JP2603629B2 - 陰極線管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の属する技術分野） 本発明は開口を限定する壁部分と、前記開口を蔽って
位置するほぼ平坦なガラス製のフェースプレートとを有
するエンベロープを具え、さらに前記開口の周囲に延在
する金属製リアハウジングのフランジ表面と、フェース
プレートの間が圧着シールにより気密に封着されてい
て、かつ該圧着シールは圧縮変形材料を具えてなる陰極
線管に関するものである。

（従来の技術） 電子銃および他の陰極線管部品を含む最終仕上げされ
た陰極線管において、リアハウジングとは一般にエンベ
ロープの円錐部分をさして呼んでいる。しかし、これは
正確ではなく、むしろ幾何学的感覚から判断すると円錐
形状とはほぼ遠い、例えば、新型のリアハウジングで
は、一般に平坦な、皿形の底およびフランジに囲まれた
上部開口を有する矩形の浅い金属容器を有する。この新
形のリアハウジングは本発明を適用するに適しているも
のであり、“偏平容器（flat can）”リアハウジングと
称されている。この種のリアハウジングを有するエンベ
ロープは、偏平陰極線管と称されるものに使用されてい
る。エンベロープを形成するため、矩形の偏平なガラス
製のフェースプレートは前記偏平容器のフランジに封着
される。

コストを下げるためには、簡単な装置を使用して封着
でき、しかも比較的低温で封着することができる廉価な
部品を用いたエンベロープが有利である。したがって金
属製のリアハウジングを廉価且つ成形の容易な軟鋼より
構成するのが良い。フェースプレートは、従来の成型さ
れたガラス製のフェースプレートより廉価になり、しか
も必然的に厚くならずにそれだけ軽量となる平坦な強化
フロートガラスより構成するのが良い。かかる材料は、
熱膨張係数が実際に一致しないが、フェースプレートと
金属製のリアハウジングとを一緒に接着する圧着シール
を使用すること、即ちフェースプレートおよび金属製の
リアハウジングの間に圧着シールを配設すれば、熱膨張
係数差に適応させることができる。前記圧着シールの例
が、本発明と関連する英国特許第1598888号明細書に記
載されている。ところが、上記圧着シールによる接着
は、ガラス製のフリットシールによる接着ほど堅固では
ない。しかし、後者のガラス製のフリットシールは比較
的もろく、熱膨張係数に差がある材料どうしを接着する
のに適していない。さらに、このガラス製のフリーット
シールは、シールする際にかなり高い温度で貼付される
ことが要求される。このシールのためには設備が高価に
なり、それでもエンベロープ内の部品に損傷を与える危
険を有している。

英国特許第2123210号明細書には、冒頭段で説明した
構造の陰極線管エンベロープが記載されている。そこに
記載された構造において、平坦なガラス製のフェースプ
レートの周辺部分がリアハウジングのフランジ上に横た
わり、このフランジはリアハウジングにより画成される
開口から外に向けて突出する。

この構造のエンベロープを有する陰極線管を製造する
に当たり、フェースプレートはエンベロープの排気によ
り僅かに内側に凹み、したがって、フェースプレート
が、リアハウジングのフェースプレートおよびフランジ
間の圧着シールからはがれ、および／または圧着シール
材がフランジからはがれる傾向にある。

このようなはがれる傾向を打消すため、前記英国特許
第2123210号明細書において、ばねクランプをフェース
プレートの端縁およびフランジに配設することが提案さ
れている。かかるばねクランプは、例えば壁部分と相俟
ってばね鋼チャンネル部材を形成する。このばね鋼チャ
ンネル部材は、相互に向けて集中され、フェースプレー
トの前側表面およびフランジの後側表面と夫々係合し、
これら表面に垂直なクランプ力を及ぼして、フェースプ
レートおよびフランジを一緒に保持する。この手段は有
効であるが、その反面、これらばねクランプの配設は陰
極線管エンベロープの構造を複雑にし、陰極線管の総コ
ストを高くする。

（発明の目的） 本発明の目的は、圧着シールを用いて、異なる熱膨張
係数を有する任意の材料を使用可能にし、しかも上述し
たような追加の部品を必要とせず、これがため廉価且つ
簡単に製造することができる陰極線管を提供せんとする
にある。

（目的達成のための手段） 本発明は、開口を限定する壁部分と、前記開口を蔽っ
て位置するほぼ平坦なガラス製のフェースプレートとを
有するエンベロープを具え、さらに前記開口の周囲に延
在する金属製リアハウジングのフランジ表面と、フェー
スプレートの間が圧着シールにより気密に封着されてい
て、かつ該圧着シールは圧縮変形材料を具えてなる陰極
線管において、前記リアハウジングのフランジを開口内
部に向けて突出させることを特徴とするものである。

（発明の効果） 本発明では、従来の構造のようにフランジを外側に突
出させるのではなく、内側に突出させることにより、フ
ランジとフェースプレートの周辺部分を一体にクランプ
締めするクランプ素子を必要としなくなる。

従来の構造において、エンベロープの排気によるフェ
ースプレートの内側への窪みは、開口に隣接するリアハ
ウジングの側壁と接合するフランジの、内側端縁を支点
にしてフェースプレートを旋回させる、即ちこのフラン
ジの内側端縁領域が旋回固定端として動作する結果、フ
ェースプレートの周辺部分とフランジとを分離させるの
だと考えられる。この旋回固定端につきフェースプレー
トが旋回する場合に、フェースプレートの周辺部分の封
着領域に引張力がかかり、この周辺部分をフランジから
はがすこととなる。他方、本発明では、圧着シールがフ
ランジとリアハウジングの側壁部分およびフェースプレ
ートの周辺部分と接合する領域の内側に配設されるた
め、上記問題を回避でき、また、フランジ自体がリアハ
ウジングの側壁部分に接合される遷移領域から僅かに凹
まされて、フェースプレートの僅かな凹みを調整するた
め、フランジの反対側表面は、フェースプレートがエン
ベロープの内側に凹むことにより圧縮状態に維持され
る。このフランジが凹む動作は、圧着シール自体にかか
る圧縮力を維持するのを助ける。したがって、本発明で
はハウジングおよびフェースプレートの間を接着する簡
単な構造を提供し、この構造は、クランプ素子を必要と
する高コスト且つ複雑な製造を行うことなく、従来の陰
極線管に軟鋼製のリアハウジングおよび強化ガラス製の
フェースプレートを有利に使用することができる。

本発明ではフランジが内側に突出しているため、同一
のスクリーン領域を維持するためには、リアハウジング
の寸法全体を増加する必要がある。しかしこの寸法の増
加は、実際には、陰極線管内の内部部品のための電気的
相互接続線を納めるスペース等のエンベロープ内で有効
に利用し得るスペースとして有利である。これは特に、
例えば英国特許第2101396号明細書に記載されたよう
な、チャンネルプレート電子増倍管および静電偏向電極
を用い、比較的多数の接続線を要求する偏平陰極線管に
対して特に重要である。

本発明の好適実施例においては、フェースプレートの
周辺部分を、少なくともフランジおよびリアハウジング
の側壁部分の間の遷移領域まで延在させる。これにより
圧着シールをリアハウジングの側壁近傍まで配設して、
フェースプレートの支持を側壁に隣接して集中させるこ
とができ、フェースプレートおよびリアハウジングの間
に作用する圧縮力は主に側壁を通じて導かれる。好まし
くは、圧着シールを、フランジの外側の、少なくともフ
ランジおよび壁部分の間の遷移領域の隣りまで延在させ
るのが良い。このようにして、圧縮力は側壁近傍まで作
用する。

リアハウジングは、フランジにより画成される上向き
開口を有する浅い矩形の、一般に平底の金属缶の形態で
あり、このリアハウジングの側壁部分は開口を画成し、
フェースプレートに対しその平面と約90度の角度で衝合
する。この他に、リアハウジングを、側壁部分がフェー
スプレートに約90度以下の角度で衝合する従来形の円錐
形状にすることもできる。

リアハウジングは２部分から形成することができ、第
１部分は壁部分およびフランジを具え、第２部分はエン
ベロープを閉成するとともに第１部分に気密に接合され
る。このようにして、エンベロープの組立てを極めて容
易にしている。ハウジングの２部分を一緒に接合する前
に第１部分をフェースプレートに接着して、接着工程中
にフランジの下側でフランジを支持し得るようにする。
この後、陰極線管の内部部品を取り付け、リアハウジン
グの第２部分を第１部分に、周辺の衝合片で、例えばレ
ーザ溶接により接合し、陰極線管を完成させる。浅い矩
形の、概して平底の容器を具えるリアハウジングの場合
において、第１部分は、フランジおよびほぼ矩形の側壁
部分より成り、第２部分は、底面、およびハウジングの
側壁の下側区域を構成する一体の直立した壁より成る。
側壁部分の下側は、第１部分の側壁部分の下端に設けら
れた周辺の舌片と衝合する舌片で仕切られている。

（実施例） 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

陰極線管は、矩形且つ偏平容器の、軟鋼より成るリア
ハウジング１と、約300mm×270mmの寸法を有する強化フ
ロートガラスよりなるほぼ平坦なフェースプレート２と
を具えるエンベロープを有する。軟鋼製のリアハウジン
グおよびフェースプレートは約1mmおよび約6mmの厚さを
夫々有する。リアハウジング１は、例えば軟鋼シートか
ら引抜き加工を施して形成され、矩形の垂直な端縁の、
側壁部分を有する。この側壁部分４は、フェースプレー
ト平面に対し約90度の角度でフェースプレート２に衝合
され、フェースプレート２が上を覆っている矩形の開口
６を画成する。リアハウジングの側壁部分４の一部分、
フェースプレート２および開口６のみを、第２図で見る
ことができる。リアハウジングのほぼ平坦な底部は、僅
かに内側に凹まされている。

リアハウジングには、第２図に特に示すように、側壁
部分４に垂直且つ連続であるとともに表面の平坦な一体
のフランジ８を設ける。このフランジ８は、側壁部分４
と垂直に開口６の内側に向けて突出し、フェースプレー
ト２の平面にほぼ平行且つその周囲を完全に囲んでい
る。フランジ８は約2cmの幅を有している。フェースプ
レート２の寸法を適宜定めて、曲がりのない区域を具え
るその周辺端縁が、フランジ８が側壁部分４と接合する
リアハウジングの遷移領域の隅部の僅か外側まで延在す
るようにする。

ガラス製フェースプレート２をフランジ８に、圧縮で
変形し得る材料、例えば金属鉛より成る圧着シール10に
より、気密に封着する。圧着シール10は、フランジ８の
回りに完全に延在し、且つ第２図に示すように、フラン
ジ８の外側の、フランジ８および側壁部分４の間の遷移
領域まで延在し、このため、フェースプレート２の支持
は隣接する側壁部分４の隣りに集中し、圧着シール10に
作用する圧縮力が主に側壁部分に導かれる。

圧着シール10の圧着は、例えは本出願人が先にこれと
関連する英国特許第1598888号明細書に記載した熱圧着
方法により実施することができる。簡単に説明すると、
フェースプレート２およびフランジ８を、プレス機内に
載置し、このときフランジ８およびフェースプレート２
の周辺部分の間に、直径2.5mm、純度99.99％の導線を隣
接端縁と相俟ってループ形状に配置する。フェースプレ
ート、フランジおよび導線を適宜加熱して、接着区域内
の温度を約290℃とする。次に、約790kgの負荷をフラン
ジ８およびフェースプレート２の周辺部分の間に加え
て、導線を部分的に平らにし、フランジおよびフェース
プレートの間および導線の端部の間で気密なシールを形
成する。

次に、加熱を停止し、負荷を次第に減少させ接着区域
の温度が250℃に降下するまでに零となるようにする。
このフランジに接着されるフェースプレートを有する組
立体を冷却させる。この方法において、リアハウジング
は圧縮処理の前に、陰極線管とともに電子光学部品を取
り付け、フェースプレートにスクリーンを設けて一体に
することができる。

しかし、他の方法において、第１図に示すようにリア
ハウジング１を２部分から形成し、上側部分は一般的に
矩形の側壁部分４およびフランジ８を具え、下側部分12
は側壁部分４と結合される低部側壁部分およびほぼ平坦
な底面を具える。この配置において、リアハウジング１
の上側部分を上記の方法でフェースプレート２に接着し
密封する。この後、内部部品を装着し、リアハウジング
の下側部分12を、各周辺の衝合片端縁14および16を取り
囲む上側部分４に、気密且つ剛固な接合を形成するよう
に接合する。

この配置の利点は、迅速な処理をフランジ８の下側、
例えば最も内部の表面に許容して、負荷を加える処理中
にフランジを支持することができる。

リアハウジングに取り付けられた適切な密封自在のポ
ンプ管を経てエンベロープを排気した状態の、フェース
プレート２を常圧下でエンベロープの僅か内側に変形さ
せる。この変形の結果、フェースプレートの中心をエン
ベロープ内下向きに約1mmだけ凹ませる。しかし、内側
に突出するフランジ８はこの凹みを調整し、フランジ８
が側壁部分４を接合する領域の回りに下向きに彎曲され
て、フェースプレート２の変形に順応させるようにす
る。このようにして、シール内の圧縮力を増加させるフ
ランジ８の変形によりフランジ８およびフェースプレー
ト２の周辺部分の間の圧縮を維持し、これら部分間の接
着シールは伸長性の影響によって損傷を受けなくするも
のである。

エンベロープ１を排気し、次にフェースプレート２を
下向きに凹ませた結果、フェースプレート２とフランジ
８との間で隣接表面の平面と平行な方向に僅かな相対移
動を発生させる。前記僅かな相対移動を圧着シール10の
性質により調整する。圧着シール10を構成する圧縮変形
材料として、特に鉛を用いることについて説明したが、
この鉛の代わりに他の適切な材料を用いることもでき
る。英国特許第1598888号明細書に記載された例えば
銅、銀、アルミニウムもしくは金のような展性金属を用
いることもできる。

さらに、上記明細書に記載された陰極線管の実施例で
は、矩形のフェースプレートおよびリアハウジングを有
するが、本発明ではフェースプレートおよび異形のリア
ハウジングを有する陰極線管にも適用することができ
る。例えば、フェースプレートおよびこのフェースプレ
ートに隣接するリアハウジングの少なくとも側壁部分を
円形にすることができる。また、フェースプレートをよ
り一般的な、僅かに凸形彎曲の端縁を有する矩形形状と
することもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は陰極線管の斜視図、 第２図は陰極線管エンベロープの、リアハウジングのフ
ランジに気密に接着されたフェースプレートを示す拡大
一部断面斜視図である。 １……リアハウジング ２……フェースプレート ４……側壁部分 ６……開口 ８……フランジ 10……圧着シール 12……下側部分 14,16……衝合片端縁

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】開口を限定する壁部分と、前記開口を蔽っ
   て位置するほぼ平坦なガラス製のフェースプレートとを
   有するエンベロープを具え、さらに前記開口の周囲に延
   在する金属製リアハウジングのフランジ表面と、フェー
   スプレートの間が圧着シールにより気密に封着されてい
   て、かつ該圧着シールは圧縮変形材料を具えてなる陰極
   線管において、 前記リアハウジングのフランジを開口内部に向けて突出
   させることを特徴とする陰極線管。
2. 【請求項２】前記フェースプレートの周辺部分を前記リ
   アハウジングのフランジおよび壁部分の間の少なくとも
   遷移領域まで延在させることを特徴とする特許請求の範
   囲第１項記載の陰極線管。
3. 【請求項３】前記圧着シールを、フランジの外側の、リ
   アハウジングのフランジおよび壁部分の間の少なくとも
   遷移領域の隣りまで延在させるようにしたことを特徴と
   する特許請求の範囲第２項記載の陰極線管。
4. 【請求項４】前記フランジの幅を、常圧下での前記フェ
   ースプレートの変形に応じてフランジが凹み得る長さに
   したことを特徴とする特許請求の範囲第1,2または３項
   記載の陰極線管。
5. 【請求項５】前記リアハウジングは２部分から形成さ
   れ、第１部分は、前記壁部分およびフランジを具え、第
   ２部分はエンベロープを閉成するとともに前記第１部分
   に気密に接合されるようにしたことを特徴とする特許請
   求の範囲第１項乃至第４項の何れか１項に記載の陰極線
   管。