JP2606453Y2 - 化粧用コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、化粧料を収納して携帯
が便利になった化粧用コンパクト容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の化粧用コンパクト容器は、身と称
する容器本体内に化粧料を固形状に固めて充填した皿枠
を収納し、この容器本体を開閉可能に蓋体で密閉するこ
とにより携帯可能となっている。ところで、前記皿枠を
容器本体内に密接して嵌合した場合、コンパクト容器を
落とす等して衝撃が加わった際に、この衝撃が皿枠に直
接入力され、化粧料が割れたり砕けたりしてしまう。

【０００３】このため、近年では弾性体を介して皿枠を
容器本体にフローティング支持するようにしたものが、
例えば実開平２−７１４１１号公報（Ａ４５Ｄ ３３／
００），実開平２−９８８１１号公報（Ａ４５Ｄ ３３
／００），実開平４−３６１９号公報（Ａ４５Ｄ ４０
／２６）等によって提案され、容器本体に加わった衝撃
を弾性体で吸収して、皿枠に入力される衝撃力を低減で
きるようになっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の化粧用コンパクト容器にあっては、皿枠がフロー
ティング支持されているため、このコンパクト容器を使
用する際に、皿枠内の化粧料にパフ等を擦りつける度に
皿枠が移動して使いづらくなってしまうという課題があ
った。

【０００５】そこで、本考案はかかる従来の課題に鑑み
て、蓋体を閉じていて使用しない時には皿枠をフローテ
ィング支持して外方からの衝撃から化粧料を保護すると
共に、使用する時には皿枠のフローティング支持を阻止
して固定し、化粧操作を行い易くすることができる化粧
用コンパクト容器を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本考案は、蝶番部を介して開閉可能とされた蓋体を
備えた容器本体の内部に、化粧料を充填する皿枠が収納
された化粧用コンパクト容器において、容器本体と皿枠
との間に弾性体を配置し、この弾性体を介して皿枠を容
器本体に対してフローティング支持し、蓋体の開放操作
に伴って該蓋体に押圧されて起立され皿枠を押し上げる
と共に、開放状態の当該蓋体の押圧力により起立状態が
保持されて弾性体に抗して皿枠を固定し、かつ蓋体の閉
じ操作に伴って該蓋体による押圧力が解除されて伏せら
れて皿枠から離隔される折曲げ板を容器本体の底面に沿
って配置したことを特徴とする。

【０００７】

【作用】以上の構成により本考案の化粧用コンパクト容
器にあっては、コンパクト容器の使用のために蓋体を開
放した場合には、蓋体の開放操作に伴って当該蓋体に押
圧されて折曲げ板が上方に起立して弾性体に抗して皿枠
を上方に押し上げ、さらに開放状態の蓋体の押圧力で折
曲げ板は起立状態が保持されて弾性体に抗して皿枠を固
定するため、皿枠のフローティング支持状態が阻止され
て皿枠に充填された化粧料を使用する際の使い易さが著
しく向上される。コンパクト容器を使用しない時には蓋
体の閉じ操作に伴って当該蓋体による押圧力が解除され
るので、蓋体が閉止された状態では、前記折曲げ板は扁
平状に伏せた状態にあり、これにより折曲げ板が皿枠か
ら離隔されて皿枠のフローティング支持状態が保持され
る。従って、容器本体から皿枠に加わる衝撃を効果的に
吸収することができる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の実施例を添付図面を参照して
詳細に説明する。図１から図３は本考案にかかる化粧用
コンパクト容器の一実施例を示し、図１は蓋体を閉じた
状態の断面図、図２は蓋体を開放した状態の断面図、図
３は蓋体を取り外した状態の分解斜視図である。

【０００９】即ち、本実施例の化粧用コンパクト容器１
０は、図１に示したように周壁１２ａおよび底部１２ｂ
からなる容器本体１２と、この容器本体１２の上端開口
部を開閉可能に閉止する蓋体１４と、容器本体１２の内
側に収納され、周壁１６ａおよび底部１６ｂからなる皿
枠１６とを備えて概略構成される。尚、前記皿枠１６に
は固形状に固められた化粧料が充填されるようになって
いる。

【００１０】前記容器本体１２の後端部（図中右方で以
下同様とする）から支持突起１８を突設すると共に、前
記蓋体１４の後端部から下方に突出する支持突起２０を
形成し、これら支持突起１８，２０を重合してピン２２
を貫通することにより、蝶番部２４が形成され、この蝶
番部２４を中心に蓋体１４は開閉可能となっている。前
記容器本体１２の前端部（図中左方で以下同様とする）
に位置する周壁１２ａ外側に係止突起２６を形成する一
方、前記蓋体１４の前端部下側にフック２８を突設し、
このフック２８が係止突起２６に係脱可能となってい
る。従って、図１に示した蓋体１４の閉止状態からフッ
ク２８部分を上方に押し上げることにより、前記係止突
起２６との係合状態が解除されて蓋体１４が開放され、
かつ、蓋体１４を閉じることによりフック２８が係止突
起２６に係止されて、蓋体１４の閉止状態が保持され
る。尚、前記蓋体１４の内面（図中下面）に形成された
凹部１４ａに化粧鏡３０が設けられる。

【００１１】前記容器本体１２の周壁１２ａ内周に段部
１２ｃが形成され、この段部１２ｃと周壁１２ａ内周に
嵌合される枠体３２の下端部との間に、前記皿枠１６を
フローティング支持するための弾性体３４の基端部３４
ａが挟着される。弾性体３４は矩形状に形成された周壁
１２ａの各片中央部にそれぞれ配置され、この弾性体３
４の内方側（皿枠１６側）に配置される先端部３４ｂに
は、上下方向に分岐される二股部分が形成される。一
方、皿枠１６の周壁１６ａ外側に溝部１６ｃが形成さ
れ、この溝部１６ｃに前記二股状の先端部３４ｂが嵌合
されることにより、皿枠１６はばね定数が小さくなった
この先端部３４ｂによって、上下，前後，左右自在にフ
ローティング支持される。

【００１２】尚、前記枠体３２の外周には突起３２ａが
形成され、この突起３２ａが容器本体１２の周壁１２ａ
内周に形成された凹部１２ｄに係合されると共に、この
枠体３２の上端部には内側および外側に突設する鍔部３
２ｂが形成され、この鍔部３２ｂの外側部分が前記周壁
１２ａ上端に当接されると共に、鍔部３２ｂの内側部分
の内側幅ｄ0 は、前記皿枠１６上端の外側幅ｄ1 より小
さく形成される。

【００１３】ここで、本実施例にあっては容器本体１２
の底部（底部１２ｂ上面）に沿って平板状の折曲げ板３
６を前後移動可能に配置してある。この折曲げ板３６の
後端部は、容器本体１２の周壁１２ａの後端部に形成さ
れた開口部１２ｅを貫通して外方に突出され、その突出
端を前記蝶番部２４の支持突起２０のピン２２より下方
となる下端部内側に当接させてある。

【００１４】前記折曲げ板３６は、図３に示したように
前後左右４箇所に折曲部３８が形成される。折曲部３８
は前後方向を指向して形成され、その下面に基端溝部３
８ａと中央溝部３８ｂとが形成される。一方、容器本体
１２の底部１２ｂには前記折曲部３８の先端部に対応し
て係止突起４０が突設され（尚、最前方側の折曲部３８
の係止突起４０は、周壁１２ａが兼用される。）、この
係止突起４０に折曲部３８の前方端が当接される。そし
て、前記折曲げ板３６に後方から前方への押圧力が作用
することにより、基端溝部３８ａが谷折り，中央溝部３
８ｂが山折りされて、折曲部３８は山状に起立される。
尚、前記折曲げ板３６は前方への押圧力が解除された時
に、山状に起立された折曲部３８が偏平状に伏せるよう
になっており、これに適した材質例えばポリプロピレン
によって折曲げ板３６全体が形成される。

【００１５】以上の構成により本実施例の化粧用コンパ
クト容器１０にあっては、蓋体１４を閉止した状態で
は、蝶番部２４の支持突起２０が図１に示したように下
方に配置された状態にあり、折曲げ板３６には押圧力が
作用しない状態にある。従って、折曲げ板３６は図１に
示したように折曲部３８が偏平状態となって皿枠１６を
弾性体３４でフローティング支持状態に保持することが
でき、コンパクト容器１０を落とす等して容器本体１２
に衝撃が加わった場合に、この衝撃を弾性体３４が効果
的に吸収して皿枠１６に入力するのを著しく低減し、こ
の皿枠１６に充填された化粧料が割れたり砕けたりする
のを防止することができる。

【００１６】次に、コンパクト容器１０を使用するにあ
たって蓋体１４を開放した際には、この蓋体１４の開放
に伴って蝶番部２４の支持突起２０のピン２２より下方
部分が内方（容器本体１２）に移動するため、この支持
突起２０に当接する折曲げ板３６に後方から前方の押圧
力が作用する。すると、前記折曲げ板３６は折曲部３８
先端が容器本体１２から突設する係止突起４０に阻止さ
れて、図２に示したように基端溝部３８ａおよび中央溝
部３８ｂから山状に起立され、弾性体３４に抗してその
頂部で皿枠１６を上方に押し上げ、前記皿枠１６の上端
を枠体３２の鍔部３２ｂの内側部分下面に押し付ける。
そしてさらに、折曲げ板３６は、開放された蓋体１４の
押圧力によって起立状態が保持され、これにより弾性体
３４に抗して皿枠１６を固定する。従って、前記皿枠１
６は山状に起立された折曲部３８と前記鍔部３２ｂとの
間に挟まれてフローティング支持が阻止され、この皿枠
１６を固定することができる。尚、前記皿枠１６は折曲
部３８と鍔部３２ｂとの間に挟んでフローティング支持
状態を阻止するようにしたが、前記鍔部３２ｂを設ける
ことなく単に折曲部３８で皿枠１６を下方から押し上げ
ることによっても、弾性体３４に抗してこの皿枠１６を
押し上げて固定できてそのフローティング支持を阻止す
ることができる。

【００１７】従って、前記皿枠１６が、使用のために開
放されてその状態に維持される蓋体１４の押圧力を受け
ることによって起立状態が確実に保持される折曲げ板３
６によって固定されることにより、皿枠１６に充填され
た化粧料の使用時に、皿枠１６が揺動されるのを防止す
ることができるため、化粧操作を容易にすることができ
る。尚、前記折曲げ板３６は蓋体１４を閉止することに
より支持突起２０の下端部が後方に移動するため、この
折曲げ板３６を押圧する力が解除されて折曲げ板３６は
図１に示したように偏平状に伏せて皿枠１６から離隔す
るため、皿枠１６は押上げ力が取り除かれてフローティ
ング状態に設定される。

【００１８】ところで、本実施例では前記皿枠１６を持
ち上げて弾性体３４に抗してフローティング支持を阻止
するために、折曲げ板３２の折曲部３８を山形に起立さ
せて皿枠１６を押し上げるようにしたため、傾斜面構成
による楔様のせり上げ機構等に比べて折曲げ板３６の移
動に対する皿枠１６の持ち上げ量を大きくすることがで
きる。従って、皿枠１６をフローティング支持させるた
めに、この皿枠１６の上下に必要な所定の間隙を設けた
場合に、折曲げ板３２の前後移動量を少なくすることが
できるため、コンパクト容器１０の小型化を達成するこ
とができる。

【００１９】図４，図５は他の実施例を示し、前記実施
例と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省
略して述べる。尚、図４は蓋体の閉止状態を示す図１に
対応した断面図、図５は蓋体を開放した状態を示す図２
に対応した断面図である。

【００２０】即ち、この実施例では皿枠１６をフローテ
ィング支持するにあたって、弾性体としての膜状弾性板
５０を用いて行うようになっている。膜状弾性板５０は
図２に示したようにゴム等で薄板皿状に形成され、この
膜状弾性板５０の周縁部が、容器本体１２の周壁１２ａ
に形成された段部１２ｃと枠体３２下端との間に挟着さ
れる。そして、前記皿枠１６の底部１６ｂの中央部を、
膜状弾性板５０の中央部に接着剤５２によって１箇所で
固着するようになっている。

【００２１】従って、この実施例では前記膜状弾性板５
０は薄板状に形成されたことにより膜変形を行うことが
でき、この膜状弾性板５０は前後方向（左右方向），左
右方向（紙面直角方向）および上下方向（上下方向）の
変形が許容される。また、前記皿枠１６は前記膜状弾性
板５０の中央部に１箇所で接着されたことにより、それ
ぞれの方向の軸回りの回転揺動も自由に行うことがで
き、従って、皿枠１６は６自由度をもってあらゆる方向
に著しく低いばね定数の膜状弾性板５０をもって自由に
移動できることになる。このため、皿枠１６の支持をよ
り柔軟に行って、容器本体１２に入力されるあらゆる方
向の衝撃力を低いばね定数をもって効果的に吸収するこ
とができる。

【００２２】尚、この実施例にあっても前記実施例と同
様に容器本体１２の底部１２ｂに沿って配置した折曲げ
板３６の折曲部３８が、蓋体１４の開放に伴って山形に
起立されることにより、前記膜状弾性板５０の下方から
皿枠１６を押し上げ、さらに開放された蓋体１４の押圧
力によって起立状態が保持されて、膜状弾性板５０に抗
してこの皿枠１６のフローティング支持を阻止すること
ができる。

【００２３】また、この実施例では枠体３２の内側上部
にテーパ状のガイドリング５４を取り付けて、皿枠１６
が上方に押し上げられた際に、この皿枠１６の上端が枠
体３２の鍔部３２ｂ中央部に案内されるようになってい
る。

【００２４】

【考案の効果】以上説明したように本考案にかかる化粧
用コンパクト容器にあっては、弾性体を介して皿枠を容
器本体にフローティング支持すると共に、折曲げ板を容
器本体の底面に配置して、この折曲げ板を、蓋体の開放
操作に伴って該蓋体で押圧して起立させて皿枠を押し上
げると共に、開放状態の当該蓋体の押圧力により起立状
態に保持して弾性体に抗して皿枠を固定し、かつ蓋体の
閉じ操作に伴って該蓋体 による押圧力を解除して伏せて
皿枠から離隔させるようにしたので、コンパクト容器の
使用により蓋体を開放した場合に、蓋体の開放操作に伴
って当該蓋体に押圧されて折曲げ板が弾性体に抗して上
方に起立されて皿枠を上方に押し上げ、さらに開放状態
の蓋体の押圧力で折曲げ板は起立状態が保持されて弾性
体に抗して皿枠を固定できるため、皿枠のフローティン
グ支持状態を阻止して皿枠に充填された化粧料を使用す
る際の使い易さを著しく向上することができる。また、
コンパクト容器を使用しない時には蓋体の閉じ操作に伴
って当該蓋体による押圧力が解除されるので、蓋体が閉
止された状態では、前記折曲げ板は扁平状に伏せられて
これにより折曲げ板を皿枠から離隔させて皿枠のフロー
ティング状態を保持し、容器本体から皿枠に加わる衝撃
を効果的に吸収して、化粧料が割れたり砕けたりするの
を防止することができる。そして特に、折曲げ板を起立
させて皿枠を上方に押し上げてフローティング支持を阻
止するようにしたため、折曲げ板の移動量に対する皿枠
の押し上げ量を大きくでき、コンパクト容器の小型化を
図ることができるという各種優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる化粧用コンパクト容器の一実施
例を示す蓋体を閉じた状態の断面図である。

【図２】本考案の一実施例を示す蓋体を開放した状態の
断面図である。

【図３】本考案の一実施例を示す蓋体を取り除いた状態
の分解斜視図である。

【図４】本考案の他の実施例を示す蓋体を閉じた状態の
断面図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す蓋体を開放した状態
の断面図である。

【符号の説明】

１０ 化粧用コンパクト容器 １２ 容器本体 １４ 蓋体 １６ 皿枠 ２０ 支持突起 ２４ 蝶番部 ２８ フック ３４ 弾性体 ３６ 折曲げ板 ３８ 係止突起 ５０ 膜状弾性板

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 蝶番部を介して開閉可能とされた蓋体を
   備えた容器本体の内部に、化粧料を充填する皿枠が収納
   された化粧用コンパクト容器において、 容器本体と皿枠との間に弾性体を配置し、この弾性体を
   介して皿枠を容器本体に対してフローティング支持し、
   蓋体の開放操作に伴って該蓋体に押圧されて起立され皿
   枠を押し上げると共に、開放状態の当該蓋体の押圧力に
   より起立状態が保持されて弾性体に抗して皿枠を固定
   し、かつ蓋体の閉じ操作に伴って該蓋体による押圧力が
   解除されて伏せられて皿枠から離隔される折曲げ板を容
   器本体の底面に沿って配置したことを特徴とする化粧用
   コンパクト容器。