JP2632042B2 - 布帛に連続的に液粒を付与する方法及び装置 - Google Patents

布帛に連続的に液粒を付与する方法及び装置

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JP2632042B2 JP17716089A JP17716089A JP2632042B2 JP 2632042 B2 JP2632042 B2 JP 2632042B2 JP 17716089 A JP17716089 A JP 17716089A JP 17716089 A JP17716089 A JP 17716089A JP 2632042 B2 JP2632042 B2 JP 2632042B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はインクジエツト機構によつて、布帛表裏に処
理液粒付与を同時に行う方法及び装置に関するものであ
る。更に詳しくは、液粒として、染料もしくは顔料イン
クを用いる場合には、着色もしくは着色パターン形成を
布帛表裏におこなうことにより、着色部の浸透性、形状
のシヤープさ、表現の多様性を得ることができ、また、
液粒としてポリマーなどの機能性処理剤を用いる場合に
は、布帛上への皮膜や粒子膜の形成による布帛の改質を
布帛表裏におこなうことにより、その物性、風合などの
多様性を得ることができるという、布帛に連続的に液粒
を付与する方法及び装置に関する。本発明は染色加工分
野での無地染色、捺染、樹脂加工仕上げに対応するもの
である。
〔従来の技術〕
布帛への各種処理液粒を付与する方式としては多数の
方式が知られており、インクジエツト機構による付与も
例えば特開昭61−215787、特開昭61−75870、特開昭60
−99081、特開昭61−6347、特開昭54−18975などで公知
である。特に染色業界でのいわゆる捺染に相当するもの
として、コンピユーター記憶媒体に従つてインクジエツ
トのノズルをコントロールし、所定の形、所定のドツト
構成を表現する方式は、直接布帛に再現する方式で無彫
刻、即応性、配色の容易さ、CADとの連動し易さから、
従来の方法にはない長所を有するものである。しかしな
がら、これを用いて実際に工業的に生産する場合、まだ
問題点の多々ある事も事実で、特にインクジエツトノズ
ルの噴射部に限れば最も基本的な問題は、発色の鮮明さ
(濃色性)と型の鮮鋭さ(型ぎわ性)の両立にある。こ
の目的に対し、生地の前処理状態と使用するインクの粘
度等のバランスをとつて、にじみなどを防止する技術と
して特開昭61−215787、特開昭61−231287などに種々の
方法が提案されているが、どの方法を用いても従来のス
クリーン捺染、ロータリスクリーン捺染などに匹敵する
品位のものは得られておらず、なかんづく、裏通りが良
くて、鮮鋭な模様を得る事は不可能であつた。
一方、捺染調の柄模様表現以外の、染色加工業でのい
わゆる染色や樹脂加工分野では、インクジエツト方式に
よる布帛に対する付与量が極端に少ない特徴を生かした
商品は出現していず、単なる処理液付与の一方式としか
認識されていないのが実状である。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述の特殊な問題から出発して、本発明者等はインク
ジエツトの付与量の少ない事をより特徴的に生かし、し
かも浸透性の少ない欠点をインクの粘度調整、ジエツト
量増加によらない方式で改良し、更に浸透性の悪い性質
を寧ろ利点として生かす方法を鋭意研究した結果、これ
まではインクジエツト装置のドラムもしくはベルトを布
帛の固定ならびに移動に採用して、布帛の一方表面にし
か付与可能でなかつたものを、表裏両面より付与する事
により上記問題点を改良することに成功し、本発明に到
達した。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
本発明の方法は上記問題点を解決するために表部及び
裏部よりインクジエツトする事により、処理液の布面方
向、例えばタテ、ヨコ糸の方向に処理液の浸透を極度に
押えながら、且つ布帛の断面方向に処理液の浸入度を表
裏よりのインクジエツトにより増加せしめ、しかも表裏
異なつた種類の処理液付与による相乗効果をも得ようと
するものである。又この方式によるインクジエツトの位
置合わせ精度低下を可及的に押えようとするものであ
る。
より具体的には本発明の方法及び装置は、主としは繊
維から構成されている布帛に、インクジエツトによつて
連続的に処理液粒を付与する方法において、布帛をほゞ
垂直的に間歇的に走行させながら、間隔50mm〜1200mmに
保たれた上下ロールに導入し、この上下ロール間で表部
及び裏部に対し、同時にインクジエツト処理液粒を付与
し、インクジエツトと次のロール間の距離間隔を変化さ
せることによつて、張力を調整し、布帛に1〜5g/cmの
張力を加えながら走行させ、且つ、布帛の移動及びイン
クジエツトノズルの作動噴射をコンピユーターで制御す
ることを特徴とする布帛に連続的に液粒を付与する方
法、及びこれを達成するための装置である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明で布帛とは、不織布、編物、織物などをいい、
繊維以外に各種の樹脂剤、仕上剤、染料、又はバインダ
ー等を含むものも包含し、100%繊維から構成されるも
のとは限らない。又使用される繊維の種類は何等制約は
なく、例をあげると、ポリエステル繊維、ポリアミド繊
維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、
ポリプロピレン繊維などの合成繊維を始め、ビスコース
レーヨン繊維、キユプラレーヨン繊維、アセテート繊
維、木綿、麻、絹、羊毛などの再生、天然繊維すべてに
適用され、且つ、長繊維、短繊維をとわない。
一方、インクジエツト用インクとしては直接染料、分
散染料、カチオン染料、反応性染料などの染料をはじ
め、微粒化された顔料、およびポリウレタン、ポリアミ
ド等のポリマー、油剤などの柔軟剤、シリコンポリマ
ー、弗素ポリマーなどの撥水、撥油樹脂など染色加工界
で用いられている着色剤、仕上剤のいづれも微分散液と
して使用可能である。
以下、図面に従つて本発明をより具体的に説明する。
第1図の1は本発明の機構を示す装置の概略側面図で
ある。この装置並びに方法は次の様に構成されている。
布帛(6)は拡布状態で導入ガイドロール(1)からほ
ゞ垂直に下方に導かれ、張力調整ロール(2)によつて
布帛上に一定の張力をかけると共に、布帛の方向をかえ
引出しガイドロール(3)に移動誘導される。このロー
ル(1)と(2)の間に布面表裏双方に位置し、かつ布
帛巾より長く設定されなた水平シヤフト(5)(5)′
上を往復走査するインクジエツトノズルヘツド(4)
(4)′が平行かつ所定距離を保ち設置され、布帛の間
歇的移動と処理液粒付与をコンピユーター制御し、プロ
グラム動作されることによつて、布帛がノズルヘツド間
を通過する間に布帛表裏に吹き付け、液粒層が形成され
る。第1図の2は第1図の1と同様であるが布帛の進行
方向が逆方向の例を示す。
第2図は、第1図で示された布帛移動誘導の機構を示
すもので、導入ガイドロール(1)、張力調整ロール
(2)、引出ガイドロール(3)の関係を示す。第2図
では布帛移動誘導は上部より下部方向に走行する。この
間の布帛は、空間部の走行する事になるので、インクジ
エツト噴射の精度保持には、特定の条件が必要である。
その一つはなるべく空間部にある距離を短くする事で、
具体的には第2図で示されるlの値をさす。この距離が
多くとも1200mm以下におさえるべきであり、この距離が
これ以上長いと、この間の布帛の微小な揺動により被噴
射位置の精度が保持できない。一方、50mm以下ではイン
クジエツトノズルヘツドをセツトする事ができない。
更にもう一つ重要な事は、インクジエツトによる印写
によつて布帛が溶媒の液体を吸収して膨潤による伸縮作
用が生ずる。本発明の方法は比較的インク付与率が小さ
いので通常の処理剤付与に比べて伸縮作用が少ないがそ
れでも噴射精度に影響を及ぼす。
インクジエツトの位置ぎめ精度を保つには布帛の平面
性を保持し、布帛の揺動を防止する事が必要で、ベルト
上にはつたり、ドラム上で押えつけられない本発明方法
では一定の張力を布帛上にかけるのが最も簡単で確実な
方法である。この張力は1〜5g/cmが好ましい。本発明
ではこの張力が張力調整ロールを介してコントロールさ
れる。調整の結果、布帛は第2図のロール(2)の上部
に記入した矢印の方向に伸縮し、ロールはこれに応じて
可動する。結果的に本発明方法によれば、布帛は、ジエ
ツトノズルでの噴射前の乾燥状態で印写されるのでここ
までは無伸縮で位置精度は保持される。インクの溶媒付
与による布帛の伸縮はジエツト噴射後のポジシヨンで修
正される。
これらの位置精度保持のため、ロール(1)、
(2)、(3)上で布帛がスリツプしない様に押えロー
ルで押圧したり、摩擦度の高い表面材質を採用したり、
布帛に皺が入らないような適切なベンドをロールに与え
たり、ロールを中空にして真空吸収させるような適宜の
方式が採用される。
張力調整ロール(2)は金属、プラスチツク、木製等
よりなる径が2cm以上の円柱棒であり、その長さは拡布
状巾よりも長く設定され、布帛巾に1〜5g/cmになるよ
うに選択される。最も簡単な方式はロール自身の自重に
よる方式又はおもりによる荷重方式である。更にスプリ
ング等による引張り力を応用した方式も良い結果を及ぼ
す。これ等の張力調整は、何れも第2図のロール(2)
上方の矢印方向の上方動により微調整されるが、結果的
にその張力は、導入ロール(1)と引出しガイドロール
(3)とのロール円周速度の差で調整されるべきで、ロ
ール(2)の変化をセンサーでチエツクしガイドロール
(3)の回転速度を変化せしめて吸収する。
張力調整ロール(2)にて布帛は方向転換され、引出
しガイドロール(3)に接するがこの距離aは(2)の
径と同等程度に近くある必要がある。
又、張力調整ロール(2)と導入ガイドロール(1)
とは布帛がほゞ垂直を保てる位置にセツトする必要があ
る。これは、表及び裏部の二つのインクジエツトが同じ
条件で噴射できるようにするため必要であり、布帛に傾
斜を与えながら走行することは機械操作上好ましいが、
ジエツト噴射条件を同じにセツトす事が困難となる。
第3図の1、第3図の2、第3図の3は、導入ガイド
ロール(1)と張力調整ロール(2)の間に設置される
インクジエツト機構ヘツドの位置を示すものである。図
中(4)(5)が表側のノズルヘツド並びに水平シヤフ
トであり、(4′)(5′)は裏側のものである。前述
の如く、布帛の正確な位置ぎめには、インクジエツトヘ
ツドが相対して同場所、同位相で動作することが好まし
いが、又一方では、表裏を意図的に時間差をおいて噴射
する事により、多目的の商品展開が可能となる。例え
ば、表撥水、裏吸水加工の仕上は表側をまず噴射して裏
側を次いで噴射する場合が効果上好ましい。又、両面に
異なつた色相又は図柄をインクジエツト染色する場合に
は淡色又はより鮮鋭さを必要とする色相又は図柄を先に
インクジエツトすべきである。
ここで、表裏ノズルヘツド面と布帛面は平行であるべ
きで、この両面間の距離mは全巾にわたつてmが保持さ
れ、又噴射すべき条件でmの距離は可変変更可能である
べきはいうまでもない。水平シヤフト(5)(5′)は
ノズルヘツドを布帛の端から端まで誘導するためのもの
であり、この上に設置されたノズルヘツドは動力によつ
て往復運動をする。この水平シヤフト(5)(5′)は
ヘツドの自動ならびに運動によつてヘツドが振動した
り、不正確な位置決めができない事があつてはならな
い。
第4図は、導入ガイドロール(1)と引出ガイドロー
ル(3)との間に適宜ガイドロール(8)を設けた事例
を示し、第5図は表裏側に一対となるロール(9)
(9′)を設け、ロールではさみながら布帛面とノズル
間の平行及び走行の精度を上げて移動誘導するようにし
たもので、これらの一対ロールは駆動されている。これ
等のロールの位置及び本数は第4図、第5図に限定され
るべきではなく、使用する布帛の伸縮性、形状、厚さ、
吸水性などにより適宜に決定される。
第6図は、平板(11)(11′)を設けた例を示す概略
図で、この平板は布帛より巾が広い導入ロール(1)と
インクジエツトヘツド(5)(5′)の空間にはいる長
さのもので、この平板は布帛面と軽く接触する程度に双
方がほゞ平行状態におかれる。これにより布帛の位置制
御の精度が増す。特に表裏両インクジエツトヘツドの間
隔保持に効果が大きい。
第7図の1、及び第7図の2は、引出ロール(3)と
インクジエツトノズル(4)(4′)の中間に乾燥機を
設ける方法を示す概略図であり、図では電熱、蒸気など
で加熱された加熱板(12)(12′)が布帛を一定距離を
置いて配置されている。この乾燥機の他の例として、例
えば遠赤外線、赤外線、熱風吹つけ法なども採用できる
事は云う迄もない。
第8図は、液粒付与装置を2個直列に設置した例で第
1図のユニツトをもちいた場合を示す。
〔発明の効果〕
本発明の方法によれば、布帛の表裏両面より小量の流
量で布帛断面方向及び水平(タテ、ヨコ)方向への浸透
を極度に押えながらインクジエツト方式で液粒を支える
事ができ、その結果種々の商品展開及び商品の品位向上
が得られる。本発明の表裏のジエツト液粒付与の組合わ
せを染料または顔料を用いての、均一な同一色とするい
わゆる無地染と部分的に不均一に異色な色とする着色パ
ターンのいわゆる捺染との組合わせで整理すると、
(1)表裏を同一色とする場合、(2)表裏を異色とす
る場合、(3)表裏を同一着色パターンとする場合、
(4)表裏を異なる着色パターンとする場合、(5)表
裏を無地染と着色パターンとする場合、等がある。一
方、染色加工分野で仕上とされる分野では、液粒とし
て、撥水剤、放水剤、吸水剤、固化剤、吸湿剤、浸浸透
防止剤などを染料又は顔料の代わりに用いるわけである
が、この場合の組合わせも全く前記と同様な組合わせが
あり、更に加えて、着色と仕上とを表裏でなす組合わせ
も存在する。従つて本発明による応用例は非常に広範囲
にわたり、しかも従来不可能に近い着色、仕上物が革新
的に得られる。
本発明の組合わせの一例をあげると、(イ)表と裏と
が異色染色されている、(ロ)非常にシヤープに着色パ
ターンが得られる、(ハ)表裏が同じ柄で色相の正反対
の配色パターンが得られる、(ニ)表に着色パターン、
裏に縫製カツトマークが入れられる、(ホ)起毛布帛で
毛先と基布を異色にできる、(ヘ)表を撥水加工、裏を
吸水加工できる、(ト)表を柔軟加工、裏を硬目加工で
きる、(4)撥水又は吸水加工が表裏共パターンで仕上
できる、等々である。
以下、本発明の実施例を述べるが、本発明はなんらこ
れによつて限定されるものではない。
(実施例1) マーセル化されたコツトン布帛110g/m2を使用する。
この布帛は精錬、漂白、乾燥された布帛であるダツクア
ルギンM(鴨川化成製、アルギン酸ソーダ)2部、炭酸
ナトリウム1部、水97部で調整されたパツド処理液を作
り、3kg/cm2の圧力下でマングルにてパツドした後乾燥
した。乾燥固形分は4%であつた。この布帛を液粒付与
布帛として使用した。
インクジエツト印写は次の如く行う。まず、オンデマ
ンド型で4個のインクツボを有し、60ミクロンのノズル
孔径を有するインクジエツト装置を第1図の通り配列す
る。
表裏の印写条件;第1ノズル用にC.I.Reactive Yellow4
2から作製した最大吸収波長での光学密度が5000に調整
された黄水溶性インクを用いる。第2ノズル用にC.I.Re
active Red22から作製し、最大吸収波長での光学密度90
00に調整された赤水溶性インクを用いる。第3ノズル用
にC.I,Reactive Blue21から作製し、最大吸収波長での
光学密度21000に調整された青水溶性インクを用いる。
第4ノズルは使用しない。
この3種のインクを用いて、タテ方向に1cmの巾のス
トライプ柄を4×4マトリツクスにて第1表の打点をコ
ンピユーターで指図した。
印字条件は、距離0.8mm、印写電圧110Vで行つた。
裏側の印写条件:第1ノズル用に表側第1ノズルと同じ
黄色インクを用い、第2ノズル用に表側第2ノズルと同
じ赤色インクを用いた。第3ノズル、第4ノズルには使
用しない。全面に4×4マトリツクスにて黄色インク12
打点、赤色インク16打点を指図した。印写条件は印写距
離0.8mm、印写電圧100Vであつた。
印写後、同布帛は100℃×10分間の飽和蒸気スチーマ
ー中で、蒸熱し、サンレツクス(日華化学工業製、アニ
オン界面活性剤)を含む水溶液で70℃×10分の洗浄を
し、水洗、乾燥した。
表側に鮮鋭なまつたくにじみのないストライプ柄が得
られ、裏側には赤色の鮮明な表側よりにじみのない無地
調の染色物を得た。
(実施例2) 布帛として精錬、起毛、剪毛、プレセツトなどの白仕
上をなした有毛布を準備する。パイル糸(100d/48
本)、グランド糸(150d/36本)よりなり、600g/m2、立
毛長3mmのポリエステルダブルラツセルの有毛布帛を用
いた。オンデマンド型で4個のインクツボを有し、表側
は60ミクロン、裏側は80ミクロンのノズル孔径を有する
インクジエツト装置を第7図の1の通り配置した。乾燥
器として電熱で120℃に加熱された加熱板を用いた。
表側の印写条件:第1ノズル及び第2ノズルにはいずれ
も分散染料より作製された最大吸収波長での光学密度10
00の灰色微分散インクを準備し、第3ノズル及び第4ノ
ズルにはいずれも分散染料より作製された最大吸収波長
での光学密度4000の黒色微分散インクを調整、使用し
た。印写模様として、直径4mmの円形が5cm×5cm内に10
個ランダムに配置された図柄をデジタイザーで読みとり
コンピユーターに記憶させ、この模様柄を印写する指示
を各インクジエツトに与えた。印字は4×4マトリツク
にて行い、第1、第2インクジエツトは円形模様柄を除
く他の部分を柄とし、各16打点で印写する。第3、第4
インクジエツトは円形模様柄を各16打点で印写する。印
写距離は表側の立毛部分の先端より1mmで行い、印写電
圧は115Vを用いた。乾燥器として赤外線ヒーターにより
構成された乾燥ゾーンを通過せしめた。
裏側の印写条件:第1ノズル、第2ノズル、第3ノズル
共夫々、上記表側の第2、第3ノズルと同じ黒色微分散
インクを使用した。第4ノズルは使用しない。印写は4
×4マトリツクスで夫々16打点で、黒色になる如く、印
写を行わしめた。印写距離は1mm、印写電圧は130Vで印
写した。
印写後、同布帛はあらためて、乾燥し、次いで180℃
×7分の過熱蒸気スチーマー中で蒸熱し、実施例1で記
載したサントレツクス、炭酸ナトリウム及び還元剤とし
てハイドロサルフアイトを含む水溶液で80℃×5分間の
洗浄を行い、水洗、乾燥した。
表側はグレー地にブラツクドツトが鮮鋭に浮き上がり
染色され、表側はブラツク地に染色された。立毛長3mm
の立毛は表側よりの染色:裏側よりの染色がほゞ2:3と
なつており、いわゆる目むきと云われる、折り曲げた時
に表われる毛の根本部分の色差による見苦しさは全くみ
られなかつた。
(実施例3) 布帛として精錬、リラツクス、白仕上されたポリエス
テル平織物を用いた。経緯共に150d/72fの加工糸を用
い、180g/m2の布帛である。この布帛に対し、ダツクア
ルギンM(鴨川化成製、アルギン酸ソーダ)8部、酢酸
(80%)0.002部を含む粘性水溶液を表側にコーテング
マシンにて付与し、乾燥固形分量12%のものを得た。
インクジエツト印写はオンデマンド型で4個のインク
ツボを有し、60ミクロンのノズル孔径を有するインクジ
エツトを第1図の通り配列したものを用いた。
表側の印写条件:実施例2と全く同条件、同模様柄でグ
レイ地にブラツクドツトの柄を印写した。
裏側の印写条件:第1ノズル用に苛性ソーダ20゜Be′水
溶液を用い、第2ノズル用として苛性ソーダ8゜Be′を
用いた。模様柄として巾0.6cmのタテ縞を指示し、第1
ノズルと第2ノズル交互に縞模様に印写した。印写距離
1mm、印写電圧110Vで印写した。
印写後、同布帛を乾燥し、次いで180℃×7分の過熱
蒸気スチーマー中で蒸熱し、実施例1に記載したサンレ
ツクス、炭酸ナトリウム及び還元剤としてハイドロサル
フアイトを含む水溶液で80℃×5分間の洗浄を行い、水
洗、乾燥した。
表側はグレー地にブラツクドツトの鮮鋭に模様づけら
れた染色物が得られ、シヤリ味のあるふくよかな風合の
ものが得られた。苛性ソーダによる減量率は夫々の縞模
様の部分で16%及び4.5%の重量減であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第8図は本発明に係る装置の概略図である。 第1図の1は概約側面図を示し、第1図の2は同様な概
約側面図を示すが布帛の運行方向が逆方向の例を示す。 第2図はガイドロールの位置関係及び機構を示す図であ
る。 第3図の1〜3は本発明に係るインクジエツトノズルの
表裏の配置を示す図である。 第4図は中間にロールをつけた一例を示す図であり、第
5図は同じく中間に1対のロールをつけた一例を示す図
である。 第6図は中間に2枚の平板を配置した例を示す図であ
り、第7図は中間に乾燥器を配置した例を示す図であ
る。 第8図は第1図のユニツトを2セツト直列に配置した例
を示す図である。 (1)……導入ガイドロール、(2)……張力調整ロー
ル、(3)……引出しガイドロール、(4)(4′)…
…インクジエツト液走行用シヤフト、(5)(5′)…
…インクジエツトヘツド、(6)……布帛。
フロントページの続き (72)発明者 武田 文寿 福井県福井市中野町3―910 (56)参考文献 特開 昭58−109673(JP,A) 特開 昭61−137762(JP,A) 特開 昭54−18975(JP,A) 特開 昭51−88786(JP,A) 特開 昭61−75870(JP,A) 実開 昭62−60222(JP,U)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として繊維から構成された布帛にインク
    ジェットによって連続的に処理液粒を付与する方法にお
    いて、布帛をほぼ垂直的に間歇的に走行させながら、間
    隔50mm〜1200mmに保たれた上下ロールに導入し、この上
    下ロール間で、適宜所定距離を保持しながら表裏同時に
    インクジェットで処理液粒を付与し、インクジェットと
    次のロール間の距離間隔を変化させることによって張力
    を調整し、布帛に1〜5g/cmの張力をかけながら走行さ
    せ、且つ、布帛の移動及びインクジェットノズルの作動
    と噴射をコンピューターで制御することを特徴とする布
    帛に連続的に液粒を付与する方法。
  2. 【請求項2】インクジェットで処理液粒を付与する際
    に、表部及び裏部のインクジェットを実質的に同場所、
    同位相で同時に付与することを特徴とする請求項1に記
    載する方法。
  3. 【請求項3】インクジェットで処理液粒を付与する際
    に、表部及び裏部のインクジェットを900mmを超えない
    間隔の異なった部分で同時に液粒を付与することを特徴
    とする請求項1に記載する方法。
  4. 【請求項4】ほぼ垂直方向に走行する布帛の方向に沿っ
    て、順に、導入ガイドロール(1)、布帛の長さ方向と
    は直角な方向に往復作動しながら噴射する布帛の表部及
    び裏面に設けられたインクジェットノズル(4)
    (4)′、導入ガイドロール(1)より1200mm以内に走
    行方向に移動しながら1〜5g/cmの張力調整をしうる張
    力調整装置ロール(2)、引出用ガイドロール(3)と
    からなり、且つ、布帛の間歇的な走行、インクジェット
    ノズルの走査作動、インクジェットの噴射制御をコンピ
    ューター制御するコントロール部分を有することを特徴
    とする布帛に連続的に液粒を付与する装置。
  5. 【請求項5】導入ロール(1)と引出用ガイドロール
    (3)との間に適宜ガイドロールを設けることを特徴と
    する請求項4に記載する装置。
  6. 【請求項6】インクジェットノズル(4)(4)′の上
    欄および/又は下に、表部および裏部に1対のロールを
    設け、両ロールで適宜の圧力で布帛を挟持しながら布帛
    を移動誘導するようにしたことを特徴とする請求項4に
    記載する装置。
  7. 【請求項7】導入ロール(1)とインクジェットノズル
    (4)(4)′の中間に布帛面とほぼ平行かつ、その面
    が布帛と接触する、布帛巾より広い平板(11)(11)′
    を設けることを特徴とする請求項4に記載する装置。
  8. 【請求項8】インクジェットノズルによる液粒付与装置
    を2つ以上直列に設けることを特徴とする請求項4〜7
    のいずれか1項に記載する装置。
  9. 【請求項9】引出ロール(3)とインクジェットノズル
    (4)(4)′の間に乾燥機(6)を設けることを特徴
    とする請求項4〜8のいずれか1項に記載する装置。
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