JP2636568B2 - シリンダブロックの切削加工装置 - Google Patents

シリンダブロックの切削加工装置

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JP2636568B2
JP2636568B2 JP18071591A JP18071591A JP2636568B2 JP 2636568 B2 JP2636568 B2 JP 2636568B2 JP 18071591 A JP18071591 A JP 18071591A JP 18071591 A JP18071591 A JP 18071591A JP 2636568 B2 JP2636568 B2 JP 2636568B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダヘッドと一体
に形成されたいわゆるモノブロックタイプのシリンダヘ
ッドについて、その吸排気系のバルブシート面とステム
ガイドに切削加工を施す装置に関する。
【0002】
【従来の技術】シリンダブロックのバルブシート面とス
テムガイドにその両者の同芯精度を保ちながら切削加工
を施すものとして例えば特開平1−115509号公報
に開示されているものがある。
【0003】この従来の切削加工装置は、図5に示すよ
うに先端にカッター51を備えた加工ツール52を加工
ヘッド53に回転可能に支持させるとともに、この加工
ヘッド53を図示外のワーク支持台に固定されたシリン
ダブロックWのシリンダボア部B側からシリンダブロッ
クW内に挿入して加工ツール52をバルブシート54に
対向させ、他方、シリンダブロックWのシリンダヘッド
カバー取付面H側からは駆動軸ユニット55に支持され
た駆動軸56をステムガイド57に挿入して、ステムガ
イド57の先端を加工ツール52側の例えば六角孔状の
嵌合孔58に嵌合させるようにしている。
【0004】そして、駆動軸56を回転させることによ
り加工ツール52が回転駆動され、この状態でシリンダ
ブロックWに図5の矢印A方向の切削送りを与えること
でバルブシート54のバルブシート面にカッター51に
よる切削加工が施される。
【0005】一方、バルブシート面の切削加工に続いて
ステムガイド57のガイド面(内周面)を加工するにあ
たっては、図5の駆動軸ユニット55を退避させ、代わ
って図6に示すようにリーマユニット59に支持された
リーマ60をステムガイド57に挿入するとともに、リ
ーマ60の先端部を加工ツール52のガイド穴61に挿
入し、リーマ60を回転駆動しながらリーマユニット5
9に矢印B方向の切削送りを与えることでリーマ60の
刃部62によりステムガイド57のガイド面にリーマ加
工が施される。
【0006】なお、前記駆動軸ユニット55およびリー
マユニット59は共通の可動台(図示省略)に搭載され
ているとともに、可動台は図5の矢印A方向にスライド
する支持台に搭載されており、したがって駆動軸ユニッ
ト55とリーマユニット59の切り換えは可動台を矢印
A方向と直交方向にスライドさせることにより行う。
【0007】このように、加工ツール52によるバルブ
シート面の加工に続いて、加工ツール52のガイド孔6
1でリーマ60を案内しながらステムガイド57のリー
マ加工を行うことで、バルブシート面とステムガイド5
7との同芯精度が確保される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の切削加工装置においては、加工ヘッド53
が搭載された支持台や、駆動軸ユニット55およびリー
マユニット59が搭載された可動台ならびに可動台が搭
載された支持台はもちろんのこと、シリンダブロックW
が固定されているワーク支持台までもスライドできるよ
うにそれぞれにスライド自由度を持たせなければならな
いために全体として4軸のスライド自由度が必要とな
り、それによって装置全体が複雑かつ大型のものとなっ
て好ましくない。
【0009】しかも、加工ヘッド53のスライド方向と
加工ツール52の軸心とが一致せず、加工ツール52の
軸心が加工ヘッド53のスライド方向に対して所定角度
傾斜しているため、加工ヘッド53の位置決め精度と、
駆動軸ユニット55およびリーマユニット59が搭載さ
れている可動台の位置決め精度を厳格に管理しないかぎ
り、加工ツール52の軸心と駆動軸56もしくはリーマ
60の軸心とを一致させることができず、バルブシート
面とステムガイド57のガイド面との同芯精度の向上に
限界がある。
【0010】また、バルブシート面の加工に続いてステ
ムガイド57を加工するためには、駆動軸ユニット55
を一旦退避させた上でリーマユニット59を前進させて
リーマ60を加工ツール52に挿入しなければならない
ため、実質的に駆動軸ユニット55とリーマユニット5
9の切り換えに要する時間がロスタイムとなり、特に量
産を目的とした加工ラインではサイクルタイムの短縮化
が図れない。
【0011】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、加工装置に必要とされるスライド自由度を
減らして装置全体の簡素化と小型化を図ると同時に、バ
ルブシート面とステムガイドとの同芯精度の向上を図
り、併せてリーマをバルブシート加工用のカッターと同
方向から挿入することによって従来のような駆動軸ユニ
ットとリーマユニットの切り換えを不要にした構造を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、シリンダヘッ
ドと一体に形成されたシリンダブロックの吸排気系のバ
ルブシート面とステムガイドに切削加工を施す装置にお
いて、位置決め固定されたシリンダブロックのシリンダ
ボア部側からシリンダブロック内に挿入されるとともに
先端にカッターを有し、回転運動と軸心方向の切削送り
が与えられることでバルブシート面に切削加工を施すカ
ッタースピンドルと、前記カッタースピンドルの中心部
に設けられた筒状のリーマガイドと、前記リーマガイド
に挿入支持されて、回転可能でかつ軸心方向にスライド
可能にリーマと、前記カッタースピンドルと同一軸線上
に対向配置され、シリンダブロックのシリンダヘッドカ
バー取付面側からシリンダブロック内に挿入されるとと
もに先端には前記リーマの先端をチャッキングするチャ
ックを有し、チャックがリーマをチャッキングした状態
で前記カッタースピンドルから離間する方向の切削送り
と回転運動が与えられることでリーマを引っ張りながら
前記ステムガイドのガイド面にリーマ加工を施すチャッ
クスピンドルとから構成されている。
【0013】
【作用】この構造によると、シリンダブロックのシリン
ダボア部側からカッタースピンドルを挿入して切削送り
を与えることで、カッタースピンドルの先端のカッター
によりバルブシート面の切削加工が施される。
【0014】この時、カッタースピンドルにリーマガイ
ドを介して支持されているリーマはステムガイドに挿入
されてカッタースピンドルとともに回転することになる
が、リーマはステムガイドに対して空転するだけで加工
は行われない。
【0015】バルブシート面の加工完了を待ってカッタ
ーをバルブシート面から離す一方、シリンダブロックの
シリンダヘッドカバー取付面側からチャックスピンドル
を挿入してチャックスピンドルのチャックでリーマの先
端部をチャッキングする。そして、チャックスピンドル
でリーマを回転駆動させながらチャックスピンドルに切
削送りを与えてリーマを引っ張ることでステムガイドに
リーマ加工が施される。
【0016】
【実施例】図1および図2は本発明の一実施例を示す図
で、加工対象となるモノブロックタイプのシリンダブロ
ックWは図示外のワークベースに位置決め固定されてお
り、シリンダブロックWをはさんでその両側に互いに同
一軸線上に位置するスピンドルヘッド1,2が対向配置
されている。
【0017】一方のスピンドルヘッド1にはカッタース
ピンドル3が回転可能に支持されており、カッタースピ
ンドル3は図示外のスピンドルモータにより回転駆動さ
れるとともに、スピンドルヘッド1自体は図示外のフィ
ードユニットにより送りが与えられることでカッタース
ピンドル3の軸心方向にスライドするようになってい
る。
【0018】カッタースピンドル3の先端にはバルブシ
ート4のバルブシート面5を加工するためのカッター6
が装着されているほか、カッタースピンドル3の中心に
は筒状のリーマガイド7が挿入されて固定されていて、
このリーマガイド7にはステムガイド19を加工するた
めのリーマ8が挿入されて支持されている。
【0019】リーマ8は周知のようにシャンク部9およ
び刃部10とを備えており、シャンク部9の端部にはチ
ャッキング溝部11が形成されているほか、刃部10の
端部にはロック溝12が形成されている。そして、ロッ
ク溝12にコイルスプリング13で付勢されたスチール
ボール14が係合することでリーマ8の長手方向の位置
が規制されているものの、コイルスプリング13の付勢
力に打ち勝つだけの外力を加えればリーマ8を回転させ
ることができると同時に、リーマガイド7に沿ってリー
マ8をスライドさせることができる構成となっている。
【0020】他方、もう一方のスピンドルヘッド2には
チャックスピンドル15が回転可能に支持されており、
チャックスピンドル15は図示外のスピンドルモータに
より回転駆動されるとともに、スピンドルヘッド2自体
は図示外のフィードユニットにより送りが与えられるこ
とでチャックスピンドル15の軸心方向にスライドする
ようになっている。
【0021】チャックスピンドル15の先端にはスリー
ブ17とコレット18とからなるコレットチャックタイ
プのチャック16が設けられており、チャックスピンド
ル15に内挿されたコレット18を前進後退させること
でそのコレット18でリーマ8のチャッキング溝11を
把持することができる。
【0022】このように構成された切削加工装置におい
ては、図3に示すようにチャックスピンドル15を有す
るスピンドルヘッド2を後退限位置に待機させた状態で
カッタースピンドル3を有するスピンドルヘッド1のみ
を前進させ、カッタースピンドル3をシリンダブロック
Wのシリンダボア部B側から挿入してカッター6をバル
ブシート4と対向させる。そして、カッタースピンドル
3を回転駆動させながらスピンドルヘッド3に矢印a方
向の切削送りを与えることでバルブシート面5に切削加
工が施される。
【0023】この時、図3に示すようにリーマガイド7
に支持されているリーマ8はそのシャンク部9がステム
ガイド19に挿入されて回転駆動されることになるが、
リーマ8はステムガイド19に対しては空転するだけで
加工は行われない。
【0024】バルブシート面5の加工が終了したなら
ば、カッタースピンドル3を支持しているスピンドルヘ
ッド1をわずかなストロークだけ後退させて図1に示す
ようにカッター6をバルブシート面5から離間させ、必
要に応じてカッタースピンドル3の回転を停止させる。
【0025】この状態で、チャックスピンドル15を支
持しているスピンドルヘッド2を前進させ、チャックス
ピンドル15をシリンンダヘッドWのシリンダヘッドカ
バー取付面H側から挿入した上で、チャック16でリー
マ8のチャッキング溝11をチャッキングする。そし
て、チャックスピンドル15を回転駆動させながらスピ
ンドルヘッド2に矢印b方向の送りを与えることで、図
4に示すようにリーマ8の刃部10がステムガイド19
内に引き込まれてその内周面のガイド面20にリーマ加
工が施される。
【0026】この時、図4に示すようにリーマ8がチャ
ックスピンドル15で引っ張られることでロック溝12
とスチールボール14との係合が外れ、リーマ8はリー
マガイド7に案内されながら回転しつつスライドする。
【0027】上記のリーマ加工が終了したならば、リー
マ8が回転したままの状態でスピンドルヘッド2の動き
によりリーマ8を押し戻してリーマ8のロック溝12と
スチールボール14とを係合させる。そして、チャック
16をアンチャッキング動作させてリーマ8を解放した
上で、双方のスピンドルヘッド1,2をそれぞれに後退
させることでバルブシート面およびステムガイド加工の
1サイクルが完了する。
【0028】ここで、上記実施例ではカッタースピンド
ル3およびチャックスピンドル15を支持する手段とし
てスピンドルヘッド1,2を採用した場合の例を示して
いるが、カッタースピンドル3およびチャックスピンド
ル15をクイルスピンドルに支持させるようにしても同
様の作用効果が得られる。
【0029】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、カッター
スピンドルの軸心と送り方向とが一致しているので、カ
ッタースピンドルに切削送りを与えながらカッタースピ
ンドルの先端のカッターでバルブシート面を加工するこ
とができるとともに、カッタースピンドルに予めリーマ
を支持させておくことができる。したがって、バルブシ
ート面とステムガイドとの加工にあたってシリンダブロ
ックは固定したままでよく、加工に必要なスライド自由
度はカッタースピンドルの送り方向とチャックスピンド
ルの送り方向の2軸だけとなることから、加工装置全体
の簡素化と小型化が図れる。
【0030】また、上記のようにカッタースピンドルに
予めリーマを支持させておくことによって、バルブシー
ト面の加工が終了したのちチャックスピンドルのチャッ
クがリーマをチャッキングすれば直ちにリーマ加工に移
行することができ、従来のようにバルブシート面加工用
の駆動軸ユニットとリーマ加工用のリーマユニットとを
切り換える必要がないのでサイクルタイムの短縮化が図
れる。
【0031】その上、カッタースピンドルとチャックス
ピンドルとが同一軸線上に対向配置されており、この関
係は例えば加工対象となるシリンダブロックの脱着時等
の非加工時においても何ら変化しない。その結果、従来
構造のものと比べてカッタースピンドルおよびチャック
スピンドルの位置決め精度を容易に確保することがで
き、上記のようなスライド自由度の減少に伴う位置決め
累積誤差の減少とも相俟って、加工されたバルブシート
面とステムガイドとの同芯精度が一段と向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図で図2の要部拡大
図。
【図2】本発明の一実施例を示す切削加工装置の要部の
構成説明図。
【図3】バルブシート面の加工状態を示す作動説明図。
【図4】ステムガイドの加工状態を示す作動説明図。
【図5】従来の切削加工装置の一例を示す図で、バルブ
シート面の加工状態を示す断面図。
【図6】従来の切削加工装置の一例を示す図で、ステム
ガイドの加工状態を示す断面図。
【符号の説明】
3…カッタースピンドル 4…バルブシート 5…バルブシート面 6…カッター 7…リーマガイド 8…リーマ 15…チャックスピンドル 16…チャック 19…ステムガイド 20…ガイド面 B…シリンダボア部 W…シリンダブロック

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッドと一体に形成されたシリ
    ンダブロックの吸排気系のバルブシート面とステムガイ
    ドに切削加工を施す装置において、 位置決め固定されたシリンダブロックのシリンダボア部
    側からシリンダブロック内に挿入されるとともに先端に
    カッターを有し、回転運動と軸心方向の切削送りが与え
    られることでバルブシート面に切削加工を施すカッター
    スピンドルと、 前記カッタースピンドルの中心部に設けられた筒状のリ
    ーマガイドと、 前記リーマガイドに挿入支持されて、回転可能でかつ軸
    心方向にスライド可能なリーマと、 前記カッタースピンドルと同一軸線上に対向配置され、
    シリンダブロックのシリンダヘッドカバー取付面側から
    シリンダブロック内に挿入されるとともに先端には前記
    リーマの先端をチャッキングするチャックを有し、チャ
    ックがリーマをチャッキングした状態で前記カッタース
    ピンドルから離間する方向の切削送りと回転運動が与え
    られることでリーマを引っ張りながら前記ステムガイド
    のガイド面にリーマ加工を施すチャックスピンドル、 とを備えていることを特徴とするシリンダブロックの切
    削加工装置。
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