JP2633162B2 - 羽根鋳造用鋳型 - Google Patents

羽根鋳造用鋳型

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JP2633162B2 JP4336068A JP33606892A JP2633162B2 JP 2633162 B2 JP2633162 B2 JP 2633162B2 JP 4336068 A JP4336068 A JP 4336068A JP 33606892 A JP33606892 A JP 33606892A JP 2633162 B2 JP2633162 B2 JP 2633162B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポンプ用インペラなど
の羽根部品を鋳造するための鋳型に関する。
【0002】
【従来の技術】ポンプ用インペラなどの羽根部品を鋳造
するための鋳型を造型する場合、通常は、羽根形状に等
しい模型の隙間に砂等の鋳型材料を充填して模型を引き
抜くいわゆる引き抜き造型法が用いられる。羽根形状が
3次元的にひねられていて造型後の模型の引き抜きが不
可能な場合は、ロストワックス法のような消失模型法
か、模型をゴム等の弾性体で成形して模型を変形させつ
つ鋳型から引き抜く弾性模型法が一般に用いられる。し
かし、消失模型法は鋳造数と同数の模型を必要とするの
で模型費が高く付き、弾性模型法は造型時の鋳型材料の
重量で模型が変形するので鋳造精度が損われる。そこ
で、上述した各造型法に代え、複数の中子を組合せて鋳
造すべき羽根部品の羽根形状に応じた空隙を形成する寄
せ型法が用いられることがある。
【0003】図16および図17は上述した寄せ型法に
よる鋳型の一例を示すものである。この鋳型は、一対の
下型Lおよび上型Uの間に複数の中子Nが周方向に並べ
て介装されたもので、不図示の湯口から注湯される溶湯
が各中子Nの間の羽根用空隙Sbに回り込むことによ
り、図18に示すように、回転軸の回りに螺旋状に延び
る複数枚(図では5枚)の羽根Bを備えたインペラIが
鋳造される。中子Nは、鋳造すべきインペラIの羽根間
の隙間Cに対応した形状の本体Mと、本体Mの両端に設
けられた幅木Hi,Ho(図16の斜線部分)とを有す
るもので、幅木Hi,Hoが下型Lないしは上型Uと嵌
合して各中子Nが所定の位置に保持される。このような
寄せ型法では、同一の中子取りから多数の中子Nを造型
できるので、模型の製作費用が大幅に低減される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した寄
せ型法では、鋳造すべき羽根BがインペラIの回転軸の
回りに3次元的にひねられているので、図17に示すよ
うに中子Nを周方向へずらしつつ順にセットしてゆく
と、最後の中子N5を収納すべき隙間C5の上部に最初
にセットした中子N1が突き出てしまい、最後の中子N
5を回転軸方向に下ろして下型Lに収めることが不可能
となる。この場合、最後の中子N5を羽根の捩れ方向に
沿ってひねりつつセットすることも考えられるが、中心
側の幅木Hiが邪魔して入らない。
【0005】そこで、上記の中子Nをセットするには、
すべての中子Nを実際の組み付け径よりも大きな円を描
くように組合せ(このときは中子N同士の間に大きな隙
間が空く)、しかる後、各中子Nを同時に径方向中心側
へ寄せ集める必要があり、要領良く作業を進めるには相
当の熟練を要する。しかも、この寄せ集め手順では、中
子Nの相互のバランスが取り難いので中子Nの位置決め
精度が悪く、鋳造精度が劣化するおそれが大きい。仮に
幅木Hiがなかったとしても、羽根Bの回転軸方向に対
するひねり度合いや回転軸回りの巻き付き長さが増加す
れば、やはり中子Nの中心側が邪魔となって中子Nを寄
せ合わせることが困難となる。
【0006】本発明の目的は、模型製作費が安価で、熟
練を要することなく容易に造型でき、鋳造精度も高くで
きる羽根鋳造用鋳型を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1に対
応付けて説明すると、本発明は、複数の型部材10,2
0,21を組合せてこれら型部材10,20,21の間
に鋳造すべき羽根部品の羽根形状に応じた空隙Sbを形
成する羽根鋳造用鋳型1に適用される。そして、上述し
た目的は、空隙Sbを形成する複数の型部材10,2
0,21のうち少なくとも一の型部材(10,20)
を、各型部材10,20,21が羽根部品の回転軸方向
の一方の側から順に組合せ可能となるように空隙Sbに
臨む面203の途中で分割することにより達成される。
【0008】
【作用】空隙Sbに臨む面203の途中で分割された型
部材(10,20)のうち、空隙Sbの中心側を形成す
る部分10を先に組み付けておけば、空隙Sbの外周側
を形成する部分20は、中心側の部分10に邪魔される
ことなく、後から型部材10,20,21同士の隙間に
挿入できる。
【0009】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0010】
【実施例】以下、図1〜図12を参照して、本発明の一
実施例を説明する。なお、本実施例の鋳型は上述した図
18に示す5枚羽根のインペラIを鋳造するためのもの
であり、インペラIに関する構成は図18を参照するも
のとする。
【0011】図1および図2に示すように、本実施例の
鋳型1では、鋳物砂などの鋳型材料によって成形された
5つの寄せ型10が鋳型中心軸Xの回りに放射状に配置
されるとともに、寄せ型10と同一材料で成形された4
つの中子20および単一の組中子21が寄せ型10上に
設置されて、鋳型1の中心軸Xの回りにインペラIの羽
根Bの形状に応じた5つの羽根用空隙Sbが形成され
る。また、中子20,21の上部に上型30が被せられ
て、上型30と寄せ型10および中子20,21との間
にインペラIのボス部(図18では省略)に応じた円錐
形状のボス用空隙Scが形成される。
【0012】図1〜図4に示すように、寄せ型10は鋳
型中心軸Xと直交する下面100と、鋳型中心軸Xと平
行な一対の側面101と、鋳型中心軸Xを中心として円
筒面状に延びる外周面102とを備えた略扇形状をな
す。側面101の挟み角は360゜を羽根Bの枚数で除
した値(実施例の場合は72゜)に設定されている。寄
せ型10の上面側にはボス用空隙Scを形成する段付き
面103およびボス形成面104と、羽根用空隙Sbを
形成する羽根形成面105が形成されている。羽根形成
面105は鋳造すべき羽根Bの反作用面(図29の凹面
側)の中心側に合わせて湾曲し、その外周側には、寄せ
型10の外周へ向って上り勾配となるテーパ面106を
介して下面100と平行な中子支持面107が連設され
ている。
【0013】図1、図2、図5〜図7に示すように、中
子20は、中子本体200と、中子本体200の外周に
配置される幅木210,220とを備える。中子本体2
00は、ボス用空隙Scを形成する湾曲面201と、羽
根Bの作用面(図29の凸面側)に合わせて湾曲する第
1の羽根形成面202と、羽根Bの反作用面の外周側に
合わせて湾曲する第2の羽根形成面203とを備える。
羽根形成面202,203の間の肉厚は、羽根Bの隙間
Cがその中心部へ向うほど狭まるのに対応して、中子本
体200の外周から内周側の先端面204へ向うほど薄
くなる。
【0014】中子本体200の先端面204は寄せ型1
0の側面101と当接可能とされる(図1、図2参
照)。これらが当接したとき寄せ型10の羽根形成面1
05と中子20の第2の羽根形成面203とが連続して
羽根Bの反作用面に対応した一の湾曲面が形成される。
なお、205は寄せ型10の側面101に形成した凹部
108と嵌合して中子20の内周側を位置決めする凸
部、206はテーパ面であって、このテーパ面206の
幅木220よりも下方へ突出する部分は寄せ型10のテ
ーパ面106と当接し、残る部分は隣接する中子20の
テーパ面207と当接する(図2の右側参照)。
【0015】幅木210,220は鋳型中心軸Xを中心
として弧状に湾曲し、鋳型中心軸Xの方向に段違いに配
置されるとともに、上段の幅木210が中子本体200
の湾曲面201の外周に沿って延び、下段の幅木220
が第2の羽根形成面203の外周に沿って延びるように
周方向へずらして設けられる。幅木210,220の鋳
型中心軸Xに対する中心角は、いずれも360゜を羽根
Bの枚数で除した値(実施例の場合は72゜)に設定さ
れる。
【0016】幅木210,220の上面211,221
および下面212,222は鋳型中心軸Xと直交する平
面に形成され、上段の幅木210の下面212と下段の
幅木220の上面221とは同一高さに形成される。こ
れにより、一の中子20の幅木210の下面212と、
他の中子20の幅木220の上面221とを当接させた
とき、幅木210の上面211同士が面一となり、幅木
220の下面222同士が面一となる。中子20の外周
面230は鋳型中心軸Xを中心とする円筒面状に形成さ
れ、その曲率半径は寄せ型10の外周面102と等しく
される。
【0017】組中子21は、寄せ型10の合わせ面の延
長上に設けた分割面22a,23a上で分割可能な一対
の分割片22,23によって構成され、その組合せ状態
での形状は中子20と全く同一である。すなわち、組中
子21は、中子20を図5および図6の2点鎖線Lc上
で分割したものである。したがって、本明細書では組中
子21の各構成要素について中子20の対応部分と同一
符号を付し、説明を省略する。
【0018】次に鋳型1の造型手順を図8〜図11を参
照して説明する。鋳型1を造型するには、まず図8およ
び図11に示すように5つの寄せ型10を鋳型中心軸X
の回りに寄せ合わせて下型を造型する。ついで、図9お
よび図11に示すように組中子21の分割片22をその
第2の羽根形成面203がいずれか一の寄せ型10の羽
根形成面105と連なるように位置決めしつつ寄せ型1
0上に載置する。このとき、分割片22の下段の幅木2
20の下面222が寄せ型10の中子支持面107に当
接して分割片22が支持される(図2の左側参照)。
【0019】ついで、図10および図11に示すよう
に、分割片22の第2の羽根形成面203および幅木2
20の側方に中子20を下ろしてその第2の羽根形成面
203が対応する寄せ型10の羽根形成面105に連な
るように位置決めする。このとき、分割片22の幅木2
20の上面221と新たな中子20の上段の幅木210
の下面212が当接して中子20が保持される。これに
より、中子20の第1の羽根形成面202と、分割片2
2の第2の羽根形成面203と、これに連なる寄せ型1
0の羽根形成面105とによって一の羽根用空隙Sbが
形成される。
【0020】以下同様に中子20の側方に新たな中子2
0をセットして、各中子20の第1の羽根形成面202
と、隣接する中子20の第2の羽根形成面203と、寄
せ型10の羽根形成面105によって羽根用空隙Sbを
順次形成する。4つの中子20をすべてセットして図1
0に示す状態となった後は、分割片22と中子20との
隙間Cに露出する第2の羽根形成面203と幅木220
の上面221を覆うように組中子21の分割片23をセ
ットする。この後、図2に2点鎖線で示すように中子2
0の上部に上型30を被せて、上型30の表面と各中子
20,21の湾曲面201から寄せ型10のボス形成面
104,段付き面103との間にかけてボス用空隙Sc
を形成する。そして、不図示の湯口やガス穴を形成して
鋳型1の造型を完了する。
【0021】鋳型1を羽根用空隙Sb上で直線的に展開
した断面を図12に示す。この図から明らかなように、
本実施例では従来一体であった寄せ型10と中子20,
21が分割可能とされているので、各寄せ型10を寄せ
合わせた上で組中子21の分割片22から順に中子2
0,21をセットして最後に分割片23をセットすれ
ば、寄せ型10および中子20,21をすべて鋳型中心
軸Xの一方の側から組合せることができ、中子20をひ
ねったり複数の中子20を同時に寄せ合わせたりする必
要がなくなる。したがって、熟練を要しなくとも容易に
鋳型1を造型でき、寄せ型10や中子20,21の位置
決め精度を高めて鋳造精度の向上を図り得る。寄せ型1
0や中子20,21の模型を一旦用意すれば後は模型を
製造する必要がないので、従来の寄せ型法と同様に模型
費が安価で済む。中子20,21と寄せ型10が別体な
ので軽量化され、自重による変形や変位が防止されて鋳
造精度が一層高まる。
【0022】本実施例では特に中子20,21の幅木2
10,220を鋳型中心軸Xの方向に2段に設け、隣接
する中子20,21の幅木210,220同士を鋳型中
心軸Xの方向に重ね合わせたので、中子20,21の位
置決め精度および安定性が一層高まる。幅木210,2
20のいずれか一方のみとした場合は、幅木の中心角が
羽根Bの枚数すなわち中子20,21の周方向の分割数
で決まってしまうため、幅木の周方向長さが羽根形成面
202,203の周方向長さに比して不足し、中子2
0,21の安定性が損われて鋳造精度が劣化するおそれ
がある。また、寄せ型10で下型を構成したため、鋳型
1を構成する部品数が減少し、造型コストが削減され
る。
【0023】なお、本実施例では、すべての中子20,
21を寄せ型10に対して分割可能に設けたが、図13
に示すように一の中子20と寄せ型10とを分割可能と
し、残りの中子を寄せ型と一体の中子20A,21Aと
しても、すべての中子を鋳型中心軸Xの一方の側から順
に組合せできる。図14に示すように、組中子を寄せ型
10とのみ分割可能な中子20Bに変更しても、羽根用
空隙Sbに沿って中子20Bをスライドさせれば最後の
中子20Bもセットできるので、すべての中子を同時に
セットする従来よりも造型が容易である。図14の例で
は、中子20Bを羽根用空隙Sbの方向にスライドさせ
るときの障害とならないように、幅木240の両端24
1,242を羽根用空隙Sbに沿って傾斜させる必要が
ある。実施例では寄せ型10を組合せて鋳型1の下型と
したが、図15に示すように下型40を別途設けてもよ
い。寄せ型10を分割することなく一体に形成して下型
としてもよい。
【0024】以上の実施例では、一の中子20,21と
一の寄せ型10との組合せが一の型部材を構成する。ま
た、鋳型中心軸Xが羽根部材の回転軸に相当する。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋳造すべき羽根形状に対応した空隙を形成する型部材
を、羽根部品の回転軸方向の一方の側から順に組合せる
ことができるので、熟練を要することなく容易に造型で
き、鋳造精度を高め得る。模型製作費が安価という寄せ
型法の長所も何等損われない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の鋳型の平面図。
【図2】図1のII−II線における断面図。
【図3】実施例の寄せ型の平面図。
【図4】図3のIV方向からの側面図。
【図5】実施例の中子の平面図。
【図6】図5のVI方向からの側面図。
【図7】図6のVII−VII線における断面図。
【図8】実施例で寄せ型を寄せ合わせたときの平面図。
【図9】実施例で最初の中子をセットした状態を示す平
面図。
【図10】実施例で寄せ型上に最後の中子をセットする
前の状態を示す平面図。
【図11】実施例の中子の組み付け手順を示す斜視図。
【図12】図1の鋳型を羽根用空隙上で直線的に展開し
た断面図。
【図13】中子の分割状態を変更した変形例を示す図。
【図14】中子の分割状態を変更した他の変形例を示す
図。
【図15】寄せ型と別に下型を設けた変形例を示す図。
【図16】従来の鋳型構造を示す断面図。
【図17】従来の鋳型を図16の1点鎖線Y上で展開し
た断面図。
【図18】鋳造すべき羽根の一例を示す平面図。
【符号の説明】
1 鋳型 10 寄せ型 20,21 中子 105 寄せ型の羽根形成面 202 中子の第1の羽根形成面 203 中子の第2の羽根形成面 B インペラの羽根 I インペラ Sb 羽根用空隙 X 鋳型中心軸

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の型部材を組合せてこれら型部材の
    間に鋳造すべき羽根部品の羽根形状に応じた空隙を形成
    する羽根鋳造用鋳型において、 前記空隙を形成する複数の型部材のうち少なくとも一の
    型部材を、各型部材が前記羽根部品の回転軸方向の一方
    の側から順に組合せ可能となるように前記空隙に臨む面
    の途中で分割したことを特徴とする羽根鋳造用鋳型。
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