JP2601742B2 - 溶接クロッシングの製造方法 - Google Patents
溶接クロッシングの製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄道分岐器用の溶接クロ
ッシングの製造方法に関するものである。
ッシングの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道分岐器用の溶接クロッシング
には、高マンガン鋳鋼を用いたマンガンクロッシングと
一般炭素鋼を用いた溶接クロッシングがある。マンガン
クロッシングは溶接クロッシングに比較すると耐摩耗性
及び延性が優れており、耐久性の点で利点がある。しか
しながら前後軌道との溶接は異材継手になるので溶接の
適用が困難なため、通常は継目板を介した機械継手が採
用されており、列車の速度向上や低騒音化が望まれる現
状では著しい欠点として問題になっている。一方、溶接
クロッシングの場合は、前後軌道と同一組成の炭素鋼を
用いているので比較的容易に溶接で繋ぐことができるた
め、列車の速度向上や低騒音化の点では利点がある。し
かし、従来製造されている溶接クロッシングは、消耗電
極ア−ク溶接を用いており、その溶接金属組成は炭素量
を低くし(C<0.38%)、その分焼入れ性をあげる
ためCr,Mo,Ni,Bなどの合金が添加されたもの
になっており、耐摩耗性や耐損傷性、更にはHAZ液化
割れ発生などの点で問題があった。この特に、耐摩耗性
がマンガンクロッシングに比較して劣る点を補う趣旨
で、Cが0.7〜0.82%を含むワイヤを使用する方
法として特開平1−197093号公報が知られてい
る。この方法は非消耗電極ア−ク溶接であるTIG溶接
による方法で溶着効率が悪く生産性が極めて劣るという
問題があり一般的な方法でない。
には、高マンガン鋳鋼を用いたマンガンクロッシングと
一般炭素鋼を用いた溶接クロッシングがある。マンガン
クロッシングは溶接クロッシングに比較すると耐摩耗性
及び延性が優れており、耐久性の点で利点がある。しか
しながら前後軌道との溶接は異材継手になるので溶接の
適用が困難なため、通常は継目板を介した機械継手が採
用されており、列車の速度向上や低騒音化が望まれる現
状では著しい欠点として問題になっている。一方、溶接
クロッシングの場合は、前後軌道と同一組成の炭素鋼を
用いているので比較的容易に溶接で繋ぐことができるた
め、列車の速度向上や低騒音化の点では利点がある。し
かし、従来製造されている溶接クロッシングは、消耗電
極ア−ク溶接を用いており、その溶接金属組成は炭素量
を低くし(C<0.38%)、その分焼入れ性をあげる
ためCr,Mo,Ni,Bなどの合金が添加されたもの
になっており、耐摩耗性や耐損傷性、更にはHAZ液化
割れ発生などの点で問題があった。この特に、耐摩耗性
がマンガンクロッシングに比較して劣る点を補う趣旨
で、Cが0.7〜0.82%を含むワイヤを使用する方
法として特開平1−197093号公報が知られてい
る。この方法は非消耗電極ア−ク溶接であるTIG溶接
による方法で溶着効率が悪く生産性が極めて劣るという
問題があり一般的な方法でない。
【0003】
【発明が解決するための課題】上述のように、従来の技
術で用いられている溶加材では、溶接熱影響部(HA
Z)の液化割れ発生の可能性を完全に防止することは出
来ない。これらの主要な要因は溶接金属とレ−ルとのC
量の差にあり、両者の凝固温度が大きく異なるため、高
Cで凝固温度の低いレ−ルの溶融境界線近傍の再溶解液
化したオ−ステナイト粒界に、溶接金属の凝固収縮に起
因して発生する収縮歪が加わる結果生じるものである。
一方、レ−ルの耐摩耗、耐疲労損傷性には、硬さが高
く、高C共析組織(C量が約0.8%含有)で得られる
微細パ−ライト組織が有効であり、従って従来技術で用
いられている溶加材で得られるベ−ナイト組織は高C系
パ−ライト組織に比較して硬さが同一でも耐摩耗、耐疲
労損傷性が劣る等の問題がある。また、溶接クロッシン
グ製造においては複雑な形状をしているため、簡易でか
つ能率の優れた溶接法の適用が必要で、太径の溶接棒を
用いた被覆ア−ク溶接法、しかも可能な限りスラグ除去
なしで連続溶接ができる方法か、または消耗電極式炭酸
ガスシ−ルドア−ク溶接法による連続多層溶接が望まし
い。
術で用いられている溶加材では、溶接熱影響部(HA
Z)の液化割れ発生の可能性を完全に防止することは出
来ない。これらの主要な要因は溶接金属とレ−ルとのC
量の差にあり、両者の凝固温度が大きく異なるため、高
Cで凝固温度の低いレ−ルの溶融境界線近傍の再溶解液
化したオ−ステナイト粒界に、溶接金属の凝固収縮に起
因して発生する収縮歪が加わる結果生じるものである。
一方、レ−ルの耐摩耗、耐疲労損傷性には、硬さが高
く、高C共析組織(C量が約0.8%含有)で得られる
微細パ−ライト組織が有効であり、従って従来技術で用
いられている溶加材で得られるベ−ナイト組織は高C系
パ−ライト組織に比較して硬さが同一でも耐摩耗、耐疲
労損傷性が劣る等の問題がある。また、溶接クロッシン
グ製造においては複雑な形状をしているため、簡易でか
つ能率の優れた溶接法の適用が必要で、太径の溶接棒を
用いた被覆ア−ク溶接法、しかも可能な限りスラグ除去
なしで連続溶接ができる方法か、または消耗電極式炭酸
ガスシ−ルドア−ク溶接法による連続多層溶接が望まし
い。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】本発明は、前記のよう
な従来技術における問題点を解消すべき、本発明者ら
は、鋭意研究を重ねた結果、従来の溶加材によって形成
された溶着金属は母材レールと著しく異なった成分とな
るために前記問題が発生することを知見し、溶着金属が
従来の溶接には不適当とされてきた母材レールと類似の
高C型パーライト組成となるレールの補修溶接方法を見
出した。その発明の要旨とするところは、 (1)ノーズレールとウイングレールから構成される溶
接クロッシングにおいて、レール頭部に相当する溶接開
先部を溶接する際、溶接棒全重量に対しC:0.5超〜
1.0%を含有し、かつ溶接棒心線の外周にCaO/C
aF2の比が1.3〜1.7の範囲になるように被覆剤
組成を塗布した被覆アーク溶接棒を用いて連続多層溶接
することを特徴とする溶接クロッシングの製造方法 (2)ノーズレールとウイングレールから構成される溶
接クロッシングにおいて、レール頭部に相当する溶接開
先部を溶接する際、溶加材全重量に対しC:0.85〜
1.5%を含有する溶接用ソリッドワイヤないし溶接用
複合ワイヤを消耗電極として用いた炭酸ガス系シールド
アーク溶接法により連続多層溶接することを特徴とする
溶接クロッシングの製造方法 (3)前記(1)または(2)記載の溶接クロッシング
の製造工程を施した後、該当溶接部を900℃以上に加
熱し、引続き圧縮空気噴射により緩冷却を行うことを特
徴とする溶接クロッシングの製造方法にある。
な従来技術における問題点を解消すべき、本発明者ら
は、鋭意研究を重ねた結果、従来の溶加材によって形成
された溶着金属は母材レールと著しく異なった成分とな
るために前記問題が発生することを知見し、溶着金属が
従来の溶接には不適当とされてきた母材レールと類似の
高C型パーライト組成となるレールの補修溶接方法を見
出した。その発明の要旨とするところは、 (1)ノーズレールとウイングレールから構成される溶
接クロッシングにおいて、レール頭部に相当する溶接開
先部を溶接する際、溶接棒全重量に対しC:0.5超〜
1.0%を含有し、かつ溶接棒心線の外周にCaO/C
aF2の比が1.3〜1.7の範囲になるように被覆剤
組成を塗布した被覆アーク溶接棒を用いて連続多層溶接
することを特徴とする溶接クロッシングの製造方法 (2)ノーズレールとウイングレールから構成される溶
接クロッシングにおいて、レール頭部に相当する溶接開
先部を溶接する際、溶加材全重量に対しC:0.85〜
1.5%を含有する溶接用ソリッドワイヤないし溶接用
複合ワイヤを消耗電極として用いた炭酸ガス系シールド
アーク溶接法により連続多層溶接することを特徴とする
溶接クロッシングの製造方法 (3)前記(1)または(2)記載の溶接クロッシング
の製造工程を施した後、該当溶接部を900℃以上に加
熱し、引続き圧縮空気噴射により緩冷却を行うことを特
徴とする溶接クロッシングの製造方法にある。
【0005】
【作用】以下、本発明について図面に従って詳細に説明
する。図1は溶接クロッシングの全体を示す平面図であ
る。ここでクロッシングとは分岐器類の中でレ−ルが交
わる部分を構成するものをいう。また、溶接用クロッシ
ングとはノ−ズレ−ルとウイングレ−ルを溶接で組立て
たクロッシングである。マンガンクロッシングと普通レ
−ルとの溶接が困難なので高速運転に伴う保守量の増大
を軽減する目的で高速分岐器用クロッシングとして、昭
和43年から旧国鉄で開発を始め、現在も50N、60
Kgレ−ル高速分岐器に使用している。そして溶接クロ
ッシングは特に溶接性能が耐久性を決定する重要な要素
となるので、溶接についての管理を厳格に行う必要があ
る。このような背景のもとに、溶接クロッシングについ
ては、図1に示すように一対のウイングレ−ル2.2間
に互いに対象形をなす普通レ−ルと同一断面形状を有す
る一対のノ−ズレ−ル3.3を背中合わせにして溶接
し、熱処理を施した後、溶接挾持して形成される。
する。図1は溶接クロッシングの全体を示す平面図であ
る。ここでクロッシングとは分岐器類の中でレ−ルが交
わる部分を構成するものをいう。また、溶接用クロッシ
ングとはノ−ズレ−ルとウイングレ−ルを溶接で組立て
たクロッシングである。マンガンクロッシングと普通レ
−ルとの溶接が困難なので高速運転に伴う保守量の増大
を軽減する目的で高速分岐器用クロッシングとして、昭
和43年から旧国鉄で開発を始め、現在も50N、60
Kgレ−ル高速分岐器に使用している。そして溶接クロ
ッシングは特に溶接性能が耐久性を決定する重要な要素
となるので、溶接についての管理を厳格に行う必要があ
る。このような背景のもとに、溶接クロッシングについ
ては、図1に示すように一対のウイングレ−ル2.2間
に互いに対象形をなす普通レ−ルと同一断面形状を有す
る一対のノ−ズレ−ル3.3を背中合わせにして溶接
し、熱処理を施した後、溶接挾持して形成される。
【0006】図2は図1のA−A線断面図で、一般に一
対の対象形のノ−ズレ−ル3.3は、頭部4が挾開先で
下向き多層溶接されるとともに、ベ−ス部6も挾開先に
て溶接され、腹部5は中空になっている。腹部5に形成
された中空はノ−ズレ−ルの先端へ行く程小さくなる。
他方溶接されたノ−ズレ−ル3.3は、その両側に位置
するウイングレ−ル2.2とベ−ス部7においてのみ溶
接されて一体化され、固定クロッシングを形成してい
る。かかる溶接クロッシング1は、その前後端におい
て、普通レ−ルと継目欠線部がないように突合せ溶接さ
れて分岐器を構成するものである。
対の対象形のノ−ズレ−ル3.3は、頭部4が挾開先で
下向き多層溶接されるとともに、ベ−ス部6も挾開先に
て溶接され、腹部5は中空になっている。腹部5に形成
された中空はノ−ズレ−ルの先端へ行く程小さくなる。
他方溶接されたノ−ズレ−ル3.3は、その両側に位置
するウイングレ−ル2.2とベ−ス部7においてのみ溶
接されて一体化され、固定クロッシングを形成してい
る。かかる溶接クロッシング1は、その前後端におい
て、普通レ−ルと継目欠線部がないように突合せ溶接さ
れて分岐器を構成するものである。
【0007】図3は溶接クロッシングの通常の溶接個所
の断面図である。このようにレ−ルを並列に重ねたよう
に加工組立したとき、レ−ルの頭部と底部に形成される
溶接開先部のうち本発明の適用個所はレ−ル頭部に相当
する溶接開先A部にある。このA部はレ−ル頭部溶接個
所の積層肉盛した断面図を示している。開先が深いこと
から番号(1)〜(11)のように底部の形成と同時に
多パスの下向き肉盛溶接を行い、2層以上続けて交互に
反転させ底部と同時に実施する。この際、各溶接パスの
開始および終端処理に充分注意を払い、レ−ル頭部表面
に出して行うようにする。これはブロ−ホ−ル、スラグ
巻き込みおよび終端部の高温割れに注意する必要がある
ためである。それらの欠陥の発生を完全に防止するため
に必要な手段である。
の断面図である。このようにレ−ルを並列に重ねたよう
に加工組立したとき、レ−ルの頭部と底部に形成される
溶接開先部のうち本発明の適用個所はレ−ル頭部に相当
する溶接開先A部にある。このA部はレ−ル頭部溶接個
所の積層肉盛した断面図を示している。開先が深いこと
から番号(1)〜(11)のように底部の形成と同時に
多パスの下向き肉盛溶接を行い、2層以上続けて交互に
反転させ底部と同時に実施する。この際、各溶接パスの
開始および終端処理に充分注意を払い、レ−ル頭部表面
に出して行うようにする。これはブロ−ホ−ル、スラグ
巻き込みおよび終端部の高温割れに注意する必要がある
ためである。それらの欠陥の発生を完全に防止するため
に必要な手段である。
【0008】また、本発明に係る第1の発明である溶接
棒心線の成分は溶接棒全重量に対しC:0.5超〜1.
0%の範囲とする。この範囲にした理由は、C0.5%
以下であると母材レ−ルとの著しいC量の差が生じ、そ
のため溶接金属とレ−ルとの凝固温度が大きく異なるた
め、高Cで凝固温度の低いレ−ルの溶融境界線近傍の再
溶解液化したオ−ステナイト粒界に、溶接金属の凝固収
縮に起因して発生する収縮歪が加わる結果、溶接熱影響
部(HAZ)の液化割れが生じると共に、一方、レ−ル
の耐摩耗、耐疲労損傷性には、硬さが高く、高C共析組
織が得られる微細パ−ライト組織が有効であることから
規制したものである。また、上限を1.0%とした理由
は、溶接棒全重量%のC量が1.0%越えると溶着金属
のC量が0.9超となり溶接金属に粗大なセメンタイト
が析出し、溶接金属が著しく脆化する。また、溶接作業
性の点においても溶接スラグの粘性が低下しすぎて、溶
接棒先端にまわりこんで、からみやすくなりスム−スな
溶接運棒に支障を来すことから限定した。
棒心線の成分は溶接棒全重量に対しC:0.5超〜1.
0%の範囲とする。この範囲にした理由は、C0.5%
以下であると母材レ−ルとの著しいC量の差が生じ、そ
のため溶接金属とレ−ルとの凝固温度が大きく異なるた
め、高Cで凝固温度の低いレ−ルの溶融境界線近傍の再
溶解液化したオ−ステナイト粒界に、溶接金属の凝固収
縮に起因して発生する収縮歪が加わる結果、溶接熱影響
部(HAZ)の液化割れが生じると共に、一方、レ−ル
の耐摩耗、耐疲労損傷性には、硬さが高く、高C共析組
織が得られる微細パ−ライト組織が有効であることから
規制したものである。また、上限を1.0%とした理由
は、溶接棒全重量%のC量が1.0%越えると溶着金属
のC量が0.9超となり溶接金属に粗大なセメンタイト
が析出し、溶接金属が著しく脆化する。また、溶接作業
性の点においても溶接スラグの粘性が低下しすぎて、溶
接棒先端にまわりこんで、からみやすくなりスム−スな
溶接運棒に支障を来すことから限定した。
【0009】次に、溶接棒心線の外周にCaO/CaF
2の比が1.3〜1.7の範囲になるように被覆剤組成
物を塗布した被覆ア−ク溶接棒を用いた理由は本発明に
係る溶接棒の組成に伴ってスラグ生成剤として、またガ
ス発生ア−ク安定性等の諸条件から最適範囲を定めたも
のである。すなわち、被覆剤中のCaO/CaF2の比
が1.3未満では、スラグの粘性が高くなるため、溶融
プ−ルからの排除が困難になり、溶接作業上好ましくな
い。一方CaO/CaF2の比が1.7超ではスラグ粘
性が再び高くなると共にスラグ発生量も増加するように
なるので健全、スム−スな溶接運棒が出来ない。従っ
て、これらの理由により被覆剤中のCaO/CaF2の
比を1.3〜1.7と規定した。
2の比が1.3〜1.7の範囲になるように被覆剤組成
物を塗布した被覆ア−ク溶接棒を用いた理由は本発明に
係る溶接棒の組成に伴ってスラグ生成剤として、またガ
ス発生ア−ク安定性等の諸条件から最適範囲を定めたも
のである。すなわち、被覆剤中のCaO/CaF2の比
が1.3未満では、スラグの粘性が高くなるため、溶融
プ−ルからの排除が困難になり、溶接作業上好ましくな
い。一方CaO/CaF2の比が1.7超ではスラグ粘
性が再び高くなると共にスラグ発生量も増加するように
なるので健全、スム−スな溶接運棒が出来ない。従っ
て、これらの理由により被覆剤中のCaO/CaF2の
比を1.3〜1.7と規定した。
【0010】更に、本発明に係る第2の発明である溶接
用ソリットワイヤないし溶接用複合ワイヤの成分とし
て、溶加材全重量に対してC0.85〜1.5%とした
理由は、被覆アーク溶接棒と異なって炭酸ガスをシール
ドガスにすることが前提のため溶加材中の各成分の消耗
が考慮され、最適C量は高く、従って0.85%未満で
あると前記と同様母材レールの溶融境界近傍の再溶解液
化したオーステナイト粒界に、溶接金属の凝固収縮に起
因して発生する収縮歪が加わる結果、溶接熱影響部(H
AZ)の液化割れが生じるためである。しかし1.5%
を越えると前記同様溶接金属のC量が高くなりすぎ、溶
接金属の脆化や溶接作業性の劣化を引き起こすことから
限定した。更に加えて、溶接部を900℃以上に加熱
し、引続き圧縮空気噴霧、すなわち、900℃以上から
300℃までの温度を平均冷速1〜5℃/sで緩冷却す
ることによって、より母材レールと類似のパーライト組
織、硬さ及び継手強度が得られる。すなわち、母材レー
ルと類似の高C性パーライトで引張り強さが100kg
/mm2以上の溶融金属を得ることが出来る。
用ソリットワイヤないし溶接用複合ワイヤの成分とし
て、溶加材全重量に対してC0.85〜1.5%とした
理由は、被覆アーク溶接棒と異なって炭酸ガスをシール
ドガスにすることが前提のため溶加材中の各成分の消耗
が考慮され、最適C量は高く、従って0.85%未満で
あると前記と同様母材レールの溶融境界近傍の再溶解液
化したオーステナイト粒界に、溶接金属の凝固収縮に起
因して発生する収縮歪が加わる結果、溶接熱影響部(H
AZ)の液化割れが生じるためである。しかし1.5%
を越えると前記同様溶接金属のC量が高くなりすぎ、溶
接金属の脆化や溶接作業性の劣化を引き起こすことから
限定した。更に加えて、溶接部を900℃以上に加熱
し、引続き圧縮空気噴霧、すなわち、900℃以上から
300℃までの温度を平均冷速1〜5℃/sで緩冷却す
ることによって、より母材レールと類似のパーライト組
織、硬さ及び継手強度が得られる。すなわち、母材レー
ルと類似の高C性パーライトで引張り強さが100kg
/mm2以上の溶融金属を得ることが出来る。
【0011】
実施例1 表1に溶接クロッシングを製作する上で使用するJIS
−60Kg炭素鋼レ−ルの組成を示す。これら組成のレ
−ルを用いて、表2に示す被覆ア−ク溶接法の条件、す
なわち、溶接棒全重量に対して0.5超〜1.0%まで
の範囲で炭素量を含有するA〜Cのいわゆる溶接棒を用
いた被覆ア−ク溶接法と比較例E〜Fをレ−ル頭部に図
3に示すような開先溝部に用いて製造した。そのときの
溶接施工条件は、溶接棒径:4および5mm、極性:直
流逆極(棒+)DCRP、溶接電流:150〜200A
(4mm)、210〜260A(5mm)、電圧:24
〜27V、肉盛速度:10〜14cm/min、予熱:
200〜500℃、パス間温度:200℃で行った。そ
の製造した溶接クロッシングの性能および作業性の結果
を表3に示す。この表から明らかなように、本発明にお
いては、耐摩耗性や耐損傷性の優れたパ−ライト組織と
なり、欠陥発生も全くなく、しかも作業能率的にも実用
性の高いことがわかる。これに対して比較例は耐摩耗性
の低いベイナイトを生成し、高温HAZ液化われを生じ
た。
−60Kg炭素鋼レ−ルの組成を示す。これら組成のレ
−ルを用いて、表2に示す被覆ア−ク溶接法の条件、す
なわち、溶接棒全重量に対して0.5超〜1.0%まで
の範囲で炭素量を含有するA〜Cのいわゆる溶接棒を用
いた被覆ア−ク溶接法と比較例E〜Fをレ−ル頭部に図
3に示すような開先溝部に用いて製造した。そのときの
溶接施工条件は、溶接棒径:4および5mm、極性:直
流逆極(棒+)DCRP、溶接電流:150〜200A
(4mm)、210〜260A(5mm)、電圧:24
〜27V、肉盛速度:10〜14cm/min、予熱:
200〜500℃、パス間温度:200℃で行った。そ
の製造した溶接クロッシングの性能および作業性の結果
を表3に示す。この表から明らかなように、本発明にお
いては、耐摩耗性や耐損傷性の優れたパ−ライト組織と
なり、欠陥発生も全くなく、しかも作業能率的にも実用
性の高いことがわかる。これに対して比較例は耐摩耗性
の低いベイナイトを生成し、高温HAZ液化われを生じ
た。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【表4】
【0016】
【表5】
【0017】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る溶加材
をレ−ル頭部の溶接開先部に用いて製造した溶接クロッ
シングは従来問題としていた耐摩耗性や耐損傷性の問題
が解決され、しかも作業能率的にも実用性の高い溶接法
を提供することにある。
をレ−ル頭部の溶接開先部に用いて製造した溶接クロッ
シングは従来問題としていた耐摩耗性や耐損傷性の問題
が解決され、しかも作業能率的にも実用性の高い溶接法
を提供することにある。
【図1】溶接クロッシングの全体を示す平面図、
【図2】図1のA−A線断面図、
【図3】溶接クロッシングの通常の溶接個所の断面図で
ある。
ある。
1 溶接クロッシング 2 ウイングレ−ル 3 ノ−ズレ−ル 4 頭部 5 腹部 6、7 ベ−ス部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B23K 35/30 340 B23K 35/30 340A 340P 35/368 35/368 E // B23K 101:26 (72)発明者 内野 耕一 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 杉野 和男 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 大石橋 宏次 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 上山 且芳 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 大原 宗行 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 辰己 光正 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財 団法人鉄道総合技術研究所内 (56)参考文献 特開 平1−197093(JP,A) 特開 平1−162596(JP,A) 特開 平1−266990(JP,A) 特開 平2−200379(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】 ノ−ズレ−ルとウイングレ−ルから構成
される溶接クロッシングにおいて、レ−ル頭部に相当す
る溶接開先部を溶接する際、溶接棒全重量に対しC:
0.5超〜1.0%を含有し、かつ溶接棒心線の外周に
CaO/CaF2の比が1.3〜1.7の範囲になるよ
うに被覆剤組成を塗布した被覆ア−ク溶接棒を用いて連
続多層溶接することを特徴とする溶接クロッシングの製
造方法。 - 【請求項2】 ノ−ズレ−ルとウイングレ−ルから構成
される溶接クロッシングにおいて、レ−ル頭部に相当す
る溶接開先部を溶接する際、溶加材全重量に対しC:
0.85〜1.5%を含有する溶接用ソリッドワイヤな
いし溶接用複合ワイヤを消耗電極として用いた炭酸ガス
系シ−ルドア−ク溶接法により連続多層溶接することを
特徴とする溶接クロッシングの製造方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の溶接クロ
ッシングの製造工程を施した後、該当溶接部を900℃
以上に加熱し、引続き圧縮空気噴射により緩冷却を行う
ことを特徴とする溶接クロッシングの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3353051A JP2601742B2 (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 溶接クロッシングの製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3353051A JP2601742B2 (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 溶接クロッシングの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2601742B2 true JP2601742B2 (ja) | 1997-04-16 |
Family
ID=18428239
Family Applications (1)
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JP3353051A Expired - Lifetime JP2601742B2 (ja) | 1991-12-18 | 1991-12-18 | 溶接クロッシングの製造方法 |
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JP (1) | JP2601742B2 (ja) |
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JPH02200379A (ja) * | 1989-01-30 | 1990-08-08 | Nippon Steel Corp | レールの突合せ被覆アーク溶接法 |
-
1991
- 1991-12-18 JP JP3353051A patent/JP2601742B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH05169295A (ja) | 1993-07-09 |
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