JP2603889Y2 - レンズ鏡筒の伝達機構における反射防止構造 - Google Patents

レンズ鏡筒の伝達機構における反射防止構造

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JP2603889Y2 JP1993064451U JP6445193U JP2603889Y2 JP 2603889 Y2 JP2603889 Y2 JP 2603889Y2 JP 1993064451 U JP1993064451 U JP 1993064451U JP 6445193 U JP6445193 U JP 6445193U JP 2603889 Y2 JP2603889 Y2 JP 2603889Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本考案は、レンズ鏡筒の伝達機構における
反射防止構造に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】レンズ鏡筒には、ズーミン
グやフォーカシングを行わせるために、各種の回転筒が
備えられている、これらの回転筒には従来、内面での有
害な反射を軽減するため、回転筒のインナーカム溝に内
面反射防止用の粗面を設けたもの等、回転筒そのものに
設けられた内面反射防止装置が提案されている。ところ
で、本出願人が開発中のレンズ鏡筒において、この回転
筒内に、例えば異なる二つの部材間で回転力等を伝達す
る回転伝達軸を配置し、この回転伝達軸に、摺動可能に
ギヤを嵌め込んだものがある。ところが、このような構
造では、摺動により回転伝達軸の遮光用コーティングが
剥がれ、露出した部分が有害な内面反射を起こすという
新たな問題が生じた。
【0003】
【考案の目的】本考案は、以上の問題意識に基づき、レ
ンズ鏡筒の伝達機構における反射防止構造であって、摺
動可能な部材を備えて配置された伝達機構の内面反射を
軽減することを目的とする。
【0004】
【考案の概要】本考案は、レンズ鏡筒を構成する、回転
しつつ光軸方向に移動可能な回転筒と、上記回転筒内に
配置された、駆動源により回転駆動される回転伝達軸
と、及び、この回転筒と光軸方向には一体に移動し、上
記回伝達軸により回転される、該回転軸に軸方向摺動可
能に嵌め込まれたギヤ部材とから成り、上記回転伝達軸
、この回転伝達軸を嵌合させるギヤ部材の軸部嵌入孔
にはそれぞれ、該回転伝達軸の回転をギヤ部材に伝達す
るための非円形断面で互いに接触する接触案内部と、互
いに接触しない非接触部とが設けられ、 回転伝達軸の非
接触部には、有害光の反射を防止する微小凹凸が設けた
ことを特徴としている。また、接触案内部を、回転伝達
軸の軸対称位置に形成した一対の台形断面部によって構
成すると好ましい
【0005】
【考案の実施例】以下、図示実施例について本考案を説
明する。この実施例は、本出願人の開発中のズームレン
ズ鏡筒に本考案を適用したものである。まず、このズー
ムレンズ鏡筒の全体構造を説明する。このズームレンズ
鏡筒は、前群レンズL1と後群レンズL2によってズー
ムレンズ系が構成されており、前群レンズL1でフォー
カシングがなされる。
【0006】カメラ本体に一体化される固定鏡筒11に
は、内筒11aと外筒11bが備えられている。この内
筒11aと外筒11bの後端部は接続壁11cで接続さ
れ、前端部は開放されていて、この開放端から、内筒1
1aの外周に、回転筒12が回転自在に嵌められてい
る。内筒11aには、光軸と平行な方向の直進ガイド溝
11eが設けられている。
【0007】回転筒12は、その外周に、円周方向の平
ギヤ12aが一体に設けられ、その先端外周部には細密
ねじ12bが一体に形成されている。またその内面に
は、円周方向に傾斜したリード溝12cと、このリード
溝12cと平行な、円周方向に対して傾斜した傾斜イン
ナギヤ12dとが形成されている。固定鏡筒11の内筒
11aと外筒11bの前端開放部には、外筒11bの内
面との嵌合部13aと、細密ねじ12bに螺合するねじ
部13bと、内筒11aの外面に当接する当接部13c
とを有する支持リング13が固定されている。13d
は、支持リング13の外周面に形成した回転操作用のギ
ヤである。
【0008】固定鏡筒11の外筒11bには、平ギヤ1
2aと噛み合うピニオン11f用の切欠11dが設けら
れ、内筒11aには、リード溝12c及び傾斜インナギ
ヤ12dを露出させる同様の切欠が設けられている。
【0009】固定鏡筒11の内筒11aの内周には、光
軸方向に直進移動する第1進退筒14が嵌められてい
る。この第1進退筒14の外周には、固定鏡筒11の直
進ガイド溝11eに嵌まる直進ガイド突起14aが一体
に設けられ、この直進ガイド突起14a上に、回転筒1
2のリード溝12cに嵌まるピン14bが設けられてい
る。またこの第1進退筒14の内周には、雌ヘリコイド
14cと、光軸と平行な直進案内溝14dとが形成され
ている。以上の関係により、回転筒12が回転駆動され
ると、直進ガイド溝11e及びリード溝12cに従い、
第1進退筒14が回転することなく、光軸方向に進退す
る。
【0010】第1進退筒14の内周には、第2進退筒
(カム環)15が嵌まっており、この第2進退筒15の
外周後部には、第1進退筒14の雌ヘリコイド14cに
螺合する雄ヘリコイド15aが形成されている。第2進
退筒15の内周には、直進ガイド部材16が位置してい
て、この直進ガイド部材16の後端部には、ギヤ支持兼
直進ガイド板17が固定ねじ19で固定されている。第
2進退筒15には、この直進ガイド部材16と直進ガイ
ド板17とに相対回転自在に挟着される内方フランジ1
5b(図7、図8参照)が形成されており、また、直進
ガイド板17に形成した直進案内キー17aは、第1進
退筒14の直進案内溝14dに嵌まっている。従って、
直進ガイド部材16と直進ガイド板17は、第2進退筒
15と相対回転は自在で光軸方向には一体に移動する。
すなわち、第2進退筒15は、回転すると、雄ヘリコイ
ド15aと雌ヘリコイド14cに従って、回転しなが
ら、光軸方向に移動し、一方、直進ガイド部材16と直
進ガイド板17は回転することなく、第2進退筒15と
ともに光軸方向に移動する。
【0011】直進ガイド部材16には、光軸と平行な方
向の直進キー16bが設けられており、この直進キー1
6bに、前群直進ガイド部材18の直進キー18aが係
合している。前群直進ガイド部材18には、固定ねじ2
1によりシャッタブロック20が固定され、シャッタブ
ロック20はさらに前群レンズ支持筒22に固定される
もので、従って、シャッタブロック20及び前群レンズ
支持筒22は回転が拘束され、光軸方向移動のみが可能
である。
【0012】シャッタブロック20は、その軸部に、雌
ヘリコイド20aを有し、この雌ヘリコイド20aに、
前群レンズL1を固定した前群レンズ枠23の雄ヘリコ
イド23aが螺合している。シャッタブロック20は、
周知のように、測距装置からの被写体距離信号に基づ
き、駆動ピン20b及び連係突起23bを介して、前群
レンズ枠23をヘリコイド20a、23aに従って回転
させ、合焦位置に移動させる。前群レンズ支持筒22の
外周面後端部には、これをズーミング時に光軸方向に移
動させるための雄ヘリコイド22aが形成されている。
シャッタブロック20は、また被写体輝度信号に応じて
開閉されるシャッタブレード20cを有する。このシャ
ッタブロック20には、FPC基板20dを介して、駆
動信号が与えられる。
【0013】一方、前群直進ガイド部材18には、後群
レンズL2を光軸方向に直進移動させるための後群ガイ
ド面18bが形成されている。後群レンズL2は、後群
レンズ枠24に固定されており、この後群レンズ枠24
に、この後群ガイド面18bに係合する直進キー24a
が設けられている。そして、この直進キー24a上に、
カムピン24bが突出形成されている。
【0014】第2進退筒(カム環)15には、その内周
面に、前群レンズ支持筒22の雄ヘリコイド22aを螺
合させる雌ヘリコイド15cと、後群レンズ枠24のカ
ムピン24bを嵌入させるカム溝15dとが形成されて
いる。カム溝15dは、雌ヘリコイド15cの一部を切
除する形で、該ヘリコイドと同一の周方向位置において
混在している。組立時には、前群レンズ支持筒22の後
端部の開放溝22bに後群レンズ枠24のカムピン24
bを嵌め、この状態で、カムピン24bはカム溝15d
に、雄ヘリコイド22aは雌ヘリコイド15cに、それ
ぞれ係合させる。この係合状態では、第2進退筒15が
回転することにより、雌ヘリコイド15cと雄ヘリコイ
ド22aの螺合関係、及び直進ガイド部材16の直進キ
ー16bと前群直進ガイド部材18の直進キー18aと
の直進ガイド関係により、前群レンズ支持筒22(前群
レンズL1)が光軸方向に直進移動し、また、カム溝1
5dとカムピン24bの係合関係、及び後群レンズ枠2
4の直進キー24aと前群直進ガイド部材18の後群ガ
イド面18bとの直進ガイド関係により、後群レンズ枠
24(後群レンズL2)が光軸方向に所定の軌跡で移動
し、ズーミングがなされる。
【0015】以上の説明により、回転筒12が回転駆動
されると、第1進退筒14が光軸方向に直進移動し、第
1進退筒14に対して第2進退筒15が回転すると、第
2進退筒15が回転しながら光軸方向に移動し、前群レ
ンズL1、後群レンズL2が空気間隔を変えながら、直
進移動してズーミングがなされることが分かる。
【0016】次に、第2進退筒15に回転を与える駆動
機構について説明する。この回転駆動機構は、基本的
に、回転筒12の回転を第2進退筒15に伝達するもの
である。第1進退筒14の後端部には、一対のギヤ支持
プレート26と27が固定ねじ29により固定されてい
る。ギヤ支持プレート26には、回転筒12の傾斜イン
ナギヤ12dに噛み合うピニオン30(図5、図6参
照)が回転自在に支持されている。また第1進退筒14
の後端面の周方向に形成した複数の直進案内キー14a
のうち2箇所の直進案内キー14の間には、ピニオン3
0を収納するピニオン収納空間14eを有する直進案内
突起14a’(図3)が形成されている。このピニオン
収納空間14eに収納されたピニオン30は、かつその
歯面一部が第1進退筒14の外面より突出している。回
転筒12の傾斜インナギヤ12dは、リード溝12cと
平行であるから、回転筒12の回転により第1進退筒1
4が光軸方向に移動しても、ピニオン30と傾斜インナ
ギヤ12dの噛合関係は維持される。ギヤ支持プレート
26と27の間には、このピニオン30の回転を受ける
ギヤ列31が支持されており、その最終ギヤ31aの軸
部には、前方に延びる回転伝達シャフト32が一体に固
着されている。この回転伝達シャフト32は、非円形の
一様断面をしている。
【0017】一方、直進ガイド部材16の後端面に固定
された直進ガイド板17には、この回転伝達シャフト3
2に対する軸方向の相対移動は自在でこの回転伝達シャ
フト32と一体に回転する取出ピニオン33が支持され
ている。つまり、取出ピニオン33は、常時直進ガイド
板17(及び第2進退筒15)と光軸方向に一緒に移動
する。そしてこの取出ピニオン33は、第2進退筒15
の内面に形成した周方向インナギヤ15eと噛み合って
いる。従って、回転筒12の回転は、第1進退筒14が
光軸方向のどの位置にあっても、傾斜インナギヤ12
d、ピニオン30、ギヤ列31、回転伝達シャフト3
2、取出ピニオン33及び周方向インナギヤ15eを介
して第2進退筒15に伝達されることとなる。
【0018】上記構成の本ズームレンズ鏡筒は、回転筒
12が回転駆動されると、第1進退筒14が光軸方向に
直進移動するとともに、第2進退筒15が回転する。第
2進退筒15は回転すると、光軸方向に移動し、前群レ
ンズL1、後群レンズL2が空気間隔を変えながら、直
進移動してズーミングがなされる。
【0019】次に、本考案の特徴であるズームレンズ鏡
筒の鏡筒内の伝達機構の反射防止構造を説明する。第9
図は、回転伝達シャフト32の拡大詳細図である。この
回転伝達シャフト32は、軸Oを中心とする円形断面
を、台形状の直進キー部32aによって切り欠いた、非
円形断面からなる。そして、このキー部32aの台形斜
辺部32bは取出ピニオン33との摺動接触面となる。
また、台形上底部32c及びシャフト32の円弧部32
dは、取出ピニオン33が回転伝達シャフト32上を摺
動しても互いに接触しない、非接触面となる。更に、こ
の上底部32c及び円弧部32dには反射防止用の遮光
線(微小凹凸)32eが長手方向全長に亘って形成され
ている。
【0020】一方、取出ピニオン33は、シャフト32
を嵌入するための嵌入孔を有している。この取出ピニオ
ン33の嵌入孔は、第10図に示す様に、上記回転伝達
シャフト32の台形状の直進キー部32aに摺動自在に
嵌入される台形状断面からなる突出部33bと、上記回
転伝達シャフト32の円弧部32dと対向する様に形成
された円弧部33aを有している。具体的には、上記突
出部33bは、斜辺部33c及び上底部33dによって
径方向外方に向かって広がる形状を呈しており、また上
記円弧部33aは、回転伝達シャフト32の軸Oを中心
とする円弧部32dと同心円状に形成されている。この
円弧部33aの径は、回転伝達シャフト32の径より大
きくされており、これにより、両者の間に上記非接触面
となる隙間Aが構成される。
【0021】また回転伝達シャフト32の直進キー部3
2aは、詳細には、取出ピニオン33の突出部33bを
所定量収容するため、突出部33bと略同形の台形状に
形成され、その斜辺部32bを斜辺部33cと同角度で
傾斜させている。これにより、斜辺部32bは突出部3
3bに対して所定量以上移動できないので、シャフト3
2はピニオン33の嵌入孔において第10図の左右に移
動することはなく、安定状態に位置決めされる。この結
果、直進キー部32aの上底辺部32cと突出部の上底
部33dの間に上記非接触面と成る隙間A′が構成され
る。この隙間A′及び上記隙間Aをシャフト32の軸方
向において確保するにために、上底辺部32bと33d
は平行に形成されるのがよい。また円弧部32dと33
aは、互いに接触しない同心の状態を保持し得る形状と
されるのがよい。
【0022】この構造によると、取出ピニオン33がズ
ーミングやフォーカシングにより回転伝達シャフト32
との摺動接触面上のみを摺動するので、回転伝達シャフ
ト32側の非接触面に形成された遮光線32eが摺動に
より剥離・摩耗されず、回転伝達シャフト32の反射防
止効果が損なわれることはない。
【0023】なお、本実施例では、本考案に係る反射防
止構造を、第2進退筒15に回転を与える駆動機構に適
用したが、本考案はこれに限定されるものではない。要
するに、光路中において、摺動可能に嵌合させた回転部
材を有する回転伝達軸であれば適用可能である。また、
回転伝達シャフト32上に形成される反射防止用の遮光
線(微小凹凸)の形状は任意に構成することができる。
【0024】
【考案の効果】以上のように、本考案によれば、回転伝
達軸と、この回転伝達軸を嵌合させるギヤ部材の軸部嵌
入孔にはそれぞれ、該回転伝達軸の回転をギヤ部材に伝
達するための非円形断面で互いに接触する接触案内部
と、互いに接触しない非接触部とを設け、さらに回転伝
達軸の非接触部に有害光の反射を防止する微小凹凸を設
けたので、回転伝達軸の回転に伴い、ギヤ部材が接触案
内部に沿って軸方向に摺動しても、有害光の反射を防止
する微小凹凸が剥離、摩耗されず、回転伝達軸の反射防
止効果が損なわれることがない
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を適用したレンズ鏡筒の一例を示す全体
の大略の分解斜視図である。
【図2】図1のレンズ鏡筒の後方部分の拡大斜視図であ
る。
【図3】図1のレンズ鏡筒の中間部分の拡大斜視図であ
る。
【図4】図1のレンズ鏡筒の前方部分の拡大斜視図であ
る。
【図5】同レンズ鏡筒の動力伝達系の支持機構を示す斜
視図である。
【図6】同動力伝達系のギヤのみの関係を示す斜視図で
ある。
【図7】同レンズ鏡筒の収納状態の縦断上半図である。
【図8】同最長繰出状態の縦断上半図である。
【図9】本考案の係る回転伝達シャフトの実施例を示す
拡大詳細図である。
【図10】本考案の係る回転伝達シャフトと取出しピニ
オンの取り付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
15 回転筒 32 回転伝達シャフト(回転伝達軸) 32a 直進キー部 32b 斜辺部 32c 上底辺部 32d 円弧部 32e 遮光線(微小凹凸) 33 ギヤ部材 33a 円弧部 33b 突出部 33c 斜辺部 33d 上底辺部

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】レンズ鏡筒を構成する、回転しつつ光軸方
    向に移動可能な回転筒;上記回転筒内に配置された、駆
    動源により回転駆動される回転伝達軸;及び、上記回転
    筒と光軸方向には一体に移動し、上記回転伝達軸により
    回転される、該回転軸に軸方向に摺動可能に嵌め込まれ
    たギヤ部材;を有し、 上記回転伝達軸と、この回転伝達軸を嵌合させるギヤ部
    材の軸部嵌入孔にはそれぞれ、該回転伝達軸の回転をギ
    ヤ部材に伝達するための非円形断面で互いに接触する接
    触案内部と、互いに接触しない非接触部とが設けられ、
    回転伝達軸の非接触部には、有害光の反射を防止する微
    小凹凸が設けられていることを特徴とするレンズ鏡筒の
    伝達機構における反射防止構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の反射防止構造において、
    接触案内部は、回転伝達軸の軸対称位置に形成した一対
    の台形断面部によって構成されているレンズ鏡筒の伝達
    機構における反射防止構造。
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