JPH0464263B2 - - Google Patents
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- JPH0464263B2 JPH0464263B2 JP22124588A JP22124588A JPH0464263B2 JP H0464263 B2 JPH0464263 B2 JP H0464263B2 JP 22124588 A JP22124588 A JP 22124588A JP 22124588 A JP22124588 A JP 22124588A JP H0464263 B2 JPH0464263 B2 JP H0464263B2
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Landscapes
- Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
Description
[産業上の利用分野]
本発明は、歯科において器具に関し、特に歯列
矯正器具に関するものである。 [従来の技術] TiNi合金、Ti−Ni−X(X=Cu、Cr等)合金
が熱弾性型マルテンサイト変態の逆変態に付随し
て顕著な形状記憶効果を示すことはよく知られて
いる。(「金属」1966年2月13日号、44,「日本金
属学会会報」第12巻第3号(1973)157,「日本金
属学会誌」第30巻、第2号(1975)175) これと同時に、TiNi合金にゴムのようなしな
やかさを示す超弾性機能があることもよく知られ
ている。(「J.Appl.phys.34(1963)1475,東北大
学選研梟報27(1971)245) これらの形状記憶及び超弾性機能を利用して、
パイプ継手、感温アクチユエータ、ヒートエンジ
ン、ブラジヤーおよび歯科矯正線等の商品化が行
われている。特に、歯科矯正器具に適用すること
は、米国特許第4037324号に開示されている。ま
た、JADA,82(1971)1373,Am.J.Orthod 63
(1973)464にも詳しく述べられている。 [発明が解決しようとする課題] 歯列矯正器具は、周知の歯との関係で、不規則
及び不正常な歯を修正するために使用される。こ
の修正操作は、変形応力の荷重・除荷に伴ない可
逆的にエネルギーを吸収したり、放出したりする
ことが可能なワイヤーを用いた器具を使用して行
われる。この矯正器具に使用されるワイヤーは主
に18−8ステンレス鋼ワイヤー、最近ではNi−
Ti合金ワイヤーであつた。 18−8ステンレス鋼ワイヤーを用いた場、矯正
に供し得る伸びひずみはほぼ1%である。このた
め、過度の伸びあるいは曲げを与えると、本来、
目的に必要とされる可逆的なエネルギーの吸収・
放出機能が損われしまう。 これに対し、Ti−Ni合金ワイヤーは、従来の
ステンレスワイヤーと比較して、異常な弾性限界
があることが見出されている。すなわち、加工上
り材の弾性限界(伸びひずみの最大値)は約4%
を示す。Unitele(米)はこの合金ワイヤー(加工
上り材)を矯正ワイヤーとして実用化している。
しかしながら、このワイヤーは、加工上り材のた
め、脆い難点、および伸び変形の増加と伴に、変
形に必要な荷重もほぼ直線的に増加するため、矯
正治療を受ける患者への生理的苦痛を余偽なくす
る難点があつた。この苦痛を柔げるためには、所
要の歯移動は比較的軽いが、連続的な矯正力を供
給することができる最適の力付与装置を形成する
ことによつて最も良好に達成されることがAngle
Orthodentist第31巻(1961年発行)に報告されて
いる。この目的を達成するためには変形に要する
力の大きさが小さいこと、口腔組織の最大限の応
答を与えるべく器具が非機能状態になるまで力の
レベルが一定であること、等が挙げられる。 このアプローチの一例として、Ni−Ti合金ワ
イヤーの焼鈍材を使用することに見出すことがで
きる。この焼鈍材は通常30〜40%の冷間加工減面
率が施されたのち400〜500℃の熱処理を行うこと
によつて得られる。かかる処理を行われたワイヤ
ーは、少なくとも口腔内温度に於いて、ゴムの如
き弾性挙動を振舞うことが可能となる。すなわ
ち、伸びひずみで5〜6%、且つ、変形に要する
力の大きさが小さく、一定変形力によつても伸び
が可能なこと、歯移動に伴なう軽い連続的な矯正
力を供給することができる。すなわち、ワイヤー
の弾性変形によつて可逆的なエネルギーの吸収・
放出が容易となり得る。 しかしながら、このワイヤーは加温されること
による形状の復元、もしくはゴムの如きしなやか
さによる自発的形状の復元のいづれか若しくは双
方を併せ待つことのために歯列矯正用の形状に冷
間曲げすることができず、所要の形状に固定する
ために400℃程度以上の温度まで加熱される必要
があつた。このため閉ループ等の矯正器具に使用
することができず、設計上かなりの湾曲を要する
器具の形成に使用することがかなり制限される。 本発明はステンレス鋼あるいはTi−Ni合金を
使用した場合の欠点を解決し、最適の歯列矯正力
を供給するのを容易にするものである。よつて本
発明の技術的課題は、従来のNi−Ti合金焼鈍材
のもつ、口腔組織が最大限に応答し、且つその組
織が最小限にしか損傷を受けない状態にて連続的
に比較的無痛状態にて歯の移動を行うべく、好ま
しいほどの力の大きさが小さく、且つ長期間に亘
つて力が一定となる特長を保持しつつ、歯列矯正
用器具が、歯の歯冠に作用してそれが移動される
際に、その歯の正確な回転中心を与えるよう最適
の力に対するモーメントの比を与えるべく、簡単
なものから非常に複雑な歯列矯正用の形状まで広
範囲の歯列矯正器具に形成することを、高くとも
80℃以下で可能にした歯列矯正器具を提供するこ
とにある。 [課題を解決するための手段] 本発明によれば、原子%でNiを45.0〜51.0at
%、Feを0.5〜5.0at%残部Tiからなる合金を溶体
化処理後400〜500℃で熱処理を施したTiNiFe合
金線材であつて、少なくとも口腔内温度(37℃)
において、可逆的なエネルギーの吸収・放出が可
能な超弾性特性を保有するとともに、多くとも80
℃までの温度範囲内で塑性変形することを特徴と
する歯列矯正器具が得られる。 本発明の歯列矯正器具において合金線に含有さ
れるFeを0.5〜5.0原子パーセントとしたのは、0.5
未満では添加効果が少なく、5.0を越えると加工
性を極端に悪くするためである。更に、Niを45
〜51原子パーセントとしたのは45未満ではTi2Ni
相が析出し、逆に51を越えるとTiNi3相が析出
し、加工性を悪くするためである。 [実施例] 本発明の実施例について説明する。 表−1に示す組成の合金が高周波真空溶解法に
よつて得られた。但し、本実施例以外の溶解法、
例えば、アーク溶解法、電子ビーム溶解法、ある
いは粉末治金法によつても本発明合金は得られ
る。 合金は、それぞれ900〜1000℃で溶体化処理後、
約900℃で熱間鍛造、熱間圧延されたのち冷間加
工によつて0.70mmφまで線引きされ、約900℃の
温度で歪み取り焼鈍が行われ、0.50mmφに加工さ
れた。 表−1に本発明合金および比較合金の熱間加工
性、熱間加工性の良否につき示しているが、Fe
添加量が5.0原子パーセントを越えるNo.7,No.8
の合金は本発明合金に比べて熱間加工性は悪く、
更に、供試材を得るための0.7mm〜0.5mmφの最終
冷間加工は出来なかつた。比較合金No.1について
も表−1に示すように、本発明合金に比べると冷
間加工性は悪い。これらのことにより、Ti−Ni
合金にFeを添加すると、その熱間・冷間加工性
はTiNi合金に比べて変わらないか、あるいは改
善されると云えるが、5原子パーセントを越える
とかえつて悪くする傾向にあることが云える。 0.50mmφまで加工された供試ワイヤーは、それ
ぞれ900℃,700℃,600℃,500℃,400℃および
300℃で1時間熱処理され、室温(20℃)、および
口腔内温度(37℃)での応力−ひずみ曲線が求め
られた。 第1図に室温で測定された結果の一例として、
比較合金No.1および本発明合金No.4の加工上り材
(未焼鈍材)、500℃焼鈍材の応力−ひずみ曲線を
示した(なお、市販されている18−8ステンレス
鋼ワイヤーの例も併せて示している)。 本発明合金No.4は比較合金No.1と同様に焼鈍に
よつて形状記憶合金の特長の一つであるゴムのよ
うなしなやかな超弾性を保有し、伸び変化に対し
応力が一定となる降状応力を認めることができ
る。表−2に、37℃における3%引張り時の応力
を異なる温度において熱処理した各々の試料につ
いて示した。表中、No.7,No.8の合金は冷間加工
不可のため、引張り試験は行われなかつた。各合
金試料(比較合金および本発明合金を含む)と
も、冷間の加工上り材は第1図中No.1合金同様に
荷重の除荷と同時にほぼひずみは解消される。し
かし、明確な降状は認められない。明確な降状を
示す超弾性特性が得られるのは、ほぼ400℃以上
の熱処理材からである(300℃では、焼鈍効果は
薄い)。良好な超弾性が得られるのは、比較合金
No.1同様400〜500℃であつた。600℃を越えると
応力レベルは400〜500℃処理材に比べて約半分に
なると同時に超弾性特性も悪くなる。特に、繰り
返しに対しては極端な劣化を示す。よつて歯列矯
正器具に第一義的に求められるワイヤー変形に対
する可逆的なエネルギーの吸収・放出を得るため
には400〜500℃の熱処理材が適当である。しかし
ながら低応力レベルでのエネルギの吸収・放出お
よび必ずしも繰り返えしを求められない場合に
は、その限りではなく、600℃あるいはそれ以上
の温度での処理が許容される。 次に、塑性加工性を調べるために表−2に示し
た各試料は37℃で90度に曲げられ、曲げ応力の解
放時の残留ひずみ、更に、80℃加熱による残留ひ
ずみの解消の度合が調べられた。500℃処理材の
結果を表−3に示した。比較合金No.1は室温で応
力解放と同時にほぼ元の形状に戻つた。すなわ
ち、超弾性効果が強いために37℃での塑性加工は
難しい、更に80℃に加熱するとわずかな残留ひず
みも解消する。このため、特定形状への固定は変
形後拘束下で400〜500℃に加熱する必要がある。 No.2,No.3合金はFeを0.25および0.5原子パー
セントそれぞれ添加しているが、0.25添加のNo.2
合金ではFe添加の効果は認められず、No.1同様
の結果であつたが、0.5添加のNo.3合金は添加効
果が認められ37℃に於いて50%程度の残留ひずみ
を得、加熱しても10%程度のひずみが残留した。
No.4合金以降Feを1.0原子パーセント以上添加し
たものでは、室温に於ける90度曲げによるひずみ
は、ほぼ100%残留し、80℃に加熱しても90%以
上のひずみは残留した。このことは、口腔内温度
近傍でのワイヤー変形が400〜500℃の特定された
熱処理を必要としないで可能であり、且つ口腔内
での最大温度、飲食時に熱湯によつて引き起され
る80℃(口腔内では70℃以下と思われるが)によ
つても90%以上の変形の形状が維持されることを
示している。No.5合金の500℃で処理材について
の20℃,40℃,60℃,80℃それぞれに於ける応力
−ひずみ曲線を示したが、40℃に於いてはひずみ
は若干残留する。このことにより90度の曲げに対
して形状が固定され、加熱によつても変化が少な
いものの製造を可能に出来る。更に安定した形状
を得ようとすれば、60℃あるいは80℃に加温した
状態で変形すれば良いことが第2図からわかる。
また図中、40℃では若干の塑性変形が認められる
が歯列矯正に求められるワイヤーの変形はせいぜ
い1〜2%であるため繰り返しに対しては殆んど
この残留ひずみは問題にならない。しかし、口腔
内に於いて完全な超弾性を求めたい場合には、
400℃程度で焼鈍する必要がある。この時にはワ
イヤーの変形は60〜80℃で行えば良い。焼鈍温度
が500℃を越えると、室温および口腔内温度での
超弾性特性は悪くなる。すなわち塑性変形を受け
易くなる。このため、400〜500℃が歯科用器具と
して本発明合金ワイヤーにとつて適当であると云
えるが、変形応力は低いあるいは、加工性の容易
さを更に必要とされる場合には500℃を越えた焼
鈍が行われても良い。 第3図は本発明の実施例に係る歯列矯正器具を
示す図である。この図のように、長方形ループ状
の歯科矯正器具が上記本発明合金線を所要形状に
加工後、固定して熱処理することにより得られ
る。 使用に際しては、装着する個人差に応じた形状
に、高くとも80℃の温度で塑性変形することによ
り調節が可能である。
矯正器具に関するものである。 [従来の技術] TiNi合金、Ti−Ni−X(X=Cu、Cr等)合金
が熱弾性型マルテンサイト変態の逆変態に付随し
て顕著な形状記憶効果を示すことはよく知られて
いる。(「金属」1966年2月13日号、44,「日本金
属学会会報」第12巻第3号(1973)157,「日本金
属学会誌」第30巻、第2号(1975)175) これと同時に、TiNi合金にゴムのようなしな
やかさを示す超弾性機能があることもよく知られ
ている。(「J.Appl.phys.34(1963)1475,東北大
学選研梟報27(1971)245) これらの形状記憶及び超弾性機能を利用して、
パイプ継手、感温アクチユエータ、ヒートエンジ
ン、ブラジヤーおよび歯科矯正線等の商品化が行
われている。特に、歯科矯正器具に適用すること
は、米国特許第4037324号に開示されている。ま
た、JADA,82(1971)1373,Am.J.Orthod 63
(1973)464にも詳しく述べられている。 [発明が解決しようとする課題] 歯列矯正器具は、周知の歯との関係で、不規則
及び不正常な歯を修正するために使用される。こ
の修正操作は、変形応力の荷重・除荷に伴ない可
逆的にエネルギーを吸収したり、放出したりする
ことが可能なワイヤーを用いた器具を使用して行
われる。この矯正器具に使用されるワイヤーは主
に18−8ステンレス鋼ワイヤー、最近ではNi−
Ti合金ワイヤーであつた。 18−8ステンレス鋼ワイヤーを用いた場、矯正
に供し得る伸びひずみはほぼ1%である。このた
め、過度の伸びあるいは曲げを与えると、本来、
目的に必要とされる可逆的なエネルギーの吸収・
放出機能が損われしまう。 これに対し、Ti−Ni合金ワイヤーは、従来の
ステンレスワイヤーと比較して、異常な弾性限界
があることが見出されている。すなわち、加工上
り材の弾性限界(伸びひずみの最大値)は約4%
を示す。Unitele(米)はこの合金ワイヤー(加工
上り材)を矯正ワイヤーとして実用化している。
しかしながら、このワイヤーは、加工上り材のた
め、脆い難点、および伸び変形の増加と伴に、変
形に必要な荷重もほぼ直線的に増加するため、矯
正治療を受ける患者への生理的苦痛を余偽なくす
る難点があつた。この苦痛を柔げるためには、所
要の歯移動は比較的軽いが、連続的な矯正力を供
給することができる最適の力付与装置を形成する
ことによつて最も良好に達成されることがAngle
Orthodentist第31巻(1961年発行)に報告されて
いる。この目的を達成するためには変形に要する
力の大きさが小さいこと、口腔組織の最大限の応
答を与えるべく器具が非機能状態になるまで力の
レベルが一定であること、等が挙げられる。 このアプローチの一例として、Ni−Ti合金ワ
イヤーの焼鈍材を使用することに見出すことがで
きる。この焼鈍材は通常30〜40%の冷間加工減面
率が施されたのち400〜500℃の熱処理を行うこと
によつて得られる。かかる処理を行われたワイヤ
ーは、少なくとも口腔内温度に於いて、ゴムの如
き弾性挙動を振舞うことが可能となる。すなわ
ち、伸びひずみで5〜6%、且つ、変形に要する
力の大きさが小さく、一定変形力によつても伸び
が可能なこと、歯移動に伴なう軽い連続的な矯正
力を供給することができる。すなわち、ワイヤー
の弾性変形によつて可逆的なエネルギーの吸収・
放出が容易となり得る。 しかしながら、このワイヤーは加温されること
による形状の復元、もしくはゴムの如きしなやか
さによる自発的形状の復元のいづれか若しくは双
方を併せ待つことのために歯列矯正用の形状に冷
間曲げすることができず、所要の形状に固定する
ために400℃程度以上の温度まで加熱される必要
があつた。このため閉ループ等の矯正器具に使用
することができず、設計上かなりの湾曲を要する
器具の形成に使用することがかなり制限される。 本発明はステンレス鋼あるいはTi−Ni合金を
使用した場合の欠点を解決し、最適の歯列矯正力
を供給するのを容易にするものである。よつて本
発明の技術的課題は、従来のNi−Ti合金焼鈍材
のもつ、口腔組織が最大限に応答し、且つその組
織が最小限にしか損傷を受けない状態にて連続的
に比較的無痛状態にて歯の移動を行うべく、好ま
しいほどの力の大きさが小さく、且つ長期間に亘
つて力が一定となる特長を保持しつつ、歯列矯正
用器具が、歯の歯冠に作用してそれが移動される
際に、その歯の正確な回転中心を与えるよう最適
の力に対するモーメントの比を与えるべく、簡単
なものから非常に複雑な歯列矯正用の形状まで広
範囲の歯列矯正器具に形成することを、高くとも
80℃以下で可能にした歯列矯正器具を提供するこ
とにある。 [課題を解決するための手段] 本発明によれば、原子%でNiを45.0〜51.0at
%、Feを0.5〜5.0at%残部Tiからなる合金を溶体
化処理後400〜500℃で熱処理を施したTiNiFe合
金線材であつて、少なくとも口腔内温度(37℃)
において、可逆的なエネルギーの吸収・放出が可
能な超弾性特性を保有するとともに、多くとも80
℃までの温度範囲内で塑性変形することを特徴と
する歯列矯正器具が得られる。 本発明の歯列矯正器具において合金線に含有さ
れるFeを0.5〜5.0原子パーセントとしたのは、0.5
未満では添加効果が少なく、5.0を越えると加工
性を極端に悪くするためである。更に、Niを45
〜51原子パーセントとしたのは45未満ではTi2Ni
相が析出し、逆に51を越えるとTiNi3相が析出
し、加工性を悪くするためである。 [実施例] 本発明の実施例について説明する。 表−1に示す組成の合金が高周波真空溶解法に
よつて得られた。但し、本実施例以外の溶解法、
例えば、アーク溶解法、電子ビーム溶解法、ある
いは粉末治金法によつても本発明合金は得られ
る。 合金は、それぞれ900〜1000℃で溶体化処理後、
約900℃で熱間鍛造、熱間圧延されたのち冷間加
工によつて0.70mmφまで線引きされ、約900℃の
温度で歪み取り焼鈍が行われ、0.50mmφに加工さ
れた。 表−1に本発明合金および比較合金の熱間加工
性、熱間加工性の良否につき示しているが、Fe
添加量が5.0原子パーセントを越えるNo.7,No.8
の合金は本発明合金に比べて熱間加工性は悪く、
更に、供試材を得るための0.7mm〜0.5mmφの最終
冷間加工は出来なかつた。比較合金No.1について
も表−1に示すように、本発明合金に比べると冷
間加工性は悪い。これらのことにより、Ti−Ni
合金にFeを添加すると、その熱間・冷間加工性
はTiNi合金に比べて変わらないか、あるいは改
善されると云えるが、5原子パーセントを越える
とかえつて悪くする傾向にあることが云える。 0.50mmφまで加工された供試ワイヤーは、それ
ぞれ900℃,700℃,600℃,500℃,400℃および
300℃で1時間熱処理され、室温(20℃)、および
口腔内温度(37℃)での応力−ひずみ曲線が求め
られた。 第1図に室温で測定された結果の一例として、
比較合金No.1および本発明合金No.4の加工上り材
(未焼鈍材)、500℃焼鈍材の応力−ひずみ曲線を
示した(なお、市販されている18−8ステンレス
鋼ワイヤーの例も併せて示している)。 本発明合金No.4は比較合金No.1と同様に焼鈍に
よつて形状記憶合金の特長の一つであるゴムのよ
うなしなやかな超弾性を保有し、伸び変化に対し
応力が一定となる降状応力を認めることができ
る。表−2に、37℃における3%引張り時の応力
を異なる温度において熱処理した各々の試料につ
いて示した。表中、No.7,No.8の合金は冷間加工
不可のため、引張り試験は行われなかつた。各合
金試料(比較合金および本発明合金を含む)と
も、冷間の加工上り材は第1図中No.1合金同様に
荷重の除荷と同時にほぼひずみは解消される。し
かし、明確な降状は認められない。明確な降状を
示す超弾性特性が得られるのは、ほぼ400℃以上
の熱処理材からである(300℃では、焼鈍効果は
薄い)。良好な超弾性が得られるのは、比較合金
No.1同様400〜500℃であつた。600℃を越えると
応力レベルは400〜500℃処理材に比べて約半分に
なると同時に超弾性特性も悪くなる。特に、繰り
返しに対しては極端な劣化を示す。よつて歯列矯
正器具に第一義的に求められるワイヤー変形に対
する可逆的なエネルギーの吸収・放出を得るため
には400〜500℃の熱処理材が適当である。しかし
ながら低応力レベルでのエネルギの吸収・放出お
よび必ずしも繰り返えしを求められない場合に
は、その限りではなく、600℃あるいはそれ以上
の温度での処理が許容される。 次に、塑性加工性を調べるために表−2に示し
た各試料は37℃で90度に曲げられ、曲げ応力の解
放時の残留ひずみ、更に、80℃加熱による残留ひ
ずみの解消の度合が調べられた。500℃処理材の
結果を表−3に示した。比較合金No.1は室温で応
力解放と同時にほぼ元の形状に戻つた。すなわ
ち、超弾性効果が強いために37℃での塑性加工は
難しい、更に80℃に加熱するとわずかな残留ひず
みも解消する。このため、特定形状への固定は変
形後拘束下で400〜500℃に加熱する必要がある。 No.2,No.3合金はFeを0.25および0.5原子パー
セントそれぞれ添加しているが、0.25添加のNo.2
合金ではFe添加の効果は認められず、No.1同様
の結果であつたが、0.5添加のNo.3合金は添加効
果が認められ37℃に於いて50%程度の残留ひずみ
を得、加熱しても10%程度のひずみが残留した。
No.4合金以降Feを1.0原子パーセント以上添加し
たものでは、室温に於ける90度曲げによるひずみ
は、ほぼ100%残留し、80℃に加熱しても90%以
上のひずみは残留した。このことは、口腔内温度
近傍でのワイヤー変形が400〜500℃の特定された
熱処理を必要としないで可能であり、且つ口腔内
での最大温度、飲食時に熱湯によつて引き起され
る80℃(口腔内では70℃以下と思われるが)によ
つても90%以上の変形の形状が維持されることを
示している。No.5合金の500℃で処理材について
の20℃,40℃,60℃,80℃それぞれに於ける応力
−ひずみ曲線を示したが、40℃に於いてはひずみ
は若干残留する。このことにより90度の曲げに対
して形状が固定され、加熱によつても変化が少な
いものの製造を可能に出来る。更に安定した形状
を得ようとすれば、60℃あるいは80℃に加温した
状態で変形すれば良いことが第2図からわかる。
また図中、40℃では若干の塑性変形が認められる
が歯列矯正に求められるワイヤーの変形はせいぜ
い1〜2%であるため繰り返しに対しては殆んど
この残留ひずみは問題にならない。しかし、口腔
内に於いて完全な超弾性を求めたい場合には、
400℃程度で焼鈍する必要がある。この時にはワ
イヤーの変形は60〜80℃で行えば良い。焼鈍温度
が500℃を越えると、室温および口腔内温度での
超弾性特性は悪くなる。すなわち塑性変形を受け
易くなる。このため、400〜500℃が歯科用器具と
して本発明合金ワイヤーにとつて適当であると云
えるが、変形応力は低いあるいは、加工性の容易
さを更に必要とされる場合には500℃を越えた焼
鈍が行われても良い。 第3図は本発明の実施例に係る歯列矯正器具を
示す図である。この図のように、長方形ループ状
の歯科矯正器具が上記本発明合金線を所要形状に
加工後、固定して熱処理することにより得られ
る。 使用に際しては、装着する個人差に応じた形状
に、高くとも80℃の温度で塑性変形することによ
り調節が可能である。
【表】
【表】
【表】
【表】
[発明の効果]
このように、本発明によれば歯列矯正器具とし
て用いられる図−3に示した長方形ループ状ばね
等の加工が室温あるいは加温によつて容易にする
ことが出来ると同時に、低応力で可逆的なエネル
ギーの吸収・放出が可能なワイヤーを供給するこ
とが出来る。
て用いられる図−3に示した長方形ループ状ばね
等の加工が室温あるいは加温によつて容易にする
ことが出来ると同時に、低応力で可逆的なエネル
ギーの吸収・放出が可能なワイヤーを供給するこ
とが出来る。
第1図は、18−8ステンレス線、No.1合金
(Ti−51at%Ni)の未焼鈍材500℃×1hr熱処理材
およびNo.4合金(Ti−48.5at%Ni−1.5at%Fe)
の室温(20℃)に於ける応力−ひずみ曲線を示し
ている。第2図は、No.4合金の20℃,40℃,60℃
および80℃に於ける応力−ひずみ曲線を示してい
る。第3図には本発明による器具に使用される長
方形ループ状ばねの解図を示している。
(Ti−51at%Ni)の未焼鈍材500℃×1hr熱処理材
およびNo.4合金(Ti−48.5at%Ni−1.5at%Fe)
の室温(20℃)に於ける応力−ひずみ曲線を示し
ている。第2図は、No.4合金の20℃,40℃,60℃
および80℃に於ける応力−ひずみ曲線を示してい
る。第3図には本発明による器具に使用される長
方形ループ状ばねの解図を示している。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 原子%でNiを45.0〜51.0at%、Feを0.5〜
5.0at%、残部Tiからなる合金を溶体化処理後400
〜500℃で熱処理を施したTiNiFe合金線材であ
つて、 少なくとも口腔内温度(37℃)において、可逆
的なエネルギーの吸収・放出が可能な超弾性特性
を保有するとともに、多くとも80℃までの温度範
囲内で塑性変形することを特徴とする歯列矯正器
具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63221245A JPH0271735A (ja) | 1988-09-06 | 1988-09-06 | 歯列矯正器具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63221245A JPH0271735A (ja) | 1988-09-06 | 1988-09-06 | 歯列矯正器具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0271735A JPH0271735A (ja) | 1990-03-12 |
JPH0464263B2 true JPH0464263B2 (ja) | 1992-10-14 |
Family
ID=16763741
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63221245A Granted JPH0271735A (ja) | 1988-09-06 | 1988-09-06 | 歯列矯正器具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0271735A (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2162667C2 (ru) * | 1999-04-27 | 2001-02-10 | Гюнтер Виктор Эдуардович | Литейный стоматологический сплав |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5844047A (ja) * | 1981-09-11 | 1983-03-14 | セイコーエプソン株式会社 | 歯列矯正部材 |
JPS62211338A (ja) * | 1986-03-11 | 1987-09-17 | Keijiyou Kioku Gokin Gijutsu Kenkyu Kumiai | 低温用形状記憶合金 |
-
1988
- 1988-09-06 JP JP63221245A patent/JPH0271735A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5844047A (ja) * | 1981-09-11 | 1983-03-14 | セイコーエプソン株式会社 | 歯列矯正部材 |
JPS62211338A (ja) * | 1986-03-11 | 1987-09-17 | Keijiyou Kioku Gokin Gijutsu Kenkyu Kumiai | 低温用形状記憶合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0271735A (ja) | 1990-03-12 |
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