JP2635737B2 - 釣り糸 - Google Patents

釣り糸

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【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明はナイロン製釣り糸より引張強度がはるかに強
く、かつ耐食性にも優れた新規な釣り糸に関するもので
ある。
「従来の技術」 従来の釣り糸はほとんどナイロン糸が使用されてい
る。
「発明が解決しようとする課題」 ナイロン糸は引張強度が小さく、岩肌や貝等と接触し
てこすれ合ったり魚に噛まれたりすると傷付き易く、は
りすの部分が切れ易い。
したがって、はりすの部分を丈夫にしようとすれば、
太い糸を使用しなければならないので魚に警戒され易い
問題がある。
また、ナイロン糸は腰が弱いので、河川で鮎等を共釣
りする場合に魚がかかりにくい。
さらに、ナイロン糸は数回魚を釣り上げると縮れを生
じ、扱いにくくなる問題があった。
本発明の目的は、前述のような問題点を解決し、鈎等
に結び付けることができる程度のしなやかさと、鋼線と
同等以上の強度と優れた耐食性をかね備えた釣り糸を提
供することにある。
「課題を解決するための手段及び作用」 本発明は前述の従来の釣り糸の欠点及び問題点を解決
するため、鋭意研究の結果なされたものである。
すなわち、本発明に係る釣り糸は、Ni−Ti系形状記憶
合金からなり、かつ、その金属組織が普通の体温以下の
温度でオーステナイト相となっていることを特徴として
いる。
本発明においてNi−Ti系形状記憶合金を採用したの
は、線径が小さければ、この系の合金がオーステナイト
相においてもある程度のしなかやさを備え、しかも、強
度及び耐食性の点で他の形状記憶合金に比べて優れてい
るからである。すなわち、鉄系や銅系の形状記憶合金は
強度や耐食性の点で劣る。
Ni−Ti系形状記憶合金は、普通の体温以下の温度でオ
ーステナイト相(母相)に変態する組成のものを使用す
る。具体的には、NiとTiの組成比が原子%で50:50の場
合Af点は90℃前後であり、例えばNi約50.75原子%(約5
5.8重量%)でTiが約49.25原子%(約44.2重量%)であ
る場合Af点は約35℃前後になる。
本発明におけるNi−Ti系形状記憶合金は、上記のよう
なNi−Ti合金のみに限らず、Af点(オーステナイト相へ
の変態を完了する温度)が普通の体温(例えば36℃)以
上にならない範囲で、Ni又はTiの一部をわずかにZr,Au,
v,Cr,Mn,Fe,Co等で置換したものでもよい。
前述のNi−Ti系形状記憶合金は、温度が下がってMs点
(マルテンサイト変態開始温度)以下になると、その金
属組織がマルテンサイト相に変態しはじめて柔やかくな
りはじめ、さらに温度が下がってMf点(マルテンサイト
変態完了温度)以下になると、100%マルテンサイトに
なって非常に柔らかくなる。他方、温度が上昇してAs点
(オーステナイト変態開始温度)に達すると、その金属
組織がオーステナイト相に変態しはじめて硬くなりはじ
め、Af点以上の温度で金属組織が完全にオーステナイト
相となって(記憶形状に復元して)変形しにくくなる。
形状記憶合金からなる本発明の釣り糸は、前述のよう
に金属組織がマルテンサイト相になると非常に柔らかく
なり、魚を繰返し釣り上げると、特にはりすの部分で縮
れ気味の変形が生じて全体が扱いにくくなる場合がある
が、本発明に係る釣り糸は、金属組織が普通の体温以下
の温度でオーステナイト相になるNi−Ti系形状記憶合金
であるから、例えば当該部分を口でなめて緩めるだけで
変形がなくなるため、その後の扱いが非常に容易にな
る。
形状記憶合金は、前述のようにAf点以上の温度になる
と完全にオーステナイト相になって変形しにくくなる
が、本発明の釣り糸を構成するNi−Ti系の形状記憶合金
は、母相においてもある程度のしなやかさがあるから、
糸径が例えば0.3mm以下のように細いものであれば、オ
ーステナイト相で硬くなっているときでも、釣り鈎に結
び付けたり、あるいはナイロン糸等と結び合せることが
できる。
したがって、本発明で使用するNi−Ti系形状記憶合金
は、金属組織が通常の体温以上でオーステナイト相にな
るようなものであれば十分であり、Af点が普通の体温よ
りはるかに低く、糸を構成する合金の金属組織が、釣り
をしている時にオーステナイト相になっているようなも
のでもなんら差し支えない。
本発明に係る釣り糸は、その金属組織が普通の体温以
下の温度で100%オーステナイト相となっているものが
望ましいが、80%程度以上オーステナイト相にっている
ものであれば、釣り糸として使用するのに何等差し支え
ない。
本発明に係る釣り糸は、例えば次のように製造され
る。
すなわち、前述のNi−Ti系合金を溶解鋳造し、このイ
ンゴットを熱間加工後、冷間加工と焼鈍を繰返して細径
の線材に加工し、最後に冷間加工により所定の線径、例
えば0.05mm〜0.3mmに加工し、これを400〜500℃の温度
で数分ないし一時間程度保持(形状記憶熱処理)して、
常温まで冷却すると本発明に係る釣り糸が得られる。
この時の金属組織はオーステナイト相であり、ある程
度のしなやかさはあるが、力を加えない状態ではピンと
張った状態を保っている。
このようにして得られた本発明に係る釣り糸は、ナイ
ロン糸よりはるかに強い引張強度(80〜120kgf/mm2)を
有する。
「実施例−1」 以下本発明の実施例を具体的に説明する。
原子%で50.84%:49.16%(重量%で55.9%:44.1%)
のNi−Ti系合金鋳塊を製造し、これを熱間圧延して太径
の線材に加工した後、冷間加工と焼鈍を繰返して細径の
線材に加工する。
これをさらに冷間加工により線径0.10mm(0.4号釣り
糸に相当)の糸状に加工した後、450℃で30分間熱処理
(形状記憶処理)を施して常温まで冷却し、第1図のよ
うに真直な釣り糸1を製造した。
この釣り糸1の常温における金属組織は100%オース
テナイト相であり、そのAf点は25℃であった。
測定によると、この釣り糸1の破断強度(引張強度)
は105kgf/mm2前後であり、同一線径のナイロン糸と比較
するとその三倍強の破断強度を示した。したがって、こ
の釣り糸1は細径のものでも強度上十分使用できるか
ら、水中で目立ちにくく魚に警戒されにくい。
また、この釣り糸1の表面は、酸化スケールに覆われ
て半光沢の黒色である。したがって、白色透明なナイロ
ン糸に比べ、水中でも乱反射が少なく魚に感知されにく
い。
こ釣り糸1はAf点25℃以上で100%オーステナイト相
になり、もとの記憶形状に復元して変形しにくい状態に
なるが、ある程度しなやかさがあるため、図のように釣
り鈎3に結び付けるのに支障はない。
この釣り糸1を図示のようにはりす(約30cm)として
使用し、その一端を10号の釣り鈎3に結び付け、瞬間接
着剤により釣り鈎3に固定し、その他端を在来のナイロ
ン糸2に結び付けたが、これらの結び付けに支障はなか
った。
他方、この釣り糸1を釣り場の水中に投入すると、温
度の低下によりマルテンサイト相があらわれはじめ、柔
らかくなりはじめるが、例えば10℃程度の水中では100
%マルテンサイト相には変態せず、水中への投入及び釣
り上げその他の竿の操作のとき変形しにくい状態を維持
する。
したがって、この実施例の釣り糸1をナイロン糸と比
べると、こしが強く、特に共釣りなどの場合に魚がかか
り易いとともに、魚が餌に接触したときのショックが小
さくても、それを手に感じることができる。また、岩や
貝殻に接触したり魚に噛まれたりしても、糸の表面に傷
がつきにくく脆弱になることもない。
この釣り糸を氷点下の塩水中に投入すると、その金属
組織はマルテンサイト相が増加して柔らかくなり、特に
はりすの部分は、魚を数回釣り上げるとやや縮れぎみに
変形し、扱いにくくなることがあるが、縮れ気味の変形
を生じたときは、糸1の当該部分を口に含んで暖めると
真直に復元するので非常に便利である。
「実施例−2」 原子%で50.94%:49.06%(重量%で56%:44%)のNi
−Ti系合金鋳塊を製造し、これを熱間圧延して太径の線
材に加工し、その後冷間加工と焼鈍を繰返して細径の線
材に加工する。
これをさらに冷間加工により線径0.10mmの糸状に加工
した後、450℃で30分間熱処理(形状記憶処理)を施し
て、常温まで冷却し、第1図と同様に真直な釣り糸1を
製造した。
この釣り糸1の金属組織は、常温で100%オーステナ
イト相になり、そのAf点は15℃前後であり、その引張強
度は96Kgf/mm2であった。
この実施例の釣り糸1は、Af点が異なる以外は前記実
施例のものとほぼ同様なのでその他の説明を省略する。
「発明の効果」 本発明に係る釣り糸は、その金属組織が普通の体温以
下の温度でオーステナイト相になるNi−Ti系の形状記憶
合金からなるので、鈎等に結び付けることができる程度
のしなやかさを備え、強度的には鋼線と同等以上の引張
強度をもち、耐食性に富んでおり、他の硬い物と接触し
ても表面に傷がつかない。
このように引張強度が大きいので、より線径の細いも
のを使用して、魚に目立ちにくくすることができる。
また、釣り場の水温が低く、釣り糸の金属組織にマル
テンサイト相が増加した状態で使用する場合、糸が縮れ
気味に変形するが、その変形部分が暖かい手で触れたり
口に含むと、オーステナイト相になって変形がなくなる
ので非常に扱い易い利点がある。
さらに、Af点を適宜に低く設定することにより、水中
でもある程度オーステナイト相が残る状態にすれば、糸
のこしが強くなり、共釣りなどの場合に魚がかかり易
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案に係る釣り糸をはりすとして使用した例
を示す部分正面図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ni−Ti系形状記憶合金からなり、かつ、そ
    の金属組織が普通の体温以下の温度でオーステナイト相
    となっていることを特徴とする釣り糸。
JP32273188A 1988-12-21 1988-12-21 釣り糸 Expired - Lifetime JP2635737B2 (ja)

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EP0949861B1 (en) 1996-12-06 2002-04-10 Outdoor Innovations, L.L.C. Spinner-type fishing lures and wire and cable fishing leaders
US6612065B1 (en) * 1998-09-24 2003-09-02 Ultimate Niti Technologies, Llc Fishing rod guides, tops and hook keepers and method

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