JP2618306B2 - 高p含有量高張力亜鉛メッキ鋼板 - Google Patents
高p含有量高張力亜鉛メッキ鋼板Info
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Description
化溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法に関するもので、特
に、鋼中P濃度が0.02%以上のP含有鋼板に対して
合金化溶融亜鉛メッキ鋼板にある。
延鋼板には、車体の軽量化および安全性の向上、並びに
耐食性の見地から、プレス加工性に優れることのほか
に、高強度であり、かつ耐食性が要求され、供給鋼材の
表面処理化が強く要求される状況にある。このなかで、
最近では、特に、高張力鋼板の表面処理化要求が高まり
つつある。この高張力鋼板の防錆力向上を主目的とした
表面処理方法としては、生産性の点から容易に厚メッキ
化が可能なゼンジマー式溶融亜鉛メッキ法がある。この
ゼンジマー式溶融亜鉛メッキ法の場合、無酸化炉で生成
された鉄酸化膜が、それ以降の還元帯で還元された後、
鋼中の易酸化元素であるSi、Mn、P、Alが鋼板表
面で選択的に酸化され、これにより濃化勾配が生じるた
めに、表面に濃化していく。これらの元素のうち、Pは
鋼板表面にPOxの皮膜を形成し、合金化特性を著しく
阻害する。(局部的に合金ムラが発生する)
前にFe、ZnまたはNiをプレメッキする方法および
酸素を含む酸化炉中で鋼板表面の圧延油を除去し、適度
な酸化膜を形成せしめた後、水素を含む雰囲気中で、還
元焼鈍後、炉内で板温を調節し、メッキする方法が、既
に特開昭55−122865号公報で知られている。す
なわち、酸素を含まない無酸化炉方式では、鋼表面の油
を除去することができるが、酸化性雰囲気が弱いため、
酸化され易いSi、Mn、Alが表面に拡散酸化される
ため、これらの酸化物が鋼表面を形成する。しかも、こ
れらの酸化物は、還元炉では、還元されず、メッキの濡
れ不良、メッキ密着不良の原因となる。そのために鋼板
の表面に酸化膜の厚み400〜10000Åになるよう
に酸化した後、水素を含む雰囲気で焼鈍し、溶融メッキ
するというものである。
術である焼鈍前に、Fe、ZnまたはNiをプレメッキ
する方法はプレメッキ皮膜が不安定であり、炉内雰囲気
が汚染されること、また鋼種によってメッキ液を使い分
けなければならない等の困難があり、さらに後者の特開
昭55−122865号公報についても上記のように無
酸化炉の空気比を高くして加熱し、Fe酸化膜を生成し
た後、還元加熱すると、良好なメッキ性が得られるとい
う知見のみであって、鋼中のPと合金化溶融亜鉛メッキ
層との関係については全く開示されていないこと、更に
は実際の操業ラインにおけるラインスピードを下げ、合
金化炉内の在炉時間を長くすることにより、鋼板全体を
合金化させる方法はあるが、しかしこの方法では20〜
30%のラインスピードを低下させなければならず、生
産性が著しく低下する問題点があった。そこで、本発明
は、高生産性のラインにあって、従来法とは異なる方法
により、合金ムラを伴うことなく、安定した品位で均一
外観の優れた合金化溶融亜鉛メッキ鋼板を得る方法を提
供することにある。
し、その目的を達成するために、本発明の要旨とすると
ころは、鋼材(母材)の成分系及び重量濃度はC;0.
003〜0.10%、Si;0.10%以下、Mn;
0.2〜1.0%、P;0.02〜0.20%、S;
0.02%以下、Al;0.02〜0.10%から成る
鋼材の表層にFe−Zn合金層1〜20μmを付与せし
め、該合金層の上部にFe 2 P 2 O 5 とP 2 O 3 との混
合層0.01〜0.10μmを施した事を特徴とする高
P含有高張力亜鉛メッキ鋼板である。
て、鋼中にP濃度が0.02%以上のP含有鋼とした理
由は、高張力鋼として固溶強化、熱延板の結晶粒を微細
化する作用があり、またコストも安価であるため望まし
い元素である。特にスキンパスに伴う延性劣化を少なく
する効果が大であることから、重要な元素であり、この
効果をもたらすためには、0.02%以上を必要とし、
一方0.20%を超えるとPの過量は脆化、溶接性劣化
をもたらすため、最適は0.02%〜0.20%が望ま
しい。一方鋼中にP濃度が0.02%以上のPが含有す
る場合には、一般には難合金化材と呼ばれ、鋼中のS
i、Mn、Al、Pなどが、鋼板表面の加熱によって、
酸化物として鋼板表層に拡散されるため、これら酸化物
が濃化し、鋼表面を形成する。そのため、これらの酸化
物は、還元炉中でも還元されず、合金化特性を阻害し、
メッキ密着性を悪くする。従ってこれら難合金化材を対
象とした鋼材への合金化溶融亜鉛メッキを高生産性のラ
インにおいて、合金ムラのない、しかも均一外観の優れ
たメッキを可能としたことにある。この条件はメッキ浴
に浸漬した後合金化する際に、合金化特性を阻害するF
e、P酸化膜が残存していないことを示すものである。
る。図1に示す(a)は、亜鉛メッキを施す前の鋼材
(母材)である。この母材の成分系は表1に示す。本鋼
材の発明に必要な要件は、高防錆性である合金化溶融亜
鉛メッキ鋼板において、経済性、点溶接性をそこねるこ
となく、自動車部材用鋼板にとって重要になった強度と
加工性の向上を両立させた技術であり、本発明者は鋭意
検討の結果本発明に至らしめた。各構成要件の限定理由
について詳述する。(Pについては前頁で述べているの
で省略する。)Cは強度確保のために必要であり、最小
限0.003%必要である。しかし、0.10%を超える
と点溶接性が劣化する。そのためCは0.003〜0.1
0%とした。Siは、強度確保のために必要であるが上
限は、経済性、点溶接性を考慮し、1.5%までとし
た。Mnは、強度確保のために必要な元素であり0.7
%以上の含有が必要である。上限は、強度安定性、経済
性、点溶接性などを総合的に判断し1.5%とした。S
は、本発明鋼においては伸びフランジ成型性を劣化させ
る元素であるため徹底的に下げる必要がある。そのため
に0.02%以下にする。Alは、脱酸剤として必要で
ある。0.01%未満ではその効果がなく0.10%を
超えるとアルミナ系介在物が増加し、鋼の延性を劣化さ
せる。
の表層部に形成した1〜20μmの厚さを持つ亜鉛メッ
キ・Fe混合層である。(c)は、亜鉛メッキ・Fe混
合層(b)の表層部に0.001〜0.10μmの厚さを
持つFe2P2O5・P2O3層である。図2は、本発明鋼
板で合金化処理する前の状態を示す。(d)は、鋼材
(母材)(a)の表面に0.001〜0.10μmの厚さ
を持つFe2P2O5・P2O3層である。(e)は、Fe2
P2O5・P2O3層(d)の表層部に0.01〜1μmの
厚さを持つFe層である。(f)は、Fe層(e)の表
層部に1〜20μmの厚さを持つ亜鉛メッキ層である。
冷間圧延後の鋼帯1を予熱炉2で予め加熱した後、鋼板
に対して垂直に火炎を噴射するバーナーを用いた加熱炉
3で鋼帯の表面生成酸化膜量を1000Åを超えない範
囲で制御しながら、加熱した後、次の還元帯である均熱
炉4及び焼鈍炉5に入る前に、加熱炉での、表面生成酸
化膜量を酸化膜厚計6を用いて実測し、この実測値に基
づいて、前記還元能力をヒートサイクル、ラインスピー
ド、還元帯水素濃度を用いて計算し、最適範囲(S領
域)になるように焼鈍炉5で還元をし、更に、入側酸化
膜厚を酸化膜厚計による実測値を用いて、学習計算させ
る。すなわち、前述の計算に基づいた値によって、入側
計算酸化膜厚+a(Å)≦還元能力(Å)≦入側計算酸
化膜厚+b×(酸化膜厚)2(Å)を満足すべき焼鈍条
件を制御するものである。Pの係数値等は計算機内に鋼
種ごとに計算を記憶させるものであるが、計算モデルに
ついて、メインテナンスフリーとするために、学習計算
を行わせることが必要である。この学習計算は入側酸化
膜厚について酸化膜厚計の実測値を用いて、係数値等は
絶えず学習を行うことによって、精度アップを図ってい
る。これによって計算によるフィード、フォワードの制
御精度を高めるものである。引続き徐冷帯7および急冷
帯8にて、800〜820℃の鋼帯温度を450〜50
0℃に急冷する。その後の鋼帯は、ホットブライドル、
スナウトを経て、還元雰囲気状態で亜鉛浴10に浸漬さ
れ、ワイピング装置で付着量が調整され、溶融亜鉛メッ
キ鋼板が得られる。
に示す模式図である。すなわち、図4はFeの酸化、還
元バランス及び鋼中Pの濃化を時間の変化として表した
もので、鋼帯は酸化帯において酸化され、鉄酸化膜厚は
増加する。この際、鋼中に存在しFeよりも酸素との親
和力の強いPと酸化鉄とが反応してP 2 O 3 が生成、さ
らに酸化鉄とP 2 O 3 との反応によって難還元性のFe
2 P 2 O 5 が生成し、Fe 2 P 2 O 5 とP 2 O 3 との混
合層が形成される。続いて帯鋼は還元帯に至る。還元帯
は、Feにとっては還元性雰囲気、一方、Pにとっては
酸化性雰囲気である。従って、還元帯においては、先ず
表層に生成した鉄酸化膜の還元が進行するが、時間t 1
経過後に鉄酸化膜の還元が終了すると、引き続いてPの
濃化が開始される。すなわち、鋼中のPは雰囲気中の酸
素と反応すべく表層にむけて移動し、表層から拡散して
きた酸素との反応によって、P 2 O 3 が生成する。その
結果として、酸化帯で形成されたFe 2 P 2 O 5 とP 2
O 3 との混合層の厚みは増大する。 また、図5は種々の
酸化、還元バランスの軌跡と還元帯出側での層構造とを
模式的に示したもので酸化還元過程は、酸化帯での鉄
酸化膜生成に対して還元帯での鉄酸化膜の還元が不足し
ており、亜鉛浴中に入る際、未だ酸化膜が残っているた
め、メッキ特性は不良となる。一方、酸化還元過程で
は、鉄酸化膜の還元の終了が早すぎ、鉄酸化膜の還元終
了と同時にPの濃化が開始するのでFe 2 P 2 O 5 とP
2 O 3 との混合層の厚みが増大して表層にまで達してい
るため、鋼帯と浴との反応が阻害され、良好な合金化特
性を得ることはできない。また、酸化還元過程では、
Fe 2 P 2 O 5 とP 2 O 3 との混合層の成長時間は酸化
還元過程に比較して短く、混合層は表層には達してい
ないものの、後述する酸化還元過程、に比較して厚
くなっている。この混合層は非常に脆いため、厚く成長
するとしばしばこの部分からの剥離が発生し、その結果
として良好な品位のメッキ鋼板を得ることはできない。
これに対して、、は本発明に係るものであり、鉄酸
化膜の還元が十分に行われ、かつ、混合層の厚みは適正
なる範囲内にあり、メッキ特性及び合金化特性は良好と
なる。すなわち、実操業ラインの種々の操業変動因子に
よらず、安定した品位で均一外観の優れたメッキ密着性
の良好な高 P含有高張力溶融亜鉛めっき鋼板を得るため
には、メッキ前の鋼帯の厚み方向の層構造を以下とする
必要がある。
は、焼鈍前の厚みが0.001μmであり、これ以下に
は成り得ない。また0.1μmを超えると、この部分か
らの剥離が生じるので、これ以下に抑える必要がある。
Fe層の厚みは、メッキ密着性の確保の視点から、0.
01μm以上必要である。また1μmを超えると、脆い
Fe−Zn合金が生成し、加工性が劣化するので、これ
以下に抑える必要がある。その後、鋼帯は亜鉛浴10に
浸漬され、ワイピング装置で付着量が調整されたのち、
500℃〜520℃の温度に合金化加熱炉11で加熱さ
れ、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板が得られる。この処理に
より、図2に示した亜鉛メッキ層(f)はFe層(e)
及び鋼材(母材)中に拡散し、亜鉛メッキ・Fe混合層
を形成する。一方、Fe 2 P 2 O 5 とP 2 O 3 との混合
層(d)は、拡散過程に関係なく、その地点に残り、最
終的に亜鉛メッキ・Fe混合層の表層部に到達し、その
結果、合金化加熱後の鋼帯の層構造は図1に示したもの
となる。亜鉛メッキ・Fe混合層の厚みは、耐食性確保
の観点から1μm以上必要である。また、20μmを超
えると表層部まで合金化処理することが不可能となる。
よって、この厚みは、1〜20μmとする。
メッキの鋼板は耐食性に優れ,自動車用鋼板関係に主に
用いられる。Pbは、0.02%を超えると、界面部が
経時剥離を引きおこすので、これ以下に抑える必要があ
る。Sbは、スパングル模様の核となるもので、最適な
スパングル模様を生成する条件は0.10%以上でかつ
0.30%以下である。これをはずすと生成しない。表
3に亜鉛メッキの成分を示す。この亜鉛メッキ鋼板も主
として、自動車用鋼板関係に用いられる。Alは、0.
05%未満であると、メッキ界面に脆いFe−Zn層が
生成し、メッキ密着性を損なう。0.35%を超える
と、外観が損なわれるため、これ以下に抑える必要があ
る。Pbは、スパングル模様の核となるもので、最適な
スパングル模様を生成する条件は、0.10%以上でか
つ0.30%以下である。これをはずすと生成しない。
2%以上の高P含有鋼の場合には、従来は、メッキ前の
鋼帯の表層部にFe2P2O5 とP2O3 との混合層が
生じ、密着性の良好な亜鉛メッキ鋼板が出来なかった課
題を解決し、メッキ前の鋼帯の表層部にFe層を生成さ
せることによって、合金化特性を改善することができ
る。
図、
O 3 との混合層厚さを時間の変化として模式的に示した
図、
O 3 との混合層厚さの軌跡を模式的に示した図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 鋼材(母材)の成分系及び重量濃度は
C;0.003〜0.10%、Si;0.10%以下、
Mn;0.2〜1.0%、P;0.02〜0.20%、
S;0.02%以下、Al;0.02〜0.10%から
成る鋼材の表層にFe−Zn合金層1〜20μmを付与
せしめ、該合金層の上部にFe 2 P 2 O 5 とP 2 O 3 と
の混合層0.01〜0.10μmを施した事を特徴とす
る高P含有量高張力亜鉛メッキ鋼板。 - 【請求項2】 亜鉛メッキの成分系及び重量濃度はA
l;0.05〜0.35%、Pb;〜0.020%、S
b;0.10〜0.30%から成り、残部はZnである事
を特徴とする特許請求項1記載の高Si含有量高張力亜
鉛メッキ鋼板。 - 【請求項3】 亜鉛メッキの成分系及び重量濃度はA
l;0.05〜0.35%、Pb;0.10〜0.30%か
ら成り残部はZnである事を特徴とする請求項1記載の
高P含有量高張力亜鉛メッキ鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5314992A JP2618306B2 (ja) | 1992-03-12 | 1992-03-12 | 高p含有量高張力亜鉛メッキ鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP5314992A JP2618306B2 (ja) | 1992-03-12 | 1992-03-12 | 高p含有量高張力亜鉛メッキ鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05255829A JPH05255829A (ja) | 1993-10-05 |
JP2618306B2 true JP2618306B2 (ja) | 1997-06-11 |
Family
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP5314992A Expired - Lifetime JP2618306B2 (ja) | 1992-03-12 | 1992-03-12 | 高p含有量高張力亜鉛メッキ鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2618306B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4882446B2 (ja) * | 2006-03-28 | 2012-02-22 | Jfeスチール株式会社 | 溶融亜鉛めっき鋼板および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
-
1992
- 1992-03-12 JP JP5314992A patent/JP2618306B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05255829A (ja) | 1993-10-05 |
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