JP2618425B2 - 電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物並びに該樹脂組成物を絶縁体に用いた電気ケーブル及び電気ケーブル接続部 - Google Patents

電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物並びに該樹脂組成物を絶縁体に用いた電気ケーブル及び電気ケーブル接続部

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JP2618425B2 JP63051703A JP5170388A JP2618425B2 JP 2618425 B2 JP2618425 B2 JP 2618425B2 JP 63051703 A JP63051703 A JP 63051703A JP 5170388 A JP5170388 A JP 5170388A JP 2618425 B2 JP2618425 B2 JP 2618425B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成
物並びに該樹脂組成物を絶縁体に用いた電気ケーブル及
び該樹脂組成物を絶縁体に用いた電気ケーブル接続部に
関するものである。
(従来の技術) 従来、CVケーブルのケーブルコアは、導体上に内部半
導体層、絶縁体層、外部半導体層の3層構造をとってい
る。しかして、これらの各層を導体上に被覆形成後、加
圧加熱により架橋剤を分解させ、そのラジカルにより架
橋させている。
また、電気ケーブルの接続部についていえば、従来、
154KV級以上のCVケーブルには、導体接続部の上に内部
半導体層を設け、その上に架橋剤入りポリエチレン絶縁
テープを巻くか、又は金型内へ架橋剤入りポリエチレン
絶縁コンパウンドを押し出すことによって形成された補
強絶縁体を、予め設けた前記内部半導体層と補強絶縁体
上に設けた外部半導体層とを一体で、加熱加圧すること
により架橋剤を分解させ、そのラジカルにより架橋して
ケーブルと一体化させるいわゆるモールドジョイントが
行われている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、このような従来技術において、ここに
使用している半導体層のポリマーには、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合
体、塩素化ポリエチレン等を使用しているので、加熱架
橋時にここから発生する遊離酸が絶縁体層中に拡散し、
絶縁体層の架橋反応を阻害するため、内、外両半導体層
に接する近傍の絶縁体の架橋度が低く、そのため耐熱性
に劣り熱変形を起こす(ケーブル接続部における補強絶
縁体も同様)という問題があった。
本発明は、このような従来の問題点を解消し、内外両
半導電層近傍の絶縁体層の架橋阻害を防止し高架橋度が
得られる電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物並
びに該樹脂組成物を絶縁体に用いた電気ケーブルおよび
電気ケーブル接続部を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は鋭意研究の結果、ポリオレフィン系樹脂
に、架橋剤、抗酸化剤を含有せしめた組成物に、脂肪酸
アミド化合物を添加して得られたポリオレフィン系樹脂
組成物を絶縁体層として用いると、内外両半導電層近傍
の絶縁体層の架橋阻害を抑制でき高架橋度が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による電気絶縁性架橋ポリオレフィ
ン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂に架橋剤、抗
酸化剤を添加含有せしめた組成物に対し、脂肪酸アミド
化合物の群より選ばれるいずれか1種あるいは2種以上
の混合物を添加配合せしめたことを特徴とする。
次に、本発明による電気ケーブルは、導体外周に半導
電層に接して絶縁体を被覆形成した電気ケーブルにおい
て、該絶縁体として前記電気絶縁性架橋ポリオレフィン
系樹脂組成物を用いたことを特徴とする。
さらに、本発明による電気ケーブル接続部は、電気ケ
ーブルの導体接続部に半導電層に接して架橋剤入りポリ
オレフィン系樹脂組成物からなるテープを巻回するか又
は金型内に架橋剤入りポリオレフィン系樹脂組成物を注
入することによって絶縁体を被覆形成した電気ケーブル
接続部において、該絶縁体として前記電気絶縁性架橋ポ
リオレフィン系樹脂組成物を用いたことを特徴とする。
つまり、電気ケーブル接続部の補強絶縁体層形成時に
用いる架橋剤入りポリオレフィンテープ又は架橋剤入り
ポリオレフィンコンパウンドとして、上記の架橋ポリオ
レフィン系樹脂組成物を用いることを特徴とする。
本発明におけるポリオレフィン樹脂とは、低密度ポリ
エチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LD
PE)、エチレンプロピレンゴム(EPR)等の単独もしく
はこれらのポリオレフィン系樹脂の2種以上の混合物を
含むものである。
本発明における架橋剤としては、ジクミルパーオキサ
イド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−ビス−
(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)−ベンゼン等
が用いられる。中でも、ジクミルパーオキサイドがポリ
オレフィンの架橋効率及び電気性能の点から特に好まし
い。前記架橋剤の前記ポリオレフィン系樹脂に対する添
加量は、0.5〜3重量%が好ましく、0.5重量%未満では
架橋効果が得られず不可であり、3重量%を越えると逆
に架橋が行き過ぎ製品に「焼け」等が発生して不可であ
る。
又、本発明における抗酸化剤としては、4,4′−チオ
ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビ
ス〔2−メチル−4−{3−n−アルキルチオプロピル
オニルオキシ}−5−t−ブチルフェニル〕スルフィ
ド、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−
tert−ブチルパラクレゾール等が用いられる。中でも、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェ
ノール)が架橋ポリオレフィンの抗酸化効果の点から特
に好ましい。前記抗酸化剤の前記ポリオレフィン系樹脂
に対する添加量は、0.05〜0.5重量%が好ましく、0.05
重量%未満では、絶縁体の酸化劣化防止効果がなく不可
であり、逆に0.5重量%を越えると、架橋阻害が大きく
なり絶縁体の架橋度が低く不可である。
次に、本発明における脂肪酸アミド化合物としては、
オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、リノール酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレン
ビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、セ
ロチン酸アミド等の有機酸から誘導されるアミド化合物
で、特に炭素数10個以上の脂肪酸アミドがポリオレフィ
ンとの相溶性の点から好ましい。
さらに、脂肪酸アミド化合物の中でもオレイン酸アミ
ドおよびエルカ酸アミドが特に好ましく、その理由は次
の如くである。ジクミルパーオキサイド等の架橋剤を含
有する架橋ポリオレフィン組成物の押出成形温度は押出
成形時に架橋剤の分解を防ぐためにできるだけ低温で行
うことが望ましい。オレイン酸アミド、エルカ酸アミド
は、炭素数10以上であって、ポリオレフィンとの相溶性
も良好であり且つ融点が60℃〜80℃と低温であることか
ら、その分散性も良好であり、本発明の架橋阻害防止の
効果を大きくするものである。
前記脂肪酸アミド化合物の前記ポリオレフィン系樹脂
に対する添加量は、0.01〜3重量%程度が望ましい。0.
01重量%より少ない場合は、酸による架橋阻害を防止す
る効果が得られず、又3重量%を越えるとブリードした
り、押出機内でスリップして成形出来なくなる傾向があ
り、好ましくない。
なお、本発明の電気ケーブル及びその接続部に関し
て、使用電界2KV/mm以上の場合、絶縁体の厚さが厚くな
ることから、架橋度が低いと変形が生じ易くなるので、
本発明の効果が特に顕著に発揮できることになる。
(作 用) 本発明の電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物
における前記脂肪酸アミド化合物は、前記ポリオレフィ
ン系樹脂中に存在して遊離酸を捕捉するため、酸による
架橋阻害を防止する効果があるものと推定される。
また、これらの効果は、その理由は明確でないが、ア
ミド化合物とジクミルパーオキサイドと4,4′−チオビ
ス(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)
との三者併用の場合が最も大きいものである。
(実施例) 以下本発明を具体的に説明する。
実施例−1 低密度ポリエチレンに対し、2重量%のジクミルパー
オキサイドと、0.3重量%の4,4′−チオビス(3−メチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)とをそれぞれ添加含
有せしめた組成物に対し、オレイン酸アミドを、それぞ
れに0.03重量%、0.1重量%、1.0重量%、3.0重量%添
加して4種類の組成物を得た。これらの組成物を絶縁体
層に用いて、第1図に示したように、1400mm2の導体
(1)外周に、1mm厚のEVAベース内部半導電層(2),2
7mm厚の絶縁体層(3),1mm厚のEVAベース外部半導電層
(4)を押出成形後270℃で架橋させて電気ケーブルを
作成した。
得られたケーブルのぞれぞれについて、内・外両半導
電層近傍のA点、B点における絶縁体層の架橋度を判定
し、その結果をまとめて表に示した。
実施例−2 第2図に示すように、66KV用400mm2のCVケーブルの導
体11の接続部外周に予めEVAベースの半導電テープを加
熱モールド成形した内部半導電層12を設けた上に、前記
実施例−1のオレイン酸アミドの代わりにエルカ酸アミ
ドを用いたほかはすべて実施例−1と同じ樹脂組成物を
金型内に注入成形して補強絶縁体層13とし、この上に設
けたEVAベース外部半導電層14と共に一体で外導温度220
℃3時間の条件で加熱加圧架橋して電気ケーブル接続部
を4種類作成した。
このようにして得た電気ケーブル接続部の内・外両半
導電層近傍のA点、B点における絶縁体層の架橋度をそ
れぞれ測定しその結果を表に示した。
比較例−1 前記実施例−1のオレイン酸アミドを除いた他は、実
施例−1と同一条件で製造したCVケーブルの内・外両半
導体層近傍の絶縁体層の架橋度を測定したその結果を表
に示した。
比較例−2 前記実施例−2のエルカ酸アミドを除いた他は、実施
例−2と同一条件で製造したCVケーブルモールド接続部
の内・外両半導電層近傍の絶縁体層の架橋度を測定しそ
の結果を表に示した。
表から明らかなように、前記各実施例では、比較例と
対比して、それぞれ、架橋度を大幅に向上維持できる本
発明の顕著な効果が認められる。
(発明の効果) 本発明ので電気縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物
をCVケーブルの絶縁体に使用すれば、又、この樹脂組成
物からなる絶縁テープあるいは絶縁コンパウンドをCVケ
ーブルモールド接続部の補強絶縁体に使用すれば、絶縁
体に脂肪酸アミド化合物が存在するため、内外半導電層
のベース材料から出る酸による絶縁体の架橋阻害を防止
し、絶縁体の耐熱性を高くする効果が得られる。また、
絶縁体の遊離酸の多い部分では、アセトン、フェノー
ル、α−メチルスチレン、水などが多いのに対し、本発
明の組成物を使用した絶縁体では、アセトフェノン、ジ
メチルフェニルカルビノール等が多く、水が少ないこと
から、電気絶縁性能の向上も期待できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明の一実施例の電気ケーブルを示す断面
略図である。 第2図は、本発明の他の実施例の電気ケーブル接続部を
示す縦断面略図である。 1,11……電気ケーブル導体 2……電気ケーブル内部半導電層 3……電気ケーブル絶縁体層 4……電気ケーブル外部半導電層 12……電気ケーブル接続部内部半導電層 13……電気ケーブル接続部補強絶縁体層 14……電気ケーブル接続部外部半導電層 A,B……架橋度測定位置。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂に架橋剤、抗酸化剤
    を添加含有せしめた組成物に対し、脂肪酸アミド化合物
    の群より選ばれるいずれか1種あるいは2種以上の混合
    物を添加配合せしめたことを特徴とする電気絶縁性架橋
    ポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】脂肪酸アミド化合物が、炭素数10個以上の
    化合物であることを特徴とする請求項1記載の電気絶縁
    性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】架橋剤としてジクミルパーオキサイドを、
    抗酸化剤として4,4′−チオビス(3−メチル−6−タ
    ーシャリーブチルフェノール)を、脂肪酸アミド化合物
    としてオレイン酸アミドおよびエルカ酸アミドのいずれ
    か1種あるいはこれらの混合物を用いたことを特徴とす
    る請求項1記載の電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】導体外周に半導電層に接して絶縁体を被覆
    形成した電気ケーブルにおいて、請求項1、2または3
    に記載の電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成物を
    前記絶縁体に用いたことを特徴とする電気ケーブル。
  5. 【請求項5】電気ケーブルの導体接続部に半導電層に接
    して架橋剤入りポリオレフィン系樹脂組成物からなるテ
    ープを巻回するか又は金型内に架橋剤入りポリオレフィ
    ン系樹脂組成物を注入することによって絶縁体を被覆形
    成した電気ケーブル接続部において、請求項1、2また
    は3に記載の電気絶縁性架橋ポリオレフィン系樹脂組成
    物を前記絶縁体に用いたことを特徴とする電気ケーブル
    接続部。
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