JP3670900B2 - 伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置 - Google Patents
伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置に関し、特に、オーバーシュートなしに校正過程が自動化される伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種多様なプラントで、その計測制御のために現場側で伝送器が用いられている。その伝送器は、制御室側の計器盤に接続されている。このような伝送器と計器盤は、それらの校正が必要である。図5は、それらの校正方法を示している。現場側の校正実行者は加圧ポンプ101を操作して校正対象の伝送器102に試験圧を加える。その試験圧は、マノメータ103により測定されながら安定化される。現場から遠隔にある制御室側の校正対象の計器盤104の出力値は電圧計105で計測される。電圧計105の出力値が安定値に達した時に、制御室側の校正実行者が送受話器106,107と通信回線108を介して、そのことを現場側の校正実行者に通知する。このような校正方法は、2人の校正実行者が現場側と制御室側の2ヶ所に配置される。このような2人の校正実行者が、加圧ポンプ101を操作してオーバーシュートなしに圧力を安定させ、遠隔の制御室にある計器盤の出力計測値を得るまでその圧力を維持するには、相当の熟練が必要である。
【0003】
熟練を要しないで校正を実行することができ、更には、オーバーシュートなしに校正を実行することができることが望まれる。また、校正の高精度化と高速化が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、熟練なしに校正を実行することができる伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、オーバーシュートなしに校正を実行することができる伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置を提供することにある。
本発明の更に他の課題は、オーバーシュートがなく熟練を要しないで、校正の高精度化と高速化を実現することができる伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0006】
本発明による伝送器自動校正方法は、最終目標圧力値を設定すること、その最終目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量である容積変化量を式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)により算出することと、その容積変化量に相当する第1内容積を伝送器に圧力的に接続する容積変化型加圧器(1)に形成することと、ここで、その第1内容積は容積変化型加圧器の内容積であると仮定されており、最終目標圧力値を若干下回る値の第1目標圧力値を設定することと、第1内容積と第1目標圧力値とに基づいて密閉系内容積の第1容積変化量を再計算することと、第1容積変化量に相当する第2内容積を容積変化型加圧器に形成することと、第2目標圧力値を設定することと、その第2目標圧力値から最終目標圧力値まで移行させる制御を計算による制御からPIフィードバックによる制御に切り替えることとからなる。
【0007】
物理的式によりその仮定に基づいて計算される値は、系内の全容積Vを示す既述のk=PVにより記述されておらず、この内容積測定の加減圧段階では、圧縮・膨張量は系全体の内容積Vから算出したものではないので、この計算によって求められる容積変化型加圧器(1)以外の内容積Vdに対応する圧力値は、目標圧力値を必ず下回る量である。したがって、この加減圧段階では、圧力のオーバーシュートは生じないから、安全に加減圧を実行することができる。最終制御過程では、物理式による計算制御がPIフィードバック制御に移行し、センサの精度補正基づく制御が行われ、この段階でもオーバーシュートは生じない。オーバーシュートが行い制御が行われているため、加減圧が高速動作の駆動体(例示:ステッピングモータ)で行われ得るし、更に、PIフィードバック制御の段階では応答速度が速いセンサ(6)を用いることができるので、校正を高速化することができる。
【0008】
第2目標圧力値の設定は、計測速度は遅いが計測精度高い第1圧力センサ(4)の計測圧力と計測速度は速いが計測精度が低い(低くてもよい)第2圧力センサ(6)の計測圧力との差である計測差に基づくことが好ましい。両センサの使用により校正の高速化と高精度化が同時に実現する。
【0009】
その容積変化量は、具体的には、次式:
Vd={Pb/(Pa−Pb)}Vs(圧縮時)、又は、
Vd={Pa/(Pb−Pa)}Vs(膨張時).
Vd:容積変化型加圧器(1)以外の内容積、
Vs:容積変化型加圧器(1)の容積変化量、
Pb:加減圧開始前の圧力値、Pa:加減圧終了後の圧力値
により計算されることが好ましい。このような明白な物理式に基づく数値計算による制御は、オーバーシュートを確実に回避することができる。
【0010】
PIフィードバック制御のための比例帯と積分時間は、次式:
第2目標圧力値P2=(Ps/Pm)P,
P:最終目標圧力値,
Ps:第1センサの計測値,
Pm:第2センサの計測値
比例帯PB=(P・Vb/Pb・V)PBb,
Pb:圧力基準値,
V:第1内容積,
Vb:内容積基準値,
PBb:比例帯基準値,
積分時間TI=(P・Vb/Pb・V)TIb,
TIb:積分時間基準値
により算出され得る。
【0011】
容積変化型加圧器(1)と伝送器(3)を含む系の内容積(圧力室(15)の内容積を含む容積)を減圧する過程が必要になることがある。その場合、減圧弁(41)が用いられ、その減圧弁(41)の開放時間Tは、次式:
T=klog(P0/P).
T:時間
k:定数
P0:初期の圧力
P:減圧後の圧力
により計算され得る。物理計算により適正圧力まで速やかに確実に制御なしに減圧することができる。第1圧力センサ(4)又は第2圧力センサ(6)の出力値と伝送器(3)の出力値が安定に達した時の出力値が校正値とされる。この安定化判断には、第1圧力センサ(4)の方が用いられることが好ましい。
【0012】
本発明による伝送器自動校正装置は、設定された最終目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量である容積変化量を式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)により算出する計算機部分(29)と、容積変化量に相当する第1内容積が形成され伝送器(3)に圧力的に接続する容積変化型加圧器(1)と、ここで、第1内容積は容積変化型加圧器(1)の内容積であると仮定されており、最終目標圧力値を若干下回る値の第1目標圧力値と第1内容積とに基づいて密閉系内容積の第1容積変化量を再計算する計算機部分(29)と、容積変化型加圧器(1)と伝送器を接続する配管(2)中の圧力を計測するセンサとからなり、センサは、計測速度は遅いが計測精度が高い第1圧力センサ(4)と、計測速度は速いが計測精度が低い第2圧力センサ(6)とを備え、第1容積変化量に相当する第2内容積が容積変化型加圧器(1)に形成され、第1圧力センサ(4)と第2圧力センサ(6)の計測圧力との差である計測差に基づいて第2目標圧力値が設定され、第2目標圧力値から最終目標圧力値まで移行させる制御が計算による制御からPIフィードバックによる制御に切り替えられて最終目標圧力値がえられる。高精度圧力センサの使用は、高精度校正を可能にし、2種類のセンサの使用により、高精度と高速性の両方を自動的に実現することができる。
【0013】
最終校正に向かう過程は、第1段階の制御と第2段階の制御に大別され、いずれの段階でもオーバーシュートを回避でき、目標設定値に近づくにつれてPI制御により微細に制御するが、その微細な制御段階でもオーバーシュートが回避され、熟練に頼ることなく、速やかに校正値を得ることができる。通信回線を用いれば、遠隔地の制御が自動化され、計器番側に校正実行者を配置しなくてすむ。
【0014】
【発明の実施の形態】
図に一致対応して、本発明による伝送器自動校正装置の実施の形態は、自動加圧装置が校正対象の伝送器とともに設けられている。その自動加圧装置10は、図1に示されるように、自動加圧ポンプ1を備え、伝送器3に接続している。自動加圧ポンプ1は、配管路2を介して校正対象の伝送器3に接続している。マノメータ4が、分岐管5を介して配管路2に連通している。自動加圧装置10は、圧力センサ6を備えている。圧力センサ6は、分岐管7を介して配管路2に連通している。
【0015】
閉止用電磁弁8が、配管路2に介設されている。自動加圧ポンプ1は、閉止用電磁弁8を介して伝送器3に接続している。閉止用電磁弁8と伝送器3との間の配管路2と、分岐管5と、分岐管7とは、同圧状態で互いに連通している。閉止用電磁弁8と自動加圧ポンプ1との間の配管路2の部分管9に、給排気用電磁弁11が連通している。自動加圧装置10は、試験圧出力口12を有している。配管路2の伝送器3の側の部分管は、試験圧出力口12に接続している。
【0016】
自動加圧ポンプ1は、シリンダ容器13と、ピストン14とから形成されている。シリンダ容器13とピストン14とによりシリンダ室である圧力室15が形成されている。ピストン14に同体であるピストンロッド16は、動体17を介してボールねじ18に可動自在に結合している。ボールねじ18は、螺軸受19に軸受けされ、サーボモータ21により回転駆動される。サーボモータ21は、ステッピングモータである。
【0017】
自動加圧装置10は、演算制御回路22を備えている。圧力センサ6が計測して出力する圧力計測値は信号線23を介して演算制御回路22に入力される。演算制御回路22は、後述される所要回転角加減量指令値24を出力し、所要回転角加減量指令値24はサーボモータ21に入力される。
【0018】
伝送器3から遠隔にある制御室側には、校正対象の計器盤25が設けられている。伝送器3は、伝送路26を介して計器盤25に接続している。電圧計27が、計器盤25に接続している。電圧計27は、制御室側コンピュータ28により制御される。自動加圧装置10の側には、自動加圧装置側コンピュータ29が設けられている。
【0019】
自動加圧装置側コンピュータ29は、ソフトウエア31を有している。自動加圧装置側コンピュータ29は、自動加圧装置10の演算制御回路22とマノメータ4に接続して、演算制御回路22とマノメータ4を制御する。制御室側コンピュータ28と自動加圧装置側コンピュータ29とは、通話回線32で接続されている。
【0020】
圧力室15は、個々のプラントの設備として設置されている。自動加圧装置10と、伝送器3と、マノメータ4とは、校正試験を実行する度に配管路2で管結合されて現場で仮設される。配管路2の内容積は、そのような仮設の度にその値が変わる。自動加圧ポンプ1により生成される圧力は、ステッピングモータ21の回転角度に対応して可変である。
【0021】
自動加圧ポンプ1により生成される発生圧力は、一方では、閉止用電磁弁8を介して圧力センサ6と試験圧出力口12に導かれる。試験圧出力口12の圧力は、配管路2の部分を介して、自動加圧装置10の外側に配置されている伝送器3とマノメータ4とに作用する。自動加圧ポンプ1により生成される発生圧力は、他方では、給排気用電磁弁11を介して給排気口34に導かれる。給排気口34は、大気に開放されている。
【0022】
圧力センサ6とマノメータ4は、自動加圧ポンプ1の圧力室15に発生する発生圧力を検出してそれを計測する。圧力センサ6は、マノメータ4よりも計測の応答速度が速く、マノメータ4は圧力センサ6よりも計測精度が高い。マノメータ4の計測値は、自動加圧装置側コンピュータ29に取り込まれる。圧力センサ6の計測値は、演算制御回路22に取り込まれる。
【0023】
自動加圧ポンプ1が生成した発生圧力の作用を受ける伝送器3の出力は、伝送路26を通されて計器盤25に伝達され、所要の信号処理を受ける。その信号処理により計器盤25から出力される出力電圧は、電圧計27により計測されて、制御室側コンピュータ28に取り込まれる。制御室側コンピュータ28に取り込まれた電圧計27の計測値は、通話回線32を経て自動加圧装置側コンピュータ29に取り込まれる。
【0024】
自動加圧装置側コンピュータ29には、校正実行者により目標圧力値が入力されている。自動加圧装置側コンピュータ29のソフトウエア31は、下記の5つの機能(コンピュータを動作させる能力)を有している。
第1動作能力:
その目標圧力値に対応する圧力室15の圧縮量又は膨張量である容積変化量を算出してその容積変化量をステッピングモータ21の所要回転角加減量に変換して演算制御回路22に与えることができる。
【0025】
第2動作能力:
その所要の圧縮又は膨張が行われた後の自動加圧ポンプ1の発生圧力をマノメータ4から取得して、自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに接続している配管2,7,5,9とから形成される密閉系の内容積を計算により算出する。
第3動作能力:
圧力の加減・外部空気の取込・排出動作に応じて必要となる閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11への開閉信号を生成する。
【0026】
第4動作能力:
演算制御回路22を回転角加減量演算からPIフィードバック演算に切り替えるための信号送出と目標圧力値・比例帯・積分時間を演算制御回路22に与える。
第5動作能力:
圧力センサ6の圧力計測値とマノメータ4の圧力計測値とから精度補正を行った目標圧力値を演算制御回路22に与える。
【0027】
閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11は、ソフトウエア31から開閉信号を与えられて開閉動作する。閉止用電磁弁8が開であり給排気用電磁弁11が閉であれば、自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに結合する配管とで既述の通りの密閉系が形成される。このような密閉状態で、自動加圧ポンプ1のピストン14を圧縮・膨張方向に駆動して、その密閉系の圧力を加減する。
【0028】
閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11とが共に開であれば、自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに結合する配管とは、それらの内部が大気圧と同圧になる。閉止用電磁弁8が閉であり給排気用電磁弁11が開であれば、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3の内部に圧力が封じ込まれ、自動加圧ポンプ1のピストン14を圧縮・膨張方向に駆動して、圧力室15の中に外部の空気を取り入れ、又は、そこから外部へ空気を排出する。
【0029】
圧力室15に外部の空気を取り込んで、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11を共に閉にすれば、自動加圧ポンプ1のピストン14を圧縮方向に駆動して、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3の中に封じ込めた圧力の追加加圧を可能にする状態を形成することができる。ステッピングモータ21の回転角は、演算制御回路22から与えられるパルス出力に従う。演算制御回路22は、自動加圧装置10の外部にある自動加圧装置側コンピュータ29の中のソフトウエア31で生成される所要回転角加減量指令値、又は、目標圧力指令値を得て、そのパルス出力を生成する。
【0030】
ソフトウエア31から与えられる指令値が所要回転角加減量であれば、直接にそれを出力し、ソフトウエア31から与えられる指令値が目標圧力指令値であれば、それと同時に与えられる比例帯と積分時間を取込み、それを演算制御回路22に設定して、回転角加減量演算からPIフィードバック演算に切り替えるための既述の信号を受けたときに設定された条件で、PIフィードバック演算を開始する。そのときのパルス出力は、与えられた目標圧力値と圧力センサ6で検出した発生圧力値との差をPIフィードバック演算した結果に従う。
【0031】
図2は、本発明による伝送器自動校正方法の実施の形態の動作フローを示している。動作フローは、下記ステップスからなる。
第1ステップ:
目標圧力値が、自動加圧装置側コンピュータ29に校正実行者により入力される。ソフトウエア31により、その目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量が式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)にしたがって算出される。この容積変化量は、ピストン14のストローク変化量に相当するステッピングモータ21の回転角加減量に変換される。この計算では、その内容積は自動加圧ポンプ1の内容積のみで成立するものと仮定される。この仮定の上で、その回転角加減量が算出される。
【0032】
開閉信号が、自動加圧装置側コンピュータ29から閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に与えられる。閉止用電磁弁8が開かれ、給排気用電磁弁11が閉じられる。この状態は、以下で、加圧状態といわれる。演算制御回路22に既に算出済みの既述の回転角加減量が与えられる。回転角加減量に対応して、ステッピングモータで21が駆動され、圧力室15は圧縮され、又は、膨張する。
【0033】
このような加減圧段階の前後の圧力は、その加減圧の前後に、マノメータ4により測定される。その測定値を用いて既述の仮定に基づく次式の計算が実行される。
Vd={Pb/(Pa−Pb)}Vs(圧縮時)、又は、
Vd={Pa/(Pb−Pa)}Vs(膨張時).
Vd:自動加圧ポンプ1以外の内容積、
Vs:自動加圧ポンプ1の容積変化量、
Pb:加減圧開始前の圧力値、Pa:加減圧終了後の圧力値
この式は、系内の全容積V(このVは既述のk=PVの容積Vに一致していない)について記述されておらず、この内容積測定の加減圧段階では、圧縮・膨張量は系全体の内容積Vから算出したものではないので、この計算によって求められる自動加圧ポンプ1以外の内容積Vdに対応する圧力値は、目標圧力値を必ず下回る量である。したがって、この加減圧段階では、圧力のオーバーシュートは生じないから、安全に加減圧を実行することができる。
【0034】
第2ステップ:
ステップ2は、目標圧力値を若干下回る値(例示:目標圧力値の97%程度であり、この値は以下で第1目標圧力値といわれる)まで高速に加減圧する動作段階である。計算・測定された内容積と第1目標圧力値とを基に、圧縮量又は膨張量を再計算し、その結果が演算制御回路22を経てステッピングモータで21に与えられる。閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に関し既述の加圧状態に開閉制御して、圧力室15は急速に加圧又は減圧される。第1目標圧力値は目標圧力値を若干下回る程度であるから、圧縮・膨張による空気温度の変化の影響があっても、圧力のオーバーシュートは生じない。回転角加減量は一義的に定まるので、ステッピングモータ21を最高速で回転させて加減圧を実行することができる。
【0035】
補充ステップ:
再計算の結果である圧縮量又は膨張量が自動加圧ポンプ1の内容積(圧力室15の容積)を越える場合は、加減圧の途中で外部より空気を取込み、又は、外部へ空気を排出することにより、所要の圧縮量又は膨張量を得る。
【0036】
外部空気は、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大圧縮位置に達した時、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に、閉止用電磁弁8が閉とされ給排気用電磁弁11が開とされる(この開閉状態は、給排気状態といわれる)開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大膨張位置まで戻されることにより外部から空気が取り込まれる。その後に、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が共に閉とされる(この開閉状態は、以下、平衡加圧状態といわれる)開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1の中を単独で圧縮することができる圧縮可能状態として形成し、その中の圧力が圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、それらを互いに接続する配管とで全内容積が形成される密封系に封じ込まれた圧力値にほぼ等しくなる回転角加減量が算出され、その回転角加減量に基づいてステッピングモータ21が駆動されて、圧力室15が圧縮される。このような圧縮完了後には、自動加圧ポンプ1の中の圧力と密閉系に封じ込まれた圧力とがほぼ均衡する。その均衡時点で、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11を既述の加圧状態として、再び、加圧を実行する。このような動作過程が所要の圧縮量が得られるまで繰り返されて、最終の圧縮段階に達したときに、既述の第2ステップによる圧力制御が行われる。
【0037】
内部空気は、自動加圧ポンプ1のピストンが最大膨張位置に達した時、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が給排気状態にされ、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大圧縮位置まで押し込まれることにより外部へ排出される。その後に、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が加圧状態にされ、再び、膨張・減圧が行われる。この過程は、所要の膨張量が得られるまで繰り返され、最終の膨張段階に達した時に既述の第2ステップによる圧力制御が行われる。
【0038】
第3ステップ:
第3ステップは、第1目標圧力値から目標圧力値まで演算制御回路22を回転角加減量演算からPIフィードバック制御(比例積分フィードバック制御)に切り替えて加減圧を実行する動作段階である。演算制御回路22に与える圧力の指令値は、第2ステップ(第2動作段階)の終了時点の圧力センサ6とマノメータ4との圧力指示の差から圧力センサ6の計測誤差を算出して、その補正を施したもの(以下、第2目標値といわれる)とされる。更に、PIフィードバック制御を行うために必要な比例帯・積分時間が算出されてそれが演算制御回路22に与えられ、その後に、回転角加減量からPIフィードバック制御に切り替えられる信号が与えられて、目標圧力値が得られるまでステッピングモータ21が駆動制御される。この場合の第2目標圧力値・比例帯・積分時間は、次式により算出される。
【0039】
第2目標圧力値P2=(Ps/Pm)P,
P:目標圧力値、
Ps:圧力センサ6の指示値、
Pm:マノメータ4の指示値
比例帯PB=(P・Vb/Pb・V)PBb,
Pb:圧力基準値、
V:第1段階で計測した内容積、
Vb:内容積基準値
PBb:比例帯基準値
積分時間TI=(P・Vb/Pb・V)TIb,
TIb:積分時間基準値
【0040】
このように演算制御回路22に与えられる比例帯・積分時間は、基準の比例帯・積分時間に対して、目標圧力値に比例し内容積に反比例するように設定されている。このように比例帯・積分時間を可変にすることにより、最適の制御が可能になり、安定で、且つ、オーバーシュートがない加減圧が行われる。圧力センサ6は、既述の通り、応答速度が速いものが使用されているため、圧力の整定時間が短くなるように制御されている。
【0041】
第4ステップ:
第4ステップは、マノメータ4の圧力計測値と、制御室側コンピュータ28と、通話回線32を介して電圧計27で計測された計器盤25の電圧出力値が安定に達したことが判定され、その安定した時の圧力計測値と電圧出力値が校正値とされる校正の動作段階である。
【0042】
この校正時の安定値到達の判定は次のように行われる。電圧及び圧力のそれぞれの計測値がサンプリング時間間隔(例示:0.5秒)で得られ、それが観測時間間隔の間(例示:5回計測分即ち2.5秒)記憶され、それと計測値との差が算出され、その差が安定値判定の基準値以下になった時に、安定値に達したと判定される。安定値判定の観測時間間隔(例示:2.5秒)より短い時間間隔(例示:0.5秒)で安定に達したことが検出されるので、校正所要時間が短縮される。
【0043】
図3は、本発明による伝送器自動校正装置の実施の他の形態を示している。図3に示される機器構成系統は、図1に示される機器構成系統に概ね同じであるが、両実施の形態は2点で異なっている。図1に示される自動加圧装置10の圧力センサ6は、本実施の形態の自動加圧装置10’では削除され、したがって、図1に示される信号線23と演算制御回路22は存在しない。図3に示される本実施の形態の自動加圧装置10’では、図1に示される実施の形態には存在しない逆止弁付排気速度制御弁41が新たに設けられている。自動加圧装置側コンピュータ29の出力は、直接にステッピングモータで21に入力される。自動加圧ポンプ1により生成される発生圧力の一方は、給排気用電磁弁11と逆止弁付排気速度制御弁41を介して給排気口34に導かれる。給排気用電磁弁11以外の内容積は、圧力センサ6が削除された分だけ減少している。図1の実施の形態に関する記述中の「自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに接続している配管2,7,5,9とから形成される密閉系の内容積」は、「自動加圧ポンプ1、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに接続している配管2,5,9とから形成される密閉系の内容積」と読み替えられる。
【0044】
閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11とが共に開であれば、自動加圧ポンプ1、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに結合する配管の中の圧力が排気される。この場合、本実施の形態では、その排気の速度は、逆止弁付排気速度制御弁41により調整され得る。そのような排気状態にする時間が算出され、その時間だけその電磁弁が動作して、配管の中が所定圧力に減圧され、大気圧と異なる圧力に調整される。
【0045】
図4は、本発明による伝送器自動校正方法の図3の実施の形態の動作フローを示している。その動作フローは、下記ステップスからなる。
第1ステップ:
図1,2に示される実施の形態の既述の第1ステップに同じである。
【0046】
第2ステップ:
計算された系全体の内容積を基にマノメータ4で計測した現在の圧力値と目標圧力値との差を若干下回る値(例示:差の97%程度)に相当する圧縮量又は膨張量を再計算し、その結果が直接にステッピングモータ21に与えられる。閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に関し既述の加圧状態に開閉制御して、圧力室15は急速に加圧又は減圧される。圧縮量又は膨張量は目標圧力値を若干下回る程度であるから、圧縮・膨張による空気温度の変化の影響があっても、圧力のオーバーシュートは生じない。回転角加減量は一義的に定まるので、ステッピングモータ21を最高速で回転させて加減圧を実行することができる。
【0047】
次に、加減圧結果の現在の圧力値をマノメータ4で計測し、目標圧力値との差が精度の閾値を下回っておれば、既述の第2ステップを繰り返す。このように漸近的制御手法により目標圧力値を得る。再計算の結果である圧縮量又は膨張量が自動加圧ポンプ1の内容積を越える場合は、加減圧の途中で外部より空気を取込み、又は、外部へ空気を排出することにより、所要の圧縮量又は膨張量を得る。
【0048】
外部空気は、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大圧縮位置に達した時、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に、閉止用電磁弁8が閉とされ給排気用電磁弁11が開とされる給排気状態の開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大膨張位置まで戻されることにより外部から空気が取り込まれる。その後に、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が共に閉とされる(平衡加圧状態)開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1の中を単独で圧縮することができる圧縮可能状態として形成し、その中の圧力がマノメータ4、伝送器3と、それらを互いに接続する配管とで全内容積が形成される密封系に封じ込まれた圧力値にほぼ等しくなる回転角加減量が算出され、その回転角加減量に基づいてステッピングモータで21が駆動されて、圧力室15が圧縮される。このような圧縮完了後には、自動加圧ポンプ1の中の圧力と密閉系に封じ込まれた圧力とがほぼ均衡する。その均衡時点で、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11を既述の加圧状態として、再び、加圧を実行する。このような動作過程が所要の圧縮量が得られるまで繰り返されて、最終の圧縮段階に達したときに、既述の第2ステップによる圧力制御が行われる。
【0049】
内部空気は、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が共に開とされ(排気状態といわれる)て、外部へ排出される。この弁の開度が調整されて、その排気速度が変えられ、マノメータ4の応答速度との同調が取られる。このような内部空気の排出による減圧は、予め次の式に従って算出した時間だけ電磁弁8,11が排気状態にされて行われる。
【0050】
T=klog(P0/P).
T:時間
k:定数
P0:初期の圧力
P:減圧後の圧力
排気終了後、電磁弁8,11が加圧状態にされて、既述の第2ステップの圧力制御が行われて、高速の減圧が可能である。
【0051】
第3ステップ:
マノメータ4の圧力計測値と、制御室側コンピュータ28と、通話回線32を介して電圧計27で計測された計器盤25の電圧出力値が安定に達したことが判定され、その安定した時の圧力計測値と電圧出力値が校正値とされる。
【0052】
この校正時の安定値到達の判定は次のように行われる。電圧及び圧力のそれぞれの計測値がサンプリング時間間隔(例示:0.5秒)で得られ、それが観測時間間隔の間(例示:5回計測分即ち2.5秒)記憶され、それと計測値との差が算出され、その差が安定値判定の基準値以下になった時に、安定値に達したと判定される。このような判定方法により、安定値判定の観測時間(例示:2.5秒)より短い時間間隔(例示:0.5秒)で安定に達したことが検出されるので、校正所要時間が短縮される。
【0053】
【発明の効果】
本発明による伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置は、自動校正の高精度化と高速化が同時に達成され、従って、高度な熟練を要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による伝送器自動校正装置の実施の形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による伝送器自動校正方法の実施の形態を示す動作フロー図である。
【図3】図3は、本発明による伝送器自動校正装置の実施の他の形態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明による伝送器自動校正方法の実施の他の形態を示す動作フロー図である。
【図5】図5は、公知の伝送器の校正方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1…容積変化型加圧器(自動加圧ポンプ)
3…伝送器
4…第1圧力センサ(マノメータ)
6…(第2)圧力センサ
31…計算機部分(自動加圧装置側コンピュータ)
41…減圧弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置に関し、特に、オーバーシュートなしに校正過程が自動化される伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種多様なプラントで、その計測制御のために現場側で伝送器が用いられている。その伝送器は、制御室側の計器盤に接続されている。このような伝送器と計器盤は、それらの校正が必要である。図5は、それらの校正方法を示している。現場側の校正実行者は加圧ポンプ101を操作して校正対象の伝送器102に試験圧を加える。その試験圧は、マノメータ103により測定されながら安定化される。現場から遠隔にある制御室側の校正対象の計器盤104の出力値は電圧計105で計測される。電圧計105の出力値が安定値に達した時に、制御室側の校正実行者が送受話器106,107と通信回線108を介して、そのことを現場側の校正実行者に通知する。このような校正方法は、2人の校正実行者が現場側と制御室側の2ヶ所に配置される。このような2人の校正実行者が、加圧ポンプ101を操作してオーバーシュートなしに圧力を安定させ、遠隔の制御室にある計器盤の出力計測値を得るまでその圧力を維持するには、相当の熟練が必要である。
【0003】
熟練を要しないで校正を実行することができ、更には、オーバーシュートなしに校正を実行することができることが望まれる。また、校正の高精度化と高速化が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、熟練なしに校正を実行することができる伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、オーバーシュートなしに校正を実行することができる伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置を提供することにある。
本発明の更に他の課題は、オーバーシュートがなく熟練を要しないで、校正の高精度化と高速化を実現することができる伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数・形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0006】
本発明による伝送器自動校正方法は、最終目標圧力値を設定すること、その最終目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量である容積変化量を式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)により算出することと、その容積変化量に相当する第1内容積を伝送器に圧力的に接続する容積変化型加圧器(1)に形成することと、ここで、その第1内容積は容積変化型加圧器の内容積であると仮定されており、最終目標圧力値を若干下回る値の第1目標圧力値を設定することと、第1内容積と第1目標圧力値とに基づいて密閉系内容積の第1容積変化量を再計算することと、第1容積変化量に相当する第2内容積を容積変化型加圧器に形成することと、第2目標圧力値を設定することと、その第2目標圧力値から最終目標圧力値まで移行させる制御を計算による制御からPIフィードバックによる制御に切り替えることとからなる。
【0007】
物理的式によりその仮定に基づいて計算される値は、系内の全容積Vを示す既述のk=PVにより記述されておらず、この内容積測定の加減圧段階では、圧縮・膨張量は系全体の内容積Vから算出したものではないので、この計算によって求められる容積変化型加圧器(1)以外の内容積Vdに対応する圧力値は、目標圧力値を必ず下回る量である。したがって、この加減圧段階では、圧力のオーバーシュートは生じないから、安全に加減圧を実行することができる。最終制御過程では、物理式による計算制御がPIフィードバック制御に移行し、センサの精度補正基づく制御が行われ、この段階でもオーバーシュートは生じない。オーバーシュートが行い制御が行われているため、加減圧が高速動作の駆動体(例示:ステッピングモータ)で行われ得るし、更に、PIフィードバック制御の段階では応答速度が速いセンサ(6)を用いることができるので、校正を高速化することができる。
【0008】
第2目標圧力値の設定は、計測速度は遅いが計測精度高い第1圧力センサ(4)の計測圧力と計測速度は速いが計測精度が低い(低くてもよい)第2圧力センサ(6)の計測圧力との差である計測差に基づくことが好ましい。両センサの使用により校正の高速化と高精度化が同時に実現する。
【0009】
その容積変化量は、具体的には、次式:
Vd={Pb/(Pa−Pb)}Vs(圧縮時)、又は、
Vd={Pa/(Pb−Pa)}Vs(膨張時).
Vd:容積変化型加圧器(1)以外の内容積、
Vs:容積変化型加圧器(1)の容積変化量、
Pb:加減圧開始前の圧力値、Pa:加減圧終了後の圧力値
により計算されることが好ましい。このような明白な物理式に基づく数値計算による制御は、オーバーシュートを確実に回避することができる。
【0010】
PIフィードバック制御のための比例帯と積分時間は、次式:
第2目標圧力値P2=(Ps/Pm)P,
P:最終目標圧力値,
Ps:第1センサの計測値,
Pm:第2センサの計測値
比例帯PB=(P・Vb/Pb・V)PBb,
Pb:圧力基準値,
V:第1内容積,
Vb:内容積基準値,
PBb:比例帯基準値,
積分時間TI=(P・Vb/Pb・V)TIb,
TIb:積分時間基準値
により算出され得る。
【0011】
容積変化型加圧器(1)と伝送器(3)を含む系の内容積(圧力室(15)の内容積を含む容積)を減圧する過程が必要になることがある。その場合、減圧弁(41)が用いられ、その減圧弁(41)の開放時間Tは、次式:
T=klog(P0/P).
T:時間
k:定数
P0:初期の圧力
P:減圧後の圧力
により計算され得る。物理計算により適正圧力まで速やかに確実に制御なしに減圧することができる。第1圧力センサ(4)又は第2圧力センサ(6)の出力値と伝送器(3)の出力値が安定に達した時の出力値が校正値とされる。この安定化判断には、第1圧力センサ(4)の方が用いられることが好ましい。
【0012】
本発明による伝送器自動校正装置は、設定された最終目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量である容積変化量を式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)により算出する計算機部分(29)と、容積変化量に相当する第1内容積が形成され伝送器(3)に圧力的に接続する容積変化型加圧器(1)と、ここで、第1内容積は容積変化型加圧器(1)の内容積であると仮定されており、最終目標圧力値を若干下回る値の第1目標圧力値と第1内容積とに基づいて密閉系内容積の第1容積変化量を再計算する計算機部分(29)と、容積変化型加圧器(1)と伝送器を接続する配管(2)中の圧力を計測するセンサとからなり、センサは、計測速度は遅いが計測精度が高い第1圧力センサ(4)と、計測速度は速いが計測精度が低い第2圧力センサ(6)とを備え、第1容積変化量に相当する第2内容積が容積変化型加圧器(1)に形成され、第1圧力センサ(4)と第2圧力センサ(6)の計測圧力との差である計測差に基づいて第2目標圧力値が設定され、第2目標圧力値から最終目標圧力値まで移行させる制御が計算による制御からPIフィードバックによる制御に切り替えられて最終目標圧力値がえられる。高精度圧力センサの使用は、高精度校正を可能にし、2種類のセンサの使用により、高精度と高速性の両方を自動的に実現することができる。
【0013】
最終校正に向かう過程は、第1段階の制御と第2段階の制御に大別され、いずれの段階でもオーバーシュートを回避でき、目標設定値に近づくにつれてPI制御により微細に制御するが、その微細な制御段階でもオーバーシュートが回避され、熟練に頼ることなく、速やかに校正値を得ることができる。通信回線を用いれば、遠隔地の制御が自動化され、計器番側に校正実行者を配置しなくてすむ。
【0014】
【発明の実施の形態】
図に一致対応して、本発明による伝送器自動校正装置の実施の形態は、自動加圧装置が校正対象の伝送器とともに設けられている。その自動加圧装置10は、図1に示されるように、自動加圧ポンプ1を備え、伝送器3に接続している。自動加圧ポンプ1は、配管路2を介して校正対象の伝送器3に接続している。マノメータ4が、分岐管5を介して配管路2に連通している。自動加圧装置10は、圧力センサ6を備えている。圧力センサ6は、分岐管7を介して配管路2に連通している。
【0015】
閉止用電磁弁8が、配管路2に介設されている。自動加圧ポンプ1は、閉止用電磁弁8を介して伝送器3に接続している。閉止用電磁弁8と伝送器3との間の配管路2と、分岐管5と、分岐管7とは、同圧状態で互いに連通している。閉止用電磁弁8と自動加圧ポンプ1との間の配管路2の部分管9に、給排気用電磁弁11が連通している。自動加圧装置10は、試験圧出力口12を有している。配管路2の伝送器3の側の部分管は、試験圧出力口12に接続している。
【0016】
自動加圧ポンプ1は、シリンダ容器13と、ピストン14とから形成されている。シリンダ容器13とピストン14とによりシリンダ室である圧力室15が形成されている。ピストン14に同体であるピストンロッド16は、動体17を介してボールねじ18に可動自在に結合している。ボールねじ18は、螺軸受19に軸受けされ、サーボモータ21により回転駆動される。サーボモータ21は、ステッピングモータである。
【0017】
自動加圧装置10は、演算制御回路22を備えている。圧力センサ6が計測して出力する圧力計測値は信号線23を介して演算制御回路22に入力される。演算制御回路22は、後述される所要回転角加減量指令値24を出力し、所要回転角加減量指令値24はサーボモータ21に入力される。
【0018】
伝送器3から遠隔にある制御室側には、校正対象の計器盤25が設けられている。伝送器3は、伝送路26を介して計器盤25に接続している。電圧計27が、計器盤25に接続している。電圧計27は、制御室側コンピュータ28により制御される。自動加圧装置10の側には、自動加圧装置側コンピュータ29が設けられている。
【0019】
自動加圧装置側コンピュータ29は、ソフトウエア31を有している。自動加圧装置側コンピュータ29は、自動加圧装置10の演算制御回路22とマノメータ4に接続して、演算制御回路22とマノメータ4を制御する。制御室側コンピュータ28と自動加圧装置側コンピュータ29とは、通話回線32で接続されている。
【0020】
圧力室15は、個々のプラントの設備として設置されている。自動加圧装置10と、伝送器3と、マノメータ4とは、校正試験を実行する度に配管路2で管結合されて現場で仮設される。配管路2の内容積は、そのような仮設の度にその値が変わる。自動加圧ポンプ1により生成される圧力は、ステッピングモータ21の回転角度に対応して可変である。
【0021】
自動加圧ポンプ1により生成される発生圧力は、一方では、閉止用電磁弁8を介して圧力センサ6と試験圧出力口12に導かれる。試験圧出力口12の圧力は、配管路2の部分を介して、自動加圧装置10の外側に配置されている伝送器3とマノメータ4とに作用する。自動加圧ポンプ1により生成される発生圧力は、他方では、給排気用電磁弁11を介して給排気口34に導かれる。給排気口34は、大気に開放されている。
【0022】
圧力センサ6とマノメータ4は、自動加圧ポンプ1の圧力室15に発生する発生圧力を検出してそれを計測する。圧力センサ6は、マノメータ4よりも計測の応答速度が速く、マノメータ4は圧力センサ6よりも計測精度が高い。マノメータ4の計測値は、自動加圧装置側コンピュータ29に取り込まれる。圧力センサ6の計測値は、演算制御回路22に取り込まれる。
【0023】
自動加圧ポンプ1が生成した発生圧力の作用を受ける伝送器3の出力は、伝送路26を通されて計器盤25に伝達され、所要の信号処理を受ける。その信号処理により計器盤25から出力される出力電圧は、電圧計27により計測されて、制御室側コンピュータ28に取り込まれる。制御室側コンピュータ28に取り込まれた電圧計27の計測値は、通話回線32を経て自動加圧装置側コンピュータ29に取り込まれる。
【0024】
自動加圧装置側コンピュータ29には、校正実行者により目標圧力値が入力されている。自動加圧装置側コンピュータ29のソフトウエア31は、下記の5つの機能(コンピュータを動作させる能力)を有している。
第1動作能力:
その目標圧力値に対応する圧力室15の圧縮量又は膨張量である容積変化量を算出してその容積変化量をステッピングモータ21の所要回転角加減量に変換して演算制御回路22に与えることができる。
【0025】
第2動作能力:
その所要の圧縮又は膨張が行われた後の自動加圧ポンプ1の発生圧力をマノメータ4から取得して、自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに接続している配管2,7,5,9とから形成される密閉系の内容積を計算により算出する。
第3動作能力:
圧力の加減・外部空気の取込・排出動作に応じて必要となる閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11への開閉信号を生成する。
【0026】
第4動作能力:
演算制御回路22を回転角加減量演算からPIフィードバック演算に切り替えるための信号送出と目標圧力値・比例帯・積分時間を演算制御回路22に与える。
第5動作能力:
圧力センサ6の圧力計測値とマノメータ4の圧力計測値とから精度補正を行った目標圧力値を演算制御回路22に与える。
【0027】
閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11は、ソフトウエア31から開閉信号を与えられて開閉動作する。閉止用電磁弁8が開であり給排気用電磁弁11が閉であれば、自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに結合する配管とで既述の通りの密閉系が形成される。このような密閉状態で、自動加圧ポンプ1のピストン14を圧縮・膨張方向に駆動して、その密閉系の圧力を加減する。
【0028】
閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11とが共に開であれば、自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに結合する配管とは、それらの内部が大気圧と同圧になる。閉止用電磁弁8が閉であり給排気用電磁弁11が開であれば、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3の内部に圧力が封じ込まれ、自動加圧ポンプ1のピストン14を圧縮・膨張方向に駆動して、圧力室15の中に外部の空気を取り入れ、又は、そこから外部へ空気を排出する。
【0029】
圧力室15に外部の空気を取り込んで、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11を共に閉にすれば、自動加圧ポンプ1のピストン14を圧縮方向に駆動して、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3の中に封じ込めた圧力の追加加圧を可能にする状態を形成することができる。ステッピングモータ21の回転角は、演算制御回路22から与えられるパルス出力に従う。演算制御回路22は、自動加圧装置10の外部にある自動加圧装置側コンピュータ29の中のソフトウエア31で生成される所要回転角加減量指令値、又は、目標圧力指令値を得て、そのパルス出力を生成する。
【0030】
ソフトウエア31から与えられる指令値が所要回転角加減量であれば、直接にそれを出力し、ソフトウエア31から与えられる指令値が目標圧力指令値であれば、それと同時に与えられる比例帯と積分時間を取込み、それを演算制御回路22に設定して、回転角加減量演算からPIフィードバック演算に切り替えるための既述の信号を受けたときに設定された条件で、PIフィードバック演算を開始する。そのときのパルス出力は、与えられた目標圧力値と圧力センサ6で検出した発生圧力値との差をPIフィードバック演算した結果に従う。
【0031】
図2は、本発明による伝送器自動校正方法の実施の形態の動作フローを示している。動作フローは、下記ステップスからなる。
第1ステップ:
目標圧力値が、自動加圧装置側コンピュータ29に校正実行者により入力される。ソフトウエア31により、その目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量が式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)にしたがって算出される。この容積変化量は、ピストン14のストローク変化量に相当するステッピングモータ21の回転角加減量に変換される。この計算では、その内容積は自動加圧ポンプ1の内容積のみで成立するものと仮定される。この仮定の上で、その回転角加減量が算出される。
【0032】
開閉信号が、自動加圧装置側コンピュータ29から閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に与えられる。閉止用電磁弁8が開かれ、給排気用電磁弁11が閉じられる。この状態は、以下で、加圧状態といわれる。演算制御回路22に既に算出済みの既述の回転角加減量が与えられる。回転角加減量に対応して、ステッピングモータで21が駆動され、圧力室15は圧縮され、又は、膨張する。
【0033】
このような加減圧段階の前後の圧力は、その加減圧の前後に、マノメータ4により測定される。その測定値を用いて既述の仮定に基づく次式の計算が実行される。
Vd={Pb/(Pa−Pb)}Vs(圧縮時)、又は、
Vd={Pa/(Pb−Pa)}Vs(膨張時).
Vd:自動加圧ポンプ1以外の内容積、
Vs:自動加圧ポンプ1の容積変化量、
Pb:加減圧開始前の圧力値、Pa:加減圧終了後の圧力値
この式は、系内の全容積V(このVは既述のk=PVの容積Vに一致していない)について記述されておらず、この内容積測定の加減圧段階では、圧縮・膨張量は系全体の内容積Vから算出したものではないので、この計算によって求められる自動加圧ポンプ1以外の内容積Vdに対応する圧力値は、目標圧力値を必ず下回る量である。したがって、この加減圧段階では、圧力のオーバーシュートは生じないから、安全に加減圧を実行することができる。
【0034】
第2ステップ:
ステップ2は、目標圧力値を若干下回る値(例示:目標圧力値の97%程度であり、この値は以下で第1目標圧力値といわれる)まで高速に加減圧する動作段階である。計算・測定された内容積と第1目標圧力値とを基に、圧縮量又は膨張量を再計算し、その結果が演算制御回路22を経てステッピングモータで21に与えられる。閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に関し既述の加圧状態に開閉制御して、圧力室15は急速に加圧又は減圧される。第1目標圧力値は目標圧力値を若干下回る程度であるから、圧縮・膨張による空気温度の変化の影響があっても、圧力のオーバーシュートは生じない。回転角加減量は一義的に定まるので、ステッピングモータ21を最高速で回転させて加減圧を実行することができる。
【0035】
補充ステップ:
再計算の結果である圧縮量又は膨張量が自動加圧ポンプ1の内容積(圧力室15の容積)を越える場合は、加減圧の途中で外部より空気を取込み、又は、外部へ空気を排出することにより、所要の圧縮量又は膨張量を得る。
【0036】
外部空気は、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大圧縮位置に達した時、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に、閉止用電磁弁8が閉とされ給排気用電磁弁11が開とされる(この開閉状態は、給排気状態といわれる)開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大膨張位置まで戻されることにより外部から空気が取り込まれる。その後に、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が共に閉とされる(この開閉状態は、以下、平衡加圧状態といわれる)開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1の中を単独で圧縮することができる圧縮可能状態として形成し、その中の圧力が圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、それらを互いに接続する配管とで全内容積が形成される密封系に封じ込まれた圧力値にほぼ等しくなる回転角加減量が算出され、その回転角加減量に基づいてステッピングモータ21が駆動されて、圧力室15が圧縮される。このような圧縮完了後には、自動加圧ポンプ1の中の圧力と密閉系に封じ込まれた圧力とがほぼ均衡する。その均衡時点で、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11を既述の加圧状態として、再び、加圧を実行する。このような動作過程が所要の圧縮量が得られるまで繰り返されて、最終の圧縮段階に達したときに、既述の第2ステップによる圧力制御が行われる。
【0037】
内部空気は、自動加圧ポンプ1のピストンが最大膨張位置に達した時、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が給排気状態にされ、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大圧縮位置まで押し込まれることにより外部へ排出される。その後に、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が加圧状態にされ、再び、膨張・減圧が行われる。この過程は、所要の膨張量が得られるまで繰り返され、最終の膨張段階に達した時に既述の第2ステップによる圧力制御が行われる。
【0038】
第3ステップ:
第3ステップは、第1目標圧力値から目標圧力値まで演算制御回路22を回転角加減量演算からPIフィードバック制御(比例積分フィードバック制御)に切り替えて加減圧を実行する動作段階である。演算制御回路22に与える圧力の指令値は、第2ステップ(第2動作段階)の終了時点の圧力センサ6とマノメータ4との圧力指示の差から圧力センサ6の計測誤差を算出して、その補正を施したもの(以下、第2目標値といわれる)とされる。更に、PIフィードバック制御を行うために必要な比例帯・積分時間が算出されてそれが演算制御回路22に与えられ、その後に、回転角加減量からPIフィードバック制御に切り替えられる信号が与えられて、目標圧力値が得られるまでステッピングモータ21が駆動制御される。この場合の第2目標圧力値・比例帯・積分時間は、次式により算出される。
【0039】
第2目標圧力値P2=(Ps/Pm)P,
P:目標圧力値、
Ps:圧力センサ6の指示値、
Pm:マノメータ4の指示値
比例帯PB=(P・Vb/Pb・V)PBb,
Pb:圧力基準値、
V:第1段階で計測した内容積、
Vb:内容積基準値
PBb:比例帯基準値
積分時間TI=(P・Vb/Pb・V)TIb,
TIb:積分時間基準値
【0040】
このように演算制御回路22に与えられる比例帯・積分時間は、基準の比例帯・積分時間に対して、目標圧力値に比例し内容積に反比例するように設定されている。このように比例帯・積分時間を可変にすることにより、最適の制御が可能になり、安定で、且つ、オーバーシュートがない加減圧が行われる。圧力センサ6は、既述の通り、応答速度が速いものが使用されているため、圧力の整定時間が短くなるように制御されている。
【0041】
第4ステップ:
第4ステップは、マノメータ4の圧力計測値と、制御室側コンピュータ28と、通話回線32を介して電圧計27で計測された計器盤25の電圧出力値が安定に達したことが判定され、その安定した時の圧力計測値と電圧出力値が校正値とされる校正の動作段階である。
【0042】
この校正時の安定値到達の判定は次のように行われる。電圧及び圧力のそれぞれの計測値がサンプリング時間間隔(例示:0.5秒)で得られ、それが観測時間間隔の間(例示:5回計測分即ち2.5秒)記憶され、それと計測値との差が算出され、その差が安定値判定の基準値以下になった時に、安定値に達したと判定される。安定値判定の観測時間間隔(例示:2.5秒)より短い時間間隔(例示:0.5秒)で安定に達したことが検出されるので、校正所要時間が短縮される。
【0043】
図3は、本発明による伝送器自動校正装置の実施の他の形態を示している。図3に示される機器構成系統は、図1に示される機器構成系統に概ね同じであるが、両実施の形態は2点で異なっている。図1に示される自動加圧装置10の圧力センサ6は、本実施の形態の自動加圧装置10’では削除され、したがって、図1に示される信号線23と演算制御回路22は存在しない。図3に示される本実施の形態の自動加圧装置10’では、図1に示される実施の形態には存在しない逆止弁付排気速度制御弁41が新たに設けられている。自動加圧装置側コンピュータ29の出力は、直接にステッピングモータで21に入力される。自動加圧ポンプ1により生成される発生圧力の一方は、給排気用電磁弁11と逆止弁付排気速度制御弁41を介して給排気口34に導かれる。給排気用電磁弁11以外の内容積は、圧力センサ6が削除された分だけ減少している。図1の実施の形態に関する記述中の「自動加圧ポンプ1、圧力センサ6、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに接続している配管2,7,5,9とから形成される密閉系の内容積」は、「自動加圧ポンプ1、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに接続している配管2,5,9とから形成される密閉系の内容積」と読み替えられる。
【0044】
閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11とが共に開であれば、自動加圧ポンプ1、マノメータ4、伝送器3と、これらを互いに結合する配管の中の圧力が排気される。この場合、本実施の形態では、その排気の速度は、逆止弁付排気速度制御弁41により調整され得る。そのような排気状態にする時間が算出され、その時間だけその電磁弁が動作して、配管の中が所定圧力に減圧され、大気圧と異なる圧力に調整される。
【0045】
図4は、本発明による伝送器自動校正方法の図3の実施の形態の動作フローを示している。その動作フローは、下記ステップスからなる。
第1ステップ:
図1,2に示される実施の形態の既述の第1ステップに同じである。
【0046】
第2ステップ:
計算された系全体の内容積を基にマノメータ4で計測した現在の圧力値と目標圧力値との差を若干下回る値(例示:差の97%程度)に相当する圧縮量又は膨張量を再計算し、その結果が直接にステッピングモータ21に与えられる。閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に関し既述の加圧状態に開閉制御して、圧力室15は急速に加圧又は減圧される。圧縮量又は膨張量は目標圧力値を若干下回る程度であるから、圧縮・膨張による空気温度の変化の影響があっても、圧力のオーバーシュートは生じない。回転角加減量は一義的に定まるので、ステッピングモータ21を最高速で回転させて加減圧を実行することができる。
【0047】
次に、加減圧結果の現在の圧力値をマノメータ4で計測し、目標圧力値との差が精度の閾値を下回っておれば、既述の第2ステップを繰り返す。このように漸近的制御手法により目標圧力値を得る。再計算の結果である圧縮量又は膨張量が自動加圧ポンプ1の内容積を越える場合は、加減圧の途中で外部より空気を取込み、又は、外部へ空気を排出することにより、所要の圧縮量又は膨張量を得る。
【0048】
外部空気は、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大圧縮位置に達した時、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11に、閉止用電磁弁8が閉とされ給排気用電磁弁11が開とされる給排気状態の開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1のピストン14が最大膨張位置まで戻されることにより外部から空気が取り込まれる。その後に、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が共に閉とされる(平衡加圧状態)開閉信号が与えられ、自動加圧ポンプ1の中を単独で圧縮することができる圧縮可能状態として形成し、その中の圧力がマノメータ4、伝送器3と、それらを互いに接続する配管とで全内容積が形成される密封系に封じ込まれた圧力値にほぼ等しくなる回転角加減量が算出され、その回転角加減量に基づいてステッピングモータで21が駆動されて、圧力室15が圧縮される。このような圧縮完了後には、自動加圧ポンプ1の中の圧力と密閉系に封じ込まれた圧力とがほぼ均衡する。その均衡時点で、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11を既述の加圧状態として、再び、加圧を実行する。このような動作過程が所要の圧縮量が得られるまで繰り返されて、最終の圧縮段階に達したときに、既述の第2ステップによる圧力制御が行われる。
【0049】
内部空気は、閉止用電磁弁8と給排気用電磁弁11が共に開とされ(排気状態といわれる)て、外部へ排出される。この弁の開度が調整されて、その排気速度が変えられ、マノメータ4の応答速度との同調が取られる。このような内部空気の排出による減圧は、予め次の式に従って算出した時間だけ電磁弁8,11が排気状態にされて行われる。
【0050】
T=klog(P0/P).
T:時間
k:定数
P0:初期の圧力
P:減圧後の圧力
排気終了後、電磁弁8,11が加圧状態にされて、既述の第2ステップの圧力制御が行われて、高速の減圧が可能である。
【0051】
第3ステップ:
マノメータ4の圧力計測値と、制御室側コンピュータ28と、通話回線32を介して電圧計27で計測された計器盤25の電圧出力値が安定に達したことが判定され、その安定した時の圧力計測値と電圧出力値が校正値とされる。
【0052】
この校正時の安定値到達の判定は次のように行われる。電圧及び圧力のそれぞれの計測値がサンプリング時間間隔(例示:0.5秒)で得られ、それが観測時間間隔の間(例示:5回計測分即ち2.5秒)記憶され、それと計測値との差が算出され、その差が安定値判定の基準値以下になった時に、安定値に達したと判定される。このような判定方法により、安定値判定の観測時間(例示:2.5秒)より短い時間間隔(例示:0.5秒)で安定に達したことが検出されるので、校正所要時間が短縮される。
【0053】
【発明の効果】
本発明による伝送器自動校正方法及び伝送器自動校正装置は、自動校正の高精度化と高速化が同時に達成され、従って、高度な熟練を要しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による伝送器自動校正装置の実施の形態を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による伝送器自動校正方法の実施の形態を示す動作フロー図である。
【図3】図3は、本発明による伝送器自動校正装置の実施の他の形態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明による伝送器自動校正方法の実施の他の形態を示す動作フロー図である。
【図5】図5は、公知の伝送器の校正方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1…容積変化型加圧器(自動加圧ポンプ)
3…伝送器
4…第1圧力センサ(マノメータ)
6…(第2)圧力センサ
31…計算機部分(自動加圧装置側コンピュータ)
41…減圧弁
Claims (7)
- 最終目標圧力値を設定することと、
前記最終目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量である容積変化量を式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)により算出することと、
前記容積変化量に相当する第1内容積を伝送器に圧力的に接続する容積変化型加圧器に形成することと、ここで、前記第1内容積は容積変化型加圧器の内容積であると仮定されており、
前記最終目標圧力値を若干下回る値の第1目標圧力値を設定することと、
前記第1内容積と前記第1目標圧力値とに基づいて前記密閉系内容積の第1容積変化量を再計算することと、
前記第1容積変化量に相当する第2内容積を前記容積変化型加圧器に形成することと、
第2目標圧力値を設定することと、
前記第2目標圧力値から前記最終目標圧力値まで移行させる制御を前記計算による制御からPIフィードバックによる制御に切り替えること
とからなる伝送器自動校正方法。 - 請求項1において、
前記第2目標圧力値の設定は、
計測速度は遅いが計測精度高い第1圧力センサの計測圧力と計測速度は速いが計測精度が低い第2圧力センサの計測圧力との差である計測差に基づく設定である
伝送器自動校正方法。 - 請求項1において、
前記容積変化量は、次式:
Vd={Pb/(Pa−Pb)}Vs(圧縮時)、又は、
Vd={Pa/(Pb−Pa)}Vs(膨張時).
Vd:容積変化型加圧器以外の内容積、
Vs:容積変化型加圧器の容積変化量、
Pb:加減圧開始前の圧力値、Pa:加減圧終了後の圧力値
により計算される
伝送器自動校正方法。 - 請求項1において、
前記PIフィードバック制御のための比例帯と積分時間は、次式:
第2目標圧力値P2=(Ps/Pm)P,
P:最終目標圧力値,
Ps:第1センサの計測値,
Pm:第2センサの計測値
比例帯PB=(P・Vb/Pb・V)PBb,
Pb:圧力基準値,
V:第1内容積,
Vb:内容積基準値,
PBb:比例帯基準値,
積分時間TI=(P・Vb/Pb・V)TIb,
TIb:積分時間基準値
により算出される
伝送器自動校正方法。 - 請求項4において、
第1圧力センサ又は第2圧センサの出力値と伝送器の出力値が安定に達した時の出力値が校正値とされる
伝送器自動校正方法。 - 請求項1において、更に、
前記容積変化型加圧器と前記伝送器を含む系の内容積を減圧することからなり、次式:
T=klog(P0/P).
T:時間
k:定数
P0:初期の圧力
P:減圧後の圧力
により計算される時間だけ減圧弁が開放される
伝送器自動校正方法。 - 設定された最終目標圧力値に対応する密閉系内容積の圧縮量又は膨張量である容積変化量を式k=PV(k:定数、P:圧力、V:容積)により算出する計算機部分と、
前記容積変化量に相当する第1内容積が形成され伝送器に圧力的に接続する容積変化型加圧器と、ここで、第1内容積は容積変化型加圧器の内容積であると仮定されており、
前記最終目標圧力値を若干下回る値の第1目標圧力値と第1内容積とに基づいて密閉系内容積の第1容積変化量を再計算する計算機部分と、
容積変化型加圧器と伝送器を接続する配管中の圧力を計測するセンサとからなり、
前記センサは、
計測速度は遅いが計測精度が高い第1圧力センサと、
計測速度は速いが計測精度が低い第2圧力センサとを備え、
前記第1容積変化量に相当する第2内容積が前記容積変化型加圧器に形成され、第1圧力センサと第2圧力センサの計測圧力との差である計測差に基づいて第2目標圧力値が設定され、前記第2目標圧力値から最終目標圧力値まで移行させる制御が計算による制御からPIフィードバックによる制御に切り替えられて最終目標圧力値がえられる
伝送器自動校正装置。
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