JP2618325B2 - ラミネート板の製造方法および製造装置 - Google Patents

ラミネート板の製造方法および製造装置

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JP2618325B2
JP2618325B2 JP5350056A JP35005693A JP2618325B2 JP 2618325 B2 JP2618325 B2 JP 2618325B2 JP 5350056 A JP5350056 A JP 5350056A JP 35005693 A JP35005693 A JP 35005693A JP 2618325 B2 JP2618325 B2 JP 2618325B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はラミネート板の製造方
法、製造装置およびそれらに用いる最終加熱ロールに関
する。さらに詳しくは、金属製の基板に熱可塑性樹脂フ
ィルムをラミネートした、とくに製缶用のラミネート板
の製造方法、およびそれに用いる製造装置、最終加熱ロ
ールに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より食缶あるいは飲料缶には、缶胴
と底蓋が一体となった2ピース缶が用いられている。そ
の2ピース缶は冷延鋼板やアルミニウム板、ブリキなど
の金属板から成形されるが、内容物中に金属が溶出する
のを防いだり、金属板の耐食性、耐久性を向上させるた
め、金属板または成形缶に各種の合成樹脂塗料を塗布す
ることが多い。また塗装のほか、金属基板に合成樹脂を
ラミネートしたラミネート板を素材として採用し、プレ
ス成型したラミネート缶も採用されている。
【0003】このようなラミネート缶の素材となるラミ
ネート板は絞り加工やしごき加工、あるいはストレッチ
加工に耐えうるよう、樹脂フィルムを接着剤を使用せず
に積層する方法(特公昭60ー47103号公報)、エ
ポキシ樹脂とその硬化剤からなる重合組成物をあらかじ
め塗布したポリエステルフィルムを金属板に積層する方
法(特公昭63−13829号公報、特開平1−249
931号公報など参照)などによって製造される。
【0004】さらに本出願人はとくに加工条件が厳しい
薄肉化深絞り缶の耐デンティング性(缶にへこみが生じ
たとき、フィルムにクラックが入りにくいことを示す耐
衝撃性の指標)を向上させるため、特定の固有粘度を有
する二軸延伸あるいは未延伸のポリエステル樹脂フィル
ムで被覆した鋼板をラミネート缶の素材とすることを提
案している(特開平4−224936号公報)。
【0005】二軸延伸した合成樹脂フィルムは結晶配向
(分子配向)が生じて強度が向上し、耐デンティング性
が高い利点がある反面、金属板への密着性が低く、絞り
加工やしごき加工のときに剥れ易いという問題がある。
このような問題に対処するため、金属板をあらかじめ加
熱し、その上に結晶配向性の合成樹脂フィルムを重ねる
ことにより、金属板と当接する側の結晶配向度をある程
度低下させ、密着性、接着性を向上させる方法が提案さ
れている。この方法によれば、いわばフィルムの厚さ方
向に結晶配向度(BO値)に関して勾配ないし傾斜が与
えられ、密着性が必要な接触面側の結晶配向度が低下
し、表面側では有る程度高い強度が維持される。しかし
結晶配向度を低下させ過ぎると耐デンティング性が低下
し、缶の耐久性が低下するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本出願人はこのような
問題を解消し、とくに缶底部などのデンティングの発生
が多い個所の耐デンティング性を高め、他の部位では金
属板との密着性を向上させるといった、各部分に必要な
性質を強化し、もって製缶作業が容易でしかも流通時点
での損傷が少なく、耐久性の高い缶用のラミネート板お
よびそのラミネート板の製造法の基本的概念およびそれ
を実施するための種々の方法、装置について、すでに提
案している(特願平5−213470)。しかしそれら
の方法は通常のラインの他に、部分的に熱を取る熱取り
ロールを設けるなど、いずれも製造装置の比較的大きい
改造を必要とし、さらに加熱ロールの温度管理が困難で
あるなど、実用化の点でいくつかの問題がある。
【0007】本発明は、前記提案したラミネート板の製
造法および装置の基本的な技術思想を引き継ぎながら、
実用化が容易な製造法および製造装置、とくに既存のラ
ミネート装置を一部変更するだけで利用しうる製造法、
製造装置およびそれらに用いる最終加熱ロールを実現す
ることを技術課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のラミネート板の
製造方法は、金属薄板製の基板を、順に高い温度になっ
ていくように温度設定された複数本の加熱ロールに通し
て熱可塑性樹脂フィルムの接着に要する温度以上まで加
熱し、ついで基板の少なくとも片面に熱可塑性樹脂フィ
ルムを重ねながら一対のラミネートロールに通して両者
を圧着するラミネート板の製造方法であって、前記熱可
塑性樹脂フィルムとして結晶配向性の樹脂フィルムを採
用し、前記基板を、前段の加熱ロールで樹脂フィルムの
接着に必要な温度以上でかつ結晶配向度を低下させる温
度未満の所定の温度まで加熱し、ついで最も高い表面温
度を有する最終加熱ロールに所定のパターンで当接させ
ることにより、前記基板を部分的に結晶配向度を低下さ
せうる温度まで加熱することを特徴としている。
【0009】本発明のラミネート板の製造装置は、円筒
状のシェル表面を有する前段の加熱ロール群と、シェル
表面に所定のパターンで浅い凹部が形成された最終加熱
ロールと、その最終加熱ロールから出てくる金属薄板製
の基板に樹脂フィルムをラミネートするための一対のラ
ミネートロールとから構成されている。そのような装置
により缶容器の素材となるラミネート板を製造する場合
は、前記凹部の形状および配列位置を、缶容器の底部に
相当する形状およびブランク取りのパターンに合わせる
のが好ましい。
【0010】本発明の最終加熱ロールは、均一加熱を目
的とする加熱ロールであって、シェル表面に所定のパタ
ーンで浅い凹部が形成されていることを特徴としてい
る。そのような最終加熱ロールにより缶容器の素材とな
るラミネート板を製造する場合は、前記凹部の形状およ
び配列位置を、缶容器の底部に相当する形状およびブラ
ンク取りのパターンに合わせるのが好ましい。さらに電
磁誘導による発熱手段および温度を一定に維持する温度
制御手段を備えた最終加熱ロールが好ましい。
【0011】
【作用】金属薄板製の基板は最終加熱ロールの前までで
接着に要する所定の温度まで昇温される。ついで最終加
熱ロールを所定のパターンで当接させると、基板のうち
当接した部位の温度が結晶配向度を低下させる温度まで
上昇し、当接させない部位では接着に要する温度にとど
まり、結晶配向度を低下させる温度にならない。したが
って基板の表面は当接させるパターンに応じて高温部と
それよりいくらか低温の低温部とに分けられる。さらに
そのような温度分布を設けた基板にラミネートロールで
結晶配向性の樹脂フィルムを圧着すると、全体に基板に
接着されると共に、高温部に接着された部分では結晶配
向度が低下し、低温部に接着された部位では結晶配向度
が高いまま維持される。
【0012】このように本発明の製造法では、単に最終
加熱ロールを当接させるか当接させないかを選択するだ
けで、金属基板を高温部と低温部とに分けるようにして
いるので、最終加熱ロールそのものの表面温度は均一で
よい。そのため従来の加熱ロールに用いていた温度セン
サや制御装置をそのまま使用することができる。またラ
ミネートロールも従来のものをそのまま利用することが
でき、熱取りロールなどの追加的な構成要素をほとんど
必要としない。すなわち前記部分的に当接させる最終加
熱ロールは、その表面形状を工夫して当接部と非当接部
とを設けておけばよい。本発明の装置では、最終加熱ロ
ールのシェル表面に所定のパターンで凹部を形成するこ
とによりそのような非当接部を実現している。そのよう
な凹部は基板に当接せず、他の平滑な円筒面(突出して
いる部分)が当接部となる。したがって加熱ロールを均
一に加熱させる場合でも、基板に対し、所定のパターン
で分布する加熱する部位と加熱しない部位とを、プリン
トする要領で簡単に設けることができる。
【0013】ラミネート板が多数の缶を製造する素材で
ある場合は、前記凹加工の形状および配列位置を、その
缶の缶底部の形状およびブランキングパターンに対応さ
せる。その場合は製缶時の加工の程度が高い側壁部な
ど、缶底部を除く部分の結晶配向度が低くなるので、基
板と樹脂フィルムの密着性が高くなり、加工時にデラミ
ネーションを生じにくい。そして樹脂フィルムが基板と
共に伸ばされるのに伴って、延伸加工を受ける場合と同
じように、結晶配向度が高くなっていく。逆に加工の程
度が低く、加工時に結晶配向度の向上が見込めない缶底
部は金属板に当接しても温度が上昇しないので、結晶配
向度が高いまま、基板との接着が可能な温度に維持され
ている。なおこの部位は加工の程度が低いので、デラミ
ネーションが生ずるおそれがもともと少ない。
【0014】このように本発明の製造法によれば、加工
の程度が高い側壁部などは結晶配向度が低く、かつ加工
の程度が低い缶底部では結晶配向度が高いラミネート板
を容易にうることができる。さらにえられたラミネート
板で製造した缶では樹脂フィルムの全体が結晶配向度が
高いので、耐デンティング性が高い。
【0015】
【実施例】つぎに図面を参照しながら本発明のラミネー
ト板の製造方法、製造装置およびそれに用いる加熱ロー
ルを説明する。図1は本発明の製造装置の一実施例を示
す概略正面図、図2は本発明の最終加熱ロールの一実施
例を示す一部省略正面図、図3は図2の最終加熱ロール
のシェル表面の展開図、図4は図2の最終加熱ロールの
要部拡大断面図、図5は本発明の製造法で製造されたラ
ミネート板の一例を模式的に示す平面図、図6は図5の
ラミネート板の要部拡大断面図、図7は本発明にかかわ
るマーキング装置の一例を示す概略斜視図、図8は本発
明にかかわる結晶配向度検査方法の一例を示す概略平面
図、図9は図5のラミネート板から製造した缶容器の一
例を示す断面図である。
【0016】図1は帯状の金属薄板からなる基板1の両
面に結晶配向性熱可塑性樹脂フィルム(以下、樹脂フィ
ルムという)2、2をラミネートする装置Aを示してお
り、基板1を接着可能温度まで加熱するための前段の加
熱ロール群4,4,・・・が配設されている。さらにそ
の下工程に、前記基板1を結晶配向度を低下させる温度
まで加熱するための最終加熱ロール5が配置されてい
る。その最終加熱ロール5のシェル表面には、後述する
凹部6が形成されている。最終加熱ロール5の直後に
は、一対のラミネートロール7、7が設けられている。
すなわち基板1は加熱ロール群4,4・・・に1/2周
程度の範囲で巻かれて加熱され、さらに最終加熱ロール
5から部分的に熱を受ける。そして下降する時にラミネ
ートロール7、7の位置で両側から供給される樹脂フィ
ルム2、2を圧着され、両面が樹脂フィルム2、2で覆
われたラミネート板8が得られる(図6参照)。さらに
そのラミネート板8はクエンチ浴9に通されクエンチ処
理される。
【0017】なお基板1または樹脂フィルム2の一方に
はあらかじめ接着剤を塗布しておき、加熱ロール群4,
4・・・や最終加熱ロール5で加熱した後、ラミネート
ロール7、7で圧着して両者を接着させるようにしてい
る。なお本実施例では両面に樹脂フィルム2を接着させ
ているが、基板1の片面のみに樹脂フィルム2をラミネ
ートさせるものであってもよい。図1における符号10
は樹脂フィルムを最終加熱ロール5に充分に当接させる
ためのテンションロールであり、11はラミネートロー
ル用のバックアップロール、12はマーキング装置であ
る。
【0018】前記最終加熱ロール5は図2に示すよう
に、中空円筒状のローラーシェル13と、その両端に同
心状に設けられるジャーナル部14、14とからなり、
それぞれのジャーナル部14、14の端部にベアリング
ケース15が設けられている。そしてローラーシェル1
3の表面(基板1と当接する部分)に、図3に示す千鳥
状の配列パターンで円形の凹部6が形成されている。こ
の千鳥状の配列パターンは製造しようとする缶容器のブ
ランク取りの配列パターンに一致しており、最終加熱ロ
ール5の円周方向(図3の上下方向)のピッチPはブラ
ンク(図5の16)の直径よりいくらか大きく、それぞ
れ60°の斜め方向に同じピッチPで順次並んでいる。
そして凹部6の平面形状および大きさは、製造しようと
している缶容器の缶底の形状(この場合は円形)および
大きさとほぼ一致させている(図9参照)。
【0019】前記凹部6は図4に示すようにきわめて浅
いものでよく、たとえば直径300mm程度のローラーシ
ェル13であれば、深さdは1mm程度である。最終加熱
ロール5と当接する相手である金属製の基板1は、ある
程度の剛性を有しているので最終加熱ロール5にいくら
か巻かれて円筒状に曲がることにより、この程度の深さ
でも凹部6の底部と基板1とはほとんど接触しない。ま
た仮に接触したとしても、その凹部6の範囲では強い力
で押しつけられないので、伝導による熱伝達はほとんど
ない。このように凹部6の深さはわずかでよいので、前
記ローラーシェル13の厚さTは従来の誘電加熱ロール
の場合と同じでよく、その他のジャーナル部14やベア
リングケース15もほぼ従来のものを使用しうる。すな
わち従来の加熱ロールに簡単な追加工を行なうだけで簡
単に改造しうる。
【0020】ローラーシェル13の内部には従来の誘電
加熱ロールの場合と同じ誘電加熱用のコイル17が挿入
されており、温度制御用のサーモカップルなどからなる
検出器18がローラーシェル13の内面に取りつけられ
ている。さらに一方のジャーナル部14の端部には、回
転する最終加熱ロール5に電源リード線19を接続する
ためのロータリコネクタ20が設けられている。なお符
号21は電源リード線19の過熱監視用のセンサであ
る。他方のジャーナル部14の端部には、駆動軸と連結
するための連結軸22が設けられている。電源リード線
19および検出器18のリード線は図示しない制御盤ま
で導かれ、最終加熱ロール5の温度が設定温度より上昇
すると電源リード線19を流れる電流値あるいは周波数
を下げ、下降すると上げる比例制御などにより、常時最
終加熱ロール5の表面温度を一定に維持する。なおこれ
らの制御機構は従来公知のものをそのまま使用すること
ができる。
【0021】上記のごとく構成される最終加熱ロール5
を組み込んだ図1のラミネート装置Aにおいて、加熱ロ
ール群4,4・・・によって接着可能温度まで加熱され
た基板1を、所定の温度に維持した最終加熱ロール5に
対してある程度のテンションをかけて当接させると、ロ
ーラーシェル13の凹部6以外の表面部分23(図4参
照)に基板1が当接し、その当接部、すなわち図5の左
上においてハッチングした範囲24が所定の温度までさ
らに昇温し、凹部6に相当する当接しない部分、すなわ
ちハッチングしていない実線円形の非当接部25はほと
んど昇温しないか、昇温したとしても当接した範囲(非
当接部)24より低温である。そのためラミネートロー
ル7、7で押しつけらて図6に示すように基板1の両面
に接合された樹脂フィルム2は、図5の右下における当
接部24に接着された範囲26では結晶配向度が低下
し、それ以外の非当接部25に接着された円形の範囲2
7では結晶配向度が高いまま維持されている。なお最終
加熱ロール5の表面温度は樹脂フィルムの材質や厚さに
より変わるが、通常、230〜260℃程度の結晶配向
度を低下させうる温度に設定し、加熱ロール群4,4,
・・・ではそれより10〜15℃程度低い接着可能な温
度まで加熱する。
【0022】上記のごとく本発明の製造方法によれば、
従来の装置をほとんどそのまま利用して、結晶配向度が
所望の平面状パターンで変化しているラミネート板8を
簡単に製造することができる。なお樹脂フィルム2のう
ち、基板1の昇温部24に接着された範囲26において
は、従来の製造装置で成型したラミネート板と同じく基
板1と接触した面(図6の2a)では結晶配向度が大き
く減少し、空気に触れている自由面(図6の2b)では
結晶配向度がそれほど低下しない。そのため接触した面
2aから外側に向かって結晶配向度が次第に高くなって
おり、いわゆる厚さ方向に結晶配向度の勾配が生じてい
る。
【0023】本発明の製造方法に用いられる金属薄板の
基板は従来のラミネート板の製造方法で使用されている
ものをいずれも使用することができ、たとえばTFSな
どの表面処理鋼板やアルミニウムなどの軽金属製の薄板
などが採用される。基板の厚さは、製造しようとする缶
容器の用途、あるいはサイズによっても相違するが、一
般に0.10〜0.50mm程度であり、表面処理鋼板
の場合は、0.15〜0.40mm程度である。前記樹
脂フィルム2は結晶配向性熱可塑性樹脂からなり、製缶
時の結晶配向度が高いものが好ましい。したがって押出
機でフィルム成形したままのものではなく、フィルム成
形後、縦横二方向にいわゆる二軸延伸して結晶配向度を
高めたものが採用される。樹脂フィルムの材質はとくに
制限されず、従来使用されているものを用いることがで
き、ポリエステル樹脂などが好適である。樹脂フィルム
の厚さは製缶時に5〜20μm程度となるのが好まし
い。樹脂フィルムと金属薄板とを接着する接着剤は、従
来使用されているものでよく、たとえばエポキシ樹脂と
エポキシ樹脂に対する硬化剤、たとえばフェノール樹脂
などとの組み合わせからなるものが好適に採用される。
【0024】ラミネートに際しては、基板あるいは樹脂
フィルムの一方または双方に接着剤層を設け、乾燥ない
し部分キュアした後、両者を図1に示す装置Aのラミネ
ートロール7、7間で圧着一体化する。基板の両面に樹
脂フィルムを設ける場合、缶容器の外面用の樹脂フィル
ムには金属板表面を隠蔽する目的で、フィラー(顔料)
を含有させることもできる。
【0025】前述のごとく製造される帯板状のラミネー
ト板8は、図1において基板1が最終加熱ロール5を通
るときに結晶配向度の高い部分と低い部分との位置が定
まるが、そのとき適切なマーキング装置12で基板1な
いしラミネート板8にマーキングしておき、ラミネート
板8をブランキングするときにそのマークRに合わせて
順次金型内に送るようにする。それにより図5に示す想
像線16のように、結晶配向度が高い部分26と正確に
対応するようにブランキングすることができる。
【0026】図7はそのようなマーキング装置12の一
例を示している。図7において、29,29は一対のマ
ーキングロールであり、マーキングロール29の端部近
辺にはラミネートされた樹脂フィルム2にマークを入れ
るためのマーカー30が設けられている。マーキングロ
ール29はシャフト31やギヤ群32などの伝導装置3
3により、最終加熱ロール5と同調回転するように連結
されている。ギヤ群32の増速比は、最終加熱ロール5
に設けられる凹部6の個数に応じて、たとえば5〜10
倍程度とする。なお符号Mは最終加熱ロール5を基板1
の速度に応じて駆動するためのモータである。なおマー
クRはブランク取りしたときにスクラップになる部分に
入れるのが好ましく、樹脂フィルム2の幅端部両側に交
互に入れるようにしてもよい。
【0027】前記マーカー30としては樹脂フィルム2
の表面を局部的に加熱して熱収縮などを生じさせるも
の、インクジェットマーカーなど、非接触でマークをつ
けるもの、磁気ヘッドで基板1に磁気的なマークを入れ
るものなど、後の工程で機械的に読み取ることができる
ものであればいずれも採用しうる。なお磁気ヘッドの場
合は、基板1が磁気材料の場合しか使用できないが、ラ
ミネートロールに通す前の基板1に直接マーキングする
ことができる。また樹脂フィルム2が透明であれば、イ
ンクッジェット式のマーカーにおいても基板1に直接マ
ーキングすることができる。それらの場合、たとえば最
終加熱ロールによる加熱と同時にマーキングすることが
できる。マーキングおよびその読み取りの精度はそれぞ
れ1mm以内程度とするのが好ましい。
【0028】図8は樹脂フィルム2の結晶配向度が所定
の状態で分布しているかどうかを検査する場合の方法を
示している。すなわち矢印方向に流れるラミネート板8
に対し、結晶配向度が高い円形の範囲27を通らない第
1センサ35と、円形の範囲27のできるだけ中心付近
を通るように設定した第2センサ36とを用い、それぞ
れ平均の結晶配向度を検出させるものである。このもの
は第1センサ35では結晶配向度が設定値まで充分に低
下しているかどうかを検出し、また第2センサ36で
は、第1センサ35の検出値と比較しながら、円形の範
囲27の結晶配向度が充分に高いかどうかを検査する。
そして両者で検出した結晶配向度に基づき不充分であれ
ば、前段の加熱ロール群4,4,・・・および最終加熱
ロール5の温度を適正に調節する。この調節は自動的に
行なうのが好ましい。なお前記マーキング装置12を用
いずに、この結晶配向度の検出用センサ35、36によ
り結晶配向度が高い円形の部分27の位置を検出し、そ
れに合わせてブランキングするようにしてもよい。
【0029】前記帯板状のラミネート板8は通常はその
帯板状のままカッピングマシンに通し、ブランキング
(打ち抜き)とドローイング(絞り成形)とを同時に行
い、所定の径および高さを有する円筒カップ状に成形さ
れる。えられた円筒カップは、ついで複数回の再絞り、
アイアニング(しごき加工)、ネッキング、フランジン
グ、底部のドーミングなどの加工を逐次的に行なって、
図9に示す2ピース缶の本体、すなわちラミネート缶3
7にされる。
【0029】えられたラミネート缶37の側壁部38は
図5の円形のブランク16の外側の円環部26aに対応
しており、その部分ではブランク16にされた時点では
結晶配向度が低く、そのため基板と樹脂フィルムとの密
着性が高い。したがって加工時にデラミネーションが生
じにくい。そして加工が進むにつれて、基板1と共に引
伸ばされ、結晶配向度がある程度高くなっていく。逆に
缶底部39は中央の円形の部分27に対応しており、加
工の度合いが低いにも関わらず、もともと結晶配向度が
高い。結局、製缶後は全体として結晶配向度が高い樹脂
フィルムで被覆され、かつデラミネーション(剥離)が
ないラミネート缶がえられる。なお缶底部39の結晶配
向度は側壁部38よりさらに高く、そのため耐デンティ
ング性が一層高い。缶底部39は運搬時にぶつかったり
し易いので、そのような高い耐デンティング性により、
缶内壁にクラックが生ずることが一層防止される。この
ようにして本発明の製造法で製造されたラミネート板を
素材とするラミネート缶37は、デラミネーションがな
く、耐デンティング性も高いので、耐久性および耐食性
が高い利点がある。
【0030】
【発明の効果】本発明のラミネート板の製造方法によれ
ば、従来の製造装置の一部を変更した装置により、樹脂
フィルムに平面方向で結晶配向度に変化をもたせたラミ
ネート板を容易に製造することができる。本発明の装置
は前記本発明の製造法を簡単に実施することができ。し
かも従来の装置における加熱ロールに一部の追加工をす
るだけで最終加熱ロールに改造することができる。本発
明の最終加熱ロールを用いれば、前記本発明の製造方法
を容易に実施することができ、しかも従来の加熱ロール
に簡単な追加工を行なうだけで製造しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の一実施例を示す概略正面図
である。
【図2】本発明の加熱ロールの一実施例を示す一部省略
正面図である。
【図3】図2の加熱ロールのシェル表面の展開図であ
る。
【図4】図2の加熱ロールの要部拡大断面図である。
【図5】本発明の製造方法で製造されたラミネート板の
一例を模式的に示す平面図である。
【図6】図5のラミネート板の層構成を模式的に示す要
部拡大断面図である。
【図7】本発明にかかわるマーキング装置の一例を示す
概略斜視図である。
【図8】本発明にかかわる結晶配向度検査方法の一例を
示す概略平面図である。
【図9】図5のラミネート板から製造した缶容器の一例
を示す断面図である。
【符号の説明】
A ラミネート装置 1 基板 2 樹脂フィルム 5 最終加熱ロール 6 凹部 7 ラミネートロール 8 ラミネート板 13 ローラーシェル

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属薄板製の基板を、順に高い温度にな
    っていくように温度設定された複数本の加熱ロールに通
    して熱可塑性樹脂フィルムの接着に要する温度以上まで
    加熱し、ついで基板の少なくとも片面に熱可塑性樹脂フ
    ィルムを重ねながら一対のラミネートロールに通して両
    者を圧着するラミネート板の製造方法であって、前記熱
    可塑性樹脂フィルムとして結晶配向性の樹脂フィルムを
    採用し、前記基板を、前段の加熱ロールで樹脂フィルム
    の接着に必要な温度以上でかつ結晶配向度を低下させる
    温度未満の所定の温度まで加熱し、ついでもっとも高い
    表面温度を有する最終加熱ロールに所定のパターンで当
    接させることにより、前記基板を部分的に結晶配向度を
    低下させうる温度まで加熱するラミネート板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 円筒状のシェル表面を有する前段の加熱
    ロール群と、シェル表面に所定のパターンで浅い凹部が
    形成された最終加熱ロールと、その最終加熱ロールから
    出てくる金属薄板製の基板に樹脂フィルムをラミネート
    するための一対のラミネートロールとからなる、請求項
    1記載の製造法に用いるラミネート板の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記最終加熱ロールの凹部の形状および
    配列位置が、前記ラミネート板から製造しようとしてい
    る缶容器の底部に相当する形状およびブランク取りのパ
    ターンに合わせられている請求項2記載の装置。
  4. 【請求項4】 均一加熱を目的とする加熱ロールであっ
    て、シェル表面に所定のパターンで浅い凹部が形成され
    ている請求項1の製造法に用いる最終加熱ロール。
  5. 【請求項5】 前記凹部の形状および配列位置が、前記
    ラミネート板により製造しようとしている缶容器の底部
    に相当する形状およびブランク取りのパターンに合わせ
    られている請求項4記載の最終加熱ロール。
  6. 【請求項6】 電磁誘導による発熱手段および温度を一
    定に維持する温度制御手段を備えた請求項4または5記
    載の最終加熱ロール。
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