JP2631915B2 - サッシ内蔵ブラインドの昇降装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガラス障子等のサッシ
内に内蔵したブラインドのスラットを昇降する装置に関
する。

【０００２】

【従来の技術】サッシに内蔵したブラインドのスラット
を昇降する装置としては例えば実開平１−６７２９３号
公報に示すものが知られている。すなわち、サッシを構
成する縦材内に棒状体を取付け、この棒状体に沿ってス
ライダを上下動可能に設け、そのスライダにブラインド
のスラットを昇降する昇降紐を連結してスライダを上下
動することでスラットを昇降できるようにし、前記スラ
イダに棒状体に係脱作動可能なリンク及びそのリンクを
作動する操作レバーを取付けて操作レバーを操作してリ
ンクを作動することでスライダを停止保持したり、上下
動できるようにしたブラインドの昇降装置が知られてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】かかるブラインドの昇
降装置であると、操作レバーを操作してリンクを棒状体
から離すとスラットが自重で下降しスライダが上方に移
動するが、その下降速度はスラットの重量によって高速
となるし、操作レバーを操作し続ける必要があるから、
その下降速度に合せてスライダを上方に移動操作しなけ
ればならず、その操作が大変困難であるばかりか、スラ
イダの上方への移動操作が速い場合には操作者の手にス
ラットの重量が負荷となって作用することになって危険
であるし、スラットがストロークエンドまで下降した時
に大きな衝突が発生して各部を破損することがある。

【０００４】そこで、本発明は前述の課題を解決できる
ようにしたサッシ内蔵ブラインドの昇降装置を提供する
ことを目的とする。

【課題を解決するための手段】本発明は、サッシ内部に
ブラインド５を内蔵し、このブラインド５のスラット６
を転向紐７で転向可能とし、かつ昇降紐８で上昇・下降
可能とし、前記転向紐７をサッシを構成する上横材１に
設けた軸９に巻掛け、 前記サッシを構成する縦材３内に
前記軸９を回転する縦軸１２を設け、前記縦材３内にス
ライダ１３を上下移動可能に嵌挿し、このスライダ１３
にブラインド５のスラット６を昇降する昇降紐８を連結
し、前記縦材３に多数の係止部３３を有する係止体３２
を上下方向に亘って取付け、前記スライダ１３に、前記
係止体３２の係止部３３に係合する位置と離脱する位置
に作動可能なるロック部材２１及び、ロック部材２１を
作動する操作レバー２２並びに回転及び往復動自在で回
転することで前記縦軸１２を回転し、往動することでロ
ック部材２１を離脱する位置に保持し、かつ復動するこ
とでロック部材２１の保持を解除する停止保持解除機構
２３を取付け、前記スライダ１３の上方への移動速度を
遅くする緩衝機構を設けたことを特徴とするサッシ内蔵
ブラインドの昇降装置である。

【作 用】操作レバー２２でロック部材２１を離脱す
る位置とし、その状態で操作レバー２２を持ってスライ
ダー１３を下降することで昇降紐８によってブラインド
５のスラット６を上昇できる。 また、係止保持機構２３
を往動してロック部材２１を離脱する位置に保持すれば
スライダー１３はフリー状態となり、ブラインド５のス
ラット６が自重で下降し、かつスライダー１３が上方に
移動する。この時、スライダー１３の上方への移動速度
が緩衝機構によって遅くなる。 これによってブラインド
５のスラット６をゆっくりと下降する。 また、停止保持
解除機構２３を回転することで縦軸１２が回転してブラ
インド５のスラット６の向きが変更する。

【０００５】

【実 施 例】図１に示すように、ガラス障子等のサッ
シは上横材１と下横材２と左右の縦材３，３を方形状に
枠組みし、その枠内にガラス４を装着してあり、そのサ
ッシ内部にブラインド５が内蔵してある。前記ブランイ
ド５は多数のスラット６を転向紐７で転向可能とし、昇
降紐８で昇降・下降可能としてあり、その転向紐７は上
横材１内に支承した軸９に取付けたローラ１０に巻掛け
られ、軸９は傘歯車機構１１を介して縦材３内に支承し
た縦軸１２に連結してあり、前記昇降紐８は縦材３内に
上下摺動自在に設けたスライダ１３に連結してある。

【０００６】前記スライダ１３には図２，図３に示すよ
うに、プーリ２０、ロック部材２１、操作レバー２２、
停止保持解除機構２３等が設けてあり、そのプーリ２０
に昇降紐８が巻掛けられ、ロック部材２１はピン２４で
操作レバー２２とともにスライダ１３に上下揺動可能に
支承してあり、操作レバー２２の先端部に設けたピン２
５がロック片２１の円弧状の溝２６に嵌まり込み、かつ
操作レバー２２の基端部に設けた摘み２７が図１に示す
ように縦枠３の縦溝２８より外部に突出している。 前
記ロック部材２１はロック片２９と爪片３０を備え、そ
のロック片２９の先端部に形成した長孔３１に前記縦軸
１２が挿通し、ロック片２９は縦材３内に上下方向に亘
って取付けた係止体３２の多数の係止部３３のいずれか
１つに係合、離脱自在となっている。前記停止保持解除
機構２３は図２、図４のように、縦軸１２に摺動可能に
嵌合した第１傘歯３４、この第１傘歯車３４に噛合した
第２傘歯車３５、この第２傘歯車３５の角孔３６に嵌合
し、かつスライダ１３に摺動自在に支承した軸３７を備
え、その軸３７には角軸部３８、円錐部３９、大径部４
０、角度調整ダイヤル４１が設けてあり、その角軸部３
８が角孔３６に嵌合し、かつ軸３７と第２傘歯車３５と
の間に設けたスプリング４２で軸３７が右方に押されて
角度調整ダイヤル４１が前記縦材３の縦軸２８より外部
に突出している。

【０００７】前記昇降紐８は図５のように緩衝機構、例
えばホイルダンバ４３のプーリ４４に巻掛けられ、この
ホイルダンパ４３は図６、図７に示すようにボックス４
５に支承した軸４６に歯付きのプーリ４４を取付け、こ
の軸４６のボックス４５内の部分に一方向クラッチ４７
を介して取付けた筒体４８にフィン４９を放射状に複数
取付けると共に、そのボックス４５内にオイルを封入し
てあり、プーリ４４が図５で矢印方向に回転する時には
フィン４９が回転してオイルの粘性でプーリ４４に回転
抵抗を与え、反矢印方向に回転する時は軸４６のみが回
転してフィン４９が回転せずにプーリ４４がスムーズに
回転するようになり、スライダ１３が上方に移動する時
にプーリ４４が矢印方向に回転して回転抵抗が大となっ
てスライダ１３の上方への移動にブレーキ力を付与する
ようにしてある。

【０００８】次に作動を説明する。図２の状態ではロッ
ク片２９が係止部３３に係合してスライダ１３を停止保
持してスラット６をそのスライダ１３の位置に対応した
位置で停止保持する。この状態で角度調整ダイヤル４１
を回転すると角軸３８で第２傘歯車３５が回転し、第１
傘歯車３４を介して縦軸１２が回転して傘歯車機構１１
を介して軸９が回転し、転向紐７がローラ１０に巻き取
り、繰り出しされるからスラット６を転向できる。

【０００９】前述の状態から摘み２７を持って操作レバ
ー２２を下向きに操作するとピン２５、溝２６を介して
ロック部材２１が上方に揺動し、ロック片２９が係止部
３３から離れてスライダ１３が上下動可能となり、摘み
２７を持ってスライダ１３を上下に移動することで昇降
紐８が弛められたり、引き下げられたりしてスラット６
が自重で降下したり、上昇する。この時、スライダ１３
が上方に移動すると昇降紐８によってプーリ４４が矢印
方向に回転するので、前述のオイルダンパ４３の動作に
よって昇降紐８の移動が規制されてスラット６の自重に
よる下降速度が減速されるから、スラット６がゆっくり
と降下するし、スライダ１３が下方に移動するとプーリ
４４が反矢印方向に回転するので、前述のオイルダンパ
４３のプーリ４４がスムーズに回転するから、スライダ
１３を下方に移動する力がオイルダンパー４３で大きく
なることがない。

【００１０】図２の状態から角度調整ダイヤル４１を押
すとスプリング４２に抗して角軸部３８が第２傘歯車３
５の角孔３６内に押し込まれ、円錐部３９が爪片３０を
押してロック部材２１を押上げて爪片３０が図８のよう
に大径部４０に乗り上げて円錐部３９の背面に接触し、
ロック片２９を係止部３３より離れた状態に保持する。
つまり、スライダ１３の停止保持を解除する。これによ
り、ブラインド５のスラット６が自重でストロークエン
ドまで下降すると共に、この時の下降速度がオイルダン
パ４３で減速されてストロークエンドに達した時に大き
な衝撃が生じることがない。

【００１１】前述の図８の状態から摘み２７を持って操
作レバー２２を下方に操作すると、ロック部材２１が上
方に揺動して爪片３０が円錐部３９の背面から離れ、ス
プリング４２で軸３７が元の位置に復帰する。

【００１２】図９は第２実施例を示し、縦材３内の上下
にプーリ５０，５１を設け、このプーリ５０，５１に巻
掛けたベルト５２をスライダ１３に連結し、このベルト
５２と縦材３とに亘ってエアーシリンダ５３を連結して
緩衝機構としてある。前記エアーシリンダ５３はシリン
ダチューブ５４内にピストンロッド５５を有するピスト
ン５６を嵌挿して伸長室５７と縮小室５８を有する形状
となり、その伸長室５７はバルブ機構５９で大気に開口
している。前記バルブ機構５９は図１０のように、シリ
ンダチューブ５４の孔６０を開閉すするバルブ６１と、
このバルブ６１の孔６２に挿入したパイプ６３と、この
パイプ６３とバルブ６１との間に設けたスプリング６４
より成り、そのスプリング６４でバルブ６１を孔６０に
押し付けている。

【００１３】しかして、前述のようにスライダ１３を上
方に移動してスラット６を降下させる時にベルト５２が
矢印方向に移動し、エアーシリンダ５３のピストン杆５
５が伸長して伸長室５７内にエアーが吸い込まれるが、
バルブ６１で孔６０が閉じられているからパイプ６３よ
り外気が伸長室５８に流入するので、その流入抵抗が大
きくエアーシリンダ５３の伸長速度が遅くなってスライ
ダ１３の上方への速度が遅くなるからスラット６がゆっ
くりと下降する。また、スライダ１３を下方に移動して
スラット６を上昇させる時にベルト５２が反矢印方向に
移動し、エアーシリンダ５３のピストン杆５５が縮小し
て伸長室５７内のエアーが大気に排出されるが、バルブ
６１がスプリング６４に抗して押し上げられて孔６０が
開放するので、伸長室５７内のエアーは孔６０とパイプ
６３を通ってスムーズに排出されるから、エアーシリン
ダ５３がスムーズに縮小し、スライダ１３を下方に移動
する力がエアーシリンダ５３で大きくなることがない。

【００１４】なお、他の動作は図１１、図１２に示すよ
うに先の実施例と同様であるので、説明を省略する。

【００１５】図１３，図１４，図１５は第３実施例を示
し、スライダ１３にロック部材を構成する取付板７０を
ピン７１で揺動自在に支承し、この取付板７０にロック
片となるピニオン７２を回転自在に支承し、そのピニオ
ン７２を係止体となるラック杆７３の係止部となるラッ
ク歯７４に噛合し、そのピニオン７２を歯車群７５を介
してフライホイール７６に連結して緩衝機構を構成し、
スライダ１３にピン２４で支承した操作レバー２２をピ
ン２５と円弧状の溝２６で取付板７０に連結し、その操
作レバー２２に摘み２７を取付ける。前記フライホイー
ル７６の外周面にブレーキ板７７が接し、そのブレーキ
板７７の下部が操作レバー２２の下部に設けた突起７８
と対向している。

【００１６】しかして、図１３の状態ではブレーキ板７
７がフライホイール７６の外周面に接してフライホイー
ル７６の回転を防止するので、スライダ１３が停止保持
されてブラインド５のスラット６はスライダ１３の位置
と対応した位置に停止保持される。この状態で角度調整
ダイヤル４１を回転することで前述のようにしてスラッ
ト６を転向できる。摘み２７を持って操作レバー２２を
操作すると取付板７０が揺動してピニオン７２がラック
歯７４より離れ、スライダ１３が自由に上下動できる状
態となり、摘み２７を持ってスライダ１３を上方、下方
に移動することで昇降紐８が弛められたり、引き下げら
れてスラット６が昇降する。

【００１７】図１６に示すように、軸３７を押し込むと
円錐部３９でブレーキ板７７が押し上げられフライホイ
ール７６の外周面より離れスライダ１３の停止保持が解
除され、操作レバー２２の突起７８が円錐部３９の背面
に係合して保持され、フライホイール７６は自由回転状
態となるので、スライダ１３が上方に移動してスラット
６が下降する。この時、スライダ１３の上方への移動に
よってピニオン７２が回転し、それにより歯車群７５を
介してフライホイール７６が回転し、そのフライホイー
ル７６を回転させるための回転トルクが大であるから、
ピニオン７２の回転が規制されてスライダ１３の上方へ
の移動速度が遅くなり、スラット６はゆっくりと下降す
る。図１６の状態から摘み２７を持って操作レバー２２
を揺動すると取付板７０が揺動し、ブレーキ板７７が取
付板７０とともに揺動して突起７８が円錐部３９より離
れ、円錐部３９、大径部４０がスプリング４２で図１３
の位置に復帰する。

【００１８】図１７ないし図１９は前述のフライホイー
ルを用いた場合の第１変形例を示し、フライホイール７
６の軸８０にガイド杆８１を放射状に設け、このガイド
杆８１に摩擦体８２を摺動自在に取付け、その摩擦体８
２を取付板７０に固定した摩擦リング８３に臨ませてあ
り、スライダ１３が停止又はゆっくりと移動する時には
ピニオン７２の回転が遅いからフライホイール７６の回
転も遅く、摩擦体８２に作用する遠心力が小さいから図
１８のように摩擦体８２が摩擦リング８３の内周面と離
れ、スライダ１３が速く移動する時にはピニオン７２の
回転が速いからフライホイール７６の回転が速くなっ
て、摩擦体８２に作用する遠心力が大きいから図１９に
示すように摩擦体８２が摩擦リング８３の内周面に押し
つけられて制動される。

【００１９】図２０ないし図２３は前述のフライホイー
ルを用いた場合の第２変形例を示し、フライホイール７
６にリング状の磁石８４を取付け、取付板７０に取付け
た固定リング８５内に回転軸８６を回転自在に設け、こ
の回転軸８６と固定リング８５とに磁石８７を取付け、
前記回転軸８６を回転する摘み８８を設けて回転軸８６
を回転して図２２、図２３に示すように固定リング８５
の磁石８７と回転軸８６の磁石８７との対向間距離を変
更することで磁力の大きさを調整できるようにし、その
固定リング８５をフライホイール７２の磁石８４と対向
して取付けることで、磁力によってフライホイール７２
の回転を制動できるようにしてある。

【００２０】

【発明の効果】操作レバー２２でロック部材２１を離脱
する位置とし、その状態で操作レバー２２を持ってスラ
イダー１３を下降することで昇降紐８によってブライン
ド５のスラット６を上昇できる。 また、係止保持機構２
３を往動してロック部材２１を離脱する位置に保持すれ
ばスライダー１３はフリー状態となり、ブラインド５の
スラット６が自重で下降し、かつスライダー１３が上方
に移動する。この時、スライダー１３の上方への移動速
度が緩衝機構によって遅くなる。 これによって、操作レ
バー２２から手を離した状態でブラインド５のスラット
６をゆっくりとストロークエンドまで下降できるし、ス
トロークエンドまで下降した時に大きな衝撃が発生する
ことがない。 また、停止保持解除機構２３を回転するこ
とで縦軸１２が回転するからブラインド５のスラット６
の向きを変更できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ブラインド内蔵サッシの正面図である。

【図２】ブラインド昇降装置の第１実施例を示す縦断面
図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】停止保持解除機構の分解斜視図である。

【図５】オイルダンパ部分の外観斜視図である。

【図６】オイルダンパの断面正面図である。

【図７】オイルダンパの断面側面図である。

【図８】ロック部材の保持を解除した状態の説明図であ
る。

【図９】ブラインド昇降装置の第２実施例を示す縦断面
図である。

【図１０】バルブ機構の断面図である。

【図１１】ロック部材を離脱位置で保持した状態の説明
図である。

【図１２】ロック部材の保持を解除した状態の説明図で
ある。

【図１３】ブラインド昇降装置の第３実施例を示す縦断
面図である。

【図１４】図１３のＢ−Ｂ線断面図である。

【図１５】図１３のＣ−Ｃ線断面図である。

【図１６】スライダの停止保持を解除した状態の説明図
である。

【図１７】フライホイールの回転を制動する第１の変形
例を示す分解斜視図である。

【図１８】フライホイールが停止又は低速回転時の動作
説明図である。

【図１９】フライホイールが高速回転時の動作説明図で
ある。

【図２０】フライホイールの回転を制動する第２の変形
例を示す分解斜視図である。

【図２１】組立状態の外観斜視図である。

【図２２】制動力が弱い時の動作説明図である。

【図２３】制動力が強い時の動作説明図である。

【符号の説明】

３ 縦材、５ ブラインド、６ スラット、７ 転向
紐、８ 昇降紐、１３スライダ、２１ ロック部材、２
２ 操作レバー、２３ 停止保持解除機構。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 サッシ内部にブラインド５を内蔵し、こ
   のブラインド５のスラット６を転向紐７で転向可能と
   し、かつ昇降紐８で上昇・下降可能とし、前記転向紐７
   をサッシを構成する上横材１に設けた軸９に巻掛け、 前記サッシを構成する縦材３内に前記軸９を回転する縦
   軸１２を設け、前記 縦材３内にスライダ１３を上下移動
   可能に嵌挿し、このスライダ１３にブラインド５のスラ
   ット６を昇降する昇降紐８を連結し、前記縦材３に多数
   の係止部３３を有する係止体３２を上下方向に亘って取
   付け、 前記スライダ１３に、前記係止体３２の係止部３３に係
   合する位置と離脱する位置に作動可能なるロック部材２
   １及び、ロック部材２１を作動する操作レバー２２並び
   に回転及び往復動自在で回転することで前記縦軸１２を
   回転し、往動することでロック部材２１を離脱する位置
   に保持し、かつ復動することでロック部材２１の保持を
   解除する停止保持解除機構２３を取付け、 前記スライダ１３の上方への移動速度を遅くする緩衝機
   構を設けたことを特徴とするサッシ内蔵ブラインドの昇
   降装置。