JP6262808B2 - 形状記憶合金歯科用アーチの形状設定 - Google Patents

形状記憶合金歯科用アーチの形状設定 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本特許出願は、2010年8月24日出願の「形状記憶合金歯科用アーチの形状設定(SHAPE SETTING A SHAPE MEMORY ALLOY DENTAL ARCH)」と題した米国仮特許出願第61/376,608号の優先権を主張する。
本特許出願は、2007年12月3日出願の「超弾性形状設定デバイス及び製造方法(HYPERELASTIC SHAPE SETTING DEVICES AND FABRICATION METHODS)]と題した係属中の米国特許出願第11/949,663号に関連する。この特許出願の内容全体を参照によりここに援用する。
本明細書で取り上げる全ての刊行物及び特許出願は、これらを具体的且つ個々に参照して、その内容全体をここに援用する。
本明細書では、形状記憶合金(SMA)ワイヤを形状設定するための改良した追加的な方法と、該方法で製造した器具について記載する。本明細書に記載するSMA材料は、単結晶SMA材料であり得る。
歯列矯正では、不正咬合を矯正するために、アーチワイヤと呼ばれる可撓性要素に個々の歯を当着するのが標準的な方法である。図1A及び図1Bで示すように、これらは単純にカーブした形状からなるのが一般的である。市販のアーチワイヤは、ステンレス製又はニッケルチタン(例えばTiNi若しくはNiTiとしても知られるニチノール)製である。ニチノール等の形状記憶合金(SMA)はアーチワイヤとして使用するのに特に魅力のあるものであるが、それはこの材料を特性温度以上に加熱した際の形状記憶機構に加え、特性温度以上で「超弾性」特性を有するためである。これら特有の性質は、かかる材料がマルテンサイト変態を経ることによるものである。マルテンサイト変態(例えばオーステナイトからマルテンサイト構造への変態)は、従来の転位による歪みとは異なり、本質的に合金にかかる応力に対応するべく、結晶中の双晶面に沿って原子を再配列することによる。最終的には、完全に新しい結晶構造(マルテンサイト)又は結晶相となる。
歯列矯正で使用するニッケルチタン合金は、結晶相が変化することで可能となる超弾性を十分に利用して、最大6%の完全回復に対応する。しかし、これらの材料に関しては大いに改良の余地がある。例えば重度の不正咬合である場合には、アーチワイヤにはスライディングと超弾性力が主に期待される。さらに、ニッケルチタン合金ワイヤは初期弾性特性を消費した後、歪みが生じる際に大きな応力ヒステリシスを示す。臨床的に、これは以下のことを意味する:1)患者が快適と感じるレベルを超える力がかかることが多い;2)ブラケットにおけるスライディングに対する抵抗は、ブラケット/ワイヤ間の結紮力次第である;3)ワイヤが著しく歪んだ場合、永久歪みとなるか又は回復が不完全となる。ニッケルチタン合金はまた、歪みが著しい場合にはヒステリシスが増大するため、除荷時に適切な力をかけて歯を効果的に移動させることなく、完全な歪み回復を呈する可能性がある。これをグラフで表すと、歪みゼロに戻るか戻らないかの低漸減除荷曲線となる。これらの力学的変動は、一貫しない焼鈍し又は冷間加工から生じることが多い。
歯列矯正の治療に使用する場合には、ブラケットシステムにアーチワイヤを順に通していき結紮する。サイズ及び/又は断面形状の調整が必要な場合には常に、ワイヤを変える必要がある。小さい円形(例えば0.014インチ)のワイヤから始まり、大きい長方形(例えば0.021×0.025インチ)のワイヤで終わることが一般的である(例えば表1を参照されたい)。初期段階のワイヤは、超弾性特性を有する円形の形状記憶合金とすることが典型的である。これらのワイヤは、低い定荷重力を及ぼしながら大きな撓みに対応することを期待したものである。臨床的にこの治療段階では、圧下/挺出{ていしゅつ}{ていしゅつ}、捻転、平行移動、及び傾斜移動を介して歯を水平化し、整列させる。不正咬合の矯正にトルクが必要な場合にはいずれの場合にも、断面が長方形のものを使用する。
Figure 0006262808
例えば、引張又は湾曲(撓み)のいずれかにおける歪みが2%を超えると、0.016インチの円形ニッケルチタンワイヤは典型的に、標準的な応力歪み曲線において300Mpaまでの負荷と200Mpaまでの除荷を示す。このヒステリシスは、臨床医による取付けとワイヤの動作との間にズレを生じる可能性が高いため、問題をはらんでいる。さらに、SMAのヒステリシスがより大きくなれば、疲労の可能性が高くなることを示す。さらに、咀嚼は材料における負荷応力及び除荷応力のプラトー領域を通した循環をもたらすため、ヒステリシスが増大し、生物学的な矯正力を事実上低下させる。最終的に、歪みが大きくなれば従来のニッケルチタン合金のヒステリシスもが大きくなるため、不正咬合の度合いが大きくなって治療が困難となり、多くの場合には永久歪みを生じる。
WO2005/108635号 米国特許第7,842,143号 米国特許出願公開第2009/0187243号 米国特許第5,683,245号 米国特許第5,474,448号 米国特許第5,456,600号 米国特許第5,447,432号 米国特許第5,395,238号 米国特許第5,131,843号 米国特許第5,044,947号 米国特許第5,645,423号 米国特許出願公開第2010/0129766A1号 米国特許出願公開第2010/0190127号 米国特許第6,042,374号 米国特許第5,312,247号 米国特許出願公開第2002/0192617号
ジョンソン(Johnson)著「銅ベースの単結晶形状記憶合金の生体適合性(Biocompatibility of copper-based single crystal shape memory alloys)」、形状記憶及び超弾性技術に関する国際会議の議事録(Proceedings of the International Conference on Shape Memory and Superelastic Technologies)、シュウイチ ミヤザキ(Shuichi Miyazaki)編、SMST−2007、つくば(Tsukuba)、日本、2007年12月
従ってこれらの問題に対処すると共に、ニッケルチタン合金の有益な特性の一部も示すアーチワイヤを製造することが有益である。本明細書では、上記問題の多くに対処し得る「超弾性」形状記憶合金で製造したアーチワイヤについて記載する。
以下に詳述する通り、超弾性SMAは大きく歪んでもこれを回復できる特性を示す。この歪みは、非SMA金属及び合金から製造した要素の場合の歪みより少なくとも一桁大きく、多結晶SMA材料で製造した場合の歪みより略一桁大きい。
超弾性SMAの例としては、CuAlNi、CuNiMn、及びCuAlBe等の単結晶銅をベースとした形状記憶合金がある。例えば2005年11月17日出願のWO2005/108635号及び米国特許第7,842,143号を参照されたい。超弾性ワイヤは、10パーセントを超える完全回復可能歪みを有し、その熱力学的ヒステリシスは非常に小さく、層転移温度は極低温から200℃の範囲であり、応力誘起マルテンサイトの応力が小さく、そして有効滑り摩擦が小さい。これらの合金は生体適合性もある(例えば、ジョンソン(Johnson)著「銅ベースの単結晶形状記憶合金の生体適合性(Biocompatibility of copper-based single crystal shape memory alloys)」、形状記憶及び超弾性技術に関する国際会議の議事録(Proceedings of the International Conference on Shape Memory and Superelastic Technologies)、シュウイチ ミヤザキ(Shuichi Miyazaki)編、SMST−2007、つくば(Tsukuba)、日本、2007年12月、そして米国特許出願公開第2009/0187243号を参照されたい)。
CuAlNi、CuAlMn、及びCuAlBeのほかにも超弾性を示す周知の合金があり、本明細書で記載する通り、これらを使用してもよい。組成の範囲は次のようなものである:CuAl(14−14.5重量%)Ni(3−4.5重量%)、歯科用アーチに好適であるのはCuAl(14.3重量%)Ni(4.5重量%);CuAl(12重量%)Be(0.5重量%);CuAl(11.5-12.8重量%)Mn(4.5-8重量%)。例えばCuAl(12)Ni(4)Mn(2)Ti(1)のような他の組成についても調査を進めているところである。
特に、超弾性単結晶SMAは多結晶SMAを越える利点を多く有する。例えば、単結晶SAMは10パーセントを越える歪み回復を示し;NiTiのようなバルク材から製造した従来のSMA材料より性能が大きく向上している。単結晶SMAはまた、真の定荷重撓みを示し得る。段階的に歪み/応力強さがプラトー領域に達すると共に、さらに変形すると上方への傾斜を維持する多結晶材料とは異なり、超弾性SMA材料は、最大10%変形した際に真に一定の応力を及ぼす、非常に鋭くはっきりとした歪み/応力プラトー領域を有する。プラトー領域が生じる応力レベルは、変態温度と負荷温度との温度差に依存する。さらに、超弾性を示す一部の単結晶SMA、例えばCuAlBeには第2の応力プラトー領域があり、全回復可能歪みが22%まで増大することができる。
また、単結晶SMAの負荷−除荷ヒステリシスは非常に狭い。結果として、負荷(応力増大)と除荷(応力減少)中は両方とも、定荷重が略同じである。この特徴は、アーチワイヤの場合のように湾曲が繰り返し起こる用途にとって重要であり得る。
さらに、単結晶SMAは100%反復可能で完全な回復力を示し得る。多結晶SMA材料の欠点の一つは常に、材料を循環させた場合に生じる「沈殿」であった。沈殿の問題に対処するには、最初の数サイクルの間に生じる永久歪みが器具の機能に悪影響を及ぼさないように、製造プロセスの一部として材料を「調整する」か、あるいは材料を用途に合わせて製造するかのいずれかを行うことが必要である。因みに、超弾性SMA材料はこのような永久歪みを生じないため、種々の用途に合わせる設計プロセスが大幅に単純化される。
銅ベースの超弾性単結晶SMAは一般に、チタンベースの合金より低い応力レベルを呈する。実際、応力誘起マルテンサイト変態が完全であるため、応力のプラトー領域は組成と温度に依存して略ゼロか又は大きくとも数百メガパスカルであり得る。超弾性SMAのこの調整可能な性質は、臨床的用途により広く利用できる。
超弾性特性とするために合金化、熱処理、そして冷間加工の組み合わせを通して調整を行う必要のあるNiTiのSMAとは異なり、単結晶CuAlNiのSMAは固有の超弾性特性を有する:CuAlNiの結晶は、本明細書に記載するように成型した直後に、更なる処理を行わなくとも超弾性となり得る。
単結晶SMAが周知となって数年経つが、これまでは単結晶SMAを使用してアーチワイヤを製作しても成功したことがなかった。それは少なくとも一つには、結晶構造に転位を生じることで単結晶特性を破壊することなく、かかる超弾性材料をアーチワイヤの形態に成型することは困難であるとされてきたためである。詳細には、アーチワイヤ、特に断面が非円形のアーチワイヤ及び/又は予めアーチ形状に湾曲させたアーチワイヤを製造する際には、多結晶SMAの周知の製造技術だけでなく単結晶SMAを製造する周知の方法でさえ不適切である。
本明細書では、超弾性形状記憶合金(SMA)で製造した歯科用アーチワイヤ、詳細には単結晶形状記憶合金材料の歯科用アーチワイヤについて記載する。また本明細書では、例えば単結晶形状記憶合金等の超弾性形状記憶合金を含む歯科用アーチワイヤの調製、成型、及び/又は製造方法について記載する。
一般に、本明細書に記載する超弾性合金(詳細には単結晶SMA合金)は、著しく(場合によっては10%を超えて)歪んだ場合に負荷応力と除荷応力が等しくなるよう容易に維持することができる。真のヒステリシスがないため、疲労と永久歪みを回避することにおいて臨床的に重要な利点がある。さらに、合金組成を介して負荷/除荷のプラトー領域を独立に制御できる。従来のニッケルチタンワイヤは、組成効果に加えて、熱処理及び冷間加工を減らすことによって、最終的な応力−歪み作用を決定する。単結晶SMAを冷間加工するとSMAの超弾性特性を破壊して単結晶構造を崩壊させ、単結晶構造が多結晶形態に戻る可能性がある。結晶粒界における癒着の弱さが、応力誘起マルテンサイト変態に関連する大きな形状変化と組み合わさって多結晶CuAlNiを破砕し、超弾性特性を損なうことになる。
SMAの変態特性と応力(力)の関係は、一般的に変態温度を中心に展開する。NiTi形状記憶合金を用いた現在のアーチワイヤ技術は、これらの材料の固有の性質に依存し、定義する処理の関数として機械力を示す。ワイヤを製造する際の元素組成、熱処理、及び物理的応力の組み合わせで変態特性が確立されるが、これを温度として特徴的に示す(A、A、M、M)。これらの変態温度は、加熱サイクル及び冷却サイクル時の結晶構造(オーステナイトとマルテンサイト)の成長開始点及び成長完了点を定義するものである。これらの結晶構造(結晶相)は本来異なる機械特性を有するため、これらの結晶相の体積分率は任意の特定の温度で存在し、よって所与の条件に対して特有の機械的特性を確立する。オーステナイトが堅固で弾性であるのに対して、マルテンサイトは柔軟で延性である。合金の組成は、特に超弾性合金の場合に変態温度を定義することにおいて最も重要な要素であり、以下のように略記することができる。
Δchemistry = ΔAf = Δforces
歯列矯正のアーチワイヤの製造者は、多くの場合Afとする設定変態温度に基づいて歯にかかる力を定める。Afが小さいほどワイヤの示す剛性と弾性が大きくなり、Afの値が大きいほどワイヤはより柔軟で延性が大きくなる。これらの特異な合金の場合、Afは応力−歪み曲線における負荷及び/又は除荷プラトー領域の高さで表される。本質的にこれらの特性は単結晶中に閉じ込められるため、超弾性合金の場合には歯にかかる力をさらに正確に制御することができる。機械的特性の調整には連続した熱処理と冷間加工は必要ではないため、NiTi合金を超える製造上の利点が明らかである。さらに、これは種々の臨床医及び患者のニーズに対応しようとする製品に幅広く対応する。
オームコ社(Ormco Corporation)の所有する多くの既存の特許(米国特許第5,683,245号、同第5,474,448号;同第5,456,600号;同第5,447,432号;同第5,395,238号;同第5,131,843号;同第5,044,947号を含む)は、米国特許第5,044,947号に記載されているように、例えばCuNiTi(登録商標)の使用を含めて、歯列矯正において銅含有形状記憶合金を使用することについて述べている。しかし、本明細書で記載するように形成したアーチワイヤは一般に、これら特許に記載された多結晶SMAアーチワイヤと比べても優れた特性を有する。
例えば本明細書では、超弾性材料の超弾性特性を維持しながら、超弾性材料を形状設定する方法について記載する。該方法は、単結晶形状記憶合金材料を焼鈍し温度(Ta)に加熱することと;焼鈍し温度にした単結晶形状記憶合金材料と成型器を共に、そして急冷媒体中に誘導することと;を含み、加熱ステップ及び誘導ステップを約1分未満で実行する。
加熱ステップは、単結晶形状記憶合金のワイヤ又はロッドを焼鈍し温度に加熱することを含み得る。ワイヤ又はロッドは、CuAlNi、CuAlMn、CuAlBe、若しくはCuAlNiMnTiの単結晶形状記憶合金であり得る。一部の変形例では、加熱ステップは単結晶形状記憶合金のワイヤ又はロッドをジュール加熱することを含む。
該方法の加熱を行う部分は、迅速に実行することができる。例えば、約2秒未満、約1秒未満、約0.5秒未満、若しくはそれより迅速に、単結晶SMAを焼鈍し温度に加熱し得る。
誘導ステップは一般に、(焼鈍し温度にした)単結晶形状記憶合金材料を成型器に対して誘導すること、又は(焼鈍し温度にした)単結晶形状記憶合金材料に対して成型器を誘導すること、又はこれら2つを相互に誘導すること、のいずれかを意味し得る。同一誘導ステップの一部として急冷媒体(例えば塩水)に浸すことによって、これら2つ(又は少なくとも単結晶SMA材料)を焼入れすることができる。
例えば誘導ステップは、マンドレルを含む成型器と単結晶形状記憶合金を衝突させることを含み得る。誘導ステップは、落下(例えばSMA材料に対して成型器を、あるいはこれを逆にして落下させること、そしてこれら両方を急冷媒体中に落下させること)により実行することができる。一部の変形例では、誘導ステップは、SMA材料と成型器のうちの一方若しくは両方を機械的に誘導することにより実行し得る。例えば誘導ステップは、焼鈍し温度にした単結晶形状記憶合金と成型器を相互に、そして急冷媒体中へと機械的に加速させることを含み得る。
加熱及び誘導プロセス全体は1分未満、又は5秒未満、又は2秒未満、又は1秒未満で実行し得る。例えば、加熱ステップと誘導ステップは数秒(例えば2秒)未満、又は1秒未満で実行し得る。
一部の変形例では、該方法を使用して歯科用アーチワイヤを形成することができる。例えば誘導ステップは、焼鈍し温度にした単結晶形状記憶合金材料と成型器を共に、そして急冷媒体中へと誘導することによって、歯科用アーチワイヤを形成することを含み得る。
また本明細書では、超弾性材料の超弾性特性を維持しながら超弾性材料を歯科用アーチワイヤに形状設定する方法を記載する。該方法は、単結晶形状記憶合金材料のワイヤを焼鈍し温度(Ta)に加熱することと;焼鈍し温度にした前記ワイヤと成型器を共に、そして急冷媒体中へと誘導すること;とを含み、加熱ステップ及び誘導ステップは5秒未満で実行する。
上記のように、加熱ステップはCuAlNi、CuAlMn、CuAlBe、又はCuAlNiMnTiの単結晶形状記憶合金を含むワイヤを加熱することを含み得る。加熱は、単結晶形状記憶合金のワイヤをジュール(電子)加熱することであり得る。加熱ステップは約0.5秒未満で実行し得る。
誘導ステップは、焼鈍し温度にしたワイヤを成型器に対して誘導すること、又は焼鈍し温度にしたワイヤに対して成型器を誘導すること、又はこれら2つを相互に誘導することを含み得る。一部の変形例では、誘導ステップは重力、機械的駆動手段(例えばモータ、ばね等)、空気圧等によって実行する。
本明細書では、これらの方法のいずれかによって形成した器具についても記載する。例えば本明細書では、単結晶形状記憶合金材料のワイヤを焼鈍し温度(Ta)に加熱し、焼鈍し温度にしたワイヤと成型器を共に、そして急冷媒体中に誘導して、ワイヤをアーチワイヤ形状に形状設定し、前記加熱ステップ及び前記誘導ステップを5秒未満、又は2秒未満、又は1秒未満等で実行する方法によって形成した超弾性歯科用アーチワイヤについて記載する。
例えば本明細書では、長尺状のカーブした弓長を有する超弾性歯科用アーチワイヤについて記載するが、超弾性歯科用アーチワイヤは、単結晶形状記憶合金材料として機能することで、10%を超える歪み回復と、定荷重撓みと、最大22%の全回復可能歪みと、100%反復可能で完全な非常に狭い負荷−除荷ヒステリシス回復と、低い滑り摩擦とを有する。
アーチワイヤはU字型とした長尺状のカーブした弓長を有し得る。長尺状のカーブした弓長は、その長さの少なくとも一部にわたって0.013×0.018から0.020×0.026インチの長方形の断面を有し得る。一部の変形例では、長尺状のカーブした弓長は、その長さの少なくとも一部にわたって直径0.013から0.026インチの円形断面を有する。
上記のように、アーチワイヤはCuAlNi、CuAlMn、CuAlBe、又はCuAlNiMnTiの単結晶を含む単結晶形状記憶合金材料であり得る。
また本明細書では、カーブ又は湾曲した形状に形状設定した超弾性形状記憶合金(SMA)構造について記載する。なお該構造は、10%を超える歪み回復と、定荷重撓みと、最大で22%の全回復可能歪みと、100%反復可能で完全な非常に狭い負荷−除荷ヒステリシス回復と、低い滑り摩擦を有する単結晶SMAとして機能する。これらのカーブした又は湾曲した構造は、CuAlNi、CuAlMn、CuAlBe、又はCuAlNiMnTiの単結晶で形成し得る。
本明細書に記載する超弾性形状設定構造のいずれにおいても、湾曲は有意な程度であり得る。例えば形状設定構造の湾曲は、>約30°、又は>約45°、又は>約60°、又は>約75°、又は>約90°、又は>約135°、又は>約180等の湾曲角度又は湾曲半径を有し得る。一部の変形例では、本明細書に記載する超弾性形状設定構造を「湾曲形状」に形状設定するが、この「湾曲形状」は、隣接する領域同士は略真っ直ぐでありながら、これら領域をより小さい湾曲領域で接続して器具を弓状に成型したものである。湾曲領域の角度は、任意の適切な角度(例えば、>30°、>45°、>60°、>75°、>90°、>135°、>180°等)であり得る。
本明細書に記載する超弾性SMAアーチワイヤ器具は、治療の様々な段階において、現時点で必要な異なるアーチワイヤの機能を組み合わせることによって、不正咬合の治療を簡便化し得る。例えば、NiTi、TMA、及びステンレ鋼(SS)のワイヤを用いた標準的な歯科矯正方法は、治療の様々な段階を通じて所与のアーチワイヤの特定の材料特性の利点を十分に生かすようになされている。治療の初期段階での治療に必要なものは、不正咬合の歯列を整列させ、上顎及び下顎のアーチを水平化するための、ワイヤからの弱い力による弾性的挙動である。治療の中間段階では、わずかに大きい力を用いたブラケットによるチップとトルクの相互作用が必要であり得る。終盤の仕上げ段階の矯正には微細な調整及び個々の歯の調整が必要となり得る。これら銅ベースの単結晶ワイヤの例示的な材料の特性により、治療の初期及び中間期の多くを統合することができるため、治療時間を全体的に短縮することができる。
NiTi及びTMAに比べて、単結晶超弾性アーチワイヤ(例えばCuAlNiワイヤ)は、患者の快適性を高め(弱矯正力)、効率的な骨再形成に対する骨親和性(応力が一定であるため、正確に設定できる)、深刻な不正咬合の永久歪みへの耐性(超弾性度が大きい)、臨床的に使い易いこと(ヒステリシスが無い)、繰返し不具合に対する耐性(疲労寿命が長い)、そして高効率性(低摩擦/バインディングが少ない)を提供し得る。超弾性SMAワイヤは同等サイズのNiTiワイヤに比べて挙動がかなり「小さい」(例えばより小さいサイズのNiTiワイヤの場合に一般的に見受けられる機械力と同等の機械力を発揮する)ため、治療プロセスのかなり早い段階で、NiTi及びTMAの使用効果を融合した形で、より大きな長方形のワイヤを使用できる(初期及び中間段階)。例えば、0.027インチの円形CuAlNiワイヤは、0.018インチのNiTiワイヤと同等の湾曲力を示す。さらに、ワイヤの超弾性の範囲が大きくなれば、適応する回復可能歪みも一層大きくなるため、ワイヤが早期に歪む(次の来院までにワイヤが使用できなくなる)可能性が低下する。
超弾性SMAアーチワイヤを用いてワイヤの性能をこのように改良した結果、従来のNiTiワイヤを用いた治療に比べてワイヤの所要量が減った。診療時間(来院の頻度)と全体的な治療期間をかなり減らすことができる。例えば、CuAlNi(又はその他の超弾性SMA材料)のアーチワイヤでは、従来の6ワイヤシーケンスが4又は3ワイヤシーケンスに減るため、患者及び治療を行う歯科矯正医は費用と時間を節減できる。
アーチワイヤの一例を示す図である。 図1Aで示すアーチワイヤと同様のアーチワイヤの例示的な断面図である。 図1Aで示すアーチワイヤと同様のアーチワイヤの例示的な断面図である。 図1Aで示すアーチワイヤと同様のアーチワイヤの例示的な断面図である。 アーチワイヤを形成する装置の一例を示す図である。 アーチワイヤを形成する1つの方法を示す図である。 多結晶SMA(CuNiTi)と単結晶SMA材料(CuAlNi)を比較したバインディングテストの結果を示すグラフである。
本明細書に記載する方法を歯科用アーチワイヤとの関連で示すが、これらの方法はアーチワイヤとしての使用に限定されないことを理解されたい。特に、本明細書に記載する方法を使用して、任意の形状記憶合金(SMA)材料、詳細には単結晶形状記憶合金材料を形状設定することが可能である。
利便性を図るため、真っ直ぐなワイヤをアーチ形状にして患者の顎の形状に略一致させるが、このプロセスは形状設定として知られている。NiTiベース合金のワイヤの場合には典型的に、所望のアーチ形状を有するマンドレルにNiTiベースの合金ワイヤを巻回し、炉内で400℃以上に加熱して焼鈍しを行い、形成したワイヤを冷却することにより、形状設定する。この形状設定プロセスには1時間以上かかる場合がある。
NiTiベースのワイヤを形状設定する周知の、そして商業的に使用されているプロセスは、超弾性ワイヤの形状設定に使用することができない。典型的に単結晶である超弾性ワイヤは熱力学的に安定性がない。数百度の高温では、要素の1つ以上(特にAl)が徐々に沈殿を生じる。これらの沈殿物は結晶格子から要素を除去し、組成を事実上変化させるため、合金の遷移温度が変化する。500℃に加熱して数分間冷却した単結晶SMAワイヤには、形状記憶性も超弾性もない。
迅速に、例えば数秒でワイヤを加熱して冷却すれば、Alが沈殿するという影響を回避できる。しかし、所望の形状にするのに十分な質量のマンドレルを迅速に加熱して冷却することは、不可能である。このようなことから、本明細書に記載する歯列矯正用アーチの超弾性ワイヤを形状設定する新規プロセスを発明するに至った。
本発明は、真っ直ぐな超弾性ワイヤの弾性と遷移温度を維持しながら、超弾性ワイヤをアーチ形状にする方法及びプロセスを示す。詳細には、単結晶特性を破壊することなく、加熱したワイヤを成型器(例えばマンドレル)の形状に成型する方法が新規である。
一般に、この方法は単結晶SMA材料(例えばワイヤ又はロッドのような長尺状部材に最初から形成したもの)を準備するステップと、前記材料を焼鈍し温度(Ta)に加熱して、迅速に、そうでなければ同時に若しくは略同時に成型器回りに前記材料を誘導して焼入れするステップと、を含み得る。図3は、形成ステップ303、加熱ステップ305、及び成型/焼入れステップ307を含む前記方法の種々のステップを示しており、以下これらステップの各々についてより詳細に記載し、説明する。
成型器については「成型器」又はマンドレルと称する場合もあるが、典型的には超弾性単結晶SMA材料を成型して同時に又は略同時に焼入れし得るように使用する物体とする。明細書の記載を通じて、成型器を便宜上マンドレルと呼ぶが、マンドレルは加熱したSMA材料を形状設定し得る任意の適切な構造であり得ることを理解されたい。成型器(例えばマンドレル)の使用に際しては、単結晶材料を成型するのに十分な力で単結晶材料を誘導して成型器に当接させる。成型器はまた、成型する単結晶材料と共に移動して急冷媒体(例えば急冷浴)中に入るよう使用することもできる。成型器の変形例として、単結晶材料を成型器に当接させて急冷媒体中に入るよう誘導する際に単結晶材料を引抜き加工又は押出し加工するダイ又は成型開口がある。成型器を薄い要素とすれば、冷却/加熱を迅速に行って均一な焼入れを促進することができる;一部の変形例では、単結晶材料を成型器に当接させる際に単結晶材料を支持するのに十分な強度と、迅速で略均一な若しくは均一な焼入れを行うのに十分な熱伝導性を有する材料で、成型器を形成することができる。
まず、任意の適切な方法で単結晶SMAを製造し得る。例えば約Cu(81.2)Al(14.3)Ni(4.5)重量パーセントの単結晶として形成した超弾性SMAは、融液からの引上げ又は連続鋳造のいずれかによって、押出成型として形成し得る。上記のように、らせん形又は湾曲のような他の形状を形成することが望ましいが、多結晶SMA(例えばニチノール)の形成に使用する方法は、単結晶性を破壊する;多結晶CuAlNiは脆性である。
一般に、本明細書で述べる方法及びシステムでは任意の適切な超弾性材料を使用できる。例えば、使用し得る超弾性SMA材料は、例えばCuAlNi、CuNiMn、CuAlBe、及びCuAlNiMnTi等の単結晶銅ベースの形記憶合金を含む。詳細には、有用な単結晶SMAは、CuAl(14−14.5%)Ni(3−4.5%);CuAl(12%)Be(0.5%);CuAl(12%)Ni(4%)Mn(2%)Ti(1%)等を含む。
かかる単結晶SMA材料の製造及び性能については、例えば2006年7月31日出願の米国特許出願第10/588,412号に記載されている。なお、この特許出願は参照によりここに援用する。例えば、単結晶CuAlNiはスチェパーノフ法を使用して融液から引抜き加工し、冷却し得る。単結晶が冷却されると沈殿が生じて、力、形状記憶、及び超弾性に関する特性が最適でなくなるおそれがある。形状記憶特性と超弾性特性の付与には、沈殿物を溶解するのに十分高い温度に加熱した後すぐに迅速に冷却して(「焼入れして」)、溶解した元素成分中に閉じ込めることが必要である。高温を使用してCuAlNiの超弾性単結晶の形状を変更すると、通常は単結晶性が失われる;高温では元素成分(特にAl)が沈殿して組成が変化する。このため、これらの材料の並外れた歪み回復(>10%歪み)を活かすよう意図したアクチュエータ材料と湾曲は、結晶の形成中にネットシェイプを生成することに限定されてきた。
CuAlNi単結晶は準安定状態にあるため、次第に変化して多結晶形態となる。分解率は温度に依存する。室温では分解率が十分に低いため、数年かけて生じる変化は無視できる程度である。300から400℃では、分解率は多結晶化が数秒で生じ得るほど迅速なものである。多結晶は一旦形成されると、単結晶として再生しない:再生には溶解と特別な処理が必要となる。しかし、CuAlNiは焼鈍し温度に加熱することと急冷を繰り返すことにより単結晶状態を維持する。十分高い温度(典型的には850から950℃)では、3つの成分Cu、Al、Niは溶解状態にある。CuAlNiの超弾性特性は、非常に狭い組成範囲で示される。冷却を十分速く行わなければ、Alが沈殿して組成が変化し、熱機械的特性が大幅に変化する。この影響については例えばジョンソン(Johnson)の米国特許第7,842,143号に記載されている。
再び図3を参照すると、加熱ステップ305を迅速に実行し得る。一部の変形例では、電気パルス又は連続AC若しくはDC電流のいずれかでジュール加熱を行うことにより、ワイヤを焼鈍し温度に加熱する。銅ベースの単結晶合金は、約8マイクロオーム/cmの抵抗を有する良好な導電体である。それ故、低電圧高電流源を装備することによって電源の電気インピーダンスを負荷に整合させることが不可欠である。典型的には、ワイヤの端部に1から3ボルトの電圧を印加する。典型的な電流は10から30アンペアである。ワイヤをその焼鈍し温度(Ta)に加熱し得る。一般に、焼鈍し温度は約600℃を越える温度である(例えば約600から900℃)。例えば、適切な焼鈍し温度は650から850℃の範囲であり得る。この温度はその鮮紅色によって評価するか、又は赤外線放射温度計によって測定することができる。
単結晶材料が焼鈍し温度にある間に、所望のアーチ形状を有する成型器にワイヤを迅速に(例えば、0.5秒未満で)巻回し、急冷浴中に入れる(307)。加熱、成型、及び冷却は1秒足らずで行う(又は数秒未満で行う)ことができる。
一般に、超弾性特性を低下させることなく単結晶形状記憶合金の形状設定を行う装置又はデバイスは、加熱特徴(例えば単結晶材料を加熱するために電気エネルギーを付与するための抵抗加熱制御、加熱炉等)、成型を行う成型器(ダイ、切断開口等を含み得る)、成型した材料を焼入れ/冷却するための急冷浴、及び成型器に当接させた単結晶材料を急冷浴から及び急冷浴へと誘導するための誘導手段と、を含み得る。
例えば、図2は超弾性ワイヤを形状設定する装置の一例を示す。単結晶超弾性材料のアーチワイヤを形状設定する又は成型するデバイスの第1実施形態では、装置は可変変圧器205、急冷浴206、変圧器の出力(低電圧)電極209と接触するようワイヤ端部を保持するクランプ若しくはチューブと、U字型の凹凸金属(銅)マンドレル215を有するプランジャ211とを含み得る。
図2では、デバイスは図の中心より右にある電力変圧器に降下電圧を供給する調節つまみ203(変圧器の左部分にある)を有する可変変圧器を含む。この変圧器は、AC電圧を1から3ボルトの範囲にさらに下げ、10から40アンペアの電流を電極に供給する。これらの電極は半透明のプラスチック枠に懸吊した2つの真鍮の棒であり、電力変圧器の電気端子から超弾性ワイヤまで延在する。外側に延出するフランジを終端とするU字形の金属である成型マンドレルの下に超弾性ワイヤの一部を見ることができる。半透明のプラスチック枠を通って延出し、クランプによって一時的に保持したU字の中心にロッドを取り付けることによって、マンドレルがワイヤ上に落下しないようになされている。プロセスは、ワイヤが焼鈍し温度に達するまで電極からの電流によってワイヤを加熱することと、ロッドを取り付けた成型マンドレルを解放して(クランプを外して)、マンドレルをワイヤ上に落下させることと、マンドレル周りでワイヤを成型することと、ワイヤを電極から切断することと、ワイヤを焼入れ水の容器中に突入させることと、を含む。加熱プロセスは5秒未満で行うことができる:焼入れは数ミリ秒で行う。
この例では、マンドレルとSMAを急冷媒体中に誘導する誘導手段は、マンドレルに当接した加熱単結晶超弾性SMA材料を急冷媒体中に落下させる構造である。この構造はプランジャを含むが、該プランジャは重力によって移動し、解放された際に加熱SMAをマンドレルに当接させて(又はマンドレルを加熱SMA材料に当接するよう誘導して)、急冷媒体中に落下させるため、マンドレルによる成型と焼入れが略同時に(例えば数秒若しくは数秒足らずで)発生する。
任意の適切な誘導手段を使用し得る。例えば、誘導手段を重力で誘導する必要はなく、モータ、空気圧、又はその他で誘導して、加熱したSMA材料をマンドレルに当接させて急冷媒体中に誘導することができる。
上記のように、任意の適切なマンドレル(成型器)を使用して、加熱した単結晶超弾性SMA材料を成型することができる。例えば別の例では、デーモンオームコ(Damon Ormco)社のアーチワイヤ、部品番号205−1903の形態に機械加工した鋼鉄でマンドレルを製作する。W.M.ベルグ社(W.M. Berg Inc.)(ニューヨーク州11518、イーストロックアウェイ、オーシャンアベニュー499 (499 Ocean Ave, E. Rockaway NY 11518))の製造する線形ボールベアリングにマンドレルを取り付ける。一部の変形例では、マンドレル若しくは成型器を成型プロセスによって変更又は破壊する。例えば、マンドレルを使い捨て又は壊れやすいものとすることができる。一部の変形例では、マンドレルは耐久性のある再利用可能なものとすることができる。
図2に示す例では、電磁方式のラッチを動作させる足踏み式のスイッチで、ジュール加熱を行う電力を制御し、焼入れ操作のタイミング制御を向上させている。成型デバイス/装置用の他の制御手段を使用してもよい。一部の変形例では、プロセス全体を非常に迅速に連係させることができることから、加熱/誘導/焼入れ方法を起動する単一のトリガ又は制御手段を設けることが便利である。
一般的に、成型器/マンドレルと加熱SMA材料を共に急冷媒体中に突入させることができる。力の量は比較的少ない(例えば成型器/マンドレル上に落下するアーチワイヤの重量によってかかる力)場合もあれば、多くの力がかかる場合もある。かかる力は誘導手段によって調整可能又は制御可能である。
一部の変形例では、ワイヤの温度を赤外線センサーで感知することができる。加熱したワイヤを焼入れ前に、非常に多様な形状をとり得るマンドレルに巻回させて成型できる。例えば、液体窒素からの窒素等の冷却したガスパルス流によって、冷却を迅速に行うことができる。
変形例の一部では、材料を焼鈍し温度に迅速に加熱し、マンドレルと強制的に接触させて、焼鈍し温度到達直後に焼入れすることができる。よって、SMA材料を迅速に(例えば1秒未満で)加熱して材料が所望の温度に達すると、成型/焼入れステップを即刻且つ迅速に実行できるように、単結晶SMA材料の加熱速度を制御することができる。
ここに示す例の一部では、ワイヤが所望の温度(Ta)に加熱されるまでワイヤの上にマンドレルを吊設しておき、その後マンドレルを解放すると重力で(又はばね、モータ等のその他の若しくは追加的な機械力によって)落下して加熱したワイヤに当たる。マンドレルが落下する際にマンドレルによりワイヤにかかる力がクランプ若しくはチューブからワイヤが外れるが、この力によりワイヤがマンドレルの内部溝形状と確実に整合することになる。マンドレルはワイヤと接触することでワイヤから熱をすぐに吸収し始めるが、マンドレルとワイヤの両方を水浴、好ましくは塩水浴中に浸水させることにより、迅速に冷却する。
図2の例のマンドレルは、厚さ0.005から0.020インチ、長さ約7インチ、幅0.5インチの一枚の銅板で製造したものである。この銅板を長軸に沿って折り、所望のU字型となるよう頂点に沿って湾曲させ、エッジを折り目から外方向に向けるようにする。銅が加工硬化しない程度に十分高い温度で焼鈍しを繰り返しながら、折った銅板を所望のU字型となるよう軽くたたくことで、このように複雑に湾曲させることができる。この技術は金属加工業者にはよく知られた技術である。
ここで図1Aから1Dを再び参照する。これらの図は、本明細書に示す方法によって形成し得るアーチワイヤの種々の実施形態を示す。例えば、図1Aは歯列矯正用アーチワイヤの概略図を示す。この例では、アーチワイヤは上記のようにアーチ形状に形成した、直径約0.016インチの単結晶SMAワイヤである。アーチワイヤの形状は高さ約3インチ、幅3インチである。
図1Bから図1Cは、かかるアーチワイヤの種々の断面図を示す。例えば、図1Bは円形の(又は楕円形の)断面図を示す。図1Cは正方形の断面図を示し、一方図1Dは長方形の断面図を示すこれらの例のいずれの例においても、アーチワイヤ全体の断面形状及び/又は直径が同じであってもよい、又は、アーチワイヤの領域毎に断面形状及び/又は直径が異なっていてもよい。例えば一部の変形例では、断面が円形の領域(例えば103)と、断面が長方形の領域(例えば101)を有するアーチワイヤもある。一部の変形例では、アーチワイヤの異なる領域101、103の特性が、その領域における単結晶SMAの組成及び処理に基づいて異なるものであってもよい。
一般に、上記方法と装置を用いて長方形のアーチワイヤを製造することができる。例えば長方形のアーチワイヤは、加熱したワイヤを引っ張る又は押し出すと、更なる成型(例えばカーブの追加等)を同時に行うことができるダイを含むよう構成したマンドレルを用いて製造することができる。
長方形の断面を有するアーチワイヤ(あるいは長さの一部にわたって断面が長方形のアーチワイヤ)が望ましいが、それは断面が長方形であることで歯列矯正医は歯を操作する際に更なる自由度をアーチワイヤに付与できるためである。
一部の変形例では、同じ単結晶超弾性材料の成型を複数回行って、最終的な形状にすることができる。例えば、処理の第1段階でアーチワイヤを長方形のワイヤに成型し、第2段階でカーブした形状に成型する。処理の各段階は、材料を適切な焼鈍し温度に加熱し、その後材料をマンドレルに当接させて(又はマンドレルを材料に当接させて)、略同時に焼入れすることを含み得る。
要約
上述のように、超弾性材料は所望の特徴(比較的小さい力で操作可能であること、歪みから完全に回復できること等)を有する。しかし、ニチノールの処理に適した製造方法(例えばマンドレルに巻回させて炉内で加熱し、酸化層を除去し、切断する)は、単結晶材料を損傷することなく容易に実行することはできない。例えば、かかる材料を非常に長い時間にわたって高温(形状設定温度)に維持したり、徐冷したりすると、形状記憶特徴が大幅に変化する。単結晶材料を形状設定することは困難であるとされてきた。
本明細書に記載するように、材料の加熱と冷却を迅速に行えば(特に冷却を迅速に行えば)、元素成分の全てを溶液中に維持できることがわかった:焼入れは沈殿(例えばAl沈殿)をほとんど生じさせないため有効な組成が変わらない。本明細書に記載するように、低電圧、高電流によるジュール加熱でワイヤを焼鈍し温度に迅速に加熱して、同時に又は略同時に焼入れを行って材料を成型し、非常に迅速に冷却することで、単結晶材料を材料の特性を損なうことなく形状設定することができる。よって本明細書に記載するように、材料を適切な温度に加熱して水中に誘導することによって成型及び焼入れを行って所望の形状に成型することにより、単結晶材料の形状設定を行うことができる。成型と冷却は略同時に行う。
本明細書に記載する形状設定方法は、本明細書では超弾性SMA材料をアーチワイヤに成型することにおいて特に有用であると記載しているが、例えばアーチワイヤに一般的に使用されているチタン−ニッケルベースの合金等の多結晶SMA材料を含めて、単純にカーブした形状に成型することが望ましい任意のワイヤ材料の任意の成型に使用することができる。よって、本明細書に記載する技術は単結晶材料を形状設定するために必要な技術であるが、この技術はまた、チタン系三元合金やその他の金属導電合金の形状設定を既存の方法より早く、また少ないエネルギーで行うよう適応させることもできる。
さらに、これらのステップのうち任意のステップ(あるいは全てのステップ)は自動化できるため、本明細書に記載する方法は特に自動化に適している。それとは対照的に従来の方法は、例えばマンドレルへの巻回、端部の固定、炉中への投入等、効果的に自動化することが困難である。
多結晶SMAは単結晶超弾性SMAに比べて(特に、歪みが非常に大きい場合に等しい負荷と除荷を維持することに関して)特性が劣っているため、本明細書に記載する技術を用いたアーチワイヤの製造には超弾性SMA材料を使用する。その結果得られるアーチワイヤは、優れた特性を有し得る。例えば、本明細書に記載するように形成した超弾性合金は、ワイヤの形態で優れた特性を示し、従来の歯列矯正において使用するアーチワイヤに理想的に適合することがわかった。例えば、これらの材料は完全なる「超弾性特性」を示す。超弾性合金結晶は、(001)結晶面の溶融から成長し、対応する軸に最大の歪み調整を提供する。伸長すると、10%を越える十分に回復可能な歪みを達成し、残留効果もない。単結晶では、β1→β1’と定義する応力誘起マルテンサイト(SIM)中で結晶構造の能力を十分に利用する。従来のSMAは、粒界、異方性組織(結晶方位)、転位、及びプロセス矛盾によって弾性を失う。歯列矯正に使用するNiTiワイヤは一般に、4%から6%の回復可能歪みを達成する。これらの超弾性合金中で結晶が成長すると、機械的特性は本質的にその構造中に閉じ込められる。スライディング(σc)に対する限界応力が極めて高く、結晶中で転位を生じることが抑制される。
さらに、本明細書に記載する単結晶SMAは生体適合性がある。この生体適合性は、三元組成にCuとAlがあるためであるが、これらは合金を表面酸化させて、体液及び特に唾液等の腐食環境から保護することを可能にする。これらCuO、Cu2O、Cr2O3、及びAl2O3層の厚さは1ミクロン未満であり、経口作用に代表される体内のpHサイクルに対して優れた耐性を示す。CuAlNi合金を調査したところ、細胞毒性、全身毒性、遺伝毒性、転移効果をこれまで示したことはなく、完全な血液適合性を有する(ISO10993−1基準)。
本明細書に記載した単結晶SMAは、応力ヒステリシスも示さない。伸長状態では、10%歪んだ場合に示す応力ヒステリシスは微々たるものであった。S−S図の負荷及び除荷曲線は効果的に重なる。さらに、これらの超弾性SMAの示す定荷重は小さい。応力ヒステリシスが無いことで、任意の誘導負荷の帰還路において確実に一貫した力が印加される。しかし、超弾性合金のさらなる重要な特徴は、歪みにかかわらずその経路に沿って材料が一定の荷重を示すことである。超弾性合金のこの一定荷重のプラトー領域は、従来のNiTi合金のものよりかなり低いものであるが、従来のNiTi合金では歪みの増大に比例した荷重を示す場合もある。歯列矯正に使用する場合、これは、より大きい断面の超弾性ワイヤが、はるかに小さいNiTiワイヤのように作用することを意味する。プラトー領域の高さは、材料の化学的特性(例えばAlの重量%はAf温度に反比例する)と焼鈍し/焼入れプロセスによって正確に設定することができる。
さらに、本明細書に記載する単結晶SMAは、スライディングに対する歯列矯正の抵抗を有意に低減した;単結晶SMAで製造した超弾性アーチワイヤは、標準的なブラケットを使用して、従来のNiTi合金に比べてインビトロでバインディング及び/又は摩擦をかなり低減させた。接点におけるブラケット本体への垂直力は、歯列矯正のスライディング力学における重要な要素であると思われる。コーナー周りに応力がかかると、超弾性アーチワイヤは、切欠き、湾曲、又は構造的転位ではなく局所的にSIMへの変態を選択的に行う。これにより、不正咬合の場合の結紮箇所における非直線性にワイヤがより良く対応することができるため、垂直力が減少する。垂直力が減少すると、バインディング及び摩擦の発生が効果的に減る。酸化物層も堅固で障害のない表面を提供するため、ワイヤがより効果的にコーナーに対応できることで、垂直力が減少する。CuAlNiの先行試験を行ったところ、商業的に電解研磨した表面は、スライディング(バインディング)に対する歯列矯正の抵抗を従来のNiTiワイヤに比べて最大80%低減することがわかった。例えば、図4を参照されたい。
最後に、本明細書で示す単結晶SMAはまた、優れた疲労寿命を有し得る。例えば、CuAlNiのカンチレバー疲労テストでは、従来のNiTi合金に比べてサイクル時間が2〜3倍となったことがわかった。
これらの利点のために、超弾性アーチワイヤは、歯列矯正の大部分においてチタンニッケルベースのアーチワイヤに取って代わる可能性が高い。
上記の装置、システム、及び方法の多くは主に、歯科/整形外科用のアーチワイヤに関するが、超弾性SMA構造の形状設定は種々の用途に使用可能であると共に、種々の形状に成型可能である。例えば、超弾性SMA構造は他の歯科的用途を含めて、他の用途にも使用可能である。本明細書に示すように形成し得る他の構造(そして単結晶超弾性SMA材料から形成し得る他の構造)には、次のようなものがある:ヘルプスト器具(Herbst appliances)(例えば、米国特許第5,645,423号);リトラクションアーチ(retraction arch)(米国特許出願公開第2010/0129766A1号);仮の付属装置(temporary attachment device accessories)(例えば米国特許出願公開第2010/0190127号);アーチワイヤ結紮ばね(archwire ligating springs)(例えば米国特許第6,042,374号);口内エキスパンダー(transpalatal expanders)(例えば米国特許第5,312,247号);アライナーに埋め込んだワイヤ支持体(wire support embedded in aligners)(例えば米国特許出願公開第2002/0192617号の図2参照);コイルばね;及び顔弓等。例えば、口内エキスパンダーの一部としてこの材料を使用すると、定期的にねじを調節する際の患者コンプライアンスの必要がなくなる。上顎の拡張にはゆっくりとした確実な力を用いるが、これは力が一定であることからもたらされる。
以上、理解を明確にする目的で図面や例示を用いて本発明を説明したが、本発明の教示を踏まえて、発明の主旨又は範囲を逸脱することなく変更及び変形をなすことができることは、当業者には容易に明らかであろう。
(付記)
付記1の方法は、超弾性材料の超弾性特性を維持しながら、前記超弾性材料を形状設定する方法であって:単結晶形状記憶合金材料を焼鈍し温度(Ta)に加熱することと;前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料と成型器を共に、そして急冷媒体中に誘導すること;とを含み、加熱ステップ及び誘導ステップを約1分未満で実行することを含む。
付記2の方法は、付記1に記載の方法であって、加熱することが、単結晶形状記憶合金のワイヤ又はロッドを前記焼鈍し温度に加熱することを含む。
付記3の方法は、付記1に記載の方法であって、加熱することが、CuAlNi、CuAlMn、又はCuAlBeの単結晶形状記憶合金のワイヤ又はロッドを加熱することを含む。
付記4の方法は、付記1に記載の方法であって、加熱することが、単結晶形状記憶合金のワイヤ又はロッドをジュール加熱することを含む。
付記5の方法は、付記1に記載の方法であって、加熱することが、約0.5秒未満で加熱することを含む。
付記6の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料を前記成型器に対して誘導することを含む。
付記7の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料に対して前記成型器を誘導することを含む。
付記8の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、マンドレルを含む成型器と前記単結晶形状記憶合金を衝突させることを含む。
付記9の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料を前記成型器に対して、そして前記急冷媒体中へと落下させることを含む。
付記10の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料に対して、そして前記急冷媒体中へと前記成型器を落下させることを含む。
付記11の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金と前記成型器を相互に対して、そして急冷媒体中へと機械的に加速させることを含む。
付記12の方法は、付記1に記載の方法であって、誘導することが、塩水を含む前記急冷媒体中で前記単結晶形状記憶合金を焼入れすることを含む。
付記13の方法は、付記1に記載の方法であって、前記加熱ステップと前記誘導ステップを数秒未満で実行する。
付記14の方法は、付記1に記載の方法であって、前記加熱ステップと前記誘導ステップを1秒未満で実行する。
付記15の方法は、付記1に記載の方法であって、前記誘導ステップが、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料と前記成型器を共に、そして前記急冷媒体中へと誘導することによって、前記単結晶形状記憶合金から歯科用アーチワイヤを形成することを含む。
付記16の方法は、超弾性材料の超弾性特性を維持しながら超弾性材料を歯科用アーチワイヤに形状設定する方法であって:単結晶形状記憶合金材料のワイヤを焼鈍し温度(Ta)に加熱することと;前記焼鈍し温度にした前記ワイヤと成型器を共に、そして急冷媒体中へと誘導し、前記ワイヤをアーチワイヤ形状に形状設定すること;とを含み、前記加熱ステップ及び前記誘導ステップを5秒未満で実行することを含む。
付記17の方法は、付記16に記載の方法であって、加熱することが、CuAlNi、CuAlMn、CuAlBe、又はCuAlNiMnTiの単結晶形状記憶合金を含む前記ワイヤを加熱することを含む。
付記18の方法は、付記16に記載の方法であって、加熱することが、単結晶形状記憶合金の前記ワイヤをジュール加熱することを含む。
付記19の方法は、付記16に記載の方法であって、加熱することが、約0.5秒未満で加熱することを含む。
付記20の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記ワイヤを前記成型器に対して誘導することを含む。
付記21の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記ワイヤに対して前記成型器を誘導することを含む。
付記22の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記ワイヤを、マンドレルを含む成型器と衝突させることを含む。
付記23の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記ワイヤを前記成型器に対して、そして前記急冷媒体中へと落下させることを含む。
付記24の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記ワイヤに対して、そして前記急冷媒体中へと前記成型器を落下させることを含む。
付記25の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、前記焼鈍し温度にした前記ワイヤと前記成型器を相互に対して、そして前記急冷媒体中へと機械的に加速させることを含む。
付記26の方法は、付記16に記載の方法であって、誘導することが、塩水を含む前記急冷媒体中で前記ワイヤを焼入れすることを含む。
付記27の方法は、付記16に記載の方法であって、前記加熱ステップと前記誘導ステップを1秒未満で実行する。
付記28のアーチワイヤは、長尺状のカーブした弓長を有する超弾性歯科用アーチワイヤであって、前記超弾性歯科用アーチワイヤが単結晶形状記憶合金材料として機能することで、10%を超える歪み回復と、定荷重撓みと、最大22%の全回復可能歪みと、100%反復可能で完全な非常に狭い負荷−除荷ヒステリシス回復と、低い滑り摩擦とを有する、アーチワイヤ。
付記29のアーチワイヤは、付記28に記載のアーチワイヤであって、前記長尺状のカーブした弓長がU字型である。
付記30のアーチワイヤは、付記28に記載のアーチワイヤであって、前記長尺状のカーブした弓長が、その長さの少なくとも一部にわたって0.013×0.018から0.020×0.026インチの長方形の断面を有する。
付記31のアーチワイヤは、付記28に記載のアーチワイヤであって、前記長尺状のカーブした弓長が、その長さの少なくとも一部にわたって直径0.013から0.026インチの円形断面を有する。
付記32のアーチワイヤは、付記28に記載のアーチワイヤであって、前記単結晶形状記憶材料がCuAlNiの単結晶を含む。
付記33のアーチワイヤは、付記28に記載のアーチワイヤであって、前記単結晶形状記憶材料がCuAlMnの単結晶を含む。
付記34のアーチワイヤは、付記28に記載のアーチワイヤであって、前記単結晶形状記憶材料がCuAlBeの単結晶を含む。
付記35のカーブ又は湾曲した構造は、カーブ又は湾曲した形状に形状設定した超弾性形状記憶合金(SMA)構造であって、10%を超える歪み回復と、定荷重撓みと、最大で22%の全回復可能歪みと、100%反復可能で完全な非常に狭い負荷−除荷ヒステリシス回復と、低い滑り摩擦を有する単結晶SMAとして機能する。
付記36のカーブ又は湾曲した構造は、付記35に記載のカーブ又は湾曲した構造であって、前記単結晶形状記憶材料が、CuAlNi、CuAlMn、CuAlBe、又はCuAlNiMnTiの単結晶を含む。

Claims (13)

  1. 超弾性材料の超弾性特性を維持しながら超弾性材料を歯科用アーチワイヤに形状設定する方法であって、
    単結晶形状記憶合金材料のワイヤ又はロッドを焼鈍し温度(Ta)に加熱することと、
    前記焼鈍し温度に維持されている間に、誘導動作を用いて、前記加熱されたワイヤ又はロッドに、所定のカーブしたアーチワイヤ形状をとらせるために、前記所定のカーブしたアーチワイヤ形状を有する成型器の外面と、前記加熱されたワイヤ又はロッドとを接触させることと、
    記所定のカーブしたアーチワイヤ形状にすると、迅速に、前記形付けられ加熱されたワイヤ又はロッドを焼入れすることと、
    を含む方法。
  2. 前記誘導動作は、前記接触させることから前記焼入れすることにおいて、連続している、
    請求項1に記載の方法。
  3. 前記誘導動作は、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料を前記成型器に対して、そして急冷媒体中へと落下させることを含む、
    請求項2に記載の方法。
  4. 前記誘導動作は、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料に対して、そして急冷媒体中へと前記成型器を落下させることを含む、
    請求項2に記載の方法。
  5. 前記誘導動作は、前記焼鈍し温度にした前記単結晶形状記憶合金材料と前記成型器を相互に対して、そして急冷媒体中へと機械的に加速させることを含む、
    請求項2に記載の方法。
  6. 前記接触させるステップと焼入れするステップは、数秒未満で実行される、
    請求項2に記載の方法。
  7. 前記単結晶形状記憶合金材料は、CuAlNi、CuAlMn、又はCuAlBeである、
    請求項1に記載の方法。
  8. 加熱することは、ジュール加熱することを含む、
    請求項1に記載の方法。
  9. 加熱することは、約0.5秒未満で加熱することを含む、
    請求項1に記載の方法。
  10. 前記誘導動作は、前記ワイヤ又はロッドを前記成型器に向かって誘導し、そして接触させることを含む、
    請求項1に記載の方法。
  11. 前記誘導動作は、前記成型器を前記ワイヤ又はロッドに向かって誘導し、そして接触させることを含む、
    請求項1に記載の方法。
  12. 前記誘導動作は、マンドレルを含む前記成型器と前記単結晶形状記憶合金材料を衝突させることを含む、
    請求項1に記載の方法。
  13. 前記焼入れすることは、前記形付けられ加熱されたワイヤ又はロッドを塩水に浸水することを含む、
    請求項1に記載の方法。
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