JP2606750B2 - エキシマレーザのガス注入方法 - Google Patents

エキシマレーザのガス注入方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はバッファガス中のレーザ媒質の分圧が小さ
いエキシマレーザなどのガスレーザのガス注入方法に関
する。
〔従来の技術〕
エキシマレーザで使用されるガスは、ハロゲンガス
(F2など)、希ガス(Kr、Ar、など)、バッファガス
(He、Neなど)の混合ガスであり、その分圧は、レーザ
媒質であるハロゲンガスと希ガスとがそれぞれ数10Torr
と低いのに対し、バッファガスは約2.5kg f/cm2と高
く、これらの差は非常に大きい。
かかるエキシマレーザにおけるハロゲンガスと希ガス
の分圧比はレーザ発振性能に深く関係しており、これが
狂うと出力が低下したり、放電が乱れてレーザビームの
モードが変わる危険性があるため、ガスの注入には細心
の注意を払う必要がある。
そこで、従来のエキシマレーザでは以下のようなガス
注入が行われていた。なお、レーザチャンバを真空に排
気したときの圧力をPu、ハロゲンガスの注入圧力をP
H、希ガスの注入圧力をPR、ガスの全圧をPTとする。
レーザチャンバを真空近傍Puまで排気する。
圧力Puを基準にしてハロゲンガスをさらにPH(数10To
rr)注入する。
希ガスをさらにPR(数10Torr)注入する。
バッファガスを注入して全圧PTを約2.5kg f/cm2とす
る。
レーザ発振を行う。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来方式では、チャンバを真空に排気してそのと
きの圧力Puを基準にしてハロゲンガスの注入圧力PHと
希ガスの注入圧力PRを測定するため、PHとPRを正確
にするためにはPuを正確に測定する必要があった。
しかしながら、これは以下の理由で大変困難である。
すなわち、ガス圧の測定に用いる圧力トランスデュー
サはその入力圧に対する測定圧の直線性が真空近傍の0
点付近では第4図に示すように悪くなったり、あるいは
第5図に示すようにオフセットがでて0点がずれたりす
るものが多い。したがってこの真空圧近傍の前記圧力Pu
を基準にしてハロゲンガスと希ガスの注入を行う従来方
式では、測定の基準がずれてしまうため、ハロゲンガス
と希ガスを正確な圧力で注入できないという問題があ
る。すなわち従来方式の欠点は、圧力トランスデューサ
の信頼性の低いまた不安定な真空圧近傍の領域を使って
レーザの性能に大きく影響するハロゲンガスおよび希ガ
スの注入圧力PH、PRを測定するところにある。
特に、エキシマレーザの場合はガスの全圧が2.5kgf/c
m2と大きいために高耐圧の圧力トランスデューサを使う
必要があり、このようなフルスケールの大きなトランス
デューサでは前記オフセット量も大きなものとなってし
まう。
そこで、予めガスを混合したボンベを使用するという
方法を取ることが考えられるが、レーザのような特殊な
目的に使用する混合ガスは非常に高価であり、産業用に
は問題が残る。
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、
ガス注入時のガス分圧を精度よく測定することができる
エキシマレーザのガス注入方法を提供することを目的と
する。
〔課題を解決するための手段〕
この発明では、圧力トランスデューサでガス圧を測定
しながらレーザ媒質ガスおよびバッファガスを含むレー
ザガスをレーザチャンバに注入するエキシマレーザのガ
ス注入方法において、前記圧力トランスデューサで測定
したレーザチャンバ内のガス圧が真空近傍の所定圧にな
るまでレーザチャンバ内のガスを排気する第1の工程
と、前記圧力トランスデューサで測定したレーザチャン
バ内のガス圧が予め設定された第1の所定圧になるまで
バッファガスを注入する第2の工程と、前記圧力トラン
スデューサで測定したレーザチャンバ内のガス圧が、前
記第1の設定圧に予め設定された第2の所定圧を加えた
値になるまで前記レーザ媒質ガスを注入する第3の工程
と、前記圧力トランスデューサで測定したレーザチャン
バ内のガス圧が、ガス全圧値として予め設定された所定
圧になるまで前記バッファガスを注入する第4の工程と
を具えるようにしている。
〔作用〕
係る本発明の方法によれば、まずレーザチャンバ内の
ガス圧が真空近傍の所定圧になるまでレーザチャンバ内
のガスを排気することにより、レーザチャンバ内の不純
物をできるだけ多く取り除く。次に、バッファガスを第
1の設定圧になるまで注入することによりレーザ媒質ガ
スの圧力測定の基準点を高圧側にずらし、その後レーザ
媒質ガスを注入することにより、圧力トランスデューサ
の測定の信頼性の高い領域を使ってレーザ媒質ガスの圧
力測定を行うようにしている。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を添付図面を参照して詳細に
説明する。
第2図はこの発明をエキシマレーザに適用した実施例
を示すもので、1はレーザチャンバ、2は真空ポンプ、
3は排気バルブ、4はバッファガスが充填されたボン
ベ、5はハロゲンガスが充填されたボンベ、6は希ガス
が充填されたボンベ、7〜9はガス注入用バルブ、10は
圧力トランスデューサ、20は各バルブの開閉を制御した
り圧力トランスデューサ10の検出圧を測定するコントロ
ーラである。
かかる実施例においてレーザチャンバ1にガスを充填
するときは次のような手順で行う。以下、第1図のフロ
ーチャートを参照して本実施例におけるガス充填動作を
説明する。
レーザチャンバ1を真空近傍圧Puまで排気する工程 まず、コントローラ20は真空ポンプ2をオンするとと
もに(ステップ100)、排気バルブ3を開としてレーザ
チャンバ1を排気する(ステップ110)。コントローラ2
0はこの排気動作に伴って圧力トランスデューサ10の検
出圧Pを測定し、この検出圧Pが真空近傍の所定圧Pu以
下になった時点で排気バルブ3を閉とする(ステップ12
0〜140)。
バッファガスを所定圧PB(数10Torr)まで注入する
工程 次に、コントローラ20はバルブ7を開としてバッファ
ガスボンベ4のバッファガスをレーザチャンバ1に注入
する(ステップ150)。コントローラ20はこのバッファ
ガス注入動作に伴って圧力トランスデューサ10の検出圧
Pを測定し、この検出圧Pが所定圧PB以上になった時点
でバルブ7を閉とする(ステップ160〜180)。
ハロゲンガスを所定圧PH(数10Torr)注入する工程 次に、コントローラ20はバルブ8を開としてハロゲン
ガスボンベ5のハロゲンガスをレーザチャンバ1に注入
する(ステップ190)。コントローラ20はこのハロゲン
ガス注入動作に伴って圧力トランスデューサ10の検出圧
Pを測定し、この検出圧Pが前記バッファガスの分圧P
Bとハロゲンガスの分圧PHの合成圧(PB+PH)以上に
なった時点でバルブ8を閉とする(ステップ200〜22
0)。
希ガスを所定圧PR(数10Torr)注入する工程 次に、コントローラ20はバルブ9を開として希ガスボ
ンベ5の希ガスをレーザチャンバ1に注入する(ステッ
プ230)。コントローラ20はこの希ガス注入動作に伴っ
て圧力トランスデューサ10の検出圧Pを測定し、この検
出圧Pが前記バッファガスの分圧PBとハロゲンガスの
分圧PHと希ガスの分圧PRの合成圧(PB+PH+PR)以
上になった時点でバルブ9を閉とする(ステップ240〜2
60)。
バッファガスを注入し全圧PTを約2.5kg f/cm2とする
工程 次に、コントローラ20はバルブ7を再び開としてバッ
ファガスボンベ4のバッファガスをレーザチャンバ1に
再注入する(ステップ270)。コントローラ20はこのバ
ッファガス注入動作に伴って圧力トランスデューサ10の
検出圧Pを測定し、この検出圧Pが所定圧PT(約2.5kg
f/cm2)になった時点でバルブ7を閉とする(ステップ
280〜300)。
レーザ発振工程 以上のようにしてガスの注入が終了すると、コントロ
ーラ20はレーザ発振を開始する(ステップ310)。
このようにこの実施例では、最初にバッファガスを注
入することによりハロゲンガスの圧力測定の基準点を0
点からずらし、圧力トランスデューサ10の信頼性の高い
領域を使って圧力測定を行うようにしているので、レー
ザ発振性能に深く関係するレーザ媒質ガスすなわちハロ
ゲンガスと希ガスを正確な分圧比PH、PRをもってレー
ザチャンバ1に充填することができる。
なお、この発明は第3図に示すような低圧用の圧力ト
ランスデューサ10と高圧用の圧力トランスデューサ11を
備えたシステムにも適用することができる。この場合に
は、最初、切り替えバルブ15を低圧用の圧力トランスデ
ューサ10側に切り替え、この低圧用の圧力トランスデュ
ーサ10を使用してバッファガス、ハロゲンガス、希ガス
の各分圧Pu、PH、PRを測定し、この後切り替えバルブ
15を高圧用の圧力トランスデューサ11側に切り替え、こ
の高圧用の圧力トランスデューサ11を使用して全圧PT
(約2.5kg f/cm2)を測定する。勿論、この場合は先の
第1図のフローチャートに示した順序にガスの注入が行
われる。
また上記実施例では、レーザ媒質ガスを注入する際、
ハロゲンガスを希ガスの前に注入するようにしたが、こ
の順序を逆にしても良い。
さらに上記実施例では、この発明をハロゲンガスと希
ガスをレーザ媒質ガスとして用いるエキシマレーザに適
用するようにしたが、レーザ媒質ガスの分圧がバッファ
ガスの分圧に比べてかなり小さいものであれば、他のガ
スレーザに適用するようにしてもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したようにこの発明によれば、まずレーザチ
ャンバ内のガス圧が真空近傍の所定圧になるまでレーザ
チャンバ内のガスを排気してレーザチャンバ内の不純物
をできるだけ多く取り除いた後、バッファガスを少し注
入してガス圧をある程度上げ、その後レーザ媒質ガスを
注入するようにしたので、圧力トランスデューサの信頼
性の高い測定領域を使って、高精度の注入が必要なレー
ザ媒質ガスの圧力測定を高精度になし得るようになり、
これによりレーザ発振を安定させ、レーザ発振の信頼性
を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示すフローチャート、第2
図はこの発明をエキシマレーザに適用した構成例を示す
ブロック図、第3図は第2図の変形例を示すブロック
図、第4図および第5図は従来技術の不都合の説明図で
ある。 1……レーザチャンバ、2……真空ポンプ 3、7、8、9……バルブ、4〜6……ボンベ 10、11……圧力トランスデューサ 20……コントローラ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧力トランスデューサでガス圧を測定しな
    がらレーザ媒質ガスおよびバッファガスを含むレーザガ
    スをレーザチャンバに注入するエキシマレーザのガス注
    入方法において、 前記圧力トランスデューサで測定したレーザチャンバ内
    のガス圧が真空近傍の所定圧になるまでレーザチャンバ
    内のガスを排気する第1の工程と、 前記圧力トランスデューサで測定したレーザチャンバ内
    のガス圧が予め設定された第1の所定圧になるまでバッ
    ファガスを注入する第2の工程と、 前記圧力トランスデューサで測定したレーザチャンバ内
    のガス圧が、前記第1の設定圧に予め設定された第2の
    所定圧を加えた値になるまで前記レーザ媒質ガスを注入
    する第3の工程と、 前記圧力トランスデューサで測定したレーザチャンバ内
    のガス圧が、ガス全圧値として予め設定された所定圧に
    なるまで前記バッファガスを注入する第4の工程と、 を具えることを特徴とするエキシマレーザのガス注入方
    法。
  2. 【請求項2】前記レーザ媒質ガスは、ハロゲンガスと希
    ガスである請求項(1)記載のエキシマレーザのガス注
    入方法。
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