JP2607732B2 - 遮光性薄膜組成物 - Google Patents

遮光性薄膜組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
この発明は遮光用の薄膜を形成するための材料物質
(以下「遮光性薄膜組成物」という。)に関する。
【従来の技術】
一般に、液晶ディスプレイをカラー化させるカラーフ
ィルタは、透明な基板上に赤・緑・青などの着色画素を
モザイク状に並べたものであり、表示品位を向上させる
ために、着色画素の間隙を遮光用の黒色の薄膜でマスク
して構成されている。 従来、このような遮光用薄膜は、遮光性薄膜組成物と
して樹脂に黒色顔料または占領(以下「黒色顔料等」と
いう。)を混合したものを用いて、これをシルクスクリ
ーン法もしくはオフセット法などにより印刷して形成す
るか、あるいは、遮光性薄膜組成物として感光性樹脂に
黒色顔料等を混合したものを用いてフォトリソグラフィ
法により形成している(特開昭62−247331号公報)。ま
たは、直接に金属Crを蒸着して形成している。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、遮光用薄膜を印刷して形成する場合、
約100μm程度の粗い精度のパターン加工しかできず、
加工精度が良くないという問題がある。フォトリソグラ
フィ法により形成する場合は、印刷して形成する場合に
比して加工精度は向上するけれども、露光の際に黒色の
顔料等が感光性樹脂の光硬化を妨げるため、上記黒色顔
料等の混合割合を多くすることができない。このため、
遮光性の点で改良の余地がある。また、金属Crを蒸着し
て形成する場合は、パターン加工する場合に複雑な工程
を要するという問題がある。 そこで、この発明の目的は、フォトリソグラフィ法に
より簡単な工程でもって、遮光性に優れた薄膜を加工精
度良く形成できる遮光性薄膜組成物を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の遮光性薄膜組
成物は、加熱されたとき結晶水を喪失して変色する熱変
色性化合物と、この熱変色性化合物が加熱されて変色し
たとき減色法により黒色を呈するように補色を与える着
色剤と、感光性樹脂との混合物からなることを特徴とし
ている。 また、上記熱変色性化合物と上記着色剤との混合割合
は、フォトリソグラフィ法で加工する際に露光の波長に
対して透過率が5%以上となるように調製されているの
が望ましい。 また、上記熱変色性化合物と上記着色剤とを合わせた
重量は、上記感光性樹脂に対して5〜50重量%に調製さ
れているのが望ましい。
【作用】
この遮光性薄膜組成物は、含有している熱変色性化合
物が結晶水を喪失して変色したとき着色剤の色との減法
混色によって初めて全体として黒色を呈するものであ
り、加熱されていない状態では黒色となっていない。し
たがって、フォトリソグラフィ法による露光の際に、黒
色顔料等を含む従来の遮光性薄膜組成物と異なり、十分
に光硬化される。したがって、感光性樹脂に対しての上
記熱変色性化合物と着色剤とを合わせた混合割合を従来
の黒色顔料等の混合割合に比して多くできる。このよう
にした場合、この遮光性薄膜組成物から形成される薄膜
の遮光性を向上させることができる。しかも、この薄膜
は、フォトリソグラフィ法により、簡単な工程でもっ
て、精度良く形成される。 また、上記熱変色性化合物と上記着色剤との混合割合
は、フォトリソグラフィ法で加工する際に露光の波長に
対して透過率が5%以上となるように調製されている場
合、上記遮光性薄膜組成物は、フォトリソグラフ工程に
おいて露光の際に確実に光硬化される。したがって、上
記薄膜の加工精度がさらに高まる。 また、上記熱変色性化合物と上記着色剤とを合わせた
重量は、上記感光性樹脂に対して5〜50重量%に調製さ
れている場合、5重量%以上に調製されていることによ
り、熱変色性化合物と着色剤とが確実に作用してこの遮
光性薄膜組成物から形成される薄膜の遮光性が高まると
共に、50重量%以下に調製されていることにより、この
遮光性薄膜組成物が透明基板上に塗布されたときに上記
感光性樹脂の密着力によって上記透明基板と確実に密着
する。したがって、さらに加工精度が高まる。
【実施例】
以下、この発明の遮光性薄膜組成物を実施例により詳
細に説明する。 この発明の遮光性薄膜組成物は、熱変色性化合物と、
着色剤と、感光性樹脂と、その他の添加剤とを所定の割
合で混合し攪拌をくり返して得られる。 上記熱変色性化合物は、加熱(例えば160℃,10分間程
度)されたとき結晶水を喪失して変色する金属錯体化合
物または硫酸金属塩素化合物が用いられる。金属錯体化
合物としては、ニッケルヘキサメチレンテトラミン錯体
塩化物の10水塩,コバルトヘキサメチレンテトラミン錯
体塩化物の10水塩,コバルトヘキサメチレンテトラミン
錯体硫酸塩の7水塩,コバルトヘキサメチレンテトラミ
ン錯体チオシアン酸塩の4水塩、コバルトヘキサメチレ
ンテトラミン錯体硝酸塩の10水塩,コバルトヘキサメチ
レンテトラミン錯体ヨウ化物の8水塩,コバルトヘキサ
メチレンテトラミン錯体臭化物の9水塩,ホウ酸コバル
トの4水塩,リン酸コバルトカリウムの1水塩,リン酸
コバルトアンモニウムの1水塩などが例示できる。ま
た、硫酸金属塩素化合物としては、硫酸コバルトの7水
塩が例示できる。 上記着色剤は、顔料または染料が用いられる。この顔
料または染料の色は、上記熱変色性化合物が加熱されて
変色したとき減色法による補色を与えて全体として黒色
を呈するように選ばれる。顔料としては、アゾレーキ
系,不溶性アゾ系,フタロシアニン系,キナクリドン
系,ジオキサジン系,イソインドリノン系,ベリノン
系,アントラキノン系,ペリレン系もしくはこれらの有
機顔料の混合物、またはミロリンブルー,酸化鉄,コバ
ルト系,マンガン紫,群青,紺青,コバルトブルー,セ
ルリアンブルー,ピリジアン,エメラルドグリーン,コ
バルトグリーンもしくはこれらの無機顔料の混合物が用
いられる。染料としては、油溶性あるいは、分散性の染
料が適当である。 上記感光性樹脂は、大別して、感光基をもつ樹脂,感
光性化合物に樹脂を加えたもの,光重合型樹脂の3種類
が候補として挙げられる。感光基をもつ樹脂としては、
例えば、特公昭32−1211号公報に記載されている重クロ
ム酸系感光性樹脂組成物、米国特許(USP)2725372(19
55)およびM.ムルスク(M.Mlnsk).,ジャーナル・オブ
・アプライド・ポリマー・サイエンス.,302(1959)に
記載されている光二量化型感光性樹脂などがある。感光
性化合物に樹脂を加えたものとしては、例えばUSP28483
28,2852379(1958),2940853(1960)に記載されている
アジド系感光性樹脂、USP2063631(1936),2679498,特
公昭43−23684,特公昭44−6413,特公昭47−1604,USP305
0502,特公昭41−11221および特公昭42−14326号公報に
記載されているジアゾ系感光性樹脂、USP3046119,31064
65,特公昭38−18015,特公昭38−12083,USP3535157,特公
昭45−9610及び特開昭49−48403号公報に記載されてい
るO−キノンジアジド系感光性樹脂などがある。光重合
型樹脂としては、例えば、特公昭39−1112,特公昭40−2
204および特公昭40−12104号公報に記載されているジア
クリレート系光重合性感光性樹脂、特公昭46−32714号
公報に記載されているペンタエリトリエールトリアクリ
ル酸エステルを含む光重合性感光性樹脂、特公昭46−42
450号公報に記載されているメタアクリル酸エステル類
を含む光重合性樹脂、特開昭51−58106号公報に記載さ
れている側鎖にカルボキシル基を有し、さらに二重結合
を有するポリマーを含む光重合性樹脂、特公昭46−4605
号公報に記載されている側鎖に芳香族置換アミノ基をも
つポリマーと多ハロゲン化メチル基をもつ化合物とを含
む光重合性樹脂などがある。これ以外にも例えば角田隆
弘著「感光性樹脂」(印刷学会出版部,1972年発行)、
「フォトポリマーズ;プリンシプルズ,プロセスズ・ア
ンド・マテリアルズ」(リージョナル・テクニカル・カ
ンファレンス・オブ・ソサエティ・オブ・プラスチック
ス・エンジニアズ・インスティテュート.,エレンビレ,
ニューヨーク州,1973年および1976年発行)、M.G.ハル
ペム(M.G.Halpem)著「プラスチックス・プリンティン
グ・プレーツ・マニュファクチャ・テクノロジ」(ノイ
ズ・デート・コーポレーション(Noyes Date Corporati
on)1971年発行,パークリッジ,ニュージャージ州)に
記載されている感光性樹脂をあげることができる。この
実施例では、形成すべき遮光用薄膜の耐溶剤性および膜
強度などの観点から、感光性樹脂として光重合型感光性
樹脂を用いるものとする。 上記その他の添加剤は、次に述べるように、上記感光
性樹脂に作用するものとして反応性希釈モノマーと、増
感剤と、光重合開始剤と、熱重合禁止剤とがある。 上記反応性希釈モノマーとしては、光重合性の水溶性
多官能モノマーもしくは非水溶性多官能モノマーまたは
これらを1種もしくは2種以上組合せたものが用いられ
る。上記水溶性多官能モノマーとしては、N,N′−メチ
レンビスアクリルアミド、N,N′−ジメチルアクリルア
ミド、N,N′−ジメチルアミノプロピルアクリルアミ
ド、N,N′−ジメチルアミノエチルアクリレート、ポリ
エチレングリコールジアクリレート、N,N′−ジメチル
アミノエチルアクリレート、N,N′−ジメチルアミノエ
チルメタクリレートなどがあげられる。上記非水溶性多
官能モノマーとしては、トリエチレングリコールジアク
リレート、エチレングリコールジアクリレート、ジプロ
ピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリ
コールジアクリレート、トリプロピレングリコールジア
クリレート、グリセリンジグリシジルエーテルジアクリ
レート、グリセリンジグリシジルエーテルトリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリ
トールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサアクリレート、さらにこれらのアクリレートに対応
するメタクリレートなどがあげられる。この反応性希釈
モノマーは感光性樹脂の総重量に対して、0.5〜10重量
%の範囲で含有させるのが適している。0.5重量%未満
では、粘度が高いため均一な薄膜を形成できない上、架
橋密度が不充分なため耐溶剤性や耐薬品性に劣ることが
ある。一方、10重量%を超えるときでは、架橋密度は増
加するが同時に脆くなる傾向が生じて好ましくない。 上記増感剤としては、脂肪族アミンや芳香族アミンが
用いられる。脂肪族アミンは、例えばトリエタノールア
ミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノー
ルアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノール
アミン、ジエチルアミノエチル・メタクリレートなどが
挙げられる。芳香族アミンは、ミヒラーケトン、4,4′
−ジエチルアミノ・フェノン、4−ジメチルアミノ安息
香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(nブトキ
シ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルな
どが挙げられる。この増感剤は、上記感光性樹脂の重量
に対して、1〜10重量%の範囲で含有することが適して
いる。1重量%未満では、感度が上がらないため効果が
なく、10重量%を超えるときは、膜成分中に残留して体
積収縮などの問題を生じるため好ましくない。 上記光重合開始剤は、ベンゾインエーテル系のものと
してベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテ
ルなど、ケタール系のものとしてベンジルジアルキルケ
タール、アセトフェノン系のものとして2,2′−ジアル
コキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェ
ノンなど、チオキサントン系のものとしてチオキサント
ン、2−クロロチオサントン、2−アルキルチオキサン
トン、2,4−ジアルキルチオキサントン、2−アルキル
アントラキノンなどを挙げることができる。この光重合
開始剤は上記感光性樹脂の総重量に対して3〜15重量%
の範囲で包含することが適している。3重量%未満で
は、この遮光性薄膜組成物の硬化反応が不充分となる。
一方、15重量%を超えるときは、硬化反応後に未反応物
が残存して形成された遮光用薄膜の性能を低下させるた
め好ましくない。 上記熱重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェ
ノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハ
イドロキノン、ターシャリーブチルカテコール、ピロガ
ロール、ナフチルアミン、β−ナフトール、フェナチア
ジン、ピリジン、ニトロベンゼン、o−トルキノン、ア
リールホスファイトを挙げることができる。 第2図は遮光性薄膜組成物として実際に調製した資料
1,…,10のそれぞれの原料の混合割合(感光性樹脂の溶
液重量を100としたときの重量)を示している。 熱変色性化合物としてコバルトヘキサメチレンテトラ
ミン錯体塩化物(10水塩),コバルトヘキサメチレンテ
トラミン錯体硫酸塩(7水塩),リン酸コバルト(8水
塩)を採用した。これらは焼成前はそれぞれ紅色,赤
色,ピンクであり、160℃10分間の焼成後はそれぞれ青
色,緑色,青色となる。着色剤は赤色顔料(ハイミクロ
ン・レッド 御国色素(株)製)とした。試料1,…,8に
ついては、上記3種類の熱変色性化合物のうち焼成後に
青色,緑色となるものおよび上記着色剤が含まれてい
る。試料9,10は、純粋に比較のための試料であって、上
記熱変色性化合物や着色剤を含まず、黒色のカーボンブ
ラックを従来レベル以上に多く含んでいる。感光性樹脂
は、固形分濃度15重量%で溶液状のRW−301(セキスイ
ファインケミカル社製)を採用した。添加材は、反応性
希釈モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート、増感材としてトリエタノールアミン、光重合
開始剤としてイルガキュア#907、熱重合禁止剤として
ハイドロキノンをそれぞれ採用した。感光性樹脂および
これらの添加材の重量比は、試料1,…,10のすべてにつ
いて100,1,0.01,20,1とした。 これらの遮光性薄膜組成物の試料1,…,10からフォト
リソグラフィ法により次のようにして遮光用薄膜を形成
する。第1図に示すように、まず透明基板(例えば、ガ
ラス基板にITO(錫添加酸化インジウム)電極を設けた
もの)12の全面に、試料1をスピンナもしくはロールコ
ータを用いて約2μmの膜厚で均一に塗布する。そし
て、露光作業が円滑に進られるように、温度80℃10分間
の予備焼成を行う。次に、第1図(b)に示すように、
後述する所定のパターンのフォトマスク13を基板2上の
所定の位置に固定し、このフォトマスク13の上から紫外
光14を試料1へ60秒間だけ照射する(露光)。さらに、
第1図(c)に示すように、この基板12を現像し、遮光
性薄膜組成物1のうち露光されなかった部分を除去す
る。続いて、洗浄した後、この基板12を温度160℃で10
分間程度以上焼成(加熱)して、試料1にふくまれてい
る熱変色性化合物の結晶水を喪失させて、黒色を呈する
遮光用薄膜15を基板12上に形成する。なお、試料2,…,1
0についても同様に処理する。 上記試料1,…,10のそれぞれについて、焼成前に可視
光域および紫外光域の透過率を測定し、焼成後に可視光
域の透過率,解像度,タック性およびコントラストの各
特性を測定,評価したところ、第3図に示すような結果
が得られた。ここで、透過率は、大塚電子(株)社製カ
ラーマイクロアナライザーMAPD−1000にて測定した。ま
た、解像度は上記フォトリソグラフィ工程において試料
1,…,10をフォトマスク13を用いて露光した後にそれぞ
れパターンのエッジ部の切れ具合いで評価した。詳しく
は、フォトマスク13として128,80,40,20,10,8,5μmの
幅を有するストライプ及びモザイク配列のものを用い
て、顕微鏡で観察して、切れの良いパターンが得られた
ストライプ幅のうち最も小さい幅を評価値とした。 次に、タック性は、光硬化後の塗膜を温度25℃で指触
して、次に示す基準で5段階の評価を行った。 A…タックを全く感じない。 B…僅かにタックを感じるが、塗膜には全く指の跡が残
らない。 C…塗膜に指の跡が僅かに残る。 D…塗膜にはっきり指の跡が残る。 E…指に塗膜組成物が付着する。 さらに、コントラストは、トプコン(株)社製BM−7
輝度計を用いて液晶パネル部分で、電圧をON,OFFさせた
ときの輝度の比を測定した。 第3図からわかるように、試料1,…,6および8は、熱
変色性化合物と着色剤との混合割合に応じて、焼成前に
おける紫外光域の透過率が5%以上となっているので、
上記露光の際に確実に光硬化されて、解像度5〜8μm
と精度良く微細加工できた。一方、試料7,9および10は
焼成前における紫外光域の透過率が5%以下となってい
るため、十分には露光できず、形成された薄膜15の全面
または一部が剥離して、うまく加工することができなか
った。さらに、試料1,…,5は、熱変色性化合物と着色剤
とを合わせた重量が感光性樹脂に対して5重量%以上と
なっているので、焼成後における可視光域の透過率が1
%以下となり、遮光性が優れたものとなった。一方、試
料6および8は、熱変色性化合物と着色剤とを合わせた
重量が5%以下と少なくなっているため、焼成後におけ
る可視光域の透過率が62%となり、遮光性が良くなかっ
た。また、上記熱変色性化合物と着色剤とを合わせた重
量が感光性樹脂に対して重量比50%を超えると、基板12
との密着性が悪くなって剥離する原因となる。このこと
は、上記試料7が全面剥離した原因の一つともなってい
る。 このように、上記試料1,…,5は、フォトリソグラフィ
法により、簡単な工程でもって遮光性の良い薄膜を加工
精度良く形成することができた。しかも、タック性およ
びコントラストも申し分なく形成することができた。 なお、この遮光性薄膜組成物には、特性を損なわない
限り、塗膜の平滑性をよくするレベリング剤や、攪拌時
の泡の発生を抑える消泡剤を添加することができる。ま
た、粘度、使用時及び貯蔵時の安定性、使用時の乾燥性
を考慮して、必要な添加剤を配合することができる。
【発明の効果】 以上より明らかなように、この発明の遮光性薄膜組成
物は、加熱されたとき結晶水を喪失して変色する熱変色
性化合物と、この熱変色性化合物が加熱されて変色した
とき減色法により黒色を呈するように補色を与える着色
剤と、感光性樹脂との混合物からなるので、フォトリソ
グラフィ法により、簡単な工程でもって遮光性に優れた
薄膜を加工精度良く形成することができる。 また、上記熱変色性化合物と上記着色剤との混合割合
は、フォトリソグラフィ法で加工する際に露光の波長に
対して透過率が5%以上となるように調製されている場
合、上記遮光性薄膜組成物を露光の際に確実に光硬化さ
せることができ、上記薄膜の加工精度をさらに高めるこ
とができる。 また、上記熱変色性化合物と上記着色剤とを合わせた
重量は、上記感光性樹脂に対して5〜50重量%に調製さ
れている場合、上記薄膜の遮光性をさらに高めることが
でき、また加工精度をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)乃至(c)はこの発明の一実施例の遮光性
薄膜組成物の試料を用いてフォトリソグラフィ法により
遮光用薄膜を形成する工程を示す図、第2図は上記遮光
性薄膜組成物の各試料の原料の混合割合を示す図、第3
図は上記試料を用いて形成された各薄膜の特性を評価し
た結果を示す図である。 1,…,10……遮光性薄膜組成物の試料、12……透明基
板、13……フォトマスク、14……紫外光、15……遮光用
薄膜。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱されたとき結晶水を喪失して変色する
    熱変色性化合物と、 この熱変色性化合物が加熱されて変色したとき減色法に
    より黒色を呈するように補色を与える着色剤と、 感光性樹脂との混合物からなることを特徴とする遮光性
    薄膜組成物。
  2. 【請求項2】上記熱変色性化合物と上記着色剤との混合
    割合は、フォトリソグラフィ法で加工する際に露光の波
    長に対して透過率が5%以上となるように調製されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の遮光性薄膜組成
    物。
  3. 【請求項3】上記熱変色性化合物と上記着色剤とを合わ
    せた重量は、上記感光性樹脂に対して5〜50重量%に調
    製されていることを特徴とする請求項1に記載の遮光性
    薄膜組成物。
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