JP5741364B2 - 接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents
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(x)上記めっき層の鋼板側が、(x1)Mn、Si、Al、及び、Crの酸化物の1種又は2種以上、及び/又は、(x2)Mn、Si、Al、及び、Crの2種以上からなる複合酸化物の1種又は2種以上を内包するZn−Fe合金相であり、
(y)上記めっき層の表層であって、上記酸化物及び/又は複合酸化物を内包するZn−Fe合金相(x)の外側となる表層が、上記酸化物及び/又は複合酸化物を内包しないζ相を含むZn−Fe合金相である
ことを特徴とするめっき接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
前記(1)〜(4)のいずれかに記載の成分組成の鋼板を、水素:0.1〜50体積%、残部:窒素及び不可避不純物からなり、log(PH2O/PH2)が0以下の雰囲気中で、600℃以上のある一定の温度領域(T1以上T2以下の領域)を、6℃/秒以下で最高750〜900℃に加熱して焼鈍し、その後、溶融亜鉛めっきを行い、次いで、420〜500℃で合金化処理を行う
ことを特徴とする接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(x)上記めっき層の鋼板側が、(x1)Mn、Si、Al、及び、Crの酸化物の1種又は2種以上、及び/又は、(x2)Mn、Si、Al、及び、Crの2種以上からなる複合酸化物の1種又は2種以上を内包するZn−Fe合金相であり、
(y)上記めっき層の表層であって、上記酸化物及び/又は複合酸化物を内包するZn−Fe合金相(x)の外側となる表層が、上記酸化物及び/又は複合酸化物を内包しないζ相を含むZn−Fe合金相である
ことを特徴とするめっき接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
Cは、鋼の強度を確保する元素である。0.05%未満では、強度向上効果が期待できず、0.5%を超えると、溶接性が劣化し、本発明鋼板の実用性が低下するので、Cは0.05〜0.5%とする。好ましくは0.1〜0.4%である。
Mnは、鋼の強度を確保する元素である。また、Mnは、焼鈍時、鋼板の表面近傍の結晶粒の粗大化を抑制する内部酸化物を形成する元素である。0.01%未満では、添加効果が期待できず、3.0%超では、溶接性が劣化し、本発明鋼板の実用性が低下するので、Mnは0.01〜3.0%とする。好ましくは0.07〜3.0%である。
Siは、鋼の強度を確保する元素である。また、Siは、焼鈍時、鋼板の表面近傍の結晶粒の粗大化を抑制する内部酸化物を形成する元素である。3.0%を超えると、粗大な内部酸化物が生成して、めっき層が剥離し易くなるので、Siは3.0%以下とする。好ましくは2.0%以下である。下限は0%を含むが、添加する場合は0.01%以上が好ましい。
Alは、鋼を脱酸する元素である。また、Alは、焼鈍時、鋼板の表面近傍の結晶粒の粗大化を抑制する内部酸化物を形成する元素である。2.0%を超えると、粗大な介在物及び内部酸化物が生成して、加工性が低下し、また、めっき層が剥離し易くなるので、Alは2.0%以下とする。高い加工性を確保する観点から、好ましくは1.5%以下である。下限は0%を含むが、添加する場合は0.01%以上が好ましい。
Crは、鋼板の加工性、特に、伸びを損なわずに、鋼の強度を確保する元素である。また、Crは、焼鈍時、鋼板の表面近傍の結晶粒の粗大化を抑制する内部酸化物を形成する元素である。2.0%を超えると、粒界偏析で粒界が脆化し、また、合金化速度が遅くなるので、Crは2.0%以下とする。好ましくは1.5%以下である。下限は0%を含むが、添加する場合は、強度の確保の点で、0.01%以上が好ましい。
Mn、Si、Al、及び、Crは、前述したように、いずれも、焼鈍時、鋼板の表面近傍の結晶粒の粗大化を抑制する内部酸化物を形成する元素である。Mn+Si+Al+Crが0.4%未満であると、内部酸化物の生成量が充分でなく、鋼板の表面近傍の結晶粒が粗大化して、所望の微細組織が得られない。それ故、Mn+Si+Al+Crは0.4%以上とする。好ましくは0.9%以上である。上限は、各元素の上限で定まるが、内部酸化物の過剰な生成を抑制する点で、6.0%以下が好ましい。
Bは、粒界を強化し、2次加工性を改善する元素であるが、めっき性を劣化させる元素でもある。それ故、上限を0.010%とする、好ましくは0.0075%である。下限は特に限定しないが、上記改善効果を確保する点で、0.0001%以上が好ましい。
Pは、鋼の強度を高める元素であるが、鋼板の板厚中央部に偏析して、溶接部を脆化する元素でもある。それ故、上限を0.10%とする。好ましくは0.08%以下である。下限は特に限定しないが、強度向上効果を確保する点で、0.001%以上が好ましい。
7%未満であると、未合金となり、表面外観が悪いだけでなく、プレス時の耐フレーキング性が劣位となる。一方で、15%を超えると、過合金となり、プレス時の耐パウダリング性が劣位となるので、めっき層中のFeは7〜15%とする。
0.01%未満であると、鋼板製造時にめっき層中でZn-Feの合金化反応が過度に進行してしまい、1%を超えると、逆にAlによるZn−Fe合金化反応の抑制効果が顕著になることで、Zn−Fe反応を進行させるためにライン速度を低減させざるを得なくなり、生産性を劣化させるので、めっき層中のAlは0.01〜1%とする。
表1に示す組成の冷延鋼板をめっき原板とし、縦型の溶融めっきシミュレータを用いて、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造した。めっき前の還元焼鈍条件は表2に示す。最高到達温度に達した後の保定温度は100秒とした。
○+:160kgf/mm2以上、180kgf/mm2未満
○:140kgf/mm2以上、160kgf/mm2未満
△:120kgf/mm2以上、140kgf/mm2未満
×:120kgf/mm2未満
2 めっき層
3 内部酸化物
Claims (7)
- 質量%で、C:0.05〜0.50%、Mnを0.01〜3.0%含有し、さらに、Si:3.0%以下、Al:2.0%以下、Cr:2.0%以下の1種又は2種以上を含有し、Mn+Si+Al+Cr:0.4%以上で、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼板の表面に、Fe:7〜15%、Al:0.01〜1%、残部Zn及び不可避的不純物からなるめっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、
(x)上記めっき層の鋼板側が、(x1)Mn、Si、Al、及び、Crの酸化物の1種又は2種以上、及び/又は、(x2)Mn、Si、Al、及び、Crの2種以上からなる複合酸化物の1種又は2種以上を内包するZn−Fe合金相であり、
(y)上記めっき層の表層であって、上記酸化物及び/又は複合酸化物を内包するZn−Fe合金相(x)の外側となる表層が、上記酸化物及び/又は複合酸化物を内包しないζ相を含むZn−Fe合金相である
ことを特徴とするめっき接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - 前記Zn−Fe合金相は、合金化処理時、めっき層から浸入したZnと鋼板中のFeが反応して生成したものであることを特徴とする請求項1に記載の接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記鋼板が、さらに、質量%で、B:0.010%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記鋼板が、さらに、質量%で、P:0.10%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の成分組成の鋼板を、水素:0.1〜50体積%、残部:窒素及び不可避不純物からなり、log(PH2O/PH2)が0以下の雰囲気中で、600℃以上のある一定の温度領域(T1以上T2以下の領域)を、6℃/秒以下で最高750〜900℃に加熱して焼鈍し、その後、溶融亜鉛めっきを行い、次いで、420〜500℃で合金化処理を行う
ことを特徴とする接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 前記焼鈍を、連続式溶融めっき設備の全還元炉で行うことを特徴とする請求項5に記載の接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記溶融亜鉛めっきを、Al:0.01〜1%を含む亜鉛めっき浴を用い、浴温:430〜500℃で行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の接着強度に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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