JP2601618Y2 - スピニングリール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、スピニングリールに係
り、特に回転体の回転バランスに関する。

【従来の技術】

【０００２】一般に、ベールアームを有する回転枠を回
転させ、スプールを回転軸方向に進退移動させることに
より釣糸を巻き取るといったスピニングリールが広く知
られている。

【０００３】このようなスピニングリールにあっては、
回転枠のアーム支持腕の先端に湾曲したベールアームが
設けられていることから、図５及び図６に示すように回
転枠の回転中心Ｌ _１に対して上側の合成重心Ｍ_１と下側
の合成重心Ｍ_２とが左右異なった位置に形成されるため
回転枠の動バランスがこわれ、回転枠の動バランスを取
るべく、適所にバランサを設けている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
な構成では、バランサが必要なため、回転枠ひいてはリ
ール全体の重量増加を招来している。また、部品点数の
増加により加工作業が煩雑となりコストが高騰する。さ
らに、バランサを設けたために凸部が出来、釣糸がひっ
かかるといった問題点がある。

【０００５】本考案は上述のような問題点を鑑みてなさ
れたものであり、回転枠の重量増加を招来することなく
回転枠のバランスを取ることのできるスピニングリール
を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、リール本体
（１）と、このリール本体（１）に前後方向に進退可能
に設けたスプール（３）と、このスプール（３）に釣糸
を捲回すべく前記リール本体（１）に回転可能に支承し
た回転枠（２）と、前記回転枠（２）の回転中心線（Ｌ
_２）を挟んで、当該回転枠（２）の後部から前方に向け
て延設した一対のアーム支持腕（２ｂ，２ｂ）と、この
一対のアーム支持腕（２ｂ，２ｂ）のそれぞれの前部に
揺動可能に設けられたベールアームレバー（５）及びベ
ールアームホルダ（６）と、前記ベールアームレバー
（５）と前記ベールアームホルダ（６）との間に架設さ
れたベールアーム（７）とを備えたスピニングリールに
おいて、前記ベールアーム（７）が、前記ベールアーム
レバー（５）と前記ベールアー ムホルダ（６）との揺動
中心線（Ｌ _３ ）に平行で前記回転枠（２）の回転中心線
（Ｌ _２ ）を含む基準平面（Ｓ _１ ）によって仕切られる釣
糸捲回位置側（Ｂ）と反釣糸捲回位置側（Ｃ）との間で
揺動しうるように設けられ、前記ベールアーム（７）が
前記釣糸捲回位置側（Ｂ）にある状態で前記一対のアー
ム支持腕（２ｂ，２ｂ）、前記ベールアームレバー
（５）、前記ベールアームホルダ（６）及び前記ベール
アーム（７）における前記釣糸捲回位置側（Ｂ）の合成
重心（ｍ _２ ）と前記反釣糸捲回位置側（Ｃ）の合成重心
（ｍ _１ ）とが前記回転中心線（Ｌ _２ ）と直交する同一平
面（Ｓ _２ ）上に位置するように、且つ前記一方の合成重
心（ｍ _１ ）の前記回転中心線（Ｌ _２ ）からの距離と重量
との乗算値と前記他方の合成重心（ｍ _２ ）の前記回転中
心線（Ｌ _２ ）からの距離と重量との乗算値とが等しくな
るように、前記一対のアーム支持腕（２ｂ，２ｂ）が、
前記基準平面（Ｓ _１ ）を挟んで後部が前記釣糸捲回位置
側（Ｂ）に偏り前部が前記反釣糸捲回位置側（Ｃ）に偏
るごとく傾斜して設けられると共に、前記揺動中心線
（Ｌ _３ ）が、前記反釣糸捲回位置側（Ｃ）に偏って設け
られたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】釣糸捲回時に回転枠を回転させる。このとき回
転枠を含む回転体は基準平面によって仕切られた２つの
部分の各合成重心が回転中心線と直交する同一の平面上
に位置すると共に、合成重心に発生する遠心力が反対方
向に作用するように設けられているために、２つの部分
の各合成重心に発生する遠心力が回転時に互いに相殺さ
れて回転時の動バランスを取ることができ、回転枠操作
時に違和感がない。

【０００８】

【実施例】以下、添付図面を参照して本考案の一実施例
について説明する。図１は本考案におけるスピニングリ
ールの正面図である。図中符号１はリール本体であり、
このリール本体１内に回転可能に設けられた管軸（図示
せず）には回転枠２が固定されている。また、管軸内に
は軸方向に移動可能にスプール軸（図示せず）が挿通さ
れており、このスプール軸の先端にスプール３がドラグ
ノブ４によって固定されている。

【０００９】図２は図１中ＩＩ−ＩＩ矢視図である。上
記回転枠２の後部２ａからはアーム支持腕２ｂ，２ｂが
突設されている。このアーム支持腕２ｂは回転枠２の回
転中心線Ｌ _２ に対して傾斜して設けられている。図１に
おいて、このアーム支持腕２ｂ，２ｂの前部にはそれぞ
れにベールアームレバー５と、ベールアームホルダ６と
が揺動可能に設けられており、このベールアームレバー
５とベールアームホルダ６との間にベールアーム７がス
プール３の移動を阻害しないように湾曲した状態で架設
されている。なお、ベールアームレバー５には釣糸をス
プール３に案内するラインローラ８が設けられている。
ここで、回転枠２、ベールアームレバー５、ベールアー
ムホルダ６、ベールアーム７、ラインローラ８等によっ
て回転体Ｒが構成されている。

【００１０】そして、図２乃至図４において、ベールア
ームレバー５とベールアームホルダ６との揺動中心線Ｌ
_３と平行で、回転枠２の回転中心ｏを通る線Ｌ _４を定義
する。ベールアーム７は、前記揺動中心線Ｌ _３ に平行で
回転枠２の回転中心線Ｌ _２ を含む基準平面Ｓ _１ によって
仕切られる釣糸捲回位置側Ｂと反釣糸捲回位置側Ｃとの
間で揺動可能である。そして、ベールアーム７が釣糸捲
回位置側Ｂにある状態で、前記基準平面Ｓ_１によって仕
切られる部分のうちで、図２中釣糸捲回位置側Ｂの回転
体Ｒのベールアームレバー５、ベールアームホルダ６及
びベールアーム７の斜線部の重心Ｗ_１とアーム支持腕２
ｂ，２ｂの斜線部の重心Ｗ_２との合成重心ｍ _２に対して
図２中反釣糸捲回位置側Ｃの回転体Ｒのベールアームレ
バー５、ベールアームホルダ６、ベールアーム７及びア
ーム支持腕２ｂ，２ｂの非斜線部の合成重心をｍ_１とす
る。このとき、図４に示すようにこの合成重心ｍ_１と合
成重心ｍ_２とが回転枠２の回転中心線Ｌ _２と直交する同
一平面Ｓ_２上に位置するようにかつ、合成重心ｍ_１の回
転中心線Ｌ _２ からの距離と重量との乗算値及び合成重心
ｍ_２の回転中心線Ｌ _２ からの距離と重量との乗算値が等
しくなるようにアーム支持腕２ｂの傾斜角度、ベールア
ームの揺動中心の回転中心線Ｌ _２からのオフセット量
Ａ、あるいは各部品重量等を調節する。

【００１１】このように構成されたスピニングリールの
作用について以下に説明する。図１において、ハンドル
９を回転させると、リール本体１内に収納された歯車機
構（図示せず）を介して管軸（図示せず）が回転し、回
転枠２が回転する。このとき、回転枠２の回転時におい
て、合成重心ｍ_１と合成重心ｍ_２とが同一平面上を回転
し、かつその合成重心に発生する遠心力が相殺されるこ
ととなるために、回転枠２はスムーズな回転運動をし、
釣人は違和感なく釣りを行うことができる。また、ハン
ドル９の回転操作によりスプール軸（図示せず）が軸方
向に移動する。これに伴ない、スプール３も同方向に移
動するため、ラインローラ８によってガイドされる釣糸
がスプール３に捲回されていく。

【００１２】

【考案の効果】本考案によれば、ベールアームが釣糸捲
回位置側にある状態で一対のアーム支持腕、ベールアー
ムレバー、ベールアームホルダ及びベールアームにおけ
る釣糸捲回位置側の合成重心と反釣糸捲回位置側の合成
重心とが回転中心線と直交する同一平面上に位置するよ
うに、且つ一方の合成重心の回転中心線からの距離と重
量との乗算値と他方の合成重心の回転中心線からの距離
と重量との乗算値とが等しくなるように、一対のアーム
支持腕が、基準平面を挟んで後部が釣糸捲回位置側に偏
り前部が反釣糸捲回位置側に偏るごとく傾斜して設けら
れると共に、揺動中心線が、反釣糸捲回位置側に偏って
設けられたことから、釣糸の巻取時の回転枠のバランス
を取ることができ、スムーズな釣糸巻取操作を行うこと
ができる。また、バランサを使用せずにバランスを取る
ことができるので、リール全体の軽量化を図ることがで
き、しかも部品点数の低減により組立作業、加工作業が
簡易となり、コストの低減を図ることができる。また、
バランサを使用しないため、バランサを設置するための
設置スペースを必要とせず、特に設置スペースのために
回転枠に凸部を形成した場合には、釣糸が凸部に絡む等
の問題も生じ得るが、かかる問題も有効に防止すること
ができる。さらに、アーム支持腕の後部と前部とをそれ
ぞれ釣糸捲回位置側と反釣糸捲回位置側とに偏らせたこ
とにより、アーム支持腕の重心を従来よりも反釣糸捲回
位置側にずらせることでオフセット量を小さくすること
ができ、ひいてはリール全体の小型、軽量化を図ること
ができるものである。また、本考案のバランス調整方法
は、対応する部材間（例えばベールアームレバーとベー
ルアームホルダー）だけでのバランスを調整するといっ
たものではなく、回転する部材を全体的に見て、バラン
サを設けることなく、バランス調整するようにしたもの
であるため、バランス性能がより向上するものである等
の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案におけるスピニングリールの正面図であ
る。

【図２】図１中ＩＩ−ＩＩ矢視図である。

【図３】本考案におけるスピニングリールに使用される
回転体の側面図である。

【図４】本考案におけるスピニングリールに使用される
回転体の正面図である。

【図５】従来のスピニングリールに使用される回転体の
正面図である。

【図６】従来のスピニングリールに使用される回転体の
側面図である。

【符号の説明】

１…リール本体 ２…回転枠 ２ａ…後部 ２ｂ…アーム支持腕 ３…スプール ７…ベールアーム Ｒ…回転体Ｌ _１ …中心線Ｌ _２ …回転中心線Ｌ _３ …揺動中心線Ｌ _４ …揺動中心線と平行で回転枠の回転中心を通る線 Ｓ_１…基準平面 Ｓ_２…同一平面

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 リール本体と、このリール本体に前後方
   向に進退可能に設けたスプールと、このスプールに釣糸
   を捲回すべく前記リール本体に回転可能に支承した回転
   枠と、前記回転枠の回転中心線を挟んで、当該回転枠の
   後部から前方に向けて延設した一対のアーム支持腕と、
   この一対のアーム支持腕のそれぞれの前部に揺動可能に
   設けられたベールアームレバー及びベールアームホルダ
   と、前記ベールアームレバーと前記ベールアームホルダ
   との間に架設されたベールアームとを備えたスピニング
   リールにおいて、前記ベールアームが、前記ベールアー
   ムレバーと前記ベールアームホルダとの揺動中心線に平
   行で前記回転枠の回転中心線を含む基準平面によって仕
   切られる釣糸捲回位置側と反釣糸捲回位置側との間で揺
   動しうるように設けられ、前記ベールアームが前記釣糸
   捲回位置側にある状態で前記一対のアーム支持腕、前記
   ベールアームレバー、前記ベールアームホルダ及び前記
   ベールアームにおける前記釣糸捲回位置側の合成重心と
   前記反釣糸捲回位置側の合成重心とが前記回転中心線と
   直交する同一平面上に位置するように、且つ前記一方の
   合成重心の前記回転中心線からの距離と重量との乗算値
   と前記他方の合成重心の前記回転中心線からの距離と重
   量との乗算値とが等しくなるように、前記一対のアーム
   支持腕が、前記基準平面を挟んで後部が前記釣糸捲回位
   置側に偏り前部が前記反釣糸捲回位置側に偏るごとく傾
   斜して設けられると共に、前記揺動中心線が、前記反釣
   糸捲回位置側に偏って設けられたことを特徴とするスピ
   ニングリール。