが強ア
ルカリであるため分解物が生成し易いので、反応液のPH
調整が必要であるがその場合、予め酸を入れておくと酸
による分解物が生じるためやはり収率が低下するシア
ン化水素化ホウ素ナトリウムは猛毒のシアン化水素を発
生させるおそれがあるので、工業的製造においては労働
衛生上問題があり、できればその使用を避けたいシア
ン化水素化ホウ素ナトリウムは試薬として入手はできる
が工業的規模となると不可能であるなどの欠点を有して
いるため、工業的製造法とするには問題があった。
〔課題を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、労働衛生上問題なく、原料的
制約も受けず高品質かつ高収率で得られる一般式〔I〕
で示される4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β
−D−2−ジアルキルアミノ−2−デオキシン−4,6−
0−エチリデン−グルコピラノシドの工業的製造法につ
いて鋭意検討した結果、本発明を完成した。
即ち本発明は式〔II〕 で表わされる4′−デメチルエピポドフイロトキシン−
β−D−2−アミノ−2−デオキシ4,6−0−エチリデ
ン−グルコピラノシドに一般式〔III〕 R1CHO 〔III〕 〔式中R1は水素あるいはC1〜C3低級アルキル基を示
す。〕で表わされるアルデヒドを反応させ、次いで金属
触媒存在下で水素還元することを特徴とする一般式
〔I〕 〔式中R2はC1〜C4の低級アルキル基を示す。〕で表わさ
れる4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−
2−ジアルキルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチ
リデン−グルコピラノシドの新規製造法に関するもので
ある。
本発明によれば一般式〔I〕の化合物が定量的に生成
すること、それゆえ反応液から触媒を除去した後濃縮乾
固するだけで目的とする化合物を高純度高収率で得られ
ることなどの大きなメリットがある。
本発明を更に詳しく説明すると、原料として用いる式
〔II〕で表わされる化合物は公知の化合物(特開昭60−
32799)であり、一般式〔III〕で表わされるアルデヒド
としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒト、プロ
ピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドが具体例としてあ
げられる。
式〔II〕の化合物と一般式〔III〕のアルデヒドとの
反応は、通常室温で行なわれるが、還元と同時に進行さ
せることも可能であり、その場合は、還元の反応温度で
行なわれる。
一般式〔III〕のアルデヒドの量は、式〔II〕の化合
物に対して2当量以上あればよく、好ましくは3乃至4
当量である。還元に使用される触媒は、通常使用される
金属触媒なら何でもよく貴金属触媒(白金、パラジウ
ム、ロジウム等およびラネーニッケル等が挙げられるが
パラジウムが好ましい。パラジウムは、パラジウム黒あ
るいはパラジウム炭素のどちらでもよく、式〔II〕の化
合物に対して、パラジウム金属量として例えば約1〜約
50%通常約5〜約20%程度用いればよい。還元は、オー
トクレーブ中で約0゜〜約150℃通常約5〜約100℃、好
ましくは約40〜約60℃で行なうのがよい。また、水素
は、反応に必要な理論上の水素量が必要であり、常圧下
でもよいが、通常は加圧下で行うのが好ましく、当初圧
を通常約1kg/cm2(ゲージ圧、以下同じ)以上、好まし
くは約5〜約10kg/cm2の圧力で行ない、反応の進行に従
い水素を補給すればよい。
反応に使用する溶媒は、通常、原料である式〔II〕の
化合物4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D
−2−アミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン−
グルコピラノシドを溶かすものなら何でもよく、極性溶
媒、非極性溶媒のいずれでもよい。溶媒の具体例として
は、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアル
コール類、クロロホルム、塩化メチレン1,2−ジクロロ
エタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトニトリル、酢
酸あるいは水などがあげられる。
本反応に用いられる式〔II〕の化合物は、無機酸また
は有機酸との塩であってもよい。その場合、酸の具体例
としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸あるいは、
酢酸、ギ酸、シュウ酸などの有機酸があげられる。
本反応に従えば、副生成物は全く生成せず、中間体に
シッフ塩基が生成され、水素還元により定量的に一般式
〔I〕の化合物に変換することから、反応終了後の反応
液中には、目的とする一般式〔I〕の化合物のみが含ま
れる。
したがって、反応液からの結晶の単離は非常に簡便で
あり、触媒を過した後に、その液を濃縮乾固するだ
けでよく、一般式〔I〕の4′−デメチルエピポドフイ
ロトキシン−β−D−2−ジアルキルアミノ−2−デオ
キシ−4,6−0−エチリデン−グルコピラノシドが定量
的かつ高純度に得られる。
〔発明の効果〕
一般式〔I〕で表わされる4′−デメチルエピポドフ
イロトキシン−β−D−2−ジアルキルアミノ−2−デ
オキシ−4,6−0−エチリデン−グルコピラノシドは、
既存の制癌剤4′−デメチルエピポドフイロトキシン−
β−D−4,6−0−エチリデン−グルコピラノシド(一
般名:エトポシド)の誘導体であり、医薬品としての開
発を期待される高価な化合物である。
本発明によれば労働衛生上問題となる原料を使用しな
いでよく、従来必要であった繁雑なシリカゲルクロマト
などによる精製は不要であり、簡便に一般式〔I〕で表
わされる4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−
D−2−ジアルキルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−
エチリデン−グルコピラノシドの純粋な結晶を定量的に
得ることができることから、製造原価の低減にもつなが
り工業的製造法としてその効果は非常に大きい。
以下に本発明方法と対照(特開昭61−227590)との比
較を示す。
実施例1 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β
−D−2−ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−
エチリデン−グルコピラノシドの製造 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−2
−アミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン−グル
コピラノシド2.0g(3.4ミリモル)をメタノール20mlに
懸濁し、35%ホルマリン水溶液1.2g加え、室温下で約30
分間撹拌後10%パラジウム炭素1.5gを加え、オートクレ
ーブ中にて水素圧5〜10kg/cm2、50℃で撹拌した。
2時間後、反応液中の触媒を過し、液を減圧下に
濃縮を行い、4′−デメチルエピポドフイロトキシン−
β−D−2−ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0
−エチリデン−グルコピラノシドの白色結晶2.0gを得
た。(収率97.5%)。
得られた結晶の融点、旋光度、NMR、MSは、特開昭61
−227590の方法により得られた4′−デメチルエピポド
フイロトキシン−β−D−2−ジメチルアミノ−2−デ
オキシ−4,6−0−エチリデン−グルコピラノシドのそ
れと同一であった。
実施例2 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β
−D−2−ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−
エチリデン−グルコピラノシドの製造 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−2
−アミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン−グル
コピラノシド42.0g(0.071モル)をアセトニトリル500m
lに懸濁し、35%ホルマリン水溶液24.4gを加え、室温下
で1時間撹拌後、パラジウム黒10.0gを加えた。
オートクレーブ中にて、水素圧8〜10kg/cm2下55℃で
約4時間反応させて、実施例1と同様な操作を行ない、
4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−2−
ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン
−グルコピラノシド43.4gを得た(収率99.2%)。得ら
れた結晶の融点、旋光度、NMRは実施例1より得られた
結晶のそれと一致した。
実施例3 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β
−D−2−ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−
エチリデン−グルコピラノシドの製造 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−2
−アミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン−グル
コピラノシド酢酸塩5.12kg(7.91モル)をメタノール50
及び塩化メチレン50の混合溶媒に懸濁し、35%ホル
マリン水溶液680gを加え、室温下で30分間撹拌後、パラ
ジウム炭素3.9kgを加えた。
オートクレーブ中にて、水素圧5〜10kg/cm2下45℃で
約3時間反応させ、冷却後触媒を過し、液を炭酸水
素ナトリウム水溶液で抽出洗浄後有機層を減圧下に濃縮
を行ない、4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β
−D−2−ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−D−
エチリデン−グルコピラノシド4.73kgを得た(収率97.1
%)。
得られた結晶の融点、旋光度、NMRは実施例1より得
られた結晶のそれと一致した。
対照例 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−
D−2−ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−エ
チリデン−グルコピラノシドの製造 4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−2
−アミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン−グル
コピラノシド338g(0.576モル)をメタノール3.5に懸
濁し、35%ホルマリン200ml及び酢酸30mlを加え室温下
にて30分間撹拌した。さらに、シアン化水素化ホウ素ナ
トリウム36g(0.576モル)のメタノール溶液を室温下で
滴下し、反応終了後クロロホルム、水及び炭酸ナトリウ
ムを加え抽出、さらに水洗を行なった後、有機層を減圧
下に濃縮を行ない残渣を得た。得られた残渣をメタノー
ルで結晶化し次いでシリカゲルクロマト精製を行ない、
4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−2−
ジメチルアミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリデン
−グルコピラノシド124.6gを得た(収率:35.3%)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式〔II〕 で表わされる4′−デメチルエピポドフイロトキシン−
    β−D−2−アミノ−2−デオキシ−4,6−0−エチリ
    デン−グルコピラノシドに一般式〔III〕 R1CHO 〔III〕 〔式中R1は水素あるいはC1〜C3の低級アルキル基を示
    す。〕で表わされるアルデヒドを反応させ、次いで金属
    触媒存在下で水素還元することを特徴とする一般式
    〔I〕 〔式中R2はC1〜C4の低級アルキル基を示す。〕で表わさ
    れる4′−デメチルエピポドフイロトキシン−β−D−
    2−ジアルキルアミノ−2−デキオシ−4,6−0−エチ
    リデン−グルコピラノシドの新規製造法。
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