JP2602081B2 - 配管自動溶接機の制御方法 - Google Patents

配管自動溶接機の制御方法

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邦夫 森田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はアルミニウム配管あるいは銅配管などの熱伝
導が良好な配管の自動溶接機に係り、最適な溶接条件迅
速に決定し、作業性の向上をはかる溶接方法に関する。
〔従来技術〕
配管自動溶接機により管の端部同志を溶接するには次
のようにして行っていた。先ず、配管の溶接部外周を分
割して複数の区分を設け、各区分毎に溶接電極の移動速
度及び溶接電流その他溶接結果を左右する設定要因を決
定していた。この溶接条件の決定は経験によりまたは実
験により求めていた。しかも、例え外周が同一でも配管
の肉厚が異なる毎に多くの溶接条件を変え確認検証して
いた。
〔解決しようとする課題〕
従って、自動溶接機によって配管同志を溶接する際の
各種溶接条件の設定に極めて多くの時間を要する欠点が
あった。
〔課題を解決するための手段〕
そこで本発明者は各種実験の結果、特に溶接が難しい
アルミニウム配管や銅配管の如く伝熱性の良好な薄肉の
配管において、外周が同一で肉厚の異なる配管の溶接に
おいてもそれぞれの溶接条件のパターンに関連性がある
ことを発見し、これに基づいて自動溶接機の溶接条件設
定を容易迅速に行うことができる制御方法を案出した。
その構成は次のとおりである。
即ち、第一の配管の端部同志の自動溶接において、一
点より溶接を開始して配管の継ぎ目を周回し元の一点に
戻るまでの各溶接接点位置における、それぞれの溶接電
極移動速度及び溶接電流又は溶接入熱の最適値を夫々実
験的に予め求めておく工程をとる。次に、その第一の配
管と同一外周及び同一材料からなり、それと肉厚の異な
る第二の配管の端部同志の自動溶接において、前記工程
の前記各溶接点位置における前記溶接電流又は溶接入熱
の変化量及び前記溶接電極移動速度を同一に設定し且
つ、前記第一及び第二のそれぞれの配管の肉厚の増減に
相当する溶接電流又は溶接入熱の増減分だけその溶接電
流又は溶接入熱値を重畳して溶接する工程をとるもので
ある。
従って本発明の方法によれば、一例として第1図及び
第2図に示す如く配管の肉厚が1.8mmのとき溶接電圧を
一定し、各溶接点位置における溶接電流及び電極移動速
度が求められると、それと同一外周の肉厚の異なる配管
例えば肉厚3mmの配管の溶接パターンはその階段状の段
差が同一で且つ、肉厚1.8mmに対して12Aの溶接電流を重
畳させればよい。
〔実 施 例〕
本発明に用いられる溶接機は一例として第4図〜第8
図に示すような構造を有する。この溶接機は、一対の配
管2,5の端部同志を突き合わせてその突き合わせ部分の
外周に溶接用電極1を周回させることによりディグ溶接
するものである。そのために第5図において溶接機本体
4には配管2,5を夫々把持する第一クランプ3,第二クラ
ンプ6が設けられる。この第二クランプ6は連結機構7
を介しその基部が溶接機本体4に連結される。それと共
に、第二クランプ6の基部は弾性押圧手段8により配管
5を溶接機本体4側に押圧し、配管2と配管5との接触
部を互いに押接することができるものである。なお、第
一クランプ3,第二クランプ6は夫々その上部が開閉自在
に構成され、締結部12を介して配管2,5外周を締結でき
るように構成されている。次に溶接機本体4にはトーチ
保持体20及びワイヤ送給装置32が設けられ、該トーチ保
持体20にシールドガスノズル及び溶接用電極1が設けら
れている。またワイヤ送給装置32から繰り出された溶加
ワイヤはワイヤ端保持部33を介し溶接用電極1先端部に
供給される。そしてトーチ保持体20は溶接機本体4に内
装された駆動源により配管2の外周を周回する。即ち、
第8図において減速機を有する駆動モータ22,傘歯車23,
第一歯車25,アイドル歯車26,第二歯車27を介しC字状歯
車28がその軸線の回りを回転する。このC字状歯車28の
保持体取付面30にはトーチ保持体20及びワイヤ送給装置
32が取り付けられる。また駆動モータ22の回転は回転数
検出器21により検出され、制御装置により駆動モータ22
の回転数が制御される。また溶接用電極1に供給される
溶接電流も制御装置により制御されるものである。その
制御は第3図に示すように構成されている。即ち、この
実施例では第1タイマー設定部〜第5タイマー設定部ま
で用いられ、夫々のタイマー設定部に対応してパターン
電流設定部及び電極の周回速度設定部が設けられてい
る。さらに、基礎電流設定部が設けられている。この基
礎電流設定部の一定値と夫々異なるパターン電流設定部
の値との和よりなる溶接電流が各タイミング毎に電極よ
り供給される。このように溶接電流を二つの成分に分離
したのは、後に肉厚のみが異なる配管を溶接する際に便
利だからである。即ち、仮に二つの成分に分けずに、各
タイマー毎に溶接電流を夫々設定した場合には、肉厚の
異なる配管においては、夫々の溶接電流を各タイマー毎
に変化させる必要がある。しかしながら、パターン電流
と基礎電流との二つに分離しておけば、肉厚のみ異なる
配管においては、一つのダイヤルで設定できる基礎電流
のみを変化させれば足りるからである。これらの設定値
により溶接電流及び電極ホルダー駆動機構が制限され
る。このパターン電流・基礎電流の設定は次のようにし
て行われる。例えばアルミニウム製配管の外直径が60mm
で肉厚が1.8mmの配管の端部同志を溶接するには、自動
溶接の経験に基づいて、一対の配管の突き合わせ部外周
を溶接する際に、溶接の初めから終わりまで各位置にお
ける溶接電流を予測し、それらのうちの最大値の半分程
を基礎電流とし、その値を基礎電流設定部に設定する。
例えば第1図において溶接電流の最大値が80A程と予測
したとき、その基礎電流I1Bを40Aとする。そして等速度
でトーチを移動したとき、配管溶接部の各点における溶
接電流値からベース電流値である40Aを差し引いた残り
をパターン電流として設定する。即ち、各位置をスター
ト地点からの時間に換算して、その時間を第1タイマー
から第5タイマーの各時間として設定すると共に、それ
に対応させて、前記パターン電流の各値を設定する。そ
して該設定値に基づいて自動溶接を行い、その溶接面を
観察する。その観察結果に基づいて各設定値を補正す
る。このような作業を繰り返すことにより、最適な設定
値を得る。この実施例で、直径60mm,肉厚1.8mmアルミニ
ウム管は、第2図に示す如く溶接電極の開始地点が時計
の時刻で表すと5時30分からスタートし、トーチを一定
のリング(C字状歯車28)周速度450mm/分で周回移動す
る。そして、移動開始から1秒,7秒,11秒,17秒までの各
区間毎に、溶接電流を94A,98A,94A,86Aに夫々変化さ
せ、溶接部を一周する。この溶接電流を基礎電流とパタ
ーン電流とに分けると、基礎電流分を40とし、各時期に
おけるパターン電流は54A,58A,54A,46A,54Aである。こ
の状態を示したのが、第1図及び第2図であり、第1図
は横軸にスタート時からの経過時間をとり縦軸に溶接電
流をとる。そして、その溶接電流I1のうちの基礎電流分
をI1B、パターン電流分をI1Pとする。そして第1図のよ
うに夫々の設定値を設定したとき、最も良好な溶接面を
得た。そこで次に、外直径が同一のアルミニウム配管
で、肉圧が異なる場合の溶接,例えば外直径60mm、肉厚
3mmの配管同志を溶接するには、次のようにすればよ
い。先ず、1.8mmの肉厚に対し、3.0mmに肉厚が増加する
場合には、肉厚増加分だけ溶接部の溶融がし難いことに
なるので、基礎電流のみを上昇させる。このときの各パ
ターン電流は同一である。そして、その状態で自動溶接
を行う。自動溶接を行った結果、その溶接状態を観察
し、その観察結果に基づいて基礎電流の上昇分を補正す
る。この補正の結果3mmの肉厚ではベース電流を52A(肉
厚1.8mmの基礎電流40Aに12A重畳)とした場合に良好な
溶接面を得た。なおこれらの実験において、溶加ワイヤ
の直径は1.6mmでシールドガスとしてアルゴンを用いる
と共に、トーチ部分の冷却を水により行った。また配管
は夫々ドライヤーにより予め28℃に加熱しておいた。さ
らに、トーチを移動し始める前0.7秒間は、スタート直
後のパターン電流,ベース電流を供給してスタート地点
にアーク放電を行った。これは、溶接開始点を溶接が可
能な状態にさせるためである。次に、トーチを1周させ
て元の位置に戻ったときには、その溶接電流を2秒間で
直線的に減少させて消滅させた。これは、溶接終了地点
にクレーターを残さないための配慮である。
次に同一外直径のアルミニウム材で肉厚が1mmの場合
における溶接では、その肉厚が1.8mmのときと同一のパ
ターン電流値と、その基礎電流に対し、それより減少し
た基礎電流値で溶接を行えばよい。即ち、基礎電流の値
は、従来の経験から予測される値を仮に設定し、各点に
おけるパターン電流は変化させることなく、肉厚1.8mm
のそれと同一の値とする。そして、仮に定めたベース電
流の値で自動溶接を行い、その溶接面の状態を判断し
て、基礎電流の設定値を補正する。そして、この基礎電
流の値が12Aのとき良好な溶接状態を得た。
次に、直径60mmで肉厚が5mm,8mm,10mmにつき溶接を行
った。これらの比較的肉厚の厚いものでは溶接部を1回
周回したのみでは足りず、複数回トーチを溶接部の回り
に周回させる必要がある。しかしながら実験によれば接
合端に開先加工を施し、その接触端面の厚さを2mmとし
た場合、第1周目即ち初層の溶接においては基礎電流の
調整のみにより、パターン電流を前記同様に設定して行
えることが明らかとなった。これらの状態を表にしたの
が第1表及び第2表である。
なお、第1表,第2表は外直径が異なってもトーチが
軸の回りを回るときの回転数を一定とした。
次に、本発明者は外直径が17.5mm,40mm,85mmで、夫々
肉厚が1mm〜10mmにおいて溶接実験を行った。その結果
を上記第1表及び第2表に示す。
上記表により次のことが明らかとなった。先ず、配管
の外直径が異なると、そのパターン電流が夫々異なる。
そのため、外直径が異なる毎にパターン電流を実験的に
求める必要がある。そして同一の外直径においては基礎
電流のみを変化させればよい。
〔発明の効果〕
本発明の溶接方法は、以上のように構成したから、同
一の外周及び材質よりなり、異なった肉厚の配管に対
し、最適な溶接条件を迅速に決定でき、溶接作業を迅速
に行うと共に、溶接部の信頼性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
第1図,第2図は本発明の溶接方法の説明図であって、
第1図は溶接経過時間に対する溶接電流の最適値を夫々
示し、第2図はその経過時間と電極駆動速度との関係を
示す。第3図は本発明の方法を実現するための溶接機の
ブロック図、第4図〜第8図は同溶接機を示し、第4図
はその正面図、第5図は第4図のA−A矢視断面図、第
6図は同右側面図、第7図は同装置の電極駆動機構の縦
断面図、第8図はその左側面略図。 1……溶接用電極、2,5……配管 3……第一クランプ、4……溶接機本体 6……第二クランプ、7……連結機構 8……弾性押圧手段、9……ヒンジ 10……クランプ基部、11……開閉部 12……締結部、13……筒体 14……シャフト、15……ガイド面 16……ボス部、17……復帰用スプリング 20……トーチ保持体、21……回転数検出器 22……駆動モータ、23……傘歯車 25……第一歯車、26……アイドル歯車 27……第二歯車、28……C字状歯車 29……欠切部、30……保持体取付面 31……歯面、32……ワイヤ送給装置 33……ワイヤ端保持部、35……押圧力設定ツマミ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一の配管の端部同志の自動溶接におい
    て、一点より溶接を開始して該配管の継ぎ目を周回し前
    記一点に戻るまでの各溶接点位置における、それぞれの
    溶接電極移動速度及び溶接電流又は溶接入熱の最適値を
    夫々実験的に予め求めておく工程と、前記第一の配管と
    同一の外周及び材料からなり且つ、それと肉厚の異なる
    第二の配管の端部同志の自動溶接において、前記工程の
    前記各溶接点位置における前記溶接電流又は溶接入熱の
    変化量及び前記溶接電極移動速度を同一に設定し且つ、
    前記第一及び第二のそれぞれの配管の肉厚の増減に相当
    する溶接電流又は溶接入熱の増減分だけその溶接電流又
    は溶接入熱値を重畳して溶接する工程からなる配管自動
    溶接機の制御方法。
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