JP2621090B2 - 排水の高度処理方法 - Google Patents

排水の高度処理方法

Info

Publication number
JP2621090B2
JP2621090B2 JP63311949A JP31194988A JP2621090B2 JP 2621090 B2 JP2621090 B2 JP 2621090B2 JP 63311949 A JP63311949 A JP 63311949A JP 31194988 A JP31194988 A JP 31194988A JP 2621090 B2 JP2621090 B2 JP 2621090B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wastewater
treatment
hydrogen peroxide
cod
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63311949A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0278488A (ja
Inventor
一郎 山本
豊一 横幕
正樹 藍沢
能成 井上
Original Assignee
環境エンジニアリング株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 環境エンジニアリング株式会社 filed Critical 環境エンジニアリング株式会社
Priority to JP63311949A priority Critical patent/JP2621090B2/ja
Publication of JPH0278488A publication Critical patent/JPH0278488A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2621090B2 publication Critical patent/JP2621090B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treatment Of Water By Oxidation Or Reduction (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は排水の高度処理方法に関し、更に詳しくは薬
剤使用量を著しく低減出来且つ処理能力に優れた化学酸
化方法を利用する排水の高度処理方法に関する。
(従来の技術) 従来BODで示される排水中の有機汚濁成分の除去にお
いては、現在実用化されている種々の生物学的処理方法
によって、比較的低いコストで満足出来る結果が得られ
ている。
一方、CODとして存在する有機汚濁成分(生物難分解
性物質や生物代謝老廃物質等)の処理には、活性炭吸着
法、オゾン酸化法、逆浸透法、過酸化水素等の酸化剤を
用いる化学酸化方法等が利用されている。
これらの物理化学的除去方法の中では、過酸化水素と
第1鉄塩を用いる化学酸化方法が極めて強い処理能力を
有し、排水中の広い範囲のCOD成分の分解除去方法とし
て有力であり、一部実用化されている(PPM−1986/10 3
〜16P参照)。
しかしながら上記の過酸化水素を用いる化学酸化方法
においても、比較的高濃度の有機性排水では過酸化水
素、鉄塩その他の使用薬剤の消費量が多く処理コストの
面で種々の問題が残っている。
例えば、この化学酸化方法では排水中のCODを鉄イオ
ン触媒の存在下に過酸化水素を添加して酸化分解する時
に下記の反応が行われる。
Fe2++H2O2→Fe3++HO-+HO・ この反応では過酸化水素1モルに対してほぼ当モルの
第1鉄イオンが必要とされる。
第1鉄塩としては、通常硫酸第1鉄の7水塩(FeSO4
・7H2O)が使用されるので、例えば、35%過酸化水素水
溶液100重量部当り約350乃至400重量部の使用割合とな
る。この第1鉄塩は比較的安価であるが、生成した第2
鉄塩は後にアルカリ中和によって凝集沈澱されるので、
その際に使用する苛性ソーダ等のアルカリの使用量、高
分子凝集剤の使用量が大となり、更に水酸化第2鉄を主
成分とするスラッジの量が大で、その処理コストが大と
なり、トータルとしての処理コストが著しく大となる欠
点がある。
以上の如きコストの問題が排水中のCODの濃度が比較
的低い場合には、本発明者らが以前に開発した方法であ
るA−Hipo(登録商標)法により、酸化処理前にCODの
かなりの量を凝集沈澱させる方法によって、ある程度回
避することが出来るが、排水中のCOD濃度が高く、且つ
事前の凝集沈澱によっても多量のCODが排水中に残る場
合には、上記コストの問題が依然として残り、経済的に
利用困難である。
又、添加する過酸化水素の量は、通常は排水中のCOD
量に対して有効酸素換算で0.1乃至2倍であるが、排水
中のCOD濃度は50乃至60%に低下する場合が多く、それ
以上に低下させるべく更に過酸化水素を添加してもそれ
以上のCODの低下は困難であり、逆に残留過酸化水素がC
OD濃度測定時に見かけCODの値として検出される。その
ために残留過酸化水素の除去のために更に第1鉄イオン
を加える必要が生じ、更に前記のアルカリや高分子凝集
剤等の薬剤コストやスラッジ処理コストが上昇するとい
う問題が生じる。
従って本発明の目的は、排水中のCOD濃度が著しく大
であっても、少ない薬剤使用量で低コストで高い処理効
果をあげることが出来る排水の高度処理方法を提供する
ことである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは上記目的を達成するために種々研究の結
果、酸化剤を用いる排水の化学酸化方法において、その
時の反応温度を高め、又、必要に応じて他の工程を付加
することによって著しい少量の金属イオン使用量で優れ
た処理効果が得られることを見出して本発明を完成し
た。
すなわち、本発明は、排水中の有機汚濁数分を金属イ
オンを触媒として酸化剤で酸化分解する排水の高度処理
方法において、上記の酸化分解反応を酸素を添加せず
に、50〜80℃の温度で、排水のpHを2を超えて4以下に
調整し、排水中のCOD濃度100mg/l当たり過酸化水素を酸
素原子として50〜800mg/l、鉄イオンを過酸化水素1モ
ル当たり10-3〜0.5モル用いて処理することを特徴とす
る排水の高度処理方法である。
(作用) 本発明者らの研究によれば、過酸化水素と鉄塩を用い
る化学酸化方法において、被処理排水の温度を高めるこ
とにより、CODの分解除去率が著しく向上することを認
めた。
しかしながら、排水中のCODが比較的低濃度である時
には、排水の昇温に要するエネルギー費が相対的に高く
なり、コスト的メリットはそれ程大とはならないが、排
水のCOD濃度が高い場合には、処理コストがエネルギー
コストを十分に吸収して全体的に著しく有利となること
を認めた。従って、排水が温排水である時には更に有利
となる。
更に驚くべきこと、被処理水の温度を高めると、従来
は過酸化水素とほぼ当モル量の鉄イオンが要求されたの
に対して、使用する鉄イオンの量が激減し、鉄イオン量
を過酸化水素1モル当り約10-3乃至0.5モルの使用量で
も十分な処理効果が得られ、その結果、その後使用する
苛性ソーダ、高分子凝集剤等の薬剤の使用量が激減し、
更に生成するスラッジの量が使用した鉄塩に比例して激
減し、その処理コストも著しく低下した。これらの個々
のコスト低下を合計すると、本発明方法によれば従来の
方法のコストの半分以下、特に1/3以下になることを見
出した。
更に上記方法を行うにあたり、事前に処理対象排水を
酸性凝集処理したり、或いは使用した金属イオンを触媒
として再利用することにより、更に薬剤使用量が低減出
来、又、更に酸化処理水をその後に生物処理する場合に
おいては、処理水中のCOD、TOC及びBODの生分解性が著
しく向上し、後段の処理において、処理水質、負荷等の
面で一層有利となる。
(好ましい実施態様) 次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。
本発明方法が好適に適用出来る排水としては、CODや
色度成分を含有しているし尿生物処理水、埋立場浸出汚
水、廃棄物焼却場排水、発酵及び醸造排水、高濃度有機
性排水、石油、石炭化学排水、染色排水、メッキ、表面
処理排水、溶解性油脂排水、塗装排水、その他COD、色
度等で示される生物難分解性物質や生物代謝老廃物質等
の有機物を含む排水であり、従来公知のいずれの有機排
水にも適用出来る。
特に本発明の効果が顕著に表れる排水は、COD及び色
度成分が高濃度に、例えば、CODとして約100mg/以上
の濃度の排水であり、更に好ましいのは50℃以上に既に
加熱されている温排水であり、これらの温排水の場合に
は加熱エネルギーコストが不要となるので特に有利であ
る。
本発明において使用する酸化剤は、従来公知の化学酸
化方法において使用されている酸化剤、例えば、過酸化
水素、過酸化カルシウム、過硫酸アンモニウム、アルキ
ルヒドロペルオキシド、過酸エステル、過酸化ジアルキ
ル又はジアシル等が使用されるが、コストや副生成物等
の点からみて過酸化水素が最も好ましい。以下過酸化水
素を代表例として説明する。
過酸化水素の使用量は、特に限定されず、適用排水の
内容によって変化するが、好ましい使用量はCOD100mg/
に対して約50乃至800mg/(0として)となる範囲で
ある。
本発明で使用する金属イオンは鉄イオンであり、鉄イ
オン源としては、金属鉄、鉄酸化物、鉄塩、錯体等のい
ずれの形態でもよい。鉄イオンとともに他の金属イオ
ン、例えば、チタン、セリウム、銅、マンガン、コバル
ト、バナジウム、クロム、鉛等を併用することができ
る。
使用する鉄イオンは、従来技術においては第1鉄イオ
ンが使用されたが、本発明においては第1鉄イオンは勿
論、第2鉄イオンも有効であり、更に鉄屑等の如き金属
鉄や鉄イオンをイオン交換樹脂等で固定した固定鉄イオ
ンも使用することが出来る。
本発明の重要な特徴は、この触媒としての鉄イオンの
使用量が従来技術に比較して著しく少量で十分な効果を
得ることが出来る点である。すなわち、従来技術では使
用する過酸化水素1モル(35%過酸化水素水溶液として
約97重量部)当り、ほぼ当モル量の第1鉄イオン(FeSO
4.7H2Oとして約278重量部)を使用する必要があったの
に対し、本発明では過酸化水素1モル当り約10-3乃至0.
5モルで十分な処理効果を挙げることが出来る。
本発明方法では前記の如き排水を加温して前記過酸化
水素と鉄イオンとを用いて排水中の有機汚濁成分を酸化
分解するが、本発明における排水の温度は50〜80℃の範
囲である。排水が工場温排水の如く既に上記温度範囲に
加温されている場合には単に保温すればよく、特別な加
温は不要である。予め加温されていない排水の場合に
は、水蒸気等の吹込み、工場における他の温水等による
熱交換等任意の加温手段が利用出来、加温の方法は特に
限定されない。処理温度が50℃未満である場合には酸化
効率が不十分で且つ過酸化水素の利用効率が悪化する。
又、80℃を越える温度はそれ以上の処理効果が期待出来
ず、又、過酸化水素の自己分解が大きく、利用効率が低
下するとともに、加熱エネルギー消費が大になるだけで
特別の利点はない(第8図参照)。
以上の如き好ましい条件を利用する本発明の好ましい
幾つかの実施態様を添付図面を参照して更に具体的に説
明する。
第1図示は本発明の基本方法(請求項1に記載の方
法)の1例を示す。
処理すべき排水は第1の熱交換器を通して、又は別の
熱源によって適当な温度に加熱されて反応槽に導かれ、
ここで排水中のCOD濃度に対応した量のイオン触媒1、
過酸化水素2及び排水のpHを2を超えて4以下に調整す
るために硫酸のような鉱酸3を添加混合する。尚、排水
が前記の温度範囲の温排水である場合には当然加熱は不
要である。又、排水のpHが上記の範囲にある場合には当
然調整は不要である。
この反応槽中で撹拌しながら好ましくは50乃至80℃の
温度で約0.1乃至5時間酸化分解を行うことによって排
水中の有機汚濁成分は酸化分解され反応を完了する。処
理水は必要に応じて第2の熱交換器(冷却器)で冷却さ
れる(ここで吸収された熱は第1の熱交換器で再利用さ
れ得る)。冷却された処理水は中和槽で好ましくは40℃
以下の温度で苛性ソーダの如きアルカリ4で中和されて
pHが約4以上に調整されると、触媒としての鉄イオン
(主に第二鉄イオン)はフロック状に析出する。これを
凝集槽に導いて例えば高分子凝集剤5を添加して沈澱槽
で沈澱させ、槽の底から水酸化第二鉄を主成分とするス
ラッジを回収し、処理済の水は放流又は別の処理工程に
導かれる。
第2図は装置全体を簡便にした回分式プロセスを示
す。この例では前記基本方法と同様に昇温した排水を反
応槽に導き、ここで鉄イオン触媒1、過酸化水素2及び
鉱酸3を加えて基本方法と同様に酸化処理し、処理後更
にアルカリ4と凝集剤5とを加えて静置して凝集沈澱さ
せ、スラッジを分離した後処理済水を放流又は別の処理
工程に導く。この例では上記の混合→反応→中和→凝集
→沈澱→放流の各工程をタイマー又はシーケンス制御し
て行う。
第3図示の例は、第1図示の基本方法における反応槽
を連続反応塔(又は反応管)とした例であり、反応塔中
に鉄イオン触媒を担持した触媒担体を固定又は流動さ
せ、必要に応じて熱交換器又は他の熱源によって加熱さ
れた排水に所定量の過酸化水素2及び鉱酸3を連続的に
注入しながら反応塔に送り反応させる。反応後の処理は
第1図示の例と同様でよい。
第4図に示した例は上記第1図の基本方法に前処理工
程である酸性凝集処理工程を付加した例であり、この例
は処理すべき排水が凝集剤によって分離可能な有機汚濁
成分を多量に含有する場合に有用であり、本発明におけ
る薬剤使用量を更に節約することが出来る。上記酸性凝
集処理とは、排水に第二鉄イオンを排水COD密度100mg/
に対して0.1乃至200mg/の範囲で加え、必要に応じ
て鉱酸を加えてpHを約3.5乃至5.5に調整し、高分子凝集
剤等を加えて凝集沈澱可能な有機汚濁物をスラッジとし
て分離する方法である。
先ず、排水を混合槽に導いて、ここで必要に応じて鉱
酸3を加えてpHを約3.5乃至5.5に調整するとともに、第
二鉄イオン6や高分子凝集剤5等を加えて凝集沈澱可能
な有機汚濁成分を凝集させ、沈澱槽で凝集沈澱物を分離
する。上澄液は次いで第1図示のプロセスに送られ、第
1図示の基本方法と同様に処理される。分離された沈澱
物中の第二鉄イオンは鉱酸に再溶解して上記酸性凝集処
理の凝集剤或いは前記基本方法の酸化触媒として再利用
することが出来る。
以上の如き酸性凝集処理を実際に使用した例を以下に
示す。即ち、COD濃度2,900mg/の自動車工場排水に、
第二鉄イオンを400mg/添加し、鉱酸又はアルカリを添
加して、第2鉄イオンによる凝集時のpHを変化させ、析
出したスラッジを分離し、上澄水のCODを分析したとこ
ろ、第9図示の結果が得られた。第9図示の結果から明
らかな様に凝集時のpHは3.5乃至5.5の範囲、特にpH4の
弱酸性下で最も良好な凝集効果が得られ、この範囲外の
pHではいずれも上澄液のCODが悪化する。
又、pHを4に固定して第二鉄イオンの添加量を100乃
至1,500mg/の範囲で変化させた結果を第10図に示す。
第10図の結果からして使用する第二鉄イオンの使用量は
COD2,900mg/に対して100乃至400mg/で十分であるこ
とが判る。
又、以上の如き酸性凝集処理を行った排水について前
記第1図示の基本方法を60℃で触媒添加量200mg/の条
件で実施した場合の結果を第11図に示す。第11図には、
原水を中性(pH=7)で凝集処理した例と原水を4倍に
希釈した例を比較の目的で示した。
第11図から明らかな様に排水を事前に酸性凝集処理す
ることによって本発明の処理効果が更に顕著になり、少
ない酸化剤及び触媒の使用量で効果的に処理効果が得ら
れる。これに対して中性(pH=7)での凝集処理では従
来法に比較して約70%の除去率を示し、又、排水を単に
希釈したのみでは排水中に凝集で除去出来る有機物が残
っているため、酸性凝集処理を付加したものに比べて酸
化効率が不十分である。
以上の様に本発明においては本発明の基本方法に酸性
凝集処理工程を付加することにより使用する酸化剤等の
薬剤の量が少なくすることが出来且つ処理効率が著しく
向上する。
再度第1図を参照して前記基本方法において触媒とし
ての鉄塩を再使用する例を説明する。第1図示の基本方
法において沈澱槽から発生したスラッジは大部分が水酸
化第二鉄である。本発明方法ではこの水酸化第二鉄は水
酸化第一鉄に還元することなくそのままのスラリーとし
て又は鉱酸に溶解して第二鉄塩として酸化処理時の触媒
としてそのまま再使用することが出来ることを見い出し
た。これに対して酸化反応を常温で実施する従来方法で
は沈澱槽から回収される水酸化第二鉄はそのままでは酸
化触媒として再使用出来ず、再使用する場合には第一鉄
に還元することが必要であった。従って本発明方法では
回収した水酸化第二鉄を還元する必要がないのでこの点
でも還元剤等の薬剤が不要であり薬剤費が著しく節減さ
れるだけでなく、発生するスラッジ量も殆ど無くなる。
触媒を再利用する例を示す。プリント基板の配線パタ
ーン形成工程からの排水を前記の酸性凝集処理を行い、
第1図示の方法を実施し、沈澱槽で発生した水酸化第二
鉄をそのまま酸化処理時の触媒として使用した。又、比
較の目的で新触媒として新鮮な第一鉄塩を用いた例及び
酸化処理を常温で行う従来例において上記の水酸化第二
鉄、新触媒及び回収した水酸化第二鉄を鉱酸に溶解して
亜硫酸ソーダで第一鉄塩に還元した再生触媒を用いる例
も合せて行って第12図の結果を得た。
第12図から明らかな様に本発明方法では水酸化第二鉄
は新触媒と殆ど変らない優れた触媒効果を示し、水酸化
第二鉄のままでも再使用することが出来ることが判る。
これに対して従来方法の場合には水酸化第二鉄のままで
は触媒効果が著しく低く還元して再生触媒とする必要が
あった。すなわち、本発明の方法では酸化剤の使用量が
少なくて済むだけでなく、沈澱槽で回収された水酸化第
二鉄がそのまま触媒として再利用出来、廃棄スラッジの
発生がないという利点がある。
第5図に以上の如き本発明の方法に生物処理方法を付
加した例を示す。
生物処理とは微生物が排水中の有機性汚濁物質を栄養
源として摂取し、これを分解してエネルギーを獲得し、
そのエネルギーの一部を利用して菌体を合成する工程で
あり、この代謝作用により排水中のBOD、TOC、COD等に
より表示される汚濁物質を除去する方法である。
生物処理には好気性処理と嫌気性処理とがあり、前者
としては活性汚泥法(連続式及び回分式)、生物膜法、
酸化池法等があり、後者としてはいわゆるメタン醗酵法
があり、これらの方法はいずれも本発明の基本方法に付
加して優れた処理効果を挙げることが出来る。
第5図aは、第1図示の基本方法により化学処理した
後、処理水を冷却することなく高温醗酵(水温53乃至55
℃)のメタン醗酵槽にて生物処理する方法を示し、第5
図bは第1図の基本方法により化学処理した後処理水
を、冷却することなく他系統の雑排水や一部の冷却水を
混合することにより放冷した後、連続式活性汚泥法で生
物処理する方法を示し、第5図cは第5図bの代わりに
回分式活性汚泥法により生物処理する方法を示し、第5
図dは最も一般方法であり、基本方法による処理水を40
℃以下に冷却した後接触曝気槽にて生物処理する方法を
示す。
(実施例) 次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1 第1図示のプロセスを用いて或る工場排水の化学酸化
方法処理を行った。
排水のCOD濃度は7,300mg/であり、この排水を50℃
に加温し、pHを3とし、反応時間を4時間とし、添加触
媒量は200mg/に固定し、過酸化水素濃度を変えて処理
を行ったところ第6図示の結果を得た。
尚、触媒としてはFeSO4.7H2Oを使用し、その使用量及
び濃度はFeとして表した。又、過酸化水素の使用量及び
濃度もO(酸素)として表した。いずれも以下同様であ
る。
一方、比較の目的で排水の加温を行わず、15℃のまま
で鉄イオン触媒添加量と過酸化水素濃度を夫々変えて他
は上記と同一の条件で従来方法で処理を行って第6図示
の結果を得た。
この従来方法と本発明の方法とを比較すると従来方法
では鉄イオン触媒25,000mg/及び過酸化水素10,000mg/
の濃度でCODは7,300mg/から約2,000mg/に低下し
たのに対し、本発明の場合には鉄イオン触媒量は従来法
の1/125という少量であるにも係わらず、COD濃度は7,30
0mg/から約800mg/に低下した。
又、上記排水のCOD濃度を7,300mg/から2,800mg/
になるまでに必要とする触媒及び過酸化水素の量を本発
明方法及び従来方法で求めたところ下記第1表の通りで
あり、本発明方法は従来方法に比較して触媒及び過酸化
水素の消費量が著しく削減された。
尚、本発明方法では鉄イオン触媒として第一鉄イオン
に代えて第二鉄イオンを用いても同様な結果が得られた
のに対し、従来方法では第二鉄イオンでは殆ど効果がな
かった。
実施例2 この実施例では実施例1と同じ排水を使用したが、第
4図示のプロセスに従って処理前に第二鉄イオン1,000m
g/で酸性凝集処理を行い、COD濃度を予め4,700mg/
に低下させたものを用いて化学酸化方法を行った。
被処理液の温度は50℃、反応pHは3、反応時間は4時
間とし、触媒は150mg/に一定とした。その結果第7図
示の結果が得られた。
又、比較のために被処理水の加温を行わず、15℃の温
度で触媒量と過酸化水素濃度を変えて従来方法で同様に
処理を行ったところ第7図の結果が得られた。
本発明方法と従来方法を比較すると、従来方法の場合
には25,000mg/の触媒量で10,000mg/の過酸化水素濃
度でCOD濃度が4,700mg/から約1,700mg/に低下した
のに対し、本発明方法は1/167の触媒量でCOD濃度は4,70
0mg/から約500mg/にまで低下した。
又、第7図において過酸化水素濃度3,000mg/におい
て得られた本発明及び従来方法の処理済水の生分解度を
調べた。
生分解性試験の原水として上記の処理済水を20倍に希
釈したものを用い、本発明及び従来方法とも同一条件で
生分解性試験を行って下記第2表の結果を得た。
以上の結果から本発明方法で得られる処理済水は生分
解性に優れていることが明らかであり、本発明方法の後
段に生物処理方法を行うことによって、より優れた排水
の処理が可能である。
尚、本発明方法では鉄イオン触媒として第一鉄イオン
に代えて第二鉄イオンを用いても同様な結果が得られた
のに対し、従来方法では第二鉄イオンでは殆ど効果がな
かった。
実施例3 この実施例では排水の温度によるCOD濃度の低下を調
べた。
実施例2と同じCDO濃度4,700mg/の被処理水に触媒
を20mg/、過酸化水素を2,500mg/の濃度で加え、種
々の温度で1時間反応させてCOD濃度の変化を求めたと
ころ第8図の結果が得られた。
第8図から明らかな様に、40℃まではCOD濃度の低下
は少なく、温度が上がって40℃以上になるとCOD濃度が
急激に低下し、約50℃以上となると十分なCOD濃度の低
下が認められた。従って本発明においては反応温度を50
℃以上とするのが最も好ましい。
実施例4 この実施例では第1図示の方式を用いて、或る工場の
切削油排水のCOD処理を行いコスト計算を行った。
排水の性状 水 量: 20m3/日 水 温: 15℃ COD濃度: 700mg/ 処理済水のCOD: 100mg/ 本発明方法:生蒸気吹込みにより50℃に昇温及び保温。
従来方法:昇温なし(15℃のまま)。
以上の通り本発明方法では従来方法に比して処理コス
トが約30%に低下した。
実施例5 この実施例では第1図の方式を用いて、或る工場の温
排水(80℃)のCOD処理を行いコスト計算を行った。排水の性状 水 量: 120m3/日 温 度: 80℃ COD濃度: 7,200mg/ 処理済水のCOD: 2,000mg/ 以上の通り本発明方法では従来方法に比して処理コス
トが約27%に低下した。
(効果) 以上の通り、本発明によれば、本発明者らの研究によ
れば、過酸化水素と鉄塩を用いる化学酸化方法におい
て、被処理排水の温度を高めることにより、CODの分解
除去率が著しく向上することを認めた。
しかしながら、排水中のCODが比較的低濃度である時
には、排水の昇温に要するエネルギー費が相対的に高く
なり、コスト的メリットはそれ程大とはならないが、排
水のCOD濃度が高い場合には、処理コストがエネルギー
コストを十分に吸収して全体的に著しく有利となること
を認めた。従って、排水が温排水である時には更に有利
となる。
更に驚くべきこと、被処理水の温度を高めると、従来
は過酸化水素とほぼ当モル量の鉄イオンが要求されたの
に対して、使用する鉄イオンの量が激減し、鉄イオン量
を過酸化水素1モル当り約10-3乃至0.5モルの使用量で
も十分な処理効果が得られ、その結果、その後使用する
苛性ソーダ、高分子凝集剤等の薬剤の使用量が激減し、
更に生成するスラッジの量が使用した鉄塩に比例して激
減し、その処理コストも著しく低下した。これらの個々
のコスト低下を合計すると、本発明方法によれば従来の
方法のコストの半分以下、特に1/3以下になることを見
出した。
更に上記方法を行うにあたり、事前に処理対象排水を
酸性凝集処理したり、或いは使用した金属イオンを触媒
として再利用することにより、更に薬剤使用量が低減出
来、又、更に酸化処理水をその後に生物処理する場合に
おいては、処理水中のCOD、TOC及びBODの生分解性が著
しく向上し、後段の処理において、処理水質、負荷等の
面で一層有利となる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第5図は本発明の好ましい態様を示すフロー
シートを示し、第6図乃至第12図は実施例における処理
結果を示す図である。 1:触媒、2:過酸化水素 3:鉱酸、4:アルカリ 5:高分子凝集剤、6:第二鉄イオン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−139264(JP,A) 特開 昭59−59299(JP,A) 特開 昭54−44353(JP,A) 特開 昭53−94445(JP,A) 特開 昭62−241596(JP,A) 特開 昭61−197093(JP,A) 特開 昭56−136694(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排水中の有機汚濁成分を金属イオンを触媒
    として酸化剤で酸化分解する排水の高度処理方法におい
    て、上記の酸化分解反応を酸素を添加せずに、50〜80℃
    の温度で、排水のpHを2を超えて4以下に調整し、排水
    中のCOD濃度100mg/l当たり過酸化水素を酸素原子として
    50〜800mg/l、鉄イオンを過酸化水素1モル当たり10-3
    〜0.5モル用いて処理することを特徴とする排水の高度
    処理方法。
JP63311949A 1988-06-03 1988-12-12 排水の高度処理方法 Expired - Lifetime JP2621090B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63311949A JP2621090B2 (ja) 1988-06-03 1988-12-12 排水の高度処理方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63-135637 1988-06-03
JP13563788 1988-06-03
JP63311949A JP2621090B2 (ja) 1988-06-03 1988-12-12 排水の高度処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0278488A JPH0278488A (ja) 1990-03-19
JP2621090B2 true JP2621090B2 (ja) 1997-06-18

Family

ID=26469442

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63311949A Expired - Lifetime JP2621090B2 (ja) 1988-06-03 1988-12-12 排水の高度処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2621090B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04349997A (ja) * 1991-05-28 1992-12-04 Ebara Infilco Co Ltd 有機性廃水の処理方法
US5702615A (en) * 1995-06-27 1997-12-30 Kawasaki Kasei Chemicals Ltd. Method for the treatment of waste water
KR100465521B1 (ko) * 2001-12-11 2005-01-13 국보산업 주식회사 촉매습식산화공정을 이용한 폐수처리방법
JP4568322B2 (ja) * 2006-12-01 2010-10-27 石川 大輔 活性余剰汚泥の処理方法
JP2013081882A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Chugoku Kayaku Kk Tnt製造で排出される廃液の処理方法
CN103539300B (zh) * 2012-07-13 2016-12-21 中国石油化工股份有限公司 一种处理丁烯氧化脱氢制丁二烯废水的方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52139264A (en) * 1976-05-18 1977-11-21 Mitsui Toatsu Chem Inc Process for pretreatment of waste water
JPS5394445A (en) * 1977-01-31 1978-08-18 Tokyo Yuuki Kagaku Kougiyou Kk Method of treating waste water
JPS5444353A (en) * 1977-09-12 1979-04-07 Gunze Kk Dyeing waste water disposal method
JPS5930153B2 (ja) * 1980-03-28 1984-07-25 同和鉱業株式会社 殺菌・消毒液を含有する排液の処理方法
JPS5959299A (ja) * 1982-09-27 1984-04-05 Kankyo Eng Kk 糖蜜廃液の処理方法
JPS61197093A (ja) * 1985-02-25 1986-09-01 Idemitsu Petrochem Co Ltd 排水の処理方法
JPH0710388B2 (ja) * 1986-04-11 1995-02-08 栗田工業株式会社 有機物含有廃水の処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0278488A (ja) 1990-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5828969B2 (ja) 石炭ガス化排水の処理システムおよび石炭ガス化排水の処理方法
JP5579414B2 (ja) 還元性セレン含有排水の処理方法
KR100707975B1 (ko) 고농도 유기물 함유 축산폐수의 처리방법
JPH04349997A (ja) 有機性廃水の処理方法
JP2002316173A (ja) 砒素及び過酸化水素を含有する排水の処理方法
JP2621090B2 (ja) 排水の高度処理方法
EP0672022B1 (en) Process for treating waste water
KR100343637B1 (ko) 생활쓰레기 매립지의 침출수 정화처리방법
JP4552164B2 (ja) 廃液の処理方法
JPS5930153B2 (ja) 殺菌・消毒液を含有する排液の処理方法
CN113816561A (zh) 一种季铵盐生产废水的处理方法
JP4527896B2 (ja) 排水処理装置
JP2601441B2 (ja) 排水処理方法
KR100208477B1 (ko) 응집과 화학적 산화에 의한 산업폐수의 처리 방법
CN113526778A (zh) 一种高浓度工业废水的处理工艺
JPH0679715B2 (ja) 有機性汚水の生物学的処理方法
KR100503632B1 (ko) 고농도의 질소와 인을 함유하는 금속표면처리 산업폐수의처리장치 및 방법
JPS591118B2 (ja) 有機性排水の処理方法
KR100315434B1 (ko) 폐수중의 오염물질 처리방법
JPS591117B2 (ja) 有機性排水の処理方法
JPS61161197A (ja) 有機性排水の処理方法
JP5063975B2 (ja) 有機性排水の処理方法及び処理装置
JPS591119B2 (ja) 有機性排水の高度処理方法
JPH091162A (ja) 排水の高度処理方法及び排水の酸化処理用触媒
JPH1015591A (ja) 排水の高度処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 12