JP2631050B2 - 糊化澱粉を含む生分解性プラスチック成形品及びその製造方法 - Google Patents

糊化澱粉を含む生分解性プラスチック成形品及びその製造方法

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JP2631050B2 JP3319899A JP31989991A JP2631050B2 JP 2631050 B2 JP2631050 B2 JP 2631050B2 JP 3319899 A JP3319899 A JP 3319899A JP 31989991 A JP31989991 A JP 31989991A JP 2631050 B2 JP2631050 B2 JP 2631050B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生分解性プラスチック
成形品とその製造方法に関する。ここで言う生分解性と
は、微生物(細菌、菌類)あるいは酵素の作用を受けて
分解し、最終的に最初の形状を残さない事を示す。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】プラスチックは、工業、
商業等の分野において様々な用途に利用され、その使用
量はますます増加してきている。しかしプラスチックの
有する多くの利点が環境問題上災いして.、種々の問題
を引き起こしている。一般的にプラスチックは生分解性
がほとんどなく、自然環境下においては長期間にわたっ
てほとんど変化せず、変化するとしてもほとんどの場合
非常に緩慢なものである。自然環境下において分解しな
いプラスチックが廃棄あるいは放置されると、その形状
がそのまま残り、環境汚染の原因となる。石油系プラス
チックに代わる新しい生分解性プラスチックを提供しよ
うとする試みが数多くなされている。その中でプラスチ
ックと澱粉を混合溶融して生分解性を付与しようとする
方法が盛んに行われている。ANTEC’89,135
1−1355頁には、ポリエチレンに粒子状の変性澱粉
を混練した物が生分解性を有していると提案されてい
る。また、米国特許第4,138,784号及び第4,
337,181号明細書には、澱粉及びエチレン/アク
リル酸共重合体(EAA)からなる組成物が記載されて
おり、また可撓性で耐水性、熱溶接性を持つ生分解性の
フィルムについて開示されている。特開平3−3133
3号公報にはエチレン/ビニルアルコール共重合体及び
変性澱粉よりなる組成物及びその製造法が開示されてお
り、優れた引裂抵抗および穿孔抵抗を持ち、酸素、二酸
化炭素遮断フィルムとして有用であるとしている。しか
しながら、ANTEC’89,135−1355頁に開
示されている澱粉とポリエチレンとの混合物は、ポリエ
チレンマトリックスの中に生分解性を有する澱粉粒子が
フィラーとして存在しているだけで、ポリエチレンその
ものは生分解性を有さない。従ってフィラーとしての澱
粉粒子が微生物、或いは酵素などによって分解されたと
しても、マトリックスであるポリエチレンはそのまま残
存する事となり、生分解性プラスチックとは言い難い。
さらに、ポリエチレンの配合率が高く、澱粉粒子はポリ
エチレンによってほぼ完全にマスキングされており、微
生物、或いは酵素等が澱粉粒子に直接作用しにくい状態
となっている。このため、成形したフィルムが厚いとき
などは生分解性をほとんど有さないものとなってしま
う。
【0003】一方、米国特許第4,133,784号明
細書に開示されている糊化澱粉とエチレン/アクリル酸
共重合体との複合体は、単なる澱粉とポリエチレンとの
混合物に比較して、物理的性質や耐水性等の面で優れて
いるが、逆に生分解性に関しては、その速度は減速され
る事が判明している。またエチレン/アクリル酸共重合
体は生分解性プラスチックではなく、微生物等による分
解はほとんど期待できないポリマーである。この組成物
は、キャスティング、簡単な押出しまたはローリング
(圧延)によりフィルムに成形出来る。しかしこれらの
方法は工程が煩雑で製造時間が長くかかり、さらにコス
ト的にも高くつく。特開平3−31333号公報に開示
されているエチレン/ビニルアルコール共重合体と変性
澱粉よりなる組成物に関しては、エチレン/ビニルアル
コール共重合体の組成に関しての明確な説明がなく、ま
たこの共重合体自身の生分解については全く開示されて
いない。また、変性澱粉を押出機で混練する際、押出温
度が120〜170℃であり、含有水分による発泡が問
題となるが、この問題を、高沸点可塑剤の存在下で澱粉
固有の水分以外、ほとんど水を加えない事で解決しよう
としている。しかしながら、澱粉固有の水分含量におい
ても、120〜170℃の温度で押出しを行った場合、
完全に発泡を抑える事は不可能である。そして、成形し
たフィルムにその発泡に起因するピンホール等が存在す
れば、機械的強度、物性面において種々の問題が生じ、
はなはだ好ましくない。このような生分解性の改善され
た様々なポリマーが研究されているが、生分解性の点
で、また製造法の点で未だ満足する物がないと言うのが
現状である。また、澱粉を含むプラスチックは、耐水性
に劣ることがその使用上の大きな問題となっている。例
えば、糊化澱粉を含むプラスチックは、これを水中に放
置すると、その澱粉が溶出する。従って、澱粉を含むプ
ラスチックにおいては、その耐水性の改善が強く要望さ
れている。更に耐水性を有する生分解性の成形品は、脂
肪族ポリエステルを90重量%以上含有する材料から比
較的容易に製造することが可能であるが、脂肪族ポリエ
ステルは汎用樹脂に比べて約10倍の原料価格で非常に
高価である。このように、生分解性を有し、耐水性にも
優れ、しかも安価な成形品のその製造方法の開発が望ま
れていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
見られる前記問題を解決し、澱粉を含み、しかも耐水性
にすぐれた生分解性プラスチック成形品及びその製造方
法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(糊化)澱粉
成分と脂肪族ポリエステルを溶融混練する際に、特定の
条件下に行なった場合に、マトリックスを脂肪族ポリエ
ステルで形成でき、しかも得られる成形品の物性も優れ
ていることを見い出し、本発明を完成するに至った。す
なわち、本発明によれば、生分解性を有し融点が45〜
130℃である脂肪族ポリエステル系樹脂10〜60重
量%と糊化澱粉又は未糊化澱粉90〜40重量%との混
合物を、下記式を満足する条件で、溶融混練、成形する
ことを特徴とする糊化澱粉が脂肪族ポリエステル系樹脂
のマトリックス中に分散した微細構造を有する生分解性
プラスチック成形品の製造方法が提供される。 〔式中、η(A)は溶融混練温度での脂肪族ポリエステ
ル系樹脂の粘度(ポイズ)を示し、η(B)は溶融混練
温度での糊化澱粉の粘度(ポイズ)を示す。〕また、本
発明によれば、前記混合物の溶融混練、成形を水の存在
下で行なうことを特徴とする上記生分解性プラスチック
成形品の製造方法が提供され、また、前記成形を、押出
機により行なうことを特徴とする上記生分解性プラスチ
ック成形品の製造方法が提供され、更には、前記各製造
方法によって得られる生分解性プラスチック成形品が提
供される。なお、前記粘度η(A)及びη(B)は、フ
ローテスター(オリフィス径:1mm)で測定したもの
である。またη(B)は、糊化澱粉液が水や可塑剤等を
含む場合には、それらを含めた糊化澱粉の粘度を示すも
のである。
【0006】本発明において用いる「澱粉」は、一般に
天然または植物起源の、アミロースおよび/またはアミ
ロペンチンよりなる澱粉や澱粉含有物及びそれらの変性
体の全てを包含する。澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱
粉、玉蜀黍澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘
藷澱粉、サゴ澱粉、ワキシーコンス、ハイアミロースコ
ンス、小麦粉、米粉等が挙げられる。また、変性澱粉と
しては、澱粉にモノマー、例えばアクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、オレフィン、スチレン等をグラ
フト共重合されたものや、脂肪酸を反応させたもの、そ
の他、これらをデキストリン化、酸化、酸処理、アルフ
ァー化処理、エーテル化、エステル化、架橋化したもの
も用いることができる。等が挙げられる他、水分を含む
澱粉をそのガラス転移点温度及び融解温度より高い温度
に加熱した構造変性澱粉(EP027505 A)が
包含される。さらに、グアーガム、キチン、キトサン等
の多糖類も使用することができる。本発明において糊化
澱粉とは、一般に言う、水中で糊化温度以上で糊化した
澱粉又はその変性体を表す事はもちろんであるが、水分
の非常に少ない状態で、澱粉顆粒の構造破壊が起こった
澱粉をも表すものである。
【0007】本発明で用いる生分解性を有し融点が45
〜130℃である脂肪族ポリエステル系樹脂としては、
従来公知のもの、例えば、ポリエチレンアジペート、ポ
リエチレンスベレート、ポリエチレンアゼレート、ポリ
エチレンデカメチレート、ポリテトラメチレンサクシネ
ート、ポリテトラメチレンアヂペート、ポリプロピオラ
クトン、ポリカプロラクトン、それらの脂肪族ポリエス
テルにポリアミドをブロック的に共重合させたもの等が
挙げられるが、これに限定されるものではない。この中
でポリカプロラクトンは物性も優れており、しかも高分
子量のものも容易に得られ、かつ比較的安価であり、現
在市場で商品化されており好ましいものである。本発明
で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂の融点は、45〜1
30℃、好ましくは50〜120℃であるが、その融点
が低すぎると成形後、常温においても熱による変形が起
こり、使用上好ましくない。一方、その融点が高すぎる
と、成形時における水分の蒸発による発泡が著しくな
り、その充分な脱気が難しく、成形物中の気泡を完全に
除去する事が困難となる。
【0008】本発明のプラスチック成形品は、必要に応
じ、生分解性を有する高沸点可塑剤を含有することがで
きる。このような可塑剤としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトー
ル、分子量200〜4000のポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。その添
加量としては糊化澱粉重量に対して0.5〜100重量
%が好ましい。さらに、本発明のプラスチック成形品
は、ある性質を付与するのに適した他の添加剤を含有す
ることができる。このような添加剤としては、例えば、
耐候性を向上させるための紫外線安定剤や、殺菌剤、除
草剤、肥料、酸化防止剤、界面活性剤、充填剤、澱粉老
化防止剤、顔料等が挙げられる。これらの添加剤は、こ
の分野の当業者にとっては公知のものであり、容易に常
套量で使用できる。
【0009】本発明のプラスチック成形品を得るには、
糊化澱粉又は未糊化澱粉と、生分解性を有し融点が45
〜130℃である脂肪族ポリエステル系樹脂とを、必要
に応じて水の存在下、更に適宜補助添加剤(可塑剤やそ
の他の添加剤)を添加して、下記式(1)、(2)を満
足する条件下で、該脂肪族ポリエステル系樹脂の融点以
上の温度で溶融混練し、次いで成形する。 100>η(B)/η(A)≧0.8 (1) η(A)≧600 (2) 上記式(1)で示されるように、糊化澱粉は、溶融混練
時にη(B)の流動性を有するものであり、通常樹脂ブ
レンドに汎用される粉状澱粉とは異なっている。このよ
うな(糊化)澱粉成分と脂肪族ポリエステルの混練時の
溶融粘度比は上記式(1)に示すとおりであるが、この
粘度比が100以上であると糊化澱粉が混合物中で流動
性を示さなくなり組成物中にボイドが多数発生し物性を
著しく低下させる。一方、同粘度比が0.8より低くな
ると組成物のマトリックスを構成する成分が糊化澱粉に
なってしまい、耐水性を著しく低下させる。
【0010】上記式(1)、(2)で表される条件は、
脂肪族ポリエステル系樹脂の分子量や種類、糊化澱粉の
水分含有率等選ぶことにより得ることができる。混練系
に存在される水分は、予め糊化澱粉又は未糊化澱粉に含
有させて混合系に供給し得る他、混練に際して外部から
供給することもできる。混合系における水分の存在量
は、澱粉(乾燥物基準)に対し、1〜45重量%、好ま
しくは12〜35重量%である。また上記式(1)、
(2)で表される条件の好ましいものは、下記式
(3)、(4)で表される範囲のものである。
【0011】更にまた溶融混練温度は、使用する脂肪族
ポリエステル系樹脂の融点以上の温度である。脂肪族ポ
リエステル系樹脂の好ましいものは、前記したようにポ
リカプロラクタンであるが、このポリカプロラクトンを
用いる場合、その溶融混練温度は70〜130℃、好ま
しく80〜110℃である。
【0012】本発明のプラスチック成形品の製造におい
て、例えば押出機を用いる場合、押出機に供給する澱粉
は、糊化澱粉でも、あるいは、未糊化澱粉であってもよ
い。押出機に供給する好ましい原料は、脂肪族ポリエス
テル系樹脂と糊化澱粉からなるペレットである。未糊化
澱粉を原料澱粉として用いる場合には、水の存在下の溶
融、混練により、澱粉の糊化が起り、澱粉粒子は溶融状
態で脂肪族ポリエステル系樹脂と均一に混合分散され
る。
【0013】本発明のプラスチック成形品の製造におい
ては、例えば押出機を用いて、未糊化澱粉の糊化と、混
練と、成形を同時に行って成形品とすることができる。
この場合、水分や添加剤は、その少なくとも一部を押出
機のフィード部や中間部において、ポンプやサイドフィ
ーダ等で供給することができる。この場合、混練系にお
ける総水分量は、前記したように、未糊化澱粉に対して
1〜45重量%であるが、水分が少なすぎると、押出機
中においてももはや糊状にはならず、多すぎると澱粉が
スラリー状となってしまい、押出機中で糊化させる事が
非常に困難となるので好ましくない。
【0014】本発明の成形品の製造にあたって用いる脂
肪族ポリエステルの配合量は10〜60重量%である
が、ポリエステル成分が60重量%超えて用いると、未
糊化澱粉を15%以下の水分とともに押出機に投入する
場合、水分含量が上記範囲内で適切であっても、押出機
内での混練物の流動性が樹脂により著しく向上し、澱粉
成分にせん弾が与えられずに糊化が困難になってしまう
ので好ましくない。また、10重量%未満であると脂肪
族ポリエステルの不足により、ポリエステル樹脂が組成
物中でマトリックスを形成することが著しく困難になっ
てしまう。
【0015】本発明のプラスチック成形品は、ペレット
状、シート状、板状、発泡体等の各種形状を有する成形
品であり、例えば、シート、フィルム等はこれらを更に
熱成形し、所望の成形品とすることができる。脂肪族ポ
リエステル系樹脂をマトリックスとし、その中に糊化澱
粉が混合分散した構造を有する。このようなプラスチッ
ク成形品は、耐水性の悪い糊化澱粉が、耐水性の良好な
脂肪族ポリエステル系樹脂によって覆われているため、
耐水性の悪い糊化澱粉を含むにもかかわらず、良好な耐
水性を有するものである。この場合、プラスチック中の
糊化澱粉の含有率は40〜90重量%、好ましくは40
〜80重量%にするのがよい。
【0016】
【発明の効果】耐水性を持つ構造の成形品は、前記した
ように、脂肪族ポリエステル樹脂を90重量%以上用い
れば比較的容易に製造することが可能であるが、脂肪族
ポリエステルは汎用樹脂の約10倍の原料価格で高価で
ある。本発明の製造方法によって、安価な糊化澱粉を多
量に使用しても同等の耐水性能を有する生分解性の成形
品を得ることができる。即ち、本発明のプラスチック成
形品は、生分解性を示すとともに、耐水性にもすぐれた
もので、生分解によってその体積を著しく減少させる事
が出来る。従って、本発明のプラスチック成形品を用い
る事によって、プラスチック廃棄物処理上の問題を解決
する事が出来る。本発明のプラスチック成形品は、使用
後、粉砕するか又はそのまま土中に埋設したり、水中に
投入する事により廃棄処理する事が出来る。本発明のプ
ラスチック成形品は、ペレット、フィルム、シート、板
体、発泡体等の各種の形状の成形品であることができ、
フィルムやシートにあってはこれをさらに容器等の成形
品に熱成形することができる。従って、本発明のプラス
チック成形品は、ケース、ボトル、容器などのディスポ
ーサブル包装用材料などの日用品、温室ハウス用フィル
ム、地表被覆用フィルム、苗木用ポット、肥料用袋、徐
放性農薬材料などの農業材料、レジャーバック、釣り用
品包装材料等のレジャー用品及びドラックデリバリーシ
ステム材料に好適に用いられる。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは
ない。なお、以下において示す%は重量%を示す。 実施例1 ニーダー中に粒状のコーンスターチ(水分13.2%)
9217gをいれ、水873gを噴霧して(無水澱粉重
量当たりの総加水量25.0%)、約1時間混合した
後、ポリカプロラクトン2000gを加え約30分間混
合した。この混合物を二軸押出機のホッパー部に投入
し、フィード速度10.0Kg/hr、スクリュウ回転
数100rpm、バレルの温度勾配30−80−95℃
の条件で、Tダイを用いて押し出した。この場合押出温
度95℃でのη(A)は113,000ポイズ、η
(B)は1600,000ポイズであり、η(B)/η
(A)は14.2であった。得られたフィルムには気泡
が全くなく、均一なものであった。
【0018】実施例2〜4 実施例1における水の量を次表の通り変化させて同様の
操作を行った。得られたフィルムは気泡を全く有さず、
均一なものであった。尚、表1中の総加水量(%)は無
水澱粉重量当たりの総加水量である。
【表1】
【0019】実施例5 粒状のコーンスターチ(水分13.2%)を110℃の
乾燥機の中に入れ総加水量が6.0%になるように乾燥
を行った。このコーンスターチ8511gとポリカプロ
ラクトン2000gをニーダー中で約1時間混合し、実
施例1と同様な操作を行って気泡の全くない均一なフィ
ルムを得た。
【0020】比較例1 実施例1において、ポリカプロラクトンを混合せずコー
ンスターチのみでフィルムを調製した。
【0021】実施例6〜8 実施例1におけるポリカプロラクトン(PCL)の量を
次表のような変化させて同様の操作を行った。
【0022】
【表2】
【0023】実施例9 (耐水性試験) 上記実施例1〜8、比較例1において調製したフィルム
0.1gを約100μmの厚さにスライスし、この切片
を30℃の水20mlの中で16時間振とうした。次い
でそのろ過液のTOC(全有機炭素濃度)を測定した。
その結果をη(B)/η(A)との関連で次表に示す。
【0024】
【表3】
【0025】表3より明らかなように、比較例1に比較
して実施例はいずれの場合にもほとんどTOCの値を示
さなかった。言い換えれば水中においてその澱粉成分は
ほとんど溶出せず、耐水性を備えていると言える。
【0026】実施例10 (生分解試験) 実施例9と同様にフィルム0.1gを100μmにスラ
イスし、20mlの水中でα−アミラーゼ及びリパーゼ
を作用させて、30℃、16時間後のTOCを測定し
た。その結果を次表に示す。
【0027】
【表4】
【0028】なお、ポリカプロラクトンのみのフィルム
を同様な方法でTOC測定した場合、その値は350p
pmである。表4より明らかように、本発明フィルムは
全て良好な酵素分解性を示している。
【0029】実施例11 ニーダー中に酸処理澱粉(水分13.8%)9732g
をいれ、水277g、およびグリセリン800gの混合
溶液を噴霧して(無水澱粉重量当たりの総加水量25.
0%、グリセリンの添加量10.0%)、約1時間混合
した後、ポリプロピオラクトン2000gを加え約30
分間混合した。この混合物を二軸押出機のホッパー部に
投入し、フィード速度15.0Kg/hr、スクリュー
回転数160rpm、バレル温度勾配30−85−10
5℃の条件でTダイを用いて押し出した。この場合、η
(B)/η(A)は69.0であった。得られたフィル
ムは柔軟で、わずかの気泡もなく均一なものであった。
このフィルムの耐水性試験におけるTOCは81pp
m、生分解性試験のTOCは2211ppmでこれはグ
リセリンの溶出に起因するものであると思われる。
【0030】実施例12 実施例12において、酸処理澱粉の代わりに白デキスト
リンを使用し、ポリプロピオラクトンの代わりにポリエ
チレンアジペートを使用した以外は同様の操作を行っ
た。この場合、η(B)/η(A)は81.3であっ
た。得られたフィルムは同様に気泡もなく均一であっ
た。このフィルムの耐水性試験におけるTOCは70p
pm、生分解性試験のTOCは1300ppmでこれは
グリセリンの溶出に起因するものであると思われる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 常盤 豊 茨城県つくば市東1丁目1番3号 工業 技術院微生物工業技術研究所内 (72)発明者 高木 繁幸 京都府京都市下京区塩小路通烏丸西入東 塩小路町614 財団法人 地球環境産業 技術研究機構内 (72)発明者 小山 政利 京都府京都市下京区塩小路通烏丸西入東 塩小路町614 財団法人 地球環境産業 技術研究機構内 合議体 審判長 石田 吉信 審判官 田中 久直 審判官 内田 淳子 (56)参考文献 特開 平4−248851(JP,A) 特開 平4−146952(JP,A) 特開 平5−320524(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性を有し融点が45〜130℃で
    ある脂肪族ポリエステル系樹脂10〜60重量%と糊化
    澱粉又は未糊化澱粉90〜40重量%との混合物を、下
    記式を満足する条件で、溶融混練、成形することを特徴
    とする糊化澱粉が脂肪族ポリエステル系樹脂のマトリッ
    クス中に分散した微細構造を有する生分解性プラスチッ
    ク成形品の製造方法。 〔式中、η(A)は溶融混練温度での脂肪族ポリエステ
    ル系樹脂の粘度(ポイズ)を示し、η(B)は溶融混練
    温度での糊化澱粉の粘度(ポイズ)を示す。〕
  2. 【請求項2】 生分解性を有し融点が45〜130℃で
    ある脂肪族ポリエステル系樹脂10〜60重量%と糊化
    澱粉90〜40重量%との混合物からなる溶融混練物
    を、式 (前記式中、η(A)は押出温度での脂肪族ポリエステル
    系樹脂液の粘度(ポイズ)を示し、η(B)は押出温度で
    の糊化澱粉液の粘度(ポイズ)を示す)を満足する条件
    で押出機先端のダイスから押出することを特徴とする請
    求項1の生分解性プラスチック成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記成形を、押出機により行なうことを
    特徴とする請求項1又は2記載の生分解性プラスチック
    成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の製造方法によ
    って得られる生分解性プラスチック成形品。
JP3319899A 1991-10-04 1991-11-07 糊化澱粉を含む生分解性プラスチック成形品及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2631050B2 (ja)

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DE69212557T DE69212557T2 (de) 1991-10-04 1992-10-02 Verfahren zur Herstellung eines stärkehaltigen biologisch abbaubaren Kunststoffmaterials
EP92309043A EP0535994B1 (en) 1991-10-04 1992-10-02 Process for producing a starch-containing biodegradable plastic

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