JP2629688B2 - 粘性流体継手 - Google Patents

粘性流体継手

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JP2629688B2 JP62013858A JP1385887A JP2629688B2 JP 2629688 B2 JP2629688 B2 JP 2629688B2 JP 62013858 A JP62013858 A JP 62013858A JP 1385887 A JP1385887 A JP 1385887A JP 2629688 B2 JP2629688 B2 JP 2629688B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明はエンジン冷却用ファンの制御等に利用できる
粘性流体継手に関するものである。
(従来の技術) 従来も粘性流体継手は種々提案されているが、その1
例を第4図について説明すると、1はロータでシャフト
2(入力軸)に固定されており、ケース3、又はケース
3及びカバー4(出力軸)との間に作動室5a又は5bを形
成し、その中に粘性流体を満たすことで入力側より出力
側へトルクを伝達する。6は貯蔵室、7は温度感応部材
で、ロッド8を介してバルブ9に連設されており、温度
感応部材7の感知する温度によりロッド8を介してバル
ブ9を開閉し、作動室5及び貯蔵室6間の粘性流体を制
御することにより、入力側からの出力側へのトルク伝達
を制御する。
(発明が解決しようとする問題点) しかし、前記従来のものは、停止時に粘性流体は重力
により継手内下方に第5図の斜線で示す如く溜まること
により、貯蔵室6はもとより作動室5も粘性流体に満た
される。そして再始動時に、作動室5に満たされた粘性
流体により入力側よりトルク伝達が行なわれ、作動室5
より貯蔵室6へ粘性流体が回収されるまでの時間、ファ
ンが高速で回転するという欠点があった。この場合、雰
囲気温度が十分高く、かつバルブ9が開いておれば問題
はないが、雰囲気温度が低い場合はエンジンの暖機性、
ヒータ効き不良又は始動直後のファン騒音等が発生する
などの問題があった。
本発明は前記従来の問題点を解決するために提案され
たものである。
〔発明の構成〕
(問題点を解決するための手段) このため本発明は、エンジンにより駆動されるシャフ
トに固定されるロータと,前記シャフトに回転自在に組
付けられて前記ロータとの間にラビリンスを形成するケ
ースと,該ケースの開口端部に固着されて前記ケースと
共に前記ロータを収容し,且つ前記ラビリンスに流動す
るオイルを収容する密封空間を形成するカバーと,前記
密封空間内に配置されて同密封空間の内部を前記ロータ
を収容する作動室と前記オイルの一部を貯蔵する貯蔵室
に区画する隔壁板と,前記貯蔵室内に配置されて前記隔
壁板に設けたオイル通路孔を開閉して前記貯蔵室から前
記作動室に流れるオイルを制御するバルブと,前記カバ
ーに装着されて前記バルブをエンジンの温度上昇に応じ
て開閉作動させる温度感応部材と,前記ロータと前記ケ
ースとの相対回転によって前記ロータ室内のオイルを前
記貯蔵室に給送するポンプ手段とを備えてなる粘性流体
継手において,前記作動室内に前記ロータと前記ケース
間にプレート を配置して,前記貯蔵室の前記ロータに対し相対する位
置に,前記プレートの外周に設けられたオリフィス孔を
介して前記作動室に連通する第2貯蔵室を区画形成して
なるもので,これを問題点解決のための手段とするもの
である。
(作用) 停止時粘性流体は、重力により粘性流体継手内下方に
おいて貯蔵室、作動室及び第2貯蔵室内に蓄えられる。
次に作動開始すると、粘性流体は回転による遠心力によ
って粘性流体継手内に円周状に広がり、作動室と第2貯
蔵室から貯蔵室内に回収される。この時プレートのオリ
フィス孔の効果により、第2貯蔵室から回収される粘性
流体の流出量は抑えられ、また時間的な遅れを故意に発
生させることにより、第2貯蔵室から回収される粘性流
体は、トルク伝達を行なうことなく貯蔵室へ回収され
る。この場合は第2貯蔵室の容量だけ、停止時の粘性流
体の液面高さは従来に比べ遥かに低くなっており、これ
により再始動時のつれ回り現象を解消できる。
(実施例) 以下本発明を図面の実施例について説明すると、第1
図は本発明の実施例を示す。第1図においてロータ1は
シャフト2(入力軸)に係止されており、その外周には
回転方向に応じ歯切りが形成されている。なお,この歯
切は本発明におけるポンプ手段に相当する。またケース
3はベアリング10を介してシャフト2に回転自在に支持
されており、かつカバー4(出力軸)にネジ12により固
定されている。更にケース3は本発明における隔壁板に
相当するディバイダプレート16との間に第2貯蔵室6′
を形成している。一方ロータ1はディバイダプレート11
とディバイダプレート16の間に収納され、カバー4にネ
ジ13により係止されている。ディバイダプレート11との
間にラビリンスによる作動室5′を形成している。バル
ブ9はロッド8を介して温度感応部材に係止されてお
り、該部材7の温度に対する動きにより、ディバイダプ
レート11のオイル通路孔14を開閉する。この作用により
封入されているシリコンオイル(粘性流体)の流入量を
貯蔵室6と作動室5′の間で制御し、入力側のシャフト
2から出力側のカバー4に対する伝達トルクを制御す
る。
次に作用を説明すると、停止時シリコンオイルは、重
力に従い粘性流体継手内下方において第2図の斜線で示
す如く貯蔵室6、作動室5′及び第2貯蔵室6′内に蓄
えられる。次に作動開始した時、シリコンオイルは回転
の遠心力により粘性流体継手内に円周状に広がり、作動
室5′と第2貯蔵室6′から貯蔵室6へ回収される。こ
の時ディバイダプレート16のオリフィス孔17の効果によ
り、第2貯蔵室6′から回収されるシリコンオイルの流
出量は抑えられ、また時間的な遅れを故意に発生させる
ことで、第2貯蔵室6′から回収されるシリコンオイル
は、トルク伝達を行うことなく貯蔵室6へ回収される。
この場合は第2貯蔵室6′の容量だけ停止時のシリコン
オイル液面高さh′が低くなっており、以上2つの作用
により粘性流体継手の再始動時のつれ回り現象を解消す
ることができる。
なお、ロータ1に設けられた圧抜き孔15、ディバイダ
プレート16に設けられた圧抜き孔18は、再始動時の第2
貯蔵室6′からのシリコンオイルの回収をより円滑にす
るためのもので、重要である。またこの圧抜き孔の位置
関係は、粘性流体継手が回転中のシリコンオイルの液面
より内周、つまりシリコンオイルに浸されない位置に圧
抜き孔15がある場合、圧抜き孔18の位置は停止時のシリ
コンオイルの液面高さh′より低い位置、つまりシリコ
ンオイルに浸される位置が望ましい。また圧抜き孔15が
回転中のシリコンオイルの液面より外周、つまりシリコ
ンオイルに浸される位置にある場合、圧抜き孔18の位置
は圧抜き孔15より内周側、つまり回転中シリコンオイル
が圧抜き孔15より圧抜き孔18に流入しない位置が望まし
い。
次に作動が開始し、温度感応部材7の温度感応による
バルブ9の開閉の制御が行なわれ、バルブ9が開、つま
り粘性流体継手がONの状態になった場合、シリコンオイ
ルは貯蔵室6から作動室5′へ流入してトルク伝達を行
う。しかしこの時作動室5′から第2貯蔵室6′へシリ
コンオイルは流入しない。これはロータ1とカバー4の
間の相対回転と、ロータ外周に回転方向に応じて形成さ
れた歯切りによるポンプ作用及び遠心力により作動室
5′と第2貯蔵室6′はロータ1の外周にてシールされ
ているからである。従ってシリコンオイル量は粘性流体
継手の作動に必要最少限の封入量で作動させることがで
きる。また、第2貯蔵室6′の外周壁面は、ロータ1に
対し広がる方向に角度をもたせれば効果が上ることはい
うまでもない。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明した如く本発明は構成されているの
で、停止時には粘性流体は従来のように貯蔵室と作動室
にも溜るが、第2貯蔵室にも溜る。従って停止時の液面
高さh′を第2貯蔵室に溜っただけ低くすることができ
る。またプレートを設けたので、再始動直後の粘性流体
の第2貯蔵室から貯蔵室への回収時に、その外周に形成
されているオリフィス孔により粘性流体の流出量を制御
すると共に、時間的に回収遅れを発生させることによ
り、ロータの外周に発生するトルク伝達を抑えることが
できる。
一方作動時には、粘性流体はロータの外周に設けられ
た歯切りによるポンプ作用により、貯蔵室からプレート
のオリフィス孔を介して排出され、また作動中に逆流す
るのを防止し、作動に必要な粘性流体の量で作動するこ
とが可能となる。
第3図は本発明Aと、従来品B(第5図)、従来品C
(タンクの無い場合)の低温時始動特性線図である。第
3図においてNPは入力回転数、Nfはファン回転数(出力
回転数)を示す。第3図から分るようにA,B,Cとも経過
時間と共に回転数は小さくなり、この回転数では騒音は
発生しないが、始動直後では、B,Cは極めて回転数が大
きく騒音が発生する。本発明Aの場合は、始動直後でも
回転数は従来に比べて小さく、騒音は殆ど問題にはなら
ない。
また本発明は,死容積であるロータ背面に第2貯蔵室
を設けているので,粘性流体継手が大型化して車両搭載
時の周辺部材へ大きな影響を与えることなく,第2貯蔵
室の容積を貯蔵室容積に関係なく大きくすることができ
る。従ってエンジン停止時の作動室内のオイル量=密封
空間内のオイル量−(互いの容積が夫々無関係である,
貯蔵室の容積と第2貯蔵室の容積との和)となり,第2
貯蔵室容積を大きくとればとる程,エンジン停止時の作
動室内オイル量が減少するため,始動時のつれ回り回転
数を低くできると共に,つれ回り時間を短くすることが
できる。また死容積であるロータ背面に第2貯蔵室を設
けているので,第2貯蔵室の容積を容易に,且つ任意に
変更することができ,設計の自由度を広げることができ
る。
以上の如く本発明によると、プレートを設けて積極的
に粘性流体を制御することにより、封入する粘性流体の
量、第2貯蔵室の容量等の管理に余裕が生じ、設計的な
自由度、寸法的な自由度を持つことができ、より安価で
コンパクトな粘性流体継手を得ることができ、車両搭載
等の周辺部材への影響も小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す粘性流体継手の側断面
図、第2図は第1図の継手における停止時の液面高さを
示す説明図、第3図は本発明と従来における低温時始動
特性線図、第4図は従来の粘性流体継手の1例を示す側
断面図、第5図は第4図における停止時の液面高さを示
す説明図である。 図の主要部分の説明 1……ロータ、2……シャフト(入力軸) 3……ケース、4……カバー(出力軸) 5′……作動室、6……貯蔵室 6′……第2貯蔵室、7……温度感応部材 8……ロッド、9……バルブ 16……プレート、17……オリフィス

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンにより駆動されるシャフトに固定
    されるロータと,前記シャフトに回転自在に組付けられ
    て前記ロータとの間にラビリンスを形成するケースと,
    該ケースの開口端部に固着されて前記ケースと共に前記
    ロータを収容し,且つ前記ラビリンスに流動するオイル
    を収容する密封空間を形成するカバーと,前記密封空間
    内に配置されて同密封空間の内部を前記ロータを収容す
    る作動室と前記オイルの一部を貯蔵する貯蔵室に区画す
    る隔壁板と,前記貯蔵室内に配置されて前記隔壁板に設
    けたオイル通路孔を開閉して前記貯蔵室から前記作動室
    に流れるオイルを制御するバルブと,前記カバーに装着
    されて前記バルブをエンジンの温度上昇に応じて開閉作
    動させる温度感応部材と,前記ロータと前記ケースとの
    相対回転によって前記ロータ室内のオイルを前記貯蔵室
    に給送するポンプ手段とを備えてなる粘性流体継手にお
    いて,前記作動室内に前記ロータと前記ケース間にプレ
    ートを配置して,前記貯蔵室の前記ロータに対し相対す
    る位置に,前記プレートの外周に設けられたオリフィス
    孔を介して前記作動室に連通する第2貯蔵室を区画形成
    したことを特徴とする粘性流体継手。
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