JP2602396B2 - エレベーター式立体車庫のパレット移載装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、中央部にエレベーター
を有し、その左右に多数の格納棚が積層してある立体車
庫を対象とし、エレベーターの昇降台と格納棚間で車輌
を直接載置するパレットを移載する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の立体車庫で問題となる点は種々
あるが、特にエレベーターの昇降台と格納棚間には間隔
が存在するため、その昇降台に載置したパレットを間隔
を通過して格納棚上に横送りする必要があり、また逆に
格納棚より昇降台へ移載する必要がある。その解決策の
一例として特開平２−８５４７３号公報に記載したもの
が知られている。その手段は、昇降台上の四隅にそれぞ
れアームを軸支し、モーターで軸支部を中心にしてアー
ムを回転するように設け、各アームの先端部に牽引ロー
ルを設け、パレットの片側に牽引ロールが係脱する係合
レールを突設したもので、昇降台より右側の格納棚に移
載するときには、昇降台の右側の前後の両アームを駆動
するものであり、また左側の場合には左側の前後の両ア
ームを駆動して処理するものである。また他の例とし
て、昇降台の前後にアームを設け、両アームを共に左右
へ移動して、右側あるいは左側の処理を切換えるように
構成してある。

【０００３】上記従来のものであると、昇降台上にある
パレットを格納棚上に移載する時には、パレットの係合
レールには既に牽引ロールが係合しているから、そのま
まアームを回転することによってパネルが順次格納棚に
向かって移送され、パネルが完全に格納棚内に挿入した
時には、アームの回転を停止し、以後アームを逆転して
昇降台上に復動するものであり、この状態で昇降台を格
納棚に干渉されることなく昇降できるものである。

【発明が解決しようとする課題】

【０００４】ところで上記のようにアームの回転による
ものであると、昇降台より間隔を隔てて格納棚にまで移
送することから、アームの長さが長くなり、しかも先端
に起立して設けた牽引ロールをパネルの係合レールに下
から嵌め込んだ状態で駆動するものであるから、長いア
ーム自体の重量でその先端が垂れ下がらないように形成
する必要がある。また、アームが１８０度回転して横送
りされるが、その間牽引ロールはアームの長さ範囲内で
係合レール内を往復して摺動するものであり、しかもア
ームの回転モーメントの方向とパネルの移動方向とが変
位していることから常に大きな摺動抵抗が作用するとい
う問題があった。

【０００５】本発明は以上の問題を解決することにあ
り、アームによって横送りするが、そのアームの長さが
実質的に短くして、先端が垂れ下がる恐れがなくなり、
移動する間の摺動抵抗が小さくなることを目的とするエ
レベーター式立体車庫のパレット移載装置を提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明による解決手段
は、中央部にエレベーターを有し、その左右に多数の格
納棚が積層してある立体車庫で、エレベーターの昇降台
と格納棚間でパレットを移載する装置であって、昇降台
の前後部にチェンコンベアを昇降台の長手方向と直交し
て水平に回転可能に設け、各チェンコンベアの外方にチ
ェンコンベアの軌跡より拡大した軌跡を持つ上下トラッ
クを相対向して設け、チェンコンベアに一対の連結片を
間隔をあけて突設し、その連結片の先端部に長手方向に
沿う長孔を有し、各連結片の長孔に通した起立ピンを前
記トラックに係合し、各起立ピンにリンクアームを回転
自在に取付け、両リンクアームの先端部を互いに回転自
在に結合していると共に、該結合先端に牽引ロールを起
立した状態で突設し、パレットの四隅の各側縁に溝状の
係合レールを、牽引ロールがチェンコンベアのスプロケ
ット部分での反転によって係脱可能に設けていることを
特徴とする。

【０００７】

【作用】以上のようにリンクアームはチェンコンベアで
周回するものであり、またパレットの両側縁にそれぞれ
係合レールを設けたものであるから、チェンコンベアを
正転または逆転することによって、左右何れかの格納棚
へ移載することができるものである。

【０００８】また、チェンコンベアのスプロケットの中
心から牽引ロールまでの長さが回転半径となるが、その
半径はスプロッケットと連結片と両リンクアームによっ
て構成されるものであり、しかも連結片は上下のトラッ
クに係合して支持されていることから、片持ち状態に設
けられるリンクアームは実質的に短くなり、その先端が
垂れ下がることがなく、牽引ロールを確実に係合レール
に係合することができる。

【０００９】更に、チェンコンベアで駆動する際、周知
のようにチェンコンベアは一対のスプロケットに掛けて
回転されるが、スプロケットは多角形のものであり、仮
にチェンコンベアに直接リンクアームを取付けた場合、
パレットが脈動する状態で移載されることになる。しか
し本発明では、チェンコンベアの外周にトラックを設
け、しかもチェンコンベアに突設した連結片の長孔に差
し通した起立ピンをトラックに係合し、該起立ピンにリ
ングアームを取付たものであるから、チェンコンベアの
スプロケット部分での脈動が避けられ、円滑に移送する
ことができるものである。

【００１０】

【実施例】本発明を具体的に説明すると、図４に示して
いるように、建築構造物１内の中央部にエレベーター２
を設け、その左右に車輌を駐車できる多数の格納棚３を
積層して設けた駐車室４，４を備え、エレベーター２の
地上と対向する位置に出入庫口５を開設し、エレベータ
ー２内には昇降台６が、昇降駆動装置７のワイヤロープ
８で懸垂され、ガイドレール（図示省略）に沿って昇降
するように設けてある。上記昇降台６上にパレット１０
を載置し、その上に入庫してくる車輌を直接載せて上昇
し、空の格納棚３にパレット１０を本発明の移載装置に
よって横送りして移すものであり、また格納棚３に収納
してある車輌を載置するパレット１０を昇降台６側へ横
送りして引き出し、昇降台６に受けてから下降して出庫
するものである。尚、出庫する際、図５に示す如く昇降
台６に設けたターンテーブル９で車輌の向きを変えるよ
うになっている。

【００１１】本発明の移載装置は昇降台６に設けてあ
り、その駆動によりパレット１０が昇降台６から格納棚
３へ、また格納棚３から昇降台６へ円滑に移載できるよ
うに、図５に示す如く、昇降台６と格納棚３の長手方向
の各両端部にローラーレール１１，１２を敷設してあ
る。ローラーレール１１は図２に示しているように、一
対の支持板間に横軸に支えられた複数の起立ローラー１
３と、起立軸に支えられた複数の横ローラー１４とで構
成され、パレット１０の裏面に設けた突条１５の下面と
側面を摺動面として移送するようになっている。尚、格
納棚３のローラーレール１２も同構造である。

【００１２】そこで昇降台６に設ける移載装置Ａは図５
に示しているように、昇降台６の両端部にそれぞれ昇降
台６の長手方向に対して直交するように、且つ前記ロー
ラーレール１１，１２と平行して設けられる。

【００１３】前後の両移載装置Ａ，Ａは共に同構造であ
るから、その一方を図１と図２によって説明する。上下
板間に間隔を保ち且つ昇降台６の幅一杯の長さを有する
フレーム１６内に組み込むもので、フレーム１６内に、
フレーム１６の下板の両端部にスプロケット１７，１７
を水平に回転するように軸支し、両スプロケット１７，
１７に無端チェンを掛けたチェンコンベア１８を設け、
該チェンコンベア１８に一対の連結片１９，１９を、チ
ェンの２，３個のローラーの間隔をあけて保ち、互いに
外方へ向け且つ水平をなし、しかもチェンコンベア１８
の直線部分では互いに平行するように突設し、各連結片
１９，１９の先端部に、連結片１９の長手方向に沿う長
孔２０を明け、その長孔２０に挿通した起立ピン２１で
リンクアーム２２を水平に回転自在に連結し、更に両リ
ンクアーム２２，２２の先端部を起立軸２３に回転自在
に結合し、その起立軸２３の上端部に牽引ロール２４を
取付けている。

【００１４】更に、フレーム１６の上下両板の相対向す
る面に環状の溝状をなすトラック２５，２５を、前記チ
ェンコンベア１８に設けた連結片１９の長孔２０におけ
る先端部が回転によって描く軌跡に沿って設け、上下両
トラック２５，２５に長孔２０を貫通する前記起立ピン
２１の先端部をガイドローラー２６，２６を介して係合
してある。従ってトラック２５はチェンコンベア１８よ
り拡大した軌跡をもって形成されるが、該トラック２５
のスプロケット１７と対応する部分は、半円の円弧を描
くように形成するものである。

【００１５】以上のように構成する理由は、スプロケッ
ト１７は円形のプーリーと異なり、その歯先を直線で結
ぶと多角形となるものであり、各歯先間の速度は一定で
あるが、その送り量がプーリーの円弧面より遅くなるた
め、連結片１９がスプロケット１７の部分で反転する際
に脈動を起こすことになる。しかし前述のようにトラッ
ク２５に係合して案内することによって、脈動すること
なく円滑に反転するようになる。

【００１６】上記両チェンコンベア１８の移載駆動装置
２７は、１個のモーターで双方のチェンコンベア１８，
１８を互いに逆方向へ回動するように構成するもので、
一方のフレーム１６にギアードモーター２８を設け、そ
の出力軸にベベルギア減速機２９を介してスプロケット
１７に連結するが、他端側のチェンコンベア１８にはギ
アードモーター２８の出力軸に自在継手３０を介して、
パレット１０の側縁に寄せて誘導して連結してある。こ
の場合、パレット１０にターンテーブル９を設置できる
ように誘導するものであって、ターンテーブル９が無い
場合にはその必要性は無い。

【００１７】一方パレット１０は図３に示すように、板
体に車輌の車輪が入る２条の溝が形成されるように、中
央部と両側に隆起条３１，３２を設けたもので、側部の
隆起条３２は７字状に外側を開放した形状をなし、この
両側部の各隆起条３２における各端部に、外壁と内壁で
前記牽引ロール２４が嵌まる係合レール３３を形成して
いる。

【００１８】上記係合レール３３を更に詳説すると、図
５に示すように、格納棚３に載置してあるパレット１０
に向かって牽引ロール２４が進み、スプロケット１７の
部分で反転する際に牽引ロール２４が係合レール３３内
に嵌まり込むように、係合レール３３を形成する内壁
が、パレット１０の端から牽引ロール２４の周回する幅
Ｗより長い範囲で設け、一方内壁はパレット１０の端か
らスプロケット１７の中心線Ｏに至るまでの長さに形成
してある。

【００１９】尚、昇降台６にチェンコンベア１８の中心
部と対向してパレットストッパー３４をリニアドモータ
ー（図示省略）で上下動可能に設けてあり、パレット１
０にパレットストッパー３４が嵌まる係合孔３５が明け
てある。また、チェンコンベア１８の被動側スプロケッ
ト１７にチェン緊張装置（図示省略）を設けている。

【００２０】以上の構造であるから、例えば図４の右側
の格納棚３から車輌を出庫する場合によって説明する。
その際に昇降台６にはパレット１０が無く、前後の牽引
ロール２４を互いに相対向する位置に設定しておく。

【００２１】そこで、昇降台６を出庫する段の格納棚に
まで上昇してから、前後のチェンコンベアー１８，１８
を矢印イ，ロの方向に回転駆動すると、図５から図７に
示すように、牽引ロール２４が直進しスプロケット１７
の部分で反転し始め、牽引ロール２４がスプロケット１
７の中心線位置からパレット１０の係合レール３３内に
嵌まり込み、以後９０°回転する間、牽引ロール２４が
係合レール３３内を摺動しつつパレット１０を昇降台６
側に引き寄せ、チェンコンベア１８の直線部分では牽引
ロール２４は摺動することなくパレット１０を押し付け
て昇降台６上に載置する。このように所定位置に載置し
た後に、パレットストッパー３４を上昇してパレット１
０を固定してから、昇降台６を下降するものである。下
降した後にターンテーブル９を駆動して車輌の運転席側
を出入庫口５に向け、車輌を自力で出庫する。

【００２２】次ぎに入庫して昇降台６上のパレット１０
に車輌を載置して、これを空格納棚３に移載するが、先
に出庫した車輌は右側の格納棚であるから、その右側の
空格納棚３へ納めるもので、但し、右側であれば各段の
空いている棚に格納することができる。しかし反対の左
側へは格納できないものである。

【００２３】そこで格納する時には、昇降台６を右側の
空いている棚にまで上昇し、前後のチェンコンベア１
８，１８を前記とは逆方向へ駆動することによって、昇
降台６上のパレット１０に牽引ロール２４が係合してい
るから、駆動と共にパレット１０が右側へ移送され、右
側のスプロケット１７の部分で牽引ロール２４が９０°
反転した時に、パレット１０が格納棚３に収納され、更
に回転する間に牽引ロール２４が係合レール３３より脱
出するものである。

【００２４】以上のように牽引ロール２４が係合レール
３３より脱出した後には、左右何れかの格納棚３に存在
するパレット１０を昇降台６上に引き込むことができる
もので、その場合牽引ロール２４を左右何れかへ移送す
ることにより、スプロケット１７の部分で牽引ロール２
４が９０°反転して係合レール３３内に嵌まり込むもの
である。

【００２５】

【発明の効果】この発明によるエレベーター式立体車庫
のパレット移載装置には下記する効果が得られる。

【００２６】昇降台の前後部にチェンコンベアを昇降台
の長手方向に対して直交し且つ水平に設け、該チェンコ
ンベアでパレットの係合レールに係脱する牽引ロールを
駆動するもので、チェンコンベアの直線部分では牽引ロ
ールは係合レールに対して摺動することがなく、またス
プロケットの部分では９０°の回転範囲内でパレットを
送る作用を行うことになることから、摺動抵抗が大幅に
減少でき、大きな力を与えずして移載することができ
る。

【００２７】チェンコンベアはスプロケットで回転する
ため、その送りに脈動を避けることができない欠点があ
るが、これを解決するため、チェンコンベアより互いに
平行に突出する連結片の先端部に長孔を設け、該長孔に
通した起立ピンをチェンコンベアの描く軌跡より大きい
軌跡のトラックに係合したものであるから、各連結片の
先端部は脈動することなく全長に亘り円滑に同速で回転
するため、パレットに載せた車輌を安全に移送すること
ができる。

【００２８】牽引ロールは、前記両連結片に設けた各リ
ンクアームの先端部を結合し、その先端に設けたもので
あり、一対のリンクアームで保持するため、片持ち機構
といえども垂れ下がる恐れがなくなる。その上、スプロ
ケットの軸芯から牽引ロールまでの長さは移載するのに
必要な所要の長さに形成されるが、その長さは、スプロ
ケットと連結片とリンクアームによるため、片持ちとな
るリンクアームの長さが短くでき、このことからも牽引
ロールの自重による垂下を防止し、パレットの係合レー
ルへの係合が確実に行われるようになる。

【００２９】また、前後の牽引ロールはチェンコンベア
によって回転するものであり、その軌跡は昇降台の前後
両端部の範囲内で納められることから、昇降台の中央部
分に何等の影響をも与えず干渉されない空間部となるの
で、この空間部に必要とする種々の装置を設置すること
ができる。

【００３０】更に、チェンコンベアは水平に設けてある
ため、パレット移載装置の高さを低くすることができ、
このことから立体車庫に設ける格納棚間の高さを最低限
に保って設置することができ、収納台数を増加できる有
利さがある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明によるエレベーター式立体車庫のパレ
ット移載装置を示す平面図である。

【図２】図１のＸ−Ｘ線矢視の拡大断面図である。

【図３】パレットの要部を示す斜視図である。

【図４】この発明によるパレット移載装置を設けたエレ
ベーター式立体車庫を示す断面図である。

【図５】パレットを格納棚から昇降台へ移載する時の状
態を示す説明図である。

【図６】牽引ロールがパレットの係合溝に挿入した時点
の説明図である。

【図７】パレットを昇降台上に引き込んでいる時点の説
明図である。

【符号の説明】

２ エレベーター ３ 格納棚 ５ 出入庫口 ６ 昇降台 １０ パレット １７ スプロケット １８ チェンコンベア １９ 連結片 ２０ 長孔 ２２ リンクアーム ２４ 牽引ロール ２５ トラック ３３ 係合レール

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中央部にエレベーター（２）を有し、そ
   の左右に多数の格納棚（３）が積層してある立体車庫
   で、エレベーター（２）の昇降台（６）と格納棚（３）
   間でパレット（１０）を移載する装置であって、昇降台
   （６）の前後部にチェンコンベア（１８）を昇降台
   （６）の長手方向と直交して水平に回転可能に設け、各
   チェンコンベア（１８）の外方にチェンコンベアの軌跡
   より拡大した軌跡を持つ上下トラック（２５，２５）を
   相対向して設け、チェンコンベアに一対の連結片（１
   ９，１９）を間隔をあけて平行に突設し、連結片（１
   ９，１９）の先端部に長手方向に沿う長孔（２０）を有
   し、各連結片（１９，１９）の長孔（２０）に通した起
   立ピン（２１）を前記トラック（２５，２５）に係合
   し、各起立ピン（２１，２１）にリンクアーム（２２，
   ２２）を回転自在に取付け、両リンクアーム（２２，２
   ２）の先端部を互いに回転自在に結合していると共に、
   該結合先端に牽引ロール（２４）を起立した状態で突設
   し、パレット（１０）の四隅の各側縁に溝状の係合レー
   ル（３３）を、牽引ロール（２４）がチェンコンベアの
   スプロケット（１７）部分での反転によって係脱可能に
   設けていることを特徴とするエレベーター式立体車庫の
   パレット移載装置。