JP2616039B2 - 生産性に優れ、外観に優れた亜鉛−マンガン合金の電気めつき方法 - Google Patents

生産性に優れ、外観に優れた亜鉛−マンガン合金の電気めつき方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐食性に優れる亜鉛−マンガン合金めっ
き皮膜を、優れた生産性で被めっき物の表面に形成する
ための生産性に優れ、外観に優れた亜鉛−マンガン合金
の電気めっき方法に関するものである。
〔従来の技術〕
鋼板の防食法として従来より亜鉛メッキが広くおこな
われており、亜鉛メッキ鋼板は、建材、家電製品および
自動車など広範な用途に使われている。ところで、近
年、製品の耐久性向上の要求が高まっており、亜鉛メッ
キ鋼板の耐食性をより改善することが強く求められてい
る。
本発明者らは、上記の要求に答えるべく研究を重ねた
結果、従来の亜鉛電気メッキ鋼板と比較して、著しく耐
食性に優れる亜鉛−マンガン合金電気めっき鋼板を開発
して特許出願にいたり、この技術は既に特開昭58-37188
号公報に開示されている。しかしながら、亜鉛−マンガ
ン合金電気めっき鋼板製造時のカソード電解効率は、亜
鉛−鉄合金メッキ、亜鉛−ニッケル合金めっきなどの亜
鉛系合金電気めっき製造時のカソード電解効率に比べか
なり低く、約25〜50%程度でしかない。カソード電解効
率が低いということは、電気めっき鋼板の生産性に劣る
だけでなく、省エネルギーの観点からも好ましくない。
さらに、健全な亜鉛−マンガン合金めっき皮膜を得るた
めの最大電流密度は、攪拌などのめっき条件を同じにし
た場合においては、亜鉛−鉄合金めっき、亜鉛−ニッケ
ル合金めっきの場合の約半分と低い。最大電流密度が低
いということは、カソード電解効率が低いことと同様に
生産性に劣ることを意味し、工業生産上好ましくない。
このように、従来の技術においては、亜鉛−マンガン
合金めっき鋼板の製造において、カソード電解効率およ
び最大電流密度がともに低いため、生産性が劣るという
欠点があった。カソード電解効率が低い理由は、亜鉛と
マンガンとを同時に析出させるために錯化剤としてクエ
ン酸を添加し、亜鉛の析出を卑な電位に移行させた結
果、競争反応である水素発生反応が促進されたためであ
る。また、限界電流密度が低い理由は、金属イオンがク
エン酸と錯体を形成しているため、イオン拡散速度が小
さいためであると考えられる。
これらの問題を解決するために、従来、下記の技術が
開示されている。
硫酸亜鉛および硫酸マンガンを主成分とし、クエン酸
を錯化剤として添加してなる亜鉛−マンガン合金めっき
液にセレン化合物またはテルル化合物を添加することに
より、亜鉛−マンガン合金めっき時のカソード電解効率
を向上させるもの(特開昭60-52590号公報、特開昭60-5
2591号公報)。
セレン、テルル化合物の変わりにチオ硫酸塩、チオー
ル基を有する有機酸の塩類を添加することにより亜鉛−
マンガン合金めっき時のカソード電解効率を向上させる
もの(特開昭62-44593号公報)。
上述の従来技術においては、カソード電解効率は向上
したが健全なめっきが得られる最大電流密度は増加せず
自動車用防錆鋼板として実用化されている、Fe-Znある
いはNi-Zn合金めっきと比較して生産性は未だ低く、こ
の点においてなおも問題が残されていた。
また、本発明のように、テトラフルオロホウ酸系めっ
き浴を用いためっき浴に関する報告は「Battelle Memo
rial Institute」のテクニカルレポート5692(Novembe
r 1952年)の一部に記載されている。この報告書によ
ると、めっき組成、めっき条件、あるいは添加剤など種
々の検討がなされているが、マンガン含有率が最も高い
ものでも35.4wt.%で、この皮膜は茶色で一部粉末化し
ているという非実用的なものであったと報告されてい
る。さらに、このときのカソード電解効率は7.8%と非
常に低いうえ、10A/dm2で既に限界電流密度に達してお
り、テトラフルオロホウ酸系めっき浴が、効率の高いめ
っき浴となり得るとは全く予想されないものであった。
〔発明が解決しようとする課題〕
亜鉛−マンガン合金めっき時のカソード電解効率は、
亜鉛めっき、亜鉛−鉄合金めっき、あるいは、亜鉛−ニ
ッケル合金めっきなどより低く、約25〜50%にすぎな
い。さらに、健全なめっき皮膜が得られる最大電流密度
もまた低い。このように、亜鉛−マンガン合金めっきは
生産性が低いという欠点を有しており工業的実用化のた
め、生産性を高める方法が熱望されていた。
この欠点を克服させる手段としてセレン酸、チオ硫酸
ナトリウムを添加する技術が前述したように出願されて
いる。しかしながら、これらの技術によれば、カソード
電解効率は向上するが、最大電流密度は増加しないの
で、生産性は未だ充分なレベルに至っていない。
従って、この発明は、上記のように亜鉛−マンガン合
金めっきは生産性が低いという問題点を解決するために
なされたものであって、カソード電解効率を増加させる
とともに、健全なめっき皮膜が得られる最大電流密度を
も増加させ、生産性を十分に高めることができる、生産
性に優れ、外観に優れた亜鉛−マンガン合金めっき皮膜
を形成するための電気めっき方法を提供することを目的
とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、カソード電解効率および健全なめっき
皮膜が得られる最大電流密度を増加させるために、従来
にない新しいめっき浴、即ち、クエン酸を用いないめっ
き浴について多くの検討を行った。ここで検討を行った
めっき浴の例を挙げると、硫酸浴、塩化浴、硫酸−塩酸
混合浴、過塩素酸浴、テトラフルオロホウ酸浴などの無
機酸系めっき浴、フェノールスルホン酸浴、サリチル酸
浴などの有機酸系めっき浴である。
その結果、これらのめっき浴のほとんどすべてから工
業的に利用可能な亜鉛−マンガン合金めっきは得られな
かったが、唯一、テトラフルオロホウ酸系浴のみが健全
なめっき皮膜を優れた生産性で製造できることを知見し
た。
この発明は、上述の知見に基づいてなされたものであ
り、亜鉛イオンとマンガンイオンとを含有するめっき浴
中において、被めっき物の表面上に所定量のマンガンが
含有された亜鉛−マンガン合金めっき皮膜を形成する電
気めっき方法において、前記めっき浴中の前記亜鉛イオ
ンとしてテトラフルオロホウ酸亜鉛を使用し、前記めっ
き浴中の前記マンガンイオンとしてテトラフルオロホウ
酸マンガンを使用し、前記めっき浴中に錯化剤を含有し
ないことに特徴を有するものであり、さらに、前記電気
めっき浴中における前記テトラフルオロホウ酸亜鉛およ
び前記テトラフルオロホウ酸マンガンの合計量を、0.25
以上2.5モル/l以下に限定し、そして、亜鉛とマンガン
との金属モル比(Mn/Zn)を5以上50以下に限定し、さ
らに、前記めっき浴のpH値を0.5以上6.0以下に限定し、
前記めっき皮膜のマンガン含有量は5wt.%以上95wt.%
以下に限定することに特徴を有するものである。
次に、この発明の亜鉛−マンガン合金皮膜の形成方法
について説明する。
テトラフルオロホウ酸系浴を用いることにより、広い
合金組成にわたって健全な亜鉛−マンガン合金めっき皮
膜が高電流密度、および、高カソード電解効率で得られ
るメカニズムについては明らかでないが、従来のめっき
浴であるクエン酸を含有した硫酸浴では、めっき金属の
析出がクエン酸と亜鉛、マンガンの錯イオンから起こっ
ているのに対して、本発明のテトラフルオロホウ酸浴は
このような安定な錯イオンからの析出でないため、イオ
ンの放電反応および移動速度が早く、限界電流密度およ
び電解効率が大きいものと考えられる。また、クエン酸
を含有しない硫酸浴、塩化浴、硫酸−塩酸混合浴、過塩
素酸浴などの浴は貴な金属である亜鉛が優先的に析出
し、マンガンがほとんど析出しない。この中には、いく
つか、マンガンが析出したものもあったが、得られた皮
膜は黒変粉末化しており、工業的には実用化出来る物で
はなかった。これに対し、テトラフルオロホウ酸系浴で
はテトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)の存在により亜
鉛の析出が分極され、そのため亜鉛の析出電位がマンガ
ンのそれに近づき、両金属が同時に析出でき、広い合金
組成にわたってめっき皮膜が得られるものと推察でき
る。
次に、めっき浴組成を上述のように限定した理由を以
下に述べる。
(1)浴中のテトラフルオロホウ酸亜鉛およびテトラフ
ルオロホウ酸マンガンの合計のモル濃度が0.25モル/l未
満だと、限界電流密度が激減し、高電流密度において健
全なめっきが得られなくなり、本発明の高限界電流密度
という特徴が消えてしまう。一方、2.5モル/lを超えて
も、限界電流密度の向上効果はほぼ飽和し、薬液コスト
を考慮すると大きなメリットは得られない。従って、浴
中のテトラフルオロホウ酸亜鉛およびテトラフルオロホ
ウ酸マンガンの合計のモル濃度は0.25以上2.5モル/l以
下に限定することが好ましい。
(2)亜鉛とマンガンとの金属モル比(Mn/Zn)が5未
満では亜鉛の優先析出傾向が強まり、マンガンの析出が
抑制され、マンガン含有率5wt.%以上の合金皮膜が得ら
れない。一方、50を超えると、めっき浴中の亜鉛イオン
濃度がかなり少なく、めっき浴の濃度管理が非常に困難
になる。従って、亜鉛とマンガンとの金属モル比(Mn/Z
n)は5以上50以下に限定することが好ましい。
(3)pH値を低下させるとマンガンの析出は抑えられる
傾向にある。pH値が0.5未満ではマンガンの析出が困難
で、その上、水素発生反応が起こり易くなるためカソー
ド電解効率が低下し好ましくない。一方、pH値が6.0を
超えると、亜鉛イオンおよびマンガンイオンが水酸化物
を生成し、沈澱してしまう。従って、pH値は0.5以上6.0
以下に限定することが好ましい。
(4)亜鉛−マンガン合金めっき皮膜のマンガン含有量
が5Wt%未満であると、亜鉛めっき皮膜と耐食性におい
て変わらなく、一方、95Wt%を超えるとめっき皮膜が酸
化されやすくなり保管中に表面が茶色に変色しやすく外
観上好ましくない。従って亜鉛−マンガン合金めっき皮
膜のマンガン含有量は、5Wt.%以上95Wt%以下に限定す
ることが好ましい。
(5)ホウ酸はテトラフルオロホウ酸イオンの加水分解
により、遊離フッ素イオンが生成するのを抑制する効果
がある。このフッ素イオンはめっき金属イオンと沈澱物
を生成するため、好ましくないイオンである。すなわ
ち、テトラフルオロホウ酸イオンの分解を抑え、めっき
液の寿命を長くするためにはホウ酸を添加することが望
ましい。しかし、一方では、ホウ酸の添加が50g/lを超
えると、カソード電解効率は急激に低下してしまう。従
って、ホウ酸添加量は50g/l以下に限定することが好ま
しい。
上述したように、本発明は従来技術と比較して生産性
を非常に高めたものである。ここで、電力コストを考慮
すると省電力にはめっき浴の電導度を向上させることが
有効である。そのためにはテトラフルオロホウ酸ナトリ
ウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウムなどの添加が
有効である。また、テトラフルオロホウ酸系めっき浴か
ら得られる皮膜中には微小量のフッ素が検出されるが、
これはテトラフルオロホウ酸系めっき浴から得られる皮
膜の取扱上問題になるレベルの量ではなく、種々の性能
に全く影響を与えない。
次に、この発明を実施例によって更に詳細に説明す
る。
〔実施例1〕 冷延鋼板を脱脂し、酸洗した後、第1表に示す、本発
明範囲内のめっき浴組成、および、電解条件によって、
前記冷延鋼板に電気メッキを施した。めっき浴のpH値の
調整は、pH値を低下させるためにはテトラフルオロホウ
酸を添加し、一方、上昇させるためには水酸化ナトリウ
ムを用いた。このとき得られたZn-Mn合金の組成および
カソード電解効率を第3表に実施例No1〜3として示
す。また、比較例として、第2表に示す、本発明範囲外
の、クエン酸−硫酸のめっき浴組成、および、電解条件
によって、前記冷延鋼板に電気メッキを施した。このと
き得られたZn-Mn合金の組成およびカソード電解効率を
第4表に比較例No1〜9として示す。
第1表〜第4表から明らかなように、本発明のテトラ
フルオロホウ酸系めっき浴で電気めっきを行った実施例
No1〜3は、電流密度80A/dm2においてもめっき焼けはみ
られず、限界電流密度が非常に高いことがわかる。さら
に、カソード電解効率も高く、高い効率で健全なめっき
が得られることがわかる。これに対して、従来浴の比較
例は、45A/dm2の電流密度ですでにめっき焼けがみら
れ、ほぼ限界電流と考えられる40A/dm2のときのカソー
ド電解効率は40%であり、限界電流密度およびカソード
電解効率がともに低い。従来浴は、pH値を下げると比較
例のようにカソード電解効率が増すが、pH値を5.2まで
下げると沈澱の生成がみられ、pH値を下げることによる
カソード電解効率の向上効果はあまり期待できない。ま
た、一般に限界電流密度を向上させるためには、めっき
浴の金属イオン濃度をあげれば良いが、この従来浴で健
全なめっき皮膜を得るためには、金属イオン濃度に比例
して錯化剤であるクエン酸ソーダの量も増加させなけれ
ばならないため、浴濃度の増加はかえって限界電流密度
およびカソード電解効率の低下を起こしてしまう。この
ように、従来浴を用いた場合の生産性は、浴組成の検討
により若干の向上がみられるが、本発明の実施例は従来
浴と比べて、生産性に大きく優れることがわかる。
〔実施例2〕 冷延鋼板を脱脂し、酸洗した後、本発明範囲内のめっ
き浴組成で、めっき浴のテトラフルオロホウ酸亜鉛とテ
トラフルオロホウ酸マンガンとの合計のモル数を0.25〜
2.5モルと変えて、前記冷延鋼板に電気メッキを施し
た。ホウ酸濃度は25g/l、温度は50℃とした。めっき浴
のpH値の調整は、pH値を低下させるためにはテトラフル
オロホウ酸を添加し、一方、上昇させるためには水酸化
ナトリウムを用いた。このとき得られたZn-Mn合金の組
成およびカソード電解効率を第5表に実施例No1〜3と
して示す。また、めっき浴のテトラフルオロホウ酸亜鉛
とテトラフルオロホウ酸マンガンとの合計のモル数を0.
2モル/l、および、3.0モル/lとし、前記冷延鋼板に電気
メッキを施した。このとき得られたZn-Mn合金の組成お
よびカソード電解効率を第5表に実施例No4〜5として
示す。
第5表から明らかなように、実施例No1〜3において
は55A/dm2の電流密度においてもめっき異常はみられ
ず、73%以上の高いカソード電解効率でめっき皮膜が形
成されている。また、めっき浴のテトラフルオロホウ酸
亜鉛とテトラフルオロホウ酸マンガンとの合計のモル数
が0.2モル/lである実施例No4では、めっき状態が実施例
No1〜3ほど良好ではない。めっき浴のテトラフルオロ
ホウ酸亜鉛とテトラフルオロホウ酸マンガンとの合計の
モル数が3.0モル/lである実施例No5では健全なめっき皮
膜が高電流密度および高カソード電解効率で得られてい
るが、これより低い合計モル数におけるカソード電解効
率と結果が同じで、高濃度にするメリットは少なく、薬
液コストの問題も残る。従って、めっき浴のテトラフル
オロホウ酸亜鉛とテトラフルオロホウ酸マンガンとの合
計のモル数は、0.25以上2.5モル/lの範囲が好ましいこ
とがわかる。
〔実施例3〕 冷延鋼板を脱脂し、酸洗した後、本発明範囲内のめっ
き浴組成で、めっき浴のテトラフルオロホウ酸亜鉛とテ
トラフルオロホウ酸マンガンとのモル濃度比(モル比・
Mn/Zn)を5〜50と変えて、前記冷延鋼板に電気メッキ
を施した。ホウ酸濃度は25g/l、温度は50℃とした。め
っき浴のpH値の調整は、pH値を低下させるためにはテト
ラフルオロホウ酸を添加し、一方、上昇させるためには
水酸化ナトリウムを用いた。このとき得られたZn-Mn合
金の組成およびカソード電解効率を第6表に実施例No1
〜4として示す。まためっき浴のテトラフルオロホウ酸
亜鉛とテトラフルオロホウ酸マンガンとの濃度比を2、
および、60とし、前記冷延鋼板に電気メッキを施し、こ
のとき得られたZn-Mn合金の組成およびカソード電解効
率を第6表に実施例No5、6として示す。
第6表から明らかなように、実施例No1〜4のように
濃度比を5以上とすることにより、マンガン含有率5%
以上の皮膜が高電流密度、高カソード電解効率で形成さ
れることがわかる。また、濃度比が2である実施例No5
では、マンガンの析出が非常に困難となり、皮膜のマン
ガン含有率は0.5%にすぎず、亜鉛−マンガン合金メッ
キの特徴である高い耐食性が得られにくい問題が残る。
また、濃度比が60である実施例No6では、マンガン含有
率92%の皮膜がカソード電解効率80%で得られている
が、めっき浴中の亜鉛イオン量は1.4g/lと少なく、めっ
き浴の管理が困難であるいう問題が残り、めっき浴のテ
トラフルオロホウ酸亜鉛とテトラフルオロホウ酸マンガ
ンとのモル濃度比は5以上50以下の範囲が好ましいこと
がわかる。
〔実施例4〕 冷延鋼板を脱脂し、酸洗した後、本発明範囲内のめっ
き浴組成で、めっき浴のpH値をを0.5〜6.0と変えて、前
記冷延鋼板に電気メッキを施した。ホウ酸濃度は25g/
l、温度は50℃とした。めっき浴のpH値の調整は、pH値
を低下させるためにはテトラフルオロホウ酸を添加し、
一方、上昇させるためには水酸化ナトリウムを用いた。
このとき得られたZn-Mn合金の組成およびカソード電解
効率を第7表に実施例No1〜3として示す。また、めっ
き浴のpH値を0.2、および、6.5とし、前記冷延鋼板に電
気メッキを施した。このとき得られたZn-Mn合金の組成
およびカソード電解効率を第7表に実施例No4、5とし
て示す。
第7表から明らかなように、めっき浴のpH値を0.5〜
6.0とすることにより、マンガン含有率5wt.%以上の皮
膜が高電流密度、高カソード電解効率で形成されること
がわかる。また、pH値が0.2である実施例No4では、マン
ガンの析出が抑制され、4wt.%しか析出せず、亜鉛−マ
ンガン合金メッキの特徴である高い耐食性が得らにくい
問題が残る。また、pH値が6.5である実施例No5では、生
産性は実施例と同様に非常に高いが、めっき浴に亜鉛や
マンガンの水酸化物と思われる沈澱が発生することがあ
り、操業上の問題が残る。これらの結果から、めっき浴
のpH値は0.5以上6.0以下の範囲が好ましいことがわか
る。
〔実施例5〕 冷延鋼板を脱脂し、酸洗した後、本発明の範囲内のめ
っき浴組成で、めっき浴のホウ酸濃度を0〜50g/lと変
えて、前記冷延鋼板に電気めっきを施した。ここで、温
度は50℃とした。めっき浴のpH値の調整は、pH値を低下
させるためにはテトラフルオロホウ酸を添加し、一方、
上昇させるためには水酸化ナトリウムを用いた。このと
き得られたZn-Mn合金の組成およびカソード電解効率を
第8表に実施例No1〜9として示す。また、比較例とし
て、ホウ酸濃度を本発明範囲外の75g/lとし、前記冷延
鋼板に電気めっきを施した。このとき得られたZn-Mn合
金の組成およびカソード電解効率を第8表に比較例No1
〜3として示す。第8表から明らかなように、ホウ酸濃
度が75g/lと大きくなると、カソード電解効率が低下す
ることがわかる。前述のようにホウ酸の添加はテトラフ
ルオロホウ酸イオンの分解を抑制する効果があるが、そ
の一方で、50g/lを超えた多量の添加はカソード電解効
率を低下させる弊害を有している。従って、ホウ酸の添
加量は50g/l以下とすることが生産性の点で望ましい。
〔発明の効果〕 以上説明したように、この発明によれば、従来方法と
比べてはるかに高い電流密度およびカソード電解効率
で、被めっき物の表面上に外観に優れた亜鉛−マンガン
合金めっきを形成することができ、非常に優れた生産性
が得られる産業上有用な効果がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浦川 隆之 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 杉本 芳春 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−94590(JP,A) 特公 昭25−329(JP,B1) 特公 昭45−18768(JP,B1)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛イオンとマンガンイオンとを含有する
    めっき浴中において、被めっき物の表面上に所定量のマ
    ンガンが含有された亜鉛−マンガン合金めっき皮膜を形
    成する電気めっき方法において、前記めっき浴中の前記
    亜鉛イオンとしてテトラフルオロホウ酸亜鉛を使用し、
    前記めっき浴中の前記マンガンイオンとしてテトラフル
    オロホウ酸マンガンを使用し、前記めっき浴中に錯化剤
    を含有しないことを特徴とする生産性に優れ、外観に優
    れた亜鉛−マンガン合金の電気めっき方法。
  2. 【請求項2】電気めっき浴中における前記テトラフルオ
    ロホウ酸亜鉛および前記テトラフルオロホウ酸マンガン
    の合計量を、0.25以上2.5モル/l以下に限定し、そし
    て、亜鉛とマンガンとの金属モル比(Mn/Zn)を5以上5
    0以下に限定し、さらに、前記めっき浴のpH値を0.5以上
    6.0以下に限定し、前記めっき皮膜のマンガン含有量は5
    wt.%以上95wt.%以下とすることを特徴とする請求項1
    記載の生産性に優れ、外観に優れた亜鉛−マンガン合金
    の電気めっき方法。
  3. 【請求項3】前記めっき浴中に更にほう酸を50g/l以下
    添加する請求項2記載の生産性に優れ、外観に優れた亜
    鉛−マンガン合金の電気めっき方法。
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