JP4767922B2 - 打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板及びそれを製造するためのラミネートロール - Google Patents

打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板及びそれを製造するためのラミネートロール Download PDF

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Description

本発明は、飲料缶や食缶などの容器用材料として用いられる打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板及びそれを製造するためのラミネートロールに関するものである。
飲料缶や食缶などを打ち抜き絞り製缶するための容器用材料としては、従来から錫めっき系鋼板が広く用いられていた。しかし錫めっき系鋼板は打ち抜き絞り製缶の加工性を高めるために潤滑油を用いる必要があり、製缶後に潤滑油の洗浄工程が必要であった。そこで打ち抜き絞り製缶の加工性に優れ、潤滑油を必要としない容器用材料として、鋼板の表面に樹脂フィルムをラミネートした容器用ラミネート鋼板が開発されている。
従来の電気錫めっき系鋼板はひとつのアイアニング−ダイにて高いリダクション率で加工されていたのに対し、飲料缶や食缶などの容器用のラミネート鋼板は、複数のダイを用い、それぞれのダイは小さなリダクション率で加工されている。これによって、大きな加工性を発揮させることができる。しかもラミネトートされた樹脂フィルムが潤滑剤の役割を果たすので、潤滑油もその洗浄工程も不要となる利点がある。
このようなラミネート鋼板の代表例が、特許文献1に開示されている。ここには鋼板の表面に結晶性飽和ポリエステル樹脂をラミネートした後に急冷することにより、下層を無定形ポリエステル樹脂層とした2層構造のラミネート鋼板の製造方法が記載されており、特に缶用材料として、美観、耐食性、耐熱性、接着性などの多くの点において優れていると記載されている。
特公昭60−47103号公報
しかし最近、容器用ラミネート鋼板に要求される加工性は更に高まり、フィルム特性を変更したりして高加工性の要求に対応してきたが、以前のような連続打ち抜き絞り製缶数を維持できなくなり、またフィルム表面品位も低下してきた。この原因は、高い加工性要求によりダイとフィルム表面との摩擦が大きくなったことで、製缶時に表面のラミネートフィルムが微小に削り取られて発生する異物の量が増加し、製缶の潤滑性が低下してフィルムが焼き付いたり破れたりする頻度が増加したためである。現状の対応策としては、生産を定期的にストップして打ち抜き絞り製缶加工用のダイやパンチに付着した異物を除去するしかなく、連続製缶数の回復は困難な状況にあった。
従って本発明の目的は、上記のような課題を解決し、高い加工性が要求される場合にも製缶工程における潤滑性が低下せず、現状よりも連続製缶数を延ばすことができる打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板と、この容器用ラミネート鋼板を製造するためのラミネートロールを提供することである。
本発明者等は上記の課題を解撤するために、ラミネートフィルムやラミネート方法について鋭意研究を行った結果、ラミネート鋼板のフィルム表面に凸部を形成し、その凸部の下に微小な空間を形成することによって、リダクション率が高く、しごき加工の厳しい打ち抜き絞り製缶加工においても、フィルムが破れず、かつ連続製缶数を改善できることを見出した。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであって、請求項1に記載の打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板は、鋼板の表面に樹脂フィルムをラミネートした容器用ラミネート鋼板において、フィルム表面に高さが2〜10μm、円相当直径dが0.010〜0.10mmの凸部が15個/mm以上形成されており、円相当直径d(mm)と1mm当たりの上記凸部の個数nとが、1.18×10−3≦(d/2)×π×n≦0.4の(A)式を満たし、かつ上記凸部の直下の樹脂フィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間が存在することを特徴とするものである。
また請求項1に記載の容器用ラミネート鋼板は、前記凸部の直下の樹脂フィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間の円相当直径が、前記凸部の円相当直径d(mm)の1/7〜1/2であることが好ましい。
また請求項3に記載の容器用ラミネート鋼板製造用のラミネートロールは、ロール表面に、深さ4〜30μm、円相当直径Dが0.0014〜0.05mmの凹部が15個/mm以上形成されており、円相当直径D(mm)と1mm当たりの上記凹部の個数Nとが、1.68×10−4≦(D/2)×π×N≦0.2の(B)式を満たすことを特徴とするものである。
なお請求項4に記載のように、ロール表面の凹部が、レーザー加工、薬品による表面粗粒化加工、エッチング加工の何れかにより形成されたものであることが好ましい。
また請求項5のように、少なくとも鋼鈑とフィルムを圧着させるロール表面が強度維持材を混入した耐熱ゴムであって、前記強度維持材は粒径が0.01〜0.05mmの金属酸化物、SUS粉、セラミック粉の1種または2種以上からなり、前記耐熱ゴムからなるロール表面を研磨加工して耐熱ゴム表面の強度維持材を脱落させることで、ロール表面に、深さ4〜30μm、円相当直径Dが0.0014〜0.05mmの凹部を15個/mm以上形成させ、かつ円相当直径D(mm)と1mm当たりの上記凹部の個数Nとが前記(B)式を満たすことを特徴とするラミネートロールでも、請求項1のようなラミネート鋼板を製造できる。
請求項1に記載の打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板は、フィルム表面に特定のサイズと個数の凸部を形成するとともに、凸部の直下の樹脂フィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間を形成したものであり、これらの凸部と空気を巻き込んだ空間とが加工性を向上させ、フィルムの破損を防止する。これにより連続打ち抜き絞り製缶個数を大幅に改善することができ、高加工性の要求にも従来以上の生産性で対応することが可能となる。
さらに請求項2のように、凸部の下の空気又は不活性ガスを巻き込んだ空間の円相当直径は、前記凸部の円相当直径d(mm)の1/7〜1/2であることが好ましい。
また上記の容器用ラミネート鋼板は、鋼板の表面に樹脂フィルムをラミネートロールによって接着させる方法で製造されるが、請求項3に記載のロール表面に特定のサイズと個数の凹部を形成したラミネートロールを用いれば、従来設備のままで請求項1の容器用ラミネート鋼板を製造することができる。
また請求項3のラミネートロールのロール表面に凹部を形成する際に、請求項4のようにレーザー加工、薬品による表面粗粒化加工、エッチング加工の何れかの加工手段を採用すれば、凹部のサイズや個数を適正な範囲に制御することができる。
また上記の容器用ラミネート鋼板は、請求項5に記載のラミネートロールを用いても、従来設備のままで請求項1の容器用ラミネート鋼板を製造することができる。
以下に本願の各発明を詳細に説明する。
本発明者等は、打ち抜き絞り加工における連続製缶数が多いロットの容器用ラミネート鋼板と、連続製缶数が少ないロットの容器用ラミネート鋼板とについて、そのフィルム性状と製造条件の差異を鋭意検討した。
その結果、連続製缶数が少ないロットの容器用ラミネート鋼板のフィルム表面は図1に示すように微小な凸部1が少ないが、連続製缶数が多いロットの容器用ラミネート鋼板のフィルム表面には、図2に示すように微小な凸部1が多数形成されていること、さらに凸部1の直下のフィルムと鋼板との間には、空気または不活性ガスを巻き込んだ空間2が存在することを突き止めた。そしてラミネート鋼板製造用のラミネートロールの表面状態を操作することにより、凸部1のサイズと分布密度を様々に変化させたラミネート鋼板を作成して実験を繰り返した結果、フィルムの凸部1が適当な高さとサイズを備え、かつその分布密度が特定の範囲にあるときに、フィルム起因の異物によるフィルム破れが少なくなり、打ち抜き絞り加工における連続製缶数を増加できることを究明した。
図3は、このような凸部1と空気または不活性ガスを巻き込んだ空間2とを持つ容器用ラミネート鋼板を模式的に示す断面図である。このような構造を有する容器用ラミネート鋼板は、フィルム11の表面に形成された凸部1が連続打ち抜き絞り製缶時におけるダイとの摩擦を減少させ、しかもその直下の空間2が凸部1の弾性変形を助けるために、製缶中にフィルムが微小に削り取られて発生する異物が発生しにくくなり、それによってフィルムも破れにくくなり、打ち抜き絞り加工における連続製缶数を増加できるのではないかと推測される。
次に、凸部1のサイズと分布密度が打ち抜き絞り製缶作業性に及ぼす影響を確認するために、凸部1の高さが1〜15μm、凸部1の円相当直径dが5〜100μmとなるように様々なラミネート鋼板を製造し、通常のラミネート鋼板の連続製缶数と比較した。その結果を図4のグラフに示す。使用した樹脂フィルムは厚さが20μmのPETフィルムである。
ここでフィルム表面の凸部高さhや円相当直径dの測定方法は、500倍に拡大した視野1mm×1mmの範囲で図1のようなフィルム表面の凸部1をカウントおよび観察し、フィルム上面からみて面積を円相当としたときの直径を凸部1の円相当直径dとし、フィルムの凸部1と凸部以外の部分の高さの差を凸部1の高さhとした。尚、フィルム表面の凸部高さhや円相当直径dの測定方法として、3D粗度計を用いて測定することも好ましい。その場合測定範囲は1mm×1mm、倍率10,000倍、測定ピッチ2μmの条件が好ましい。
連続製缶数の比較は通常ラミネート鋼板の連続製缶数を1としてその何倍であるかという連続製缶能として比較し、連続製缶能1.2以上を改善あり/良好とした。尚、図4における凸部の分布は、1mm当たり20〜40個である。また、通常のラミネート鋼板の凸部の高さは1μm、直径は25μm、1mm当たりの個数は8個であるが、空気または不活性ガスを巻き込んだ空間2は観察できなかった。
図4に示されるように、凸部1の円相当直径dが5μm未満の場合には、凸部高さhの高低にかかわらず、連続打ち抜き絞り製缶数は通常ラミネート鋼板と同等以下となる。この場合には凸部1の直下に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間2は観察されない。また凸部1の円相当直径dが100μmを超えてもやはり、連続打ち抜き絞り製缶数は通常ラミネート鋼板と同等以下となる。このときにはフィルム破れが発生するが、これは凸部1の直下に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間2の比率が大きく、フィルムの密着性が低下したためと推定される。これに対して、凸部1の円相当直径dが5〜100μmの範囲では、通常ラミネート鋼板よりも優れた結果が得られる。この場合には空気を巻き込んだ空間2の形態は凸部1とほぼ相似形であり、その大きさは凸部1の円相当直径dの1/7〜1/2程度である。
ここで、通常のラミネート鋼板の連続製缶能に対し1.2倍以上を合格とすると、ラミネートフィルム表面の凸部1の円相当直径dが10〜100μmであり、かつ凸部高さhが2〜10μmの場合に合格ラインを越え、特に円相当直径dが20〜100μm,凸部高さhが2〜10μmの範囲では、通常のラミネート鋼板の連続製缶能に対し約1.4倍程度の連続製缶能を得ることができた。
しかし上記したとおり、凸部1の円相当直径dが10〜100μmであっても、凸部高さhが1μmでは通常のラミネート鋼板の連続製缶能より悪くなり、凸部高さhが15μmの場合にはフィルムシワが発生したり、フィルム破れが発生したりした。
この図4のテストに用いた通常ラミネート鋼板およびテスト材について、凸部の直下のフィルムと鋼板の間の空気または不活性ガスの巻きこみ状況を調査した。調査方法はフィルム直下の鋼板を硫酸にて溶解し、貼り付けられたフィルムのみを採取し、フィルムの鋼板との接触面を500倍に拡大し、視野1mm×1mmの範囲で光学顕微鏡で目視調査する方法とした。
その結果、図5(フィルム表面)、図6(フィルム裏面)に示すように、ラミネートフィルム表面の凸部1の高さhが2〜10μmかつ凸部直径が10〜100μmの凸部の直下には、その凸部と概ね相似形で、円相当直径dが凸部の1/7〜1/2の凹部、即ち円相当直径が1.4〜50μmの凹部が形成されており、凸部直下には微小な空気または不活性ガスの巻きこんだ空間2が確認できた。また、深さは1〜15μm程度であった。
これが凸部高さhが2μm未満の場合には前記観察条件では前記の凹部が殆ど観察できず、凸部高さhが10μm超の場合では、空間はあるものの、一部にフィルムが薄くなっていたり、シワや破れが発生していたりして品質上問題があった。また凸部直径が10μm未満の場合、やはり前記の凹部が殆ど観察できず、100μm超の場合はその周囲も含めフィルムが鋼板に圧着されておらず、フィルムが伸びてシワになったり破れたりしていた。このように本発明では、フィルム表面の凸部1のみならず、凸部の下の微小な空気または不活性ガスの空間2も打ち抜き絞り加工性に大きな影響を及ぼしていると考えられる。
次に、ラミネートフィルム表面の凸部1の分布状況が連続製缶能に与える影響を調査した。図7に凸部の仕様が高さ5μm、直径10μm、22μm、45μmのものについて、その分布状況と連続製缶数の関係の調査結果を示す。凸部の分布が15個/mm未満ではその数が少なすぎて潤滑性を発揮できないためか通常のラミネート鋼板の連続製缶能の1.2倍を達成できず、直径22μmのものは1000個/mm超で、直径45μmのものは250個/mmを超えるとはフィルムと鋼板の密着性が確保できないのか連続製缶能が通常のラミネート鋼板以下でかつフィルムにシワも発生した。
しかし、凸部1の分布密度が同一であっても、円相当直径dが小さい場合と大きい場合とでは当然に連続打ち抜き絞り製缶能改善の効果が異なると考えられる。そこで、円相当直径dから計算される凸部1の面積と単位面積当たりの個数nとの積を(d/2)×π×nとして求め、図4の結果から、下記(A)式を満たすことにより連続打ち抜き絞り製缶能を改善しつつ、フィルムの品質、密着性も維持することができることを確認した。
1.18×10−3≦(d/2)×π×n≦0.4・・・・・・・・(A)式
ここでdは凸部の円相当直径(mm)、nは本件の凸部円相当直径および凸部高さを満足する凸部の1mm当りの個数である。(A)式の下限は凸部の円相当直径が10μmのものが15個/mmの場合の(A)の値である。上限はフィルムにシワや破れが発生しない限界の凸部面積率で、円相当直径が22μmと45μmで連続打ち抜き絞り製缶能が1.2となるところの(A)の値がだいたい0.40であるため、これを上限とした。
0.40とは即ち、凸部下の空間が凸部円相当直径の1/7〜1/2であるから、凸部直下の微小空間による5.7〜20%フィルムのトータル非密着面積が存在するということで、これを超えるとフィルムにシワや破れが発生しやすくなるものと思われる。尚、フィルムにシワや破れが発生する限界のトータル非密着面積が5.7〜20%と範囲が広いのは、凸部の円相当直径の分布や凸部の単位面積あたりの数にもよるものと思われる。
尚、ラミネート鋼板に用いるフィルムは通常多く用いられているPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムで構わないが、製缶性や用途、要求性能に応じてフィルム材質を変更したり、他の物質を添加したり混入したりしても構わない。また、フィルムの色が透明、白、カラー各種色付けしてあっても構わない。またフィルム厚みは、通常容器用ラミネート鋼板に使用されている10〜40μm程度であれば本件効果を発揮する。
さらにフィルム表面の凸部高さが2〜10μmかつ凸部円換算直径が10〜100μm、凸部の分布が15〜1000個/mmであるフィルム表面に、図1でも見られるように凸部高さや凸部円換算直径が前記範囲の下限未満の凸部が混入していても連続製缶能やフィルム品質には影響がなかった。これが前記範囲の上限超のものであるとフィルムにしわが入ったり破れが発生するが、小さい凸部の混入は構わない。
以下に、上記した容器用ラミネート鋼板製造用のラミネートロールについて説明する。
図8に示すように、本発明の容器用ラミネート鋼板は従来と同様に加熱された鋼板12の表面に樹脂性のフィルム11をラミネートロール13によって圧着し、接着させる方法で製造される。前記のような所定の凸部1を備え、かつその凸部1の下に空気を巻き込んだ空間2を備えたラミネート鋼板を製造するためには、図8のようにフィルム11を鋼板12に圧着させるラミネートロール13に凹部3を形成すればよい。
但しラミネートロール13は通常フッ素ゴムなどの耐熱ゴム製で、フィルム11を鋼板12に接着するために、図8のように2本のラミネートロール13で挟むように圧力をかけて圧着する。ここで発明者らは、フィルム11の凸部1の円相当直径や高さと、凸部1を形成させるラミネートロール13の凹部3の円相当直径や深さに特定の関係があることをつきとめた。その結果を図9、図10に示す。
図9はラミネートロール13の凹部3の円相当直径とフィルム11の凸部1の円相当直径との関係を示すグラフである。フィルム凸部円換算直径が10〜100μmのものの中で、連続打ち抜き絞り製缶能が1.2以上となったもののラミネートロール凹部を調査した結果、フィルム凸部円換算直径として0.010〜0.10mmを得るためには、ラミネートロールの凹部円換算直径が0.0014〜0.05mmの範囲であればよく、見方を変えればラミネートロール凹部円換算直径がフィルム凸部円換算直径の1/7〜1/2の場合にフィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間を持つフィルム凸部が得られることが判明した。より好ましくはラミネートロール凹部円換算直径がフィルム凸部円換算直径の1/5〜1/3である。
また図10はラミネートロール13の凹部3の深さと容器用ラミネート鋼板のフィルム11の表面の凸部1の高さとの関係を示すグラフである。フィルム凸部高さが2〜10μmのものの中で、連続打ち抜き絞り製缶能が1.2以上となったもののラミネートロール凹部を調査した結果、フィルムと粒高さとして2〜10μmを得るためには、ラミネートロールの凹部深さが4〜30μmの範囲であればよく、見方を変えればラミネートロール凹部深さがフィルム凸部円高さの2〜3倍の場合にフィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間を持つフィルム凸部が得られることが判明した。これらのグラフに示されるように、凹部深さが4〜30μmと凸部高さの2〜3倍深く、凹部円相当直径が1.4〜50μm程度と凸部円相当直径の1/7〜1/2と小さければ、フィルム表面に高さ2〜10μm、直径10〜100μmの凸部1を形成することができる。
上記のような凹部3は、ラミネート鋼板のフィルム表面の凸部の(A)式と同様な、下記(B)式を満足するものとする。
1.68×10−4≦(D/2)×π×N≦0.2・・・・・・・・(B)式
ここでDはロール表面の凹部3の円相当直径(mm)、Nはロール表面の凹部円相当直径および凹部深さを満足する凹部3の1mm当りの個数である。(B)式の下限は(A)式下限の1/7、上限は(A)式上限の1/2である。上下限は、厳密に言えばラミネートする際のロールの変形分を考慮すべきであるが、微視的な部分でのごくわずかな差異であるためこれを無視した。
尚、ラミネートロールの凹部深さがフィルム表面の凸部高さより高く、凹部円相当直径が凸部円相当直径より小さい理由は、推定ではあるが図11のようであると考えられる。凹部のあるラミネートロールと、ラミネートするために加熱された鋼板にフィルムが挟まれラミネートする際、ラミネートロール凹部でフィルムと鋼板の間に空気または不活性ガスが取り込まれ密閉される。密閉された不活性ガスは加熱されている鋼板の熱を受け、ラミネートロール凹部奥に向けて瞬時に膨張しフィルムを膨らませる。ラミネートロールがフィルムから離れた直後から鋼板およびフィルムの冷却が始まり、密閉された空気または不活性ガスも収縮する。これにより膨らんだフィルムもしぼみ、加えてラミネートロール後のパスラインロールにより圧力を受けつぶされる。以上のような状況により、フィルム凸部の高さはラミネートロール凹部の深さより低くなり、凸部円相当直径は凹部円相当直径より大きくなるものと推定され、ラミネートロールの凹部深さがフィルム表面の凸部高さより高く、凹部円相当直径が凸部円相当直径より小さく凸部下の空間と同程度でなければならないことがわかる。
このような凹部3をつける加工法としては、例えばレーザー加工、薬品による表面粗粒化やエッチングであれば、ラミネートロール表面の凹部3の分布を自在に制御できるので、フィルム表面の凸部分布15〜1000個/mmと同じ分布の加工を施せばよい。尚、ラミネートロール表面の凹部深さや円相当直径Dの測定方法は、ラミネートロール表面を100倍に拡大した視野1mm×1mmの範囲でカウントおよび観察し、ラミネートロール上面からみて面積を円相当した時の直径を凹部3の円相当直径とし、ラミネートロール13の凹部3と凹部以外の部分の高さの差を凹部の深さとした。
尚、凹部3が形成されているラミネートロール13の母材材質は、前述のようにフッ素ゴムのような耐熱ゴムがよく使用されているが、フッ素ゴムに限らず耐熱性があり適度な弾力があれば他のゴムや樹脂製でも構わない。またロール自体は金属等で製造し、ラミネートが行われる表層部のみ適度な厚みの耐熱性のゴムや樹脂を巻いたりコーティングしても構わない。
さらに前記のラミネートロール表面の加工方法以外に、簡便に前記フィルム表面の凸部仕様を得る方法として、以下のようにラミネートロールの強度維持材として通常添加されている金属酸化物、SUS粉、セラミック粉の1種または2種以上の粒径を0.01〜0.05mmの範囲とし、粒径を考慮して強度維持材の混入量や研削量、砥石の番手を調整し、ラミネートロール表面を所定の径や形状に研削する方法がある。この方法ならば通常のラミネートロール製造の際に調整が可能であり、簡便で有効である。耐熱ゴムに混入する強度維持材により所定のラミネートロールが得られる理由は、推定ながら図12のように、耐熱ゴム表層に存在する所定の粒径の強度維持材が、研削により脱落して好ましい形態の凹部を形成するためと思われる。強度維持材の粒径が0.01mm未満では、混入量や検索時の砥石番手を調整しても、粒径が小さ過ぎて必要なラミネートロール凹部形態が得られない。0.05mm超では強度維持材が耐熱ゴム内で凝集した場合に大きな脱落が生じラミネートロール凹部が大きくなり過ぎるため好ましくない。
フッ素ゴム製のラミネートロールにレーザーダル加工にて各種の凹部をつけ、厚さ20μmのPETフィルムをラミネートした結果を表1に示す。通常のラミネート鋼板の連続製缶数を1とした場合の連続製缶能が1.2以上で、かつ製缶後の目視検査でフィルム品質にシワ、破れがないものを合格とした。その結果、本件のラミネートロールの凹部仕様をもつロールにてラミネートされたものは、いずれも本件のフィルム凸部仕様を満足しており、連続製缶能、フィルム品質ともに良好であった。
Figure 0004767922
また、ラミネートロールの耐熱ゴムに混入する強度維持材を調整してラミネートロール表面に凹部を形成させ、厚さ20μmのPETフィルムをラミネートした結果を表2に示す。尚、ラミネートロール表面の観察は、ラミネートロールからゴムサンプルを採取し、倍率200倍で1mm×1mmの視野の凹部を観察した。その時、ラミネートロールの凹部の測定に当っては凹部深さ0.5μm未満、凹部円相当直径0.5μm未満のものは影響が微小と考え、測定から除外した。同様にフィルム凸部の測定についても、凸部高さ0.5μm未満、凸部円相当直径0.5μm未満のものも除外した。
Figure 0004767922
その結果、本件のラミネートロールの凹部仕様をもつロールにてラミネートされたものは、いずれも本件のフィルム凸部仕様を満足し、連続製缶能、フィルム品質ともに良好な結果を示している。
連続製缶数が少ない容器用ラミネート鋼板のフィルム表面の拡大図(顕微鏡写真をスケッチした図)である。 連続製缶数が多い容器用ラミネート鋼板のフィルム表面の拡大図(顕微鏡写真をスケッチした図)である。 本発明の容器用ラミネート鋼板を模式的に示す断面図である。 凸部のサイズと分布密度が打ち抜き絞り製缶作業性に及ぼす影響を示すグラフである。 図4のテストに用いたテスト材のフィルム表面の拡大図(顕微鏡写真をスケッチした図)である。 図4のテストに用いたテスト材のフィルム裏面の拡大図(顕微鏡写真をスケッチした図)である。 凸部の分布状況と連続製缶数の関係の調査結果を示すグラフである。 ラミネート工程を説明する断面図である。 フィルム表面の凸部1の円相当直径とラミネートロールの凹部の円相当直径の関係を示すグラフである。 フィルム表面の凸部高さとラミネートロールの凹部の深さとの関係を示すグラフである。 ラミネートロールの凹部深さがフィルム表面の凸部高さより高く、凹部円相当直径が凸部円相当直径より小さい理由の推定図である。 耐熱ゴム表層に存在する所定の粒径の強度維持材が、研削により脱落して好ましい形態の凹部を形成する理由の推定図である。
符号の説明
1 凸部
2 空間
3 凹部
11 フィルム
12 鋼板
13 ラミネートロール

Claims (5)

  1. 鋼板の表面に樹脂フィルムをラミネートした容器用ラミネート鋼板において、フィルム表面に高さが2〜10μm、円相当直径dが0.010〜0.10mmの凸部が15個/mm以上形成されており、円相当直径d(mm)と1mm当たりの上記凸部の個数nとが下記(A)式を満たし、かつ上記凸部の直下の樹脂フィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間が存在することを特徴とする打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板。
    1.18×10−3≦(d/2)×π×n≦0.4・・・・・・・・(A)式
  2. 前記凸部の直下の樹脂フィルムと鋼板との間に空気または不活性ガスを巻き込んだ空間の円相当直径は、前記凸部の円相当直径d(mm)の1/7〜1/2であることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板。
  3. ロール表面に、深さ4〜30μm、円相当直径Dが0.0014〜0.05mmの凹部が15個/mm以上形成されており、円相当直径D(mm)と1mm当たりの上記凹部の個数Nとが下記(B)式を満たすことを特徴とする打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板製造用のラミネートロール。
    1.68×10−4≦(D/2)×π×N≦0.2・・・・・・・・(B)式
  4. ロール表面の凹部が、レーザー加工、薬品による表面粗粒化加工、エッチング加工の何れかにより形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板製造用のラミネートロール。
  5. 少なくとも鋼鈑とフィルムを圧着させるロール表面が強度維持材を混入した耐熱ゴムであって、前記強度維持材は粒径が0.01〜0.05mmの金属酸化物、SUS粉、セラミック粉の1種または2種以上からなり、前記耐熱ゴムからなるロール表面を研磨加工して耐熱ゴム表面の強度維持材を脱落させることで、ロール表面に、深さ4〜30μm、円相当直径Dが0.0014〜0.05mmの凹部を15個/mm以上形成させ、かつ円相当直径D(mm)と1mm当たりの上記凹部の個数Nとが下記(B)式を満たすことを特徴とする打ち抜き絞り製缶作業性に優れた容器用ラミネート鋼板製造用のラミネートロール。
    1.68×10−4≦(D/2)×π×N≦0.2・・・・・・・・(B)式
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