JP2612671B2 - 光学活性なプロピオン酸エステルの製造法 - Google Patents

光学活性なプロピオン酸エステルの製造法

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JP2612671B2
JP2612671B2 JP6054169A JP5416994A JP2612671B2 JP 2612671 B2 JP2612671 B2 JP 2612671B2 JP 6054169 A JP6054169 A JP 6054169A JP 5416994 A JP5416994 A JP 5416994A JP 2612671 B2 JP2612671 B2 JP 2612671B2
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オリオン−ユヒチュメ オサケ ユキチュア フェルミオン
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    • C12P41/003Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture by ester formation, lactone formation or the inverse reactions
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明の目的は、一般式(I):
【0002】
【化4】
【0003】(式中、Xは−NO2 、−NH2 、−NH
COCH3 、−NHCOCF3 、−NHCO2 CH3
−NHCO2 C(CH3 3 または−NHCHOであ
り、R1はアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基
またはプロピル基などのC1 〜C6 のアルキル基であ
る)で表わされる、光学的に純粋な(2S,3S)−お
よび(2R,3R)−スレオ−アルキル−2−ヒドロキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)−3−(2−X−フ
ェニルチオ)−プロピオン酸エステル、または一般式
(II):
【0004】
【化5】
【0005】(式中、XおよびR1 は前記に同じであ
り、Rはメチル基、エチル基またはプロピル基などのC
1 〜C6 のアルキル基である)で表わされる対応するア
シル化された化合物の新規な製造法である。
【0006】これらの化合物は、式(III):
【0007】
【化6】
【0008】で表わされるジルチアゼムの合成において
重要な中間体として用いることができる。ジルチアゼム
の絶対配置は(2S,3S)である。臨床の使用におい
てジルチアゼムは最も有望なカルシウムチャンネル阻害
剤のうちの1つである。
【0009】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
(±)−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニ
ル)−3−(2−アミノフェニルチオ)プロピオン酸お
よび(±)−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェ
ニル)−3−(2−アミノフェニルチオ)プロピオン酸
エステルの分離が、DE3337176およびUS49
08469の特許公報に記載されており、光学活性なア
ミノ酸(L−リジン)または酒石酸を用いたジアステレ
オマー塩の形成による、(2−ニトロフェニルチオ)プ
ロピオン酸の対応するエナンチオマーの分離は、出版物
「ケミカル アンド ファーマシューティカル ブレチ
ン(Chemical and Pharmaceutical Bulletin)」37(1
989)、3204〜3208に記載されている。
【0010】従来、(2S,3S)−スレオ−アルキル
−2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシフェニル)−3
−(2−X−フェニルチオ)プロピオン酸エステルの生
体触媒による(biocatalytical)唯一の製造法は、ラセミ
の(racemic) スレオ−メチル−2−アシロキシ−3−
(4−メトキシフェニル)−3−(2−ニトロフェニル
チオ)プロピオン酸エステル(IIa)をリパーゼを触
媒として加水分解することが記載されている(ケミカル
アンド ファーマシューティカル ブレチン、37
(1989)2876〜2878)。一般式(I)およ
び(II)のタイプ(type)の化合物はあまり水に溶けな
いので、酵素的な加水分解はゆっくり進行する。このた
め、反応は水で飽和された有機溶媒中で行なわなければ
ならないのである。さらに、反応はカイネティックコン
トロール(kinetic control) にもとづいている。このた
め、光学活性な生成物の光学純度をできる限り高くしよ
うとするならば、その収率は低くなる。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式
(I):
【0012】
【化7】
【0013】(式中、Xは−NO2 、−NH2 、−NH
COCH3 、−NHCOCF3 、−NHCO2 CH3
−NHCO2 C(CH3 3 または−NHCHOであ
り、R1はアルキル基である)で表わされるラセミ化合
物をシュードモナス・セパシア由来のリパーゼを触媒と
して無水有機溶媒中でアシル化することからなる、一般
式(I):
【0014】
【化8】
【0015】(式中、XおよびR1 は前記に同じ)で表
わされる(2S,3S)−スレオ−アルキル−2−ヒド
ロキシ−3−(4−メトキシフェニル)−3−(2−X
−フェニルチオ)プロピオン酸エステルおよび一般式
(II):
【0016】
【化9】
【0017】(式中、XおよびR1 は前記に同じであ
り、RはC1 〜C6 のアルキル基である)で表わされる
(2R,3R)−スレオ−アルキル−2−アシロキシ−
3−(4−メトキシフェニル)−3−(2−X−フェニ
ルチオ)プロピオン酸エステルの製造法に関する。ここ
で、R1 で示されるアルキル基がC1 〜C6 のアルキル
基である製造法、リパーゼが、単離された粉末状で用い
られるか、またはセライト(Celite)もしくはクロモソル
ブ(Chromosorb)に固定されている製造法、酸無水物、ビ
ニルエステルまたは酢酸アセトンオキシム(acetoneoxim
e acetate)をアシル化試薬として用いる製造法、溶媒と
して前記一般式(I)および(II)で表わされる化合物
が溶解する無水有機溶媒を用いる製造法、反応温度が2
0℃〜60℃である製造法、(2S,3S)形の化合物
(I)を、分別結晶法またはクロマトグラフィーによっ
て、(2R,3R)形の化合物(II)から分離しうる製
造法が好ましい。
【0018】本発明の目的は、簡単な酵素的な方法でラ
セミのスレオ−アルキル−2−ヒドロキシ−3−(4−
メトキシフェニル)−3−(2−X−フェニルチオ)プ
ロピオン酸エステル(I)を分割することであり、これ
は無水有機溶媒中での化合物(I)の2位の第二級水酸
基の、生体触媒による、実際ほとんどエナンチオ特異的
な(enantiospecific) アシル化反応にもとづくものであ
る。化合物(I)および(II)が溶解する種々の無水
有機溶媒が溶媒として用いられる。たとえば、テトラヒ
ドロフラン(以下、THFという)、ジエチルエーテ
ル、トルエン、酢酸ビニル、ジイソプロピルエーテルな
どがあげられる。酵素としてのタンパク質は有機溶媒に
は溶けないので、基質および生成物が選択された溶媒に
溶けるということにとくに注意しなければならない。記
載した方法の利点はそのつぎの反応に関して化合物
(I)が安定であることである。反応収率は緩やかな条
件では良好である。反応温度は20℃〜60℃が好まし
い。記載した生体触媒による分割は、ラセミ混合物の
「逆の(wrong) 」エナンチオマーとアキラルな基質との
選択的な反応にもとづくものであり、ジアステレオマー
の生成にもとづくものではないということも好都合であ
る。ジアステレオマーの生成と類似の化学的分割におい
ては、光学的に純粋な化合物(たとえば、L−リジン)
の入手しやすさ、ジアステレオマーの分解(dismountin
g) 、たとえば遊離の(liberated) L−リジンの単離、
および1つの分割から別の分割へそれをリサイクルする
ことが要求される。本発明の反応では、アシル化されて
いない(2S,3S)−エナンチオマーを、あとで記載
する方法を用いて(2S,3S)−シス−ジルチアゼム
の製造に用いることができる。
【0019】
【実施例】化合物(I)において、Xが−NO2 である
ものを(Ia)とし、X=−NH2 のものを(Ib)と
し、X=−NHCOCH3 のものを(Ic)とし、X=
−NHCOCF3 のものを(Id)とし、X=−NHC
2 CH3 のものを(Ie)とし、X=−NHCO2
(CH3 3 のものを(If)とし、X=−NHCHO
のものを(Ig)と称することにする。
【0020】生体触媒として、種々の市販のリパーゼに
ついて、それ自体で(たとえば、単離された粉末状で)
または固体支持体(セライト(登録商標(registered tr
adename) またはクロモソルブ(登録商標))に固定し
た状態のいずれで用いることもできる。リパーゼとし
て、ムコール・ミーハイ(Mucor miehei)由来(バイオキ
ャタリスト(Biocatalysts)社(イギリス)製)、キャン
ディダ・リポリティカ(Candida lypolytica)由来(バイ
オキャタリスト社製)、キャンディダ・シリンドラセア
(Candida cylindracea) 由来(シグマ(Sigma) 社製)、
キャンディダ・シリンドラセア由来(AY30、天野製
薬(株)製)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus n
iger) 由来(AP−6、天野製薬(株)製)およびシュ
ードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia) 由来(リ
パーゼPS、天野製薬(株)製)のものなどがあげられ
るが、そのうち、天野製薬(株)のリパーゼPSがとく
に好ましい。ほとんどのばあい、リパーゼは実際エナン
チオ特異的に作用する。すなわち、反応は50%の転化
率で停止し、分割生成物(ラセミ混合物の未反応の(2
S,3S)形のエナンチオマー(I)および(2R,3
R)形の反応生成物(II))は、光学的に純粋な物質
としてほとんど100%の収率で単離することができ
る。固定化したリパーゼの活性は、無処理の酵素の活性
と比較したばあい、相乗的で(multiple)あり、固定化し
た酵素の活性は再使用しても、より長く持続する。
【0021】本発明の方法の特徴は、一般式(I):
【0022】
【化10】
【0023】(式中、Xは−NO2 、−NH2 、−NH
COCH3 、−NHCOCF3 、−NHCO2 CH3
−NHCO2 C(CH3 3 または−NHCHOであ
り、R1はアルキル基、好ましくはメチル基、エチル基
またはプロピル基などのC1 〜C6 のアルキル基であ
る)で表わされるラセミ化合物のエナンチオマーを、無
処理の市販の酵素または固体支持体に固定化した酵素の
存在下、有機溶媒中20℃〜60℃の温度で適当なアシ
ル化試薬と反応させて、一般式(II):
【0024】
【化11】
【0025】(式中、XおよびR1 は前記に同じであ
り、Rはメチル基、エチル基またはプロピル基などのC
1 〜C6 のアルキル基である)で表わされるアシル化さ
れた(2R,3R)−スレオ−アルキル−2−アセトキ
シ−3−(4−メトキシフェニル)−3−(2−X−フ
ェニルチオ)プロピオン酸エステルを生成させ、これを
未反応の(2S,3S)形のエナンチオマー(I)か
ら、クロマトグラフィーによって、またはジエチルエー
テルまたはトルエンから分別結晶法によって、分離して
えることである。
【0026】有用な医薬物質ジルチアゼムは、(2S,
3S)形のエナンチオマー(I)から保護基を除去した
のち(およびXがNO2 であればニトロ基を還元したの
ち)、式(IV):
【0027】
【化12】
【0028】で示される(2S,3S)形の酸をラクト
ン化することにより、えられる。
【0029】式(Va):
【0030】
【化13】
【0031】で示されるラクタムのアミノアルキル化
は、たとえば溶媒としてトルエンおよびN−メチルピロ
リジン−2−オンの混合物を、塩基として炭酸カリウム
を用いることにより行なわれる。こうしてえられる式
(Vb):
【0032】
【化14】
【0033】で示されるアミノアルキル化された中間体
は、無水酢酸でアシル化され、えられるジルチアゼム
(III)はエタノールからその塩酸塩として結晶化さ
れる。
【0034】本発明の方法を用いることによって、リパ
ーゼの特異性を用いて有機溶媒中で対応する(2R,3
R)形のエナンチオマーをアシル化するとき、立体化学
的に純粋な(2S,3S)形の化合物(I)を製造する
ことができる。化合物(Ia)のばあい、チオフェノー
ル環の2位のNO2 基は、ジルチアゼムを合成するため
にはNH2 基に還元しなければならない。化合物(I
b)のばあい、酵素的なアシル化とともに、つねにいく
ばくかの、チオフェノール環のNH2 基の非酵素的なア
シル化がおこる。そのため、前記のNH2 基が分割前に
適当な保護基で保護されるならば、最終的な結果は生成
物の性質の観点からするとよりあいまいでなく(unambig
uous) なる。化合物(Ic)、(Id)、(Ie)、
(If)または(Ig)を製造する際、アミノ基の保護
および分割後の保護基の除去は通常の方法で行なわれ
る。
【0035】本発明の方法によれば、立体的に束縛され
た(hindered)アルコール(I)をアシル化するのに充分
効果的で、反応が適度な時間に完結するようなアシル化
試薬であれば、どんなものでも用いることができる。ま
た、アシル化試薬ゆえに、エステル交換反応の平衡がで
きる限り完全に生成物を生成するのに有利に働く(favou
rs) ということも必要である。酸無水物、オキシムエス
テル、ビニルエステルおよび2,2,2−トリフルオロ
エチル酢酸エステルなどの活性化されたエステルなどが
アシル化試薬として好ましい。たとえば、(CH3
O)2 O、(PrCO2 )O、CH3 CO2 CH=CH
2 、CH3 CO2 −N=C(CH3 2 、CH3 CO2
C(CH3 )=CH2 などがあげられる。ビニルエステ
ルなどの、ある種のアシル化試薬は溶媒として用いるこ
ともできる。ほかの好ましい溶媒としては、酵素をまず
反応混合物から濾過によって除去し、未反応の(2S,
3S)体(I)を濃縮後分別結晶法によって単離するな
ら、とりわけジエチルエーテルおよびトルエンがあげら
れる。
【0036】以下に例をあげて本発明を説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】実施例1 リパーゼPSの特異性およびラ
セミアルコール(Ia)〜(Ig)のアシル化 方法A ラセミアルコール(Ia)〜(Ig)(R1 はCH3
たはCH2 CH3 )のうちの1つに関して0.05Mで
あり、酢酸ビニルもしくは酢酸アセトンオキシム、無水
酢酸または無水酪酸などのアシル化試薬に関して0.2
Mである、有機溶媒1mlを、市販のリパーゼPSが一
定量入った反応容器に加えた。使用した試薬、溶媒およ
び酵素の分析結果をそれぞれ表1に示す。反応混合物を
表1に記載の温度で振とう器中で効果的に振とうした。
反応の進行は適当な間隔で反応混合物をサンプリングす
ることによって追跡し、酵素を濾過によって除去したの
ち、サンプルを液体クロマトグラフ(カラム:C−1
8、溶離剤:MeOH/H2O=70/30)に注入し
た。反応は約50%の転化率で停止した。過剰の未反応
の(2S,3S)形のエナンチオマーを、HPLC法
(カラム:キラルセル(Chiralcel) OG(商品名、キラ
ルなHPLCカラム)、溶離剤:ヘキサン/イソプロピ
ルアルコール=70/30)によって、反応混合物から
採取したサンプルから直接検出した。化合物(Ia)、
(Ib)および(Ic)のばあい、エナンチオマーはH
PLCの条件では完全には分離しない。このため、e.
e.の値はEu(hfc)3 の存在下で 1H NMR分
光法によっても決定したのである。
【0038】方法B 用いる酵素は使用前に固体支持体に固定した。そのた
め、0.4gのリパーゼPSを20mMのTRIS:H
Cl−バッファー(pH8.0)15mlにアイスバッ
チ(icebatch)を用いて溶解した。これにサッカロース
240mgおよび4gの支持物質(セライト(アルドリ
ッチ(Aldrich )社製)またはクロモソルブ101(8
0〜100メッシュ、シグマ社製)を加えた。混合物は
10〜15分間撹拌した。酵素調製物(preparation )
は室温にてガラス上で乾燥させた。
【0039】化合物(Ia)〜(Ig)(R1 =C
3 )の酢酸ビニルによるアシル化は、酵素調製物の量
を秤量することおよび含有されるリパーゼPSの量が表
1に与えられている量と一致することを除いて、方法A
に示されているように行なった。使用した試薬、溶媒な
どは同じく表1に示した。
【0040】方法AおよびBからえられた結果を表1に
示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】実施例2 (2S,3S)体(Ia)およ
び(2R,3R)体(IIa)の製造 THF60mlに1.1g(0.0030mol)のラ
セミ化合物(Ia)(R1 =CH3 )および0.80m
l(0.0085mol)の酢酸無水物を溶解させたも
のを、6gの酵素(リパーゼPS)の入った反応容器に
加えた。反応混合物を室温で2日間振とうし、その後反
応は停止した。濾過により酵素を分離し、THFを蒸発
させた。ジクロロメタンに溶解させた残渣を飽和のNa
HCO3溶液および水で洗浄した。(2S,3S)体
(Ia)および(2R,3R)体(IIa)(R=CH
3 )は、溶離剤としてCH2 Cl2 /ヘキサン/酢酸エ
チル(63/31/6)の混合物を用いてフラッシュク
ロマトグラフィーで(flash-chromatographically )分
離した。その結果、実施例1のHPLC法によれば光学
的に純粋な生成物である、未反応の出発物質(Ia)
0.56g(0.0015mol)、および化合物(I
Ia)(R=CH3 )0.63g(0.0015mo
l)がえられた。両方の化合物とも、同じく 1H NM
R分光法による測定(Ia:CO2 Me、Eu(hf
c)3 をシフト試薬として用いたとき、σ=3.84お
よび3.94)によって、光学的に純粋(e.e.>>
95%)であった。
【0044】調製された前記の光学的に純粋な化合物
(Ia)の絶対配置を決定するために、対応する酸に加
水分解した。前記の分離された化合物(Ia)0.39
gをメタノールおよびNaOH溶液(0.5M)2/1
の混合物15mlに溶解した。加水分解が完結したと
き、反応混合物を塩酸を用いて酸性にすることによって
生成した酸は沈澱した。えられた酸の融点は113〜1
14℃であり、
【0045】
【数1】
【0046】であった。酸の(2S,3S)形のエナン
チオマーに対して対応する文献での値は融点が111℃
で、
【0047】
【数2】
【0048】である(セヌマ(Senuma)ら、ケミカル
アンド ファーマシューティカル ブレチン、37(1
989)3204)。
【0049】実施例3 化合物(Ib)の分割 酵素を実施例1に記載のようにセライトに固定した。ジ
エチルエーテル40mlに1.33g(0.0040m
ol)の化合物(Ib)(R1 =CH3 )および0.9
2ml(0.0080mol)の酢酸アセトンオキシム
を溶解させたものを、セライトに固定した酵素1.25
g(リパーゼPS 0.2g)の入った反応容器に加え
た。2日後転化率52%で反応を停止した。濾過により
酵素を分離し、未反応の出発物質(Ib)および反応生
成物(IIb)(R=CH3 )を、溶離剤としてCH2
Cl2 /トルエン/酢酸エチル(1/1/1)の混合物
を用いてフラッシュクロマトグラフィーで分離した。そ
の結果
【0050】
【数3】
【0051】および融点107〜109℃である、白色
結晶の化合物(Ib)0.59g(0.0018mo
l)がえられた。固有の旋光度によれば、この化合物は
純粋な(2S,3S)体(Ib)であった(US490
8469では22℃での固有の旋光度は+294°(c
0.5、MeOH)であり、融点は108〜109℃で
あった)。また、この反応では、0.68g(0.00
18mol)の黄色がかった非晶質の化合物(2R,3
R)体(IIb)(R=CH3 )、
【0052】
【数4】
【0053】もえられた。
【0054】実施例4 化合物(Ic)の分割および
(2S,3S)体(Ib)および(2R,3R)体(I
b)の製造 ジエチルエーテル320mlに6.0g(0.016m
ol)のラセミ化合物(Ic)(R1 =CH3 )および
5.5g(0.064mol)の酢酸ビニルを溶解させ
たものを、1.6gの酵素(リパーゼPS)の入った反
応容器に加えた。反応混合物は反応温度44℃で振とう
または混合したのち、48時間で、転化率50%で反応
は停止した。反応の追跡はHPLC法(カラム:C−1
8、溶離剤:MeOH/H2 O=70/30)を用いて
行なった。酵素を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し
た。その後、酵素は再使用することができる。エーテル
溶液は混合して濃縮した。(2S,3S)体(Ic)は
−4℃で反応混合物から結晶化した。粗生成物をジイソ
プロピルエーテルから再結晶させると、
【0055】
【数5】
【0056】および融点128〜129℃である、白色
結晶2.61g(0.0070mol、理論上の収率8
7%)がえられた。フラッシュクロマトグラフィーを用
いると、(2S,3S)体(Ic)の収率は50%であ
った。すなわち分割の理論上の収率は100%であっ
た。
【0057】残った反応混合物から、溶離剤としてトル
エン/酢酸エチル/CH2 Cl2 (1/1/1)を用い
て、3.41g(0.0080mol、理論上の収率1
00%)のアセチル化された反応生成物(2R,3R)
体(IIc)を分離した。生成物は黄色がかった油状物
であり、
【0058】
【数6】
【0059】であった。
【0060】光学的に純粋な(+)−(2S,3S)体
(Ic)0.5g(0.0013mol)を硫酸0.0
052molの存在下メタノール30ml中で18時間
還流した。反応混合物を炭酸水素ナトリウムで中和し、
メタノールを蒸発させた。生成物はジエチルエーテルか
ら再結晶させた。生成物として、
【0061】
【数7】
【0062】および融点108〜110℃である、(2
S,3S)体(Ib)0.42g(0.0013mo
l、98%)をえた。US4908469では、同じエ
ステルの固有の旋光度は22℃において+294°(c
0.5、MeOH)であった。メタノール50ml中で
1.1g(0.0026mol)の(−)−(2R,3
R)体(IIc)(R=CH3 )を同様に(correspond
ingly )還流するとき、
【0063】
【数8】
【0064】および融点108〜109℃である、化合
物の(2R,3R)体(Ib)0.811g(0.00
24mol、94%)がえられた。固有の旋光度にもと
づけば分割生成物は光学的に純粋であった。
【0065】実施例5 (2S,3S)体(Ie)およ
び(2R,3R)体(IIe)の製造 方法A ジエチルエーテル205mlに4.0g(0.0010
mol)のラセミ化合物(Ie)(R1 =CH3 )およ
び3.5g(0.0041mol)の酢酸ビニルを溶解
させたものを、1.03gの酵素(リパーゼPS)の入
った反応容器に加えた。反応混合物は室温にて振とうす
ることによって効果的に撹拌した。液体クロマトグラフ
ィー(カラム:C−18、溶離剤:MeOH/H2 O=
80/20)を用いたところ、反応は2日間で(転化率
50%で)完結していることがわかり、HPLCの測定
(カラム:キラルセルOG、溶離剤:ヘキサン/イソプ
ロピルアルコール=70/30)によれば、未反応の
(2S,3S)形のエナンチオマー(Ie)は光学的に
純粋であった(e.e.100%)。酵素を濾取し、再
使用するため洗浄した。えられたエーテル溶液をあわせ
て濃縮して、(2S,3S)体(Ie)は−4℃で結晶
化させた。粗生成物をジイソプロピルエーテルから再結
晶させた。収量は1.39g(理論上の収率の70%)
であり、
【0066】
【数9】
【0067】および融点119〜121℃である白色結
晶であった。HPLCの測定によれば、生成物は光学的
に純粋であった。
【0068】残った反応混合物から、溶離剤としてトル
エン/ジエチルエーテル(2/1)を用いたフラッシュ
クロマトグラフィーで、2.15g(0.005mo
l、100%)の油性生成物(2R,3R)体(II
e)を分離した。生成物は
【0069】
【数10】
【0070】であった。
【0071】2日間の反応時間で反応混合物から濾過さ
れた酵素の再使用の効果を表2に示す。それぞれにおい
て反応は50%の転化率まで進行し、(2S,3S)体
(Ie)が光学的に純粋にえられ、反応時間は長くなっ
た。
【0072】
【表3】
【0073】方法B 実施例1に記載のように酵素をセライトに固定した。ジ
エチルエーテル240mlに4.64g(0.0119
mol)のラセミ化合物(Ie)(R1 =CH3 )およ
び4.1g(0.047mol)の酢酸ビニルを溶解さ
せたものを、前記の調製されたセライトに固定した酵素
5.51g(リパーゼPS 0.475g)の入った反
応容器に加えた。反応は1日で50%の転化率で停止し
た。反応混合物の処理(work-up )は方法Aと同様であ
る。(2S,3S)体(Ie)の収量は1.90g(8
2%)であり、
【0074】
【数11】
【0075】および融点118〜119℃である白色結
晶であった。(2R,3R)体(IIe)(R=C
3 )の収量は2.46g(93%)であり、
【0076】
【数12】
【0077】であった。
【0078】1日間の反応時間で反応混合物から濾過さ
れた酵素の調製物(preparate )の再使用の効果を表3
に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】本発明の方法によれば、簡単な酵素的な
方法で、スレオ−アルキル−2−ヒドロキシ−3−(4
−メトキシフェニル)−3−(2−X−フェニルチオ)
プロピオン酸エステルのラセミ化合物を分割することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マルチ ヒュテーネン フィンランド共和国、02700 エスポー、 ヘイシプーンクヤ 2アー 1

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、Xは−NO2 、−NH2 、−NHCOCH3
    −NHCOCF3 、−NHCO2 CH3 、−NHCO2
    C(CH3 3 または−NHCHOであり、R1はアル
    キル基である)で表わされるラセミ化合物をシュードモ
    ナス・セパシア由来のリパーゼを触媒として無水有機溶
    媒中でアシル化することからなる、一般式(I): 【化2】 (式中、XおよびR1 は前記に同じ)で表わされる(2
    S,3S)−スレオ−アルキル−2−ヒドロキシ−3−
    (4−メトキシフェニル)−3−(2−X−フェニルチ
    オ)プロピオン酸エステルおよび一般式(II): 【化3】 (式中、XおよびR1 は前記に同じであり、RはC1
    6 のアルキル基である)で表わされる(2R,3R)
    −スレオ−アルキル−2−アシロキシ−3−(4−メト
    キシフェニル)−3−(2−X−フェニルチオ)プロピ
    オン酸エステルの製造法。
  2. 【請求項2】 R1 で示されるアルキル基がC1 〜C6
    のアルキル基である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 酸無水物、ビニルエステルまたは酢酸ア
    セトンオキシムをアシル化試薬として用いる請求項1
    たは2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 溶媒として、前記一般式(I)および
    (II)で表わされる化合物が溶解する無水有機溶媒を
    用いる請求項1、2または3記載の製造法。
  5. 【請求項5】 反応温度が20℃〜60℃である請求項
    1、2、3または4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 (2S,3S)形の化合物(I)を、分
    別結晶法またはクロマトグラフィーによって、(2R,
    3R)形の化合物(II)から分離しうる請求項1、
    2、3、4または5記載の製造法。
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