JP2603792B2 - 多層蔵型収納付き建物 - Google Patents

多層蔵型収納付き建物

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JP2603792B2 JP5117121A JP11712193A JP2603792B2 JP 2603792 B2 JP2603792 B2 JP 2603792B2 JP 5117121 A JP5117121 A JP 5117121A JP 11712193 A JP11712193 A JP 11712193A JP 2603792 B2 JP2603792 B2 JP 2603792B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蔵のような大型の収納
空間を備えた建物に係り、更に詳しくは、上下階方向に
複数に区画された多層構造の収納空間を備えた多層蔵型
収納付き建物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、一般住宅や集合住宅等の建物内
には、物品を収納するために押入、天袋、納戸等が設け
られ、また近年では床下空間を利用した床下収納庫、さ
らには屋根裏収納などが設けれている。
【0003】ところで、近年においてはその家族構成や
生活パターンの変化と共に、住戸内にも家具その他の多
くの物品が揃えられ、また、その物品の使用形態も季節
等に応じて多用化していることなどから、必要に応じて
これらの物品を建物内に収納しておくための大きな収納
空間を必要とするようになってきている。この点は、土
地の高騰に伴う敷地の有効利用および建物内容積の有効
利用の観点からも、建物内に可能な限り大きくしかも効
率的な収納空間を設けておくことが望まれている。
【0004】そこで、本出願人は既に、このような点を
考慮した建物として、図3および図4に示す構造の収納
付き戸建て住宅を提案した。これは、上下階に亘って複
数の居室1、2を配置した建物において、下階居室1の
天井3と、その上階居室2の床4との間のほぼ全域を収
納空間に形成したもので、具体的には、下階居室1の天
井3と上階居室2の床4との間に、即ち一階の壁パネル
P1と二階の壁パネルP2との間に天輪パネルPを配置
して収納空間Kを形成し、さらに上階居室2の床4に収
納空間Kへの物品出し入れ用の開閉蓋5を設けた構成と
したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の収納構造においては、確かに大きな収納空間
を建物内に設けることができるものの、単に収納空間を
平面的に広くしたいわゆる大型の床下収納を形成したよ
うな構造となるために、物品の出し入れ等を行う際に使
い勝手が悪いという問題があった。また、このように収
納空間を平面的に広く形成しても、例えば間取りとの関
係などにおいて開閉蓋5を設ける場所や設置数などに制
約を受けるためにこれを有効利用しにくいという問題も
あった。さらに工費の点からみても、一階の壁パネルP
1と二階の壁パネルP2との間に天輪パネルPを設ける
構造であるために、その分、工事費用が割高になってし
まうという問題もあった。
【0006】一方、例えば住戸内に設けられる納戸のよ
うな収納空間においては、ほとんどの場合、手の届く範
囲内が有効利用される空間であり、居住性を重視した通
常の居室と同じ天井高をとっても、上部は利用されない
無駄な空間になっていた。
【0007】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、いわゆる蔵のような大きな収納空間を設け
てこれを有効利用することができる上に使い勝手も非常
に良好であり、また、収納空間を構成する構造材が強固
なコアを構成して建物全体の強度を向上させる構造とな
り、しかも工費の増大も十分に抑制できる多層階蔵型収
納付き建物を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
上下階に亘って複数の居室を配置した建物において、建
物本体内の上階に、上下方向に少なくとも3層に区画さ
れかつ周壁を備えた多層構造の収納空間を設け、これら
各収納空間の周壁に出入り口をそれぞれ設け、前記周壁
の外側に、該周壁に沿って室内階段を設け、この室内階
段の踊り場を前記2層目以上の収納空間の出入り口付近
に、該収納空間の床面とほぼ面一に設け、さらに最上層
の前記収納空間の少なくとも一部が屋根裏空間を使用し
ていることを特徴としている。ここで、階段の踊り場と
は、一般に、階段の途中に設けられた踏面の広い段で、
階段を昇降する際の危険防止や休息のために設けられた
ものをいうが、本発明においては、最上層の収納空間へ
の出入り口付近に設けられた、室内階段の頂上の踏面の
広い部分も踊り場ということにする。
【0009】請求項2に係る発明は、請求項1におい
て、前記周壁の上端部を屋根に結合し、かつ下端部を上
階の床に結合したことを特徴としている。
【0010】請求項3に係る発明は、請求項1または2
において、前記多層構造の収納空間を建物本体の妻行方
向の中央部寄りに設けたことを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1記載の多層階型収納付き建物では、収
納空間が建物本体内上階に上下方向に3層に区画された
多層構造となっているので、これら収納空間の天井高は
例えば一般の居室よりも低くなるが、逆に手の届く範囲
となるので、上部が無駄な空間とならない。また、前記
各収納空間には出入り口が設けられ、前記周壁の外側に
は、該周壁に沿って室内階段が設けられ、この室内階段
の躍り場が2層目以上の収納空間の出入り口付近に、該
収納空間の床面とほぼ面一に設けられているので、1層
目の収納空間には、上階の床から出入り口を通して直接
出入りでき、また、2層目以上の収納空間には、前記室
内階段のそれぞれの躍り場から出入り口を通して直接出
入りできる。したがって、上階に蔵のような大きな少な
くとも3層以上の収納空間を設けてもこれらを有効利用
できる上に使い勝手も極めて良好なものとなる。また、
最上層の収納空間の少なくとも一部が屋根裏空間を使用
しているので、屋根裏空間の有効利用を図ることができ
るとともに、該最上層の収納空間にも室内階段の踊り場
から出入り口を通して直接出入りして収納物を出し入れ
できる。加えて、上階に設けられた収納空間が、上下方
向に少なくとも3層に区画されているので最上層の収納
空間の少なくとも一部が屋根裏空間を使用していても、
各収納空間をその上部が無駄になることのない手の届く
範囲の天井高の空間とすることができる。
【0012】請求項2記載の多層蔵型収納付き建物で
は、前記周壁の上端部が屋根に結合され、かつ下端部が
上階の床に結合されているので、該周壁を構成する構造
材が角筒状のコアを構成して建物全体の強度を向上させ
る作用を発揮する。
【0013】請求項3記載の多層蔵型収納付き建物で
は、多層構造の収納空間が建物本体の妻行方向の中央部
寄りに設けられている場合、建物の補強作用がより効果
的になり、しかも建物の一番高い所の屋根裏を収納空間
の一部に利用できることになり、これにより収納空間を
多層構造としても、収納空間の必要な天井高を確保する
ことが可能になる。
【0014】
【実施例】以下、本発明に係る多層蔵型収納付き建物の
実施例を図1および図2に基づいて説明する。実施例に
よる多層蔵型収納付き建物は、上下階に亘って複数の居
室を配置した建物において、建物本体10内の上階に、
上下方向に少なくとも3層に区画されかつ周壁Rを備え
た多層構造の収納空間K1K2、K3を設け、これら各
収納空間K1、K2、K3の周壁Rに出入り口C1、C
2、C3をそれぞれ設け、そして、各出入り口C1、C
2、C3付近の前記周壁Rの外面に室内階段S1、S2
の踊り場11、12をそれぞれ設けた構成としたもので
ある。
【0015】以下、これらの詳細について説明すると、
建物本体10は、この実施例ではパネル組立型の切り妻
式二階建て住戸の例が示されており、下階である一階1
Fおよび上階である二階2Fには、それぞれ複数の居室
13、14が設けられている。また、各階には必要な機
能に応じて玄関やホール、浴室、洗面所等(図示せず)
が設けられている。
【0016】そして、建物本体10内に設けられた多層
構造の収納空間K1、K2、K3は、図1に示すよう
に、ここでは一階には設けずに、二階に3層となった構
成であり、最下層の収納空間K1の床L1部分は二階の
床F1同一レベルとなるように構成とされている。ま
た、最上層の収納空間K3は一部が屋根裏空間をも利用
する構成とされている。ちなみに、各収納空間の天井高
は、図示例による設計では収納空間K1が1.4m、K
2が1.4m、K3が1.8mとされている。
【0017】前記各収納空間K1〜K3の外壁を構成す
る周壁Rは、図2に示すように構造材である壁パネル等
により間口が約1間半、奥行き1間の平面矩形状に構成
され、全体として二階2Fの中央部に、即ち、妻行方向
の中央部寄りになるように設けられていると共に、各収
納空間K1〜K3が上下方向に亘って積層構造となった
いわゆるタワー状に構成され、これにより、建物本体1
0内の二階から屋根裏にかけて角筒型のコアが形成され
ている。
【0018】収納空間への各出入り口C1〜C3のう
ち、収納空間K1への出入り口を除く残りの出入り口C
2、C3はいずれも周壁Rに設けられ、出入り口C1に
ついては、二階居室(和室)14側に設けられている。
したがって、各室内階段や踊り場もこれらの出入り口に
対応するように周壁R沿う形態で設けられている。
【0019】即ち、収納空間K1を除く各収納空間K2
およびK3に対応して、これらの収納空間の出入り口C
2およびC3付近の周壁Rの外面には、それらの出入り
口にそれぞれ連通する踊り場11、12を備えた室内階
段S1、S2が設けられており、これにより二階2Fか
ら室内階段S1、踊り場11を通って収納空間K2へ、
さらにこの踊り場11から室内階段S2、踊り場12を
通って収納空間K3へと移動可能に構成されている。
【0020】このように構成された多層階蔵型収納付き
建物においては、収納空間が二階に3層となっている
が、各収納空間K1〜K3の高さは1.4m以上確保さ
れており、しかも各収納空間K1〜K3のいずれにも出
入り口C1〜C3がそれぞれ設けられているので、それ
ら各収納空間に直接出入りして物品の出し入れを行うこ
とができる。また、収納空間K1の出入り口C1は二階
の床F2と同一レベルにあり、収納空間K2、K3の出
入り口C2、C3には、これと連絡する室内階段S1、
S2、の踊り場11、12がそれぞれ設けられているの
で、この踊り場から収納空間へと直接出入りすることが
できることになり、これらの結果、各収納空間は極めて
使い勝手が良好になる。
【0021】また、各収納空間K1〜K3は、一般の居
室よりも天井高が低くなっていて、天井まで手の届く空
間であり、しかも二階に3層の構成となっているので、
このように蔵のような大きな収納空間を設けても、これ
を極めて効率的かつ有効に利用することができるように
なる。
【0022】また、各収納空間K1〜K3は上下に積層
された構造でしかも構造材としての周壁Rを備えている
ので、この周壁R部分が建物本体10の上下に延在する
いわゆる角筒形のコアのような構造を構成することにな
り、この結果、建物本体10がこの周壁Rにより補強さ
れて、その分、構造強度が向上する。
【0023】また、収納空間K1〜K3の周壁Rは、二
階の間仕切りとしての機能も兼ねているから、収納空間
K2およびK3の床L2およびL3の他には特に余分な
工事を必要とすることもなく、したがって工費の点から
見ても、特別に割高になるといったこともない。また、
各収納空間が建物本体の妻行方向の中央部に集中する積
層構造の形態で設けられていて最上層の収納空間K3は
天井裏の一番高い所を利用可能となるので、各収納空間
K1〜K3の天井高さを必要な程度に十分に確保するこ
とができる。
【0024】なお、実施例においては、本発明を二階建
住宅に適用した例を示したが、二階建に限らず三階建住
宅、その他の種々建物などにも適用できることは言うま
でもない。また、各収納空間の天井高としては、使い勝
手を考慮した場合、普通の身長の大人が腰や頭を少し低
くした状態で歩ける程度の高さ、例えば1.4m程度以
上の高さであれば十分であるが、収納物品の形状や収納
の仕方、あるいは階高、間取りなどの関係で一部の収納
空間についてそれ以下の高さにすることも可能である。
また、各収納空間への階段の位置としても、間取りや収
まり等の関係で適宜変更してもよい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る多層
蔵型収納付き建物によれば、下記のような種々の優れた
効果を奏することができる。
【0026】請求項1記載の多層蔵型収納付き建物にお
いては、収納空間が建物本体内の上階に上下方向に少な
くとも3層に区画された多層構造となっているので、こ
れら収納空間の天井高は例えば一般の居室よりも低くな
るが、逆に手の届く範囲となるので、上部が無駄な空間
とならず、また、前記各収納空間には出入り口が設けら
れ、前記周壁の外側には、該周壁に沿って室内階段が設
けられ、この室内階段の躍り場が2層目以上の収納空間
の出入り口付近に、該収納空間の床面とほぼ面一に設け
られているので、1層目の収納空間には、上階の床から
出入り口を通して直接出入りでき、また、2層目以上の
収納空間には、前記室内階段のそれぞれの躍り場から出
入り口を通して直接出入りでき、したがって、上階に蔵
のような大きな少なくとも3層以上の収納空間を設けて
もこれらを有効利用できる上に使い勝手も極めて良好な
ものとなる。さらに、最上層の収納空間の少なくとも一
部が屋根裏空間を使用しているので、屋根裏空間の有効
利用を図ることができるとともに、該最上層の収納空間
にも室内階段の踊り場から出入り口を通して直接出入り
して収納物を出し入れすることができる。加えて、上階
に設けられた収納空間が、上下方向に少なくとも3層に
区画されているので最上層の収納空間の少なくとも一部
が屋根裏空間を使用していても、各収納空間をその上部
が無駄になることのない手の届く範囲の天井高の空間と
することができる。
【0027】また、収納空間の周壁は、二階の間仕切り
としての機能も兼ねさせることができ、かつ、一部の収
納空間の床を設ける他には特別な工事を必要とすること
もないので、工費の増大も十分に抑制することができ
る。
【0028】請求項2記載の多層蔵型収納付き建物にお
いては、前記周壁の上端部が屋根に結合され、かつ下端
部が上階の床に結合されているので、該周壁を構成する
構造材が角筒状のコアを構成して建物全体の強度を向上
させ、これにより建物の構造強度上からも有効な効果を
発揮する。
【0029】請求項3記載の多層蔵型収納付き建物にお
いては、多層構造の収納空間が建物本体の妻行方向の中
央部寄りに設けられている場合、建物の補強作用がより
効果的になり、しかも建物の高い所の屋根裏を収納空間
の一部に利用できることになり、これにより収納空間を
多層構造としても、収納空間の必要な天井高を確保する
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す要部の立面図である。
【図2】本発明の実施例を示す二階部分の平面図であ
る。
【図3】従来例を示す立面図である。
【図4】使用例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 建物本体 11、12 踊り場 1F 一階 2F 二階 13、14 居室 K1、K2、K3 収納空間 C1、C2、C3 出入り口 S1、S2、S3 室内階段 R 周壁

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下階に亘って複数の居室を配置した建
    物において、建物本体内の上階に、上下方向に少なくと
    も3層に区画されかつ周壁を備えた多層構造の収納空間
    を設け、これら各収納空間の周壁に出入り口をそれぞれ
    設け、前記周壁の外側に、該周壁に沿って室内階段を設
    け、この室内階段の踊り場を前記2層目以上の収納空間
    の出入り口付近に、該収納空間の床面とほぼ面一に設
    け、さらに最上層の前記収納空間の少なくとも一部が屋
    根裏空間を使用していることを特徴とする多層蔵型収納
    付き建物。
  2. 【請求項2】 前記周壁の上端部が屋根に結合され、か
    つ下端部が上階の床に結合されていることを特徴とする
    請求項1記載の多層蔵型収納付き建物。
  3. 【請求項3】 前記多層構造の収納空間が建物本体の妻
    行方向の中央部寄りに設けられていることを特徴とする
    請求項1または2記載の多層蔵型収納付き建物。
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JPH02122834U (ja) * 1989-03-15 1990-10-09
JPH0316354U (ja) * 1989-06-28 1991-02-19

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