JP3821328B2 - ホログラム付き缶体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料缶詰の容器として使用されるような金属製の缶体に関し、特に、缶体の缶胴部分の表面にホログラムを付与したホログラム付き缶体製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料缶詰の容器として使用される金属製の缶体については、2ピース缶では円筒状の缶胴に対して、また、3ピース缶では缶胴の部分となる金属板に対して予め、直接に印刷を施したり、あるいは、印刷が施された樹脂製フィルムを貼着するなどにより、様々な色彩やデザインの文字や装飾模様を施しているが、そのような缶体の缶胴部分に施される文字や装飾模様として、更に人目を引くような新規な色彩やデザインのものが求められていることから、ホログラムを缶体の缶胴部分の表面に付与するということが提案されている。
【0003】
すなわち、見る角度によって微妙に変化すると共に虹色に光る装飾性を有するホログラムについて、これを包装材料や容器に対して使用するということは、従来から提案されているが(例えば、実開昭61−103010号,実開昭62−189013号,実開昭62−143663号公報,実開昭63−70935号公報等参照)、缶詰の容器である金属製の缶体においても、その缶胴部分にホログラムを付与するということが既に提案されている。(特開平2−32946号公報,特開平6−278751号公報参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような金属製缶体に対するホログラムの付与について、特開平2−32946号公報に示されている方法、すなわち、缶体の金属表面にレリーフ型ホログラムを直接転写する方法では、像として表現すべき原稿からの光の波面に相当する干渉縞が凹凸の形でホログラムに形成されている工具表面を、加工すべき金属表面に係合させて、該金属表面にレリーフ型ホログラムを直接形成している。
【0005】
そのため、製造に時間がかかると共に、例えば、平板状態の金属表面にホログラムを形成した後で円筒形に丸めて缶胴を形成する場合には、ホログラムが形成された金属面に過大な負荷をかけることとなって、ホログラムに悪影響を与える恐れがある一方、円筒形に缶胴を形成した後の曲面状態の金属表面にホログラムを形成する場合には、円筒面と工具との係合作業などを極めて微妙且つ正確に行わなければならず、作業能率が大幅に低下するという問題がある。
【0006】
加えて、上記の公報中にはホログラムの転写は印刷の前でも後でも良い旨記載されているが、ホログラムを転写する箇所の金属面に対しては印刷を施してはならず、且つ、ホログラムを転写した箇所に対しても印刷を施してはならないことから、印刷前にホログラムを転写する場合と印刷後にホログラムを転写する場合とを問わず、印刷・塗装時およびホログラム転写時に正確な位置あわせが必要となり、その作業が面倒で作業能率が更に低下するという問題がある。
【0007】
しかも、ホログラムを転写した金属面は、そのままでは錆びてしまうので、透明塗膜で覆う必要があり、印刷後にホログラムを形成すると、印刷層保護のための塗装工程・乾燥工程の他に更にホログラム保護のための塗装工程・乾燥工程が加わるため、かなりコスト高となってしまう。
【0008】
そこで、そのような問題を解消するために、円筒形に形成された缶胴の曲面に対して、ホログラム形成層を有する転写シートからの熱転写によりホログラムを形成する方法、すなわち、ベースフィルムに対して剥離層,保護層,ホログラム形成樹脂層(光回折パターン形成樹脂層),光を反射する薄膜層,感熱接着層の順番に積層された転写シートを用意すると共に、加熱により接着力が活性化されるベースコート層を缶胴の表面に形成して、転写用ロータリー版の凸部に対応した部分で、転写シートにおけるベースフィルム以外の積層部分を剥離して、ベースコート層を形成した缶胴表面に熱転写するという方法が、本出願人等により既に提案されている。(特開平6−278751号公報参照)
【0009】
しかしながら、そのような転写シートを用いた熱転写による方法については、転写シート自体を製造するのに多くの工程を必要とし、また、缶体の缶胴部分にベースコート層を形成する必要があると共に、転写用ロータリー版を用いることにより、転写シートのホログラム形成樹脂層を含む積層部分を、転写シートのベースフィルムから缶体の缶胴部分に熱転写することが必要であることから、製造工程が大幅に増えて生産性が低下するという問題があり、更には、缶胴の一部にホログラム形成樹脂層を含む積層部分を転写する場合には、転写時に、ホログラムを転写する箇所とその周りの印刷図柄との位置合わせを正確にする必要があって、そのために生産速度が大幅に低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解消するためになされたものであり、金属製の缶体に対して、製造工程をあまり増やすことなく、また、作業能率を大幅に低下させるようなことなく、該缶体の缶胴表面にレリーフ型ホログラムを良好に形成できるようにすることを課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、上記の請求項に記載したように、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の側の表面に、滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂塗料を塗布して乾燥させることによりトップコート層を形成した後、該熱可塑性樹脂フィルムの他方の側の表面に、印刷インキによる印刷を施し、更に、その上に接着剤を塗布して、印刷層と接着剤とを形成して乾燥させることにより缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程と、該缶体貼着用印刷フィルムをその接着層を介して長尺の缶胴用金属板に加熱接着する工程と、缶体貼着用印刷フィルムを貼着した該缶胴用金属板を切断して一缶分の大きさの缶胴用ブランクに切断する工程と、該缶胴用ブランクを缶胴成形機により丸めて両端部を重ね合わせる缶胴成形工程と、該缶胴の重ね合わせ部を接合する接合工程とを備えた、側面継目部を有する缶体の製造方法において、
前記の缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、トップコート層を形成した後、印刷を施す前に、該トップコート層の表面に対して、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラムが円筒状の表面の少なくとも一部に形成されたロール式のホログラムスタンパーを圧接させることにより、該トップコート層の表面にレリーフ型ホログラムを形成することを特徴とするものである。
【0012】
また、上記の請求項に記載したように、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の側の表面に、滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂塗料を塗布して乾燥させることによりトップコート層を形成した後、該熱可塑性樹脂フィルムの他方の側の表面に、印刷インキによる印刷を施し、更に、その上に接着剤を塗布して、印刷層と接着剤とを形成して乾燥させることにより缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程と、該缶体貼着用印刷フィルムを切断して一缶分の大きさにする工程と、缶体製造用金属板から側面継目部のない缶体を製造する工程と、該側面継目部のない缶体を加熱した後、一缶分の缶体貼着用印刷フィルムを、その接着層が缶体と接触するように該缶体の胴部に巻き付けて圧力を加えることにより、該フィルムを缶体の胴部に貼着する工程とを備えた、側面継目部のない缶体の製造方法において、
前記の缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、トップコート層を形成した後、印刷を施す前に、該トップコート層の表面に対して、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラムが円筒状の表面の少なくとも一部に形成されたロール式のホログラムスタンパーを圧接させることにより、該トップコート層の表面にレリーフ型ホログラムを形成することを特徴とするものである。
【0013】
また、上記の請求項1又は2に記載したホログラム付き缶体の製造方法において、上記の請求項3に記載したように、缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムに対して、レリーフ型ホログラムが、該フィルムに形成されたトップコート層の表面の所定範囲にだけ該フィルムの長手方向に沿って繰り返し形成されるものであり、一方、該フィルムへの印刷が、該フィルムの長手方向に延びる繰り返し模様の連続印刷であって、連続印刷される繰り返し模様のうちの特定の印刷図柄と、繰り返して施される所定範囲のホログラム形成部分とが、同じ位置関係となるように位置合わせされていることを特徴とするものである。
【0014】
また、上記の請求項3に記載したホログラム付き缶体の製造方法において、上記の請求項4に記載したように、缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムに対して、円周面の一部分に等間隔でレリーフ型ホログラム金型が形成されて加熱された金属ジャケットロールを圧接させることで、該フィルムに形成されたトップコート層の表面の所定範囲毎に繰り返しレリーフ型ホログラムを形成した後、該金属ジャケットロールよりもフィルム走行方向前方に配置したラインセンサーカメラにより該ホログラム形成部分を検知して、該ラインセンサーカメラよりもフィルム走行方向前方に配置した最初の印刷機に送信し、この検知信号に基づいて、ホログラム形成部分と位置合わせする特定の印刷図柄の印刷を開始すると共に、その後、最初の印刷機よりもフィルム走行方向前方に配置した1以上の印刷機により、その印刷図柄をフィルム走行方向後方の印刷機による印刷図柄に対して位置合わせするように調整して印刷を施すようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
さらに、上記の請求項1乃至4の何れかに記載したホログラム付き缶体の製造方法において、上記の請求項5に記載したように、缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムへの印刷が該フィルムの長手方向に延びる繰り返し模様の連続印刷であって、この連続印刷部分の両側に狭い幅の非印刷部分を設けると共に、該連続印刷部分を、非印刷部分を隔てて複数条設けることを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホログラム付き缶体製造方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の方法により製造されるホログラム付き缶体について、(A)によりフィルム貼着缶体の缶胴部分の横断面を部分的に示し、(B)により該横断面を拡大して示すもので、缶体1は、缶胴の部分を形成する金属板11に対して、印刷を直接施さず、予め印刷を施した樹脂製の缶体貼着用印刷フィルム12を熱接着により一体的に貼着した、印刷フィルム貼着缶体である。
【0018】
缶胴の金属板11に貼着されている缶体貼着用印刷フィルム12は、透明な熱可塑性樹脂フィルム21を本体とし、該熱可塑性樹脂フィルム21の裏面(缶胴に接着される側)に、複数色の印刷インキからなる印刷層22と、接着剤からなる接着層23とが順次形成されていると共に、該熱可塑性樹脂フィルム21の表面に、滑性剤を含有した透明な熱硬化性樹脂のトップコート層24が形成されていて、該トップコート層24の表面に、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラム24aが形成されている。
【0019】
なお、上記のようなホログラム付き缶体ついて、缶体1の各部分を形成するために使用される材料については、以下の通りである。
【0020】
缶体1の缶胴を形成する金属板11については、冷延板,溶融亜鉛および亜鉛合金メッキ鋼板,電気亜鉛および亜鉛合金メッキ鋼板,ブリキ,極薄錫メッキ鋼板,ティンフリースチール,クロムメッキ鋼板,アルミメッキ鋼板,ニッケルメッキ鋼板,その他の各種合金メッキ鋼板,アルミニウム合金板,その他の金属板、および、それらに必要に応じて、化成処理、例えば、リン酸塩処理,クロメート処理,有機クロメート処理,コバルト複合酸化膜処理,ニッケル置換メッキ,その他の処理を行ったものを用いることができる。
【0021】
缶体貼着用フィルム12の本体となる熱可塑性樹脂フィルム21については、10〜30μmの厚さのポリエステルフィルム,ナイロンフィルム,ポリプロピレンフィルム等、比較的透明性が高く、しかも耐熱性に優れた樹脂フィルムを使用することができて、例えば、ポリエステルフィルムとしては、エチレンテレフタレート,および,エチレンイソフタレートを主たる構成成分とし、融点としては160〜255℃のものが用いられる。
【0022】
熱可塑性樹脂フィルム21としてポリエステルフィルムを使用する場合、本発明の特性を損ねない範囲で他の成分を共重合しても良く、例えば、共重合するジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェノキシエタンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸,フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,ダイマー酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0023】
また、共重合するグリコール成分としては、プロパンジオール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール,ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。
なお、上記のジカルボン酸成分、およびグリコール成分については、2種以上を併用してもよい。
【0024】
熱可塑性樹脂フィルム21としてナイロンフィルムを使用する場合には、ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612等のジアミンとジカルボン酸との縮重合物、あるいは、ナイロン6,ナイロン11,ナイロン12のようなラクタムの開環重合物の何れも利用することができる。
【0025】
熱可塑性樹脂フィルム21の裏側に施される印刷層22については、熱硬化性のウレタン系樹脂等からなるインキが使用されており、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や模様を印刷したい場合には、グラビア印刷により印刷層22を形成するのがよい。
【0026】
印刷層22の上側(印刷層22の厚さ方向で熱可塑性樹脂フィルム21の側とは反対側から)から該印刷層22を覆うように施される接着層23については、加熱と加圧により密着し易く、且つ、印刷層22に使用されるインキとの密着性が良好な熱硬化性樹脂の接着剤によって形成されるもので、そのような接着剤としては、ポリエステルを主成分とする熱硬化性樹脂があり、その他の硬化性樹脂成分としてEB硬化性(電子硬化性)樹脂を併用することができる。
【0027】
なお、接着剤に使用されるポリエステル樹脂は、従来から公知の多塩基酸と多価アルコールの縮合物で熱可塑性樹脂であり、数平均分子量7,000〜40,000、好ましくは10,000〜30,000の範囲のものが使用されていて、該ポリエステル樹脂の製造は、下記の酸成分とアルコール成分とを反応容器中で200℃〜250℃の温度で縮合重合させることによって行われる。
【0028】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多塩基酸としては、アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバチン酸,デカン−1,10−ジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸、へキサヒドロフタル酸,ヘキサヒドロトリメリット酸,テトラヒドロフタル酸などの脂環族多塩基酸、およびその無水物、フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメリット酸,ピロメリット酸などの芳香族多塩基酸、およびその無水物、その他、マレイン酸,フマル酸,イタコン酸等を挙げることができる。
【0029】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多価アルコールとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール,1・2−ブチレングリコール,1・6−へキサンジオール,1・4−シクロヘキサンジメタノール,ネオペンチルグリコール,ポリラクトンジオール等を挙げることができる。
【0030】
また、接着剤に使用される熱硬化成分としては、メラミン樹脂,グアナミン樹脂,ウレア樹脂等のアミノ樹脂、およびフェノール樹脂が使用可能であり、また、イソシアネート硬化として、トリレンジイソシアネート(略称TDI),4・4′ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族イソシアネート、あるいは、へキサメチレンジイソシアネート(HMDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI),キシレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族イソシアネートを使用することができる。
【0031】
また、接着剤に使用されるEB硬化性(電子硬化性)樹脂については、数平均分子量300〜5,000、好ましくは1,000〜2,000のポリエステル系オリゴマーであり、これらは0.3〜5.0モル/kg分子、好ましくは1.0〜3.0モル/kg分子の重合性不飽和二重結合を有するものである。
【0032】
このポリエステル系オリゴマーとしては、数平均分子量5,000以下の水酸基含有低分子量ポリエステルに(メタ)アクリル酸をエステル結合させたものを挙げることができ、該低分子量ポリエステルについては、上記のポリエステル樹脂成分の多塩基酸と多価アルコールを結合して得られるものである。
【0033】
上記のようなポリエステルを主成分とする熱硬化性樹脂(EB硬化を併用する場合有り) に配合される応力緩和剤としては、シリカ,ベントナイト,クレー,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなどを挙げることができ、着色(例えば、白色)が必要な場合には酸化チタンの含有も可能である。
【0034】
透明な熱可塑性樹脂フィルム21の表面に形成されているトップコート層24については、缶体の缶胴表面に滑性を与えるために、滑性剤を含有した透明な熱硬化性樹脂として、エポキシ−アミノ系樹脂,エポキシ−メラミン系樹脂,ポリエステル−アミノ系樹脂などの熱硬化性樹脂に対して、シリコンやワックスなどの滑性剤を配合させたものが使用されている。
【0035】
このトップコートの主樹脂としては、ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等を使用することができ、硬化剤としては、メラミン樹脂等のアミノ樹脂、フェノール樹脂等を使用することができ、さらに、滑性剤としては、ラノリン,カルナバ,パラフィン,ポリエチレン,PTFE(四フッ化エチレン樹脂),ポリエーテル変性ジメチルシラン等のシリコン類およびシリカ等が有効である。
【0036】
上記のようなそれぞれの材料によりホログラム付き缶体を製造するための本実施形態の方法について以下に説明する。
【0037】
エンボスホログラム用金型については、先づ、従来から行われている方法により、フォトレジストを塗布した乾板にレーザー干渉縞を露光させて、その干渉の強度に対応した凹凸のレジストを作り、次に、これに金属を蒸着し、膜を形成させて導電性をもたせ、その上にニッケルをメッキしてから、該メッキ層を原版から剥がすことで、極微細な凹凸形状が精密に写し取られたエンボスホログラム金型を製造している。
【0038】
そのように既知の方法により製造されたエンボスホログラム金型を、そのまま長尺フィルムの表面(トップコート層の表面)に繰り返して熱プレスしても、該フィルムの表面に極微細な間隔の凹凸によるホログラムが繰り返し再現された長尺フィルムを得られるが、そのようなエンボスホログラム金型そのものによるスタンプ方式による加工では、加工の速度が上がらない。
【0039】
そのため、本実施形態の製造方法では、それ自体誘導加熱法や内部に加熱流体を流す等の手段で加熱できる金属ジャケットロールの回転する外周面の一部又は全面に、エンボスホログラム金型の凹凸形状を型押し加工して、このエンボスホログラム加工用の金属ジャケットロールを、図2に示すように、長尺フィルムの繰り出しロールと巻き取りロールの間、すなわち、長尺フィルムに印刷層や接着層を形成するための加工ラインの途中に配備している。
【0040】
それにより、連続的に走行している12μmの厚さの長尺フィルムの表面(トップコート層の表面)に対して、回転するロールの外周面の少なくとも一部に極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラムを形成した金属ジャケットロールにより、レリーフ型ホログラムを繰り返して形成するようなエンボスホログラム加工を、簡便にしかも高速で施すと共に、該長尺フィルムのエンボスホログラム面でない面(裏面)に対して、印刷層22および接着層23を形成している。
【0041】
なお、本実施形態の製造方法では、図2に示すように、エンボスホログラム加工の工程よりも前に、透明な熱硬化性樹脂塗料によるトップコート塗布の工程を設けており、図3に示すように、トップコート塗布工程により熱可塑性樹脂フィルム21の表面に透明な熱硬化性樹脂塗料によるトップコート層24を形成してから、該トップコート層24の表面にレリーフ型ホログラム24aを形成している
【0042】
すなわちコイル巻き状態から巻解かれて繰り出しロールにより繰り出される長尺の熱可塑性樹脂フィルムに対して、先ず、その表面側に、グラビアロール(表面に極小さな凹部が形成されているロール)により滑性剤を含有している透明な熱硬化性樹脂塗料であるトップコート用樹脂を順次塗布してから加熱乾燥することにより、該長尺フィルムにトップコート層24を連続的に繰り返して形成する。
【0043】
次いで、走行している長尺フィルムに対して、凹凸形状のレリーフ型ホログラムを回転する外周面の少なくとも一部に形成した金属ジャケットロールにより、該ロール外周面のレリーフ型ホログラムを、加熱しながら長尺フィルムに表面(トップコート層24の表面)に押し付けることによって、該長尺フィルムの表面側に、レリーフ型ホログラムを繰り返して形成する。
【0044】
なお、そのようなエンボスホログラム加工によりフィルム表面に形成されるレリーフ型ホログラムの凹凸のピッチについては、0.1μmから2μmの範囲であって、優れたホログラムを得るためには、この凹凸のピッチを0.3μmから1μmの範囲とすることが望ましい。また、そのようなエンボスホログラム加工を、長尺フィルムの表面全面に施すか、あるいは、該フィルムの表面に部分的に繰り返して施すかについては、任意に選択することができる。
【0045】
次いで、そのようなエンボスホログラム付きの長尺フィルムのホログラム面でない面(裏面) に対して、印刷ローラーにより、グラビア,フレキソ等の印刷手段を使って、3〜8色の印刷インキによる裏刷り印刷を順次繰り返して多色印刷を施した後、更に、該印刷層22をその上から全面的に覆うように、接着剤塗布ローラーにより、接着剤を塗布して接着層23を連続的に形成してから、該印刷層22と接着層23とを加熱乾燥した後、巻き取りロールによって印刷・ホログラム成形済の長尺フィルムとしてコイル巻きする。
【0046】
ところで、エンボスホログラム加工を長尺フィルムの表面に部分的に施す場合には、エンボスホログラムの成形箇所と、その裏側面となる印刷図柄との位置合わせが必要となるが、その場合には、元々印刷時には、各色のインキの図柄が所定の位置に印刷されるように位置合わせを行うのであるから、そのような位置合わせの操作と同様の操作を行うことにより、エンボスホログラムと印刷図柄との位置合わせも容易に行うことができる。
【0047】
すなわち、予め、金属ジャケットロールの表面に、所定間隔(一缶の高さ又は円周長さの間隔)毎に、印刷図柄と位置合わせした所定の位置で、しかも、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラムを所定の広さで形成しておき、この金属ジャケットロールを使って連続的に走行している長尺の樹脂性フィルム表面にエンボスホログラムを形成した後、印刷前に、例えば、長尺樹脂フィルムを水平方向に走行させている間に、エンボスホログラム形成面側のフィルム面に対して、所定角度でレーザーのスリット光(エンボスホログラムの横幅よりも充分に長い幅を持つ)を当てる。
【0048】
それと共に、レーザーのスリット光の入射角と同角の位置(反射角)にラインセンサーカメラ(エンボスホログラムの幅よりも充分に長い幅を持つ)を配置しておき、ラインセンサーカメラからの信号を、ラインセンサーカメラよりも前方に配置してある最初の印刷機に送信すると共に、その印刷機がエンボスホログラムの位置を検出した信号を受け取ったら、長尺樹脂フィルムのエンボスホログラム箇所が印刷機の所定位置に到達する時間後にエンボスホログラム対応位置への印刷を開始するようにしておく。
【0049】
そうすることで、最初(先頭)の印刷機の印刷時には、ラインセンサーカメラからエンボスホログラム検知信号を基にして印刷図柄の位置合わせをして、所定の印刷図柄がホログラム形成箇所の裏面側になるように印刷を施せば、2番目以後の印刷機は、周知・慣用の手段(例えば、見当マーク又はレジスターマークを使った見当合わせ手段)を使用して最初の印刷機による印刷図柄にその印刷機の印刷図柄を合わせるように調整するだけで、エンボスホログラム形成箇所と印刷図柄との位置合わせは容易に行うことができる。(2番目以後の印刷機は、それぞれの直前の印刷機の見当マーク等に合わせるようにしても良い。)
【0050】
上記のラインセンサーカメラでは、レーザーのスリット光が反射したフィルム面が平滑面の場合には、均一な受光信号を出力するが、レーザーのスリット光が反射したフィルム面が極微細な凹凸が形成されているような粗面であると、その部分だけ受光信号の出力が低下するので、エンボスホログラム形成箇所の位置が長尺樹脂フィルムの走行方向だけでなく、幅方向でも検出できるのである。
【0051】
なお、最初の印刷機で使うインキの印刷図柄がホログラム形成箇所に対応する位置にない場合には、最初の印刷ではホログラム形成箇所に対応する部分にはインキが塗布されないが、上記したように、周知の手段により最初の印刷機による印刷図柄に合わせて2番目以後の印刷機による(または、2番目以後の印刷機はそれぞれ直前の印刷機の見当マーク等により見当合わせをして)各色の印刷を続けていくと、長尺樹脂フィルムにエンボスホログラム形成箇所と位置合わせされた印刷図柄が印刷されることとなる。
【0052】
長尺フィルムに形成されている印刷層22については、印刷部分の長手方向の両側に狭い幅の非印刷部分を有する1条以上の印刷を施したもの、すなわち、缶詰内容物等を表示したラベルに相当する印刷の繰り返し模様(一つの缶胴の高さと同じ長さ毎に同じ模様の印刷が繰り返される)の連続印刷が、長尺フィルムの幅方向で、印刷部分が非印刷部分を隔てて複数条(複数個の缶体分の印刷)となるように施されているものである。(トップコート層24についても、印刷層22と同様に、塗装部分が未塗装部分を隔てて複数条となるように施される。)
【0053】
上記のような繰り返し模様の連続印刷については、必ずしも複数条となるようにしなければならないことはないが、複数条となるように印刷した方が、一条ずつ印刷する場合と比べて、印刷効率が高く、また、印刷済みのフィルムを金属板に貼着する場合の生産効率が高いことによって、製缶コストを低く抑えることができる。
【0054】
一方、接着剤の塗装方法については特に限定するものではないが、グラビア印刷を施す場合には、一連の作業で印刷塗装ができることからグラビア方式が望ましい。
【0055】
上記のようにして得られたエンボスホログラム付きの缶体貼着用印刷フィルムを用いて溶接缶胴のような側面継目部を有する3ピース缶の印刷フィルム貼着缶体を製造する場合には、従来から行われている印刷済みフィルム貼着方法(特開平4−91949号公報、特開平5−147181号公報参照)と同様の方法により、コイル巻きされた複数個分の缶胴円周長さよりも少し長い幅を有する長尺(帯状)の極薄錫メッキ鋼板(ブリキ又はニッケルメツキ鋼板でも良い)とコイル巻きされた印刷およびエンボスホログラム形成済みの長尺フィルムとをそれぞれ解きながら走行させ、走行途中で長尺極薄錫メッキ鋼板を加熱し、両者を貼着するために両者を重ね合わせて加圧する一対の加圧ロールの直前の位置で、印刷・ホログラム形成済みフィルムの非印刷部分を切断除去してから、該メッキ鋼板と該印刷・ホログラム形成済みのフィルムとを、接着層が該メッキ鋼板と接触するように重ね合わせ、一対の加圧ロールにより両者を加圧することにより、高速且つ連続的に3ピース缶胴材料用の印刷・レリーフホログラム加工を施したフィルム貼着済み帯状極薄錫メッキ鋼板を得ることができる。
【0056】
その際の貼り合わせる条件として、速度は0〜300m/分、温度は140℃〜200℃、加圧ロールによる圧力は線圧として250〜750N/cmにまで上げられるが、好ましい条件として、速度については、生産性を上げることから、200m/分以上とするのが効果的であり、また、貼り合わせ温度については、接着剤の熱融着温度や溶融粘度にもよるが、エンボスホログラム面を保護するという観点から、150〜170℃とするのが好ましく、また、圧力については、接着性に対してはより高い方が有効であるが、寸法の安定性を考慮すると、特に予め印刷を施してあるフィルムを貼り合わせる場合には制御が難しくなることから、500N/cm前後が好適である。
【0057】
なお、上記のような印刷部分が非印刷部分を隔てて複数条となるように施されている缶体貼着用の長尺フィルムは、帯状の極薄錫メッキ鋼板に貼着する直前に、非印刷部分が切断除去されてから、複数条の印刷部分が狭い間隔を隔てて帯状の極薄錫メッキ鋼板に貼着されることとなる。
【0058】
また、そのような缶体貼着用ホログラム形成印刷フィルムが貼着される帯状の3ピース缶胴用メッキ鋼板については、該フィルムの貼着面とは反対側の面に対して、予め、メッキ鋼板の長手方向に延びる複数条の塗装が、インナーコート(内面塗膜)として施されているか、あるいは、該フィルムとメッキ鋼板との貼着工程と同時又はその前後に、インナーコートとなる熱可塑性合成樹脂のフィルムが、複数条貼着されることとなる。
【0059】
上記のようにして製造されたエンボスホログラム付き印刷フィルム貼着済みの3ピース缶胴用帯状極薄錫メッキ鋼板は、先ず、一缶分の缶胴の大きさに切断され(通常、缶胴用ブランクと言う。)、次に、それぞれ缶胴成形機に掛けられて円筒状に成形された後、溶接機により重合部をシーム溶接されて缶胴となり、その後、ネックイン加工機およびフランジング装置により缶胴両端部にネックイン加工とフランジ加工を施された後、缶胴は缶蓋巻締装置に送られてその一端部に底蓋を巻締められることで、ホログラム付きの3ピース印刷缶胴を持つ缶体となって、この缶体が缶詰製造工場に送られ、この缶体に慣用法により内容物が充填され、開口部が缶蓋で密封され、内容物によっては更に加熱殺菌処理を施された後に缶詰となる。
【0060】
ところで、本実施形態の製造方法により得られるエンボスホログラム付きの缶体貼着用印刷フィルムについては、上記のような3ピース缶についてだけでなく、アルミニウム合金板や表面処理鋼板等の金属円板を材料として、絞りしごき加工により側面継目部のない円筒状の缶胴と缶底とを一体的に成形した2ピース缶に対しても、また、インパクト加工や絞り再絞り加工(再絞り加工時にストレッチ加工をするものを含む)により側面継目部のない円筒状の缶胴と缶底とを一体的に成形した2ピース缶に対しても、使用可能なものである。
【0061】
すなわち、この点について更に詳しく説明すると、上記のようなエンボスホログラム付きの缶体貼着用印刷フィルムにより、側面継目部のない2ピース缶の印刷フィルム貼着缶体を製造する場合には、特開昭52−24798号公報,特開昭52−24790号公報,特開平4−57747号公報等に開示されている方法、すなわち、コイル巻きされたエンボスホログラム付きで印刷済みの長尺フィルムを解きながら走行させ、その横幅(印刷された文字や装飾模様の縦横から見て横となる方向の長さ)が缶体の缶胴周長よりもやや長くなるように、連続的に一缶分毎の印刷フィルムシートとして切断することによって、缶体に貼着される大きさの多数の印刷フィルムシートを連続的に印刷フィルム貼着装置に対して提供する。
【0062】
なお、側面継目部のない2ピース缶に貼着する印刷フィルムシートは、缶胴の周囲に巻き付けた際に両端部が突き合わせ状態になっていても良いが、缶胴に巻き付けた際に両端部が重なり合うようになっている方が缶胴の保護(印刷フィルムの多少の切断誤差があっても、貼着された際に缶胴の全周が完全に印刷フィルムで覆われているようにする。)という観点からは好ましい。
【0063】
また、缶胴に巻き付けた際にその両端部が重なり合うようにする場合には、エンボスホログラム付きの缶体貼着印刷フィルムは、印刷層は長手方向および幅方向ともに連続印刷(非印刷部分がない。接着層も同様。)でも良いが、缶胴で重ね合わされる両端部になる部分(特に重ね合わされる際に下側となる側)は、トップコート層を施してない方が接着力の観点から望ましい。
【0064】
上記のように缶体に貼着される大きさの印刷フィルムシートが提供された印刷フィルム貼着装置では、成形加工後に加熱されながら連続的に送られてくる側面継目部のない有底円筒状の2ピース缶体に対して、連続的に供給されたそれぞれのフィルムシートを、加熱されたそれぞれの缶体の円筒状の缶胴に、接着層23により貼付して仮接着し、更に、接着層23が固化する前にロールで押圧することにより本接着して、有底円筒状のフィルム貼着缶体としてから、内面塗装やネックイン加工及びフランジ加工等のその後の加工工程に送り出すこととなる。
【0065】
以上に説明したような本実施形態のホログラム付き缶体の製造方法によれば、従来のフィルム貼着缶体における貼着用印刷フィルムの製造工程、すなわち、熱可塑性樹脂製の長尺フィルムに印刷層や接着層を連続的に形成する工程において、簡便にしかも高速でエンボスホログラム加工を施すことができ、そのようにエンボスホログラム加工が施された缶体貼着用印刷フィルムを、周知の印刷フィルム貼着缶体の製造の場合と同様の工程により缶胴部分に貼着するだけで、ホログラム付き印刷缶体を簡単に得ることができる。
【0066】
すなわち、金属製の缶体に対して直接その金属表面にレリーフ型ホログラムを形成することなく、該缶体の金属板11(又は缶体製造用金属板)に貼着される樹脂製の缶体貼着用印刷フィルム12の表面に対して、該缶体貼着用印刷フィルム12の製造工程でレリーフ型ホログラムを形成しているため、缶体1に対するレリーフ型ホログラムの付与が容易であり、またホログラム形成面が樹脂製であるために金属面のように保護塗装をする必要がなく、しかも、ホログラムを部分的に形成する場合であっても、印刷図柄との位置合わせは、フィルム印刷時行えるので、個々の缶体上で行う場合に比べて非常に容易且つ能率的であり、ホログラムを付与するために作業能率が大幅に低下することはない。
【0067】
また、ホログラム形成層を有する転写シートを用いて熱転写するようなことなく、従来の印刷フィルム貼着缶体1を構成する樹脂製の缶体貼着用印刷フィルム12の表面にエンボスホログラム加工を施しているため、別途に転写シートを製造したり、缶体の缶胴部分にベースコート層を形成したり、ホログラムを施す位置と印刷図柄との位置合わせを一缶毎に行う必要もなく、製造工程が大幅に増えて生産性が低下するようなこともない。
【0068】
その結果、本実施形態のホログラム付き缶体の製造方法を採用することによって、缶の金属面に直接レリーフ型ホログラムを形成する方法や転写シートを使用してレリーフ型ホログラムを缶胴表面に形成するものに比べて、製缶コストを低減させることができる。
【0069】
そのような本実施形態の方法により製造されたホログラム付き缶体では、樹脂製フィルム12の裏面に形成された印刷層22による色彩や模様の上に、樹脂製フィルム12の表面に形成された虹色に光るホログラム24aが重ねられているため、単に印刷図柄のない部分にホログラムを形成したものに比べると、缶体の同じ部分を見ても、見る人の位置により、ホログラムによる虹色が見えたり、印刷図柄が見えたりすることで、見る人に対して強い印象を与えることができる。
【0070】
なお、本発明者等の実験によれば、ホログラムを形成した部分の裏側の印刷インキの色が、濃い赤色,濃い茶色,濃い緑色,黒い色(墨色)のように、明度が比較的低い場合にホログラム効果が高いこと、また、樹脂フィルムの裏面側に4色以下の色数で印刷をする場合であっても、これら明度が比較的低い色のベタ印刷部分の上側に相当する樹脂フィルムの表面側にホログラムを形成すると、できた缶体のホログラムによる装飾効果はより高いものとなること等が判った。
【0071】
また、本実施形態の方法により製造されたホログラム付き缶体では、印刷層(通常の印刷層は5μm以下)が、該印刷層よりもかなり厚い樹脂フィルム(10μm以上)の裏面側にあり、且つ、ホログラム層が樹脂フィルムの表面側にあることによって、深みのある立体的な装飾層となり、それによってより一層高級感が出るため、たとえ印刷層22の色数を減らしたとしても高級感が失われることはない。
【0072】
すなわち、従来の3ピース缶用鋼板に対する多色オフセット印刷、および缶体貼着用樹脂フィルムに対する多色グラビア印刷では、重ね刷りが可能なので、インキの色数は3原色だけ又はそれに墨色を加えた4色で殆どの印刷が可能なはずであるが、装飾印刷の豪華さや高級感を出すために、それよりも多い6色から8色の色を使った印刷が行われており、また、ドライオフセット印刷法により缶体に対して直接多色印刷をする2ピース缶でも、最近は7色や8色のインキを使った印刷が増えている。
【0073】
これに対して、本実施形態の方法により製造されたホログラム付き缶体では、上記のように、樹脂フィルムの裏面に形成された印刷層による装飾効果に加えて、樹脂フィルムの表面に形成された見る角度によって虹色に光るホログラムの装飾効果を有するので、たとえ4色あるいはそれ以下の色数を使って印刷したとしても、印刷効果にホログラムによる装飾効果が加わることで、豪華さや高級感があり、この缶体に内容物が充填され、缶蓋により密封されてできた缶詰が店頭に陳列された際に、消費者に対するアピール度が高くなる。
【0074】
なお、印刷層22の色数を少なくすることができるということは、印刷する際に使用するインキの数が少なくて良いということであり、その結果、印刷の型替えに要する時間が短くなり(版の数はインキの数と同じであるため)、また、印刷前の各色の版の印刷図柄の見当合わせに要する時間も短くなるので、印刷の準備時間が大幅に短縮化できる(印刷作業効率が向上する)という利点につながるものである。
【0075】
更に、本実施形態の方法により製造されたホログラム付き缶体では、缶胴の表面を覆う樹脂製の缶体貼着用印刷フィルム12の表面の全面または大部分に、エンボスホログラム加工による極微細な間隔の凹凸が形成されているようにすることで、該缶胴表面に接触する部材との接触面積が小さくなっていて、それにより、樹脂製の缶体貼着用印刷フィルム12を貼着した缶胴表面の摩擦抵抗が小さなものとなって、缶胴部分の表面の滑性が良好なものとなっている。
【0076】
そのため、熱可塑性樹脂フィルム21の表面に滑性剤を含有したトップコート層24を形成するに当たり、その中に含有させる滑性剤を減らしたとしても、製缶ラインおよび缶詰製造ラインの搬送経路において、缶体の缶胴と接触する部材との接触面積が小さくなることで摩擦抵抗が小さくなるため、該搬送経路での缶体および缶詰搬送時の滑性が良好なものとなる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のホログラム付き缶体の製造方法によれば、製造工程を増やしたり、作業能率を大幅に低下させるようなことなく、金属製缶体の缶胴部分に対して、レリーフ型ホログラムを、簡便に能率よく、しかも、良好な状態で形成することができる。
【0078】
そして、本発明の方法により製造されたホログラム付き缶体では、印刷層による色彩や模様の上に見る角度によって虹色に光るホログラムが重ねて付与されるため、装飾効果が高く高級感が得られ、特に、印刷層よりもかなり厚い樹脂フィルムの裏面側に印刷層が存在し、該フィルムの表面側にホログラム形成層が存在することで、金属面の特定箇所にホログラムを形成し他の箇所に印刷を施したような従来例の缶体と比べて、装飾層がより厚くなって深みのある装飾効果を得ることができる。
【0079】
また、印刷層の上にホログラム形成層があることで、印刷層の色数が少なくても高級感を出しことができるため、印刷層の色数を少なくすることにより印刷作業の能率を向上させることができる。
【0080】
さらに、レリーフ型ホログラムを缶胴表面の全面または大部分に形成すれば、樹脂製フィルム表面のトップコート層に含有させる滑性剤を減らしても、樹脂製フィルムで覆われた缶胴表面の滑性を良好にすることができ、それによって、製缶作業時や缶詰製造作業時の搬送中に缶体あるいは缶詰が詰まったりするようなトラブルを解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法により製造されたホログラム付き缶体について、(A)フィルムが貼着された缶体の缶胴部分の一部を示す横断面図,および(B)該缶胴横断面の部分拡大図。
【図】 本発明のホログラム付き缶体の製造方法において要部となる缶体貼着用フィルムの製造工程を示す概略説明図。
【図】 図1に示したホログラム付き缶体について、図に示したような製造工程の各段階における樹脂製フィルムの状態を示す断面説明図。
【符号の説明】
1 金属板(缶体の缶胴部分)
2 フィルムシート
21 熱可塑性樹脂フィルム
22 印刷層
23 接着層
24 トップコート層

Claims (5)

  1. 長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の側の表面に、滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂塗料を塗布して乾燥させることによりトップコート層を形成した後、該熱可塑性樹脂フィルムの他方の側の表面に、印刷インキによる印刷を施し、更に、その上に接着剤を塗布して、印刷層と接着剤とを形成して乾燥させることにより缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程と、該缶体貼着用印刷フィルムをその接着層を介して長尺の缶胴用金属板に加熱接着する工程と、缶体貼着用印刷フィルムを貼着した該缶胴用金属板を切断して一缶分の大きさの缶胴用ブランクに切断する工程と、該缶胴用ブランクを缶胴成形機により丸めて両端部を重ね合わせる缶胴成形工程と、該缶胴の重ね合わせ部を接合する接合工程とを備えた、側面継目部を有する缶体の製造方法において、
    前記の缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、トップコート層を形成した後、印刷を施す前に、該トップコート層の表面に対して、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラムが円筒状の表面の少なくとも一部に形成されたロール式のホログラムスタンパーを圧接させることにより、該トップコート層の表面にレリーフ型ホログラムを形成することを特徴とするホログラム付き缶体の製造方法。
  2. 長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の側の表面に、滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂塗料を塗布して乾燥させることによりトップコート層を形成した後、該熱可塑性樹脂フィルムの他方の側の表面に、印刷インキによる印刷を施し、更に、その上に接着剤を塗布して、印刷層と接着剤とを形成して乾燥させることにより缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程と、該缶体貼着用印刷フィルムを切断して一缶分の大きさにする工程と、缶体製造用金属板から側面継目部のない缶体を製造する工程と、該側面継目部のない缶体を加熱した後、一缶分の缶体貼着用印刷フィルムを、その接着層が缶体と接触するように該缶体の胴部に巻き付けて圧力を加えることにより、該フィルムを缶体の胴部に貼着する工程とを備えた、側面継目部のない缶体の製造方法において、
    前記の缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、トップコート層を形成した後、印刷を施す前に、該トップコート層の表面に対して、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラムが円筒状の表面の少なくとも一部に形成されたロール式のホログラムスタンパーを圧接させることにより、該トップコート層の表面にレリーフ型ホログラムを形成することを特徴とするホログラム付き缶体の製造方法。
  3. 缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムに対して、レリーフ型ホログラムが、該フィルムに形成されたトップコート層の表面の所定範囲にだけ該フィルムの長手方向に沿って繰り返し形成されるものであり、一方、該フィルムへの印刷が、該フィルムの長手方向に延びる繰り返し模様の連続印刷であって、連続印刷される繰り返し模様のうちの特定の印刷図柄と、繰り返して施される所定範囲のホログラム形成部分とが、同じ位置関係となるように位置合わせされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホログラム付き缶体の製造方法。
  4. 缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムに対して、円周面の一部分に等間隔でレリーフ型ホログラム金型が形成されて加熱された金属ジャケットロールを圧接させることで、該フィルムに形成されたトップコート層の表面の所定範囲毎に繰り返しレリーフ型ホログラムを形成した後、該金属ジャケットロールよりもフィルム走行方向前方に配置したラインセンサーカメラにより該ホログラム形成部分を検知して、該ラインセンサーカメラよりもフィルム走行方向前方に配置した最初の印刷機に送信し、この検知信号に基づいて、ホログラム形成部分と位置合わせする特定の印刷図柄の印刷を開始すると共に、その後、最初の印刷機よりもフィルム走行方向前方に配置した1以上の印刷機により、その印刷図柄をフィルム走行方向後方の印刷機による印刷図柄に対して位置合わせするように調整して印刷を施すようにしたことを特徴とする請求項3に記載のホログラム付き缶体の製造方法。
  5. 缶体貼着用印刷フィルムを形成する工程で、長尺の透明な熱可塑性樹脂フィルムへの印刷が該フィルムの長手方向に延びる繰り返し模様の連続印刷であって、この連続印刷部分の両側に狭い幅の非印刷部分を設けると共に、該連続印刷部分を、非印刷部分を隔てて複数条設けることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のホログラム付き缶体の製造方法。
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