JP2611887B2 - 油圧圧着式クラッチ - Google Patents

油圧圧着式クラッチ

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JP2611887B2
JP2611887B2 JP3157556A JP15755691A JP2611887B2 JP 2611887 B2 JP2611887 B2 JP 2611887B2 JP 3157556 A JP3157556 A JP 3157556A JP 15755691 A JP15755691 A JP 15755691A JP 2611887 B2 JP2611887 B2 JP 2611887B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油圧圧着式クラッチに
係り、特に温度の変化にかかわらず常にクラッチディス
クとクランクシャフトに固定された油圧装置の本体の摩
擦部材との距離を最適な状態として滑らかにかつ速やか
にクラッチの断接を行うことができるようにした油圧圧
着式クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、手動変速式のトランスミッション
又は該手動変速式のトランスミッションを流体圧シリン
ダを採用したアクチュエータにより自動変速化したトラ
ンスミッションにおいては、乾式又は湿式等の機械式ク
ラッチが必要であり、特にクラッチの耐久性を向上さ
せ、またクラッチの断接を敏速に行わせるために油圧圧
着式クラッチが提案されている。
【0003】しかし、従来の油圧圧着式クラッチにおい
ては、クラッチカバーとクラッチディスクとの間の間隔
が常に一定であったので、プレッシャプレート押圧用の
ピストンのストロークが一定である結果、低温時には、
オイルの粘性が非常に大きくなるため、クラッチの切れ
が悪くなり、いわゆるクラッチの引きずりが生じ、この
クラッチの引きずりに起因するトルクが大きくなり、ギ
ヤが入りにくかったり、入っても抜けにくい等の問題が
発生する場合があった。
【0004】この問題を解消するための一案としては、
ピストンのストロークを大きくすることが考えられる
が、こうすると高温時にクラッチの断接が緩慢となり、
敏速な変速操作を行うことができなくなるという不具合
が生ずる。
【0005】また他の方法としては、ピストンのストロ
ークを温度によって変化させ、即ち高温時にはストロー
クを小さくし、低温時にはストロークを大きくする方法
があるが、該方法によるとクラッチの本体とピストンに
固着されたプレッシャプレートとの間の間隔が温度によ
り変化するためクラッチを切ったときのクラッチディス
クの位置を例えばピストンのストロークが大きい低温時
に本体とプレッシャプレートとの中央部に位置するよう
に調節すると、高温時に該クラッチディスクは本体側に
偏った位置に、また高温時において調節すると、低温時
にクラッチディスクはプレッシャプレート側に偏った位
置となり、クラッチの断接が緩慢となり、敏速な変速操
作を行うことができなくなったり、クラッチの引きずり
が生じるという不具合が生ずる結果となる。
【0006】このような不具合を解消するために、本願
出願人は、形状記憶合金製ばねを本体とクラッチディス
クとの間に装着してクラッチを切ったときのクラッチデ
ィスクの位置を温度に関係なく常に本体とプレッシャプ
レートとの中央部に位置させるものを提案したが、クラ
ッチディスクの戻し力を十分に大きくしてクラッチの切
れを確実にするためには、形状記憶合金製ばねの形状が
大きくなってしまい、そのコストが高くつくと共に、油
圧圧着式クラッチが大型となってしまうという点で不利
であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記した従
来技術の欠点を除くためになされたものであって、その
目的とするところは、油圧圧着式クラッチの油圧装置の
本体とクラッチディスクとの間に配設され油圧装置のシ
リンダ室への圧力油の供給が遮断されたときクラッチデ
ィスクを速やかに油圧装置の本体から離脱させると共に
機械的に係合することにより該クラッチディスクが油圧
装置の本体から所定距離以上離脱することを防止するよ
うにクラッチディスクをプレッシャプレートに向けて押
圧付勢する弾性部材を備えることにより、クラッチを切
ったときクラッチディスクが速やかに本体から離脱する
ようにすることであり、またこれによってクラッチの引
きずりを防止してギヤ入れ及びギヤ抜きを軽快に行わせ
ることができるようにすることである。
【0008】また他の目的は、上記構成によりクラッチ
の断接を敏速に行わせることができるようにすることで
ある。更に他の目的は、プレッシャプレート押圧用のピ
ストンのストロークを高温時には小さくし、低温時には
大きくするようにした油圧圧着式クラッチのクラッチデ
ィスクの戻しばねを皿ばねとして、油圧装置の本体とク
ラッチディスクとの間に配設することにより、構造が簡
易でありながら、クラッチディスクの離脱性の向上を図
り、クラッチのひきずりを効果的に防止することであ
る。
【0009】更に他の目的は、皿ばねとクラッチディス
クとを機械的に係合させることにより該クラッチディス
クが本体から所定距離以上離脱することを防止すること
であり、またこれによりクラッチの接続を滑らかにかつ
速やかに行えるようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】要するに本発明(請求項
1)は、エンジンのクランクシャフトに固定された油圧
装置の本体と、該本体に固定されたシリンダ室の内部に
摺動自在に收容され高温時にはストロークを小さくし、
低温時にはストロークを大きくするように構成されたプ
レッシャプレート押圧用のリング状のピストンと、前記
ピストンにより押圧されたとき前記本体と共に一体的に
回転すると共にインプットシャフトに対してその軸方向
に摺動自在に装着されたクラッチディスクと、前記本体
と前記クラッチディスクとの間に配設され前記シリンダ
室への圧力油の供給が遮断されたとき前記クラッチディ
スクを速やかに前記本体から離脱させると共に機械的に
係合することにより該クラッチディスクが前記本体から
所定距離以上離脱することを防止するように前記クラッ
チディスクを前記プレッシャプレートに向けて押圧付勢
する弾性部材とを備えたことを特徴とするものである。
また本発明(請求項2)は、エンジンのクランクシャフ
トに固定された油圧装置の本体と、該本体に固定された
シリンダ室の内部に摺動自在に收容され高温時にはスト
ロークを小さくし、低温時にはストロークを大きくする
ように構成されたプレッシャプレート押圧用のリング状
のピストンと、前記ピストンにより押圧されたとき前記
本体と共に一体的に回転すると共にインプットシャフト
に対してその軸方向に摺動自在に装着されたクラッチデ
ィスクと、前記本体と前記クラッチディスクとの間に配
設され前記シリンダ室への圧力油の供給が遮断されたと
き弾性力により前記クラッチディスクを速やかに前記本
体から離脱させると共に係止部が前記クラッチディスク
と係合することによって該クラッチディスクが前記本体
から所定距離以上離脱することを防止するように構成さ
れた皿ばねとを備えたことを特徴とするものである。ま
た本発明(請求項3)は、エンジンのクランクシャフト
に固定された油圧装置の本体と、該本体に固定されたシ
リンダ室の内部に摺動自在に收容され高温時にはストロ
ークを小さくし、低温時にはストロークを大きくするよ
うに構成されたプレッシャプレート押圧用のリング状の
ピストンと、前記ピストンにより押圧されたとき前記本
体と共に一体的に回転すると共にインプットシャフトに
対してその軸方向に摺動自在に装着されたクラッチディ
スクと、前記本体と前記クラッチディスクとの間に該ク
ラッチディスクに固定された状態で配設され前記シリン
ダ室への圧力油の供給が遮断されたとき弾性力により前
記クラッチディスクを速やかに前記本体から離脱させる
と共に係止部が前記インプットシャフトの段部に係合す
ることによって該クラッチディスクが前記本体から所定
距離以上離脱することを防止するように構成された皿ば
ねとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
【実施例】以下本発明をを図面に示す実施例に基いて説
明する。図1から図8において、本発明に係る油圧圧着
式クラッチ1は、エンジン(図示せず)のクランクシャ
フト6に固定された油圧装置12の本体14と、プレッ
シャプレート押圧用のリング状のピストン16と、クラ
ッチディスク11と、弾性部材の一例たる皿ばね60と
を備えている。
【0012】まず油圧圧着式クラッチの基本的構成につ
いて説明すると、クラッチハウジング5内にエンジン
(図示せず)のクランクシャフト6が回動自在に嵌合し
ていて、該クラッチハウジング5内に突出しており、ク
ランクシャフト6の一端にはボルト8によってフレック
スプレート9が固定され、該フレックスプレート9には
プレッシャプレート10をクラッチディスク11に対し
て圧着するための油圧装置12がボルト13によって固
定されている。油圧装置12は、本体14と、シリンダ
15と、リング状のピストン16と、油圧ポンプの一例
たるベーンポンプ18とからなる。本体14は、フレッ
クスプレート9と共に回転可能に円形に形成されてお
り、ボルト13によってフレックスプレート9に固定さ
れ、その中心部には軸受19を介してインプットシャフ
ト20が回動自在に装着され、クラッチディスク11側
の対向面14aには摩擦部材21が固着されている。
【0013】シリンダ15は、本体14と共に回転可能
に円形に形成され、ボルト22により本体14に固定さ
れ、内部にはシリンダ室15b及びこれに連通するオイ
ル通路15cが形成されている。シリンダ室15bとオ
イル通路15cとは連通穴15dにより連通接続され、
オイル通路15cはベーンポンプ18のスリーブ18a
に軸受23を介して回動自在に支承されかつベーンポン
プ18のボス部18bに複数のシール部材24,25を
介して回動自在に嵌挿されたリテーナ26のオイル通路
26aに連通接続され、リテーナ26はシリンダ15に
シール部材27を介して固着されている。そしてリテー
ナ26のオイル通路26aは、ベーンポンプ18のボス
部18bに固定された電磁弁収容部18f内に収容され
た電磁弁(図示せず)を介してベーンポンプ18のオイ
ル吐出口18cに連通接続されたオイルギャラリ18d
に連通し、該ベーンポンプから吐出されるオイルが該電
磁弁により制御されてボス部18bに形成された高圧側
オイルギャラリ18gからリテーナ26に形成された連
通穴26dを通って高圧の状態で供給されるようになっ
ている。なお、オイル通路15cの端部は鋼球15eに
よって密閉されている。
【0014】またシリンダ15には、オイル通路15c
とは異なる円周方向位置に、オイル通路15fが形成さ
れており、該オイル通路は油圧装置12内の空間12a
に連通穴15gを介して連通接続されると共に、オイル
通路26aとは異なる円周方向位置に形成されたオイル
通路26cに連通し、該オイル通路26cは上記と別の
電磁弁(図示せず)を介してオイルギャラリ18dに連
通し、ベーンポンプ18から吐出されるオイルが該電磁
弁により制御されてボス部18bに形成された低圧側オ
イルギャラリ18hからリテーナ26に形成された連通
穴26eを通って低圧の状態で空間12aに供給され、
クラッチを切るための油圧が得られるようになってい
る。また空間12a内のオイルは、ベーンポンプ18の
オイル吸入口(図示せず)に連通した連通穴15hから
排出されてベーンポンプ18の該オイル吸入口に吸入さ
れるようになっている。
【0015】ピストン16は、リング状に形成されてお
り、そのクラッチディスク11側の側面16aにはプレ
ッシャプレート10が固着されており、シール部材17
を介してシリンダ室15b内に水平方向に摺動自在に収
容され、図中左方に移動することでプレッシャプレート
10をクラッチディスク11に押圧するように構成され
ている。
【0016】図2も参照して、ベーンポンプ18は、ボ
ルト28によりクラッチハウジング5に固定され、その
本体18eは3分割されてボルト29により結合され、
内部にはロータ30がブッシュ31を介してスリーブ1
8aに支承されて回動自在に収容されている。またロー
タ30はリング32内に収容されており、該リングの内
面32aにはロータに形成された複数の放射状の溝30
aに摺動自在に収容されたベーン33が回転に伴なう遠
心力で接触しながら摺動し、機密を保ちながらオイルを
圧縮し得るようになっている。
【0017】またロータ30の内周面の2箇所には動力
伝達用の切欠30bが形成され、該切欠にリテーナ26
の端部26bが係合し、該リテーナからロータ30に動
力が伝達されるようになっている。リング32の中心と
ロータ30の回転中心とは所定の偏心量だけ偏心してお
り、この偏心量は可変とされている。即ち、ベーンポン
プ18の本体18eの側方にはリング押圧ピン47を押
圧付勢する圧力設定用の圧縮ばね34がボルト35で本
体に固定されたカバー36内に収容され、該圧縮ばね3
4がリング32により圧縮されることで偏心量が小さく
なるように構成されている。またベーンポンプ18の本
体18eの内周面にはストッパ37が固定され、該スト
ッパによりリング32の上下方向位置が設定されるよう
になっている。
【0018】次に、形状記憶合金製圧縮ばね53を用い
たバルブ装置54の構成について説明すると、該バルブ
装置は、ピストン16の円周方向に等間隔で3箇所に装
着され、ピストン16のトランスミッション側の側面1
6bに形成された凹陥部16c内に完全に收容されるよ
うにしたもので、側面16bからは全く突出しないよう
に構成され、弁体50とバイアス用圧縮ばね52と形状
記憶合金製圧縮ばね53とからなる。
【0019】弁体50は、クランクシャフト6方向に摺
動してその先端50aが連通穴15dを遮蔽しピストン
16のストロークを制限するようにしたもので、中空に
形成され、円筒部50bと該円筒部の一端に形成された
フランジ部50cと先端50aに形成された弁部50d
と形状記憶合金製圧縮ばね53を收容するための穴50
eとからなり、弁部50dの直径は連通穴15dの直径
よりも大きく形成され、該弁部が連通穴15dに対して
押圧されると該連通穴が先端50aにより遮蔽されるよ
うになっている。
【0020】バイアス用圧縮ばね52は、弁体50をピ
ストン16に向けて押圧付勢するようにしたもので、形
状記憶合金でない通常の金属製のばねであり、弁体50
の円筒部50bに装着され、その一端52aは弁体50
のフランジ部50cに当接し、他の一端52bは凹陥部
16cと同一の形状の略菱形に形成された蓋部材55に
当接して凹陥部16c内に收容されている。
【0021】そしてそのばね定数は、形状記憶合金製圧
縮ばね53の記憶形態(伸張状態)への復帰力よりも圧
縮力が弱く、形状記憶合金製圧縮ばね53の二次永久変
形加工形態(圧縮状態)への復帰時には該形状記憶合金
製圧縮ばねを圧縮し得るような値に設定されている。
【0022】蓋部材55は、弁体50の円筒部50bが
嵌合する穴55aを有し、夫々2本のねじによりピスト
ン16に固定され、該蓋部材のピストン16への装着時
にはその表面がピストン16の側面16bと面一となる
ようになっている。
【0023】形状記憶合金製圧縮ばね53は、弁体50
の穴50e内に收容され、弁体50を連通穴15dに向
けて押圧付勢し温度の変化により伸張するように記憶が
施されたものであって、伸張状態を記憶形態とし、圧縮
状態を二次永久変形加工形態として製作されている。即
ち、温度が一定値を超えると、記憶形態に復帰するた
め、形状記憶合金製圧縮ばね53は非常に強い伸張力を
発生して伸張しようとし、温度が一定値以下になると、
二次永久変形加工形態に復帰してもよいように、伸張状
態を維持する力が失われるようになっている。
【0024】形状記憶合金は、Ni−Ti合金と、Cu
−Zn−Al合金に大別されるが、Cu−Zn−Al合
金はNi−Ti合金より安価であり、温度変化に対する
追随性が速やかで、ヒステリシスが小さく、かつ変態温
度範囲が広いという利点があり、Ni−Ti合金は、形
状回復量が大きく、耐久性(熱サイクル)も2ケタ程高
く、機能的性質が優れ、信頼性が高いとされている。
【0025】本発明では、このいずれの合金も形状記憶
合金製圧縮ばね53に使用可能である。そして高温時に
は形状記憶合金製圧縮ばね53がその記憶形態に戻るこ
とにより弁体50が連通穴15dを遮蔽してシリンダ室
15bを油圧ロックすることによりピストン16のスト
ロークを小さくし、低温時にはバイアス用圧縮ばね52
により形状記憶合金製圧縮ばね53が圧縮されて弁体5
0がピストン側に引き込まれて連通穴15dが開放さ
れ、ピストン16のストロークを増大させるように構成
されている。
【0026】次に、本発明の主要部をなすクラッチディ
スク作動用の皿ばね60について説明する。本発明の第
1実施例を図1、図3、図4及び図5を参照して説明す
ると、皿ばね60は、通常の金属で製作された6本の脚
60cを持つ星型ばねであり、大径部60aから小径部
60bに向かい次第に小さくなる円錐台形状に形成さ
れ、大径部60aの先端は内側に折り曲げられて係止部
60cが形成されている。
【0027】そして本体14とクラッチディスク11と
の間で穴60dにインプットシャフト20が貫通し、ま
た係止部60cがクラッチディスク11の係合部11a
に係合する如く装着されてクラッチディスク11をシリ
ンダ15に向けて押圧付勢するように構成されている。
即ち、クラッチディスク11がシリンダ15によって押
圧されると、皿ばね60も圧縮されてクラッチディスク
11をシリンダ15に向けて押圧付勢し、シリンダ15
への圧力油の供給が遮断されると、クラッチディスク1
1は皿ばね60によってシリンダ15に向けて移動させ
られるようになっている。
【0028】シリンダ15のストロークは、高温時には
本体14とシリンダ15との距離(厳密には摩擦部材2
1とプレッシャプレート10との距離、以下同じ。)S
1 を狭くするために小さく、例えば4mmに、また低温
時には本体14とシリンダ15との距離S2 を広くする
ために大きく、例えば10mmに設定されているが、皿
ばね60によるクラッチディスク11の押戻し量t1
一定量、例えば約2mmとされている。またクラッチデ
ィスク11の最大移動量t2 は、係止部60cが係合部
11aに係合することによって制限されており、クラッ
チディスク11は本体14から5mm以上離れないよう
になっている。
【0029】次に、本発明の第2実施例を図6から図8
を参照して説明する。皿ばね61は、通常の金属で製作
されており、中央に穴61aを持つ円錐台形状の4本の
脚60bが、また外周部は6個の取付け穴61cを持つ
フランジ部61dが形成されている。そして該皿ばね6
1は、穴61aにインプットシャフト20の小径部20
aを貫通させた状態でフランジ部61dがピン62によ
りクラッチディスク11に固定され、クラッチディスク
11をシリンダ15に向けて押圧付勢するように構成さ
れている。
【0030】そしてシリンダ15への圧力油の供給が遮
断されると、クラッチディスク11は皿ばね61によっ
てシリンダ15に向けて移動するが、皿ばね61もクラ
ッチディスク11と共に移動するので脚60bがインプ
ットシャフト20の段部20bに係合することによって
制限されており、クラッチディスク11は本体14から
5mm(t2 )以上離れないようになっている。
【0031】本発明は、上記のように構成されており、
以下その作用について説明する。まず油圧圧着式クラッ
チ1の作用について説明する。エンジンが回転すると、
クランクシャフト6、フレックスプレート9、油圧装置
12の本体14、シリンダ15、リテーナ26及びベー
ンポンプ18のロータ30が同一の速度で回転し、ベー
ンポンプ18から増圧されたオイルが吐出される。
【0032】図1に示す状態では、ベーンポンプ18か
らのオイルは、低圧側オイルギャラリ18h、オイル通
路26c、オイル通路15f及び連通穴15gを通り、
また電磁弁により減圧されて空間12aのみに供給され
て該空間には低圧のオイルが充満し、オイル通路26c
及びオイル通路15cには供給されていない。このため
空間12a内に充満した低圧のオイルによってプレッシ
ャプレート10及びピストン16は図中右方向に押圧さ
れてクラッチディスク11は解放され、クラッチは切ら
れている。
【0033】そこでクラッチを接続する場合には、電磁
弁が作動してベーンポンプ18の吐出口18cとオイル
通路26aとを連通させ、高圧側オイルギャラリ18g
から連通穴26dを通ってオイル通路26aに高圧のオ
イルが流れ、該高圧のオイルを該オイル通路26aから
オイル通路15cに供給する(図4の矢印A方向)。す
ると、連通穴15dを通ってオイルがシリンダ室15b
内に流入し、該シリンダ室に高圧の油圧が発生し、ピス
トン16はプレッシャプレート10を伴なって図中左方
向に移動し、クラッチディスク11を本体14の摩擦部
材21に押圧し、クラッチディスク11に動力が伝達さ
れ、クラッチは接続される。
【0034】またベーンポンプ18のオイルを、電磁弁
の作動によりオイル通路15cに供給しないようにする
ことによって、シリンダ室15b内の油圧を消失させ、
空間12a内の低圧の油圧によってプレッシャプレート
10及びピストン16を図中右方に押し戻してクラッチ
を切ることができる。
【0035】次に、形状記憶合金製圧縮ばね53を用い
たバルブ装置54の作用について説明する。図1、図
4、図5、図7及び図8において、高温時には、形状記
憶合金製圧縮ばね53は、その記憶形態に強力に復帰し
ようとするから、弁体50を押圧し、該弁体の先端50
aの弁部50dがシリンダ15の連通穴15dに当接す
る。この結果、連通穴15dは弁体50の先端50aに
より遮蔽され、シリンダ室15bは油圧ロックされ、ピ
ストン16のストロークが制限され、プレッシャプレー
ト10はクラッチディスク11に接近し、プレッシャプ
レート10とクラッチディスク11との間の間隔は小さ
くなり、クラッチの断接を敏速に行わせることが可能と
なる。
【0036】また低温時になると、形状記憶合金製圧縮
ばね53は、その記憶形態に復帰しようとする力が消失
するので、バイアス用圧縮ばね52の復原力が勝り、該
バイアス用圧縮ばねにより形状記憶合金製圧縮ばね53
は伸張状態から圧縮状態、即ち二次永久変形加工状態へ
と戻され、弁体50の先端50aは、連通穴15dを開
放するので、シリンダ室15bの油圧ロックは解除され
ることになる。この結果、ピストン16のストロークは
増大し、プレッシャプレート10とクラッチディスク1
1との間の間隔は大きくなり、これによって、低温時に
おいてオイルの粘性が増大しても、クラッチの引きずり
を防止することができ、クラッチは完全に切られ、ギヤ
入れ及びギヤ抜きは軽快に行われ、エアを利用したアク
チュエータ等の負荷を軽減することができる。
【0037】次に、図1から図8を参照して、本発明の
皿ばね60及び61の作用について説明する。圧力油が
供給されてピストン16がプレッシャプレート10を伴
なって図中左方向に移動し、皿ばね60及び61を弾性
力に抗して圧縮量t1 だけ圧縮してクラッチディスク1
1を本体14の摩擦部材21に押圧し、クラッチディス
ク11に動力が伝達されるクラッチの接続状態から、電
磁弁の作動によりオイル通路15cへの圧力油の供給を
遮断すると、シリンダ室15b内の油圧が消失するの
で、皿ばね60及び61により押圧されているクラッチ
ディスク11は、皿ばね60及び61の圧縮量t1 だけ
図中右方向に速やかに移動させられて、クラッチが切ら
れる(図4)。
【0038】また図5に示すストロークの大きな低温時
には皿ばね60及び61の操作力によってまずt1 だけ
図中右方向に移動させられて速やかにクラッチが切ら
れ、続いて空間12a内に充満した低圧のオイルがクラ
ッチディスク11と本体14及びプレッシャプレート1
0の間に流入するので、更にクラッチディスク11を図
中右方向に移動させるが、図5に示す本発明の第1実施
例の皿ばね60においては、係止部60cが係合部11
aに係合することにより、また図8に示す本発明の第2
実施例の皿ばね61においては、脚60bがインプット
シャフト20の段部20bに係合することによってクラ
ッチディスク11の最大移動量t2 は制限され、クラッ
チディスク11が本体14から5mm以上離れることは
ない。従って、少ないクラッチディスク11の移動量で
クラッチを接続することができ、クラッチの接続を敏速
に行わせることが可能となる。
【0039】また低温時においてオイルの粘性が増大し
ても、クラッチディスク11は皿ばね60及び61の作
用により確実に本体14から離脱しているので、クラッ
チの引きずりを防止することができ、クラッチは完全に
切られ、ギヤ入れ及びギヤ抜きを軽快に行うことができ
る。
【0040】
【発明の効果】本発明は、上記のように油圧圧着式クラ
ッチの油圧装置の本体とクラッチディスクとの間に配設
され油圧装置のシリンダ室への圧力油の供給が遮断され
たときクラッチディスクを速やかに油圧装置の本体から
離脱させると共に機械的に係合することにより該クラッ
チディスクが油圧装置の本体から所定距離以上離脱する
ことを防止するようにクラッチディスクをプレッシャプ
レートに向けて押圧付勢する弾性部材を備えたので、ク
ラッチを切ったときクラッチディスクが速やかに本体か
ら離脱するようにすることができる効果があり、またこ
の結果クラッチの引きずりを防止してギヤ入れ及びギヤ
抜きを軽快に行わせることができる効果が得られる。
【0041】また上記構成によりクラッチの断接を敏速
に行わせることができる効果がある。更にはプレッシャ
プレート押圧用のピストンのストロークを高温時には小
さくし、低温時には大きくするようにした油圧圧着式ク
ラッチのクラッチディスクの戻しばねを皿ばねとして、
油圧装置の本体とクラッチディスクとの間に配設したの
で、構造が簡易でありながら、クラッチディスクの離脱
性の向上を図り、クラッチのひきずりを効果的に防止す
ることができる。更には皿ばねとクラッチディスクとを
機械的に係合させたことで該クラッチディスクが本体か
ら所定距離以上離脱することを防止でき、またこの結果
クラッチの接続を滑らかにかつ速やかに行えるようにす
ることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1から図5は本発明の第1実施例に係り、図
1は油圧圧着式クラッチの全体を示す縦断面図である。
【図2】ベーンポンプの縦断面図である。
【図3】皿ばねの斜視図である。
【図4】高温時の皿ばねの作用を示す要部拡大縦断面図
である。
【図5】低温時の皿ばねの作用を示す要部拡大縦断面図
である。
【図6】図6から図8は本発明の第2実施例に係り、図
6は第2実施例の皿ばねの斜視図である。
【図7】高温時の皿ばねの作用を示す要部拡大縦断面図
である。
【図8】低温時の皿ばねの作用を示す要部拡大縦断面図
である。
【符号の説明】
1 油圧圧着式クラッチ 6 クランクシャフト 10 プレッシャプレート 11 クラッチディスク 12 油圧装置 14 本体 15b シリンダ室 16 ピストン 20 インプットシャフト 20b インプットシャフトの段部 60 弾性部材の一例たる皿ばね 60c 係止部 61 弾性部材の一例たる皿ばね

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンのクランクシャフトに固定され
    た油圧装置の本体と、該本体に固定されたシリンダ室の
    内部に摺動自在に收容され高温時にはストロークを小さ
    くし、低温時にはストロークを大きくするように構成さ
    れたプレッシャプレート押圧用のリング状のピストン
    と、前記ピストンにより押圧されたとき前記本体と共に
    一体的に回転すると共にインプットシャフトに対してそ
    の軸方向に摺動自在に装着されたクラッチディスクと、
    前記本体と前記クラッチディスクとの間に配設され前記
    シリンダ室への圧力油の供給が遮断されたとき前記クラ
    ッチディスクを速やかに前記本体から離脱させると共に
    機械的に係合することにより該クラッチディスクが前記
    本体から所定距離以上離脱することを防止するように前
    記クラッチディスクを前記プレッシャプレートに向けて
    押圧付勢する弾性部材とを備えたことを特徴とする油圧
    圧着式クラッチ。
  2. 【請求項2】 エンジンのクランクシャフトに固定され
    た油圧装置の本体と、該本体に固定されたシリンダ室の
    内部に摺動自在に收容され高温時にはストロークを小さ
    くし、低温時にはストロークを大きくするように構成さ
    れたプレッシャプレート押圧用のリング状のピストン
    と、前記ピストンにより押圧されたとき前記本体と共に
    一体的に回転すると共にインプットシャフトに対してそ
    の軸方向に摺動自在に装着されたクラッチディスクと、
    前記本体と前記クラッチディスクとの間に配設され前記
    シリンダ室への圧力油の供給が遮断されたとき弾性力に
    より前記クラッチディスクを速やかに前記本体から離脱
    させると共に係止部が前記クラッチディスクと係合する
    ことによって該クラッチディスクが前記本体から所定距
    離以上離脱することを防止するように構成された皿ばね
    とを備えたことを特徴とする油圧圧着式クラッチ。
  3. 【請求項3】 エンジンのクランクシャフトに固定され
    た油圧装置の本体と、該本体に固定されたシリンダ室の
    内部に摺動自在に收容され高温時にはストロークを小さ
    くし、低温時にはストロークを大きくするように構成さ
    れたプレッシャプレート押圧用のリング状のピストン
    と、前記ピストンにより押圧されたとき前記本体と共に
    一体的に回転すると共にインプットシャフトに対してそ
    の軸方向に摺動自在に装着されたクラッチディスクと、
    前記本体と前記クラッチディスクとの間に該クラッチデ
    ィスクに固定された状態で配設され前記シリンダ室への
    圧力油の供給が遮断されたとき弾性力により前記クラッ
    チディスクを速やかに前記本体から離脱させると共に係
    止部が前記インプットシャフトの段部に係合することに
    よって該クラッチディスクが前記本体から所定距離以上
    離脱することを防止するように構成された皿ばねとを備
    えたことを特徴とする油圧圧着式クラッチ。
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