JP2602525Y2 - 電動オイルパルス回転工具の緩衝機構 - Google Patents

電動オイルパルス回転工具の緩衝機構

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JP2602525Y2 JP1993061963U JP6196393U JP2602525Y2 JP 2602525 Y2 JP2602525 Y2 JP 2602525Y2 JP 1993061963 U JP1993061963 U JP 1993061963U JP 6196393 U JP6196393 U JP 6196393U JP 2602525 Y2 JP2602525 Y2 JP 2602525Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は電動インパルスドライバ
や電動インパルスレンチ等のオイルパルス発生器を用い
た回転工具に係り、詳しくはそれらの回転工具が使用時
に発生する衝撃を工具内において緩和する緩衝機構に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の上記電動オイルパルス回転工具
(以下回転工具という)にあっては、例えば特開昭59
−129675号公報に開示の如く、ハウジング内に、
モータと、モータから回転力を伝達され遊星歯車を備え
た減速機構と、減速機構に外装されるインターナルギヤ
と、減速機構に連結されるオイルパルス発生器とを有し
て構成されており、モータの回転による締め付けと共に
負荷が大きくなると、オイルパルス発生器が油圧による
瞬間的な衝撃力を発生させて、オイルパルス発生器の出
力軸に強力な締付力を断続的に与えるものである。しか
し、このような回転工具は、等速で回転するモータや減
速機構と、瞬間的に強力な回転を与えるオイルパルス発
生器とが直結されていることから、オイルパルス発生器
の衝撃力がダイレクトに減速機構やモータ側に跳ね返る
こととなり、ギヤへの負担が大きくなって摩耗が著し
く、又モータの焼損の虞れもあり、結果工具の寿命を短
くする要因となっている。そこで、特開平2−2249
81号公報には、回動可能としたインターナルギヤを、
オイルパルス発生器に外装され前端をハウジングに固着
した捩りばねの後端に連結し、出力側で生じた衝撃を捩
りばねの弾性変形によるインターナルギヤの回転で吸収
させて、モータやギヤへの負担を解消させる緩衝機構が
開示されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかし、上記公報の緩
衝機構においては、捩りばねを巻回方向へ弾性変形させ
て衝撃を吸収しているから、工具全体が軸回りに振られ
やすく、操作性、作業性が低下するおそれがある。又、
衝撃に対する変形量の設定が非常に難しい。更に、捩り
ばねの弾性変形により径が収縮或いは拡大するため、そ
の拡縮動作がハウジングやトルク衝撃発生器と干渉しな
いように捩りばねの内外でクリアランスを広く確保する
必要が生じ、工具全体が大型化してしまう。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本考案は、オイル
パルス発生器の衝撃力を緩和させて減速機構やモータへ
の影響を抑える電動オイルパルス回転工具の緩衝機構
を、操作性や作業性への影響なく、簡単且つコンパクト
に提供するもので、その構成は、インターナルギヤをハ
ウジング内で回動自在に軸支する一方、インターナルギ
ヤの軸方向にスライド可能で、且つ付勢手段によってイ
ンターナルギヤ側へ付勢されるスライド部材を設け、イ
ンターナルギヤとスライド部材との互いの対向面の一方
に球状凸部を、他方に、前記球状凸部と対応し、円周方
向の両端を傾斜面としたカム溝を夫々形成し、更に付勢
手段によるインターナルギヤへの押圧力を、少なくとも
減速機構の遊星歯車が公転運動するのに必要なインター
ナルギヤの固定力と等しく設定したことを特徴とするも
のである。
【0005】
【作用】通常のモータ回転ではインターナルギヤはスラ
イド部材を介した付勢手段により押圧固定され、減速機
構の遊星歯車に公転運動を与え、オイルパルス発生器を
回転させる。締付と共にビット側の負荷が高まり、オイ
ルパルス発生器がオイルパルスを発生させると、インタ
ーナルギヤには付勢手段による固定力を超えた負荷が加
わることとなるが、この時一方の球状凸部がカム溝の傾
斜面に乗り上げることで、スライド部材をインターナル
ギヤからの離反方向へスライドさせ、インターナルギヤ
の回転を許容するため、この作動で衝撃を吸収でき、減
速機構やモータへは衝撃は伝わらない。
【0006】
【実施例】以下本考案の実施例を図面に基いて説明す
る。図1において1は本考案を適用した電動インパルス
ドライバの本体で、後部のモータ4からの回転力はモー
タ軸4a、ピニオンギヤ5から減速機構6を介してイン
パルスモータ7に伝わり、インパルスモータ7と共にビ
ットが装着される出力軸8を回転させる。又本体1の下
部には着脱自在に充電池(図示せず)が内蔵されるハン
ドル2が設けられ、ハンドル2基部のスイッチレバー3
の操作によりモータ4は起動する。前記減速機構6は、
ピニオンギヤ5を中心として均等に配置され、ピニオン
ギヤ5に噛合して自転しつつ公転する3つの遊星歯車
9、9・・と、遊星歯車9の支軸10が夫々固着されて
その公転により回転し、ボールベアリング12によって
回動可能に軸支されるキャリア11からなり、キャリア
11はインパルスモータ7の入力軸7aと直結されてい
る。又前記3つの遊星歯車9にはインターナルギヤ13
が外装され、インターナルギヤ13は本体1に固着され
るギヤハウジング1a内で、ボールベアリング14によ
り回動可能に軸支されている。更にインターナルギヤ1
3とモータ4との間にはスライド部材15が配置され、
スライド部材15は図2にも示す如くギヤハウジング1
aとの当接面において均等に3方へ、夫々軸方向に並べ
た2つのスチールボール16、16を半分埋設してお
り、この3箇所のスチールボール16、16がギヤハウ
ジング1a内周に対応して設けられたスライド溝1b、
1bに嵌入することで、スライド部材15はギヤハウジ
ング1a内を前後へスライド可能となっている。又スラ
イド部材15は2本のスプリング17、17によってイ
ンターナルギヤ13側に付勢されており、この押圧力に
よって通常インターナルギヤ13はその回動を規制さ
れ、モータ4の回転によって減速機構6の遊星歯車9は
インターナルギヤ13内で自公転するものとなる。更に
インターナルギヤ13とスライド部材15間において、
インターナルギヤ13の後端面には図2の如く均等に3
方へカム溝18、18・・が夫々設けられると共に、そ
の円周方向両側には傾斜面18a、18a・・が夫々形
成されている。一方スライド部材15の前端面において
前記カム溝18に対応する箇所には嵌合凹部19、19
・・が凹設され、嵌合凹部19には夫々スチールボール
20、20・・が半分を露出して嵌着されて球状凸部を
形成している。
【0007】以上の如く構成されたインパルスドライバ
は、モータ4の作動によりモータ軸4a、ピニオンギヤ
5が回転し、遊星歯車9の公転と共にキャリア11及び
インパルスモータ7と出力軸8を回転させ、締付を行
う。そして締付作業に連れて出力軸8への負荷が高ま
り、インパルスモータ7の回転より出力軸8の回転が遅
れるようになると、インパルスモータ7が油圧による衝
撃力を発生させ、この衝撃力を出力軸8に断続的に与え
るものとなる。この時オイルパルス発生時の出力軸8の
低下する回転と等速で回転するモータ軸4aや減速機構
6等の間に生じるギャップが、キャリア11や遊星歯車
9に回転方向への負荷として作用する。しかしモータ軸
4aや遊星歯車9の自公転運動は変わらないため、この
負荷はインターナルギヤ13に作用するが、インターナ
ルギヤ13は遊星歯車9に公転運動を与えられる程度に
スライド部材15に押圧固定されているだけであるか
ら、この負荷によりインターナルギヤ13はスライド部
材15の付勢に抗して遊星歯車9の公転方向へ回転す
る。その際図3の如くスライド部材15のスチールボー
ル20にインターナルギヤ13のカム溝18の傾斜面1
8aが乗り上げ、同時にスライド部材15はスライド溝
1b内をスチールボール16、16が摺動してスプリン
グ17、17に反して後退するものとなり、この作動に
よりオイルパルス発生時の衝撃(負荷)を吸収できる。
負荷が解消されると、スライド部材15の押圧によりス
チールボール20は傾斜面18a上から再び図1のよう
にカム溝18内に嵌合し、同時にインターナルギヤ13
は前記と逆回転して元の位置に復帰する。上記作用はイ
ンパルスモータ7によるオイルパルスの発生と共に繰り
返し、モータ逆回転の時は当然インターナルギヤ13も
上記と逆に回転し、上記と反対側の傾斜面18aが乗り
上げと復帰作用を奏する。上記スチールボール20とカ
ム溝18は、インパルスモータ7の衝撃力によりスチー
ルボール20が傾斜面18aを乗り越えてしまうとイン
ターナルギヤ13が元の位置に復帰できないので、カム
溝18の深さや傾斜面18aの角度を調整する。同様に
スプリング17によるスライド部材15の付勢もスプリ
ングの本数を増減させたりして適当な付勢力を調整す
る。
【0008】このように、上記実施例によれば、オイル
パルス発生時の衝撃力を緩衝し、内部機構への反動を解
消させたから、ギヤの摩耗やモータ4の焼損もなくな
り、工具の耐久性も向上する。特に、インターナルギヤ
13の軸方向にスライド部材15を押圧させて衝撃を吸
収しているから、工具全体が振られる等の衝撃吸収時の
影響はなく、操作性や作業性の低下は生じない。又、ス
プリング17,17による押圧力をインターナルギヤ1
3の軸方向へ作用させたことで、スプリング17の押圧
力の設定が容易となる。更に、緩衝機構に要するスペー
スが小さくて済み、工具全体のコンパクト化が実現でき
る。そして、インターナルギヤ13とスライド部材15
との間に球状凸部となるスチールボール20とカム溝1
8とを介在させたことで、両部材間の摩擦を極力抑え、
インターナルギヤ13の回転作動を円滑に行うことがで
きる。
【0009】尚、球状凸部としては、スチールボールに
代えて例えばスライド部材の前面に半球状の突起を一体
に設けてカム溝と嵌合させたりする等の設計変更は可能
である。勿論カム溝とそれに対応する球状凸部とを上記
実施例と夫々逆の部材に設けてもよい。又スライド部材
15とギヤハウジング1a間のスチールボール16とス
ライド溝1bとの摺動も、スチールボールでなく突条と
凹溝により摺動させたり、スプライン溝にしてスライド
させたりしても差し支えない。
【0010】
【考案の効果】以上本考案によれば、オイルパルス回転
工具においてオイルパルス発生器による衝撃力を緩衝
し、内部機構への反動を解消させたから、ギヤの摩耗や
モータの焼損もなくなり、工具の耐久性も向上する。特
に、インターナルギヤの軸方向にスライド部材を押圧さ
せて衝撃を吸収しているから、工具全体が振られる等の
衝撃吸収時の影響はなく、操作性や作業性の低下は生じ
ない。又、付勢手段による押圧力をインターナルギヤの
軸方向へ作用させたことで、付勢手段の押圧力の設定が
容易となる。更に、緩衝機構に要するスペースが小さく
て済み、工具全体のコンパクト化が実現できる。そし
て、スライド部材を設けてインターナルギヤとの間に球
状凸部を介在させたことで、スライド部材とインターナ
ルギヤ間の摩擦を極力抑え、衝撃吸収時のインターナル
ギヤの回転作動を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案を適用したインパルスドライバの説明図
である。
【図2】上記実施例における緩衝機構の説明図である。
【図3】上記実施例における緩衝機構の作動説明図であ
る。
【符号の説明】
1・・本体、1a・・ギヤハウジング、2・・ハンド
ル、3・・スイッチレバー、4・・モータ、5・・ピニ
オンギヤ、6・・減速機構、7・・インパルスモータ、
8・・出力軸、9・・遊星歯車、10・・支軸、11・
・キャリア、12・・ボールベアリング、13・・イン
ターナルギヤ、14・・ボールベアリング、15・・ス
ライド部材、16・・スチールボール、17・・スプリ
ング、18・・カム溝、18a・・傾斜面、19・・嵌
合凹部、20・・スチールボール。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジング内に、モータと、モータから
    回転力を伝達され遊星歯車を備えた減速機構と、減速機
    構に外装されるインターナルギヤと、減速機構に連結さ
    れるオイルパルス発生器とを有する電動オイルパルス回
    転工具において、 前記インターナルギヤを前記ハウジング内で回動自在に
    軸支する一方、前記インターナルギヤの軸方向にスライ
    ド可能で、且つ付勢手段によって前記インターナルギヤ
    側へ付勢されるスライド部材を設け、前記インターナル
    ギヤとスライド部材との互いの対向面の一方に球状凸部
    を、他方に、前記球状凸部と対応し、円周方向の両端を
    傾斜面としたカム溝を夫々形成し、更に前記付勢手段
    よる前記インターナルギヤへの押圧力を、少なくとも
    減速機構の遊星歯車が公転運動するのに必要な前記
    ンターナルギヤの固定力と等しく設定したことを特徴と
    する電動オイルパルス回転工具の緩衝機構。
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