JP2979420B2 - 歯列矯正器具 - Google Patents
歯列矯正器具Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、不正状態にある歯列を正常な歯列に矯正す
るための歯列矯正器具に関するものである。
るための歯列矯正器具に関するものである。
[従来の技術] TiNi合金、TiNi合金(但し、X=Cu,Cr等)合金が、
熱弾性マルテンサイト変態の逆変態に付随して顕著な形
状記憶効果を示すことは良く知られている(「金属」19
66年2月13日号,44、「日本金属学会会報」第12巻、第
3号(1973)157、「日本金属学会誌」第30巻、第2号
(1975)175)。
熱弾性マルテンサイト変態の逆変態に付随して顕著な形
状記憶効果を示すことは良く知られている(「金属」19
66年2月13日号,44、「日本金属学会会報」第12巻、第
3号(1973)157、「日本金属学会誌」第30巻、第2号
(1975)175)。
これと同様にTiNi合金にゴムのようなしなやかさを示
す超弾性機能があることも良く知られている(「J.App
l.phys.34(1963)1475、東北大学選研彙報27(1971)2
45)。
す超弾性機能があることも良く知られている(「J.App
l.phys.34(1963)1475、東北大学選研彙報27(1971)2
45)。
これらの形状記憶及び超弾性機能を利用してパイプ継
手、感温アクチュエータ、ヒートエンジン、ブラジャー
および歯科矯正器具に適用することは、米国特許第4037
3号に開示されている。
手、感温アクチュエータ、ヒートエンジン、ブラジャー
および歯科矯正器具に適用することは、米国特許第4037
3号に開示されている。
また、JADA,82(1971)1373,Am.J.Orthod.,63(197
3)464にも詳しく述べられている。
3)464にも詳しく述べられている。
[発明が解決しようとする課題] 前述した歯列矯正器具は周知の歯との関係で、不規則
及び不正常な歯を修正するために使われる。この修正操
作は、変形応力の荷重の除荷に伴い可逆的にエネルギー
を吸収したり放出したりすることが可能なワイヤーを用
いた器具の使用によって行われる。
及び不正常な歯を修正するために使われる。この修正操
作は、変形応力の荷重の除荷に伴い可逆的にエネルギー
を吸収したり放出したりすることが可能なワイヤーを用
いた器具の使用によって行われる。
この矯正器具に使用されるワイヤーは、主として18−
8ステンレスワイヤーであり、最近ではTiNi合金ワイヤ
ーが使用され始めている。
8ステンレスワイヤーであり、最近ではTiNi合金ワイヤ
ーが使用され始めている。
後者のTiNiワイヤーは、異常な弾性限界,即ち、超弾
性機能を利用することができるため、前者の従来のステ
ンレスワイヤーと比較して、歯列の移動を大きくできる
というメリットがある。
性機能を利用することができるため、前者の従来のステ
ンレスワイヤーと比較して、歯列の移動を大きくできる
というメリットがある。
歯列矯正用としてのTiNi合金ワイヤーは、通常、冷間
加工上りによる加工硬化材あるいは、加工硬化材の400
℃〜500℃熱処理材が主である。
加工上りによる加工硬化材あるいは、加工硬化材の400
℃〜500℃熱処理材が主である。
しかし、これらのワイヤーは変形に必要な荷重と不正
常な歯を動かすのに必要な除荷重時の力の差が大きく、
患者あるいは、歯科医の生理的苦痛を余儀なくされてい
た。すなわち、ワイヤー変形時の力を小さくするには、
用いるワイヤーの径を小さくすることが容易に考えられ
るが、この場合、除荷時の力も小さくなる。また、別の
方法として、ワイヤーの変態温度を高めて変形荷重を下
げることも可能であるが、この場合、除荷時の回復が十
分満足できない。これらの方法では、変形応力の可逆的
動きは不十分である。
常な歯を動かすのに必要な除荷重時の力の差が大きく、
患者あるいは、歯科医の生理的苦痛を余儀なくされてい
た。すなわち、ワイヤー変形時の力を小さくするには、
用いるワイヤーの径を小さくすることが容易に考えられ
るが、この場合、除荷時の力も小さくなる。また、別の
方法として、ワイヤーの変態温度を高めて変形荷重を下
げることも可能であるが、この場合、除荷時の回復が十
分満足できない。これらの方法では、変形応力の可逆的
動きは不十分である。
そこで、本発明の技術的課題は、TiNi系合金におい
て、ワイヤーの可逆性を高め、弱い変形によっても歯を
十分に移動させうる歯列矯正器具を提供することにあ
る。
て、ワイヤーの可逆性を高め、弱い変形によっても歯を
十分に移動させうる歯列矯正器具を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 本発明によれば、一般式Ti100-XNiX-Y-ZCuYMZ(但
し、X=50.0〜50.5at%、Y=1.0〜10.0at%、Zは正
の数、MはFe,Cr,Co,V,Nb,及びAlのうちの少なくとも一
種)で表される合金を用い、少なくとも体温(37℃)
で、Ti100-XNiX合金に比べて小さな荷重時と除荷重時と
応力差を有し、且つこの変形荷重及び除荷重において、
可逆的なエネルギーの吸収及び放出が容易であることを
特徴とする歯列矯正器具が得られる。
し、X=50.0〜50.5at%、Y=1.0〜10.0at%、Zは正
の数、MはFe,Cr,Co,V,Nb,及びAlのうちの少なくとも一
種)で表される合金を用い、少なくとも体温(37℃)
で、Ti100-XNiX合金に比べて小さな荷重時と除荷重時と
応力差を有し、且つこの変形荷重及び除荷重において、
可逆的なエネルギーの吸収及び放出が容易であることを
特徴とする歯列矯正器具が得られる。
また、本発明によれば、前記歯列矯正器具において、
前記合金中のMはVであり、Zは0.25〜2.0at%の範囲
内であることを特徴とする歯列矯正器具が得られる。
前記合金中のMはVであり、Zは0.25〜2.0at%の範囲
内であることを特徴とする歯列矯正器具が得られる。
通常のTiNi合金で良好な形状記憶効果を示すNiの組成
範囲は49.0〜51.0at%(原子パーセント)であることが
知られている。
範囲は49.0〜51.0at%(原子パーセント)であることが
知られている。
また、本発明に利用される体温(37℃)近傍での超弾
性特性をよく保持するNiの組成範囲は、50.5〜51.0at%
である。
性特性をよく保持するNiの組成範囲は、50.5〜51.0at%
である。
更に、Niの一部をCuで置換したTiNi−Cu合金で、その
基本系はTi50Ni50-YCuYで示され、Cu添加量(Y)は5.0
〜51.0at%である。
基本系はTi50Ni50-YCuYで示され、Cu添加量(Y)は5.0
〜51.0at%である。
一方、TiNiCu合金は、TiNi合金に比べて、本発明で示
すような荷重時のヒステリシスを小さくできるメリット
があるが、本発明において必要とされる体温近傍での超
弾性を得ることはできない。
すような荷重時のヒステリシスを小さくできるメリット
があるが、本発明において必要とされる体温近傍での超
弾性を得ることはできない。
これを解決する手段としては、TiNi合金同様に、Niを
50.0〜51.0at%とすることが考えられるが、Cu添加の不
利な点として、Ni濃度に対し合金の変態温度依存性が小
さくなり、超弾性を示す温度を体温近傍に下げ得難いと
いうことがある。このためNi量を増加させる必要が生じ
てくるが、ここでは、Niを増加させると線材化への加工
が難しくなり、溶解によって合金を得ても所要の線を得
ることはできない。
50.0〜51.0at%とすることが考えられるが、Cu添加の不
利な点として、Ni濃度に対し合金の変態温度依存性が小
さくなり、超弾性を示す温度を体温近傍に下げ得難いと
いうことがある。このためNi量を増加させる必要が生じ
てくるが、ここでは、Niを増加させると線材化への加工
が難しくなり、溶解によって合金を得ても所要の線を得
ることはできない。
唯一加工性に富むTiNiCu合金は、Ti50Ni50-YCuYの組
成系のみである。
成系のみである。
但し、このTi50Ni50-YCuY合金においても、Cuの限度
は、10.0at%が上限である。
は、10.0at%が上限である。
従って、体温での良好な超弾性を得るには、TiNiCu合
金の製造には、更に加工性を改善する元素の添加が必要
とされる。
金の製造には、更に加工性を改善する元素の添加が必要
とされる。
本発明者らは、その元素としてVに着目した。その結
果V添加量2.0%までは加工性を改善すると同時に、合
金の変態温度を低下させ得ることを知った。
果V添加量2.0%までは加工性を改善すると同時に、合
金の変態温度を低下させ得ることを知った。
すなわち、Ti50Ni50-YCuYの合金系に対して、V添加
量が2.0at%までは加工可能で且つ体温近傍での超弾性
を得ることが可能である。しかし、V添加量が0.25未満
では、添加効果が薄い。
量が2.0at%までは加工可能で且つ体温近傍での超弾性
を得ることが可能である。しかし、V添加量が0.25未満
では、添加効果が薄い。
また、基本式中のNi量は50.0〜50.5at%の範囲内で加
工可能で且所要特性を保持できることも分かった。
工可能で且所要特性を保持できることも分かった。
尚、本発明では、TiNiCu合金へVを更に添加すること
のみを記したが、同様の効果はFe,Co,Cr,Nb,Al等を添加
しても十分可能であることは容易に推測できるものであ
る。
のみを記したが、同様の効果はFe,Co,Cr,Nb,Al等を添加
しても十分可能であることは容易に推測できるものであ
る。
[実施例] 次に本発明の実施例を図面を参照して説明する。
Ti49.5Ni40.5Cu7.5V2.0合金及び比較合金としてTi
49.5Ni50.5合金を高周波真空溶解によって得、冷間加工
率50%の直径0.5mmφワイヤーとした。得られたワイヤ
ーは400〜500℃の熱処理後、超弾性特性を調べるため
に、37℃における引張りによる荷重、除荷重曲線の測定
が行われた。
49.5Ni50.5合金を高周波真空溶解によって得、冷間加工
率50%の直径0.5mmφワイヤーとした。得られたワイヤ
ーは400〜500℃の熱処理後、超弾性特性を調べるため
に、37℃における引張りによる荷重、除荷重曲線の測定
が行われた。
第1図に本発明の実施例に係る合金の一部であるTi50
Ni40.5Cu7.5V2.0合金及び比較例に係るTi49.5Ni50.5合
金の500℃×15分間の熱処理材の荷重除荷重曲線を示し
ている。
Ni40.5Cu7.5V2.0合金及び比較例に係るTi49.5Ni50.5合
金の500℃×15分間の熱処理材の荷重除荷重曲線を示し
ている。
第1図において、曲線1は実施例の合金に対応し、曲
線2は比較合金に対応している。
線2は比較合金に対応している。
実施例の合金と比較合金とのカーブを比較すると、伸
び(%)に対する実施例(曲線1)の変形応力(kg/m
m2)の値は、比較合金(曲線2)に比べて50%以下であ
る。
び(%)に対する実施例(曲線1)の変形応力(kg/m
m2)の値は、比較合金(曲線2)に比べて50%以下であ
る。
しかし、実施例の合金は変形が解除されたときの除荷
応力は変形前と差程変わらない。即ち、実施例の合金は
荷重・除荷重における可逆的なエネルギーの吸収及び放
出が極めて有効に行われることを示している。
応力は変形前と差程変わらない。即ち、実施例の合金は
荷重・除荷重における可逆的なエネルギーの吸収及び放
出が極めて有効に行われることを示している。
[発明の効果] 以上のように、本発明によれば、歯列矯正器具に求め
られる変形の荷重・除荷重の可逆的なエネルギーの放
出、吸収の差が小さいワイヤーの供給をすることができ
る。
られる変形の荷重・除荷重の可逆的なエネルギーの放
出、吸収の差が小さいワイヤーの供給をすることができ
る。
第1図は本発明の実施例に係る合金のTi50Ni40.5Cu7.5
V2.0合金と比較例に係るTi49.5Ni50.5合金の37.0℃に
おける引張りによる荷重・除荷重曲線を示す図である。
V2.0合金と比較例に係るTi49.5Ni50.5合金の37.0℃に
おける引張りによる荷重・除荷重曲線を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】一般式Ti100-XNiX-Y-ZCuYMZ(但し、X=5
0.0〜50.5at%、Y=1.0〜10.0at%、Zは正の数、Mは
Fe,Cr,Co,V,Nb,及びAlのうちの少なくとも一種)で表さ
れる合金を用い、少なくとも体温(37℃)で、Ti100-XN
iX合金に比べて小さな荷重時と除荷重時と応力差を有
し、且つこの変形荷重及び除荷重において、可逆的なエ
ネルギーの吸収及び放出が容易であることを特徴とする
歯列矯正器具。 - 【請求項2】請求項1記載の歯列矯正器具において、前
記合金中のMはVであり、Zは0.25〜2.0at%の範囲内
であることを特徴とする歯列矯正器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6693890A JP2979420B2 (ja) | 1990-03-19 | 1990-03-19 | 歯列矯正器具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6693890A JP2979420B2 (ja) | 1990-03-19 | 1990-03-19 | 歯列矯正器具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03267341A JPH03267341A (ja) | 1991-11-28 |
JP2979420B2 true JP2979420B2 (ja) | 1999-11-15 |
Family
ID=13330447
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6693890A Expired - Lifetime JP2979420B2 (ja) | 1990-03-19 | 1990-03-19 | 歯列矯正器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2979420B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5044947A (en) * | 1990-06-29 | 1991-09-03 | Ormco Corporation | Orthodontic archwire and method of moving teeth |
JP5301817B2 (ja) * | 2007-11-22 | 2013-09-25 | Necトーキン株式会社 | 流体用部品 |
-
1990
- 1990-03-19 JP JP6693890A patent/JP2979420B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03267341A (ja) | 1991-11-28 |
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Legal Events
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