JP2621666B2 - フェノール樹脂系塗料組成物 - Google Patents

フェノール樹脂系塗料組成物

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JP2621666B2
JP2621666B2 JP3020466A JP2046691A JP2621666B2 JP 2621666 B2 JP2621666 B2 JP 2621666B2 JP 3020466 A JP3020466 A JP 3020466A JP 2046691 A JP2046691 A JP 2046691A JP 2621666 B2 JP2621666 B2 JP 2621666B2
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正隆 小林
真也 関根
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度な耐薬品性、耐溶
剤性および耐蝕性を有し、塗膜は硬いが充分な可撓性と
優れた付着性を与える、フェノール樹脂系塗料組成物に
関する。本発明のフェノール樹脂系塗料組成物は、耐薬
品性塗料、高級防錆塗料、缶内面用塗料および耐スクラ
ッチ性塗料として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】ビスフェノール型エポキシ樹脂とフェノ
ール/ホルムアルデヒド樹脂とを組み合わせてなる塗料
は、プライマーペイント、缶内面用塗料、耐薬品性塗料
または絶縁性塗料として幅広く使用されている。
【0003】前記のプライマーペイントは一般に焼付け
硬化方式で使用されているが、付着性および防蝕性を向
上させるために、ビスフェノール型エポキシ樹脂80〜
95重量%に対してフェノール/ホルムアルデヒド樹脂
20〜5重量%(固形分:以下同様)を配合する。ま
た、缶内面用塗料や耐薬品性塗料のように高度な耐薬品
性や耐溶剤性が要求される場合には、ビスフェノール型
エポキシ樹脂50〜80重量%に対してフェノール/ホ
ルムアルデヒド樹脂50〜20重量%を配合している。
【0004】更に高度な耐薬品性や耐溶剤性が要求され
る場合には、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂を50
重量%以上含有させることになるが、通常、塗料組成物
におけるフェノール/ホルムアルデヒド樹脂の割合が5
0重量%を越えると物理性能(加工性)が低下する(例
えば、特開昭63−275672号公報参照)。従っ
て、同時に可撓性付与剤としてポリビニルブチラール樹
脂または塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、あるいはポ
リブタジエン等のゴム系ポリマーを配合することが行わ
れているが、充分な可撓性を得ることができず、更に耐
蝕性や耐熱性が低下してしまう。
【0005】一般に、前記のような塗料組成物において
フェノール/ホルムアルデヒド樹脂の量を増加させる
と、耐酸性、耐溶剤性、耐蝕性および付着性は向上する
が、塗膜が硬くて脆くなり、耐アルカリ性が低下する。
逆に、ビスフェノール型エポキシ樹脂の量を増加させる
と、前記とは反対に、可撓性や耐アルカリ性は向上する
が、耐酸性、耐溶剤性、耐蝕性および付着性が低下す
る。また、エポキシ当量の大きなビスフェノール型エポ
キシ樹脂を配合することによって可撓性や耐蝕性を向上
させることができるが、エポキシ樹脂の分子量が大きく
なるのでフェノール/ホルムアルデヒド樹脂との相溶性
が悪くなる。
【0006】以上の様に、従来の塗料組成物において、
耐酸性および耐溶剤性が要求される場合には、たとえ物
理性能(加工性)が低下することになっても、フェノー
ル/ホルムアルデヒド樹脂を多量に配合せざるを得なか
った。また、耐アルカリ性および物理性能(加工性)が
要求される場合には、たとえ耐酸性が劣ったものにな
り、耐溶剤性が低下することになっても、ビスフェノー
ル型エポキシ樹脂を多量に配合する必要があった。従っ
て、いずれの場合にも、従来の塗料組成物を用いる際に
は、ハンドリングに充分な注意を払うことが必要であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の塗料組成物の欠点を解消し、耐酸性、耐溶剤性、防蝕
性、塗膜硬度、付着性、可撓性および耐アルカリ性にお
いてバランスがとれた物性を有し、使用時のハンドリン
グも容易な塗料組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
より、 (A)レゾール型フェノール樹脂組成物50〜80重量
%および (B)エポキシ樹脂と(C)フェノキシ樹脂との混合物
20〜50重量%からなり、エポキシ樹脂(B)とフェ
ノキシ樹脂(C)との重量基準による混合比〔フェノキ
シ樹脂(C)/エポキシ樹脂(B)〕が0.25〜4で
ある樹脂成分を含有することを特徴とする、フェノール
樹脂系塗料組成物によって達成することができる。な
お、本明細書において、前記樹脂成分を構成する各樹脂
の配合量は有効固形分(焼付後に蒸発しない成分)によ
るものである。
【0009】本発明で用いるレゾール型フェノール樹脂
組成物(A)〔以下、フェノール樹脂組成物(A)と称
することがある〕は、フェノール類とホルムアルデヒド
とを塩基性触媒の存在下で反応させて調製することがで
きる。
【0010】フェノール樹脂組成物(A)の調製に用い
るフェノール類は、炭素数1〜4個のアルキル基で置換
された2官能性フェノール類が10〜30モル%で残り
が石炭酸を主成分とする3官能性または4官能性フェノ
ール類の混合物である。石炭酸単独の場合または、アル
キル基で置換された2官能性フェノールの量が10モル
%未満であると、生成されるフェノール樹脂組成物は、
エポキシ当量が1,500以上のビスフェノール型エポ
キシ樹脂および数平均分子量が10,000以上のフェ
ノキシ樹脂と充分な相溶性がなく、焼付けられた塗膜は
半透明になる。また、アルキル基置換2官能性フェノー
ルが30モル%を越えると、反応性が低下するので好ま
しくない。
【0011】本発明で使用することのできる3官能性フ
ェノールとしては、石炭酸以外に、例えば、m−クレゾ
ール、レゾルシン、3,5−キシレノール、m−エチル
フェノルまたはm−メトキシフェノールを挙げることが
でき、4官能性フェノールとしては、例えば、ビス(4
−オキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−オキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−オキシフェニ
ル)ブタンまたはビスフェノールAを挙げることがで
き、炭素数1〜4個のアルキル基で置換された2官能性
フェノールとしてはo−クレゾール、p−クレゾール、
3,4−キシレノール、2,5−キシレノール、p−t
ert−ブチルフェノール、p−プロピルフェノールま
たはp−イソプロピルフェノールを挙げることができ
る。
【0012】ホルムアルデヒドとしては、その水溶液
(ホルマリン)または有機溶液、あるいはパラホルムア
ルデヒドを用いることができる。ホルムアルデヒドは、
フェノール類に対してモル比(ホルムアルデヒド/フェ
ノール類のモル比)1.1〜1.6、好ましくは1.3
〜1.5で使用する。モル比が1.1未満になると反応
性が著しく低下し、1.6を越えると遊離ホルムアルデ
ヒドが過剰となり環境悪化につながるので、それぞれ好
ましくない。
【0013】塩基性触媒としては、通常のレゾール型フ
ェノール樹脂の調製に使用される公知の化合物、例え
ば、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムまたは水酸化リチウム)、アミン類
(例えば、アンモニア、トリエチルアミン、エタノール
アミンまたはヘキサメチレンテトラミン)、更にはアル
カリ金属などを使用することができる。塩基性触媒の好
ましい使用量は、フェノール類混合物1モルに対して
0.01〜0.15モル、特には0.02〜0.06モ
ルである。0.01モル未満では生産性が低下し、0.
15モルを越えると反応制御が難しくなる。
【0014】本発明のフェノール樹脂組成物(A)は、
数平均分子量(Mn)が200〜400、特には250
〜350で、分散度〔重量平均分子量(Mw)/数平均
分子量(Mn)〕が1.4〜2.0、特には1.5〜
1.7で、遊離石炭酸およびモノメチロールフェノール
の含有率が50〜70重量%、特には55〜65重量%
であることが好ましい。数平均分子量(Mn)および分
散度が前記の範囲外のフェノール樹脂を用いると、過半
数以上のフェノール樹脂を含むエポキシ樹脂(B)およ
びフェノキシ樹脂(C)との組合せにおいて、充分の可
撓性を示さず、しかもエポキシ樹脂(B)およびフェノ
キシ樹脂(C)と充分な相溶性を示さない。また、遊離
石炭酸およびモノメチロールフェノールの含有率が50
重量%未満になると塗膜の光沢が低下すると共に物理性
能が不良となり、70重量%を越えると貯蔵安定性が極
端に低下する。
【0015】フェノール類とホルムアルデヒドとの反応
によって得られたフェノール樹脂組成物(A)の含有水
分を2重量%以下にすることにより、塗膜の光沢低下、
ワキおよびピンホールの欠陥を防ぐことが好ましい。ま
た、フェノール樹脂組成物(A)の貯蔵安定性を向上さ
せるために、反応終了後に減圧脱水してから、シュウ酸
などの酸により中和するのが好ましい。
【0016】本発明のフェノール樹脂系塗料組成物に配
合することのできるエポキシ樹脂(B)は、好ましく
は、数平均分子量が約900〜6,000、特には1,
500〜4,000で、エポキシ当量が450〜5,0
00、特には850〜3,500の固形のビスフェノー
ルA型樹脂である。数平均分子量が約900未満である
と、塗膜の可撓性が低下し、6,000を越えると溶剤
溶解性および相溶性が著しく低下する。また、エポキシ
当量が450未満であると塗膜の物理性能が低下し、
5,000を越えると硬化性および相溶性が著しく低下
する。エポキシ樹脂(B)は、公知の方法により、ビス
フェノール類、例えば、ビス(4−オキシフェニル)メ
タン、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパンま
たは2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタンとエピ
クロルヒドリンとをアルカリ触媒の存在下で反応させる
ことによって調製して用いるか、または市販の製品を用
いることができる。市販品としては、例えば、エピコー
ト♯1004、♯1007または♯1009(いずれも
油化シェルエポキシ株式会社)、あるいはアラルダルト
GY−6084、GY−6097またはGY−6099
(いずれも日本チバガイギー株式会社)を挙げることが
できる。
【0017】エポキシ樹脂(B)の溶媒としては、例え
ば、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルま
たはジオキサン)、エステル類(例えば、酢酸エチレン
グリコールモノエチルエーテルまたは酢酸エチル)、ケ
トン類(例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチ
ルケトンまたはシクロヘキサノン)あるいは炭化水素類
(例えば、トルエンまたはキシレン)を、単独でまたは
組み合わせて用いることができる。
【0018】本発明で用いることのできるフェノキシ樹
脂(C)は、好ましくは、数平均分子量10,000以
上、特には10,000〜20,000、および重量平
均分子量40,000〜100,000、特には50,
000〜80,000を有する固形の高分子ポリヒドロ
キシエーテルである。数平均分子量が10,000未満
であると可撓性が不十分となる。また重量平均分子量が
40,000未満であると可撓性が不十分となり、10
0,000を越えると相溶性が著しく低下する。前記の
フェノキシ樹脂(C)は、フェノール樹脂組成物(A)
およびエポキシ樹脂(B)とポリマーアロイを形成し、
フェノキシ樹脂(C)の特徴である可撓性を発現すると
ともに、焼付乾燥時に内部応力緩和の作用を有するので
物理性能を向上させる。また、直線状高分子中に水酸基
を含み、焼付乾燥すると三次元架橋構造を形成するので
耐溶剤性を損なうこともない。前記のフェノキシ樹脂
(C)は、公知の方法で、例えば、ビス(4−オキシフ
ェニル)メタン(ビスフェノールA)とエピクロロヒド
リンとの反応によって調製して用いるか、または市販の
製品を用いることができる。市販品としては、例えば、
PKHC、PKHHまたはPKHJ(いずれもユニオン
カーバイド日本株式会社)、またはフェノトートYP−
50(東都化成株式会社)を挙げることができる。
【0019】フェノキシ樹脂(C)の溶媒としては、例
えば、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアル
コールまたはイソホロン)、エーテル類(例えば、ジオ
キサンまたはエチレングリコールモノエチルエーテル)
あるいはエステル類(例えば、酢酸エチレングリコール
モノエチルエーテル)を、単独でまたは組み合わせて用
いることができる。
【0020】本発明のフェノール樹脂系塗料組成物は、
前記のとおり、レゾール型フェノール樹脂組成物(A)
50〜80重量%およびエポキシ樹脂(B)とフェノキ
シ樹脂(C)との重量基準による混合比〔フェノキシ樹
脂(C)/エポキシ樹脂(B)〕が0.25〜4である
混合物20〜50重量%からなる樹脂成分を含有する。
【0021】後記の実施例で具体的に示すように、本発
明の塗料組成物の前記樹脂成分におけるフェノール樹脂
組成物(A)の配合量が50重量%未満になると、特に
物理性能(加工性)が劣ったものになる。また、50重
量%未満になると耐酸性および耐溶剤性も低下し、80
重量%を越えると耐アルカリ性も低下する。エポキシ樹
脂(B)とフェノキシ樹脂(C)との混合比〔フェノキ
シ樹脂(C)/エポキシ樹脂(B)〕が0.25未満に
なると可撓性の低下がみられ、物理性能(加工性)の向
上が実質的に認められず、前記混合比が4を越えると硬
化性の低下および粘性上昇による塗装作業性の低下をも
たらす。
【0022】本発明の塗料組成物は任意の量で任意の第
2の添加剤、例えば、添加剤、顔料、硬化促進剤、レベ
リング剤、増粘剤または滑剤を含有することができる。
顔料(例えば、チタン白、カーボンブラックまたは弁
柄)、沈降性硫酸バリウムまたはタルクなどを、例えば
前記のフェノール樹脂組成物(A)とエポキシ樹脂
(B)とフェノキシ樹脂(C)とからなる樹脂成分50
重量%以上に対して、1〜50重量%、特には20〜4
0重量%含有させると耐アルカリ性が向上するので好ま
しい。
【0023】本発明による塗料組成物は、未処理鋼板、
処理鋼板、亜鉛鉄板、ブリキ板、クロムメッキ鋼板、ク
ロム酸処理鋼板、ニッケルメッキ鋼板、アルミメッキ鋼
板、アルミニウム板等に、例えば、スプレー塗料、ディ
ッピング塗料、刷毛塗り、ロールコータ塗料などの塗装
方式で塗装することができる。焼付乾燥の条件は特に限
定されるものではないが、被塗装物の温度が140〜2
50℃で5〜30分間の範囲が適当である。
【0024】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、これは本発明を限定するものではない。以
下の実施例において部および%は特に断らない限り重量
による。
【0025】実施例1 石炭酸0.8モル、p−クレゾール0.2モルおよびホ
ルムアルデヒド(37%水溶液)1.3モルを反応釜に
仕込み、アンモニア0.04モルを加えて80℃で90
分間反応させた。次に、約50℃に液温を下げ、窒素バ
ブリングを数回行いながら真空ポンプによる減圧下で脱
水を行った。含有水分が約5%になった段階でエチレン
グリコールモノエチルエーテルとn−ブタノールとの混
合溶液を加えて更に脱水を行い、含有水分を1.0%以
下にした。続いて、シュウ酸を加えて中和し、固形分6
0%、粘度5ポイズのフェノール樹脂組成物(A1)を
得た。分子量分布をゲル浸透クロマトグラフィ(GP
C)によって測定したところ、Mnは240、分散度
(Mw/Mn)は1.6、そして遊離石炭酸およびモノ
メチロールフェノール含有量は61%であった。
【0026】ビスフェノール型エポキシ樹脂〔エピコー
ト#1007(油化シェルエポキシ株式会社):Mn=
2,900;エポキシ当量=1,750〜2,200〕
をトルエン20部とエチレングリコールモノエチルエー
テル30部との混合溶剤で溶解してビスフェノール型エ
ポキシ樹脂(B)液を得た。また、フェノキシ樹脂〔U
CARフェノキシレジンPKHH(ユニオンカーバイド
日本株式会社):Mn=14,000:Mw=68,0
00〕35部をシクロヘキサノン40部とイソホロン2
5部との混合溶剤で溶解してフェノキシ樹脂(C)液を
得た。
【0027】チタン白30部を、フェノール樹脂組成物
(A1)82部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B)
液21部およびフェノキシ樹脂(C)液30部に、ボー
ルミルにより10μm以下に分散させた。ハジキ止め用
シリコーン添加剤0.08部を加え、混合攪拌して白色
エナメル塗料組成物を製造した。
【0028】この塗料組成物を、リン酸鉄化成皮膜処理
した1.0mm厚の冷間圧延鋼板に乾燥膜厚が23±2
μmとなるようにエアースプレー塗装を行い、190℃
で25分間、熱風循環式電気炉にて乾燥硬化した。
【0029】実施例2 実施例1に記載の操作を繰り返したが、但し、フェノー
ル樹脂組成物として、生成反応を80℃にて115分間
実施して調製したフェノール樹脂組成物(A2)〔Mn
=400;分散度(Mw/Mn)=2.0;遊離石炭酸
およびモノメチロールフェノール含有量=70%〕を使
用した。
【0030】比較例1 ビスフェノール型エポキシ樹脂と相溶性が良好で、耐酸
性に優れているとされている市販の塗料用フェノール樹
脂を入手してGPC分析を行った結果、数平均分子量が
320、重量平均分子量が680、分散度が2.1、そ
して遊離石炭酸とモノメチロールフェノールの含有率が
35%であった。また、樹脂固形分は60%、粘度は2
ポイズ、そして含有水分は1.4%であった。この比較
用フェノール樹脂をフェノール樹脂組成物(D)とす
る。
【0031】前記フェノール樹脂組成物(D)とエポキ
シ樹脂との相溶性を試験したところ、エポキシ当量87
5〜2,100のビスフェノールA型エポキシ樹脂、例
えばエピコート♯1004および♯1007とはよく相
溶したが、エポキシ当量2,400〜3,300のビス
フェノールA型エポキシ樹脂、例えばエピコート♯10
09とは濁りが観察された。
【0032】チタン白30部を、比較用フェノール樹脂
組成物(D)82部、ビスフェノール型エポキシ樹脂
(B)液21部、およびフェノキシ樹脂(C)液30部
に、ボールミルによって10μm以下に分散させた。ハ
ジキ止め用シリコーン添加剤0.08部を加え、混合攪
拌して白色エナメル塗料組成物を調製した。塗装および
乾燥は実施例1と同じ条件で行った。
【0033】比較例2 チタン白30部を、比較用フェノール樹脂組成物(D)
59部およびビスフェノール型エポキシ樹脂(B)液7
0部に、ボールミルにより10μm以下に分散させた。
ハジキ止め用シリコーン添加剤0.08部を加え混合攪
拌して白色エナメル塗料組成物を調製した。塗装および
乾燥は実施例1と同じ条件で行った。
【0034】比較例3 チタン白30部を、比較用フェノール樹脂組成物(D)
82部およびビスフェノール型エポキシ樹脂(B)液4
2部に、ボールミルにより10μm以下に分散させた。
ハジキ止め用シリコーン添加剤0.08部を加え混合攪
拌して白色エナメル塗料組成物を調製した。塗装および
乾燥は実施例1と同じ条件で行った。
【0035】比較例4 可撓性および耐薬品性に優れているとされている市販の
缶内面塗料用フェノール樹脂を入手してGPC分析を行
った結果、数平均分子量は990、重量平均分子量は
9,300、分散度は9.4、そして遊離石炭酸とモノ
メチロールフェノールの含有率が10%であった。ま
た、樹脂固形分が60%、粘度が10ポイズ、そして含
有水分が1.5%であった。このフェノール樹脂をレゾ
ール型フェノール樹脂組成物(E)とする。
【0036】この比較用フェノール樹脂組成物(E)は
エポキシ当量875〜2,100のビスフェノール型エ
ポキシ樹脂とよく相溶するが、エポキシ当量2,400
〜3,300のビスフェノール型エポキシ樹脂とでは濁
りが観察された。
【0037】チタン白30部を、比較用フェノール樹脂
組成物(E)59部およびビスフェノール型エポキシ樹
脂(B)液70部に、ボールミルを使い10μm以下に
分散させた。ハジキ止め用シリコーン添加剤0.08部
を加え混合攪拌して白色エナメル塗料組成物を調製し
た。塗装および乾燥は実施例1と同じ条件で行った。
【0038】物性評価 (A)評価方法 各種の塗料組成物を、実施例1に記載の方法により、塗
装し、硬化して調製した塗膜の物性を以下の方法で評価
した。
【0039】(1)物理性能 JISK5400に従い、直径8mmのロッドによる耐
屈曲試験によって評価した。 (2)耐酸性 5%酢酸中で2時間煮沸した。 (3)耐アルカリ性 3%水酸化ナトリウム水溶液中で2時間煮沸した。 (4)耐溶剤性 フェニル酢酸エチル中に浸漬し、25℃で10時間およ
び150℃で2時間からなるサイクルを4回行った。 (5)耐蝕性 JISK5400に従い、飽和食塩水を1000時間噴
射した。 (6)耐スクラッチ性 JISK5400に従い、鉛筆引っかき試験により、素
地を剃離させ得る鉛筆の硬さを調べた。 (7)エリクセン エリクセン試験機による押出試験を実施した。。 (8)耐衝撃性 JISK5400B法に従い、直径1/2インチで50
0gのおもりにより、デュポン式裏打ち合格高さを求め
た。
【0040】(B)評価結果 (1)実施例1で調製したフェノール樹脂組成物(A
1)とエポキシ樹脂(B)とを各種の配合割合で組み合
わせて調製した、2成分からなるクリヤー塗料組成物の
物性を評価した。塗装および乾燥条件も実施例1と同様
に行った。結果を表1に示す。 (2)実施例1で調製したフェノール樹脂組成物(A
1)とエポキシ樹脂(B)とフェノキシ樹脂(C)とを
各種の配合割合で組み合わせ、更にチタン白30%(全
固形分に対して)を添加して調製した、3成分をベース
にした白色エナメル塗料組成物の物性を評価した。塗装
および乾燥条件も実施例1と同様に行った。結果を表2
に示す。 (3)実施例1および2、並びに比較例1〜4で調製し
た各種の塗料組成物について物性を比較した。結果を表
3に示す。
【0041】表1〜表3における配合量は固型分の重量
部数である。また、表1〜表3における記号は以下の意
味である。 〇:優れている △:使用態様によっては許容される ×:許容限界以下である 〇〜△:耐アルカリ性試験において変色することを意味
する。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レゾール型フェノール樹脂組成物50〜
    80重量%およびエポキシ樹脂とフェノキシ樹脂との混
    合物20〜50重量%からなり、エポキシ樹脂とフェノ
    キシ樹脂との重量基準による混合比(フェノキシ樹脂/
    エポキシ樹脂)が0.25〜4である樹脂成分を含有す
    ることを特徴とする、フェノール樹脂系塗料組成物。
  2. 【請求項2】 レゾール型フェノール樹脂組成物の分散
    度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.4〜2.0
    で、数平均分子量が200〜400である、請求項1に
    記載のフェノール樹脂系塗料組成物。
  3. 【請求項3】 レゾール型フェノール樹脂組成物におけ
    る遊離石炭酸およびモノメチロールフェノールの含有率
    が50〜70重量%である、請求項1または2のいずれ
    か1項に記載のフェノール樹脂系塗料組成物。
  4. 【請求項4】 レゾール型フェノール樹脂組成物は、炭
    素数1〜4個のアルキル基で置換されている2官能性フ
    ェノール類が10〜30モル%と、残りが石炭酸を主成
    分とする3官能性または4官能性フェノール類との混合
    物であり、フェノル類とホルムアルデヒドのモル比(ホ
    ルムアルデヒド/フェノール類のモル比)1.1〜1.
    6の反応生成物である、請求項1〜3のいずれか1項に
    記載のフェノール樹脂系塗料組成物。
  5. 【請求項5】 エポキシ樹脂が、数平均分子量900〜
    6,000およびエポキシ当量450〜5,000のビ
    スフェノール型エポキシ樹脂である、請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載のフェノール樹脂系塗料組成物。
  6. 【請求項6】 フェノキシ樹脂の数平均分子量が10,
    000以上で、重量平均分子量が40,000〜10
    0,000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載
    のフェノール樹脂系塗料組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のフ
    ェノール樹脂系塗料組成物を50重量%以上含み、添加
    剤を1〜50重量%含むことを特徴とする、フェノール
    樹脂系塗料組成物。
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