JP3747427B2 - ホログラム付き缶体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶胴にホログラムが付与されているホログラム付き缶体に関し、特に、印刷層が形成され且つレリーフ型ホログラムが形成された樹脂製フィルムを缶胴に貼着しているようなホログラム付き缶体に関する。
【0002】
【従来の技術】
虹色に光ると共に見る角度によって色が微妙に変化するホログラムについては、従来から装飾性を高めるために様々な分野で使用されており、そのようなホログラムとして平滑な材料表面にエンボス加工で極微細な凹凸を形成してなるレリーフ型ホログラム(エンボスホログラム)が従来から一般的に使用されていて、缶詰用の容器となる金属製の缶体についても、文字や模様の印刷部を設ける缶胴の装飾性を更に高めるために、そのようなレリーフ型ホログラムを缶体の胴部に付与するということが従来から提案されている。
【0003】
すなわち、缶胴にホログラムを付与するために、例えば、レリーフ型ホログラムが形成された工具の表面を、缶胴(又は缶胴用金属板)の金属表面に係合させて転写することで、該缶胴(又は缶胴用金属板)の金属表面にホログラムを直接形成するという方法(特公平5−7265号公報参照)や、或いは、予めレリーフ型ホログラムが形成されたアルミ箔や転写箔を缶胴の表面に貼着することで、該缶胴の表面にホログラムを付与するという方法(特開平6−210943号公報,特開平6−278751号公報,米国特許第4773718号明細書等参照)などが従来から提案されている。
【0004】
一方、上記のようなホログラムに関する技術とは別に、缶胴に施す印刷上の制約や製造工程の煩雑さを解消するために、缶胴(又は缶胴用金属板)の金属表面に直接印刷を施すのではなく、熱可塑性樹脂のフィルムに対して予めグラビア印刷やフレキソ印刷により印刷を施した印刷済みの樹脂製フィルムを缶胴(又は缶胴用金属板)の金属表面に貼着することで、缶胴に印刷文字や印刷図柄を付与するようなフィルム貼着缶体が従来から公知となっている。(例えば、特開平3−230940号公報,特開平4−57747号公報,特開平4−91949号公報,特開平5−111979公報,特開平5−112361号公報,特開平9−295639号公報等参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、缶胴にホログラムを付与する場合、レリーフ型ホログラムが形成された工具の表面を金属表面に直接当ててホログラムを転写するという方法では、円筒形に成形された缶胴の金属表面にホログラムを形成しようとすると、缶胴の円筒面と工具との係合作業などを極めて微妙且つ正確に行わなければならず、作業能率が大幅に低下する一方、金属板にホログラムを形成した後で該金属板を円筒形の缶胴に成形しようとすると、ホログラムが形成された金属面に過大な負荷をかけることとなって、ホログラムに悪影響を与える恐れが生じる。
【0006】
また、予めレリーフ型ホログラムが形成されたアルミ箔や転写箔を缶胴表面に貼着するという方法では、通常の製缶工程に対してホログラム転写箔を製造する工程と一缶毎に転写箔を貼着する工程とが加わるために、製造工程が増加することによるコスト高を招くこととなる。
【0007】
さらに、上記の何れの方法においても、ホログラムを形成した後で印刷する場合には、印刷インキがホログラム効果を阻害するのを防止するために、ホログラム部分に印刷インキが付着しないように正確な位置合わせをしたり、印刷時にインキが飛び散らないように印刷速度を低くする必要があり、また、その逆に印刷を施してからホログラムを形成する場合でも、印刷されていない金属面にホログラムを形成するためにやはり正確な位置合わせが必要となって、何れにしても、その作業が面倒なものとなり、作業能率が低下して生産速度が大幅に低下することから、製造コストが大幅に上昇することとなる。
【0008】
そのような従来の方法に対して、缶体貼着用の印刷済み樹脂製フィルムに対してレリーフ型ホログラムを予め形成しておき、この印刷済みでホログラム形成済みの樹脂製フィルムを缶胴(又は缶胴用の金属板)に貼着することで、缶胴の表面に印刷層とホログラムを重ねて付与するということが、この出願に先立つ本出願人の出願(特願平9−152896号)によって提案されている。
【0009】
そのようなフィルム貼着缶体によるホログラム付き缶体によれば、従来の方法によるホログラム付き缶体と比べて、生産効率を上げることができ、製造コストもかなり低下させることができると共に、ホログラム形成層の下層に設けた印刷層とホログラムとの重なりによる深みのある装飾効果を得ることができることとなるが、そのようなホログラム付き缶体についても、更に詳細に検討した結果、以下に述べるような問題のあることが判った。
【0010】
すなわち、従来の印刷済みフィルム貼着缶体では、貼着する樹脂製フィルムの表面に、缶体表面の傷付きを防止するための保護層(トップコート層)として、シリコンやワックス等の滑性剤を0.1〜4.0重量%程度含有した透明な熱硬化性樹脂を塗布するのが一般的であって、そうしないと、その後の製缶工程中あるいは缶詰製造工程中に缶体外表面に傷や汚れを発生させたり、また、円筒状に形成された缶体の滑り性能が悪くなることで、加工のタイミング遅れや、円筒缶胴から口絞り(ネックイン加工)する際に口絞りダイとの摩擦力が上がるため、成形力が上がって缶体が座屈するというような問題が生じる。
【0011】
この点について、缶胴表面にホログラムを形成したフィルム貼着缶体では、熱可塑性樹脂フィルムの表面に直接ホログラムを形成しておく場合には、極微細な凹凸が広い範囲に形成されていることで滑り性がかなり改善されてはいるが、貼着するフィルムの表面に滑性剤含有のトップコート層を設けていないので、上記のような問題の生じる恐れがある。
【0012】
しかしながら、熱可塑性樹脂フィルムの表面に形成されたホログラム形成面の上から透明な熱硬化性樹脂のトップコート層を塗布すると、極微細な凹凸として形成されたホログラム形成面が、ホログラム形成面となる熱可塑性樹脂と光の屈折率が近い透明な熱硬化性樹脂で埋められてしまうため、光の屈折現象によるホログラムの効果が消失してしまうこととなる。
【0013】
これに対して、熱可塑性樹脂フィルムの上層に透明な熱硬化性樹脂のトップコート層を設けてその表面にホログラムを形成しようとすると、完全硬化している滑性剤含有の熱硬化性樹脂の表面にレリーフ型ホログラムを形成することで、加工条件がかなり厳しくなって、生産効率の低下や製品歩留まりの低下が避けられないと共に、ホログラム形成時の加工負荷が増大するので、原版として使用するホログラム版の耐久性が著しく低下することとなる。
【0014】
一方、上記のような問題とは全く別に、ホログラム付き缶体が、高い生産効率で低コストによって製造できるようになることで、多くの企業により広く採用されるようになると、単なるホログラム模様を付与したというだけでは、ホログラム効果による他社製品との差別化という点で、ホログラムを缶体に付与することの効果が減殺されることが予想される。
【0015】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、缶胴にホログラムを付与したホログラム付き缶体において、製造工程を大幅に増やしたり作業能率を大幅に低下させることなく簡単にホログラムを付与することができ、しかも、缶体の滑り性能を確保することができて、製缶工程や缶詰製造工程での缶体表面の汚れや傷の発生を防止したりすることができると共に、缶胴に施すホログラムの模様を他社製品と差別化できるようにすることを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に印刷層による印刷模様を施した印刷済みの樹脂製フィルムが、印刷層を覆うように施された接着層を介して、缶胴金属板の外周面に貼着されているようなフィルム貼着缶体において、主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの印刷層による印刷模様とは反対側で、透明な樹脂の表面に極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムが形成されており、該ホログラム形成面が、意味のある文字をホログラムとして残すように、該ホログラム形成面の文字部分を除いた部分が、該ホログラム形成面を構成する樹脂と光の屈折率が近く且つ滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層によって被覆され、該トップコート層の透明な樹脂によりホログラム形成面の極微細な凹凸が埋められることで、文字部分を除いた部分でのホログラム効果が消失されていると共に、該トップコート層によってホログラム形成面の50%以上〜100%未満が被覆されていることを特徴とするものである。
【0017】
上記のような構成によれば、予めレリーフ型ホログラムが形成されている印刷済みの樹脂製フィルムを缶胴金属板に貼着する(缶胴の円筒状金属板に貼着するか、又は、平板状の缶胴用金属板に貼着する)だけで、缶胴表面にホログラムと印刷模様とが重なった深みのあるホログラム装飾効果を付与することができ、しかも、ホログラムとして残す文字の部分を除いて、缶胴表面の大部分をトップコート層によって覆うことで、缶体の滑り性能を確保することができて、製缶工程や缶詰製造工程における缶体表面の汚れや傷の発生等の問題を解消することができる。
【0018】
また、塗布用ローラー(グラビアコーター等)によってホログラム形成面に文字の抜き印刷をするようにトップコート層を塗布するだけで、意味のある文字をホログラムとして残すことができるため、缶胴に付与するホログラムを、トップコートの塗布という簡単な方法により、他社製品と明確に差別化できるような特異なホログラム模様として形成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のホログラム付き缶体の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
本発明のホログラム付き缶体の一実施形態について、図1(A)は、缶胴の断面を部分的に示し、図1(B)は、そのような缶胴の断面を更に拡大して示すものであって、缶体1は、缶胴の本体部分を形成する円筒状の金属板2に対して、印刷を直接施さず、予め印刷を施した缶体貼着用の樹脂製フィルム3を熱接着により一体的に貼着した印刷フィルム貼着缶体である。
【0021】
缶胴の金属板2に貼着されている印刷済みの樹脂製フィルム3は、主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルム4に対して、その裏面側(金属板2に接着される側)に、複数色の印刷インキからなる印刷層5を設け、該印刷層5を全面的に被覆するように、接着剤からなる接着層6を設けると共に、その表面側(金属板2とは反対側)に、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラム3aを表面に形成した透明なホログラム形成層7を設け、更に、該ホログラム形成層7のホログラム形成面3aを部分的に被覆するように、滑性剤を含有した透明なトップコート層8を設けたものである。
【0022】
滑性剤を含有した透明なトップコート層8は、該トップコート層8で被覆されない部分が意味のある文字(例えば、商標,会社名,ブランド名のロゴの繰り返しパターンや、商品宣伝のためのスローガンなど)として残されるように、ホログラム形成層7の表面に形成されたホログラム形成面3aを部分的に被覆している。
【0023】
すなわち、本実施形態では、図5(A)に示すように、それぞれの文字が比較的小さい場合には、文字の部分を全面的にホログラムとして残したり、或いは、図5(B)に示すように、それぞれの文字が比較的大きい場合には、文字の部分の輪郭だけをホログラムとして残したりすることで、ホログラム形成層7の表面に形成されたホログラム形成面3aを、少なくとも50%以上の被覆率で被覆するようにしている。(図示したものでは、黒地の部分がトップコート層8で被覆される部分となり、白抜きの部分がトップコート層8の無い部分となる。)
【0024】
上記のような本実施形態のホログラム付き缶体では、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の上側に重ねられた透明なホログラム形成層7の表面に形成されたレリーフ型ホログラム3aを、透明なトップコート層8が文字の部分(又は文字の輪郭部分)を除いて被覆していることにより、トップコート層8で被覆された部分は、ホログラムの極微細な凹凸がホログラム形成層と屈折率が近いトップコート層8の樹脂により埋められることでホログラム効果が消失して、透明な樹脂フィルム4の下側に重ねられた印刷層5による印刷模様だけが明瞭に見えるようになっている。
【0025】
これに対して、トップコート層8が被覆されない文字の部分(又は文字の輪郭部分)は、ホログラム形成層7の表面に形成されたレリーフ型ホログラム3aが、透明な樹脂フィルム4を通してその下側の印刷層5による印刷模様と重なった状態となっているため、缶胴の表面に光を受けると、見る人の位置により、ホログラムによる虹色が見えたり、印刷模様が見えたりすることで、見る人に対して強い印象を与えることができるようなホログラム効果を発揮するようになっている。
【0026】
ところで、上記のような本実施形態のホログラム付き缶体1の各部分に使用される材料の具体例(これに限られるものではないが)については、以下の通りである。
【0027】
缶体1の缶胴を形成する金属板2については、冷延板,溶融亜鉛および亜鉛合金メッキ鋼板,電気亜鉛および亜鉛合金メッキ鋼板,ブリキ,極薄錫メッキ鋼板,ティンフリースチール,クロムメッキ鋼板,アルミメッキ鋼板,ニッケルメッキ鋼板,その他の各種合金メッキ鋼板,アルミニウム合金板,その他の金属板、および、それらに必要に応じて、化成処理、例えば、リン酸塩処理,クロメート処理,有機クロメート処理,コバルト複合酸化膜処理,ニッケル置換メッキ,その他の処理を行ったものを用いることができる。
【0028】
缶体貼着用フィルム3の主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルム4については、10〜30μmの厚さのポリエステルフィルム,ナイロンフィルム,ポリプロピレンフィルム等、比較的透明性が高く、しかも耐熱性に優れた樹脂フィルムを使用することができて、例えば、ポリエステルフィルムとしては、エチレンテレフタレート,および,エチレンイソフタレートを主たる構成成分としたものが用いられる。
【0029】
熱可塑性樹脂フィルム4としてポリエステルフィルムを使用する場合、本発明の特性を損ねない範囲で他の成分を共重合しても良く、例えば、共重合するジカルボン酸成分としては、ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,ジフェノキシエタンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸,フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,ダイマー酸,マレイン酸,フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0030】
また、共重合するグリコール成分としては、プロパンジオール,ブタンジオール,ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール,ポリエチレングリコールなどのポリオキシエチレングリコール等を挙げることができる。
なお、上記のジカルボン酸成分、およびグリコール成分については、2種以上を併用してもよい。
【0031】
熱可塑性樹脂フィルム4としてナイロンフィルムを使用する場合には、ナイロン66,ナイロン610,ナイロン612等のジアミンとジカルボン酸との縮重合物、あるいは、ナイロン6,ナイロン11,ナイロン12のようなラクタムの開環重合物の何れも利用することができる。
【0032】
熱可塑性樹脂フィルム4の裏面に施される印刷層5については、熱硬化性のウレタン系樹脂等からなるインキが使用されており、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や模様を印刷したい場合には、グラビア印刷により印刷層5を形成するのがよい。
【0033】
印刷層5を裏側から全面的に覆うように施される接着層6については、加熱と加圧により密着し易く、且つ、印刷層5に使用されるインキとの密着性が良好な熱硬化型の接着剤によって形成されるもので、そのような接着剤としては、ポリエステルを主成分とする熱硬化性樹脂があり、その他の硬化性樹脂成分としてEB硬化性(電子硬化性)樹脂を併用することができる。
【0034】
なお、接着層6については、ウレタン系,エポキシ系,イソシアネート系の熱硬化型接着剤も使用することができ、また、印刷効果を高めるために、接着層6を構成する樹脂に白色系の着色剤を混入させることもある。
【0035】
接着剤に使用されるポリエステル樹脂は、従来から公知の多塩基酸と多価アルコールの縮合物で熱可塑性樹脂であり、数平均分子量7,000〜40,000、好ましくは10,000〜30,000の範囲のものが使用されていて、該ポリエステル樹脂の製造は、下記の酸成分とアルコール成分とを反応容器中で200℃〜250℃の温度で縮合重合させることによって行われる。
【0036】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多塩基酸としては、アジピン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバチン酸,デカン−1,10−ジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸、へキサヒドロフタル酸,ヘキサヒドロトリメリット酸,テトラヒドロフタル酸などの脂環族多塩基酸、およびその無水物、フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメリット酸,ピロメリット酸などの芳香族多塩基酸、およびその無水物、その他、マレイン酸,フマル酸,イタコン酸等を挙げることができる。
【0037】
ポリエステル樹脂の製造に使用される多価アルコールとしては、エチレングリコール,プロピレングリコール,ジエチレングリコール,1・2−ブチレングリコール,1・6−へキサンジオール,1・4−シクロヘキサンジメタノール,ネオペンチルグリコール,ポリラクトンジオール等を挙げることができる。
【0038】
また、接着剤に使用される熱硬化成分としては、メラミン樹脂,グアナミン樹脂,ウレア樹脂等のアミノ樹脂、およびフェノール樹脂が使用可能であり、また、イソシアネート硬化として、トリレンジイソシアネート(略称TDI),4・4′ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族イソシアネート、あるいは、へキサメチレンジイソシアネート(HMDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI),キシレンジイソシアネート(XDI)等の脂肪族イソシアネートを使用することができる。
【0039】
また、接着剤に使用されるEB硬化性(電子硬化性)樹脂については、数平均分子量300〜5,000、好ましくは1,000〜2,000のポリエステル系オリゴマーであり、これらは0.3〜5.0モル/kg分子、好ましくは1.0〜3.0モル/kg分子の重合性不飽和二重結合を有するものである。
【0040】
このポリエステル系オリゴマーとしては、数平均分子量5,000以下の水酸基含有低分子量ポリエステルに(メタ)アクリル酸をエステル結合させたものを挙げることができ、該低分子量ポリエステルについては、上記のポリエステル樹脂成分の多塩基酸と多価アルコールを結合して得られるものである。
【0041】
ポリエステルを主成分とする熱硬化型接着剤(EB硬化を併用する場合有り) に配合される応力緩和剤としては、シリカ,ベントナイト,クレー,タルク,硫酸バリウム,炭酸カルシウムなどを挙げることができ、着色(例えば、白色)が必要な場合には酸化チタンの含有も可能である。
【0042】
透明な熱可塑性樹脂フィルム4の表面側に設けられる透明なホログラム形成層7については、レリーフ型ホログラム3aを形成するためのエンボス加工時には、完全には硬化しておらず加圧成形又は熱成形可能であり、ホログラム形成後の加工時には、完全に硬化されていて、加工の際の圧力又は熱圧力、接着剤中の溶剤に耐えるだけの耐性を有することが必要である。
【0043】
そのような樹脂としては、紫外線硬化性樹脂,電子線硬化性樹脂,熱硬化性樹脂,自然硬化性樹脂等の反応性の硬化性樹脂が使用でき、特に生産性を考慮した場合、紫外線若しくは電子線で硬化する樹脂が適していて、具体的には、例えば、実公平5−47108号公報,特開昭60−254174号公報,及び特開昭63−108374号公報等にホログラム形成層の材料として開示されているような周知の硬化性樹脂を使用することができ、そのような透明な硬化性樹脂をホログラム形成層7として使用することにより、エンボスホログラムの加工が容易となり、生産効率が上がると共にホログラム版の耐久性が向上する。
【0044】
透明なホログラム形成層7の表面に文字部分(又は文字の輪郭部分)を除いて設けられるトップコート層8については、缶体の缶胴表面に滑り性を与えるために、滑性剤を含有した透明な硬化性樹脂として、例えば、エポキシ−アミノ系樹脂,エポキシ−メラミン系樹脂,ポリエステル−アミノ系樹脂などの熱硬化性樹脂に対して、シリコンやワックスなどの滑性剤を0.1〜4.0重量%配合させたものが使用されている。なお、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂に滑性剤を配合したものも使用できる。
【0045】
このトップコート層8の主樹脂としては、ポリエステル樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂等を使用することができ、硬化剤としては、メラミン樹脂等のアミノ樹脂、フェノール樹脂等を使用することができ、さらに、滑性剤としては、ラノリン,カルナバ,パラフィン,ポリエチレン,PTFE(四フッ化エチレン樹脂),ポリエーテル変性ジメチルシラン等のシリコン類およびシリカ等が有効である。
【0046】
ところで、図2および図3は、本実施形態のホログラム付きの缶体1の缶胴の金属板2に貼着される印刷済みでホログラムが形成された缶体貼着用フィルム3を製造するための工程の一例を示すもので、この例では、予めコイル巻きした状態の製品として別途に用意された片面ホログラム付きの熱可塑性樹脂フィルムの長尺フィルムを原料材として使用し、この長尺フィルムを走行させながら、該フィルムのホログラム形成面3aとは反対側の面に、印刷層5と接着層6を順次設けることで、缶胴となる金属板2に貼着する前の印刷済みでホログラムが形成された缶体貼着用フィルム3の長尺フィルムを製造している。
【0047】
原料材とする片面ホログラム付き熱可塑性樹脂フィルム自体の製造については、図示していないが、エンボスホログラム用金型を、先づ、従来から行われている方法により、フォトレジストを塗布した乾板にレーザー干渉縞を露光させて、その干渉の強度に対応した凹凸のレジストを作り、次に、これに金属を蒸着し、膜を形成させて導電性をもたせ、その上にニッケルをメッキしてから、該メッキ層を原版から剥がすことで、極微細な凹凸形状が精密に写し取られたエンボスホログラム金型を製造する。
【0048】
そのように既知の方法により製造されたエンボスホログラム金型を、そのまま熱可塑性樹脂製の長尺フィルムの表面に繰り返して熱プレスしても、該フィルムの表面に極微細な間隔の凹凸によるホログラムが繰り返し再現された長尺フィルムを得られるが、そのようなエンボスホログラム金型そのものによるスタンプ方式による加工では、加工の速度が上がらない。
【0049】
そのため、それ自体誘導加熱法や内部に加熱流体を流す等の手段で加熱できる金属ジャケットロールの回転する外周面に、エンボスホログラム金型の凹凸形状を型押し加工することで、このエンボスホログラム加工用の金属ジャケットロールにより、連続的に走行している12μmの厚さの熱可塑性樹脂製の長尺フィルムの表面に対し、該ロール外周面のレリーフ型ホログラムを加熱しながら連続的に押し付けて、長尺フィルムに表面にレリーフ型ホログラムを繰り返して形成するようなエンボスホログラム加工を高速で行なうようにしている。(勿論、ホログラムの形成面を構成する樹脂の硬化の程度によっては、エンボスホログラム加工用の金属ジャケットロールを加熱しないでも、エンボスホログラム加工を高速で施すことは可能である。)
【0050】
なお、本実施形態の場合、ポリエチレンテレフタレートからなる透明な熱可塑性樹脂フィルム4の片面に透明なホログラム形成層7を設けて、該ホログラム形成層7の表面にレリーフ型ホログラム3aを形成していることから、その原料材となる片面ホログラム付きの熱可塑性樹脂フィルムを製造する際には、先ず、熱可塑性樹脂製の長尺フィルムの片面に、例えば、紫外線照射により硬化する透明な硬化性樹脂を塗布し、乾燥(又は乾燥と紫外線照射)してホログラム形成層を形成してから、エンボスホログラム金型を該ホログラム形成層に押し当てて、該ホログラム形成層の表面にレリーフ型ホログラムを形成しながら若しくは形成した後、紫外線を照射してホログラム形成層を完全に硬化させる。
【0051】
すなわち、コイル巻き状態から巻解かれて繰り出しロールにより繰り出される熱可塑性樹脂製の長尺フィルムに対して、例えば、グラビアロール(表面に極小さな凹部が形成されているロール)により、透明な紫外線硬化性樹脂を連続的に塗布してから加熱乾燥(又は加熱乾燥と紫外線照射)をすることによって、先ず、該長尺フィルムの片面にホログラム形成層を形成してから、次いで、走行している長尺フィルムに対して、金属ジャケットロールの外周面に形成されたレリーフ型ホログラムを、常温のまま又は加熱しながらホログラム形成層の表面に押し付けることで、ホログラム形成層の表面にレリーフ型ホログラムを繰り返して形成し、その後若しくは形成中に紫外線を照射してホログラム形成層を完全に硬化させることとなる。(なお、電子線硬化性樹脂の場合には電子線を照射し、熱硬化性樹脂の場合には加熱して、ホログラム形成層を完全に硬化させる。)
【0052】
そのようなエンボスホログラム加工によりフィルム表面に形成されるレリーフ型ホログラムの凹凸のピッチについては、0.1μmから2μmの範囲であって、優れたホログラムを得るためには、この凹凸のピッチを0.3μmから1μmの範囲とすることが望ましい。また、そのようなエンボスホログラム加工を、長尺フィルムの表面全面に施すか、あるいは、該フィルムの表面に部分的に繰り返して施すかについては、任意に選択することができる。
【0053】
上記のように製造された熱可塑性樹脂フィルム4を主体層とする片面ホログラム付きの長尺フィルムに対して、図2および図3に示すように、該長尺フィルムをコイル巻き状態から解いて繰り出しロールで繰り出して連続的に走行させながら、先ず、その表面(ホログラムが形成された面)に、トップコート塗布ローラーにより、1.0重量%の滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂を、印刷ローラーで文字の抜き印刷(文字部分を除いた部分の繰り返しパターンの印刷)をするように、連続的に繰り返して部分的に塗布し、加熱乾燥することにより硬化させて、長尺フィルムの表面(ホログラム形成層7の表面)に設けられたホログラム形成面3aを、滑性剤を含有する透明な熱硬化性樹脂のトップコート層8で部分的に被覆する。
【0054】
次いで、そのような長尺フィルムの裏面に対して、印刷ローラーにより、グラビア,フレキソ等の印刷手段を使って、3〜8色の印刷インキによる裏刷り印刷を順次繰り返して多色印刷による印刷層5を施した後、更に、該印刷層5をその上から全面的に覆うように、接着剤塗布ローラーにより、接着剤を塗布して接着層6を連続的に形成してから、該印刷層5と接着層6とを加熱乾燥した後、巻き取りロールによって印刷・ホログラム成形済の長尺フィルムとしてコイル巻きする。
【0055】
上記のように製造された印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムについては、印刷層5の印刷が、印刷部分の長手方向の両側に狭い幅の非印刷部分を有する一条以上の印刷を施したもの、すなわち、缶詰内容物等を表示したラベルに相当する印刷の繰り返し模様(一つの缶胴の高さと同じ長さ毎に同じ模様の印刷が繰り返される)の連続印刷が、長尺フィルムの幅方向で、印刷部分が非印刷部分を隔てて複数条(複数個の缶体分の印刷)となるように施されているものである。
【0056】
長尺フィルムに対する上記のような繰り返し模様の連続印刷については、必ずしも複数条となるようにしなければならないことはないが、複数条となるように印刷した方が、一条ずつ印刷する場合と比べて、印刷効率が高く、また、印刷済みのフィルムを金属板に貼着する場合の生産効率が高いことによって、製缶コストを低く抑えることができる。
【0057】
なお、印刷部分が非印刷部分を隔てて複数条となるように施されている場合には、帯状の極薄錫メッキ鋼板に貼着する直前に、非印刷部分が切断除去されてから、複数条の印刷部分が狭い間隔を隔てて帯状の極薄錫メッキ鋼板に貼着されることとなる。
【0058】
一方、長尺フィルムに対する接着剤の塗装方法については特に限定するものではないが、グラビア印刷を施す場合には、一連の作業で印刷塗装ができることからグラビア方式が望ましい。
【0059】
上記のようにして得られた印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムを用いて、溶接缶胴のような側面継目部を有する3ピース缶のフィルム貼着缶体を製造するには、従来から行われている印刷済み缶体貼着用フィルムの貼着方法(特開平4−91949号公報、特開平5−147181号公報参照)と同様の方法が適用される。
【0060】
すなわち、コイル巻きされた複数個分の缶胴円周長さよりも少し長い幅を有する長尺(帯状)の極薄錫メッキ鋼板(ブリキ又はニッケルメツキ鋼板でも良い)と、コイル巻きされた印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムとを、それぞれ解きながら走行させ、走行途中で長尺の極薄錫メッキ鋼板を加熱し、両者を貼着するために両者を重ね合わせて加圧する一対の加圧ロールの直前の位置で、該長尺フィルムの非印刷部分を切断除去してから、該メッキ鋼板と該フィルムとを、接着層が該メッキ鋼板と接触するように重ね合わせ、一対の加圧ロールにより両者を加圧することにより、高速且つ連続的に、3ピース缶胴材料用のフィルム貼着済み帯状極薄錫メッキ鋼板を得ることができる。
【0061】
その際の貼り合わせる条件として、速度は0〜300m/分、温度は140℃〜200℃、加圧ロールによる圧力は線圧として250〜750N/cmにまで上げられるが、好ましい条件として、速度については、生産性を上げることから、200m/分以上とするのが効果的であり、また、貼り合わせ温度については、接着剤の熱融着温度や溶融粘度にもよるが、エンボスホログラム面を保護するという観点から、150〜170℃とするのが好ましく、また、圧力については、接着性に対してはより高い方が有効であるが、寸法の安定性を考慮すると、特に予め印刷を施してあるフィルムを貼り合わせる場合には制御が難しくなることから、500N/cm前後が好適である。
【0062】
印刷済みでホログラム形成済みの樹脂製フィルムが上記のように貼着された帯状の3ピース缶胴用メッキ鋼板については、該フィルムの貼着面とは反対側の面に対して、予め、メッキ鋼板の長手方向に延びる複数条の塗装が、インナーコート(内面塗膜)として施されているか、あるいは、該フィルムとメッキ鋼板との貼着工程と同時又はその前後に、インナーコートとなる熱可塑性合成樹脂のフィルムが、複数条貼着されることとなる。
【0063】
そのように製造されたフィルム貼着済みの3ピース缶胴用帯状極薄錫メッキ鋼板は、先ず、一缶分の缶胴の大きさのブランクに切断され、次に、それぞれ缶胴成形機に掛けられて円筒状に成形された後、溶接機により重合部をシーム溶接されて缶胴となり、その後、ネックイン加工機およびフランジング装置により缶胴両端部にネックイン加工とフランジ加工を施された後、缶胴は缶蓋巻締装置に送られてその一端部に底蓋を巻締められることで、ホログラム付きの印刷缶胴を持つ3ピース缶体となる。
【0064】
印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムについては、上記のような3ピース缶についてだけでなく、アルミニウム合金板や表面処理鋼板等の金属円板を材料として、絞りしごき加工により側面継目部のない円筒状の缶胴と缶底とを一体的に成形した2ピース缶に対しても、また、インパクト加工や絞り再絞り加工(再絞り加工時にストレッチ加工をするものを含む)により側面継目部のない円筒状の缶胴と缶底とを一体的に成形した2ピース缶に対しても使用可能なものである。
【0065】
印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムを用いて、側面継目部のない2ピース缶のフィルム貼着缶体を製造するには、特開平9−295639号公報,特開平4−57747号公報等により開示されている方法と同様の方法が適用される。
【0066】
すなわち、コイル巻きされた印刷済みでホログラム形成済みの長尺フィルムを解きながら走行させ、その横幅(印刷された文字や装飾模様の縦横から見て横となる方向の長さ)が缶体の缶胴周長よりもやや長くなるように、連続的に一缶分毎のフィルムシートとして切断することによって、缶体に貼着される大きさの多数のフィルムシートを連続的にフィルム貼着装置に対して提供する。
【0067】
なお、側面継目部のない2ピース缶に貼着するフィルムシートは、缶胴の周囲に巻き付けた際に両端部が突き合わせ状態になっていても良いが、缶胴に巻き付けた際に両端部が重なり合うようになっている方が缶胴の保護(フィルムシートに多少の切断誤差があっても、貼着された際に缶胴の全周が完全にフィルムシートで覆われているようにする。)という観点からは好ましい。
【0068】
また、缶胴に巻き付けた際にその両端部が重なり合うようにする場合には、フィルムシートは、印刷層は長手方向および幅方向ともに連続印刷(非印刷部分がない。接着層も同様。)でも良いが、缶胴で重ね合わされる両端部になる部分(特に重ね合わされる際に下側となる側)にトップコート層を施していない方が接着力の観点から望ましい。
【0069】
缶体に貼着される大きさのフィルムシートが提供されたフィルム貼着装置では、成形加工後に加熱されながら連続的に送られてくる側面継目部のない有底円筒状の2ピース缶体に対して、連続的に供給されたそれぞれのフィルムシートを、加熱されたそれぞれの缶体の円筒状の缶胴に、接着層により貼付して仮接着し、更に、接着層が固化する前にロールで押圧することにより本接着して、有底円筒状のフィルム貼着缶体としてから、内面塗装やネックイン加工及びフランジ加工等のその後の加工工程に送り出すこととなる。
【0070】
上記のようにして製造される本実施形態のホログラム付き缶体によれば、缶体1の缶胴の金属板2に貼着される樹脂製フィルム3の表面にレリーフ型ホログラム3aを形成していることで、金属製の缶体の個々に対して直接その金属表面にレリーフ型ホログラムを形成したものや、印刷済みの缶体の缶胴にホログラム形成層を有する転写シートを熱転写したようなものと比べて、缶体1に対するレリーフ型ホログラムの付与を、容易に且つ能率的に行なうことができて、製缶コストを低減させることができる。
【0071】
そして、そのような樹脂製フィルム3の表面にレリーフ型ホログラム3aを形成した缶体1において、極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムの形成面3aが、文字部分(又は文字の輪郭部分)を除いて、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層8によって被覆されていることにより、以下のような作用効果を奏することとなる。
【0072】
すなわち、缶体1の表面の保護や缶体の成形という観点から見ると、滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層8が(50%以上の被覆率で)部分的に設けられていることにより、そのようなトップコート層8が全くないものと比べて、缶体表面の滑り性を良好なものとすることができて、缶体搬送時におけるガイド等との滑り性、および、口絞り(ネックイン加工)などにおける缶体成形時のツール(加工具)との滑り性を改善することができるので、製缶工程や缶詰製造工程において缶体の外表面に傷や汚れや凹みが発生するのを防止することができる。
【0073】
なお、上記のような作用効果を奏するためには、トップコート層8により缶体1の缶胴表面の少なくとも50%以上覆うことが必要であって、トップコート層8を設けていない文字部分のホログラム効果を考慮した上で、トップコート層8の被覆率を高くするに従って、上記のような効果がより高くなるものであり、例えば、文字を小さくしてその輪郭だけをホログラムとして残すような場合には、トップコート層8の被覆率を100%にかなり近くすることができる。
【0074】
一方、缶体1のホログラムによる装飾効果という観点から見ると、トップコート層8を設けた部分では、ホログラム形成面3aが埋められることでホログラム効果が完全に消失されて、印刷層5による色彩や模様が明瞭なものとなるのに対して、トップコート層8を設けない部分では、透明な熱可塑性樹脂フィルム4の裏面側に形成された印刷層5による色彩や模様の上にホログラムを重ねた状態で、虹色に光るホログラム効果が得られる。
【0075】
すなわち、比較的厚い透明な樹脂フィルム4を介して、印刷層5による色彩や模様の上側に、見る角度によって虹色に光るホログラムが重ねて付与されるため、単に印刷模様のない部分にホログラムを形成したり、印刷模様の上に金属蒸着の反射層によるホログラムを形成したような場合と比べて、缶体の同じ部分を見ても、見る人の位置により、ホログラムによる虹色が見えたり、印刷模様が見えたりすることで、見る人に対して強い印象を与えることができると共に、全体的により厚く深みのある装飾効果を得ることができる。
【0076】
特に、ホログラム効果を発揮する部分が、例えば、商標,会社名,ブランド名のロゴの繰り返しパターンや商品宣伝のためのスローガンなどのような意味のある文字であることから、そのような意味のある文字をホログラム効果によって強く印象づけることができ、他の商品との差別化という点で消費者に強いインパクトを与えたり、宣伝効果を高めたりすることができる。
【0077】
しかも、印刷ローラーにより文字を白抜きで印刷するのと同様に、塗布ローラーでホログラム形成面3aにトップコート層8を塗布するだけで、ホログラム効果のある文字を形成することができるため、文字の部分だけをレリーフ型ホログラムとして形成するような場合と比べて、簡単に且つ経済的にホログラム効果のある文字を形成することができ、また、塗布ローラーの塗布パターンを変えるだけで文字の内容や形状などを簡単に変更することができる。
【0078】
以上、本発明のホログラム付き缶体の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、上記の本実施形態では、熱可塑性樹脂フィルム4の上層にホログラム形成層7を全面的に設けて、該ホログラム形成層7の表面全体にレリーフ型ホログラム3aを形成しているが、ホログラム形成層7を部分的に設けたり、ホログラム形成層7の表面に部分的にレリーフ型ホログラム3aを形成することで実施することも可能であり、さらには、図4に示すように、ホログラム形成層7を設けることなく、熱可塑性樹脂フィルム4の表面(印刷層5とは反対側の面)に直接レリーフ型ホログラム3aを形成することによって実施することも可能である。
【0079】
なお、そのように熱可塑性樹脂フィルム4の表面に直接レリーフ型ホログラム3aを形成する場合には、熱可塑性樹脂フィルム4の材料となる樹脂の融点は160〜255℃程度であることが必要であって、融点が160℃以下のものでは、極微細な間隔の凹凸によるレリーフ型ホログラム3aを熱可塑性樹脂フィルム4の表面に形成した後、熱接着による金属板2への貼着工程において、熱可塑性樹脂フィルム4の表面に形成されたホログラムの凹凸形状が樹脂の軟化又は溶融により消失する恐れがある。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のホログラム付き缶体によれば、缶胴に貼着される樹脂製フィルムの表面にレリーフ型ホログラムを形成していることで、製造工程を大幅に増やしたり作業能率を大幅に低下させることなく、缶胴の表面にホログラムを良好に形成することができる。
また、そのようなフィルム貼着缶体によるホログラム付き缶体において、ホログラム形成面の50%以上〜100%未満が、滑性剤を含有する樹脂によるトップコート層で被覆されていることから、缶体の滑り性能を確保することができて、製缶工程や缶詰製造工程での缶体表面の汚れや傷の発生を防止したりすることができる。
さらに、缶体で印刷層の上層となる主体層の樹脂フィルムやホログラムの形成面が何れも透明な樹脂であり、それらを透して下層の印刷模様を見ることができるため、ホログラムの部分では、見る位置により虹色が見えたり印刷模様が見えたりすることで、見る人に強い印象を与えることができ、しかも、ホログラムの部分が意味のある文字となっていることから、他の商品との差別化という点で消費者に強いインパクトを与えたり宣伝効果を高めたりすることができると共に、そのような意味のある文字のホログラムを、缶体で滑り性能を確保するために一般的に設けられるトップコート層を利用して、このトップコート層によりホログラム効果を部分的に消失させるというだけで、簡単且つ経済的に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム付き缶体の一実施形態について、(A)樹脂製フィルムが貼着された缶体の缶胴部分の一部を示す横断面図,および(B)該缶胴横断面の部分拡大図。
【図2】本発明のホログラム付き缶体において缶体貼着用フィルムとして使用される印刷済みでホログラム形成済みの樹脂製フィルムの製造工程の一例を示す概略説明図。
【図3】図2に示した缶体貼着用の樹脂製フィルムの製造工程の各工程におけるフィルムの状態を示す断面説明図。
【図4】本発明のホログラム付き缶体の他の実施形態における缶胴の横断面を示す部分拡大断面図。
【図5】本発明のホログラム付き缶体においてトップコート層を文字部分を除いて被覆するときの文字部分の白抜き状態の各例(A)(B)をそれぞれ示す説明図。
【符号の説明】
1 フィルム貼着缶体(ホログラム付き缶体)
2 金属板(缶胴の)
3 樹脂製フィルム
3a レリーフ型ホログラム(ホログラム形成面)
4 熱可塑性樹脂フィルム
5 印刷層
6 接着層
8 トップコート層
7 ホログラム形成層
Claims (3)
- 主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの一方の面に印刷層による印刷模様を施した印刷済みの樹脂製フィルムが、印刷層を覆うように施された接着層を介して、缶胴金属板の外周面に貼着されているようなフィルム貼着缶体において、主体層となる透明な熱可塑性樹脂フィルムの印刷層による印刷模様とは反対側で、透明な樹脂の表面に極微細な凹凸によるレリーフ型ホログラムが形成されており、該ホログラム形成面が、意味のある文字をホログラムとして残すように、該ホログラム形成面の文字部分を除いた部分が、該ホログラム形成面を構成する樹脂と光の屈折率が近く且つ滑性剤を含有する透明な硬化性樹脂のトップコート層によって被覆され、該トップコート層の透明な樹脂によりホログラム形成面の極微細な凹凸が埋められることで、文字部分を除いた部分でのホログラム効果が消失されていると共に、該トップコート層によってホログラム形成面の50%以上〜100%未満が被覆されていることを特徴とするホログラム付き缶体。
- 文字の部分が全面的にホログラムとして残るようにトップコート層が被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のホログラム付き缶体。
- 文字の部分の輪郭だけがホログラムとして残るようにトップコート層が被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のホログラム付き缶体。
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