JP3128080B2 - 核酸化合物の新規な製造方法 - Google Patents

核酸化合物の新規な製造方法

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JP3128080B2 JP03282294A JP28229491A JP3128080B2 JP 3128080 B2 JP3128080 B2 JP 3128080B2 JP 03282294 A JP03282294 A JP 03282294A JP 28229491 A JP28229491 A JP 28229491A JP 3128080 B2 JP3128080 B2 JP 3128080B2
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    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品の製造における
中間体として、有用な核酸化合物を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般式
[I] (ただし、Rはアセチル基,ベンゾイル基,などのエス
テル類を表す)で表される化合物、すなわち、2',3'-ジ
デオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジンの5'- エステル誘
導体は、Chem.Pharm.Bull., 18, 554(1970) や J.Org.C
hem., 53, 5170(1988)に記載された如く、核酸化合物の
製造や、それを用いた抗ウイルス剤の製造に有用な中間
体である。
【0003】また、前記化合物 [III],[IV],[V]
はそれぞれ、例えば、J.Org.Chem.,32, 817(1967) (化
合物 [III]に対して);特開平 02-222695号公報および
特開平03-47086号公報(以上、化合物[IV]に対し
て);特開平 01-199991号公報および特開平 01-100191
号公報(以上、化合物[V]に対して)に記載された如
く、ピリミジンヌクレオシド類似化合物及びプリンヌク
レオシド類似化合物の製造に有用な中間体である。
【0004】一般式[I]で表される化合物の合成法
は、白神 (Shiragami)らが、 J.Org.Chem., 53, 5170(1
988)において報告している例がある。それによると、彼
らは以下に示した方法によって、オルソエステルより
2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジンを合成
している。
【0005】しかし、この反応は収率こそHPLCなど
で測定すれば、50%程度でが得られているように見え
るものの、実際には副生成物(原料であるの未反応物
もかなり多い)が多量に生成し、シリカゲルカラムクロ
マトなどの精製処理を行なわねばならない。したがっ
て、実験室的には何とか可能な方法であるかもしれない
が、工業的にはいちいち多量の物質をカラムクロマト等
で単離操作するわけにはいかない。したがって、この方
法は工業的には全く成り立たない。また、一段階の反応
が50%とは決して満足の行くものではない。
【0006】工業的に可能な方法とは、反応がきれいに
進行し、反応終了後の状態ではそのほとんどが目的物で
あり、精製も蒸留あるいは再結晶により、望ましくは一
段階で容易に行なえる方法をいう。
【0007】また、白神 (Shiragami)らは、彼らの反応
(前述のからを合成する方法)を鍵反応として用
い、ウリジンを出発物質として、化合物 [III]および
[IV] の合成方法を開示しているが、先に述べたように、彼ら
の鍵反応であるオルソエステル1よりアセテート2の反
応が工業的でないために、この反応を用いた化合物 [II
I],[IV]の合成方法も、工業的に容易かつ安価な方法
とは言い難い。
【0008】またさらに、一般式[I]で表される化合
物の合成法としては、エム・エム・マンスリ(M.M.Mansu
ri) らが、 J.Org.Chem., 54, 4780(1989)に報告してい
る例がある。この報告によると、彼らは以下に示した方
法によって、3',5'-O-ジアセチル-2'-デオキシ-2'-ブ
ロモウリジンよりを合成している。
【0009】彼らは、化合物のアセチル基とブロマイ
ドを脱離させるのに金属亜鉛を用いているが、3',5'-O
- ジアセチル-2'-デオキシ-2'-ブロモウリジンは亜鉛
による脱離反応の原料としてあまり優れていない。事実
彼らの報告でも、この一段階の脱離だけで収率が50〜60
%程度と良くない。生成した化合物の不安定性(同時
に生成した、臭素あるいは触媒として加える酢酸の酸性
度で分解する)が収率低下の一番の原因であろうかと思
われるが、本質的にアセチル基が脱離基としてあまり適
していないことも原因のひとつであると考えられる。
【0010】また古川(Furukawa)らは、Chem.Pharm.B
ull., 18, 554(1970) において、以下に示すように、2'
- ブロモ-3'-O- メシルウリジン誘導体よりジデオキ
シウリジン-5'-ベンゾエートを得る方法について述べ
ている。
【0011】しかし、パラジウム・硫酸バリウム(Pd
・BaSO4 )を用いる古川らの方法では、から
合成に際し、かなりの頻度で収率のばらつきが見られる
(20〜60%)。この理由としては、パラジウム(Pd)
を触媒としてブロマイド(Br)を脱離する際、その酸
性度で生成したの分解が進むためであろうと思われ
る。さらに、生成したブロマイドは、触媒であるパラジ
ウムの触媒毒となるため、反応が途中で止まることが多
いようである。
【0012】また、古川らはパラジウムの代わりにラネ
ー・ニッケル(Raney-Ni)を用いる方法についても述べ
ている。この方法は、先のパラジウムを用いる方法より
も反応としてはきれいに進むが、ラネー・ニッケルの細
吼中に、原料や生成物が取り込まれ吸着し易い傾向にあ
るため、回収が悪く収率としては悪い(40%以下)。従
って、いずれの方法も、工業的な製造方法とは言い難
い。古川らは、この反応を鍵反応として、ジデオキシウ
リジンを合成しているが、先に述べた理由で工業的な合
成方法ではない。
【0013】一方J.P.Horwitz (ジェー・ピー・ホロビ
ッツ)らは、2'- デオキシウリジンから化合物 [III],
および化合物[IV]の合成方法を開示[ J.Org.Chem.,
32,817(1967) ]しているが、彼らの出発物質は容易に
入手し難い、2'- デオシキウリジンであり、工業的な合
成方法としては無理がある。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明によれ
ば、下記一般式[II]の化合物より下記一般式[I]の
化合物が、高い収量で、しかも一段階で製造する方法が
提供される。 (ただし、Msはメタンスルホニル基、Rはアセチル
基,ベンゾイル基,などのエステル類を表す)
【0015】しかも、上記反応を鍵反応とすれば、各種
核酸化合物の合成中間体として有用な以下の化合物 [II
I],[IV],[V]の簡便な合成方法が提供される。 (ただし、Rはアセチル基,ベンゾイル基,などのエス
テル類を表す)
【0016】特に本発明は、化合物[IV]すなわちジデ
オキシウリジンの工業的製造法として有用である。
【0017】また本発明によれば前述の式[II]の化合
物を適当な溶媒に溶解した後、亜鉛粉末を作用させ、還
元的にブロマイドとメシレートを同時に脱離させること
により、前述の式[I]の化合物を製造する方法が提供
される。反応は、好ましくは小量の水と混合可能な有機
溶媒、例えば、メタノール,エタノール,テトラヒドロ
フラン(THF),ジオキサン,アセトン,メチルイソ
ブチルケトン(MIBK),ジメチルホルムアミド(D
MF),ジメチルスルホキシド(DMSO),酢酸エチ
ルを用いて行なわれる。特に反応の前後の処理を考える
と、酢酸エチルが最も好ましい。
【0018】適当な亜鉛粉末は、通常市販されている亜
鉛末が充分使用に耐える。亜鉛を活性化させるために有
機酸(例えば、酢酸など)を入れても構わないが、本反
応を行なう際には、必ずしも必要でない。亜鉛粉末は、
前述の式[II]で表される化合物1モルに対して、50〜
200gの量で存在する。亜鉛粉末が、50g以下でも反応
は充分進行するが、反応速度が遅くなったり、或いは途
中で失速する傾向があるので、その場合は有機酸(例え
ば、酢酸等)を添加すると良い結果が見られることがあ
る。また、化合物[II]が1モルに対し、亜鉛粉末 200
g以上加えても、反応は普通に進行するが、亜鉛を加え
た分に見合って、反応速度が、際だって早くなることは
ない。むしろ、亜鉛が多すぎると、化合物[I],[I
I]の亜鉛への吸着が起こり適当でない。特に、好まし
くは、化合物[II]が1モルに対し、亜鉛粉末約 100g
である。
【0019】前述の化合物[II]において、Rはエステ
ルであれば何でも良く、例えば、アセチル基,プロピル
基,ベンゾイル基などが挙げられる。
【0020】反応は、好ましくは、20〜60℃の温度で反
応系を攪拌して行なわれる。ただし、反応自体が進行す
るにつれて、自然に加速されるので、特にジャケットな
どで反応装置を温める必要はない。
【0021】反応は、室温でその開始と停止とを行なう
ことができる。好ましくは、反応を30分以上、そして通
常30時間以内で行なわれる。化合物[II]が充分純度が
高く、特に不純物などの問題がないときには、反応は通
常1時間以内に終了する。
【0022】上述の反応は、それが式[I]化合物の大
量生産に適しているので有利である。またさらに、本発
明は、上述の反応で得られた式[I]を原料として用い
ることによって、式 [III],[IV],[V]で表される
化合物の大量かつ安価な供給を可能にした。
【0023】式 [III]の化合物は、式[I]の化合物を
適当なアルカリで処理することにより、容易に得られ
る。この場合、適当なアルカリの例としては、アンモニ
アやナトリウムメトキシドなどがある。反応は、アルコ
ール中で行なわれるのが好ましい。本発明で合成された
式[I]の化合物は純度が高いので、式 [III]の化合物
を得る反応も、高収率で進行する。
【0024】式[V]の化合物は、式[I]の化合物を
適当な金属溶媒の存在下で接触水素添加を行なうことに
よって得られる。適当な金属触媒としては、パラジウム
・チャーコール(Pd/C)などが特に好ましい。本発
明で得られる式[I]の化合物は純度が高いので、金属
触媒の触媒毒になるような不純物を含まず、反応はきれ
いにかつほぼ定量的に進行する。好ましい溶媒は、メタ
ノールやエタノールなどのアルコール類である。
【0025】式[IV]の化合物は、式 [III]の化合物あ
るいは式[V]の化合物より製造できる。すなわち、式
[III]の化合物を金属触媒の存在下で接触水素添加を行
なうことによって式[IV]の化合物が得られる。適当な
金属触媒としては、パラジウム・チャーコール(Pd/
C)などが特に好ましい。本発明で得られる式 [III]の
化合物は純度が高いので、金属触媒の触媒毒になるよう
な不純物を含まず、反応はきれいにかつほぼ定量的に進
行する。好ましい溶媒は、メタノールやエタノールなど
のアルコール類である。また、式[V]の化合物を、適
当なアルカリで処理することにより、式[IV]の化合物
は容易に得られる。この場合、適当なアルカリの例とし
ては、アンモニアやナトリウムメトキシドなどがある。
反応は、アルコール中で行なわれるのが好ましい。本発
明で合成された式[V]の化合物は純度が高いので、式
[IV]の化合物を得る反応も、高収率で進行する。
【0026】本発明中で用いている、式[II]で表わさ
れる化合物は、既に良く知られている方法( Chem.Phar
m.Bull. 18,554(1970)および J.Org.Chim., 29, 558(19
64)など参照)によって容易に合成できるし、また、本
発明の実施例に記載したように、既存の方法を少し改良
した方法なども、用いることができる。
【0027】本発明は、特に、各種抗ウイルス剤の有用
な合成中間体(特開平02-222695号公報および特開平03-
47086号公報参照)である、2',3'-ジデオキシウリジン
の工業的合成法として有用である。
【0028】
【実施例】以下の実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。
【0029】(実施例1) 5'- O- ベンゾイル-2'-ブ
ロモ-2'-デオキシ-3'-O- メシルウリジンの合成(亜鉛
による脱離反応の原料合成)
【0030】a) 2',3',5'- トリ- O- メシルウリジ
ンの合成 密閉可能な、20Lのフラスコにウリジン 2.44kg(10mol)
[Rf値0.05(クロロホルム:エタノール=9:
1)],ピリジン7.5Lを入れ攪拌する。フラスコの外
側を氷水で冷却しながら、塩化メタンスルホニル 3.78k
g(33mol)をゆっくりと滴下する。このとき、内温が30℃
以上にならないように気をつける。滴下終了後、TLC
(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で反応終了を確
認してから、反応液をゆっくりと氷水 100L中に滴下す
る。このとき、氷水ははげしく攪拌しておく。滴下終了
後、そのまま30分攪拌する。得られた白色の固形分を濾
過し、良く水洗する。水洗後、メタノールで良く置換
し、水分を取り去り、50℃で6時間乾燥する。
【0031】反応は定量的に進行し、目的物である2',
3',5'- トリ- O- メシルウリジンを得た。Rf値 0.6
1(クロロホルム:メタノール=9:1)。こうして得
られた白色固形分をそのまま次の反応に用いた。
【0032】b) 2,2′,アンヒドロ−1−(5−
O−ベンゾイル−3−O−メシル−β−−アラビノフ
ラノシル)ウラシルの合成 30Lの還流管付きのフラスコに、前述のa)で得られ
た2′,3′,5′−トリ−O−メシルウリジンを全量
と、DMF(ジメチルホルムアミド)15Lを入れ、攪
拌する。さらに安息香酸ナトリウム3.17kgを入れ
て、内温を110℃前後になるまで加熱する。そのま
ま、攪拌しながら30分間保持し反応を終結させる。T
LC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で反応終了
を確認してから、反応液をゆっくりと水200L中に、
激しく攪拌しながらゆっくりと滴下し、生成物を固化さ
せる。滴下終了後、30分間そのまま攪拌を続ける。得
られた固形分を濾過により集め、水で良く洗浄する。さ
らに、メタノールで充分置換洗浄して水分を除く。
【0033】こうして、目的物である、2,2′−アン
ヒドロ−1−(5−O−ベンゾイル−3−O−メシル−
β−−アラビノフラノシル)ウラシルを、ウリジンよ
り95%で得た。収量3.88kg(9.5mol)。
Rf値0.50(クロロホルム:メタノール=9:1)
【0034】c) 5′−O−ベンゾイル−2′−ブロ
モ−2′−デオキシ−3′−O−メシルウリジンの合成 還流管付きの30Lフラスコに、b)で得られた2,
2′−アンヒドロ−1−(5−O−ベンゾイル−3−O
−メシル−β−−アラビノフラノシル)ウラシルを全
量(3.88kg)入れ、酢酸エチル26L、メタノー
ル520mlを入れ攪拌する。攪拌しながら、フラスコ
をゆっくりと加熱し、フラスコの内部が還流し始めるま
で昇温する。還流が始まったら、臭化アセチル1.6k
gをゆっくりと、突沸に気を付けながら滴下する。反応
温度は、フラスコの内部がわずかに還流する程度に制御
する。
【0035】滴下終了後、約30分間さらにそのまま還流
し、反応させる。TLC(シリカゲル薄層クロマトグラ
フィー)で反応終了を確認してから、反応液をゆっくり
と氷水50L中に、激しく攪拌しながらゆっくりと滴下し
ブローする。酢酸エチル24Lを追加し、良く分離抽出す
る。水層を捨てた後、酢酸エチル層を良く水洗し、pH
が中性になるのを確認する。酢酸エチル層を、無水硫酸
ナトリウムで脱水濾過し、その濾過母液をロータリー・
エバポレーターでアメ状になるまで濃縮する。
【0036】濃縮物をエタノールで再結晶すると、目的
物である5'- O- ベンゾイル-2'-ブロモ-2'-デオキシ-
3'-O- メシルウリジンの針状結晶が、 3.52kg(7.20mo
l)得られた。再結晶母液を濃縮乾固するとガラス状の5'
- O- ベンゾイル-2'-ブロモ-2'-デオキシ-3'-O- メシ
ルウリジンが0.971kg(1.98mol)得られた。Rf値 0.92
(クロロホルム:メタノール=9:1)合計収量 4.49k
g(9.18mol)。ウリジンよりのトータル収量 92%。
【0037】(実施例2) 5'- O- ベンゾイル-2',3'
- ジデオシキ-2',3'- ジデヒドロウリジンの合成(亜鉛
粉末を用いた脱離反応) 100Lのフラスコを用意し、これに実施例1の方法で合
成した5'- O- ベンゾイル-2'-ブロモ-2'-デオキシ-3'-
O- メシルウリジンの全量 4.49kg(9.18mol)を酢酸エチ
ル40Lに溶解した。液をゆっくりと攪拌しながら、亜鉛
粉末 1.0kgを少しづつゆっくりと加えて、反応させる。
このとき、フラスコ外部をジャケットなどで特に温める
必要はない。反応液は、自己の反応によって発熱し、室
温から約50℃付近まで上昇する。そのまま放置し、反応
温度が再び室温付近に落ち付いたのを確認して、TLC
(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で反応終了を確
認する。濾過により亜鉛を除き、濾液に水を入れて攪拌
し、抽出分離操作および水洗を行なう。この水洗操作の
際、最初の一度は水層を塩酸によって弱酸性(pH2〜
3付近)にし、洗浄する。次に、炭酸水素ナトリウムを
加えた水で洗浄し、水層が完全に中性(pH6〜7)に
なるようにする。得られた酢酸エチル層を濃縮乾固す
る。
【0038】この乾固物を、イソプロピル・アルコール
(IPA)より再結晶して、5'- O- ベンゾイル-2',3'
- ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジン 2.88kg(8.26
mol)を得た。収量 90%。Rf値 0.54(酢酸エチルの
み)。
【0039】その他、母液には、多少の生成物(5'- O
- ベンゾイル-2',3'- ジデオキシ -2',3'-ジデヒドロウ
リジン)が数%含まれているが、以下の反応で触媒毒を
嫌う接触還元などの操作を行なうので、母液よりの回収
物は、次の反応には用いない。以下の反応には、結晶の
みを用いた。また、IPAの代わりに、エタノールを再
結晶の際の溶媒として用いることもできる。
【0040】(実施例3) 2',3'-ジデオキシ-2',3'-
ジデヒドロウリジンの合成(製法1) 実施例2で得た、5'- O- ベンゾイル-2',3'- ジデオキ
シ-2',3'- ジデヒドロウリジン1.0kg(3.18mol)を、メタ
ノール5Lに溶解する。これに、ナトリウムメトキサイ
ドの28%メタノール溶液を、 500ml加えて攪拌する。T
LC(シリカゲル薄層クロマトグラフィー)で反応終了
を確認した後、イオン交換樹脂 IRC50(オルガノ
製)でpH 7.5〜 8.0に調整する。濃縮し、メタノール
を留去すると、固形分が析出してくる。メタノールより
再結晶し、2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジ
ンを0.602kg(2.86mol)得た。収率 90%。Rf値 0.32
(クロロホルム:メタノール=9:1)。こうして得ら
れた、化合物の 1H NMRは、従来のものと一致し
た。
【0041】以下の反応には、この結晶部分のみ用い
た。シリカゲルカラムで分離すると、母液より0.015kg
(0.07mol)の2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリ
ジンが得られた( 2.2%)。
【0042】(実施例4) 2',3'-ジデオキシ-2',3'-
ジデヒドロウリジンの合成(製法2) 20Lのナスフラスコに、実施例2で得た、5'- O- ベン
ゾイル-2',3'- ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジン
0.500kg(1.59mol)を入れ、さらに25%アンモニアを含む
メタノール10Lを加えて溶解させる。室温にて、そのま
ま24時間攪拌して反応させる。反応終了をTLCで確認
後、メタノールと過剰のアンモニアを留去すると、2',
3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジンが析出して
くる。小量のメタノールで処理すると、結晶として0.31
0kg(1.48mol)得られた。収率93%。さらに母液にも、小
量の生成物が確認された。
【0043】(実施例5) 2',3'-ジデオキシウリジン
の合成(製法A) 10Lの丸底フラスコに、実施例3で得られた2',3'-ジデ
オキシ-2',3'- ジデヒドロウリジン0.600kg(2.86mol)を
入れ、6Lのメタノールに溶解する。さらに25gの5%
パラジウム・チャーコール(Pd/C)を加える。反応
系内を一度減圧により完全に脱気してから、水素で置換
する。そのまま、水素雰囲気下で、2時間、室温で反応
させる。この際、反応系が酸性に傾くと、原料である
2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジンのN- グ
リコシド結合が切れて、分解が起きる場合があるので、
小量のアルカリ(炭酸水素ナトリウトムなど)を添加し
ておくと良い。TLCで反応終了を確認した後、濾過に
よりPd/Cを取り除き、濾液を濃縮する。
【0044】濃縮乾固物をアセトンより再結晶して、
2',3'-ジデオキシウリジンを 0.516kg(2.43mol) 得た。
収率 85%。Rf値 0.44(クロロホルム:メタノール
=9:1);0.28(酢酸エチルのみ)。こうして得られ
た化合物の 1H NMRは、従来報告のものと一致し
た。
【0045】(実施例6) 5'- O- ベンゾイル-2',3'
- ジデオキシウリジンの合成 実施例2で得られた、5'- O- ベンゾイル-2',3'- ジデ
オキシ-2',3'- ジデヒドロウリジン 1.00kg(3.18mol)を
10Lのメタノールに溶解した。そこへ、5%パラジウム
・チャーコール(Pd/C)を 100g加え、水素雰囲気
下で、2時間室温にて攪拌した。反応終了をTLCで確
認した後、パラジウム触媒を濾過操作により除去し、濾
液を濃縮した。濃縮乾固物を、イソプロピルアルコール
(IPA)より再結晶して、5'- O-ベンゾイル-2',3'-
ジデオキシウリジンを得た。収率 94%。Rf値 0.7
5(クロロホルム:メタノール=9:1);0.75(酢酸
エチルのみ)
【0046】(実施例7) 2',3'-ジデオキシウリジン
の合成(製法B) 実施例6で得られた、5'- O- ベンゾイル-2',3'- ジデ
オキシウリジンの結晶0.900kg(2.56mol)を、20%のアン
モニアを含む15Lのメタノールに溶解しオートクレーブ
中で60℃,1時間で反応させる。反応終了をTLCで確
認した後、濃縮して、メタノールと過剰のアンモニアを
留去する。得られた濃縮物を、アセトンより再結晶し
て、2',3'-ジデオキシウリジン0.486kg(2.29mol)を得
た。Rf値 0.44(クロロホルム:メタノール=9:
1);0.28(酢酸エチルのみ)。収率 89.4%。ウリジ
ンよりのトータル収率 69%。
【0047】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の製造方
法によれば、安価なリボ核酸の構成成分から、医薬品合
成の重要中間体である、2',3'-ジデオキシウリジン,
2',3'-ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウリジン,5'- O
- ベンゾイル-2',3'- ジデオキシウリジン,及び5'- O
- ベンゾイル-2',3'- ジデオキシ-2',3'- ジデヒドロウ
リジン等を、通常の入手し易い試薬だけを使用し、また
特殊な反応装置を使用することなく容易にかつ収率良く
製造することができるもので経済的かつ工業的に実施可
能な優れた製造方法である。そして、特に近年抗ウイル
ス剤の中間原料としての需要が高い2',3'-ジデオキシウ
リジンを工業的に製造する方法として優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 405/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[II] (ただし、Msはメタンスルホニル基、Rはアセチル
    基,ベンゾイル基,などのエステル類を表す)の化合物
    と金属亜鉛粉末とを、適当な有機溶媒中で反応させるこ
    とにより合成する、一般式[I] (ただし、Rはアセチル基,ベンゾイル基,などのエス
    テル類を表す)で表される化合物を製造する方法。
  2. 【請求項2】 適当な有機溶媒が、以下に示す溶媒のい
    ずれかより選ばれる請求項1記載の方法。 i) 酢酸エチル ii) メタノール iii) テトラヒドロフラン iv) ジオキサン v) アセトン vi) ジメチルホルムアミド vii) ジメチルスルホキシド viii) メチルイソブチルケトン ix) エタノール
  3. 【請求項3】 金属亜鉛粉末が、式[II]の化合物1モ
    ルに対して、50〜200 gの量で存在する請求項1又は2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 Rがベンゾイル基である請求項1〜3の
    いずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 Rがアセチル基である請求項1〜3のい
    ずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 一般式[II]から請求項1〜5のいずれ
    か1項記載の方法により製造され一般式[I]で表さ
    れる化合物を、さらに適当な溶媒中でアルカリで処理す
    ることにより、式 [III]で表される化合物を製造する方
    法。
  7. 【請求項7】 適当な溶媒がメタノールである請求項6
    記載の方法。
  8. 【請求項8】 一般式[II]から一般式[I]を経て
    求項6または7記載の方法により製造され式 [III]で
    表される化合物を、さらに溶媒に溶解し、適当な金属触
    媒の存在下、水素雰囲気下で水素添加し、式[IV]で表
    される化合物を製造する方法。
  9. 【請求項9】 適当な金属触媒が、パラジウム・チャー
    コール(Pd/C)である請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 溶媒がメタノールである請求項8また
    は9記載の方法。
  11. 【請求項11】 一般式[II]から請求項1〜5のいず
    れか1項記載の方法により製造され一般式[I]で表
    される化合物を、さらに溶媒に溶解し、適当な金属触媒
    の存在下、水素雰囲気下で水素添加することにより、式
    [V]で表される化合物を製造する方法。 (ただし、Rはアセチル基,ベンゾイル基,などのエス
    テル類を表す)
  12. 【請求項12】 適当な金属触媒が、パラジウム・チャ
    ーコール(Pd/C)である請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 溶媒がメタノールである請求項11ま
    たは12記載の方法。
  14. 【請求項14】 一般式[II]から一般式[I]を経て
    請求項11記載の方法により製造され式[V]で表さ
    れる化合物を、さらに適当な溶媒中でアルカリで処理し
    て、式[IV]で表される化合物を製造する方法。
  15. 【請求項15】 適当な溶媒がメタノールである請求項
    14記載の方法。
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