JP2623117B2 - 不飽和ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

不飽和ポリエステル樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は抗菌、防黴並びに防藻能を有し、かつ耐光性
に優れる不飽和ポリエステル樹脂組成物に関するもので
ある。さらに詳しくは、抗菌性金属イオン及びアンモニ
ウムイオンを保持したゼオライトを含有してなる不飽和
ポリエステル樹脂組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
一般的に、不飽和ポリエステル樹脂組成物の成形体は
黴や藻類、細菌のような微生物に対して高い抵抗力を有
する材料のように語られてきたが、現実には不飽和ポリ
エステル樹脂組成物製の水槽タンク内に藻が発生した
り、建築材に黴が発生するなど微生物による被害の実例
が各方面から数多く報告されている。不飽和ポリエステ
ル樹脂成形体には充填剤、離型剤、顔料、改質材、可塑
剤、樹脂などが添加配合されている。これらの添加配合
物は微生物による攻撃を受けやすい性質を持っているも
のが多いものも事実である。これがため、防黴対策とし
て不飽和ポリエステル樹脂中に、あるいは表面塗装の中
に、抗菌、防黴剤を配合することなどを実施しているこ
ともある。例えば、有機系の抗菌防黴剤として、N−
(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、ブチ
ルスズオキシドなどが知られている。また無機系の抗菌
防黴剤として、活性炭に銀を保持したもの(特開昭49−
61950号)、抗菌性ゼオライト(特公昭61−22977号、特
開昭60−181002号)が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが問題点として、前者は菌の種類によって抗菌
作用を示さないものであったり、人体に有毒である。後
者は不飽和ポリエステル樹脂成形体の耐光変色を促進す
る問題があり、実用的でないことが挙げられる。
本発明はそのような問題点が除去された不飽和ポリエ
ステル樹脂組成物の提供を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、かかる黴の発育や藻類の発育を防止し
て被害を最少にするため、不飽和ポリエステル樹脂成形
体に適した抗菌剤について鋭意研究した結果、ゼオライ
ト中のイオン交換可能なイオンの一部又は全部をアンモ
ニウムイオン及び抗菌性金属イオンで置換した新規な抗
菌性ゼオライトを、不飽和ポリエステル樹脂組成物中に
添加配合すると、前記の問題点である抗菌性、防黴性、
防藻性、低毒性、耐光性のすべてを満足させることを見
い出し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はゼオライト中のイオンの一部又は
全部をアンモニウムイオン及び抗菌性金属イオンで置換
した抗菌性ゼオライトを含有してなる不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物を提供するものである。
本発明にのおける不飽和ポリエステル樹脂組成物は、
組成物を注形型に注形する注形法、合板上に組成物を塗
装する成形加工法、ゲルコート成形加工法、また業界で
プリプレグマット、シート・モールディング・コンパウ
ンド(SMC)、バルク・モールディング・コンパウンド
(BMC)と呼ばれる成形用素材としてから圧縮成形加工
や射出成形加工する法など、特に限定されず、従来の成
形加工法がそのまま利用できる。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂組成物とは、
加工法により成分及びその比率は異なるが、例示する
と、不飽和ポリエステル樹脂100重量部(以下単に部と
略す)に対して、不飽和芳香族単量体10〜100部、熱可
塑性樹脂0〜50部、着色剤0〜30部、充填剤0〜300
部、増粘付与剤0〜10部、重合開始剤0.1〜3部、重合
促進剤0〜3部、内部離型剤0〜5部、補強繊維0〜10
0部、及びゼオライト中のイオンの一部又は全部をアン
モニウムイオン及び抗菌性金属イオンで置換した抗菌性
ゼオライト0.1〜100部よりなる。ここで不飽和ポリエス
テル樹脂とは、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール
酸等の不飽和多塩基酸、無水フタル酸、イソフタル酸な
どの飽和多塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコー
ルとを縮合させて得たポリエステル樹脂をいう。不飽和
芳香族単量体とは、1種もしくはそれ以上のエチレン性
不飽和例えばビニル基、置換ビニル基またはアリル基が
結合されている芳香族化合物である。適する単量体には
スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン及び
アリルベンゼンが含まれる。スチレンがその有効性、広
汎な用途及び入手性から好適である。熱可塑性樹脂とし
ては、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、粉
末ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、及び飽和ポリエステ
ル樹脂などがある。着色剤としは無機顔料、有機顔料、
カーボンブラックの単体もしくは混合物、あるいはこれ
らを可塑剤やポリエステル樹脂、スチレンなどでペース
ト化したものがある。充填剤としては炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、カオリン、クレー、タルク、アルミニウ
ム水和物及び酸化アンチモンなどがある。増粘付与剤と
しては酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウ
ム、酸化ケイ素、ジメチル高級ジアルキルアンモニウ
ム、モンモリロナイトのような親有機粘土などがある。
重合開始剤としてはベンゾイルパーオキサイド、ラウリ
ルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイ
ド、ターシャリーブチルパーベンゾエート、メチルエチ
ルケトンパーオキサイドなどがある。重合促進剤として
はナフテイン酸コバルト、ナフテイン酸マンガンがあ
る。内部離型剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸鉛、オレイン酸、ステアリン酸がある。補強繊維とし
ては、ガラス繊維、ビニロンチップ、炭素繊維、アスベ
ストその他合成繊維がある。さらに当該組成物物にはそ
の他の添加物例えば安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、色
分れ防止剤、界面活性剤などを添加できる。それらは従
来の不飽和ポリエステル樹脂用のものが使用できる。
本発明における不飽和ポリエステル樹脂組成物は浴
槽、水槽タンク、クーリングタワー、船舶、パイプ、建
築材などの分野に広い用途を有する。
以下、本発明における不飽和ポリエステル樹脂組成物
を必須の成分である、ゼオライト中のイオンの一部又は
全部をアンモニウムイオン及び抗菌性金属イオンで置換
した抗菌性ゼオライトについて説明する。
本発明において「ゼオライト」としては、天然ゼオラ
イト及び合成ゼオライトのいずれも用いることができ
る。ゼオライトは、一般に三次元骨格構造を有するアル
ミノシリケートであり、一般式としてXM2/nO・Al2O3
YSiO2・ZH2Oで表示される。ここでMはイオン交換可能
なイオンを表わし通常は1又は2価の金属のイオンであ
る。nは(金属)イオンの原子価である。XおよびYは
それぞれの金属酸化物、シリカ係数、Zは結晶水の数を
表示している。ゼオライトの具体例としては例えばA−
型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、
T−型ゼオライト、高シリカゼオライト、ソーダライ
ト、モルデナイト、アナルサイム、クリノプチロライ
ト、チャバサイト、エリオナイト等を挙げることができ
る。ただしこれらに限定されるものではない。これら例
示ゼオライトのイオン交換容量は、A−型ゼオライト7m
eq/g、X−型ゼオライト6.4meq/g、Y−型ゼオライト5m
eq/g、T−型ゼオライト3.4meq/g、ソーダライト11.5me
q/g、モルデナイト2.6meq/g、アナルサイム5meq/g、ク
リノプチロライト2.6meq/g、チャバサイト5meq/g、エリ
オナイト3.8meq/gであり、いずれも抗菌性金属イオンで
イオン交換するに充分の容量を有している。
本発明で用いる抗菌性ゼオライトは、上記ゼオライト
中のイオン交換可能なイオン、例えばナトリウムイオ
ン、カルシウムイオン、カリウムイオン、マグネシウム
イオン、鉄イオン等のその一部又は全部を抗菌性金属イ
オン、好ましくはアンモニウムイオン及び抗菌性金属イ
オンで置換したものである。抗菌性金属イオンの例とし
ては、銀、銅、亜鉛、水銀、錫、鉛、ビスマス、カドミ
ウム、クロム又はタリウムのイオン、好ましくは銀、銅
又は亜鉛のイオンを挙げることができる。
抗菌性の点から、上記抗菌性金属イオンは、ゼオライ
ト中に0.1〜15%含有されていることが適当である。銀
イオン0.1〜15%及び銅イオン又は亜鉛イオンを0.1〜8
%含有する抗菌性ゼオライトがより好ましい。一方アン
ミニウムイオンは、ゼオライト中に20%まで含有させる
ことができるが、ゼオライト中のアンモニウムイオンの
含有量は0.5〜5%と、好ましくは0.5〜2%とすること
が、該ゼオライトの変色を有効に防止するという観点か
ら適当である。尚、本明細書において、%とは110℃乾
燥基準の重量%をいう。
以下本発明で用いる抗菌性ゼオラインの製造方法につ
いて説明する。例えば本発明で用いる抗菌性ゼオライト
は、予め調製した銀イオン、銅イオン、亜鉛イオン等の
抗菌性金属イオン、好ましくは更にアンモニウムイオン
を含有する混合水溶液にゼオライトを接触させて、ゼオ
ライト中のイオン交換可能なイオンと上記イオンとを置
換させる。接触は、10〜70%、好ましくは40〜60℃で3
〜24時間、好ましくは10〜24時間バッチ式又は連続式
(例えばカラム法)によって行うことができる。尚上記
混合水溶液のpHは3〜10、好ましくは5〜7に調整する
ことが適当である。該調整により、銀の酸化物等のゼオ
ライン表面又は細孔内への析出を防止できるので好まし
い。又、混合水溶液中の各イオンは、通常いずれも塩と
して供給される。例えばアンモニウムイオンは、硝酸ア
ンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、過
塩素酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸ア
ンモニムム等、銀イオンは、硝酸銀、硫酸銀、過塩素酸
銀、酢酸銀、ジアンミン銀硝酸塩、ジアンミン銀硫酸塩
等、銅イオンは硝酸銅(II)、過塩素酸銅、酢酸銅、テ
トラシアノ銅酸カリウム、硫酸銅等、亜鉛イオンは硝酸
亜鉛(II)、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、チオシアン酸亜
鉛、酢酸亜鉛等、水銀イオンは、過塩素酸水銀、硝酸水
銀、酢酸水銀等、錫イオンは、硫酸錫等、鉛イオンは、
硫酸鉛、硝酸鉛等、ビスマスイオンは、塩化ビスマス、
ヨウ化ビスマス等、カドミウムイオンは、過塩素酸カド
ミウム、硫酸カドミウム、硝酸カドミウム、酢酸カドミ
ウム等、クロムイオンは、過塩素酸クロム、硫酸クロ
ム、硫酸アンモニウムクロム、硝酸クロム等、タリウム
イオンは、過塩素酸タリウム、硫酸タリウム、硝酸タリ
ウム、酢酸タリウム等を用いることができる。
ゼオライト中のアンモニウムイオン等の含有量は前記
混合水溶液中の各イオン(塩)濃度を調節することによ
って、適宜制御することができる。例えば抗菌性ゼオラ
イトがアンモニウムイオン及び銀イオンを含有する場
合、前記混合水溶液中のアンモニウムイオン濃度を0.2M
/〜2.5M/、銀イオン濃度を0.002M/〜0.15M/と
することによって、適宜、アンモニウムイオン含有量0.
5〜5%、銀イオン含有量0.1〜5%の抗菌性ゼオライト
を得ることができる。又、抗菌性ゼオライトがさらに銅
イオン、亜鉛イオンを含有する場合、前記混合水溶液中
の銅イオン濃度は0.1M/〜0.85M/、亜鉛イオン濃度
は0.15M/〜1.2M/とすることによって、適宜銅イオ
ン含有量0.1〜8%、亜鉛イオン含有量0.1〜8%に抗菌
性ゼオライトを得ることができる。
本発明においては、前記の如き混合水溶液以外に各イ
オンを単独で含有する水溶液を用い、各水溶液とゼオラ
イトとを逐次接触させることによって、イオン交換する
こともできる。各水溶液中の各イオンの濃度は、前記混
合水溶液中の各イオン濃度に準じて定めることができ
る。
イオン交換が終了したゼオライトは、充分に水洗した
後、乾燥する。乾燥は、常圧で、105℃〜115℃、又は減
圧(1〜30torr)下70℃〜90℃で行うことが好ましい。
尚、鉛、ビスマスなど適当な水溶性塩類のないイオン
や有機イオンのイオン交換は、アルコールやアセトンな
どの有機溶媒溶液を用いて難溶性の塩基性塩が析出しな
いように反応させることができる。
この様にして本発明の不飽和ポリエステル樹脂組成物
の必須成分であるゼオライト中のイオンの一部又は全部
をアンモニウムイオン及び抗菌性金属イオンで置換した
抗菌性ゼオライト(以下新規抗菌性ゼオライトと呼ぶ)
を造ることができる。そして、この新規抗菌性ゼオライ
トを含む不飽和ポリエステル樹脂組成物を用いて、通常
の成形法により抗菌性機能を有する不飽和ポリエステル
樹脂成形体を造ることができる。不飽和ポリエステル樹
脂成形体の例として、貯水槽、貯水槽用平板、温室用平
板、浴槽、浄化槽、漁船、ボート、便器、洗面台、パイ
プ、建築資材、自動車部品、電気部品、スクーターや自
動車のボディ、救命筏コンテナー、レーダードーム、ス
キー、ヘルメット、各種タンク、工業用資材、住宅機
材、各種容器等が挙げられる。
〔発明の効果〕
本発明の抗菌性能を有する不飽和ポリエステル樹脂組
成物から造られる成形体の主な特長や利点を要約すれば
下記の如くである。
(a)一般細菌や黴類、藻類に対して優れた抗菌効果を
長期に渡って持続する。
(b)成形体は通常必らず自然光にさらされる訳である
が、公知の従来品が1〜2ケ月の間に著しく自然光のも
とで変色するのに対し、長期間においても実用上問題が
ないほど変色が少ない。
(c)毒性は極めて少なく殆んど無害である。
(d)抗菌効果をあげるための不飽和ポリエステル樹脂
成形形体中の新規抗菌ゼオライトの使用量は、少量です
む。
(e)成形加工時の熱、圧力に対し安定であり、さらに
物理的強度能も従来品に比して優劣のないものである。
〔実施例〕
次に本発明の実施の態様を実施例により説明するが、
本発明は実施例に限定されるものではない。
参考例1(抗菌性ゼオライトの調製法) ゼオライトは、A−型ゼオライト(Na2O・Al2O3・1.9
SiO2・xH2O:平均粒径1.5μm)、X−型ゼオライト(Na
2O・Al2O3・2.3SiO2・xH2O:平均粒径2.5μm)、Y−型
ゼオライト(1.1Na2O・Al2O3・4SiO2・xH2O:平均粒径0.
7μm)、天然クリノプチロライト(150〜250メッシ
ュ)の4種類を使用した。イオン交換の為の各イオンを
提供するための塩としてNH4NO3、AgNO3、Cu(NO3
びZn(NO3の4種類を使用した。
表1に各サンプル調製時に使用したゼオライトの種類
と混合水溶液に含まれる塩の種類及び濃度を示した。N
o.1〜No.6の6種類の抗菌性ゼオライトのサンプルを得
た。
各サンプルとも、110℃で加熱乾燥したゼオライト粉
末1kgに水を加えて、1.3のスラリーとし、その後撹拌
して脱気し、さらに適量の0.5N硝酸溶液と水とを加えて
pHを5〜7に調整し、全容を1.8のスラリーとした。
次にイオン交換の為、所定濃度の所定の塩の混合水溶液
3を加えて全容を4.8とし、このスラリー液を40〜6
0℃に保持し10〜24時間撹拌しつつ平衡状態に到達させ
た状態に保持した。イオン交換終了後ゼオライト相を濾
過し室温の水又は温水でゼオライト相中の過剰の銀イオ
ン又は銅イオン又は亜鉛イオンがなくなる迄水洗した。
次にサンプルを110℃で加熱乾燥し、6種類のサンプル
を得た。得られたNo.1〜No.6の抗菌性ゼオライトサンプ
ルに関するデータを表1に示す。
参考例2 参考例1で得たサンプルNo.1〜6の抗菌性ゼオライト
乾燥品50部とポリライト8651(飽和ポリエステル樹脂
大日本インキ製)50部とを秤量後ミキサーで混合粗砕し
てから、3本ロールミルでゼオライトの粒度が10ミクロ
ン以下になるまで練肉分散し、表2のゼオライト分散ペ
ーストI〜VIを得た。
実施例(成形体の作成) ポリライト PS−260(不飽和ポリエステル樹脂大日本
インキ製) 75部 ダイヤレックス HT−44(熱可塑製樹脂三菱モンサント
製) 25部 スチレンモノマー(不飽和芳香族単量体) 10部 NS−200(充填体 炭酸カルシウム 白石カルシウム
製) 150部 ステアリン酸亜鉛(内部離型剤) 4部 ポリトンホワイトJ−170(着色剤 大日本インキ製)1
5部 酸化マグネシウム(増粘剤) 1.5部 ターシヤリーブチルパーベンゾエート(重合開始剤)1.
5部 参考例2で作成のゼオライト分散ペーストNo.I〜No.VI
X部 但し、Xはゼオライト分散ペーストの分量であり、N
o.I〜No.VIの各々について夫々0部、0.6部(0.1%)、
6部(1%)、12部(2%)、30部(5%)、60部(10
%)の6種類ずつを調製した。上記した合計36種の不飽
和ポリエステル樹脂組成物を配合し、ミキサーで均一に
混合後、配合組成物をポリエチレンフイルム上に厚さ約
3mmで塗布すると同時に、上から1インチガラスチョッ
プPB−549SH(ガラス繊維 日東紡社製)ガラス短繊維
を1m2当たり約3kgになるように均一に散布し、すぐにポ
リエチレフイルムを上から重ね合わせて40℃で2日間熟
成させて、不飽和ポリエステル樹脂組成物からなるシー
トモールディングコンパウンド(SMC)を作成した。次
にこのSMCのポリエチレフイルムをとり除き、100kg/cm2
の圧力で150℃5分間圧縮成形をして不飽和ポリエステ
ル樹脂組成物の成形体を作成した。
試験例1(抗菌力試験) 実施例で作成した成形体を4cm×4cm×1cmに切断、そ
の後、室温で24時間風乾し、予めシヤーレに平面固化し
た培地(馬鈴薯煎汁培地)上に成形体片を置き、予め斜
面培地で28℃7日間培養した供試菌(JIS Z−2911に規
定された黴)の混合懸濁液を調製したものを噴霧接種し
た。シヤーレはふたをして28℃の孵卵器で28日間培養
し、7日ごとに成形体片上に黴生育状況を調査した。そ
の結果は表3に示す通りで本発明組成物を明らかに防黴
効果を示すことが認められた。
尚、供試菌とは以下の黴を示す。
アスペルギルス・ニガー ペニシリウム・シトリナム リゾプス・ストロニフェル クラドスポリウム・クラドポリオディズ ケトミウム・グロボスム 試験例2(防藻試験) 実施例で作成した成形体板(厚み3mm)を組合せて不
飽和ポリエステル樹脂製の2の角型容器を作成した。
これに水道水を1.5入れ、同じ成形体板のフタをし、
太陽光の当たる屋外に6〜8月まで3ケ月間放置した。
蒸発による水位の低下を防ぐため蒸発分は随時水を補給
した。半月毎に藻の発生状況を調査した。その結果は表
4に示す通りで、本発明の組成物が明らかに防藻効果が
あることが認められた。
試験例3(退色試験) 実施例で作成した成形体片をフェードメーター(Atla
s Electric Devices社製)にて退色試験を100時間行な
い、試験前の試験片との色差をミノルタ色差計CR−100
型を用いて測定した。結果は表5に示す通りで、本発明
におけるNo.1〜NO.5は、アンモニウムイオンを含まない
公知のNo.6にくらべ著しく退色、変色しないものである
ことが認められた。特にNo.6は色差が大きく、色調はカ
ッ色に変色した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−7746(JP,A) 特開 昭61−138647(JP,A) 特開 昭59−133235(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゼオライトのイオン交換可能なイオンの一
    部又は全部をアンモニウムイオン及び抗菌性金属イオン
    で置換した抗菌性ゼオライトを含有して成る不飽和ポリ
    エステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】抗菌性ゼオライトがアンモニウムイオンを
    0.5〜5重量%含有するものである請求項1記載の不飽
    和ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】抗菌性金属イオンが銀、銅、亜鉛からなる
    群より選ばれた一種又は二種以上の金属イオンである請
    求項1又は2記載の不飽和ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】抗菌性ゼオライトの含有率が0.1〜10重量
    %である請求項1又は2記載の不飽和ポリエステル樹脂
    組成物。
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