JP2639513B2 - 酸化物超電導磁気シールド体及びその製造方法 - Google Patents

酸化物超電導磁気シールド体及びその製造方法

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JP2639513B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は酸化物超電導磁気シールド体に関し、更に詳
しくは、金属基板−中間層−酸化物超電導層からなる構
造を有し、金属基板と中間層とが拡散接合されている酸
化物超電導磁気シールド体に関する。
【従来の技術】
従来、磁気シールドのためにパーマロイ、フェライト
等の強磁性体により囲まれた空間が利用されている。ま
た、近年、研究開発が盛んな超電導体の反磁性を利用し
た磁気シールド装置等も多く提案されている。例えば、
特開平1−134998号公報では磁気シールドする空間の最
内側に超電導体を配置することが提案されている。ま
た、出願人は特願平1−97197号にて、遮蔽する磁気源
に対し、磁気源側より基板−超電導層の順で少なくとも
2層を有する磁気シールド筒を提案した。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実用的な磁気シールド体に関しては未
だ開発段階であるのが現状である。特に、実用性のある
大型磁気シールド体にあっては、機械的強度を保持する
ためには金属等の基板が必須とされている。また、超導
電磁気シールド体を組合わせるだけでは、組合わせた部
分の隙間から磁場が漏洩するため、高い磁気シールド性
能を得る場合には、一体成形により超電導体を得る必要
がある。しかし、大型化するほど基板も含め酸化物超電
導体の一体成形は困難となり、装置も大型化し工業的に
も好ましくない。更にまた、金属基板と酸化物超電導
体、特にBi−Sr−Ca−Cu−O系超電導体との反応を防止
するために貴金属等の中間層を形成し、中間層上に酸化
物超電導層を形成するのが一般的となっているが、金属
基板上に中間層を均一に、更に中間層上に酸化物超電導
層を均一に形成することは難しく、そのため優れた超電
導特性が得られないおそれもある。 本発明は、酸化物超電導体を用いて磁気シールドのた
めの超電導特性が優れた磁気シールド体及びその製造方
法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、金属基板−貴金属層−酸化物超電導
層からなる構造を有し、当該金属基板が耐酸化性であり
且つ当該金属基板と当該貴金属層とが拡散接合されてい
ることを特徴とする酸化物超電導磁気シールド体が提供
される。 また、平板且つ耐酸化性である金属基板と平板状の貴
金属層を形成するための板とを、高温還元雰囲気にて高
圧力下に拡散接合して又は重ね合わせ熱間圧延すること
により、当該金属基板と当該貴金属層との接合強度が6k
g/mm2以上である拡散接合基板を得た後、2以上の当該
拡散接合基板の側面部を合わせて当該金属基板同士及び
当該貴金属層同士をそれぞれ接合して大型化し、その後
当該貴金属層上に酸化物超電導層を形成することを特徴
とする酸化物超電導層の製造方法が提供される。 以下に本発明について更に詳細に説明する。 本発明の磁気シールド体は、金属基板−中間層−酸化
物超電導層の3層構造からなり、磁気シールドする場合
は遮蔽磁気源側から金属基板−中間層−酸化物超電導層
の順に配置するように構成するのが好ましい。 本発明に用いる金属基板としては、酸化物超電導磁気
シールド体の機械的強度を保持すると同時に、中間層と
密着性よく拡散接合されるもので且つ中間層上の酸化物
超電導層形成時に安定的であるものであればよく、耐酸
化性金属が好適に用いることができる。例えば、SUS43
0、SUS310,インコネル600,インコネル625、インコロ
イ、ハステロイ等の金属を用いることができる。通常の
磁気シールド体に基板として用いられる鉄、ニッケル、
銅及びSUS304は、酸化物超電導層形成時の焼成の際に酸
化されて中間層との密着性が低下するため好ましくな
い。 本発明において、上記金属基板の耐酸化性は、約900
℃の酸化雰囲気下において24時間保持した時の酸化増量
が0.25mg/cm2以下、好ましくは0.2mg/cm2であるものが
好ましい。 従来、拡散接合技術は異種金属を強固に接合する技術
として広く用いられているが、特に、拡散接合基板を酸
化物超電導体の基板として用いる場合、現在公知の酸化
物超電導体の焼成条件では酸素富化雰囲気中での焼成が
不可欠であり、酸化物超電導体の焼成時の酸素富化雰囲
気中では、通常、金属の酸化が激しく起こるため、従来
の拡散接合基板を使用した場合より焼成条件を著しく厳
しく制御する必要がある。更に、金属基板と拡散接合す
る中間層金属として金、銀等の貴金属を用いる場合は、
拡散接合基板が高温下で酸素を一部溶解するおそれもあ
り、焼成条件はより一層厳格なものとなる。 本発明の中間層と拡散接合することにより拡散接合基
板を形成する金属基板として前記耐酸化性のものを使用
することは、上記したように通常の拡散接合基板では酸
化物超電動体の焼成条件下で各種問題が生じることに鑑
み、高温、酸素富化雰囲気下での拡散接合部の接合強度
について鋭意検討した結果、発明者棟によって得られた
知見に基づくものである。即ち、前記した耐酸化性の金
属基板を用いることにより、高温、酸素富化雰囲気の酸
化物超電導体焼成条件においても、中間層との拡散接合
部の密着性の低下等の不都合が生じない拡散接合基板が
得られる。 上記金属基板の厚さは特に制限されない。 また、本発明の中間層としては、基板と酸化物超電導
層とに間に配置され、上記金属基板と拡散接合可能のも
のである。例えば、銀、金等の貴金属が挙げられる。一
般的には、貴金属の中でも安価な銀が用いられる。 上記のように金属基板と拡散接合される中間層は、金
属基板と酸化物超電導層の反応を防止する必要がある。
特に、酸化物超電導体の焼成温度まで構造を維持するス
テンレス等の耐熱材は焼成中に酸化物超電導体との反応
が激しく、反応防止の中間層を配置しない場合には、得
られる酸化物超電導体の超電導特性は低くなる。 中間層として貴金属を用いた場合には、上記の反応防
止作用が得られる他、貴金属の弾性率が金属基板に比較
して一般に小さいため、。磁気シールド体として超電導
特性発現のための液体窒素等の極低温度と室温間を繰り
返えす冷熱サイクルの際に受ける熱衝撃や、金属基板と
酸化物超電導層の熱膨張差による熱応力を緩和する緩和
材として作用する点で好ましい。また、貴金属は、通常
の金属と比較し高価であり、金属基板により補強するこ
とにより、貴金属の厚さが減少できコスト低減が図れ
る。 中間層の厚さは、上記反応防止に作用する厚さであれ
ばよく、酸化物超電導層、金属基板及び中間層の各材質
の熱膨張率、弾性率、機械的強度等の各物性や酸化物超
電導層及び金属基板の厚さ等により、発生する熱応力を
最小にするように適宜選択すればよい。例えば、中間層
に金、銀等の貴金属を用いた場合には、厚さが30μm以
上あれば上記反応を防止することができる。また、金属
基板にステンレス、インコネル等の耐熱金属を用いる場
合には、酸化物超電導層、金属基板及び中間層の熱膨張
率、弾性率及び機械的強度から50μm以上とするのが、
上記したような緩和材としての作用が十分に発揮される
点で好ましい。また、貴金属中間層の厚さが700μmを
超える場合は、緩和材としての作用よりも、酸化物超電
導体及び貴金属中間層の熱膨張差による熱応力が支配的
となる場合があり、また、緩和材としての作用が厚みに
比し向上することなくコスト増加となり好ましくない。
従って、貴金属中間層の厚さは、50〜700μmが好まし
く、より好ましくは100〜600μmである。 本発明において、中間層は、通常、金属基板と下記す
るように圧着し拡散接合して形成するため、中間層材と
しては、一般に上記所定の厚みを有し、拡散接合する基
板の形状に応じて形成した箔や薄板等を用いることがで
きる。 拡散接合とは、近年、溶接が不可能な金属を接合し、
接合される異種金属双方の性質を併せ持つクラッド材と
して開発されている接合方法であり、接合面で接合金属
双方が拡散状態を形成することから拡散接合と呼ばれて
いる。 本発明における拡散接合は、金属基板と上記中間層材
が接合面において拡散状態を形成して接合している状態
をいう。本発明の拡散接合は、例えば、金属基板を研
磨、超音波洗浄により表面仕上げした後に、約800〜110
0℃の高温で、アルゴン(Ar)ガス等の還元ガス雰囲気
中で約0.5〜1.5kg/mm2の加圧下で中間層材板と圧着さ
せ、その後、歪み除去、研磨等の仕上げをして得ること
ができる。また、上記の圧着と同様に、金属基板と中間
層材とを互いに研磨、超音波洗浄等で表面仕上げした
後、重ね合わせ、熱間圧延し、金属基板と中間層材とを
圧着させ、その後、歪み除去、研磨等の仕上げをして得
ることもできる。 上記のようにして金属基板と中間層材とを拡散接合し
て得た拡散接合基板は、歪みが少なく、その中間層材上
に酸化物超電導層を形成した場合、均一な酸化物超電導
層を形成することができる。 本発明における酸化物超電体としては、特に限定され
るものでなく、例えば、M−Ba−Cu−C系化合物で、M
がSc,Y,及びLa,Eu,Gd,Er,Yb,Lu等のランタニドから選ば
れる一種以上の希土類元素を含む多層ペロブスカイト構
造を有する希土類系酸化物超電導体、また例えばBi2Sr2
Ca1Cu2OxやBi2Sr2Ca2Cu3Oxに代表される組成を有するビ
スマス系(Bi系)超電導体等いずれの酸化物超電導体で
もよい。 本発明の磁気シールド体は、上記の拡散接合基板上の
中間層材側に上記の酸化物超電導体を形成することによ
り得ることができる。このようにして得た酸化物超電導
磁気シールド体は、優れた超導特性を有すると共に、常
温と超電導特性を発現させる液体窒素温度等の低温と間
を往復させる冷熱サイクルで繰り返し使用しても安定し
た磁気シールド能を発揮することができる。 更に、本発明の超電導磁気シールド体は、比較的小型
のパネル状磁気シールド体であれば、上記のように基板
−中間層−酸化物超電導層の構造を、所定の金属基体を
用いて形成した拡散接合基板上に酸化物超導電層を形成
して得てもよい。 また、磁気シールド体が大型のパネルや筒状体の場合
には、好ましくは磁気シールド体を構成する金属基板を
所定の形態に分割した分割基板と中間層材とを拡散接合
した拡散接合分割基板を接合して所定の大型の形状体と
した大型化拡散接合基板上に酸化物超電導層を形成して
得てもよい。特に、上記した金属基板と中間層との拡散
接合は、現時点で平板状として得るのが一般的であり、
また、大型の平板を一体として得るには装置が大型化し
て設備費が嵩むことになる。そのため、平板以外の筒状
体等や、平板状であっても大型のものは、比較的小型の
拡散接合分割基板を予め複数作製して、各拡散接合分割
基板を接合して大型化することは、工業的に極めて有用
である。 上記大型化の説明図を第1図に示したように、拡散接
合分割基板の大型化は、第1図(a)、(a′)及び
(a″)において、先ず各拡散接合分割基板1を大型化
平板状体Aに接合した後、所定形状、例えば、第1図
(b)における大型化円筒体Bにロール加工等により成
形加工し側部2同士を更に同様に接合してもよい。或い
は、予め拡散接合分割基板を組立接合して所定の形状
体、例えば円筒体を形成するようにそれぞれ成形加工し
た後、最初から第1図(b)のように円筒体Bになるよ
うに互いに接合してもよい。また、底付筒状体において
も、同様に底部の金属基板を一体または分割基板として
形成し、筒部と同様に接合することにより得ることがで
きる。上記のような拡散接合分割基板の接合は、第1図
(a)、(a′)及び(a″)に示すような各種の拡散
接合分割基板の組合わせを適用することができる。通常
は、接合部部の強度、均一性の点から接合部分が直線、
T字、十字状となる順で好ましく、第1図(a″)、
(a′)、(a)の順に好ましい組合わせとなる。 拡散接合分割基板の接合は、溶接やフランジで行うこ
とができ、通常は、分割基板同士を溶接接合やフランジ
で接合し、一方、基板とは別に中間層材同士を溶接接合
やペースト接合する。 本発明における上記の拡散接合分割基板の接合は、下
記のような各種の形態がある。 例えば、第2図に接合の典型的な態様を示した。第2
図(a)〜(c)においては、分割金属基板11にフラン
ジを設けフランジ部4をナット5とボルト6により接合
する態様であり、第2図(d)〜(f)は分割金属板の
接合部8を合わせて溶接接合する態様であり、(d)及
び(e)は単純な肉盛溶接で、(f)は溶接当金板9を
用い当金板の両端10、10を分割金属基板と溶接する方法
である。また、分割基板上に拡散接合した中間材の接合
も、分割基板の接合の形態に合わせて各種の形態を採る
ことができる。例えば、第2図において、中間層として
のAg板3が分割金属板11上に拡散接合して構成され、第
2図(a)及び(b)ではフランジ部4上を除いた分割
金属基板11上に中間層材を拡散接合し、第2図(c)は
フランジ部4上も含め分割金属基板11上に中間層材を拡
散接合する。また、第2図(d)〜(f)は、基板にフ
ランジを設けない場合で、それぞれ分割金属基板11上に
中間層材を拡散接合する態様を示している。 上記のように分割基板上にそれぞれ拡散接合された中
間層材も、基板とは別に接合し、全体として大型化磁気
シールド体を構成する。この場合、中間層材の接合は、
上記の分割基板の接合の態様に応じて行えばよい。例え
ば、第2図(a)及び(e)の態様では中間層材Ag板の
接合部において、一方のAg板を他方のAg板上まで延ばし
てAg板を重ねて二重として上Ag板の先端部と下Ag板との
接点7を溶接またはAgペーストを用いて接合し、
(b)、(c)、(d)および(f)の態様では拡散接
合されたAg板の接点7で溶接またはAgペーストを用いて
接合する。Agペーストを用いて接合する場合には、Agペ
ーストを塗布後、約800〜900℃で焼付け、接合を完成さ
せる。また、中間層材上には、酸化物超電導層を形成す
るため接合の溶接部及びAgペースト塗布部を接合後、グ
ライダー等により研磨し、平滑化するのが好ましい。 また、分割基板にフランジを設ける場合、基板平面と
フランジ部との直角接点を湾曲させたり、角部を切削し
て曲部成形するのが好ましい。曲部成形により中間層材
を溶接、ペーストにて接合する際の盛り上がりを少なく
することができ平滑な接合部が得ることができる。 更にまた、第2図(b),(d),(e)及び(f)
において、金属基板または中間層をそれぞれ溶接する場
合、金属基板と中間層の融点が大きく異なるときには、
高融点材料側を溶接する際に、低融点材料が一部溶融す
る場合があり、そのような場合は必ずしも接合断面全面
を溶接する必要はなく、肉盛溶接等を用い、実用上の機
械的強度が満足されればよい。 本発明の酸化物超電導磁気シールド体は、上記のよう
に基板と中間層材とが拡散接合された拡散接合基板上、
または拡散接合分割基板を接合して大型化した大型化拡
散接合基板に上記の酸化物超導電体の層を一体的に形成
して基板−中間層−酸化物超電導層の構造とする。酸化
物超電導層の厚さは、特に、限定されるものでない。実
用上、必要な磁気シールド能が得られるように、超電導
特性、 酸化物超電導材料等により適宜選択すればよ
い。 本発明において、酸化物超電導層を中間層上に形成す
る方法としては、酸化物超電導体原料を含有するスラリ
ー等を用いてスプレー等の塗布成形、ドクターブレード
法やプレス成形法による成形体を載置する等公知のいず
れの方法を用いてもよい。通常は、200〜500μmの厚さ
の酸化物超電導層はスプレー塗布法やドクターブレード
法による成形体載置が用いられ、0.5〜5mmの厚さの酸化
物超電導層はプレス成形法による成形体載置が好まし
い。その後、酸素富化ガス雰囲気中、約800〜1000℃で
焼成して酸化物超電導層を形成する。特にBi系酸化物超
電導体の場合は、酸素ガス等酸素富化ガス雰囲気中で87
5〜900℃で部分溶融した後、約850℃以下まで冷却速度
1℃/分以下で徐冷し、その温度で約5時間以上保持
し、その後、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気に変えて45
0〜700℃で数時間以上熱処理するのが好ましい。 本発明の磁気シールド体が底付筒状体である場合は、
筒状部と底部との連続部が湾曲部または鈍角部を有して
成形されるのが好ましい。湾曲部の曲率半径Rは5mm以
上であるのが好ましい。底部と筒状部とが湾曲または鈍
角でなく鋭角、直角等の角度でもって連続する場合、ま
た、湾曲部曲率半径R<5mmの場合は、磁気シールド体
として、超電導特性発現のための液体窒素等の極低温度
と室温間を繰返す冷熱サイクルの際に受ける熱衝撃によ
って、その部分に応力が集中しクラック等が発生して、
磁気シールド特性が著しく劣化するため好ましくない。 〔実施例〕 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。但し、
本発明は下記実施例により制限されるものでない。 実施例1〜9 第1表に示した各形状の各金属基板及び中間層材のAg
板をそれぞれ研磨後、超音波洗浄で表面仕上げした。次
いで、上記表面仕上げ後の金属基板上にAg板を静置し
て、Arガス雰囲気下、800〜950℃で0.5〜1.5kg/mm2で12
0分保持して加圧接合した。作製した試料の中から拡散
接合の密着性をJISG0601のクラッド鋼の試験方法にて測
定した。その結果、6kg/mm2以上の接合強度を有し、い
ずれも密着性は良好であった。 更に、加圧接合で生じた歪みを補正除去した後、研磨
して拡散接合基板を得た。 得られた拡散接合基板のAg板上に、Bi2Sr2Ca1Cu2Ox
料をエタノール、トルエンまたはイソプロピルアルコー
ルを溶媒に用いて、第1表に示した方法によりBi系酸化
物超電導形成層を成形した。その後、酸素ガス雰囲気で
885℃で部分溶融し、降温速度1℃/分で850℃まで徐冷
し、850℃で15時間放置して結晶化した。その後、窒素
雰囲気として500℃で10時間熱処理して第1表に示した
厚さのBi系酸化物超電導体として、磁気シールド体を得
た。 得られた磁気シールド体を目視観察にて外観評価を行
い、良不良を判定した。また下記の冷熱サイクル評価を
行った。これらの結果を第1表に示した。 冷熱サイクル評価は、得られた磁気シールド体を液体
窒素中に浸漬し、磁気シールド体全体が液体窒素温度と
なった後、30分保持して磁気シールド能を測定した。そ
の後、磁気シールド体を液体窒素中から取り出し、室温
に放置し磁気シールド体全体が室温になった後30分保持
する操作を1サイクルとし、再び液体窒素中に浸漬、保
持、磁気シールド能測定、室温取り出し、放置、保持と
サイクルを5回繰り返し、1回目と5回目の冷熱サイク
ル磁気シールド能とをそれぞれ次式にて比較し、80%以
上を○、50%以上を△、50%未満を×とした。 比較例1〜4 第1表に示した金属基板を用いた以外は、実施例1と
同様にして各Bi系酸化物超電導磁気シールド体を得た。 得られた磁気シールド体について、実施例1と同様に
目視にて外観観察した結果、金属基板と中間層のAg板と
が剥離していた。このため、磁気シールド体として機能
せず、例熱サイクルの測定はできなかった。 実施例10〜17 第2表に示した金属基板とAg板を用い、実施例1と同
様にして拡散接合分割基板を必要数作製した。得られた
各拡散接合分割基板を用いて、所定の形状の磁気シール
ド体に第2表に示した接合形態でそれぞれ接合して形成
して、大型化拡散接合基板を得た。 得られた大型化拡散接合基板のAg板上に、窒素雰囲気
下700℃で熱処理した以外は実施例1と同様にしてBi系
酸化物超電導層を形成して、所定形状の磁気シールド体
を得た。 得られた磁気シールド体について、実施例1と同様
に、外観及び冷熱サイクル評価を測定した。その結果を
第2表に示した。 上記の実施例及び比較例より明らかなように、耐酸化
性金属を基板に用いて、中間層材と拡散接合した拡散接
合基板は、酸素富化ガス中、高温にて焼成等の処理を行
い、その上に酸化物超電導層を形成しても安定であり、
且つ得られる磁気シールド体及び接合して大型化したも
ののいずれも繰返しの冷熱サイクルに対しても、安定で
優れた超電導特性を発現して高い磁気シールド能を要し
ていることが分かる。
【発明の効果】
本発明の酸化物超電導磁気シールド体は、耐酸化性の
金属基板と中間層とを拡散接合させ、その中間層上に酸
化物超電導層を形成して得るため、冷熱サイクムの熱衝
撃に体し安定し、極めて信頼性が高く、工業的に極めて
有用である。また大型の磁気シールド体も拡散接合基板
を接合して大型化でき、容易に製造することができる
上、磁気シールド能も優れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の拡散接合基板の大型化の一実施例の形
態を示す説明図、第2図は本発明の金属基板と中間層の
接合の一実施例を示す断面説明図である。 A……大型化平板状体、B……大型化円筒体 1……拡散接合分割基板、2……側部 3……中間層、4……フランジ 5……ボルト、6……ナット 7……中間層接合点、8……金属基板接合点 9……溶接当金板、10……溶接当金板端部 11……金属基板

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基板−貴金属層−酸化物超電導層から
    なる構造を有し、当該金属基板が耐酸化性であり且つ当
    該金属基板と当該貴金属層とが拡散接合されていること
    を特徴とする酸化物超電導磁気シールド体。
  2. 【請求項2】当該酸化物超電導層を当該貴金属層上に形
    成する前に、当該金属基板と当該貴金属層との接合強度
    が6kg/mm2以上となるように当該金属基板と当該貴金属
    層とを拡散接合する請求項(1)記載の酸化物超電導磁
    気シールド体。
  3. 【請求項3】当該貴金属層の厚さが50μm以上である請
    求項(1)又は(2)記載の酸化物超電導磁気シールド
    体。
  4. 【請求項4】当該超電導磁気シールド体が筒状体又はパ
    ネルであって、前記金属基板と前記貴金属層との拡散接
    合体が拡散接合された分割体を更に接合されてなる請求
    項(1)、(2)又は(3)記載の酸化物超電導磁気シ
    ールド体。
  5. 【請求項5】耐酸化性が900℃、24時間の酸化雰囲気
    下、酸化増量が0.25mg/cm2以下である上記請求項の何れ
    かに記載の酸化物超電磁気シールド体。
  6. 【請求項6】平板状且つ耐酸化性である金属基板と平板
    状の貴金属層を形成するための板とを高温還元雰囲気に
    て高圧力下に拡散接合して、当該金属基板と当該貴金属
    層との接合強度が6kg/mm2以上である拡散接合基板を得
    た後、 2以上の当該拡散接合基板の側面部を合わせて当該金属
    基板同士及び当該貴金属層同士をそれぞれ接合して大型
    化し、 その後当該貴金属層上に酸化物超電導層を形成すること
    を特徴とする酸化物超電導磁気シールド体の製造方法。
  7. 【請求項7】平板状且つ耐酸化性である金属基板と平板
    状の貴金属層を形成するための板とを重ね合わせ熱間圧
    延することにより、当該金属基板と当該貴金属層との接
    合強度が6kg/mm2以上である拡散接合基板を得た後、 2以上の当該拡散接合基板の側面部を合わせ当該金属基
    板同士及び当該貴金属層同士をそれぞれ接合して大型化
    し、 その後当該貴金属層上に酸化物超電導層を形成すること
    を特徴とする酸化物超電導磁気シールド体の製造方法。
  8. 【請求項8】大型化した拡散接合基板が平板である請求
    項(6)記載の酸化物超電導磁気シールド体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】得られた平板の拡散接合基板を筒状体に加
    工成形して、その後、前記した酸化物超電導層の形成を
    行う請求項(8)記載の酸化物超電導磁気シールド体の
    製造方法。
  10. 【請求項10】当該酸化物超電導磁気シールド体が底付
    筒状体である請求項(6)又は(7)記載の酸化物超電
    磁気シールド体の製造方法。
  11. 【請求項11】当該貴金属層の厚さが50μm以上である
    請求項(6)〜(10)の何れかに記載の酸化物超電導磁
    気シールド体の製造方法。
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