JP2630273B2 - 分布帰還型半導体レーザ - Google Patents

分布帰還型半導体レーザ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は分布帰還型半導体レーザ
に関し、特に利得結合方式の分布帰還型半導体レーザに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】発振軸モードが安定化される分布帰還型
半導体レーザの一つに、共振器内に利得係数の周期的変
動を設けることにより光波を分布帰還させる利得結合分
布帰還型半導体レーザが知られている。利得結合分布帰
還型半導体レーザのなかに、活性層厚を周期的に変化さ
せることにより利得係数の変化を得ているものがある。
例えば、Nakano等の、1991年のヨーロピアン
・コンファレンス・オン・オプティカル・コミュニケー
ション’91のインヴァイティド・ペーパーズ、1〜8
頁の報告による利得結合分布帰還型半導体レーザは、図
5に示すようなn−GaAs基板21、n−GaAsバ
ッファ層22、n−Al0.45Ga0.55Asクラッド層2
3、n−Al0.25Ga0.75Asパターン・プロヴァイデ
ィング・レーヤ24、n−Al0.4 Ga0.6 Asバッフ
ァ層25、アンドープGaAs活性層26、p−Al
0.45Ga0.55Asクラッド層27、p−GaAsコンタ
クト層28、p−電極29、n−電極30からなる構造
をもつ。この半導体レーザの構造においては、n−Al
0.25Ga0.75Asパターン・プロヴァイディング・レー
ヤ24にエッチングにより2次の回折格子が形成されて
おり、n−Al0.4 Ga0.6 Asバッファ層25とその
上のアンドープGaAs活性層26の界面は前述の回折
格子のパターンがほぼ転写されており、アンドープGa
As活性層26とp−Al0.45Ga0.55Asクラッド層
27の界面はほぼ平坦となっているため、アンドープG
aAs活性層26は、n−Al0.25Ga0.75Asパター
ン・プロヴァイディング・レーヤ24に形成された回折
格子と同周期の層厚周期構造が形成され、利得結合分布
帰還が可能な構造が実現されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来の
利得結合分布帰還型半導体レーザは、エッチングにより
形成された回折格子が活性層のごく近傍に位置してお
り、回折格子の再成長界面の結晶欠陥が信頼性に悪影響
を及ぼすという問題があり、長時間安定動作が得られた
という報告はない。
【0004】したがって、本発明の目的は、回折格子の
再成長界面を活性層から十分に離すことにより再成長界
面の結晶欠陥が信頼性に及ぼす影響を軽減し、長時間安
定に動作する利得結合方式の分布帰還型半導体レーザを
得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の分布帰還型半導
体レーザは、上記の問題点を解決するためになされたも
ので、面方位が(100)方位から<01−1>方位に
微傾斜し、かつ発振波長の1次の回折格子パターンが形
成された基板上に、歪量子井戸活性層を含むダブルヘテ
ロ構造が連続してエピタキシャル成長されてなり、歪量
子井戸活性層の層厚が基板の回折格子の周期に従って変
化していることを特徴とするものである。
【0006】
【実施例】本発明の特許請求の範囲の利得結合方式の分
布帰還型歪量子井戸半導体レーザの実施例を図1、図
2、図3および図4を参照して説明する。
【0007】図1は歪量子井戸半導体レーザウェハの
(011)断面図である。(100)面から[01−
1]方位に0.5°傾斜した面方位をもつSiドープG
aAs基板1上に、格子パターンに垂直な方向が<01
−1>方向に一致するように、周期146nm、深さ80
nmの発振波長0.98μm に対して1次の回折格子をエ
ッチングにより形成したのち、膜厚0.5μm のSiド
ープGaAsバッファ層2(キャリア濃度1×1018cm
-3)、膜厚2μm のSiドープAl0.4 Ga0.6 Asク
ラッド層3(キャリア濃度1×1017cm-3)、膜厚40
nmのノンドープAl0.2 Ga0.8 As光ガイド層4、膜
厚20nmのノンドープGaAsバリア層5、膜厚4.5
nmのノンドープIn0.24Ga0.76As歪量子井戸活性層
6、膜厚20nmのノンドープGaAsバリア層7、膜厚
40nmのノンドープAl0.2 Ga0.8As光ガイド層
8、膜厚1.5μm のMgドープAl0.4 Ga0.6 As
クラッド層9(キャリア濃度1×1018cm-3)、膜厚
1.0μm のMgドープGaAsキャップ層10(キャ
リア濃度1×1019cm-3)を順次有機金属気相エピタキ
シャル成長させることにより、図1に示す層構造をもつ
本発明のInGaAs歪量子井戸半導体レーザウェハを
作ることができる。
【0008】図2は、この方法により得られた歪量子井
戸半導体レーザウェハの(011)面に平行な面で切っ
た断面を、InGaAs歪量子井戸活性層6の近傍を拡
大して示したものである。GaAsバリア層5とInG
aAs歪量子井戸活性層6の界面は基板と同じ周期の凹
凸構造を保存しており、InGaAs歪量子井戸活性層
6の層厚が、その凹凸構造と同じ周期で変化した構造が
得られるため、利得結合方式の分布帰還が可能な構造と
なる。次に、本発明により上記の構造が得られる理由を
説明する。有機金属気相エピタキシャル成長を用いて歪
層を含む半導体層を成長する場合、基板の面方位に(0
01)面から微小傾斜角を設けることにより表面に傾斜
角に応じた密度でほぼ等間隔で(001)モノレーヤの
ステップが現れ、それらのステップの間隔が比較的大き
いとき(例えば傾斜角が0.1°のときステップ間隔1
62nm)は、各ステップが成長種を取り込みながら一様
な速度で流れることにより半導体層が1層また1層と堆
積されてゆくレイヤー・バイ・レイヤー成長が起こり、
歪層の成長においてもその成長モードが保たれる。とこ
ろが、基板の(001)面からの傾斜角がおよそ0.5
°以上となり表面のステップ密度が比較的大きい場合、
ステップの流れる速度の揺らぎにより微小な層厚揺らぎ
が生じると、それが表面の歪場の揺らぎを引き起こし、
それが最初の揺らぎをさらに助長するというメカニズム
によって歪誘起のステップバンチングとそれに伴った層
厚揺らぎ構造が生じることが新たに見いだされた。とこ
ろで、この歪層厚の揺らぎ構造は、成長種の拡散距離程
度の間隔の周期的構造を自発的に生じる性質がある一
方、成長種の拡散距離とほぼ同じオーダーの規則的な凹
凸構造をあらかじめ形成した基板上に半導体層を成長
し、歪層の成長直前の表面に基板と同じ規則的な凹凸構
造とそれに応じたステップの疎密周期構造が表面に生じ
ていると、その疎密の規則性を完全に反映した層厚周期
構造が歪層に形成されることが見いだされた。本発明の
意義は、新たに見いだされた上記の歪誘起のステップバ
ンチングの形成メカニズムを積極的に用いることによっ
て活性層の層厚に規則的な周期構造を得たことにある。
【0009】次に、図3および図4を用いて上述の歪量
子井戸レーザウェハを横モード制御レーザに加工する工
程を示す。図3は、<01−1>方向のメサストライプ
が形成された後にウェハの(01−1)断面を示す。図
4は、利得結合分布帰還型横モード制御レーザの完成品
の(01−1)断面を示す。まず、図1に示すInGa
As歪量子井戸半導体レーザウェハの最上層のGaAs
ギャップ層10に、SiO2 を成膜し、フォトグラフィ
技術により図3に示すように<01−1>方向のSiO
2 ストライプ15を形成する。次に、SiO2 ストライ
プ15をマスクとする選択エッチング技術により、Mg
ドープAl0.4 Ga0.6 Asクラッド層9が0.2μm
残る深さまでエッチングすることにより、図3に示すメ
サストライプが形成される。次に、SiO2 ストライプ
15をマスクとした選択成長技術により、図4に示すよ
うにメサストライプの側部を膜厚0.8μm のSiドー
プAl0.6 Ga0.4 As電流ブロック層11(キャリア
濃度1×1018cm-3)、膜厚0.8μm のSiドープG
aAs電流ブロック層12(キャリア濃度1×1018cm
-3)で順次埋め込む。さらに、SiO2 マスク15を除
去したのち、p−電極13、n−電極14を形成するこ
とにより、図4に示す利得結合方式の分布帰還型横モー
ド制御レーザが完成する。
【0010】
【発明の効果】本発明によって、面方位が(100)方
位から<01−1>方向に微傾斜し、かつ発振波長の1
次の回折格子パターンが形成された基板上に、歪量子井
戸活性層を含むダブルヘテロ構造が連続してエピタキシ
ャル成長されてなり、歪量子井戸活性層の層厚が基板の
回折格子の周期に従って変化していることを特徴とし、
エッチングにより回折格子が形成されている界面と歪量
子井戸活性層が十分に離れているため、高い通電信頼性
を有する利得結合方式の分布帰還型半導体レーザが得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の利得結合方式の分布帰還型半
導体レーザウェハの(011)断面構造を示したもので
ある。
【図2】本発明の実施例の利得結合方式の分布帰還型半
導体レーザウェハの(011)断面構造において、In
GaAs歪量子井戸活性層の近傍を拡大して示したもの
である。
【図3】本発明の実施例の利得結合分布帰還型横モード
制御レーザの製造工程における(01−1)断面を示し
たものである。
【図4】本発明の実施例の利得結合分布帰還型横モード
制御レーザの(01−1)断面図を示したものである。
【図5】従来例の利得結合分布帰還型半導体レーザの断
面構造を示す。
【符号の説明】
1 SiドープGaAs基板 2 SiドープGaAsバッファ層 3 SiドープAl0.4 Ga0.6 Asクラッド層 4 Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層 5 20nmGaAsバリア層 6 4.5nmIn0.24Ga0.76As歪層 7 20nmGaAsバリア層 8 Al0.2 Ga0.8 As光ガイド層 9 MgドープAl0.4 Ga0.6 Asクラッド層 10 MgドープGaAsキャップ層 11 SiドープAl0.4 Ga0.6 As電流ブロック層 12 SiドープGaAs電流ブロック層 13 p−電極 14 n−電極 15 SiO2 ストライプ 21 n−GaAs基板 22 n−GaAsバッファ層 23 n−Al0.45Ga0.55Asクラッド層 24 n−Al0.25Ga0.75Asパターン・プロファイ
ディング・レーヤ 25 n−Al0.4 Ga0.6 Asバッファ層 26 アンドープGaAs活性層 27 p−Al0.45Ga0.55Asクラッド層 28 p−GaAsコンタクト層 29 p−電極 30 n−電極

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】面方位が(100)方位から<01−1>
    方位に微傾斜し、かつ発振波長の1次の回折格子パター
    ンが形成された基板上に、歪量子井戸活性層を含むダブ
    ルヘテロ構造が連続してエピタキシャル成長されてな
    り、歪量子井戸活性層の層厚が基板の回折格子の周期に
    従って変化していることを特徴とする分布帰還型半導体
    レーザ。
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