JP4511708B2 - 無段変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動回転部材および従動回転部材に摩擦接触する変速回転部材を支承するキャリアの移動により、駆動回転部材から従動回転部材への変速可能な動力伝達を行なう無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる無段変速機は、たとえば特開平9−177920号公報等で既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような無段変速機では、変速機軸に相対回転自在に支承されるとともに従動回転部材から離反する方向の移動が規制された出力回転部材と、従動回転部材との間に調圧カム機構が設けられており、該調圧カム機構により従動回転部材から出力回転部材にトルクを伝達するとともに従動回転部材および出力回転部材の相対回転に応じて従動回転部材をキャリア側に押圧するようにしている。
【0004】
しかるに上記特開平9−177920号公報で開示された無段変速機では、従動回転部材および出力回転部材の対向面の周方向複数箇所に相互に対応してそれぞれ設けられた凹部と、相互に対応して対をなす凹部にそれぞれ嵌合される球体とで調圧カム機構が構成されている。
【0005】
このような調圧カム機構では、各球体を保持するためのリテーナが必要であり、コスト増大を招くとともに重量の増加を招いており、組立性も優れているとは言い難い。しかもカム機能を果すために球体の直径を比較的大きく設定せざるを得ないので、変速機軸の半径方向に沿う調圧カム機構の大きさが比較的大きくなっている。また各球体が凹部内でがたつくことによる騒音が発生する問題もある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、重量軽減およびコストダウンを可能とするとともに組立性を向上し、しかも変速機軸の半径方向に沿ってコンパクト化された調圧カム機構を備える無段変速機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エンジンからの動力を入力可能としてケーシングで回転自在に支承される変速機軸と、該変速機軸に相対回転不能に結合される駆動回転部材と、前記変速機軸に相対回転自在に支承される従動回転部材と、前記変速機軸の軸線に沿う移動が可能なキャリアと、前記変速機軸の軸線を中心線とする円錐母線に沿う軸線を有して前記キャリアに支持される支軸と、前記駆動回転部材に接触する円錐状の第1摩擦伝達面ならびに前記従動回転部材に摩擦接触する円錐状の第2摩擦伝達面を有して前記支軸で回転自在かつ軸方向摺動自在に支承される変速回転部材と、前記従動回転部材を前記キャリアとの間に挟む位置で前記変速機軸に相対回転自在に支承されるとともに前記従動回転部材から離反する方向の移動が規制された出力回転部材と、前記従動回転部材および前記出力回転部材間のトルク伝達を可能とするとともに前記従動回転部材および前記出力回転部材の相対回転に応じて前記従動回転部材を前記キャリア側に押圧する調圧カム機構とを備える無段変速機において、前記駆動回転部材側を開放した椀状に形成される前記従動回転部材の中央部に、前記変速機軸で相対回転自在に支承される円筒状の支持筒部が一体に設けられ、円筒状の前記出力回転部材には、該出力回転部材および前記変速機軸間に介装される軸受を嵌合せしめる軸受孔と、前記支持筒部の出力回転部材側端部を受け入れるようにして前記軸受孔よりも大径に形成される収容孔とが設けられ、それら軸受孔及び収容孔間で前記出力回転部材に設けた環状の段部と、前記支持筒部との対向面間には、それら支持筒部及び段部の一方に一体に設けられて他方側に突出する突部と、それら支持筒部及び段部の他方に設けられて前記突部の先端部を収容、接触させる凹部とで前記調圧カム機構が構成され、前記支持筒部を囲む皿ばねが、前記従動回転部材を前記第2摩擦伝達面に押付けるばね力を発揮して、前記従動回転部材及び前記出力回転部材間に設けられることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、従動回転部材の支持筒部および出力回転部材の段部の何れか一方に一体に突設された突部の先端部を、その何れか他方に設けられた凹部に収容、接触させることで調圧カム機構が構成されるので、球体を従動回転部材および出力回転部材間に介在させていた従来のものと比べると、リテーナが不要であるのでコスト低減および重量軽減を図ることができ、組立性が向上するだけでなく、球体の凹部内でのがたつきに起因した騒音発生の問題を解消することができる。しかもカム機能を果すために、変速機軸の周方向に沿う突部および凹部の大きさは或る程度確保しなければならないが、変速機軸の半径方向に沿う方向では突部および凹部を小さくすることが可能であるので、変速機軸の半径方向に沿って調圧カム機構をコンパクト化することが可能となる。
【0009】
また上記のように相互間に調圧カム機構が設けられるにもかかわらず、従動回転部材および出力回転部材を軸方向に近接配置させて、無段変速機のコンパクト化に寄与することが可能となるとともに、従動回転部材に予荷重を付与する皿ばねを、従動回転部材の支持筒部に組付け得るようにして、組立性を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すものであり、図1はエンジンおよび無段変速機間の動力伝達構造を示す縦断面図、図2はロー変速比の状態での無段変速機の拡大縦断面図、図3はトップ変速比の状態での無段変速機の拡大縦断面図、図4は図3の4−4線拡大断面図、図5は調圧カム機構の作動を説明するための図2の5−5線に沿う拡大断面図である。
【0012】
先ず図1において、自動二輪車等の車両に搭載されるエンジンEの出力は、該エンジンEのクランクシャフト11から駆動ギヤ12、被動ギヤ13、ダンパばね14、自動遠心クラッチ15、無段変速機16を介して出力ギヤ17に伝達されるものであり、駆動輪である後輪WRに連なる減速ギヤ18が前記出力ギヤ17に噛合される。
【0013】
前記駆動ギヤ12、被動ギヤ13、ダンパばね14および自動遠心クラッチ15は、前記エンジンEのクランクケースに結合されるケーシング19内に形成される第1作動室20に収納され、前記無段変速機16、出力ギヤ17および減速ギヤ18は、前記ケーシング19内に形成される第2作動室21に収納され、第1および第2作動室20,21は、ケーシング19に設けられる壁部19aの両側でケーシング19内に形成される。
【0014】
第1作動室20内にはクランクシャフト11と平行な軸線を有する入力軸22が配置され、入力軸22の両端部はケーシング19で回転自在に支承される。
【0015】
自動遠心クラッチ15は、前記被動ギヤ13にダンパばね14を介して連結されるとともに入力軸22で回転自在に支承される入力部材23と、入力軸22に結合される椀状の出力部材24と、該出力部材24の内面に摩擦接触することを可能として入力部材23に揺動可能に支承される複数の遠心ウエイト25…と、前記出力部材24との摩擦接触を解除する方向に各遠心ウエイト25…をばね付勢するばね(図示せず)とを備える従来周知のものであり、エンジンEから入力部材23に動力が伝達されることによって入力部材23の回転数が所定値以上となったときに入力部材23から出力部材24すなわち入力軸22に動力を伝達する。
【0016】
図2および図3を併せて参照して、無段変速機16は、前記入力軸22と同軸の軸線を有する変速機軸26と、該変速機軸26と一体に回転する駆動回転部材27と、変速機軸26に相対回転自在に支承される従動回転部材28と、変速機軸26の軸線に沿って移動可能なキャリア29と、該キャリア29に支持される複数の支軸30,30…と、それらの支軸30,30…でそれぞれ支承される変速回転部材31,31…とを備える。
【0017】
変速機軸26の一端はケーシング19の壁部19aを液密にかつ回転自在に貫通して第1作動室20に突入されており、入力軸22に相対回転不能に結合される。駆動回転部材27は半径方向外方に向く摩擦接触面27aを有してリング状に形成されるものであり、たとえば変速機軸26と一体に形成されることにより変速機軸26と相対回転不能である。また従動回転部材28は駆動回転部材27側に開放した椀状に形成されるとともにニードルベアリング32を介して前記変速機軸26に相対回転自在に支承されるものであり、この従動回転部材28の開放端内面に半径方向内方に向く摩擦接触面28aが設けられる。
【0018】
キャリア29は、従動回転部材28側を小径とした略円錐状の第1キャリア半体33と、円板状に形成されるとともに第1キャリア半体33の大径端側すなわち従動回転部材28とは反対側の端部に結合される第2キャリア半体34とから成るものであり、第1および第2キャリア半体33,34はニードルベアリング35,36を介して変速機軸26に相対回転自在かつ軸方向摺動可能に支承される。
【0019】
第1キャリア半体33には、その周方向に等間隔をあけた複数の窓孔37…が設けられており、変速機軸26の軸線を中心線とする円錐母線に沿う軸線を有して前記各窓孔37…を横切る複数の支軸30…の両端が第1キャリア半体33に支持される。これらの支軸30…には、一対のニードルベアリング38,38…をそれぞれ介して各変速回転部材31…が回転可能かつ軸方向摺動可能に支承される。
【0020】
変速回転部材31には、駆動回転部材27の摩擦接触面27aに摩擦接触する円錐状の第1摩擦伝達面40と、従動回転部材28の摩擦接触面28aに摩擦接触する円錐状の第2摩擦伝達面41とが設けられる。
【0021】
キャリア29の第2キャリア半体34における外周には、変速機軸26の軸線と直交する軸線を有する軸42が固定されており、この軸42でローラ43が回転自在に支承される。一方、ケーシング19の内面には、変速機軸26の軸線と平行な方向に延びるU字状の規制部材44が締結されており、前記ローラ43は該規制部材44内に転動可能に収容される。したがって第2キャリア半体34すなわちキャリア29は、変速機軸26の軸線方向の移動を可能とするとともに変速機軸26の軸線まわりの回転を不能としてケーシング19に係合されることになる。
【0022】
キャリア29の第2キャリア半体34には変速機軸26と同軸である被動ねじ45が締結され、この被動ねじ45には、変速機軸26にボールベアリング56を介して回転自在に支承される駆動ねじ46が螺合される。
【0023】
ケーシング19の外面には、変速機軸26と平行な軸線を有する正・逆回転自在な電動モータ47が取付けられており、この電動モータ47および前記駆動ねじ46間に減速機構48が設けられる。
【0024】
該減速機構48は、電動モータ47の出力軸に設けられる駆動ギヤ49と、該駆動ギヤ49に噛合する第1アイドルギヤ50と、第1アイドルギヤ50と一体である第2アイドルギヤ51と、駆動ねじ46に固着されて第2アイドルギヤ51に噛合する被動ギヤ52とから成るものであり、第1および第2アイドルギヤ50,51は変速機軸26と平行な軸線を有してケーシング19に支持されるアイドル軸53で回転自在に支承される。
【0025】
電動モータ47から減速機構48を介して駆動ねじ46に回転動力が与えられると、該駆動ねじ46に螺合した被動ねじ45が固定されているキャリア29が、変速機軸26の軸線方向の移動を可能とするとともに変速機軸26の軸線まわりの回転を不能としてケーシング19に係合されているので、変速機軸26の軸線方向に移動することになる。
【0026】
このような無段変速機16において、駆動回転部材27の摩擦接触面27aおよび第1摩擦伝達面40の接触点から変速機軸26の軸線までの距離をA、駆動回転部材27の摩擦接触面27aおよび第1摩擦伝達面40の接触点から支軸30の軸線までの距離をB、従動回転部材28の摩擦接触面28aおよび第2摩擦伝達面41の接触点から支軸30の軸線までの距離をC、従動回転部材28の摩擦接触面28aおよび第2摩擦伝達面41の接触点から変速機軸26の軸線までの距離をDとし、駆動回転部材27の回転数をNI、従動回転部材28の回転数をNOとし、変速比RをR=NI/NOとしたときに、
R=NI/NO=(B/A)×(D/C)
となる。
【0027】
而して電動モータ47および減速機構48により駆動ねじ46を回転せしめ、被動ねじ45およびキャリア29を、図2で示すように、従動回転部材28に近接する方向に移動させると、距離Bが大きくなるとともに距離Cが小さくなり、距離A,Dは一定であるので変速比Rが大きくなり、距離Bが最大となるとともに距離Cが最小となった図2の状態でロー変速比となる。一方、被動ねじ45およびキャリア29を、図3で示すように、従動回転部材28から離反する方向に移動させると、距離Bが小さくなるとともに距離Cが大きくなり、距離A,Dは一定であるので変速比Rが小さくなり、距離Bが最小となるとともに距離Cが最大となった図3の状態でトップ変速比となる。
【0028】
図4を併せて参照して、前記減速機構48における被動ギヤ52には、被動ねじ45側に向けて突出する規制突部54が一体に突設される。また被動ねじ45には、駆動回転部材27および従動回転部材28間の変速比がトップ変速比となる位置まで被動ねじ45が被動ギヤ52に近接するのに応じて前記規制突部54を当接、係合させる当接部55が一体に設けられており、変速機軸26の軸線まわりに回転不能である被動ねじ45の当接部55に規制突部54が当接、係合することにより駆動ねじ46の回転角度すなわちキャリア29の軸方向移動量が規制される。
【0029】
駆動回転部材27側を開放した椀状に形成される従動回転部材28の中央部には円筒状の支持筒部28bが設けられ、この支持筒部28bおよび変速機軸26間にニードルベアリング32が介装される。また従動回転部材28をキャリア29との間に挟む位置には円筒状の出力回転部材61が配置されており、この出力回転部材61に出力ギヤ17が固定される。
【0030】
前記出力回転部材61および変速機軸26間にはアンギュラーコンタクトベアリング57が介装される。該アンギュラーコンタクトベアリング57の外輪は、出力ギヤ17と、出力回転部材61の内周に装着される止め輪58とで挟まれる。またアンギュラーコンタクトベアリング57の内輪において従動回転部材28とは反対側の端部には、変速機軸26を同軸に囲繞して出力ギヤ17および変速機軸26間に挿入される円筒状のスペーサ59の一端が当接されており、該スペーサ59の他端は変速機軸26に装着されるコッタ60に当接される。したがって出力回転部材61および出力ギヤ17は、従動回転部材28から離反する方向の移動を阻止されて変速機軸26に回転自在に支承されることになる。
【0031】
出力回転部材61には、該出力回転部材61および変速機軸26間に介装されるアンギュラーコンタクトベアリング57を嵌合せしめる軸受孔62と、従動回転部材28における支持筒部28bの出力回転部材61側端部を受け入れるようにして前記軸受孔62よりも大径に形成される収容孔63とが設けられ、軸受孔62および収容孔63間で出力回転部材61には、前記支持筒部28b側に臨む環状の段部64が設けられる。
【0032】
図5を併せて参照して、従動回転部材28の支持筒部28bおよび出力回転部材61の段部64の対向面間には調圧カム機構66が設けられており、この調圧カム機構66は、従動回転部材28における支持筒部28bに一体に設けられて出力回転部材61側に突出する複数の突部67…と、出力回転部材61の段部64に設けられて前記各突部67…の先端部を収容、接触させる複数の凹部68…とで構成される。
【0033】
一方、従動回転部材28および出力回転部材61間には、従動回転部材28の摩擦接触面28aを変速回転部材31の第2摩擦伝達面40に押付けるばね力を発揮するようにして従動回転部材28に出力回転部材61から離反する方向の予荷重を与える皿ばね69と、ワッシャ70とが、支持筒部28bを囲むようにして設けられる。
【0034】
而して前記調圧カム機構66は、従動回転部材28にトルクが作用して出力回転部材61との間に相対回転が生じると、図5(a)で示すように、従動回転部材28を出力回転部材61から離反させる方向に付勢しつつ従動回転部材28から出力回転部材61に回転動力を伝達する。この付勢力は前記皿ばね69による付勢力と共働して、駆動回転部材27の摩擦接触面27aを第1摩擦伝達面40に圧接する面圧ならびに従動回転部材28の摩擦接触面28aを第2摩擦伝達面41に圧接する面圧を発生させる。
【0035】
また従動回転部材28にトルクが作用せず、出力回転部材61との間に相対回転が生じていない中立状態では、図5(b)で示すように、突部67…が凹部68…の中央部に接触しており、この状態で突部67…が凹部68…内でがたつくことはない。
【0036】
キャリア29における第1キャリア半体33の内周部にはスラストベアリング71が装着されており、このスラストベアリング71は、ロー変速比の位置で、従動部材28の支持筒部28bおよびキャリア29間に介装される。
【0037】
変速機軸26の他端側は、ボールベアリング72を介してケーシング19に回転自在に支承されており、この変速機軸26の他端には、トロコイドポンプであるオイルポンプPが連結される。一方、第2作動室21内の下部に臨むフィルタ74がケーシング19に取付けられており、ケーシング19には、フィルタ74およびオイルポンプP間を結ぶ吸入油路73が設けられ、変速機軸26には、オイルポンプPからのオイルを導く潤滑油路75が同軸に設けられるとともに、内端を潤滑油路75に連通せしめるとともに外端を変速機軸26の外面に開口せしめた複数の吸油孔76…が無段変速機16に対応して設けられる。
【0038】
また第1作動室20内の下部に対応してケーシング19には他のフィルタ77が取付けられており、このフィルタ77で浄化されたオイルは、図示しない他のオイルポンプにより、ケーシング19に設けられた給油路78を経てエンジンEの各潤滑部に供給される。
【0039】
次にこの実施例の作用について説明すると、変速機軸26の軸線まわりに回転することを不能としてケーシング19に係合されるキャリア29には被動ねじ45が固定され、変速機軸26の軸線まわりに回転することを可能としてケーシング19に支承される駆動ねじ46が前記被動ねじ45に螺合され、ケーシング19で支持された電動モータ47および駆動ねじ46間には減速機構48が設けられている。
【0040】
したがって電動モータ47の作動に応じて駆動ねじ46が回転することにより、被動ねじ45すなわちキャリア29が変速機軸26の軸線に沿う方向に移動することになり、無段変速機16の変速比を自在に変化させることができる。しかも変速回転部材31から支軸30を介してキャリア29に作用する回転反力がケーシング19で受止められ、電動モータ47が負担することはないので、電動モータ47はキャリア29を変速機軸26の軸線に沿う方向に移動させる動力を発揮すればよく、電動モータ47の小型化が可能となり、また減速機構48の減速比を大きく設定する必要もないので変速スピードが低下することもない。
【0041】
またトップ変速比でのキャリア29の位置を定めるために、電動モータ47および駆動ねじ46間に設けられる減速機構48の一部を構成する被動ギヤ52に規制突部54が一体に設けられ、キャリア29に固定される被動ねじ45には、トップ変速比で前記規制突部54を当接、係合させる当接部55が一体に設けられるので、ケーシング19にストッパボルトが固定されるものに比べると、ケーシング19に加工を施す必要がなく、ケーシング19への組付作業も不要であるので、部品点数を低減しつつ加工性および組立性を向上することができる。またケーシング19の剛性を肉厚増大によって確保することも不要であるので重量軽減を図ることができる。
【0042】
さらに規制突部54および当接部55は、被動ギヤ52および被動ねじ45にそれぞれ一体に設けられるものであるので、規制突部54および当接部55が係合、当接したときのキャリア29の軸方向位置を精度良く定めることができる。
【0043】
しかもケーシング19に固定されたストッパボルトに、被動ギヤ52の規制突部を当接、係合させるものでは、被動ギヤ52の回転範囲が360度未満に規制されるが、被動ギヤ52の規制突部54を被動ねじ45の当接部55に当接、係合させるものでは、駆動ねじ46の回転に応じた被動ねじ45の軸方向移動量によっては前記被動ギヤ52の回転範囲を360度以上に広げることも可能であり、そうすれば減速機構48の設計自由度を向上することが可能となる。
【0044】
また従動回転部材28をキャリア29との間に挟む位置で変速機軸26に相対回転自在に支承されるとともに従動回転部材28から離反する方向の移動が規制された出力回転部材61と、従動回転部材28との間に設けられる調圧カム機構66は、従動回転部材28に一体に設けられて出力回転部材61側に突出する複数の突部67…と、出力回転部材61に設けられて前記各突部67…の先端部を収容、接触させる凹部68…とで構成されている。
【0045】
したがって、球体を従動回転部材28および出力回転部材61間に介在させていた従来の調圧カム機構に比べると、球体を保持するリテーナが不要であるのでコスト低減および重量軽減を図ることができ、調圧カム機構66の組立性が向上するだけでなく、球体の凹部内でのがたつきに起因した騒音発生の問題を解消することができる。しかもカム機能を果すために、変速機軸26の周方向に沿う突部67…および凹部68…の大きさは或る程度確保しなければならないのであるが、変速機軸26の半径方向に沿う方向では突部67…および凹部68…を小さくすることが可能であるので、変速機軸26の半径方向に沿って調圧カム機構66をコンパクト化することが可能となる。
【0046】
さらに駆動回転部材27側を開放した椀状に形成される従動回転部材28の中央部に円筒状の支持筒部28bが一体に設けられ、円筒状の出力回転部材61には、該出力回転部材61および変速機軸26間に介装される軸受としてのアンギュラーコンタクトベアリング57を嵌合せしめる軸受孔62と、支持筒部28bの出力回転部材61側端部を受け入れるようにして軸受孔62よりも大径に形成される収容孔63とが設けられ、軸受孔62および収容孔63間で出力回転部材61に設けられる環状の段部64および前記支持筒部28bの対向面間に前記調圧カム機構66が構成されている。これにより相互間に調圧カム機構66が設けられるにもかかわらず、従動回転部材28および出力回転部材61を軸方向に近接配置させて、無段変速機16のコンパクト化に寄与することが可能となる。
【0047】
さらに支持筒部28bを囲む皿ばね69が、従動回転部材28の摩擦接触面28aを変速回転部材31の第2摩擦伝達面41に押付けるばね力を発揮して、従動回転部材28および出力回転部材61間に設けられているので、前記皿ばね69を、従動回転部材28の支持筒部28bに組付け得るようにして、組立性を向上することができる。
【0048】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、従動回転部材の支持筒部および出力回転部材の段部の何れか一方に一体に突設し突部の先端部を、その何れか他方に設けた凹部に収容、接触させることで調圧カム機構が構成されるので、球体を従動回転部材および出力回転部材間に介在させて調圧機構を構成していた従来のものと比べると、コスト低減および重量軽減を図ることができ、組立性が向上するだけでなく、球体の凹部内でのがたつきに起因した騒音発生の問題を解消することができる。しかも変速機軸の半径方向に沿って調圧カム機構をコンパクト化することが可能となる。
【0050】
また上記のように相互間に調圧カム機構が設けられるにもかかわらず、従動回転部材および出力回転部材を軸方向に近接配置させて、無段変速機のコンパクト化に寄与することが可能となるとともに、従動回転部材に予荷重を付与する皿ばねを、従動回転部材の支持筒部に組付け得るようにして、組立性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンジンおよび無段変速機間の動力伝達構造を示す縦断面図である。
【図2】 ロー変速比の状態での無段変速機の拡大縦断面図である。
【図3】 トップ変速比の状態での無段変速機の拡大縦断面図である。
【図4】 図3の4−4線拡大断面図である。
【図5】 調圧カム機構の作動を説明するための図2の5−5線に沿う拡大断面図である。
【符号の説明】
E・・・エンジン
16・・・無段変速機
19・・・ケーシング
26・・・変速機軸
27・・・駆動回転部材
28・・・従動回転部材
28b・・支持筒部
29・・・キャリア
30・・・支軸
31・・・変速回転部材
40・・・第1摩擦伝達面
41・・・第2摩擦伝達面
57・・・軸受としてのアンギュラーコンタクトベアリング
61・・・出力回転部材
62・・・軸受孔
63・・・収容孔
64・・・段部
66・・・調圧カム機構
67・・・突部
68・・・凹部
69・・・皿ばね
Claims (1)
- エンジン(E)からの動力を入力可能としてケーシング(19)で回転自在に支承される変速機軸(26)と、該変速機軸(26)に相対回転不能に結合される駆動回転部材(27)と、前記変速機軸(26)に相対回転自在に支承される従動回転部材(28)と、前記変速機軸(26)の軸線に沿う移動が可能なキャリア(29)と、前記変速機軸(26)の軸線を中心線とする円錐母線に沿う軸線を有して前記キャリア(29)に支持される支軸(30)と、前記駆動回転部材(27)に接触する円錐状の第1摩擦伝達面(40)ならびに前記従動回転部材(28)に摩擦接触する円錐状の第2摩擦伝達面(41)を有して前記支軸(30)で回転自在かつ軸方向摺動自在に支承される変速回転部材(31)と、前記従動回転部材(28)を前記キャリア(29)との間に挟む位置で前記変速機軸(26)に相対回転自在に支承されるとともに前記従動回転部材(28)から離反する方向の移動が規制された出力回転部材(61)と、前記従動回転部材(28)および前記出力回転部材(61)間のトルク伝達を可能とするとともに前記従動回転部材(28)および前記出力回転部材(61)の相対回転に応じて前記従動回転部材(28)を前記キャリア(29)側に押圧する調圧カム機構(66)とを備える無段変速機において、
前記駆動回転部材(27)側を開放した椀状に形成される前記従動回転部材(28)の中央部に、前記変速機軸(26)で相対回転自在に支承される円筒状の支持筒部(28b)が一体に設けられ、
円筒状の前記出力回転部材(61)には、該出力回転部材(61)および前記変速機軸(26)間に介装される軸受(57)を嵌合せしめる軸受孔(62)と、前記支持筒部(28b)の出力回転部材(61)側端部を受け入れるようにして前記軸受孔(62)よりも大径に形成される収容孔(63)とが設けられ、
それら軸受孔(62)及び収容孔(63)間で前記出力回転部材(61)に設けた環状の段部(64)と、前記支持筒部(28b)との対向面間には、それら支持筒部(28b)及び段部(64)の一方に一体に設けられて他方側に突出する突部(67)と、それら支持筒部(28b)及び段部(64)の他方に設けられて前記突部(67)の先端部を収容、接触させる凹部(68)とで前記調圧カム機構(66)が構成され、
前記支持筒部(28b)を囲む皿ばね(69)が、前記従動回転部材(28)を前記第2摩擦伝達面(41)に押付けるばね力を発揮して、前記従動回転部材(28)及び前記出力回転部材(61)間に設けられることを特徴とする無段変速機。
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