以下、本発明に係る制動装置、及び、それを用いた日射遮蔽装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
<構成の説明>
(1)横型ブラインド全体の構成
第1実施形態に係る横型ブラインドは、上述の第1の観点に係る遮蔽装置の一例である。図1及び図2に示されるように、第1実施形態に係る横型ブラインドは、ヘッドボックス1から複数本のラダーコード2を介して多数段のスラット3が吊り下げ支持され、同ラダーコード2の下端にはボトムレール4が吊り下げ支持されている。なお、多数段のスラット3及びボトムレール4が日射遮蔽材として機能する。
図1及び図2に示すように、ヘッドボックス1内には案内滑車24が各ラダーコード2に近接して複数個(本実施形態では3個)配設される。案内滑車24は、不図示の案内滑車ケース内において、回動可能に構成されている。ラダーコード2は、ヘッドボックス1の底面に設けられた挿通孔を介してヘッドボックス1内に挿通される。そして、その上端部は、ドラム(不図示)に取着され、そのドラムの中心部には角度調節軸7が嵌挿されている。
したがって、角度調節軸7が回転されると、ドラムが回転され、そのドラムの回転に伴ってラダーコード2の一方が引上げられることにより、各スラット3が同位相で角度調節される。
ヘッドボックス1の一端部には操作棒8が吊り下げ支持されている。操作棒8を回転操作すると、ヘッドボックス1内に配設される不図示のギヤボックスを介して角度調節軸7が回転される。したがって、操作棒8の回転操作により、各スラット3を角度調節可能となっている。
スラット3には複数本(本実施形態では3本)の昇降コード10(特許請求の範囲における「コード」の一例)が挿通され、その昇降コード10の一端はボトムレール4に取着される。すなわち、各案内滑車24は各昇降コード10に対応して配設されている。
図1に示されるように、3本の昇降コード10の他端はヘッドボックス1の長手方向に並んでいる各案内滑車24を介し、制動装置4000を経て、ヘッドボックス1の一端部に配設される自重降下防止装置(不図示)に案内される。
各昇降コード10は、その自重降下防止装置からギヤボックスを経て、操作棒8内に挿通され、その先端は操作部8aの下方に設けられたコードイコライザ8bに接続される。したがって、コードイコライザ8bを下方へ引いて、ヘッドボックス1から昇降コード10を引き出すと、ボトムレール4が引き上げられることにより、スラット3が引き上げられる。
そして、昇降コード10の引き出し操作を停止して、昇降コード10を手放せば、自重降下防止装置が作動して、スラット3及びボトムレール4の自重降下が防止される。また、自重降下防止装置が作動している状態から、昇降コード10を下方へ僅かに引くと、自重降下防止装置の作動が解除され、スラット3及びボトムレール4をその自重により下降操作可能となる。なお、自重降下防止装置は、例えば特開2001−173343号公報等に開示されている公知の自重降下防止装置を利用すればよい。すなわち、昇降コード10を引くことにより遮蔽材であるスラット3及びボトムレール4を昇降可能に構成されている。
(2)制動装置の説明
図3〜図8を用いて、制動装置4000を説明する。本実施形態の制動装置4000は、図3に示すように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが軸芯31によって接続された構成となっている。以下、本実施形態の概略を説明する。
まず、運動変換部DTについて、図3、図4及び図5(b)の各図に示すように、挟着体の一対の挟着部材は、張力伝達ローラ30と、固定部材440に形成された傾斜部441とによって構成される。すなわち、本実施形態では、挟着部材は片方のみが移動可能に構成される。また、張力伝達ローラ30の回転は、図3及び図5に示すように、軸芯31を介して平ギア450、小ギア460及び大ギア461からなる増速ギア462、ウォームギア470に順次伝達される。そして、ウォームギア470の回転が抵抗付与部RAとしての遠心ブレーキ480に伝達されることで、張力伝達ローラ30に制動力が加わることになる。なお、平ギア450、増速ギア462、ウォームギア470及び遠心ブレーキ480は、固定部材440と隣接する位置において、内部空間Sを有する筐体490によって覆われている。図3の紙面手前方向、図4の下方向及び図5(a),(b)の左方向が、上述した実施形態の前方向に対応する。
本実施形態において、固定部材440は、図3及び図5(b)に示すように、略直方体の部材であり、例えば遮蔽装置のヘッドボックス等に固定される。固定部材440の上部には、図5(b)に示すように傾斜部441が形成される。そして、傾斜部441の上面は、図3に示すように、3本のコードCDを位置決めするため、コードCDの延在する方向に延びる3本の溝442a〜442cが形成される。
一方、張力伝達ローラ30は、図3に示すように、軸芯31とローレット240を備え、軸芯31を介して保持部材としてのスライダー420に保持される。
スライダー420は、平行な一対の板状支持部421及びこれらを後方で接続する後壁423を備えた略コの字状をなし(図4参照)、固定部材440の上面440aに傾斜部441を跨ぐように配置されており、固定部材440の上面440aに沿ってコードCDの延在する方向に平行移動が可能になっている。すなわち、本実施形態においては、固定部材440の上面440aがスライダー420をガイドするガイド部として機能する。一対の板状支持部421には、それぞれ軸芯31を回転可能に保持する貫通孔422が形成される。また、図5(b)に示すように、スライダー420の後壁423に形成された保持溝423aと固定部材440の後方位置に固定された壁部443との間には、付勢部材としてのコイルスプリングSPが配置されており、スライダー420は前方(図4の下方向、図5(b)の左方向)に向かって付勢されている。
また、スライダー420は、図3及び図5(b)に示すように、固定部材440の上方に形成される天壁444により上方側の位置規制がされており、天壁444には、下方に突出してスライダー420の後壁423と係合することでスライダー420が前方へ抜けることを防止する突起445が形成される。また、突起445は、張力伝達ローラ30に常時当接しており、張力伝達ローラ30の上方向の変位を規制している。また、張力伝達ローラ30が突起(移動接触面)445と接触しながら移動することにより、張力伝達ローラ30と突起445の間の摩擦により抵抗力が発生する。張力伝達ローラ30の外周は大径であるため確実にスライダー420を移動させることができる。さらに、ローレット240との面接触により確実となる。また、図5(b)に示すように、天壁444には開口部444aが形成され、スライダー420の後壁423の当該開口部444aと対応する位置には、後壁423から上方へ突出する突出部423bが形成されており、スライダー420を固定部材440、壁部443及び天壁444によって形成される収容空間SSに収容された状態で、外部からスライダー420を操作してコードCDを張力伝達ローラ30と傾斜部441の間に通す等の操作を行うことができる。
次に、図3及び図5(a)に示すように、張力伝達ローラ30の回転に伴って回転する軸芯31には、平ギア450が取り付けられている。軸芯31は、筐体490の固定部材440側の壁面491に形成される長孔形状の連通孔491a(図4及び図8参照)を貫通するよう配置され、張力伝達ローラ30、軸芯31及び平ギア450は連通孔491a(図4及び図8参照)の範囲内において、スライダー420の前後方向の移動に伴って前後方向に一体となって移動可能となっている(図8参照)。平ギア450のギア歯450aは、これより径の小さい増速ギア462の小ギア460のギア歯460aと噛み合うことが可能となっている。また、小ギア460と大ギア461は、筐体490の固定部材440側の壁面491及びこれと対向する壁面492にそれぞれ形成される支持穴493,494に回転可能に支持される回転軸463を中心に、一体回転するよう構成される。大ギア461は、平ギア450と略同一の径を有し、ウォームギア470と常時噛み合うよう配置される。
ウォームギア470は、増速ギア462の大ギア461の左右方向(図3の左右方向)を軸とする回転を上下方向を軸とする回転に変換して中心軸471に伝達するよう構成される。中心軸471の一端は筐体490の下方支持部495に回転可能に支持され、中心軸471の他端は遠心ブレーキ480の円筒ケース481の上方支持部482に回転可能に支持される。また、図6に示すように、中心軸471には、円筒ケース481内において遠心ブレーキ480の回転体483が相対回転不能に取り付けられる。
遠心ブレーキ480は、図6に示すように、円筒ケース481内において回転体483を備える。回転体483は、中心軸471に固定される中央部484と、中央部から径方向外側に延びる一対の腕部485と、当該腕部485の縁部から円周方向に延びる弾性変形部486と、遠心拡径部487と、を備え、中心軸471の回転に伴って回転するものである。そして、遠心ブレーキ480は、中心軸471の回転が遅い場合には、遠心拡径部487と円筒ケース481との間に隙間488があるため、中心軸471に加わる制動トルクは小さく、中心軸471の回転が速くなった場合に、遠心拡径部487に加わる遠心力が大きくなり、弾性変形部486が変形して遠心拡径部487の外周面487aが円筒ケース481の内周面481aに擦れることによって発生する制動トルクが大きくなる構成となっている。なお、制動トルクの大きさは、弾性変形部486の弾性力及び隙間488の大きさを変えることによって調整可能である。
以上のような構成により、図7(a)に示すようなコードCDに張力が与えられない状態(定常状態)においては、ローレット240はスライダー420を介してコイルスプリングSPによってコードCDを傾斜部441の溝442a〜442cに近づくよう付勢される。その結果、張力伝達ローラ30(ローレット240)及び傾斜部441の溝442a〜442cがコードCDを狭着する状態となるとともに、図8(a)に示すように、平ギア450が増速ギア462の小ギア460と噛み合って、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RA(遠心ブレーキ480)に伝達可能な状態(出力状態)となる。この状態でコードCDが前方(図7の左方向)に移動すると、コードCDの移動がローレット240に伝達し、抵抗付与部RAによってコードCDに抵抗が与えられることになる。
一方、コードCDが後方(図7の右方向)に移動すると、図7(b)に示すように、張力伝達ローラ30(ローレット240)は回転しつつもコードCDの移動に伴ってコードCDと同じ方向に移動し、これにより軸芯31を介してスライダー420もコイルスプリングSPの付勢力に抗して後方へ移動する。すると、図8(b)に示すように、平ギア450が増速ギア462の小ギア460と噛み合わなくなって、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RA(遠心ブレーキ480)に伝達できない状態(解除状態)となる。さらに、傾斜部441は後方に向かうにつれて下方に傾斜しているため、張力伝達ローラ30と固定部材440の傾斜部441の溝442a〜442cとの間隔が広がり、コードCDの狭着が弱まって、張力伝達ローラ30を介した抵抗付与部のコードCDへの抵抗の付与がなくなる。このように、ギアの噛み合いがなくなる構成と、狭着体によるコードCDの狭着が弱まる構成の2つの構成によって、コードCDを他端方向へ移動させる場合にはコードCDに抵抗力がかからず、コードCDを容易に移動させることができる。
以上より、本実施形態に係る制動装置4000は、挟着体(張力伝達ローラ30(ローレット240)及び傾斜部441の溝442a〜442c)が、一方向のみに回転を伝達するワンウェイ機能を備えることになる。
つまり、本実施形態に係る制動装置4000は、挟着体の変位によって挟着体とコードCDの間に作用する摩擦力を変化させることにより、ワンウェイ機能を実現する。具体的には、制動装置4000は、張力伝達ローラ30が解除状態における位置(第2位置)に位置するときに張力伝達ローラ30とコードCDとの間に作用する摩擦力が、張力伝達ローラ30が出力状態における位置(第1位置)に位置するときに張力伝達ローラ30とコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるように張力伝達ローラ30が移動する。
また、本実施形態に係る制動装置4000は、挟着体の変位により、前記コードの移動に起因する回転を前記抵抗付与部に伝達するか否かが切り替わる。具体的には、制動装置4000は、張力伝達ローラ30が第1位置に位置するときにコードCDの移動に起因する張力伝達ローラ30の回転を抵抗付与部RAに出力し、張力伝達ローラ30が第2位置に位置するときにコードCDの移動に起因する張力伝達ローラ30の回転を抵抗付与部RAに出力しないように構成される。
また、本実施形態に係る制動装置4000は、コードCDの移動を捕捉し且つコードCDの移動に起因する回転を抵抗付与部RAに伝達する挟着体(張力伝達ローラ30(ローレット240))と、挟着体を内包するケース(スライダー420)と、を有する。
<第1実施形態の変形例1>
なお、狭着体の構成について、傾斜部441によって張力伝達ローラ30と対向する挟着部材を構成することに代えて、図9に示すように、傾斜部441の代わりに固定部材440に回転可能に固定された固定ローラ446を用いることも可能である。この場合も、図9(a)に示す狭着状態では、コードCDは狭着され、ギアも噛み合っていることから、コードCDの前方(左方向)への移動に対しては抵抗付与部RAへ回転が伝達してコードに制動力が加わる。一方、コードCDを後方に移動させた際には、図9(b)に示すように、スライダー420が後方へ移動することで張力伝達ローラ30と固定ローラ446間の距離が広がって狭着力が弱まり、同時に、図8(b)に示すように、ギアの噛み合いがなくなって張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RAに伝達できない状態となる。従ってこの場合も、ギアの噛み合いがなくなる構成と、狭着体によるコードCDの狭着が弱まる構成の2つの構成を備えているといえる。
つまり、第1実施形態の変形例1に係る制動装置4000は、挟着体の変位によって挟着体とコードCDの間に作用する摩擦力を変化させることにより、ワンウェイ機能を実現する。具体的には、第1実施形態の変形例1に係る制動装置4000は、張力伝達ローラ30が解除状態における位置(第2位置)に位置するときに張力伝達ローラ30とコードCDとの間に作用する摩擦力が、張力伝達ローラ30が出力状態における位置(第1位置)に位置するときに張力伝達ローラ30とコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるように張力伝達ローラ30が移動する。
また、第1実施形態の変形例1に係る制動装置4000は、挟着体の変位により、前記コードの移動に起因する回転を前記抵抗付与部に伝達するか否かが切り替わる。具体的には、第1実施形態の変形例1に係る制動装置4000は、張力伝達ローラ30が第1位置に位置するときにコードCDの移動に起因する張力伝達ローラ30の回転を抵抗付与部RAに出力し、張力伝達ローラ30が第2位置に位置するときにコードCDの移動に起因する張力伝達ローラ30の回転を抵抗付与部RAに出力しないように構成される。
<第1実施形態の変形例2>
さらに、張力伝達ローラ30と対向する挟着部材として、図10に示すように、前後方向に水平に設けられた同一形状の2つのローラ447,448に巻回されたベルト449を用いることも可能である。この形態の場合は、上述の例と異なり、図10(a)に示すような定常状態又はコードCDが前方に引かれてスライダー420が前方にある状態であっても、図10(b)に示すようなコードCDが後方に引かれてスライダー420が後方にある状態であっても、張力伝達ローラ30とベルト449の間の距離(一対の狭着部材間の距離)は同じであり、狭着体による狭着力は変化しない構成となっている。この形態の場合は、図8(b)に示すように、ギアの噛み合いがなくなることによって、張力伝達ローラ30の回転が抵抗付与部RAに伝達できない状態となる。
つまり、第1実施形態の変形例2に係る制動装置4000は、張力伝達ローラ30が第1位置に位置するときにコードCDの移動に起因する張力伝達ローラ30の回転を抵抗付与部RAに出力し、張力伝達ローラ30が第2位置に位置するときにコードCDの移動に起因する張力伝達ローラ30の回転を抵抗付与部RAに出力しないように構成される。
以上より、第1の観点によれば、第1実施形態に係る制動装置4000は、コードの移動を捕捉し且つ前記コードの移動に起因する回転を抵抗付与部に伝達する挟着体を備える遮蔽装置であって、前記抵抗付与部は、前記コードの移動に対して抵抗力を発生させ、前記挟着体は、一方向のみに回転を伝達するワンウェイ機能を備える遮蔽装置と捉えることができる。
また、第2の観点によれば、第1実施形態に係る制動装置4000は、コードの移動を捕捉し且つ前記コードの移動に起因する回転を抵抗付与部に伝達する挟着体と、前記挟着体を内包するケースと、を有する遮蔽装置と捉えることができる。ここで、第1実施形態では、スライダー420がケースに相当する。
<作用・効果>
第1実施形態に係る制動装置4000により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)コードの移動を捕捉し且つコードの移動に起因する回転を抵抗付与部RAに伝達する挟着体がワンウェイ機能を備えることにより、従来のようにワンウェイクラッチを別途設ける構成と比べて、部品数を低減し、装置の体積を小さくすることができる。
(2)コードCDの移動を捕捉する挟着体と、挟着体を内包するケース(スライダー420)と、を有する構成により、ケース(スライダー420)への埃等の異物の進入を防止することができる。したがって、コードCDに異物が付着することを防止し、性能低下を防止することが可能となる。
<第1実施形態の変形例3>
次に、図11を用いて、第1実施形態の変形例3について説明する。本実施形態では、ケース10Kにスライダー41KをAB方向に移動可能に支持(両側面でガイド)し、スライダー41Kに内筒42AをCD方向に移動可能に支持(スライダー孔410Kで内筒移動面をガイド)する。ケース10Kに固定された固定軸31Kを内筒42Aに通し、固定軸31Kが内筒42Aに設けられた内筒斜面42Kに沿って相対移動可能とする。また、内筒42Aに設けられた凸部43Kが、スライダー孔410Kを通ってケース10Kと当接する。また、キャッチ部・伝達部連絡孔420Kが設けられる。コードCDがA方向に移動すると外筒240Aを介して内筒42Aがスライダー41KとともにA方向へ移動する(図11(b)。一方、固定軸31Kは移動しない。このため、固定軸31Kと当接した内筒斜面42Kで案内されて、一対の内筒42Aが外筒240Aとともに互いに近づく方向に移動し、一対の外筒240AがコードCDを挟着する。その後、コードCDの移動に伴って、外筒240Aが内筒42Aに対して相対回転する。外筒240Aは移動伝達歯部430Kを備えており、外筒240Aの回転が移動伝達歯部430Kを介して増速歯車・制動装置(不図示)に回転を伝達されることによってコードCDの移動に対して抵抗力が加えられる。
また、コードCDがB方向に移動すると外筒240Aを介して内筒42Aがスライダー41KとともにB方向へ移動する。この際、固定軸31Kと当接した内筒斜面42Kで案内されて、一対の内筒42Aが外筒240Aとともに互いに離れる方向に移動するので、一対の外筒240AがコードCDを挟着する力が弱くなり、コードCDの移動に伴って、外筒240Aがしなくなる。
なお、固定軸31Kは内筒斜面42Kに沿って内筒42Aの移動を制御できれば、形状は円筒でなくてもよく、内筒斜面42Kに接触していればもっと短い長さでもよい。内筒斜面42Kは固定軸31Kの移動を案内できれば孔状でなく有底の溝形状でもよい。
<作用・効果>
第1実施形態に係る制動装置4000により、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)コードの移動を捕捉し且つコードの移動に起因する回転を抵抗付与部RAに伝達する挟着体がワンウェイ機能を備えることにより、従来のようにワンウェイクラッチを別途設ける構成と比べて、部品数を低減し、装置の体積を小さくすることができる。
(2)コードCDの移動を捕捉する挟着体と、挟着体を内包するケース(スライダー420)と、を有する構成により、ケース(スライダー420)への埃等の異物の進入を防止することができる。したがって、コードCDに異物が付着することを防止し、性能低下を防止することが可能となる。
2.第2実施形態
次に、図12〜図18を用いて、第2実施形態に係る制動装置5000を説明する。本実施形態に係る制動装置5000は、図12等に示されるように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが並列配置された構成となっている。以下、本実施形態の概略を説明する。
図12〜図14に示されるように、運動変換部DTは、内筒42A及び外筒240Aからなるキャッチローラ32Aと、いわゆる固定滑車であって軸芯31に回転可能に取付けられたローレット240からなるキャッチローラ32Bから構成される。また、キャッチローラ32A,32Bの何れもケース440Aに設けられる。キャッチローラ32A,32Bの回動トルクによりコードCDが挟着される。また、コードCDは、コード挿通孔14Aを介して運動変換部DTに挿通されている。キャッチローラ32Aについては、後に更に詳述する。
抵抗付与部RAは、いわゆる遠心ガバナであって図13に示されるダンパ軸を中心にウェイト340Aが公転し、遠心力によってウェイト340Aが外径側に移動するとこれとケース10Aaとが接触して摩擦が起こり制動力を発生させるものである。ウェイト340Aを回転させる回転伝達機構(図示せず)とキャッチローラ32Bの軸芯31とが接続されており、キャッチローラ32Bが回動すると、かかる回転に係る動力が回転伝達機構を介して抵抗付与部RAに伝達され、これによりウェイト340Aがダンパ軸を中心に公転する。ウェイト340Aの個数は限定されず、例えば2個でも4個でも8個でも16個でもよい。
キャッチローラ32Aは、内筒42A及び外筒240Aが互いに相対回転可能に構成され且つかかる相対回転時には摺動抵抗を有するように構成される。図15に示されるように、内筒42Aの外周を外筒240Aで包むように構成される。これについては後に詳述するものとする。内筒42Aの側面には回転軸31Bとガイド軸31Cとが設けられ、ケース440Aには回転軸31Bの軸受けとガイド軸31Cの移動を案内するガイド溝31Caが設けられている。すなわち、キャッチローラ32Aは、回転軸31Bを中心に回動可能に構成される。ガイド溝31Caは、一方側がキャッチローラ32AとコードCDとを近接させ他方側がキャッチローラ32AとコードCDとを遠ざけるように設けられる。換言すると、ガイド溝31Caは、一方側から他方側に向かってキャッチローラ32AがコードCDから遠ざかるように形成される。
ガイド溝31Caにおけるかかる構造によれば、図14における図中矢印で示す制動方向にコードCDが移動すると、キャッチローラ32Aが回転軸31Bを中心に回動し、これにともなってガイド軸31Cがガイド溝31Caに沿って移動する。そして、図14(a)に示すガイド溝31Caの一方側にガイド軸31Cが位置するところ(第1位置)でキャッチローラ32Aの回動が制限される。かかる状態では、コードCDがキャッチローラ32A,32Bに挟着され、コードCDが更に制動方向に移動すると、キャッチローラ32Aにおける外筒240Aが内筒42Aに対して回転し、キャッチローラ32Bは軸芯31を中心に回転する。すなわち、キャッチローラ32Bと接続された抵抗付与部RAによって抵抗力が付与され、コードCDの移動が制動されることとなる。
また、ガイド溝31Caにおけるかかる構造によれば、図14における図中矢印で示す解放方向にコードCDが移動すると、キャッチローラ32Aが回転軸31Bを中心に回動し、これにともなってガイド軸31Cは、ガイド溝31Caに沿って移動する。そして、図14(b)に示すガイド溝31Caの他方側にガイド軸31Cが位置するところ(第2位置)でキャッチローラ32Aの回動が制限される。かかる状態では、コードCDがキャッチローラ32A,32Bに挟着されておらず又は相対的に弱い力で挟着されているに過ぎず、コードCDが更に解放方向に移動してもキャッチローラ32Bを回転させるトルクが足りずにキャッチローラ32Bが回転しない。したがって、抵抗付与部RAによる抵抗力が付与されない。
まとめると、図14(a)の状態から図14(b)の状態に変化する過程においては、抵抗付与部RAによる抵抗力がコードCDに与えられるが、図14(b)の状態においては抵抗付与部RAが作用しない。そして、図14(b)の状態において、外筒240Aとローレット240の間の距離が図14(a)の状態よりも離れているため、コードCDに対する挟着力が弱くなる。これにより、コードCDに加えられる制動力が解除された状態となるため、コードCDの自由移動が実現される。更に、図14(b)の状態から図14(a)の状態に変化する過程においては、抵抗付与部RAによる抵抗力がコードCDに与えられ、図14(a)の状態においてコードCDが挟着されるとともに抵抗付与部RAが作用する。
なお、内筒42Aと外筒240Aとにおける相対回転時摺動抵抗は、ガイド軸31Cが第1位置まで回動するときに相対回転不能とする程度の抵抗があればよい。これを鑑みると、キャッチローラ32Aにおける内筒42A及び外筒240Aは、次のように構成することができる。
一例では、図16(a)に示されるような内筒42Aの外筒240Aへの圧入工程によって、図16(b)に示されるキャッチローラ32Aが実現される。他の一例では、図17に示されるように、内筒42Aの表面には弾性部42Aaが設けられていて、これにより所望の抵抗力を得ることができる。更なる他の一例では、図18に示されるように、内筒42Aに外筒240Aに圧力を付与するバネ部材42Abが設けられていて、これにより所望の抵抗力を得ることができる。更に、抵抗を安定させるため粘性の高いグリスで潤滑してもよい。
<第2実施形態の変形例1>
更に、図19に示されるように、解放方向にコードCDが移動させるときを除いてガイド軸31Cが第1位置に位置するように、ケース10Aaに設けられた固定部441Aとガイド軸31Cとの間に、コイル部が回転軸31Bに巻回された付勢手段としてのトーションばね31Cbを配置し、トーションばね31Cbによってガイド軸31Cを付勢してもよい。
以上より、第1の観点によれば、第2実施形態に係る制動装置5000は、キャッチローラ32Aが、一方向のみに回転を伝達するワンウェイ機能を備えることになる。
つまり、本実施形態に係る制動装置5000は、挟着体の変位によって挟着体とコードCDの間に作用する摩擦力を変化させることにより、ワンウェイ機能を実現する。具体的には、制動装置5000は、キャッチローラ32Aが解除状態における位置(第2位置)に位置するときにキャッチローラ32AとコードCDとの間に作用する摩擦力が、キャッチローラ32Aが挟着状態における位置(第1位置)に位置するときにキャッチローラ32AがとコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるようにキャッチローラ32Aが移動する。
また、本実施形態に係る制動装置5000は、挟着体の変位により、コードCDの移動に起因する回転を抵抗付与部RAに伝達するか否かが切り替わるように構成される。具体的には、キャッチローラ32Aが挟着状態における位置(第1位置)に位置するときに、キャッチローラ32Bの軸芯31の回転が抵抗付与部RAに伝達され、キャッチローラ32Aが解除状態における位置(第2位置)に位置するときに、キャッチローラ32Bの軸芯31の回転が抵抗付与部RAに伝達されない。
<第2実施形態の変形例2>
次に、図20及び図21を用いて、第2実施形態の変形例2に係る制動装置6000を説明する。本変形例に係る制動装置6000は、図20及び図21に示されるように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが左右方向(紙面に垂直な方向)に並列配置された構成となっている。以下、本変形例の概略を説明する。
図20に示されるように、運動変換部DTは、内筒42A及び外筒240Aからなるキャッチローラ32Aと、軸芯31に回転可能に取付けられたローレット240からなるキャッチローラ32Bから構成される。内筒42A及び外筒240Aは、図12及び図14と同様の構成であり、互いに相対回転可能に構成される。また、内筒42Aの側面には、回転軸31B及びガイド軸31Cが設けられる。本変形例においても、キャッチローラ32Aが回転軸31Bを中心に回動可能に構成される。また、ガイド溝31Caは、ケース440Bの側面に、キャッチローラ32BがコードCDを挟着する状態と解除する状態に状態変化可能な位置に設けられる。こで、本変形例では、キャッチローラ32A及びキャッチローラ32Bにより挟着体が構成される。
そして、本変形例では、外筒240Aの側面にピニオンギア50Bが設けられる。ピニオンギア50Bは、紙面に対して垂直方向の回転軸を有する。そして、抵抗付与部RAに設けられた伝達ギア261Bの内側の歯と噛み合うように形成される。また、伝達ギア261Bの外側の歯と噛み合う位置に増速ギア280Bが設けられる。増速ギア280Bは、支持軸263Bに回転可能に取付けられる。そして、図20(b)に示されるように、増速ギア280Bと同軸上に、増速ギア280Bと一体回転するウェイトホルダ320Bが設けられる。そして、ウェイトホルダ320B上によりウェイト340Bが保持される。ここで、本実施形態では、ウェイトホルダ320Bにより4つのウェイト340Bが保持される。
ウェイトホルダ320Bは増速ギア280Bと一体回転するように設けられているため、増速ギア280Bの自転に伴いウェイトホルダ320Bも自転する。これにより、ウェイトホルダ320Bに保持されるウェイト340Bが公転する。
図21に示されるように、本変形例では、3本のコードCDが水平に挟着される。これらのコードCDは、運動変換部DTを構成するコード挿通孔14Aに挿通される。また、ピニオンギア50Bは、運動変換部DTのケース440Bから外部に飛び出しており、運動変換部DTと隣接配置される抵抗付与部RAの伝達ギア261Bと噛み合っている。
したがって、コードCDに対して制動方向に張力が与えられると、外筒240AとコードCDとの間に生じる摩擦力により、回転軸31Bを中心としてキャッチローラ32Aが時計周りに回動する。このとき、キャッチローラ32Aの回動に伴い、外筒240Aに設けられたピニオンギア50Bも自転しつつ時計周りに回動する。すると、ピニオンギア50Bと噛み合う伝達ギア261Bが反時計回りに自転を開始する。これにより、伝達ギア261Bと噛み合う増速ギア280Bが時計周りに自転を開始する。このとき、伝達ギア261Bの径よりも増速ギア280Bの径の方が小さいので、コードCDの移動に起因するピニオンギア50Bの回転が増速されて増速ギア280Bに伝達される。このとき、内筒42A及び外筒240Aは両者の摺動抵抗により一体回転する。
そして、増速ギア280Bの自転により、ウェイト340Bが時計周りに公転を開始する。そして、ウェイト340Bが抵抗付与部RAのケース10Aaの内壁と当接することにより、コードCDの移動に対する制動力を作用させることが可能となる。そして、図20(a)の状態のとき、ガイド軸31Cとガイド溝31Caが当接することにより、内筒42Aの回動が阻止される。そして、さらにコードCDに対して制動方向に張力が与えられると、外筒240Aが内筒42Aに対して相対回転を開始する。これにより、コードCDを挟着しつつ、抵抗付与部RAからの制動力を作用させることができる。
一方、コードCDに解放に張力が与えられると、回転軸31Bを中心としてキャッチローラ32Aが反時計周りに回動する。このとき、ピニオンギア50B、伝達ギア261B及び増速ギア280Bは、コードCDの制動に張力が与えられる場合とは逆回転する。そして、図20(b)の状態のとき、ガイド軸31Cとガイド溝31Caが当接することにより、内筒42Aの回動が阻止される。そして、外筒240Aは内筒42Aに対して相対回転を継続する。かかる状態においては、外筒240Aとローレット240の間の距離が図20(a)よりも大きくなっており、コードCDを十分に挟着することができない。加えて、コードCDを十分に挟着できないために、外筒240Aの回転も抑制される。これにより、抵抗付与部RAにコードCDの移動に起因する回転が伝達されなくなる。
以上より、第1の観点によれば、第2実施形態の変形例2に係る制動装置6000は、キャッチローラ32Aが、一方向のみに回転を伝達するワンウェイ機能を備えることになる。
つまり、本変形例に係る制動装置6000は、挟着体の変位によって挟着体とコードCDの間に作用する摩擦力を変化させることにより、ワンウェイ機能を実現する。具体的には、制動装置6000は、キャッチローラ32Aが解除状態における位置(第2位置)に位置するときにキャッチローラ32AとコードCDとの間に作用する摩擦力が、キャッチローラ32Aが挟着状態における位置(第1位置)に位置するときにキャッチローラ32AがとコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるようにキャッチローラ32Aが移動する。
また、本変形例に係る制動装置6000は、挟着体の変位により、コードCDの移動に起因する回転を抵抗付与部RAに伝達するか否かが切り替わるように構成される。具体的には、キャッチローラ32Aが挟着状態における位置(第1位置)に位置するときに、キャッチローラ32Aの回転が抵抗付与部RAに伝達され、キャッチローラ32Aが解除状態における位置(第2位置)に位置するときに、キャッチローラ32Aの回転が抵抗付与部RAに伝達されない。
<第2実施形態の変形例4>
次に、図23〜図25を用いて、第4実施形態の変形例4に係る制動装置8000を説明する。本変形例に係る制動装置8000は、図20及び図21に示されるように、運動変換部DT及び抵抗付与部RAが左右方向(紙面に垂直な方向)に並列配置された構成となっている。以下、本変形例の概略を説明する。
図23に示されるように、運動変換部DTは、内筒830A及び外筒830Bからなるキャッチローラ830と、回転軸41に回転可能に取付けられたローレット43を備えるキャッチローラ840から構成される。内筒830A及び外筒830Bは、図15と同様、内筒830Aが回転軸831に回転可能に取付けられ、内筒830A及び外筒830Bは互いに相対回転可能且つ一定以下のトルクに対しては摺動抵抗により一体回転するよう構成される。ただし、図15と異なり、回転軸831はキャッチローラ830の中心に設けられ、ケース810Aに軸支されている。また、回転軸831から偏心した位置には、軸方向両側に向かってガイド軸850が突出している。また、本変形例では、キャッチローラ840は、図24に示すように、上下方向に平行移動可能な移動ケース820の支持溝821(図24参照)に回転可能に保持される。ここで、本実施形態では、キャッチローラ830及び840により一対の挟着部材(挟着体)が構成される。
なお、本変形例でも、抵抗付与部RAは、遠心ガバナを備え回転軸831の回転を遠心ガバナに伝えて制動させるものであり、上記変形例2と同様、キャッチローラ830の外筒830Bの回転がピニオンギア50B(図21参照)を介して抵抗付与部RAに伝達される。抵抗付与部RAの構成については、すでに述べた実施形態に記載のものを適宜使用することができる。
移動ケース820は、キャッチローラ830,840の両端に形成される一対の平行板822を備え、各平行板822に支持溝821が形成される(図24参照)。また、平行板822上方の前後方向中央には、上方に開口するガイド溝823が形成される。さらに、平行板822は、ガイド溝823の前方の位置に、ガイド軸850を挿入可能な長孔824を有しており、長孔824はガイド軸850が前後方向に移動可能となる向きに形成される。
ここで、本変形例においては、コードCDに張力が与えられない状態(定常状態)では、図23(a)に示すように、コードCDは上方に位置するキャッチローラ830のみに接触し、キャッチローラ840とは接触しない構成となっている。
以上のような構成により、コードCDに張力が与えられない状態(定常状態)からコードCDが後方(図23の右方向)に移動すると、キャッチローラ830の外筒830Bは図23(a)において反時計回り(矢印X方向)に回転しようとするが、一対の挟着部材であるキャッチローラ830,840がコードCDを挟着していないため(図24(a)、図25(a)も参照)、コードCDの移動がキャッチローラ830(外筒830B)の回転として十分伝達せず、外筒830Bの回転が抵抗付与部RAに伝達されてコードCDに抵抗力が付与されることはない。なお、この場合、外筒830Bが回転しても内筒830Aの備えるガイド軸850が移動ケース820の長孔824に当接し、移動ケース820は前後方向においてケース810Aに規制されているため、内筒830Aは反時計回りに回転することができないようになっている。
一方、コードCDが前方(図の左方向)に移動すると、図23(b)に示すように、キャッチローラ830の外筒830Bが時計回り(矢印Y方向)に回転する。この際、外筒830Bと内筒830Aの間には摺動抵抗があるため、これら外筒830Bと内筒830Aとが一体回転を開始する。すると、内筒830Aの回転と同時に内筒830Aの備えるガイド軸850が時計回りに回転し、移動ケース820の長孔824の上面を押圧して、移動ケース820を上方に押し上げる(図23(b)、図24(b)、図25(b)参照)。その結果、移動ケース820に保持されたキャッチローラ840が上方、つまりコードCDに近接する方向に移動し、キャッチローラ830と協働してコードCDを挟着する。
この状態でさらにコードCDが前方(図の左方向)に移動すると、コードCDの移動が外筒830Bの回転として伝達する。ただし、キャッチローラ840がコードCDに当接したあとは、移動ケース820はそれ以上上方に移動することができないので、内筒830Aもそれ以上回転できない状態となるため、内筒830Aに対して外筒830Bのみが回転するようになる。
以上の結果、図23(b)のキャッチローラ830とキャッチローラ840がコードCDを挟着した状態でコードCDが前方(図の左方向)に移動すると、コードCDの移動が外筒830Bの回転として十分に伝達され、外筒830Bの回転に対して抵抗付与部RAが制動力を付与し、コードCDが制動されることになる。
以上より、第1の観点によれば、第2実施形態の変形例4に係る制動装置8000は、キャッチローラ830が、一方向のみに回転を伝達するワンウェイ機能を備えることになる。
つまり、本変形例に係る制動装置8000は、挟着体の変位によって挟着体とコードCDの間に作用する摩擦力を変化させることにより、ワンウェイ機能を実現する。具体的には、制動装置8000は、キャッチローラ830が解除状態における位置(第2位置)に位置するときにキャッチローラ830とコードCDとの間に作用する摩擦力が、キャッチローラ830が挟着状態における位置(第1位置)に位置するときにキャッチローラ830がとコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるようにキャッチローラ830が移動する。
また、本変形例に係る制動装置8000は、挟着体の変位により、コードCDの移動に起因する回転を抵抗付与部RAに伝達するか否かが切り替わるように構成される。具体的には、キャッチローラ830が挟着状態における位置(第1位置)に位置するときに、キャッチローラ830の回転が抵抗付与部RAに伝達され、キャッチローラ830が解除状態における位置(第2位置)に位置するときに、キャッチローラ830の回転が抵抗付与部RAに伝達されない。
3.第3実施形態
次に、図26〜図28を用いて、本発明の第3実施形態に係る運動変換部について説明する。図26に示されるように、本実施形態では、ローレット240及びローラ部42が、それぞれの軸芯31及び軸芯41を介して連結される。ここで、かかる連結方法は任意であり、例えば、図26(a)に示されるように、一対のプレート800を用いてもよい。ここで、本実施形態では、プレート800は略矩形であり、例えば金属製のプレート800を用いることができる。また、プレート800の軸芯31及び軸芯41に対応する箇所には貫通孔801が設けられ、軸芯31及び軸芯41を貫通孔801に挿入することによりローレット240とローラ部42を連結することができる。
また、図26(b)に示されるように、プレート800に代えて、紐状部材900を用いてローレット240とローラ部42を連結してもよい。なお、紐状部材900を用いる場合、図27に示されるように、コードCDの移動時においてローレット240とローラ部42が逆向きに回転するため、紐状部材900をクロスする構成としている。ここで、図27は、図26(b)の部材がコードCDを挟着する状態を矢印Z方向から見た模式図である。
そして、図28に示されるように、かかる部材は、ケース10Bの内部において、ローレット240とローラ部42の間にコードCDを挟むように設けられる。ここで、図28においては、視認性の向上のため、図26(b)における紐状部材900を利用する態様を用いて説明する。また、図28の矢印gで示される方向に重力gが作用するものとする。説明の便宜上、矢印gの方向を下向きとし、矢印gと逆向きを上向きとする。
また、ケース10Bには、軸芯31に対応する位置に第1側壁孔119Aが設けられる。第1側壁孔119Aは、前方に向けて傾斜する長円形である。なお、これらの形状は特に限定されず、適宜設計することができる。
軸芯31は第1側壁孔119Aに沿って移動可能である。つまり、ローレット240は、コードCDに接触可能な位置に設けられ且つ鉛直方向に移動可能なローラである。
また、ケース10Bの内部には、コードCDを挟んでローレット240と対向し且つローレット240よりも前方の位置に、支柱92が固定されている。
まず、図28(a)に示される状態から、コードCDに矢印D2方向へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローレット240が矢印D3の向きに第1側壁孔119Aに沿って下方に移動する。図28(b)に示されるように、かかる位置を、鉛直成分を有する可動方向の下側の位置である第1位置とする。かかる状態においては、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が小さいので、コードCDが屈曲し、挟着状態となる。つまり、支柱92は、ローレット240とコードCDを挟んで位置する挟着部材として機能する。また、ローラ部42は、ローレット240と連動して移動する補助ローラとして機能する。
ここで、挟着状態において、軸芯31が可動範囲の前方限界まで到達すると、略平行移動していたローレット240が回転(図中における時計回り)を開始する。そして、軸芯31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部RAに出力することとしてもよい。このとき、コードCDが前方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されるが、コードCDが後方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されないように、ローレット240、又は、ローレット240と抵抗付与部RAの間にワンウェイクラッチを設けてもよい。ここで、抵抗付与部RAはケース10Bの内部又は外部に設けられてもよく、ローレット240内部に設けられてもよい。
一方、コードCDに矢印D2と逆向きに張力を与えると、上記動作と逆向きの動作が生じることにより、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
そして、図28(a)に示されるように、軸芯31は、重力gに逆らい、第1側壁孔119Aの鉛直成分を有する可動方向(図28における斜め方向)の上側の位置である第2位置に移動する。かかる状態を自由移動状態と言う。自由移動状態において、コードCDが非屈曲状態で解除される。そして、コードCDの自由移動を許可することができる。
なお、軸芯31及びローレット240と、軸芯41及びローラ部42に変えて、回転しない支柱を用いることもできる。
ここで、挟着体は、出力要挟着体(ローレット240及び軸芯31)及び捕捉要挟着体(支柱92)から構成され、コードCDの一方向(矢印D2方向)移動時に、出力用挟着体を介して抵抗付与部に出力用挟着体の回転が伝達される伝達モードとなり、コードCDの他方向移動時(矢印D2と逆方向)に、捕捉用挟着体と出力用挟着体が相対移動して出力用挟着体の回転を抵抗付与部へ伝達しない非伝達モードとなる。ここで、捕捉用挟着体は、出力用挟着体に対し離近方向に相対移動可能な相対移動挟着体である。また、出力用挟着体と捕捉用挟着体とがコードCDを挟着してコードCDの変位を制動する。ここで、非伝達モードは、出力用挟着体と捕捉用挟着体とが離間した状態であるか、接触していても出力用挟着体の回転を抵抗付与部に伝達できない程度の接触状態である。また、伝達モードは、出力用挟着体と捕捉用挟着体が接触し、出力用挟着体に捕捉用挟着体の回転を伝達してコードCDの変位を制動可能な状態である。
また、本実施形態に係る部材を用いた装置を利用することにより、異なる太さのコードCDを挟着することが可能となる。つまり、図28に示されるコードCDを第1の太さのコードCDとすると、第1の太さより太い第2のコードCDを用いる場合には、図28(a)及び(b)において、ローレット240が太くなったコードCDの分だけ上方(矢印gと反対向き)に移動する。ここで、図28に示される第1の太さのコードCDを挟着するときの支柱92及びローレット240の位置を第1位置とし、第2の太さのコードCDを挟着するときの支柱92及びローレット240の位置を第2位置とすると、第2位置は、支柱92及びローレット240が第1位置よりも互いに離間した位置であるといえる。
つまり、本実施形態に係る部材を用いた装置は、異なる太さのコードに対応したコード挟着範囲を備える挟着体を有する遮蔽装置と捉えることができる。ここで、軸芯41、ローラ部42及び支柱92が挟着体を構成する。
なお、第1位置及び第2位置は絶対的に定義されるものではなく、鉛直方向において第1位置よりも相対的に高い位置を第2位置としてもよい。さらに、軸芯41及びローラ部42は、必要に応じて省略することができる。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)コードの移動を捕捉し且つコードの移動に起因する回転を抵抗付与部に伝達する挟着体がワンウェイ機能を備えることにより、従来のようにワンウェイクラッチを別途設ける構成と比べて、部品数を低減し、装置の体積を小さくすることができる。
(2)かかる構成により、装置の構成を変えることなく、異なる太さのコードCDを挟着することが可能となる。したがって、1つの装置で種々の遮蔽装置に対応することが可能となる。
(3)コードCDの自由移動時において屈曲しない(非屈曲)ために、屈曲抵抗が小さくなり、よりスムーズにコードCDが移動することが可能になる。
(4)引き操作時において操作力を低減し、自動動作(自動降下)時に確実にコードCDを挟着し、意図しない落下を防止することができる。
(5)ブレーキをかけるときにコードからの抵抗力を抵抗付与部に出力し、コードの自由移動を許可するときにコードからの抵抗力を抵抗付与部から切り離すことが可能となる。
(6)ローラ部42とローレット240の一対の挟着体が紐状部材により連結され、常時コードとローレット240とが接触するため、前記一対の挟着体が制動時に挟着される方向へ移動されるよう起動させることができる。よって、コードの移動に伴い挟着状態から自由移動状態、自由移動状態から挟着状態へと確実に移動させることができる。
4.第4実施形態
次に、図29を用いて、本発明の第4実施形態に係る他の運動変換部について説明する。図29に示されるように、本実施形態に係るケース10Cには、ローレット240の直径よりわずかに大きい収容空間93が形成される。ここで、収容空間93は、断面視において円弧形状と半直線形状を組み合わせた形状をなしている。したがって、ローレット240は収容空間93内で自由に移動することができる。また、収容空間93には、挟着案内斜面93a、及び解除側規制面93dが形成される。
そして、ケース10Cの内部に軸芯31、ローレット240、支柱92、2つの出力軸95及び無端ベルト94が配置される。ローレット240は、自由移動状態においてコードCDとわずかに接触するように設けられる。
ローレット240は、ローラ部42との間にコードCDを挟むように設けられる。そして、2つの出力軸95に無端ベルト94を張架する。無端ベルト94は、ローレット240の回転により抵抗力が作用し、無端ベルト94が回転可能なように構成される。又は、可能であれば、無端ベルト94の表面はローレット240及び出力軸95の表面と噛みあうような形状とされてもよい。また、出力軸95は、自身の回転をコードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部に出力するように構成される。出力軸95及び無端ベルト94は、無端ベルト94が収容空間93の半直線部分と略一直線となるように構成される。
まず、図29(a)に示される状態から、コードCDに矢印D4方向へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、ローレット240が矢印D5の向きに回転するとともに、収容空間93の半直線部分を経て無端ベルト94に接近する向きに移動する(第1位置)。図29(b)に示されるように、かかる状態においては、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が小さいので、コードCDが屈曲し、挟着状態となる。つまり、支柱92は、ローレット240とコードCDを挟んで位置する挟着部材として機能する。
なお、挟着状態において、出力軸95の回転を抵抗付与部RAに出力することとしてもよい。つまり、ローレット240と無端ベルト94の間に作用する摩擦力により、無端ベルト94が出力軸95に対して矢印D5と逆向き(反時計周り)に回転する。これにより、出力軸95も無端ベルト94と同じ方向(反時計周り)に回転(自転)する。かかる回転を抵抗付与部RAに出力するのである。かかる構成では、出力軸95のうちの一方が、第3実施形態における軸芯31と同様の機能(抵抗付与部RAに回転を伝達)を発揮する。このとき、コードCDが前方に移動するときには回転が抵抗付与部に伝達されるが、コードCDが後方に移動するときには回転が抵抗付与部RAに伝達されないように、ローレット240と抵抗付与部RAの間にワンウェイクラッチを設けてもよい。
一方、コードCDに矢印D4と逆向きに張力を与えると、上記動作と逆向きの動作が生じることにより、ローレット240と支柱92の鉛直方向における距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
そして、図29(a)に示されるように、軸芯31は、重力gに逆らい、無端ベルトから離間する位置である第2位置に移動する。かかる状態を自由移動状態と言う。自由移動状態において、コードCDが非屈曲状態で解除される。そして、コードCDの自由移動を許可することができる。
なお、支柱92に変えて、軸芯及びローラ部を用いることもできる。
ここで、挟着体は、出力要挟着体(ローレット240及び軸芯31)及び捕捉要挟着体(支柱92)から構成され、コードCDの一方向(矢印D4方向)移動時に、出力用挟着体を介して抵抗付与部に出力用挟着体の回転が伝達される伝達モードとなり、コードCDの他方向移動時(矢印D4と逆方向)に、捕捉用挟着体と出力用挟着体が相対移動して出力用挟着体の回転を抵抗付与部へ伝達しない非伝達モードとなる。ここで、捕捉用挟着体は、出力用挟着体に対し離近方向に相対移動可能な相対移動挟着体である。また、出力用挟着体と捕捉用挟着体とがコードCDを挟着してコードCDの変位を制動する。ここで、非伝達モードは、出力用挟着体と捕捉用挟着体とが離間した状態であるか、接触していても出力用挟着体の回転を抵抗付与部に伝達できない程度の接触状態である。また、伝達モードは、出力用挟着体と捕捉用挟着体が接触し、出力用挟着体に捕捉用挟着体の回転を伝達してコードCDの変位を制動可能な状態である。
さらに、本実施形態に係る部材を用いた装置は、ローレット240が第2位置に位置するときにローレット240とコードCDとの間に作用する摩擦力が、ローレット240が第1位置に位置するときにローレット240とコードCDとの間に作用する摩擦力よりも小さくなるようにローレット240が移動するように構成される。
また、出力軸95の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部RAに出力する場合、本実施形態に係る部材を用いた装置は、ローレット240が第1位置に位置するときにコードCDの移動に起因するローレット240の回転を抵抗付与部RAに出力し、ローレット240が第2位置に位置するときにコードCDの移動に起因するローレット240の回転を抵抗付与部RAに出力しないように構成される。
また、本実施形態に係る部材を用いた装置を利用することにより、異なる太さのコードCDを挟着することが可能となる。つまり、図29に示されるコードCDを第1の太さのコードCDとすると、第1の太さより太い第2のコードCDを用いる場合には、図29(a)及び(b)において、ローレット240が太くなったコードCDの分だけ上方(矢印gと反対向き)に移動する。ここで、図29に示される第1の太さのコードCDを挟着するときの支柱92及びローレット240の位置を第1位置とし、第2の太さのコードCDを挟着するときの支柱92及びローレット240の位置を第2位置とすると、第2位置は、支柱92及びローレット240が第1位置よりも互いに離間した位置であるといえる。
つまり、本実施形態に係る部材を用いた装置は、異なる太さのコードに対応したコード挟着範囲を備える挟着体を有する遮蔽装置と捉えることができる。ここで、支柱92、軸芯31及びローレット240が挟着体を構成する。
なお、図29(a)では、ローレット240と無端ベルト94が離れる構成としたが、これに限定されない。例えば、自由移動状態においてもローレット240と無端ベルト94の噛合が解除されず、コードCDへの挟着力を弱めるように構成することもできる。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)コードの移動を捕捉し且つコードの移動に起因する回転を抵抗付与部に伝達する挟着体がワンウェイ機能を備えることにより、従来のようにワンウェイクラッチを別途設ける構成と比べて、部品数を低減し、装置の体積を小さくすることができる。
(2)かかる構成により、装置の構成を変えることなく、異なる太さのコードCDを挟着することが可能となる。したがって、1つの装置で種々の遮蔽装置に対応することが可能となる。
(3)コードCDの自由移動時において屈曲しない(非屈曲)ので、抵抗が少なくなり、よりスムーズにコードCDが移動することが可能になる。
(4)引き操作時において操作力を低減し、自動動作(自動降下)時に確実にコードCDを挟着し、意図しない落下を防止することができる。
(5)ブレーキをかけるときにコードからの抵抗力を抵抗付与部に出力し、コードの自由移動を許可するときにコードからの抵抗力を抵抗付与部から切り離すことが可能となる。
(6)ローラの外周面と接触する移動接触面93a(MN)を備えたことにより、挟着状態から自由移動状態、自由移動状態から挟着状態へ確実にローレット240を移動させることができる。
5.第5実施形態
次に、図30を用いて、本発明の第5実施形態に係る他の運動変換部について説明する。本実施形態は、部材の配置が第3実施形態の構成と類似しているため、以下、相違点について説明する。本実施形態は、第3実施形態と異なり、ローレット240の内部にワンウェイクラッチ245が設けられる。ワンウェイクラッチ245は、矢印D7方向にのみ回転可能なクラッチである。つまり、ワンウェイクラッチ245により、ローレット240の回転も矢印D7方向にのみ許可される。そして、本実施形態と第3実施形態の大きな違いは、本実施形態ではローレット240が移動しない。
そして、コードCDが矢印D6方向に移動すると、コードCDとローレット240の間に作用する摩擦力により、ローレット240が矢印D7方向に回転する。そして、軸芯31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部に出力する。
一方、コードCDが矢印D6と逆方向に移動すると、ワンウェイクラッチ245が矢印D7と逆方向に回転できない。したがって、ローレット240の回転が規制される。これにより、コードCDが矢印D6と逆方向に移動する場合には、軸芯31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部に出力しない。
以上説明したように、本実施形態においては、挟着体の内部にワンウェイクラッチ245を備えることにより、ワンウェイ機能が実現される。そして、コードCDが矢印D6方向に移動するときには、コードCDに対して抵抗付与部からの抵抗力を与えることができる。一方、コードCDが矢印D6と逆方向に移動するときには、コードCDに対して抵抗付与部からの抵抗力が与えられず、コードCDの自由移動を許可することができる。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)コードの移動を捕捉し且つコードの移動に起因する回転を抵抗付与部に伝達する挟着体がワンウェイ機能を備え、前記挟着体の内部にワンウェイクラッチを備えることにより、前記ワンウェイ機能が実現されることにより、従来のようにワンウェイクラッチを別途設ける構成と比べて、部品数を低減し、装置の体積を小さくすることができる。
6.第6実施形態
次に、図31〜図33を用いて、第6実施形態に係る制動装置5000を説明する。本実施形態の制動装置5000は、ケース510Aとスライダー520から構成され、抵抗付与部RAは不図示である。本実施形態の制動装置5000は、図32(b)に示すように、コードCDが屈曲することによる屈曲抵抗によってコードCDの移動に抵抗力が与えられる抵抗付与部RAとしても機能する。勿論、既述の通り抵抗付与部RAを併設し、挟着体の回転を抵抗付与部RAに伝達することにより制動する構成でも良い。なお、本実施形態においては、図32の左方向が、上述した実施形態の前方向に対応する。以下、上述した実施形態との相違点を中心に説明する。
ケース510Aは、図31及び図32に示すように、略直方体形状の部材であり、例えば遮蔽装置のヘッドボックス等に固定される。ケース510Aは、内部が前後方向に貫通しており、ガイドレール511が形成される上部空間SAと、上部空間の下方に形成される下部空間SBとが形成される。ガイドレール511は前後方向に亘って形成されており、スライダー520が前後方向に平行移動できるようになっているため、コードCDに対し直交した状態を保ちながら平行移動する。すなわち、本実施形態においては、ガイドレール511がスライダー520をガイドするガイド部として機能する。また、下部空間SBの前方には、アイドルローラ40が回転可能に設けられる。また、ケース510Aの下部空間SBにはローラ摩擦面MN541,542が設けられ、図32に示す通りスライドローラ530の摩擦部240の外周面がローラ摩擦面MNに接する位置にある。下部空間SBの最も狭い幅、すなわちローラ摩擦面MN541,542間のXY方向の幅はコードCDが複数本(図31では3本)挿通可能な長さとなっている。また、ローラ摩擦面MNは図32に示すように前後方向に所定の長さで途切れている。従って、スライドローラ530がローラ摩擦面MNに接触しているときスライダー520のトルクを受けるとスライダー520が前後方向に移動するよう構成される。ローラ摩擦面MNには図31に示すようXY方向の細溝を設け摩擦を確保するとよい。
スライダー520は、底板521と、底板521の両端から上方に延びる一対の側板部522を備えた下方と前後方向が開口する略コの字型の部材であり、一対の側板部522の間に軸芯31と摩擦部240を有するスライドローラ530が回転不能に取り付けられる。従って、摩擦部240の回転を軸芯31を介してケース外に設けられる抵抗付与部への回転伝達を行うことも可能である。このように、本実施形態においては、挟着体は一対の狭着部材であるスライドローラ530とアイドルローラ40により構成される。
以上のような構成により、コードCDを引き操作して後方に移動する場合は、図32(a)に示すように、コードCDはスライドローラ530を回転させローラ摩擦面MNとの摩擦の反作用によりスライダー520が後方へと移動する。その結果、スライドローラ530とアイドルローラ40の距離が離間し、コードCDの屈曲は緩やかになってコードCDの移動に対する抵抗力は低減する。尚、移動限界位置ではローラ摩擦面MNは途切れておりスライドローラ530とローラ摩擦面MNとの摩擦は低減される。また、移動限界位置を越えたスライダー520の移動を阻止する移動規制部543がケース510Aが設けられておりスライダー520がケース510Aから脱落することは無い。
一方、コードCDが遮蔽装置の自重等により引っ張り力を受け前方に移動する場合は、図32(b)に示すように、コードCDの移動に伴ってスライドローラ530が回転しローラ摩擦面MNとの摩擦の反作用によりスライダー520が前方へと移動する。すると、スライドローラ530とアイドルローラ40の距離が接近して、コードCDの屈曲が略S字状になる程大きくなって、コードCDの移動に対する抵抗力が増加する。この制動力により、ブラインド等の遮蔽材が自然落下するより低い速度で下降させることができる。また、図32(b)に示す通り前側のローラ摩擦面MNも制動側移動限界位置では途切れるよう形成されているのでローラ摩擦面MNとの摩擦に起因する制動力を無用に大きくすることが無い。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)スライドローラ530が平行移動するスライダー520に保持されていることから、コードCDに対してスライドローラ530が直交状態を保ちながら移動する為、制動時複数のコードCDに対する制動力を均一とすることができ、遮蔽材の自動動作時の制動動作を安定して行うことが可能となっている。
(2)スライドローラ530をケース510A(部位はローラ摩擦面MN)に接触させ、コードCDの制動方向への移動時コードCDが屈曲するように構成したことにより、確実に制動力を得ることができる。
(3)スライドローラ530をケース510A(部位はローラ摩擦面MN)に接触させ、コードCDの解除方向への移動時コードCDを延伸するように構成したことにより、確実に制動力を低減させることができる。さらには、スライドローラ530の解除側の移動限界位置で、スライドローラ530とローラ摩擦面MNとの接触しないよう構成することによりさらに制動力を低減させることができる。
(4)スライダー520をケース510Aに対し移動可能とするとともに移動限界位置を越えた移動を阻止する規制部543を設けたことによりスライダーのケースからの脱落を防止することができる。
(5)制動側のローラ摩擦面MNとスライドローラ530との接触を制動側移動限界位置で途切れるよう形成されているので制動力を無用に大きくすることが無く、遮蔽材の下降時下部で下降し難くなることを防止できる。
なお、本発明においても、スライドローラ530の軸芯31又はアイドルローラ40の軸芯41に上述した実施形態の抵抗付与部RAを接続することで、コードCDに抵抗力を与える構成とすることができる。
<第6実施形態の変形例>
図33に本実施形態の制動装置5000の変形例の1例を示す。この例は、図31及び図32にて示した実施例と類似するが、スライドローラ530及びアイドルローラ40の外径とローラ摩擦面MNの形状が異なっている。また、屈曲抵抗の付与だけで無くスライドローラ530とアイドルローラ40との挟着を可能とし、付与手段により移動をアシストする点が異なっている。
図33に示す通り、スライドローラ530とアイドルローラ40のケース510Aに設けられる高さは、スライドローラ530の移動軌跡とアイドルローラの上部位置が重なる配置となっている。従って、制動側にスライダー520が移動した際、スライドローラ530とアイドルローラコードとがCDを挟着する構成となっている。
また、図33に示すように、スライダー520を磁性体(付勢手段)とし、ケース510Aに磁石MG(付勢手段)を設けることによりスライダー520が制動側に移動するよう常にアシストされる。よって、スライダー520がローラ摩擦面MNを超えて解除側に移動しても磁力により吸着されスライダーがローラ摩擦面MNに常に当接する。従って、コードCDが制動力を受けた際、スライドローラ530の回転により確実に制動側にスライダーを移動させることができる。磁石MGのケースへの設置位置はコードCDを両ローラで挟着する位置で最も磁着力が増す位置に設けると好ましい。
7.第7実施形態
次に、図34及び図35を用いて、本発明の第6実施形態に係る制動装置6000について説明する。なお、本実施形態については、運動変換部DTについてのみ説明し、他の部分については、既に説明した任意の構成を組み合わせることとして、その説明を省略する。図34に示されるように、本実施形態では、張力伝達ローラ30を構成するローレット240の軸芯31と、ローレット240の下方でコードCDを保持する保持ローラ250の軸芯251が、一対のプレート800を介して連結される。ここで、本実施形態においては、プレート800は略矩形であり、例えば金属製のプレート800を用いることができる。また、プレート800の軸芯31及び軸芯251に対応する箇所には貫通孔801が設けられ、軸芯31及び軸芯251を貫通孔801に挿入することによりローレット240と保持ローラ250を連結することができる。
そして、図35に示されるように、かかる部材は、ケース10Bの内部において、ローレット240と保持ローラ250の間にコードCDを挟むように設けられる。ここで、図35においては、視認性の向上のため、プレート800の外縁のみを描いている。また、図35の矢印gで示される方向に重力gが作用するものとする。説明の便宜上、矢印gの方向を下向きとし、矢印gと逆向きを上向きとする。
また、ケース10Bには、軸芯31に対応する位置に側壁孔119Aが設けられる。側壁孔119Aは、前方に向けて傾斜する長円形であり、挟着案内斜面119a、解除案内斜面119b、挟着側規制面119c及び解除側規制面119dにより内周面が形成される。る。なお、これらの形状は特に限定されず、適宜設計することができる。
軸芯31は側壁孔119Aに沿って移動可能である。つまり、張力伝達ローラ30は、コードCDに接触可能な位置に設けられ且つ鉛直方向に移動可能なローラである。
また、ケース10Bの内部には、コードCDを挟んで張力伝達ローラ30と対向し且つ張力伝達ローラ30よりも前方の位置に、支柱92が固定されている。
まず、図35(a)に示される状態から、コードCDに前方(図の左方向)へ張力を与えると、コードCDとの間に生じる摩擦力により、張力伝達ローラ30が矢印D3の向きに側壁孔119Aの挟着案内斜面119aに沿って下方に移動する。図35(b)に示されるように、かかる位置を、鉛直成分を有する可動方向の下側の位置である第1位置とする。かかる状態においては、張力伝達ローラ30と支柱92の鉛直方向における距離が小さいので、コードCDが屈曲し、挟着状態となる。つまり、本実施形態においては、張力伝達ローラ30及び支柱92が一対の挟着部材として機能する。また、保持ローラ250は、張力伝達ローラ30と連動して移動する補助ローラとして機能する。
ここで、挟着状態において、軸芯31が可動範囲の前方限界まで到達すると、略平行移動していた張力伝達ローラ30が回転(図中における時計回り)を開始する。そして、軸芯31の回転を、コードCDの移動に伴って抵抗力を発生させる抵抗付与部に出力することとしてもよい。このとき、コードCDが前方に移動するときには回転が抵抗付与部(図示せず)に伝達されるが、コードCDが後方に移動するときには回転が制動装置に伝達されないように、張力伝達ローラ30と制動装置の間にワンウェイクラッチを設けてもよい。ここで、抵抗付与部はケース10Bの内部又は外部に設けられてもよく、張力伝達ローラ30内部に設けられてもよい。
一方、コードCDに後方(図の右方向)に張力を与えると、上記動作と逆向きの動作が生じることにより、張力伝達ローラ30と支柱92の鉛直方向における距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
そして、図35(a)に示されるように、軸芯31は、重力gに逆らい、解除案内斜面119bに沿って側壁孔119Aの鉛直成分を有する可動方向(図35における斜め方向)の上側の位置である第2位置に移動する。かかる状態を自由移動状態と言う。自由移動状態において、コードCDが非屈曲状態で解除される。そして、コードCDの自由移動を許可することができる。
なお、軸芯31及び張力伝達ローラ30と、軸芯251及び保持ローラ250に代えて、回転しない支柱を用いることもできる。
つまり、本実施形態に係る部材を用いた装置は、一対の挟着部材の一方である張力伝達ローラ30を保持する保持部材としてプレート800を備え、当該プレート800の移動に伴って一対の狭着部材の一方及び他方である張力伝達ローラ30と支柱92がコードCDを挟着する。また、本実施形態においては、重力が保持部材であるプレート800を付勢する付勢部材であるということができる。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)一対の狭着部材の一方である張力伝達ローラ30及び保持ローラ250を保持するプレート800が重力により下方に付勢されることにより、張力伝達ローラ30がコードCDに近づく方向に移動する構成となっている。したがって、張力伝達ローラ30は、支柱92と協働して、コードCDを確実に狭着できる。
(2)狭着部材である張力伝達ローラ30が軸芯31に保持され、軸芯31は第1側壁孔119Aに沿って平行移動するようになっていることから、コードCDに対して張力伝達ローラ30が傾斜することが抑制され、コードCDの制動動作を安定して行うことが可能となっている。
(3)引き操作時において操作力を低減し、自動動作(自動降下)時に確実にコードCDを挟着し、意図しない落下を防止することができる。
(4)ローラ部250とローレット240の一対の挟着体がプレート又は紐状部材により連結され、常時コードとローレット240とが接触するため、前記一対の挟着体が制動時に挟着される方向へ移動されるよう起動させることができる。よって、コードの移動に伴い挟着状態から自由移動状態、自由移動状態から挟着状態へと確実に移動させることができる。
なお、張力伝達ローラ30が重力により下方に付勢される構成として、図36に示すような制動装置6001とすることもできる。具体的には、制動装置6001の張力伝達ローラ30は、上述した制動装置6000と異なり、プレート800及び保持ローラ250と連結されておらず、単にコードCDの上に乗った状態となっている。このような構成であっても、コードCDを前方(図の左方向)に移動させると、張力伝達ローラ30は第1側壁孔119Aに沿って下方に移動し、支柱92との距離が接近してコードCDを挟着する。一方、コードCDを後方(図の右方向)に移動させた場合は、張力伝達ローラ30と支柱92の距離が離間し、コードCDに対する挟着力が弱まることとなる。
8.第8実施形態
次に、図37〜図38を用いて、本発明の第8実施形態に係る制動装置7000について説明する。本実施形態の制動装置7000は、一対の挟着部材の各軸心の軸方向両端側が一対のリンクプレート721,722で構成されるリンク機構720により保持される
図37に示すように、本実施形態に係る一対の挟着部材は、ローレット240を備える張力伝達ローラ30及び、ローラ部42を備えるアイドルローラ40から構成される。上下方向に延びる張力伝達ローラ30の軸芯31は、軸方向両端側において一対のリンクプレート721の一端側に軸支され、上下方向に延びるアイドルローラ40の軸芯41も同様に、軸方向両端側において一対のリンクプレート722の一端側に軸支される。また、張力伝達ローラ30の軸芯31は、張力伝達ローラ30と反対側の端部に図示しない回転伝達部が取り付けられ抵抗付与部RAへ回転伝達可能となっている。
リンクプレート721とリンクプレート722とは、プレートの中央部に形成された孔に挿入される軸723を介して相対回転可能に接続され、リンク機構720を形成している。また、リンクプレート721,722の他端には、上下方向に延び、これらリンクプレート721,722を連結する連結ピン724,725が設けられる。
そして、連結ピン724と連結ピン725とは、図38に示すように、コイル部が軸723に巻回された付勢手段としてのトーションばね726により互いが近づく方向に押圧される。したがって、リンクプレート721とリンクプレート722は、軸723を中心として、それぞれが保持する張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40とが互いに近づく方向へ回転するよう付勢され、結果として、これらのローラ30,40によってコードCDが挟着されるようになっている。なお、図37において図示していないが、軸723は、ケース10Aに軸支されている。
以上のような構成により、図38(a)に示すようなコードCDに張力が与えられない状態(定常状態)においては、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40は、リンク機構720を介してトーションばね726に付勢されることにより、コードCDを挟着する。この状態でコードCDが前方(図38の左方向)に移動すると、コードCDの移動が張力伝達ローラ30に伝達し、張力伝達ローラ30の回転は内歯付キャリア260、遊星歯車280、太陽歯車付ウェイトホルダ320に順次伝達され、ウェイト340を回転させ、ウェイト340の回転抵抗によってコードCDに制動力が加えられるようになっている。つまり、本実施形態においても、保持部材であるリンク機構720(リンクプレート721及びリンクプレート722)の移動に伴って、狭着部材がコードCDを挟着することになる。
一方、コードCDが後方(図38の右方向)に移動すると、図38(b)に示すように、リンクプレート721に保持された張力伝達ローラ30及びリンクプレート722に保持されたアイドルローラ40は、コードCDの移動に伴い、リンク機構720を介したトーションばね726の付勢力に抗して、軸723を中心として張力伝達ローラ30とアイドルローラ40の間の距離が広がる方向に回転する。これにより、狭着体によるコードCDの狭着が弱まって、張力伝達ローラ30を介した抵抗付与部RAのコードCDへの抵抗の付与が減少する。
このように、本実施形態のリンク機構720のように、挟着部材の軸芯(回転軸)をある軸を中心に回転移動(公転運動)させる場合も、当該軸がその向きを一定に保ったまま平行移動する。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)一対の狭着部材である張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40がリンク機構720を介してトーションばね726に付勢されることにより、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40がコードCDに近づく方向に移動する構成となっている。したがって、張力伝達ローラ30は、アイドルローラ40と協働して、コードCDを確実に狭着でき、コードCDの後方への移動に対しては、制動力を低減することができる。
(2)一対の狭着部材である張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40が上下方向に延びる軸723を中心に回転するリンク機構720に保持されていることから、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40は軸芯31,41が垂直方向に延在する状態を保ったまま移動する。したがって、コードCDに対して張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40が傾斜することが抑制され、コードCDの制動動作を安定して行うことが可能となっている。
なお、上記実施形態では、リンク機構720は一対のリンクプレート721,722を軸方向両端側に配置した構成となっていたが、一対のリンクプレートを軸方向片側のみ設ける構成とすることも可能である。
9.第9実施形態
次に、図39、図40を用いて、本発明の第9実施形態に係る制動装置8000について説明する。本実施形態の制動装置8000は、図39に示すように、張力伝達ローラ30の回転が移動ケース820に保持された第1及び第2ベベルギア830,831を経由してオイルダンパ860のスクリュー861を回転させる構成となっている。以下、本実施形態の概略を説明する。なお、本実施形態において、図39、図40の左方向が、上述した実施形態の前方向に対応する。
本実施形態における挟着体の一対の挟着部材は、図39及び図40に示すように、移動ケース820に保持される張力伝達ローラ30と、固定部材840に固定されるアイドルローラ40とから構成される。張力伝達ローラ30は、第2実施形態のものと同様に軸芯31とローレット240を備え、軸芯31を介して保持部材としての移動ケース820に保持される。アイドルローラ40は、軸芯41を介して固定部材840に回転可能に保持されており、本実施形態では、アイドルローラ40もローレット43を有している。
張力伝達ローラ30の回転は、図39に示すように、まず軸芯31を介して第1ベベルギア830に伝達され、第1ベベルギア830の左右方向の軸回りの回転はこれと噛み合う第2ベベルギア831に90度異なる方向の軸回りの回転として伝達される。第2ベベルギア831の回転は、当該第2ベベルギア831に一端が連結される伝達軸850に伝達され、他端側に取り付けられたスクリュー861に伝達されて、スクリュー861が回転する。スクリュー861は、粘性流体であるオイルVfが満たされたオイルダンパ860の筐体862内に配置され、筐体862に形成された貫通孔863に伝達軸850が貫通しており、貫通部分には、伝達軸850を回転可能且つ前後方向に移動可能に保持しさらにオイルVfの漏れを防止する軸受864が設けられている。
オイルダンパ860は、伝達軸850が筐体862に対して相対回転する際に、スクリュー861がオイルから粘性抵抗を受けることによって筐体862と伝達軸850の間の相対回転速度を減衰させる制動トルクが発生する。また、本実施形態においては、コードCDが前方へ移動する際の張力伝達ローラ30の回転がスクリュー861に伝達された場合には、スクリュー861がオイルVf中で生じる推力により、スクリュー861は前方向に付勢される。また、コードCDが後方へ移動する際の張力伝達ローラ30の回転がスクリュー861に伝達された場合には、スクリュー861は推力により後方向に付勢される構成となっている。
さらに、上述した張力伝達ローラ30、軸芯31、第1及び第2ベベルギア830,831、伝達軸850及びスクリュー861は移動ケース820に保持されている。そして、移動ケース820は、固定部材840の上面において、前後方向に延びる移動ケース支持軸870に沿って前後方向に移動可能となっていることから、張力伝達ローラ30の前後方向の移動に伴って、移動ケース820及びこれに保持される第1及び第2ベベルギア830,831、伝達軸850及びスクリュー861も前後方向に移動することができる。
以上のような構成により、コードCDに張力が与えられない状態(定常状態)からコードCDが後方(図39の右方向)に移動すると、図39(a)及び図40(a)に示すように、コードCDの移動に伴って張力伝達ローラ30が後方に押圧される。加えて、張力伝達ローラ30の回転がスクリュー861に伝達されると、スクリュー861は推力により後方向に付勢される。したがって、この場合、移動ケース820に保持された張力伝達ローラ30、軸芯31、第1及び第2ベベルギア830,831、伝達軸850及びスクリュー861が後方に移動し、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40によるコードCDの挟着力が低下する。その結果、張力伝達ローラ30を介したオイルダンパ860のコードCDへの抵抗の付与が弱まり、コードCDを容易に移動させることができる。
一方、コードCDが前方(図の左方向)に移動すると、図39(b)及び図40(b)に示すように、コードCDの移動に伴って張力伝達ローラ30が前方に押圧される。加えて、張力伝達ローラ30の回転がスクリュー861に伝達されると、スクリュー861は推力により前方に付勢される。したがって、この場合には、移動ケース820に保持された張力伝達ローラ30、軸芯31、第1及び第2ベベルギア830,831、伝達軸850及びスクリュー861が前方に移動し、張力伝達ローラ30とアイドルローラ40によるコードCDの挟着力が増加する。その結果、オイルダンパ860による回転抵抗を確実にコードCDへ伝達させ、コードCDを制動させることができる。
<作用・効果>
上記のような構成とすることで、以下の作用・効果を得ることができる。
(1)一対の狭着部材である張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40がスクリュー861の推力により付勢されることにより、コードCDが前方に移動する際には、張力伝達ローラ30及びアイドルローラ40がコードCDに近づく方向に移動する構成となっている。したがって、張力伝達ローラ30は、アイドルローラ40と協働して、コードCDを確実に狭着でき、コードCDの後方への移動に対しては、制動力を低減することができる。