JP2590022B2 - 油圧圧着式クラッチ - Google Patents

油圧圧着式クラッチ

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JP2590022B2
JP2590022B2 JP2116437A JP11643790A JP2590022B2 JP 2590022 B2 JP2590022 B2 JP 2590022B2 JP 2116437 A JP2116437 A JP 2116437A JP 11643790 A JP11643790 A JP 11643790A JP 2590022 B2 JP2590022 B2 JP 2590022B2
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冨士男 籾山
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、油圧圧着式クラッチに係り、特にプレッシ
ャプレート押圧用のピストンのストロークを制限するス
トッパとしての弁体を作動させるのに形状記憶合金製圧
縮ばねを用いることにより、高温時には該ピストンのス
トロークが減少してクラッチの断接を敏速に行うことが
でき、低温時には該ピストンのストロークが増大してオ
イルの粘性増大によるクラッチの引きずりを防止するこ
とができるようにし、しかもこの弁体を作動させる構造
の簡易なバルブ装置をピストンの内部に備え、かつ該弁
体の先端にリング状の突堤又はリング状のリップ部を形
成した弾性体を固定して該弾性体によりオイル通路とシ
リンダ室間の連通穴を密閉するようにして密閉度の向上
を図った油圧圧着式クラッチに関する。
従来の技術 従来、手動変速式のトランスミッション又は該手動変
速式のトランスミッションを流体圧シリンダを採用した
アクチュエータにより自動変速化したトランスミッショ
ンにおいては、乾式又は湿式等の機械式クラッチが必要
であり、特にクラッチの耐久性を向上させ、またクラッ
チの断接を敏速に行わせるためには油圧圧着式クラッチ
が採用される。
しかし従来の油圧圧着式クラッチにおいては、クラッ
チカバーとクラッチディスクとの間の間隔が常に一定で
あったので、プレッシャプレート押圧用のピストンのス
トロークが一定である結果、低温時には、オイルの粘性
が非常に大きくなるため、クラッチの切れが悪くなり、
いわゆるクラッチの引きずりが生じ、このクラッチの引
きずりに起因するトルクが大きくなり、ギヤが入りにく
かったり、入っても抜けにくい等の不具合があった。ま
たこの不具合を解消するためには、ピストンのストロー
クを大きくすることが考えられるが、こうすると高温時
にクラッチの断接が緩慢となり、敏速な変速操作を行う
ことができなくなるという不具合が生ずる。またこのよ
うな不具合を解消するため複雑かつ大型の装置をクラッ
チ内部に配設することは、部品点数の増大を招くと共に
クラッチの内部のスペースが非常に狭いため困難であ
り、またクラッチの全長を長くして車載性を悪化させる
という不都合が生ずる。
また本願出願人は、特願平1−326860の出願におい
て、油圧圧着式クラッチを提案したが、該出願に係る発
明においては、第9図に示すように、リング状ピストン
のシリンダ室15bとオイル通路15c間の連通穴15dを密閉
するのに、金属製の弁体50の弁部50dを直接該連通穴15d
の周囲にに押し付けて密閉するようにしていたので、金
属同士の接触が行われ、振動等により弁体50がわずかに
動いてもオイルが漏れてしまい、ピストンのストローク
が不安定になるという不具合があった。
目 的 本発明は、上記した従来技術の問題点を除くためにな
されたものであって、その目的とするところは、エンジ
ンのクランクシャフトに固定された本体と該本体に固定
され内部にプレッシャプレート押圧用のリング状のピス
トンが摺動自在に収容されたシリンダ室を有しかつオイ
ル通路を該シリンダ室に連通させる連通穴を有するシリ
ンダと該シリンダにオイルを供給する油圧ポンプとから
なる油圧装置を備えた油圧圧着式クラッチにおいて、ク
ランクシャフト方向に摺動して連通穴を遮蔽しピストン
のストロークを制限する弁体と、該弁体をピストンに向
けて押圧付勢するバイアス用圧縮ばねと、弁体を連通穴
に向けて押圧付勢し温度の変化により伸張するように記
憶が施された形状記憶合金製圧縮ばねとからなるバルブ
装置を、ピストンの内部に備え、高温時には形状記憶合
金製圧縮ばねがその記憶形態にもどることにより弁体が
連通穴を遮蔽してシリンダ室を油圧ロックすることによ
りピストンのストロークを小さくし、低温時にはバイア
ス用圧縮ばねにより形状記憶合金製圧縮ばねが圧縮され
てストッパがピストン側に引き込まれて連通穴が開放さ
れピストンのストロークを増大させるように構成するこ
とによって、低温時におけるクラッチの引きずりを防止
することであり、またこれによって低温時におけるギヤ
入れ及びギヤ抜きを軽快に行わせることができるように
することである。また他の目的は、上記構成により高温
時におけるクラッチの断接を敏速に行わせることができ
るようにすることである。更に他の目的は、ピストンの
ストロークを制限するわずか4点の部品からなるバルブ
装置をピストンの内部に備えることにより、部品点数の
削減を図りつつ、クラッチの全長を長くすることなく低
温時におけるクラッチの引きずりを防止できるようにし
てクラッチの車載性を向上させることである。また他の
目的は、上記構成に加えて弁体のシリンダ側の端部には
連通穴の周囲に密着し得るようなリング状の突堤又はリ
ング状のリップ部が形成された弾性体を固定し、該突堤
又はリップ部により該連通穴を密閉するように構成する
ことによって、振動等によって弁体が多少動いても該弁
体部からオイル漏れが生じないようにすることであり、
またこれによってピストンのストロークの安定化を図る
ことである。
構 成 要するに本発明(請求項1)は、エンジンのクランク
シャフトに固定された本体と該本体に固定され内部にプ
レッシャプレート押圧用のリング状のピストンが摺動自
在に収容されたシリンダ室を有しかつオイル通路を該シ
リンダ室に連通させる連通穴を有するシリンダと該シリ
ンダにオイルを供給する油圧ポンプとからなる油圧装置
を備えた油圧圧着式クラッチにおいて、前記クランクシ
ャフト方向に摺動して前記連通穴を遮蔽し前記ピストン
のストロークを制限する弁体と、該弁体を前記ピストン
に向けて押圧付勢するバイアス用圧縮ばねと、前記弁体
を前記連通穴に向けて押圧付勢し温度の変化により伸張
するように記憶が施された形状記憶合金製圧縮ばねとか
らなるバルブ装置を、前記ピストンの内部に備え、高温
時には前記形状記憶合金製圧縮ばねがその記憶形態にも
どることにより前記弁体が前記連通穴を遮蔽して前記シ
リンダ室を油圧ロックすることにより前記ピストンのス
トロークを小さくし、低温時には前記バイアス用圧縮ば
ねにより前記形状記憶合金製圧縮ばねが圧縮されて前記
ストッパが前記ピストン側に引き込まれて前記連通穴が
開放され前記ピストンのストロークを増大させるように
構成し、前記弁体の前記シリンダ側の端部には前記連通
穴の周囲に密着し得るようなリング状の突堤が形成され
た弾性体が固定され、該突堤により該連通穴を密閉する
ように構成したことを特徴とするものである。
また本願(請求項2)は、エンジンのクランクシャフ
トに固定された本体と該本体に固定され内部にプレッシ
ャプレート押圧用のリング状のピストンが摺動自在に収
容されたシリンダ室を有しかつオイル通路を該シリンダ
室に連通させる連通穴を有するシリンダと該シリンダに
オイルを供給する油圧ポンプとからなる油圧装置を備え
た油圧圧着式クラッチにおいて、前記クランクシャフト
方向に摺動して前記連通穴を遮蔽し前記ピストンのスト
ロークを制限する弁体と、該弁体を前記ピストンに向け
て押圧付勢するバイアス用圧縮ばねと、前記弁体を前記
連通穴に向けて押圧付勢し温度の変化により伸張するよ
うに記憶が施された形状記憶合金製圧縮ばねとからなる
バルブ装置を、前記ピストンの内部に備え、高温時には
前記形状記憶合金製圧縮ばねがその記憶形態にもどるこ
とにより前記弁体が前記連通穴を遮蔽して前記シリンダ
室を油圧ロックすることにより前記ピストンのストロー
クを小さくし、低温時には前記バイアス用圧縮ばねによ
り前記形状記憶合金製圧縮ばねが圧縮されて前記ストッ
パが前記ピストン側に引き込まれて前記連通穴が開放さ
れ前記ピストンのストロークを増大させるように構成
し、前記弁体の前記シリンダ側の端部には前記連通穴の
周囲に密着し得るようなリング状のリップ部がが形成さ
れたラッパ状の弾性体が固定され、該リップ部により該
連通穴を密閉するように構成したことを特徴とするもの
である。
以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明する。第
1図において、本発明に係る油圧圧着式クラッチ1は、
エンジン(図示せず)のクランクシャフト6に固定され
た本体14と該本体に固定され内部にプレッシャプレート
10押圧用のリング状のピストン16が摺動自在に収容され
たシリンダ室15bを有しかつオイル通路15cを該シリンダ
室に連通させる連通穴15dを有するシリンダ15と該シリ
ンダにオイルを供給する油圧ポンプの一例たるベーンポ
ンプ18とからなる油圧装置12を備えたものであって、弁
体50と、バイアス用圧縮ばね52と、形状記憶合金製圧縮
ばね53とからなるバルブ装置54を、ピストン16の内部に
備えたものである。
まず油圧圧着式クラッチ1の基本的構成について説明
すると、クラッチハウジング5内にエンジン(図示せ
ず)のクランクシャフト6が摺動自在に嵌合していて、
該クラッチハウジング5内に突出しており、クランクシ
ャフト6の一端にはボルト8によってフレックスプレー
ト9が固定され、該フレックスプレート9にはプレッシ
ャプレート10をクラッチディスク11に対して圧着するた
めの油圧装置12がボルト13によって固定されている。
油圧装置12は、本体14と、シリンダ15と、リング状の
ピストン16と、油圧ポンプの一例たるベーンポンプ18と
からなる。
本体14は、フレックスプレート9と共に回転可能に円
形に形成されており、ボルト13によってフレックスプレ
ート9に固定され、その中心部には軸受19を介してイン
プットシャフト20が回動自在に装着され、クラッチディ
スク11側の対向面14aには摩擦部材21が固着されてい
る。
シリンダ15は、本体14と共に回転可能に円形に形成さ
れ、ボルト22により本体14に固定され、内部にはシリン
ダ室15b及びこれに連通するオイル通路15cが形成されて
いる。シリンダ室15bとオイル通路15cとは連通穴15dに
より連通接続され、オイル通路15cはベーンポンプ18の
スリーブ18aに軸受23を介して回動自在に支承されかつ
ベーンポンプ18のボス部18bに複数のシール部材24,25を
介して回動自在に嵌挿されたリテーナ26のオイル通路26
aに連通接続され、リテーナ26はシリンダ15にシール部
材27を介して固着されている。そしてリテーナ26のオイ
ル通路26aは、ベーンポンプ18のボス部18bに固定された
電磁弁収容部18f内に収容された電磁弁(図示せず)を
介してベーンポンプ18のオイル吐出口18cに連通接続さ
れたオイルギャラリ18dに連通し、該ベーンポンプから
吐出されるオイルが該電磁弁により制御されてボス部18
bに形成された高圧側オイルギャラリ18gからリテーナ26
に形成された連通穴26dを通って高圧の状態で供給され
るようになっている。なお、オイル通路15cの端部は鋼
球15eによって密閉されている。
またシリンダ15には、オイル通路15cとは異なる円周
方向位置に、オイル通路15fが形成されており、該オイ
ル通路は油圧装置12内の空間12aに連通穴15gを介して連
通接続されると共に、オイル通路26aとは異なる円周方
向位置に形成されたオイル通路26cに連通し、該オイル
通路26cは上記と別の電磁弁(図示せず)を介してオイ
ルギャラリ18dに連通し、ベーンポンプ18から吐出され
るオイルが該電磁弁により制御されてボス部18bに形成
された低圧側オイルギャラリ18hからリテーナ26に形成
された連通穴26eを通って低圧の状態で空間12aに供給さ
れ、クラッチを切るための油圧が得られるようになって
いる。
また空間12a内のオイルは、ベーンポンプ18のオイル
吸入口(図示せず)に連通した連通穴15hから排出され
てベーンポンプ18の該オイル吸入口に吸入されるように
なっている。
ピストン16は、リング状に形成されており、そのクラ
ッチディスク11側の側面16aにはプレッシャプレート10
が固着されており、シール部材17を介してシリンダ室15
b内に水平方向に摺動自在に収容され、図中左方に移動
することでプレッシャプレート10をクラッチディスク11
に押圧するように構成されている。
なお、カウンタシャフト42は軸受43を介してトランス
ミッションケース41に回動自在に支承されている。
第2図も参照して、ベーンポンプ18は、ボルト28によ
りクラッチハウジング5に固定され、その本体18eは3
分割されてボルト29により結合され、内部にはロータ30
がブッシュ31を介してスリーブ18aに支承されて回動自
在に収容されている。またロータ30はリング32内に収容
されており、該リングの内32aにはロータ30に形成され
た複数の放射状の溝30aに摺動自在に収容されたベーン3
3が回転に伴なう遠心力で接触しながら摺動し、機密を
保ちながらオイルを圧縮し得るようになっている。また
ロータ30の内周面の2箇所には動力伝達用の切欠30bが
形成され、該切欠にリテーナ26の端部26bが係合し、該
リテーナからロータ30に動力が伝達されるようになって
いる。
リング32の中心とロータ30の回転中心とは所定の偏心
量だけ偏心しており、この偏心量は可変とされている。
即ち、ベーンポンプ18の本体18aの側方にはリング押圧
ピン47を押圧付勢する圧力設定用の圧縮ばね34がボルト
35で本体に固定されたカバー36内に収容され、該圧縮ば
ね34がリング32により圧縮されることで偏心量が小さく
なるように構成されている。またリング33の内周面32a
にはストッパ37が固定され、該ストッパによりリング32
の上下方向位置が設定されるようになっている。
次に、本発明の主要部をなす形状記憶合金製圧縮ばね
52を用いたバルブ装置54の構成について説明すると、該
バルブ装置は、ピストン16の円周方向に等間隔で3箇所
に装着され、ピストン16のトランスミッション側の側面
16bに形成された凹陥部16c内に完全に収容されるように
したもので、側面16bからは全く突出しないように構成
され、第5図に示すように、弁体50とバイアス用圧縮ば
ね52と形状記憶合金製圧縮ばね53とからなる。
弁体50は、第1図から第6図に示す第1実施例におい
ては、その端部50aに形成された穴50bに弾性体61が固定
され、該弾性体にはリング状の突堤61aが形成され、そ
して該弁体がクランクシャフト6方向に摺動して該弾性
体の突堤61aが連通穴15dを遮蔽しピストン16のストロー
クを制限するようにしたもので、中空に形成され、また
円筒部50dと該円筒部の一端に形成されたフランジ部50c
と形状記憶合金製圧縮ばね53を収容するための穴50eと
からなる。
また第7図に示す第2実施例においては、弁体50の端
部50aに形成された穴50bに弾性体62が固定され、該弾性
体にはリング状のリップ部62aが形成され、該リップ部
が連通穴15dを密閉するように構成されている。
更に、第8図に示す第3実施例においては、端部50a
には穴は形成されず、弁体50の端部50aに形成された溝5
0fに弾性体63が固定され、該弾性体にはリング状のリッ
プ部63aが形成され、該リッブ部が連通穴15dを密閉する
ように構成されている。
なお、これらの弾性体61,62,63としては、例えば耐油
ゴム、ポリウレタン樹脂等を使用することができる。
バイアス用圧縮ばね52は、弁体50をピスントン16に向
けて押圧付勢するようにしたもので、形状記憶合金でな
い通常の金属製のばねであり、弁体50の円筒部50dに装
着され、その一端52aは弁体50のフランジ部50cに当接
し、他の一端52bは凹陥部16cと同一の形状の略菱形に形
成された蓋部材55に当接して凹陥部16c内に収容されて
いる。そしてそのばね定数は、形状記憶合金製圧縮ばね
53の記憶形態(伸張状態)への復帰力よりも圧縮力が弱
く、形状記憶合金製圧縮ばね53の二次永久変形加工形態
(圧縮状態)への復帰時には該形状記憶合金製圧縮ばね
を圧縮し得るような値に設定されている。
蓋部材55は、弁体50の円筒部50dが嵌合する穴55aを有
し、夫々2本のねじによりピストン16に固定され、該蓋
部材のピストン16への装着時にはその表面55bがピスト
ン16の側面16bと面一となるようになっている。
形状記憶合金製圧縮ばね53は、弁体50の穴50e内に収
容され、弁体50を連通穴15dに向けて押圧付勢し温度の
変化により伸張するように記憶が施されたものであっ
て、伸張状態を記憶形態とし、圧縮状態を二次永久変形
加工形態として製作されている。即ち、温度が一定値を
超えると、記憶形態に復帰するため、形状記憶合金製圧
縮ばね53は非常に強い伸張力を発生して伸張しようと
し、温度が一定値以下になると、二次永久変形加工形態
に復帰してもよいように、伸張状態を維持する力が失わ
れるようになっている。
形状記憶合金は、Ni−Ti合金と、Cu−Zn−Al合金に大
別されるが、Cu−Zn−Al合金はNi−Ti合金より安価であ
り、温度変化に対する追随性が速やかで、ヒステリシス
が小さく、かつ変態温度範囲が広いという利点があり、
Ni−Ti合金は形状回復量が大きく、耐久性(熱サイク
ル)も2ケタ程高く、機能的性質が優れ、信頼性が高い
とされている。本発明では、このいずれの合金も形状記
憶合金製圧縮ばね53に使用可能である。
そして高温時には形状記憶合金製圧縮ばね53がその記
憶形態にもどることにより弁体50の弾性体61,62,63が連
通穴15dを遮蔽してシリンダ室15bを油圧ロックすること
によりピストン16のストロークを小さくし、低温時には
バイアス用圧縮ばね52により形状記憶合金製圧縮ばね53
が圧縮されて弁体50がピストン側に引き込まれて連通穴
15dが開放され、ピストン16のストロークを増大させる
ように構成されている。
作 用 本発明は、上記のように構成されており、以下その作
用について説明する。まず油圧圧着式クラッチ1の基本
的な作用について説明する。エンジンが回転すると、ク
ランクシャフト6、フレックスプレート9、油圧装置12
の本体14、シリンダ15、リテーナ26及びベーンポンプ18
のロータ30が同一の速度で回転し、ベーンポンプ18から
増圧されたオイルが吐出される。
第1図に示す状態では、ベーンポンプ18からのオイル
は低圧側オイルギャラリ18h、オイル通路26c、オイル通
路15f及び連通穴15gを通り、また電磁弁により減圧され
て空間12aのみに供給されて該空間には低圧のオイルが
充満し、オイル通路26a及びオイル通路15cには供給され
ていない。このため空間12a内に充満した低圧のオイル
によってプレッシャプレート10及びピストン16は図中右
方向に押圧されてクラッチディスク11は開放され、クラ
ッチは切られている。
そこでクラッチを接続する場合には、電磁弁が作動し
てベーンポンプ18の吐出口18cとオイル通路26aとを連通
させ、高圧側オイルギャラリ18gから連通穴26dを通って
オイル通路26aに高圧のオイルが流れ、該高圧のオイル
を該オイル通路26aからオイル通路15cに供給する。する
と、連通穴15dを通ってオイルがシリンダ室15b内に流入
し、該シリンダ室に高圧の油圧が発生し、ピスントン16
はプレッシャプレート10を伴なって図中左方に移動し、
クラッチディスク11を本体14の摩擦部材21に押圧し、ク
ラッチディスク11に動力が伝達され、クラッチは接続さ
れる。
またベーンポンプ18のオイルを、電磁弁の作動により
オイル通路15cに供給しないようにすることによって、
シリンダ室15b内の油圧を消失させ、空間12a内の低圧の
油圧によってプレッシャプレート10及びピストン16を図
中右方に押しもどしてクラッチを切ることができる。
次に、本発明の主要部をなす形状記憶合金製圧縮ばね
53を用いたバルブ装置54の作用について説明する。第4
図において、高温時には、形状記憶合金製圧縮ばね53
は、その記憶形態に強力に復帰しようとするから、弁体
50を押圧し、該弁体の弾性体61の突堤61aがシリンダ15
の連通穴15dの周囲に当接する。この結果、連通穴15dは
弾性体61により遮蔽され、シリンダ室15bは油圧ロック
され、ピストン16のストロークが制限され、プレッシャ
プレート10はクラッチディスク11に接近し、ペレッシャ
プレート10とクラッチディスク11との間の隙間Cは小さ
くなり、クラッチの断接を敏速に行わせることが可能と
なる。
この場合、突堤61aは大きな弾性を有するので、振動
等により多少動いても、密閉度が損なわれることはな
く、従ってピストン16のストロークが不安定となる欠点
が解消される。
また低温時になると、第5図に示すように、形状記憶
合金製圧縮ばね53は、その記憶形態に復帰しようとする
力が消失するので、バイアス用圧縮ばね52の復元力が勝
り、該バイアス用圧縮ばねにより形状記憶合金製圧縮ば
ね53は伸張状態から圧縮状態、即ち二次永久変形加工状
態へもどされ、弁体50の弾性体61は連通穴15dを開放す
るので、シリンダ室15bの油圧ロックは解除されること
になる。この結果、ピストン16のストロークは増大し、
プレッシャプレート10とクラッチディスク1との隙間C
は大きくなり、これによって、低温時においてオイルの
粘性が増大しても、クラッチの引きずりを防止すること
ができ、クラッチは完全に切られ、ギヤ入れ及びギヤ抜
きは軽快におこなわれ、エアを利用したアクチュエータ
等の負荷を軽減することができる。
また第7図に示す第2実施例においても同様に、弾性
体62のリップ部62aが連通穴15dの周囲に当接して該連通
穴を密閉するが、この場合もリップ部62aは大きな弾性
を有するので、常に良好な密閉度を保ことができる。
またこのことは、第8図に示す第3実施例においても
同様であるので、説明を省略する。
また本発明においては、バルブ装置54は、わずか4点
の部品からなるので、部品点数の削減を図ることができ
ると共に、そのいずれの部品もピストン16から突出させ
ることなく装着できるため、油圧圧着式クラッチ1の全
長を全く長くする必要がなく、コンパクト化を図ること
ができるから、車載性が良好である。
効 果 本発明は、上記のようにエンジンのクランクシャフト
に固定された本体と該本体に固定され内部にプレッシャ
プレート押圧用のリング状のピストンが摺動自在に収容
されたシリンダ室を有しかつオイル通路を該シリンダ室
に連通させる連通穴を有するシリンダと該シリンダにオ
イルを供給する油圧ポンプとからなる油圧装置を備えた
油圧圧着式クラッチにおいて、クランクシャフト方向に
摺動して連通穴を遮蔽しピストンのストロークを制限す
る弁体と、該弁体をピストンに向けて押圧付勢するバイ
アス用圧縮ばねと、弁体を連通穴に向けて押圧付勢し温
度の変化により伸張するように記憶が施された形状記憶
合金製圧縮ばねとからなるバルブ装置を、ピストンの内
部に備え、高温時には形状記憶合金製圧縮ばねがその記
憶形態にもどることにより弁体が連通穴を遮蔽してシリ
ンダ室を油圧ロックすることによりピストンのストロー
クを小さくし、低温時にはバイアス用圧縮ばねにより形
状記憶合金製圧縮ばねが圧縮されてストッパがピストン
側に引き込まれて連通穴が開放されピストンのストロー
クを増大させるように構成したので、低温時におけるク
ラッチの引きずりを防止することができ、またこの結果
低温時におけるギヤ入れ及びギヤ抜きを軽快に行わせる
ことができるという効果がある。また上記構成により高
温時におけるクラッチの断接を敏速に行わせることがで
きる効果がある。更にはピストンのストロークを制限す
るわずか4点の部品からなるバルブ装置をピストンの内
部に備えたのみであるため、部品点数の削減を図りつ
つ、クラッチの全長を全く長くすることなく低温時にお
けるクラッチの引きずりを防止できるようにしてクラッ
チの車載性を向上させることができる効果がある。また
上記構成に加えて弁体のシリンダ側の端部には連通穴の
周囲に密着し得るようなリング状の突堤又はリング状の
リップ部が形成された弾性体を固定し、該突堤又はリッ
プ部により該連通穴を密閉するように構成したので、振
動等によって弁体が多少動いても該弁体からオイル漏れ
が生じないようになり、またこの結果ピストンのストロ
ークの安定化を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例に係り、第1図は油圧圧着式クラ
ッチの縦断面図、第2図はベーンポンプの縦断面図、第
3図はバルブ装置の分解斜視図、第4図は高温時におけ
るバルブ装置の作動状態を示す要部縦端面図、第5図は
低温時におけるバルブ装置の作動状態を示す要部縦端面
図、第6図は第1実施例に係る弁体の弾性体の作用を示
す部分拡大縦端面図、第7図は第2実施例に係る弁体の
弾性体の作用を示す部分拡大縦端面図、第8図は第3実
施例に係る弁体の弾性体の作用を示す部分拡大縦端面
図、第9図は従来例に係る弁体の作用を示す部分拡大縦
端面図である。 1は油圧圧着式クラッチ、6はクランクシャフト、10は
プレッシャプレート、12は油圧装置、15はシリンダ、15
bはシリンダ室、15cはオイル通路、15dは連通穴、16は
ピストン、18は油圧ポンプの一例たるベーンポンプ、50
は弁体、50aは先端、52はバイアス用圧縮ばね、53は形
状記憶合金製圧縮ばね、54はバルブ装置、61,62,63は弾
性体、61aは突堤、62a,63aはリップ部である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランクシャフトに固定された
    本体と該本体に固定され内部にプレッシャプレート押圧
    用のリング状のピストンが摺動自在に収容されたシリン
    ダ室を有しかつオイル通路を該シリンダ室に連通させる
    連通穴を有するシリンダと該シリンダにオイルを供給す
    る油圧ポンプとからなる油圧装置を備えた油圧圧着式ク
    ラッチにおいて、前記クランクシャフト方向に摺動して
    前記連通穴を遮蔽し前記ピストンのストロークを制限す
    る弁体と、該弁体を前記ピストンに向けて押圧付勢する
    バイアス用圧縮ばねと、前記弁体を前記連通穴に向けて
    押圧付勢し温度の変化により伸張するように記憶が施さ
    れた形状記憶合金製圧縮ばねとからなるバルブ装置を、
    前記ピストンの内部に備え、高温時には前記形状記憶合
    金製圧縮ばねがその記憶形態にもどることにより前記弁
    体が前記連通穴を遮蔽して前記シリンダ室を油圧ロック
    することにより前記ピストンのストロークを小さくし、
    低温時には前記バイアス用圧縮ばねにより前記形状記憶
    合金製圧縮ばねが圧縮されて前記弁体が前記ピストン側
    に引き込まれて前記連通穴が開放され前記ピストンのス
    トロークを増大させるように構成し、前記弁体の前記シ
    リンダ側の端部には前記連通穴の周囲に密着し得るよう
    なリング状の突堤が形成された弾性体が固定され、該突
    堤により該連通穴を密閉するように構成したことを特徴
    とする油圧圧着式クラッチ。
  2. 【請求項2】エンジンのクランクシャフトに固定された
    本体と該本体に固定され内部にプレッシャプレート押圧
    用のリング状のピストンが摺動自在に収容されたシリン
    ダ室を有しかつオイル通路を該シリンダ室に連通させる
    連通穴を有するシリンダと該シリンダにオイルを供給す
    る油圧ポンプとからなる油圧装置を備えた油圧圧着式ク
    ラッチにおいて、前記クランクシャフト方向に摺動して
    前記連通穴を遮蔽し前記ピストンのストロークを制限す
    る弁体と、該弁体を前記ピストンに向けて押圧付勢する
    バイアス用圧縮ばねと、前記弁体を前記連通穴に向けて
    押圧付勢し温度の変化により伸張するように記憶が施さ
    れた形状記憶合金製圧縮ばねとからなるバルブ装置を、
    前記ピストンの内部に備え、高温時には前記形状記憶合
    金製圧縮ばねがその記憶形態にもどることにより前記弁
    体が前記連通穴を遮蔽して前記シリンダ室を油圧ロック
    することにより前記ピストンのストロークを小さくし、
    低温時には前記バイアス用圧縮ばねにより前記形状記憶
    合金製圧縮ばねが圧縮されて前記弁体が前記ピストン側
    に引き込まれて電気連通穴が開放され前記ピストンのス
    トロークを増大させるように構成し、前記弁体の前記シ
    リンダ側の端部には前記連通穴の周囲に密着し得るよう
    なリング状のリップ部が形成されたラッパ状の弾性体が
    固定され、該リップ部により該連通穴を密閉するように
    構成したことを特徴とする油圧圧着式クラッチ。
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