JP2632475B2 - Pet樹脂の射出成形方法 - Google Patents

Pet樹脂の射出成形方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、白金線の有する耐酸
化性と大きな温度差を保持できること、そして細線径の
コイル状熱線を得ることが可能なことにより成形性の優
れたPET樹脂の射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、PET樹脂はポリエチレンテレ
フタレート樹脂として、数多くの医療容器とか飲料ボト
ル用プリフォーム(コールドパリソン)などの射出成形
材料として用いられている。
【0003】そして、特に (1)透明で光沢の良い外観の良好なボトルが得られ着
色も可能である。
【0004】(2)軽く、同一容量のガラスの重量の 1
/7〜1/10の重量となる。強度が強く、落としても割れな
い。
【0005】(3)ガスバリアー性にすぐれ酸素、およ
び炭酸ガス等の透過が少なく、内容物の保存性にすぐれ
ている。
【0006】(4)無臭であり、保香性に優れ、フレー
バーの吸着も少ない。
【0007】(5)分子が、炭素、水素、および酸素の
みで構成されており焼却時に有害ガスが発生しない。
【0008】(6)燃焼エネルギー5,500kal/kg と小さ
く、木材に近く焼却時に炉をいためる心配がない。
【0009】(7)耐薬品性に優れ、強アルカリおよび
一部の特殊浴剤を除き、酸を始めほとんどの溶剤に耐え
る。
【0010】(8)食品衛生法に基づく我国の規格およ
びアメリカFDAの規格に合格しており、食品衛生性に
すぐれている。
【0011】などの顕著な特徴を有しているもので、そ
の用途は極めて広い。
【0012】図5および図6は、従来例の射出成形装置
の要部を示すもので、1はランナー部、2はサブランナ
ー部、3はゲート、4はキャビティを示す。
【0013】このキャビティ4は図7に示すような飲料
ボトル用プリフォーム(コールドパリソン)aを得る形
状を備える。
【0014】また、図5ではランナー部1を縦通した円
錐状プローブ5aに、ランナー部1を加熱するためのボ
ディヒータ6を備え、図6ではランナー部1内にランナ
ー部を加熱できるボディヒータ6を内蔵した円錐状のプ
ローブ5bが縦通配設してある。
【0015】叙上の構成にあって、ボディヒータ6を働
かせて溶融状態にあるPET樹脂を所望の射圧力により
射出させれば、PET樹脂はランナー部1よりサブラン
ナー部2およびゲート3を経て、キャビティ4内に射出
され、図5に示すサブランナー部2で成形されたスプル
ーサブランナーa1 を有するコールドパリソンaを得る
ことができる。
【0016】そして、このスプルーサブランナーa1
一部白化するため、次工程には、カットラインc−c線
に沿ってこの部分を切除して行うようにしている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】叙上のように従来のP
ET樹脂射出成形にあっては、ゲート部分の分子量低下
による成形品の白化現象すなわち正常では透明であるが
ゲート近傍(ゲートランド)の少量の未溶融樹脂が成形
加工中に流れ、これが白化樹脂となってスプルーサブラ
ンナーとして得られるという問題があった。
【0018】このように、一般に云ってPET樹脂は、
結晶性樹脂の中でもダイレクトゲート方式が最も困難で
あり、成形品の白化により機能、特に強度が満たされな
くなる。したがって利用分野の多いPET樹脂製の医療
容器(採血管等)や飲料ボトル用プリフォーム(コール
ドパリソン)のダイレクトゲート方式は採用されず、数
少ない採用においても白化を吸収すべきスプルーサブラ
ンナー(成形後切断、図7参照)を設けた形状が余儀な
くされ、無駄な樹脂使用、品質(白化バラツキ)や切断
工程が必要となり、また医療容器成形はクリーンルーム
での作業が必要とされるため切断工程時に発生する樹脂
カスの散乱等の問題がある。
【0019】
【課題を解決するための手段】この発明は、叙上の点に
着目して成されたもので、PET樹脂原料を可塑化手段
で加熱溶融し、所望の射出圧の下にノズル部よりマニホ
ール部、ランナー部を経てゲートより直接キャビティ内
に射出させて射出成形すると共に、ゲート近傍に沿って
配設したコイル状に捲回し白金線の間欠温度制御手段
によりゲート部分に滞溜する固化または溶融樹脂を、溶
融または固化させてゲート部の開閉を行わせ、ゲート部
分の残留スプルーを除去した成形物を得られるようにし
たことを特徴とするPET樹脂の射出成形方法を得るこ
とにある。
【0020】また、この発明の白金線の間欠温度制御手
段は、ゲート部分の外周に臨ませて制御できるようにし
たことを特徴とするとともに、更にこの発明の白金線の
間欠温度制御手段は、ランナー部からゲート近傍に至る
溶融樹脂の流通位置に臨ませて制御できるようにしたこ
とを特徴とするものである。
【0021】
【作用】PET樹脂原料は、可塑手段により射出成形に
必要な溶融状態を保持している。その状態で所望の射出
圧の下に射出成形操作が行われるが、その射出成形操作
に先立ちゲートを部分的に加熱する間欠温度制御手段が
働き、ゲート部分で冷却固化しているPET樹脂を急速
に加熱溶融する。この間欠温度制御手段は白金線を用い
ているので熱応答性が頗るよく、瞬時にゲート部分の固
化ないし軟化樹脂を溶融することができる。
【0022】したがって、PET樹脂は、温度不足に基
づく白化現象の派生を防ぐことができる。
【0023】かくして、射出成形操作が終了すると、ゲ
ート部を局部加熱している間欠温度制御手段が作動を停
止し、ゲート部分は冷却固化してゲートを閉じる。
【0024】ついで型開操作により取り出された成形品
は、ゲート部分の痕跡を僅かに残すのみで透明性の良い
成形状態で得ることができる。
【0025】
【実施例】つぎに、この発明の実施例を、図1および図
2に示す異なる構成の射出成形装置に基づいて説明す
る。
【0026】各図において1,3,4および6は従来例
と同一の構成であるのでその説明の詳細は省く。
【0027】7は白金線の間欠温度制御手段を示し、細
少径の白金線をコイル状に捲回してゲート3の近傍に配
設して間欠的に通電加熱できるようになっている。
【0028】図1にあっては、ランナー部1を縦通した
円錐状プローブ5cの先端円錐状部に近くゲート3と通
ずるゲートランド3aの外周に白金線を電熱線として配
設内蔵させたものである。
【0029】また、図2にあっては、ランナー部1内に
縦装させた円錐状プローブ5dの先端に細少径の白金線
を捲回配設してゲート3近傍を局部的に加熱できる電熱
線としたものである。図において、符号8はノズル、9
はマニホールドを示す。
【0030】叙上の構成においてランナー部1内のPE
T樹脂はボディヒータ6により保温溶融状態にあり、同
様にマニホールド9、ノズル8を経て図示されていない
可塑化装置内のPET樹脂も加熱溶融状態にある。
【0031】所望の射出圧を以って射出成形するに先立
ち、ゲート部3部分のPET樹脂は冷却固化または軟化
状態にあるので白金線の間欠温度制御手段7を働かせて
瞬時に加熱溶融し、所謂ゲート3を開く。ゲート3部分
は熱分布が悪いので白金線の急速な発熱作用によって直
ちに加熱され、その結果十分に溶融し、射出可能のPE
T樹脂となり、所望の射出操作によってもキャビティ4
内に必要量のPET樹脂が射出される。
【0032】射出操作を完了すると直ちに白金線への通
電を停止しゲート3の近傍の加熱を停止し、ゲート3部
のPET樹脂を冷却固化ないし軟化させる。
【0033】したがってゲート3は閉じキャビティ4で
成形された成形品を得ることができ。同様に同一操作を
繰返すことにより、反覆同一の射出成形操作を行うこと
ができる。
【0034】このようにして得られた成形品は、白金線
の間欠加熱操作によってゲート部分の加熱溶融,冷却固
化の作業が極めて節度よくしかも歯切れよく行えるので
温度不足による白化現象などの不都合が生ずることがな
いと共に従来のようなスプルーサブランナーを派生しな
いので爾後作業を無駄なく能率良く行うことができる。
【0035】なお、図4に示すような採血管用のコール
ドパリソンbを得る場合には、図3に示すようにゲート
3をキャビティ4の連通部10の内側に突出するように
形成し、これにより図4に示すようにゲート跡11がコ
ールドパリソンbの表面12より内側に僅かに突出する
のみに止まり、ゲート跡11に直接指が触れるという衛
生上の不都合を回避できる利点がある。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、コイル状に捲回した
熱応答性の高い白金線の間欠温度制御手段を用いている
ので、ゲート近傍のみの温度制御ができると共に、適度
な開口径やゲート切断が可能となり、さらにゲート部の
間欠加熱機能により適度な開口温度が得られると共に、
ゲートを加熱する白金線にはゲート近傍の樹脂を所定内
で溶融できる高熱容量を備えているためゲートランドの
大半の樹脂を完全溶融し、キャビティ内に流し込むこと
ができる。その上PET樹脂は固化と溶融の温度範囲が
他の樹脂と比較し、最も接近しているため、成形時(型
開時)にゲートランドの微少温度の違いによる成形品の
ゲート跡(残り)にバラツキやゲート高が生じるという
虞れを白金線の間欠温度制御手段により無くす効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るPET樹脂の射出成形方法を
実施するための一実施例を示す装置の要部の断面図
【図2】 この発明に係る方法を実施するための他の実
施例を示す装置の要部の断面図
【図3】 さらにこの発明に係る他の方法を実施するた
めの実施例を示す装置の要部断面図
【図4】 同上の成形品の断面図
【図5】 従来例を示す要部断面図
【図6】 他の従来例を示す要部断面図
【図7】 図5,図6で製造された成形品の断面図
【符号の説明】
1 ランナー部 3 ゲート 4 キャビティ 5c,5d 円錐状プローブ 7 白金線の間欠温度制御手段 8 ノズル 9 マニホールド 11 ゲート跡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 67:00 B29L 22:00 (56)参考文献 特開 昭63−236615(JP,A) 特開 昭57−188329(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ET樹脂原料を可塑化手段で加熱溶融
    し、得られた溶融樹脂を所望の射出圧の下でノズル部よ
    りマニホールド部、ランナー部を経てゲートより直接キ
    ャビティ内に射出させて射出成形すると共に、ゲート近
    傍に沿って配設したコイル状に捲回し白金線の間欠温
    度制御によりゲート部分に滞溜する固化樹脂または溶融
    樹脂を、溶融または固化させてゲートの開閉を行い、ゲ
    ート部分の残留スプルーを除去した成形物を得られるよ
    うにしたことを特徴とするPET樹脂の射出成形方法。
  2. 【請求項2】 白金線の間欠温度制御手段は、ゲート部
    分の外周に臨ませて制御できるようにしたことを特徴と
    する請求項1記載のPET樹脂の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 白金線の間欠温度制御手段は、ランナー
    部からゲート近傍に至る溶融樹脂の流通位置に臨ませ
    御できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の
    PET樹脂の射出成形方法。
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