JP2606299Y2 - サンプルケース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、薄形のサンプルを収
納保持するのに適したサンプルケースに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来から、化粧品メーカーや洗剤メーカ
ー等では、新製品の宣伝や従来製品の販売拡大のため
に、その製品の中身をごく少量だけ充填したサンプル
を、店頭や街頭で無料配布したり、ダイレクトメールで
各家庭に郵送したりすることが行われている。これらの
サンプルのうち、シャンプー，リンス等の試供品を平た
い袋に詰めた薄形のサンプルは、通常、そのままか、あ
るいは台紙にホッチキス留めされた状態で消費者に配布
されたり郵送されたりしている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記袋
入りの薄形サンプルをそのままの状態で取り扱うと、袋
は何ら保護されていないので、街頭での配布中あるいは
郵送の途中で袋が損傷して中身である液体や粉体がこぼ
れてしまうおそれがある。また、中身が流動的なため、
袋が屈曲疲労して袋が損傷するか、あるいは袋に印刷さ
れている文字や図柄等が消えて読みづらくなるという問
題もある。さらに、サンプルをもらった人は、これをバ
ッグ等に入れて携帯することが多いが、バッグ等の中で
上記のように袋が破損して中身がこぼれると周囲のもの
が汚染され被害が大きい。一方、台部にサンプルをホッ
チキス留めしたものも、サンプルが剥き出しであるた
め、上記と同様の問題を有する。しかも、いちいちサン
プルをホッチキスで留めなければならず手間を要す。そ
して、ダイレクトメールで送る場合、台紙あるいはサン
プルが封筒にひっかかって入れにくいという問題もあ
る。さらに、取り扱いの最中にホッチキスの針で手など
を傷つけたり、バックの中等で周囲の物を傷つけたりす
るおそれがある。また、台部からサンプルを外す場合
に、袋自体を損傷する場合もあり使い勝手が悪い。

【０００４】この考案は、このような事情に鑑みなされ
たもので、薄形のサンプルを、形崩れしたり損傷したり
しないように収納保持することのできるサンプルケース
の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、この考案のサンプルケースは、一枚の略長方形シー
トが長手方向に二つ折りされて互いに重なる台部と蓋部
が形成され、上記蓋部の、台部との折り合わせ縁の少な
くとも一個所にはめこみ片が延設されているとともに、
上記台部の、蓋部との折り合わせ縁に沿って折り返し片
が延設され、この折り返し片と台部の境界部に、上記蓋
部側のはめこみ片を嵌挿しうるはめこみ穴が形成され、
上記台部の左右両側に、中央に向かって凸状に曲成され
た切り込みがそれぞれ形成されており、下記の薄形サン
プル（Ａ）が、その左右縁部を上記台部に形成された左
右の切り込みに挿入し、その上下縁部を上記台部と蓋部
の折り目および上記台部と折り返し片の折り目に挟み込
むことにより、平たい形状を保った状態で収納保持され
るようになっているサンプルケースであって、上記蓋部
に丸い切欠き穴が形成され、台部に収納保持された薄形
サンプル（Ａ）の要部が蓋部の表に露出するようになっ
ているという構成をとる。 （Ａ）平たい袋内に液体もしくは粉体が充填されてお
り、上記台部に形成された左右の切り込みに挿入される
部分の左右方向の長さが上記切り込みの間隔と略同一に
設定され、上下方向の長さが上記台部の折り幅と略同一
に設定された薄形サンプル。

【０００６】

【作用】すなわち、この考案のサンプルケースは、上記
特定の薄形サンプル（Ａ）を収納保持するためのもので
あり、一枚の略長方形シートを二つ折りして台部と蓋部
とを形成し、上記蓋部からはめこみ片を延設するととも
に、台部から折り返し片を延設し、台部と折り返し片と
の境界部に、上記はめこみ片と係合するはめこみ穴を形
成している。そして、上記台部に、薄形サンプル（Ａ）
の左右縁部を保持するための左右一対の切り込みを設
け、薄形サンプル（Ａ）の左右縁部を、この切り込み内
に挿入するとともに、上記薄形サンプル（Ａ）の上下縁
部を、台部の上下に形成される折り目で挟み込むことに
より、平たい形状のまま収納保持できるようにしたもの
である。したがって、このサンプルケースによれば、薄
形サンプルの左右縁部が台部の切り込みによって固定さ
れ、長さ方向の上下縁部が台部の上下の折り目で固定さ
れるため、薄形サンプルがサンプルケース内で上下左右
に動くことがなく安定的に保持される。また、台部に固
定された薄形サンプルの表面は、蓋部によって覆われる
ため、薄形サンプル全体が、薄く折り畳まれたシート内
で保護されることとなり、衝撃や屈曲疲労によって破れ
たり表面の文字が剥げたりすることがない。このため、
バッグ等の中に入れて携帯しても安心である。また、ダ
イレクトメールとしても取り扱いやすい。しかも、サン
プルケースの蓋部には、丸い切欠き穴が設けられている
ため、サンプルケース内で上下左右に動くことなく保持
された薄形サンプルが、ケースの上から衝撃を受けて
も、中身である液体や粉体が、上記蓋部の丸い切欠き穴
から露出する部分にスムーズに移動してこの部分を内側
から盛り上げることにより、上記衝撃を緩和吸収する。
したがって、薄形サンプルが破裂したりすることがな
く、安全に保たれる。

【０００７】つぎに、この考案を実施例にもとづいて詳
細に説明する。

【０００８】

【実施例】図１はこの考案の一実施例を示している。こ
のサンプルケース７は、１枚の長方形状の厚紙から形成
されており、二つ折りによって互いに重なる台部１と蓋
部２とを有し、さらに、上記蓋部２の、台部１との折り
合わせ縁２ａの中央に、先が円弧状になったはめこみ片
５が延設されている。また、上記台部１の、蓋部２との
折り合わせ縁１ａからは、この部分に沿って折り返し片
３が延設されており、台部１と折り返し片３の境界部
（折り合わせ縁１ａ）には、上記はめこみ片５を嵌挿し
うるはめこみ穴６が形成されている。

【０００９】上記台部１の左右両側には、それぞれ、中
央に向かって凸状（正確には円弧状）に曲成された切り
込み４ａ，４ｂが設けられている。そして、図２に示す
ように、薄形サンプル（以下単に「サンプル」という）
８が、この切り込み４ａ，４ｂにその左右縁部を差し込
んだ状態で収納保持されるようになっている。上記サン
プル８は、長方形の平たいラミネート箔製袋内にシャン
プーが入ったものと、リンスが入ったものとが一袋ずつ
並んで一体形成されたもので、左右の袋の境界部に、切
り離し用のミシン目が入っている。そして、各袋の中央
には、このサンプル８に入ったシャンプーおよびリンス
の新製品のシンボルとなる図柄９が印刷されている。ま
た、上記サンプル８の縦の長さＬは、台部１の折り幅Ｍ
と略同一に設定されている。

【００１０】なお、このサンプルケース７の蓋部２（図
１に戻る）には、左右２個の丸い切欠き穴１０が形成さ
れていて、上記サンプル８を台部１に収納保持した状態
で蓋部２を閉じ、はめこみ片５をはめこみ穴６内に嵌挿
して係合させると、図３に示すように、上記切欠き穴１
０内から、中のサンプル８の各袋に印刷されたシンボル
図柄９がちょうど見えるようになっている。そして、蓋
部２の表には、中から露出するシンボル図柄９を中心と
して、その上下に、新製品であるシャンプーとリンスの
容器１１が印刷されている。

【００１１】このように、上記サンプルケース７によれ
ば、厚紙を平たく折り畳んだケース内に、平たくて柔軟
なサンプル８を、その平たい形状のまま完全に包み込む
ことができ、サンプル８の袋の損傷や表面印刷の摩耗を
心配することなく安心して郵送したり携帯したりして取
り扱うことができる。しかも、上記サンプル８が、上下
方向には台部１の折り目に当たって動かず、左右方向に
は切り込み４ａ，４ｂに挟持されて動かないため、上下
左右に殆ど動かないようになっている。このため、台部
１の所定位置に確実に位置決め保持することができ、上
記実施例のように、蓋部２に切欠き穴１０を設けてサン
プル８の特定の部位のみを露出して、蓋部２の表側の表
示と関連をもたせて印象的な外観に仕上げることができ
る。さらにサンプルケース７内に、上下左右に殆ど動か
ないよう位置決め保持された柔軟なサンプル８が、サン
プルケース７の外側から衝撃を受けて一部凹んだりした
場合、上記切欠き穴１０がないとすれば、サンプル８内
に充填された液体や粉体には逃げ場がないため、サンプ
ル８の袋がケース内で破裂するおそれがある。しかし、
上記のように、切欠き穴１０が設けられているため、中
身である液体や粉体が、上記切欠き穴１０から露出する
部分にスムーズに移動してこの部分を内側から盛り上げ
て上記衝撃を緩和吸収する。したがって、サンプル８は
破裂したりすることなく安全に保たれる。また、サンプ
ルケース７を構成する台部１、蓋部２の両面に印刷可能
なので、消費者の購買意欲をそそる効果的なレイアウト
を施すことができる。

【００１２】なお、上記実施例では、ケース全体を厚紙
で形成しているが、厚紙に限らず、各種の保形性，折り
曲げ成形性を有するものであればどのようなものであっ
ても差し支えはない。例えばプラスチックシート，不織
布，厚紙とプラスチックフイルムの積層シート等を用い
ることができる。

【００１３】また、上記実施例において、台部１に形成
する切り込み４ａ，４ｂは、中央に向かって円弧状に曲
成しているが、この切り込み形状は、必ずしも円弧状に
する必要はなく、例えば図４に示すように、互いに外を
向いたコ字状であってもよい。

【００１４】さらに、サンプル８の形も長方形にかぎら
ず、正方形、三角形等任意の形状に設定することができ
る。ただし、サンプル８の上下方向の長さは、必ず台部
１の折り幅Ｍと略同一に設定し、台部１の左右方向には
サンプル８の左右縁部を挿入しうる切り込み４ａ，４ｂ
を設けて、上下左右にサンプル８を保持できるようにす
ることが必要である。このようにすることによって、サ
ンプル８を、平たい状態のまま、しかも上下左右に動か
ないよう保持することができるからである。

【００１５】なお、この考案のサンプルケースに保持さ
せるサンプルとしては、上記実施例のようにシャンプ
ー，リンス等のヘアケア用品に限らず、平たい袋内に液
体もしくは粉体が充填された各種の薄形形状のサンプル
を用いることができる。

【００１６】

【考案の効果】以上のように、この考案のサンプルケー
スは、一枚の略長方形シートから折り返し片付の台部
と、上記台部と折り返し片の境界部に形成されたはめこ
み穴に嵌挿されるはめこみ片付の蓋部が形成されてい
る。そして、上記台部に、サンプルの左右縁部を保持す
るための左右一対の切り込みが形成され、台部の折り幅
と略等しい長さのサンプルの左右縁部が、この切り込み
内に挿入できるようになっている。したがって、このサ
ンプルケースによれば、サンプルの左右縁部が台部の切
り込みによって固定され、長さ方向の上下縁部が台部の
上下の折り目で固定されるため、サンプルを平たい形状
のまま、上下左右に動くことのないよう安定的に保持す
ることができる。また、台部に固定されたサンプルの表
面が蓋部によって覆われるため、サンプル全体が、薄く
折り畳まれたシート内で保護されることとなり、液体や
粉体の入った柔軟な袋からなるサンプルであっても、衝
撃や屈曲疲労によって破れたり表面の文字が剥げたりす
ることがない。このため、バッグ等の中に入れて携帯し
ても安心である。また、ダイレクトメールとしても取り
扱いやすいという利点を有する。しかも、サンプルケー
スの蓋部には、丸い切欠き穴が設けられているため、サ
ンプルケース内で上下左右に動くことなく保持された薄
形サンプルが、ケースの上から衝撃を受けても、中身で
ある液体や粉体が、上記蓋部の丸い切欠き穴から露出す
る部分にスムーズに移動してこの部分を内側から盛り上
げることにより、上記衝撃を緩和吸収する。したがっ
て、薄形サンプルは破裂したりすることがなく安全に保
たれる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】上記実施例のサンプルケースにサンプル品を入
れた状態を示す部分的な斜視図である。

【図３】上記実施例のサンプルケースを閉じた状態の平
面図である。

【図４】上記実施例の切り込みの変形例を示す説明図で
ある。

【符号の説明】

１ 台部 ２ 蓋部 ３ 折り込み部 ４a ，４b 切り込み ５ はめこみ片 ６ はめこみ穴 ７ サンプルケース ８ サンプル

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一枚の略長方形シートが長手方向に二つ
   折りされて互いに重なる台部と蓋部が形成され、上記蓋
   部の、台部との折り合わせ縁の少なくとも一個所にはめ
   こみ片が延設されているとともに、上記台部の、蓋部と
   の折り合わせ縁に沿って折り返し片が延設され、この折
   り返し片と台部の境界部に、上記蓋部側のはめこみ片を
   嵌挿しうるはめこみ穴が形成され、上記台部の左右両側
   に、中央に向かって凸状に曲成された切り込みがそれぞ
   れ形成されており、下記の薄形サンプル（Ａ）が、その
   左右縁部を上記台部に形成された左右の切り込みに挿入
   し、その上下縁部を上記台部と蓋部の折り目および上記
   台部と折り返し片の折り目に挟み込むことにより、平た
   い形状を保った状態で収納保持されるようになっている
   サンプルケースであって、上記蓋部に丸い切欠き穴が形
   成され、台部に収納保持された薄形サンプル（Ａ）の要
   部が蓋部の表に露出するようになっていることを特徴と
   するサンプルケース。 （Ａ）平たい袋内に液体もしくは粉体が充填されてお
   り、上記台部に形成された左右の切り込みに挿入される
   部分の左右方向の長さが上記切り込みの間隔と略同一に
   設定され、上下方向の長さが上記台部の折り幅と略同一
   に設定された薄形サンプル。