JP2604625Y2 - 工作機械の共回り防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、カッタの交換を容易
にした工作機械の共回り防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来クランクシャフトを切削加工するク
ランクシャフトミラーのような工作機械には、図１に示
すような内刃カッタａが使用されていて、この内刃カッ
タａはカッタアダプタｂを介してスピンドル（図示せ
ず）へ取付けられている。またカッタアダプタｂに対し
て内刃カッタａは半月状のキーｃをボルトｄで締め付け
たり、ボルトｅを直接締め付けることにより固定してい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このため内刃カッタａ
を交換する際、ボルトｄ，ｅを工具で緩めたり、締付け
たりすると、カッタアダプタｂの取付けられたスピンド
ルが共回りして、ボルトｄ，ｅを緩めたり、締付けるの
に多くの時間を要し、カッタの交換が容易でない不具合
があった。この考案はかかる不具合を改善するためにな
されたもので、カッタの交換を容易にする工作機械の共
回り防止装置を提供することを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するために、スピンドルに取付けられたカッタアダプ
タに、取付けボルトを介してカッタを着脱自在に取付け
た工作機械において、上記カッタを交換すべく取付けボ
ルトを締付け、または緩める際、上記カッタを回り止め
手段により機械本体の固定部分に固定することにより、
スピンドルの共回りを防止するようにしたものである。

【０００５】

【作 用】上記構成により取付けボルトを回転する際
スピンドルが共回りすることがないため、カッタの交換
が短時間で容易に行える。

【０００６】

【実 施 例】この考案の一実施例を図２及び図３に示
す図面を参照して詳述する。図３において１は工作機械
のスピンドルで、このスピンドル１の先端にカッタアダ
プタ２を介してカッタ３が着脱自在に取付けられてい
る。上記カッタ３はリング状をなしていて、内周面に複
数のチップ３ａが円周方向に等間隔に取付けられている
と共に、外周部側が複数の取付けボルト４により上記カ
ッタアダプタ２に取付けられている。

【０００７】また図２及び図３中５はワークレスト装置
を示すもので、このワークレスト装置５の基板５ａに一
対のレストアーム５ｂが上下方向に開閉自在に設けられ
ており、これらレストアーム５ｂの対向面に、図示しな
いワークを上下方向より支持する半円状の切欠５ｃが形
成されている。上記基板５ａには、閉合されたレストア
ーム５ｂの開放端をクランプすることにより各レストア
ーム５ｂを閉合状態に保持するクランパ５ｄが設けられ
ていると共に、基板５ａの上方にピン孔５ｅが穿設され
ていて、このピン孔５ｅより挿入した回り止めピン６を
カッタアダプタ２に形成されたピン孔２ａに挿入するこ
とにより、スピンドル１の共回りが防止できるようにな
っている。

【０００８】次に作用を説明すると、カッタ３を交換す
る場合、まずワークレスト装置５のレストアーム５ｂを
開放した状態で、基板５ａのピン孔５ｅとカッタアダプ
タ２のピン孔２ａの位置を一致させて、基板５ａ側のピ
ン孔５ｅより挿入した回り止めピン６をカッタアダプタ
２のピン孔２ａへ挿入し、カッタアダプタ２の回り止め
を行う。そしてこの状態で工具を使用して取付けボルト
４を緩めることにより、スピンドル１が共回りすること
がないため、カッタ３の交換が容易に行えるようにな
る。

【０００９】なお、図４及び図５は、チャック８を利用
して共回りを防止する別の実施例を示すもので、次にこ
れを説明する。図４及び図５において１０はカッタ３を
着脱する際に使用するカッタ交換治具で、このカッタ交
換治具１０の内周部に舌片状の回り止め片１０ａを、そ
してチャック８側には、この回り止め片１０が嵌入する
切欠８ａを形成する。

【００１０】そしてカッタ３を交換する場合は、カッタ
３をチャック８の外周側まで移動させて、この位置でカ
ッタ交換治具１０の回り止め片１０ａがチャック８の切
欠８ａに嵌合するようカッタ交換治具１０をカッタ３へ
取付ける。次にこの状態でカッタ３を取付けている取付
けボルト４を工具で緩めることにより、カッタ３の交換
が容易に行える。

【００１１】

【考案の効果】この考案は以上詳述したように、回り止
め手段を設けて、この回り止め手段によりカッタを機械
本体の固定部分に固定するようにしたもので、これによ
って取付けボルトを緩めたり、締付ける際、スピンドル
が共回りすることがないので、カッタの交換作業が短時
間で能率よく行えると共に、取付けボルトを強固に締付
けることができるため、安全性も向上する。 また交換時
間の短縮により工作機械の稼働率が上がるため、生産性
の向上が図れると共に、機械の固定部分に既存のワーク
レストやカッタ交換治具、固定型チャックを利用できる
ため、安価に実施することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の工作機械のカッタ取付け状態を示す説明
である。

【図２】この考案の一実施例になる工作機械の共回り防
止装置を示す正面図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図４】この考案の他の実施例になる工作機械の共回り
防止装置を示す正面図である。

【図５】図４のＢ−Ｂ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１…スピンドル、２…カッタアダプタ、２ａ…ピン孔、
３…カッタ、４…取付けボルト、５…ワークレスト装
置、５ｅ…ピン孔、８…チャック、８ａ…切欠、１０…
カッタ交換治具、１０ａ…回り止め片。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スピンドル１に取付けられたカッタアダ
   プタ２に、取付けボルト４を介してカッタ３を着脱自在
   に取付けた工作機械において、上記カッタ３を交換すべ
   く取付けボルトを締付け、または緩める際、上記カッタ
   ３を回り止め手段により機械本体の固定部分に固定する
   ことにより、スピンドル１の共回りを防止してなる工作
   機械の共回り防止装置。
2. 【請求項２】 カッタ３の回り止め手段をワークレスト
   装置５及びカッタホルダ２に穿設したピン孔５ｅ，２ａ
   と、これらピン孔５ｅ，２ａに挿脱自在に挿入した回り
   止めピン６により構成してなる請求項１記載の共回り防
   止装置。
3. 【請求項３】 カッタ３の回り止め手段をカッタ交換治
   具１０の内周部に突設した回り止め片１０ａと、この回
   り止め片１０ａが嵌合するよう固定型チャック８に形成
   した切欠８ａより構成してなる請求項１記載の共回り防
   止装置。