JP2610051B2 - 主軸制御装置 - Google Patents

主軸制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ギヤ変速機構を有する工作機械等の主軸制
御装置に関する。
(従来の技術) 第4図は、従来のギヤ変速機構を有する主軸において
用いられている主軸制御装置の一構成例を示す図であ
る。
主軸の位置指令θ 又は速度指令ω 又は、速度
指令回路1に入力される。速度指令回路1は、指令が位
置指令θ の場合には、主軸9の回転位置をθを主
軸ロータリエンコーダ8を介して検出し、位置ループゲ
イン係数KPを用いて主軸の回転指令ω =KP・(θ
−θ )を算出する。回転指令ω は、現在噛み合
っているギヤにおける主軸及びモータ軸間の変速比GM/G
Sより、モータ軸の回転指令ω =GM/GS×ω に変
換されて速度制御回路2に入力される。速度制御回路2
はモータ軸の位置θをモータ軸ロータリエンコーダ4
により検出し、θの時間変化ωがω に一致する
ようにパワー変換器3によってモータ5の通電電流を制
御する。
以上で説明した従来の主軸制御装置において、変速比
を変更する場合には、一旦モータ5を停止させ、アクチ
ュエータ6によって軸方向にスライド可能なギヤ7を移
動させることで現在噛み合っているギヤ7を引き外し、
次に、速度指令ω を与えてごく低速でモータ軸を揺
動させながら、更にギヤを移動させて別のギヤどうしを
嵌め合わせていた。
(発明が解決しようとする課題) 上述したように従来の主軸制御装置は、外部からの指
令に対して、主軸とモータ軸の位置及び速度を一致させ
ることができなかった。このためギヤの組み合わせを変
更する際には、組み合わせるギヤの周速を一致させるた
めに、モータ軸及び主軸の両者を一旦停止させなければ
ならないという問題点があった。また、ギヤを嵌め合わ
せる際に両ギヤの角度を合わせ込まないで押し付けるた
め、ギヤの歯の部分に負担がかかると共に、ギヤ変換に
要する時間が長くなるという問題点があった。
一方、両ギヤに対して機械的にシンクロ機構を取り付
けることで、回転中の両ギヤの速度差が一定値以下とい
う条件でギヤ変換を行なえるようにした装置も知られて
いるが(特願昭55−168637に、このような目的に使用す
る回転数の一致検出回路が提案されている)、ギヤ機能
のコストが高くなると共に、収納スペースが大きくなる
という問題点があった。
本発明は上述のような事情から成されたものであり、
本発明の目的は、ギヤ機構にシンクロ機構を設けること
なく、ギヤ変換に要する時間を大幅に短縮すると共に、
変速用のギヤにかかる負担を軽減し、ギヤ部分の長寿命
化とギヤ形状の簡素化を実現することができる主軸制御
装置を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、ギヤ変速機構を有する工作機械等の主軸制
御装置に関するものであり、本発明の上記目的は、ギヤ
の組み合わせを変更するギヤ変換手段と;前記主軸の速
度指令ω 又は前記主軸の位置指令θ と、主軸検
出位置θとから前記モータの第1の速度指令ωM1
演算する速度指令手段と;ギヤ指令に基づいて、前記主
軸検出位置θでギヤが噛み合うモータ軸位置θ
演算する目標位置演算手段と;前記主軸検出位置θ
らモータ軸における多回転位置θ′を演算し、ギヤ嵌
合部の周速が一致するまでは前記多回転位置θ′の時
間変化の微分成分のみから、前記ギヤ嵌合部の周速が一
致すると前記モータ軸位置θ とモータ軸検出位置θ
との偏差の係数倍KPと前記微分成分の加算値とから前
記モータの第2の速度指令ωM2 を演算する位置制御手
段と;通常運転時は前記第1の速度指令ωM1 を、ギヤ
変換時は前記第2の速度指令ωM2 を選択し、前記モー
タの速度制御回路に入力する切換手段と;を具備し、前
記主軸の回転中においてもギヤ変換を行なえるようにす
ることによって達成される。
(作用) 本発明にあっては、目標位置演算手段がギヤ変換にお
けるギヤが噛み合う際のモータ軸位置の演算を行ない、
位置制御手段がその演算結果に基づいてモータ軸の速度
指令を出力し、切換手段がそれを速度制御回路に入力す
るように切換えることにより、主軸回転中にギヤ変換が
可能となる。
(実施例) 以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に
説明する。
第1図は、本発明の主軸制御装置の一実施例を第4図
に対応させて示すブロック図であり、同一構成箇所は同
符号を付してある。本発明における主軸制御装置におい
ては、ギヤ指令GNO,主軸位置θ及びモータ軸位置θ
に基づいてモータ軸の目標位置θ を演算するモータ
軸目標位置演算回路11と、ギヤ指令GNOの変化を検知し
てギヤ変換の一連のシーケンスに関する指令を行なうギ
ヤ変換用シーケンス回路22と、目標位置θ とモータ
θとを一致させるためのモータ軸速度指令ωM2 を演
算する位置制御回路12と、速度指令回路1の出力ωM1
と位置制御回路12の出力ωM2 とを選択するスイッチ10
が新たに追加されている。
そこで、ギヤ変換が行なわれないときは、スイッチSW
10により回転指令ωM1 が速度制御回路2に加えられ、
従来における主軸制御装置と同様に動作する。一方、ギ
ヤ変換を行なう場合には、最初に現在噛み合っているギ
ヤの組を示すギヤ指令GNOをモータ軸目標位置演算回路1
1に与えた状態でスイッチ10をωM2 を入力するように
切り換え、後述するシーケンスによりモータ軸が主軸に
対して同期した状態でアクチュエータ6によりギヤ7を
引き外す。次に、ギヤ指令GNOを変換後の値に変更する
と、モータ軸は変換後のギヤの組に応じて主軸のギヤと
噛み合う位置及び速度に制御されるため、その状態でア
クチュエータにより変換後のギヤを嵌め合わせる。
次に、モータ軸を主軸に同期させるシーケンスについ
て詳述する。第2図は、第1図におけるモータ軸目標位
置演算回路11と位置制御回路12の構成要素を詳細なブロ
ックで示した図である。
同図において、主軸位置θ(主軸、モータ軸間の変
速比の分子と分母に対し公倍数にあたる主軸の回転回数
に渡る検出角度範囲を有する多回転位置情報を有する)
は、ギヤ比乗算部13において変速比GM/GSを乗算されて
モータ軸において、主軸の現在位置に対し、時々刻々の
双方のギヤの周速が一致する多回転位置θ′(変速比
の分子と分母に対し公倍数にあたるモータ回転数に渡る
角度範囲を有する、多回転位置情報を有する)に変換さ
れる。このとき多回転位置θ′は各ギヤ間の機械的な
組付け関係を反映していないため、ギヤを正しく噛み合
わせ得るモータ位置からは一定のオフセット角度θM0
している。ギヤを噛み合わせるシーケンスにおいては、
先ずスイッチ20が開いた状態において、多回転位置
θ′の時間変化分を微分演算部17によって演算してモ
ータ軸の速度指令ωM2 とすることにより、噛み合わせ
るギヤの周速を一致させる。
次にギヤの周速が一致したところで、主軸位置θ
びモータ軸位置θ基づいてオフセット角度θM0を演算
するが、これは以下のように行なわれる。
ギヤ関連パラメータ記憶部14には、各ギヤ指令に対応
して、前述の変速比GM/GSの他に、各々のギヤの歯数NM,
NS及びθ=0においてギヤが噛み合うモータ軸角度θ
MOFFSETが記憶されている。尚、モータ軸は、モータ軸
側のギヤ歯数をNMとして360度/NM各にギヤが噛み合うた
め、θMOFFSET<360度/NMとなっている。先ず、主軸位
置θ及びモータ軸位置θからそれぞれのギヤ歯数
NS,NMに基づいて360度/NS,360度/NMに対する余りθS1,
θM1が求められる。次に、モータ軸が噛み合う角度とし
て、θS1よりθM2=θS1×GM/GS+θMOFFSETが求めら
れ、最終的にθM1M2の差が現在のモータ軸位置θ
と最寄りのギヤ嵌合位置間のオフセットθMO′=θM1
θM2となる。一方、多回転位置θ′と最寄りのギヤ嵌
合位置間のオフセットθMOは、θMO=θ−θ′−θ
MO′で演算される。θMOの演算を完了すると、直ちにス
イッチ20を閉じて位置制御を開始する。θMOは、加算器
16によりθ′に加えられて現在の主軸位置θに対し
て正しくギヤが嵌合するモータ軸位置指令θ とな
る。θ は減算器18によりθとの差分が求められた
のち、位置ループゲインKPが乗算され、更にスイッチ20
を経由し、加算器21によりθ′の時間微分と加算され
てモータ速度指令ωM2 となる。これによりモータ軸位
置θとモータ軸位置指令θ とが一致するよう制御
され、ギヤの周速及び角度とも噛み合わせ可能な状態に
保たれることになる。
尚、上述した実施例においては、モータ軸と主軸との
間には動力伝達のためのアイドルギヤを設けていない
が、アイドルギヤを設けた場合にも、アイドルギヤの軸
の角度をモータ軸又は主軸のいずれか常時噛み合ってい
る側の軸より求めることで同様に適用できる。このよう
な場合は、アイドルギヤのバックラッシュがあるため、
ギヤを嵌め合わせる際にθ に対して若干の揺動指令
を加えることが有効である。
第3図は、モータが同一回転数のもとで、ギヤ変速比
を変えることにより主軸回転数を4倍にする際の、主
軸,モータ軸の回転数ωSの変化を時間軸に対して
描いたグラフである。尚、同図(A)及び(B)は従来
の主軸制御装置によるものであり、同図(C)及び
(D)は本発明による主軸制御装置によるものである。
ここで時間軸における時刻は、t1:ギヤ変換開始,t2:ギ
ヤ引き外し,t3:ギヤ嵌め合わせ,t4:再加速終了である。
本発明の主軸制御装置においては、同図(D)にある
ように、モータの減速におけるカーブは主軸側のイナー
シャを含まない分だけ急速に立下ることがわかる(t1−
t2間は主軸がフリーランになっている)。尚、t3の前の
速度が一定の領域は、位置誤差が安定するのを待ってい
る時間である。また、従来の主軸制御装置におけるt2
らt3の間はモータ軸を揺動させてギヤを嵌め合わせてい
る時間である。
(発明の効果) 以上のように本発明の主軸制御装置によれば、シンク
ロ機構を有しない簡素なギヤ変換機構においても、主軸
の回転中にギヤの引き外し及び噛み合わせが自由に行な
えるので、ギヤ変速に要する時間を大幅に短縮できると
共に、ギヤ部分にかかる負担を軽減することでギヤの長
寿命化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の主軸制御装置における一実施例のブロ
ック図、第2図はモータ目標位置演算回路と位置制御回
路の詳細ブロック図、第3図は従来と本発明とを比較し
て主軸及びモータ軸の回転数ωSの変化を時間軸に
対して描いたグラフ、第4図は従来の主軸制御装置のブ
ロック図である。 1……速度指令回路、2……速度制御回路、3……パワ
ー変換器、4,8……ロータリエンコータ、5……モー
タ、6……アクチュエータ、7……ギヤ、9……主軸、
10,20……スイッチ、11……モータ軸目標位置演算回
路、12……位置制御回路、13……ギヤ比乗算部、14……
ギヤ関連パラメータ記憶部、15……オフセット算出部、
16,21……加算器、17……微分演算部、18……減算器、1
9……位置ループゲイン乗算部、22……ギヤ変換用シー
ケンス回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータによりギヤ変速機構を介して主軸の
    速度又は位置の制御を行なう主軸制御装置において、ギ
    ヤの組み合わせを変更するギヤ変換手段と;前記主軸の
    速度指令ω 又は前記主軸の位置指令θ と、主軸
    検出位置θとから前記モータの第1の速度指令ωM1
    を演算する速度指令手段と;ギヤ指令に基づいて、前記
    主軸検出位置θでギヤが噛み合うモータ軸位置θ
    を演算する目標位置演算手段と;前記主軸検出位置θ
    からモータ軸における多回転位置θ′を演算し、ギヤ
    嵌合部の周速が一致するまでは前記多回転位置θ′の
    時間変化の微分成分のみから、前記ギヤ嵌合部の周速が
    一致すると前記モータ軸位置θ とモータ軸検出位置
    θとの偏差の係数倍KPと前記微分成分の加算値とから
    前記モータの第2の速度指令ωM2 を演算する位置制御
    手段と;通常運転時は前記第1の速度指令ωM1 を、ギ
    ヤ変換時は前記第2の速度指令ωM2 を選択し、前記モ
    ータの速度制御回路に入力する切換手段と;を具備し、
    前記主軸の回転中においてもギヤ変換を行なえるように
    したことを特徴とする主軸制御装置。
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