JP2604938B2 - 防曇機能付き道路反射鏡 - Google Patents

防曇機能付き道路反射鏡

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JP2604938B2
JP2604938B2 JP4112718A JP11271892A JP2604938B2 JP 2604938 B2 JP2604938 B2 JP 2604938B2 JP 4112718 A JP4112718 A JP 4112718A JP 11271892 A JP11271892 A JP 11271892A JP 2604938 B2 JP2604938 B2 JP 2604938B2
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行雄 森下
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信行 長崎
保雄 南条
勝己 田村
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株式会社テクノニジュウイチ
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    • G08BSIGNALLING OR CALLING SYSTEMS; ORDER TELEGRAPHS; ALARM SYSTEMS
    • G08B5/00Visible signalling systems, e.g. personal calling systems, remote indication of seats occupied
    • G08B5/008Traffic signalling mirrors
    • EFIXED CONSTRUCTIONS
    • E01CONSTRUCTION OF ROADS, RAILWAYS, OR BRIDGES
    • E01FADDITIONAL WORK, SUCH AS EQUIPPING ROADS OR THE CONSTRUCTION OF PLATFORMS, HELICOPTER LANDING STAGES, SIGNS, SNOW FENCES, OR THE LIKE
    • E01F9/00Arrangement of road signs or traffic signals; Arrangements for enforcing caution
    • E01F9/60Upright bodies, e.g. marker posts or bollards; Supports for road signs

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、寒冷時に生じ易い道路
反射鏡の曇り防止機能をもった道路反射鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】道路反射鏡は、道路の交差点や曲がりカ
ーブなど見通しの悪い個所に設置される安全装置である
が、秋から春の寒冷時の夜間から朝にかけて、鏡が曇っ
て役立たなく、道路交通の危険が生じるため、その解決
が強く望まれている。
【0003】寒冷時の夜間から朝にかけて道路反射鏡が
曇る主要な原因は次のようである。即ち、放射冷却によ
り、鏡面が周囲の空気の露点温度より低温になり、鏡面
に水滴が結露するか、もしくは氷粒が付着することであ
る。従って、道路反射鏡の曇り防止には、鏡面が周辺の
空気より低温にならないようにすればよい。
【0004】従来の公知例として実開昭61−19890 号で
は、鏡面板と裏板の間に潜熱蓄熱層を形成することが提
案されているが道路反射鏡の場合は、全国各地に設置さ
れ、設置場所によって反射鏡周辺の温度についても地域
により違っている。どの温度の時も充分効果を発揮する
ためには、どの温度においても蓄熱エネルギーの大きい
顕熱蓄熱を利用することが有効である。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】この中で一番蓄熱量の大きいのが水であ
る。反射鏡の場合、一定の温度において顕熱蓄熱の3〜
4倍の蓄熱量があっても他の温度域で水の半分以下にな
るものは反射鏡には不向きである。又、蓄熱層を鏡面と
裏板の間に形成することはいい方法だが、裏板側に断熱
材料を入れないと裏板方向より放熱するため、放熱が多
くなり効果がほとんどない。
【0006】また、特開昭63−167803号公報では、鏡面
板と裏板の間を密閉容器とし、この中に不凍液を注入す
る方法が提案されている。この方法での問題は(社)日
本道路協会により道路反射鏡指針でステンレス板鏡面板
については、丸形φ600 で0.8 mm厚、φ800 で0.9 mm
厚、φ1000で1.0 mm厚とされている。又、鏡面と正対さ
せ写像の歪程度を目視により限度見本と照合することに
なっている。
【0007】本提案については、前記実開昭61−19890
号公報と同じく、裏板側に断熱材料が入っていないの
で、裏板方向より放熱し効果がほとんどなく、又内部に
不凍液を入れる方法であるが例えば、φ800 で鏡面と裏
板の平均間隔が3cmあったとすれば15 kg の不凍液を注
入することになり、鏡面を彎曲方向及び下部の方向に押
し出す力が作用して下脹れに鏡面が歪んで写像が歪んで
使用できない。
【0008】また特開平2−204508号公報では、道路反
射鏡面板と裏板との間で鏡面側に液状の蓄熱剤入り容器
を設置し、裏板側に断熱材を配置して、昼間の外気温の
高い時間帯に鏡面より集熱して、夜間から早朝にかけて
外気温が低くなったとき、蓄熱剤より鏡面を温め、外気
周辺温度より鏡面温度を高く保持することが提案されて
いる。
【0009】この方法での問題は、早朝からの外気温の
上昇するとき、液状蓄熱剤が対流し、蓄熱剤の温度が上
部で温度が上がり、その下部ではかなり遅れて、温度上
昇する。
【0010】このため、鏡面の下部は、外気温が上昇を
はじめても、蓄熱剤の下部の温度上昇が遅れるので鏡面
の下部の温度上昇も遅れ、その間外気温より鏡面が低い
ことが生じて鏡面が曇ることがある。さらに夜間から早
朝にかけて外気温が低くなるとき、内部の蓄熱剤が対流
し、蓄熱剤の放熱が促進され、蓄熱効果が低下する。
【0011】以上のように、従来から提案されている技
術は、幅広い気象条件の中では、充分な機能となってい
ない。
【0012】本発明は道路反射鏡の曇る主な原因は、放
射冷却により鏡面の温度が周辺の温度より、下がり、周
囲の空気の露点より低温になったときに、鏡面に空気中
の水が結露するために温度の低下サイクルから上昇サイ
クルまで充分な、曇り防止機能をもった道路反射鏡を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、これらの課題
を解決することを目的としたものであって、鏡の裏面に
熱緩衝材を設置し、次に該熱緩衝材を介して鏡面内面に
熱伝導可能なように、透湿ロスの少ないゲル状蓄熱剤を
入れる容器に、−40℃〜+40℃の間で顕熱蓄熱機能
を有する不凍液水溶液を、高吸水性樹脂に吸水させる以
外のゲル化剤を使用したゲル化法によりコロイド状に半
固体化したゲル状蓄熱剤を充填したものを設置し、昼間
の外気温度が高い時間帯に鏡面より該ゲル状蓄熱剤へ伝
熱して蓄熱することが可能なように構成し、次いで該ゲ
ル状蓄熱剤を入れる容器の裏面に断熱材を密接するよう
に配置して、該鏡面と該ゲル状蓄熱剤を入れる容器と該
断熱材と裏板とを密着一体化した構成としたことを特徴
とする防曇機能付き道路反射鏡にある。本発明の他の目
的とする所は、蓄熱剤はエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジエチレングリコールより選択された顕
熱蓄熱機能を有する不凍液水溶液を、高吸水性樹脂に吸
水させる以外のゲル化剤を使用したゲル化法によりコロ
イド状に半固体化したものよりなる防曇機能付き道路反
射鏡にある。本発明の更に他の目的とする所は、透湿ロ
スの少ないゲル状蓄熱剤を入れる容器は、アルミ箔を樹
脂系フィルム2面で該アルミ箔の表裏両面を貼り合わす
3層フィルムを構成し、該3層フィルムの2面を一定間
隔で貼り合わせた均等液量シールと外周シールを付設し
たものよりなる防曇機能付き道路反射鏡にある。
【0014】蓄熱部は本設備の主要部であるが、蓄熱剤
としては、広い温度範囲の中で均一な比熱をもつ顕熱を
蓄積するものであって、性状としてゲル状物が用いられ
る。即ち、ゲル状物であれば、対流がないため、蓄熱剤
の蓄熱エネルギーを長期間有効に活用できる上に、液も
れの心配はなく、製品輸送中の振動に対しても好ましい
傾向を示す。しかも好みの曲率に成形することも可能で
あるし、しかもその成形物をハンドで道路反射鏡に取付
けて一体化することも可能である。
【0015】さらに製法的なコストダウンを目的とする
ならば、鏡を底面とする容器をつくり、この中で液状蓄
熱剤をゲル化させる方法も可能である。透湿ロスの少な
い容器としては、例えばアルミ箔をポリエチレンフィル
ムで表裏の両面を貼り合わせた3層フィルムが用いられ
る。この場合も、蓄熱エネルギーの有効活用及び液もれ
の心配より、ゲル状蓄熱剤を使用することが好ましい。
【0016】蓄熱剤としては、−40℃位から+40℃まで
の広い温度範囲の全域において体積当りの蓄熱量が大き
く、できるだけ低温で凍結しないものがよく、例えばエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレン
グリコール等の水溶液が用いられる。
【0017】蓄熱剤のゲル化はどのような方法によって
行なってもよい。例えば、市販の高吸水性樹脂を適量用
いて、ゲル状化させるか、あるいは市販のポリビニール
アルコールを5〜10重量%添加して高温で溶解させたの
ち、次いで凍結させる方法とか、その他ヒドロキシエチ
ルメタクリレート等の水溶性モノマーにエチレングリコ
ール,ジメタクリレート等の二官能性のモノマーを加え
て、重合反応を行なう方法等があるが、いずれの方法で
ゲル化させてもかまわない。又、断熱材としては独立気
泡を有し、しかも緩衝材の役目をもったもの、例えばウ
レタンホームや発泡スチロール等が用いられる。
【0018】
【実施例】本発明を実施例について更に詳細に説明す
る。図1は、本発明の道路反射鏡の断面図である。図2
は蓄熱剤を入れる容器の一部を切欠いた斜視図である。
【0019】図1において、1は適当な曲率の鏡面1A
をもった金属製の鏡面板、2は適当な内容物の収容空間
をもって一体に接合された裏板、3は前記鏡面板の上方
に突出して設けた庇し板である。本発明の実施例におい
ては、鏡面板1の鏡面内側に接して熱緩衝材18を設け
る。次にこれに密着してゲル状蓄熱剤を入れる容器4を
収納し、この容器内にゲル状蓄熱剤5を充填し、このゲ
ル状蓄熱剤を入れる容器4の背面に断熱材6Aを密着し
て設け、この断熱材6Aと裏板2との間に更に断熱材6
Bを設け、鏡面板1の表面に結露による曇りが生ずるの
を防止するよう構成したものである。
【0020】7は本発明の鏡面板1と裏板2とを一体に
結合する鏡面裏板締付部、8は裏板2の背面に取付けた
支持板、9は連結片、10は取付板8に連結片9を枢支す
るための枢軸、11は支持板8と連結片9との間の位置決
め用止金、12は止金の嵌合するための円弧状の長溝、13
は連結片9を支持する柱、14はその締め金具を示す。蓄
熱剤としては−40℃程度から+40℃までの広い温度範囲
の全域において、体積当たりの蓄熱量が大きく、低温で
凍結せず毒性がなく、しかも長期に安定したゲル状蓄熱
剤がよい。
【0021】又、この蓄熱剤と容器の適合性も充分考慮
する必要がある。本発明の実施例では前記の条件を考え
て、例えば直径φ800 の鏡を使用する場合、プロピレン
グリコールと水との配合液に2.5 %の高吸水性樹脂を添
加してゲル状蓄熱剤を入れる容器4に注入して使用す
る。ゲル状蓄熱剤5は、該ゲル状蓄熱剤を入れる容器4
に入れて熱緩衝材18と断熱材6Aとの間に取り付ける。
φ800 の道路反射鏡の場合、鏡面の曲率半径は3000mmが
適当である。
【0022】鏡面のこの湾曲に対して、蓄熱剤5を入れ
る容器4が熱緩衝材18を介して鏡面板1の内側1Bに密
着することが望ましい。又、鏡面板1の中心部と外周部
の単位面積当たりの蓄熱剤体積がほぼ同じであることが
望ましい。さらに前記に説明したように使用温度が−40
℃から+40℃までの間となるので蓄熱剤5の体積膨張に
対しても容器4が破損したり、蓄熱剤5が外部に散逸し
ないことが必要である。
【0023】これらの条件を考えて本発明の実施例では
ゲル状蓄熱剤を入れる容器4は例えばアルミ箔をポリエ
チレンフィルムとポリエステルフィルムで表裏の両面を
貼り合わせた3層フィルムを使用して丸形の容器を使用
しているが、これのみに限定するものではない。ゲル状
蓄熱剤5が、鏡面全体にわたり、ほぼ同じ体積になるよ
う、該ゲル状蓄熱剤を入れる容器4はフィルム2面を一
定間隔で均等液量シール15、外周シール16と共に透湿ロ
スを抑えるように構成する。該ゲル状蓄熱剤を入れる容
器4にはゲル状蓄熱剤5を入れる注入口17を設ける。
【0024】前記のゲル状蓄熱剤を入れる容器4と裏板
2との間には、断熱材6A,6Bを入れる。断熱材6
A,6Bは例えば、40mm厚×φ800 と20mm厚×φ400 の
2枚を貼り合わせたものをポリエチレンフィルムの袋に
入れて防水して設置する。昼間外気温の高い時間帯に鏡
面より、より多く集熱してゲル状蓄熱剤5へ伝熱して蓄
熱する。夜間から早朝にかけて外気温が低下してくると
き、鏡面板1側よりのみ放熱することにより鏡面1Aを
内部より温め、その温度を外気周辺温度より高く保持す
るものである。又蓄熱剤をゲル状にすることにより、蓄
熱した熱量を時間をかけて放熱する。
【0025】又、断熱材として使用するスポンジはその
弾力を用いてゲル状蓄熱剤を入れる容器4を鏡面内面1
Bに密着させるよう構成して機械的緩衝材の役目をして
いる。
【0026】本発明の道路反射鏡Aと、反射鏡の背面に
液体蓄熱剤を使用した、従来の曇り防止装置付道路反射
鏡Bとを比較試験した結果を図3に示す。
【0027】図3に示す通り10日間の観測は冬期毎朝6
時30分に鏡面温度及びその周辺の温度を記録しグラフ化
したものであり、本発明の反射鏡鏡面温度(A)は、観
測期間全域に亘って従来の曇り防止機能のない反射鏡鏡
面温度(B)より高く又周囲温度(C)よりも高い温度
を示している。従来品(B)は、周辺温度(C)とほぼ
同様の温度を示している。
【0028】次に本発明の道路反射鏡と、特開平2−20
4508号公報で提案されている方式の曇り防止装置付き道
路反射鏡、以下従来品(D)について比較試験した結果
を図4に示す。
【0029】図4は上記の両者を24時間鏡面及びその周
辺の温度を記録しグラフ化したものであり、本発明の反
射鏡鏡面温度は、従来品(D)に比べ夜間から朝10時に
かけて高い温度を示している。これは、夕方より周辺の
温度が低下し始めてから蓄熱剤から放出された蓄熱温度
エネルギーが本発明ではゲル状になっているため蓄熱効
果が長時間持続するためである。又、朝から周囲温度の
上昇に伴い時間遅れなく鏡面の温度が上昇する従来品
(D)は、液体蓄熱剤を使用しているので対流作用によ
り蓄熱効果の持続性が少ない。以上の比較試験結果によ
り、本発明の反射鏡は極めて有効な曇り防止効果を示し
ている。
【0030】本発明の熱緩衝材の作用効果について述べ
るとおおむね次のような優れた作用効果を奏するもので
す。 夜間から早朝にかけて、ゲル状蓄熱材から鏡面の方向
へ放熱作用が継続しているときには、放熱作用を抑制し
て短時間で放熱しきってしまうことを防止する。 早朝から日昼にかけて、外気温が上昇していくときに
は、鏡面温度の上昇よりも、ゲル状蓄熱材の温度上昇の
方が、蓄熱材の保冷作用のために遅れるので、仮に鏡面
と蓄熱材が熱的に実質上直接密着していると、外気温の
上昇よりも鏡面の温度上昇の方が遅くなり、日昇後に再
び曇りを生ずることがあるが、本発明の熱緩衝材はこの
現象も防止する機能がある。次に、本発明の構成要素の
一つである「蓄熱材」は、プロピレングリコール等の不
凍液水溶液であり、これは「顕熱蓄熱材」の一種であ
る。この顕熱蓄熱材と潜熱蓄熱材とはその性質、作用及
び効果が相違する。すなわち、潜熱蓄熱材は、極めて特
殊な作用効果を有する過冷却性質をもつ蓄熱材である。
ここで、「顕熱」とは、加熱によって温度が上昇し(熱
くなる)、放熱によって温度が低下する(冷たくなる)
ように、常に熱の移動による温度変化を伴うものであ
る。一方、「潜熱」とは、融解や気化など1次の相転移
に伴う熱のことで、例えば、融点にある固体物質に熱を
加えると、温度は融点のまま一定で融解だけがおこる
が、このように加熱しても温度上昇を生じない熱のこと
である。さらに、この「潜熱」の中でも極めて特殊な作
用効果を奏するものに「過冷却」現象があります。これ
らの現象についての概念的な説明をする。 融点が36℃のパラフィン(潜熱蓄熱材の一種)は、こ
の融点36℃以上の温度においては液相を成し、温度上昇
に伴い蓄熱量も増大して行くが、この融点36℃以下の温
度においては、該パラフィンは、蓄熱量のあるかぎりこ
の融点36℃を維持すべく放熱を続けるという物理現象が
ある。そして放熱作用が進行するにつれて固相化(固体
化)していく。一般に、潜熱蓄熱材は融点以下の固体相
になる温度範囲では蓄熱作用効果が激減することが知ら
れている。 前記のように常温で固体のパラフィンは、その融点以
上に加熱すると、液体となり、加熱を中断して放置する
と、放熱作用とともに自然に常温にもどり、再び固体に
なる。 これに対して、例えば酢酸ナトリウム水和物に多糖類
を添加したものは、常温では固体であるが、その融点
(例えば56℃)以上に加熱すると、液体となり、加熱を
中断して放置すると、放熱作用を伴うこと無く自然に常
温にもどるが、常温になっても依然液体のままである。
この状態にあることを「過冷却」という。この過冷却の
状態の物質に外部より刺激を与えると(例えば鋭利な突
起物を差し込む)過冷却状態が解除されるので過冷却状
態で保持していた潜熱を比較的短時間に放熱するという
物理現象があり、これは潜熱蓄熱材の中でも極めて特殊
な原理にもとづく現象である。従って、「蓄熱材」とし
て「顕熱蓄熱材」と「潜熱蓄熱材」とでは、その蓄熱原
理や放熱時の作用効果はそれぞれ全く異なるもので、両
者は物理的に見ても蓄熱材としては、全く別々の構成要
素である。
【0031】従来の道路反射鏡の曇り防止については、
種々のものが使用されてきているが、いずれも曇り防止
効果が十分でなく、寒冷時又は多湿時に支障をきたして
いたが、本発明では、ゲル状蓄熱剤を入れた容器を鏡面
内面側に付設し、その裏面に断熱材を入れて、裏板との
間を断熱的に、且つ、機械的にも緩衝するという簡単な
機構でこの問題を解決した。その結果、不凍液や液体蓄
熱剤を使用するものに比べ鏡面板の表面結露による曇り
を防止でき、また熱伝導を良くし、鏡面の歪みを防止で
きる点で格段にその効果を増大することができたもので
工業上有用である。
【0032】本発明において、熱緩衝材を用いることの
必要性とその作用及び効果は次の通りである。熱緩衝材
は、早朝から外気温度が上昇するサイクルにおいて、反
射鏡面に集熱して、蓄熱剤に伝導し、蓄熱する際に、蓄
熱剤は熱容量が大きいために、外気温度が上昇しても反
射鏡面及び蓄熱剤の温度は同時に上昇しない。このため
に、外気温度より鏡面の温度の方が低いことになり、鏡
面に結露が発生する。鏡面と蓄熱剤の間に適度な熱緩衝
材を入れることにより、外気温度が上昇すると反射鏡の
鏡面温度は、外気温度につづいて上昇する。熱緩衝材の
影響で、蓄熱剤の温度は、鏡面の温度上昇より遅れて上
昇する。このことにより鏡面の結露の発生をなくするこ
とができる。又、夕方から早朝にかけての外気温度の低
下するサイクルにおいては、蓄熱剤に蓄熱した熱が外気
温度の低下につれて、鏡面より短時間で放熱し鏡面の温
度が低下する。鏡面と蓄熱剤の間に、熱緩衝材を入れる
ことにより、蓄熱剤の蓄熱した熱は、鏡面より長時間か
けて放熱するので朝まで結露の防止が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施態様の一例を示す要部を断
面とした一部切欠断面図である。
【図2】図2は蓄熱剤を入れる容器の一例を示す一部切
欠斜視図である。
【図3】図3は本発明の道路反射鏡(A)と従来品
(B)及び(D)との性能を比較して測定した温度変化
の挙動を示すグラフである。
【図4】図4は本発明の道路反射鏡(A)と従来品
(B)及び(D)との性能を比較して測定した温度変化
の挙動を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 鏡面板 1A 鏡面 1B 鏡面内面 2 裏板 3 庇し板 4 ゲル状蓄熱剤を入れる容器 5 ゲル状蓄熱剤 6A 断熱材 6B 断熱材 7 鏡面裏板締付部 8 支持板 9 連結片 10 枢軸 11 位置決め用止金 12 長溝 13 柱 14 締め金具 15 均等液量シール 16 外周シール 17 注入口 18 熱緩衝材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 勝己 岡山県津山市高尾590−1 (56)参考文献 特開 平2−204508(JP,A) 実開 平4−138414(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡の裏面(1B)に熱緩衝材(18)を
    設置し、次に該熱緩衝材を介して鏡面内面(1B)に熱
    伝導可能なように、透湿ロスの少ないゲル状蓄熱剤を入
    れる容器(4)に、−40℃〜+40℃の間で顕熱蓄熱
    機能を有する不凍液水溶液を、高吸水性樹脂に吸水させ
    る以外のゲル化剤を使用したゲル化法によりコロイド状
    に半固体化したゲル状蓄熱剤(5)を充填したものを設
    置し、昼間の外気温度が高い時間帯に鏡面(1A)より
    該ゲル状蓄熱剤(5)へ伝熱して蓄熱することが可能な
    ように構成し、次いで該ゲル状蓄熱剤を入れる容器
    (4)の裏面に断熱材(6A,6B)を密接するように
    配置して、該鏡面(1A)と該ゲル状蓄熱剤を入れる容
    器(4)と該断熱材(6A,6B)と裏板(2)とを密
    着一体化した構成としたことを特徴とする防曇機能付き
    道路反射鏡。
  2. 【請求項2】 蓄熱剤はエチレングリコール、プロピレ
    ングリコール、ジエチレングリコールより選択された顕
    熱蓄熱機能を有する不凍液水溶液を、高吸水性樹脂に吸
    水させる以外のゲル化剤を使用したゲル化法によりコロ
    イド状に半固体化したものよりなる請求項1記載の防曇
    機能付き道路反射鏡。
  3. 【請求項3】 透湿ロスの少ないゲル状蓄熱剤を入れる
    容器は、アルミ箔を樹脂系フィルム2面で該アルミ箔の
    表裏両面を貼り合わす3層フィルムを構成し、該3層フ
    ィルムの2面を一定間隔で貼り合わせた均等液量シール
    と外周シールを付設したものよりなる請求項1記載の防
    曇機能付き道路反射鏡。
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